正直コロナちゃんは嫌いではないのですが、いまいちインパクトにかけるというか……その分、描写がややソフト(?)です。もっとも触手要素でお送りしておりますが……。
「シャンテ~。お~い。シャンテ~」
聖王教会からそこそこ遠い森の中、3人の少女たちが探し人の名を呼びながら捜し歩いていた。
「見つからないね」
「う~ん。おばあさんが言ってた“魔物”も出てこないし。もっと奥まで行かなきゃダメかな?」
長い髪を水玉模様のキャンディを模した髪留めでツインテールにしたコロナ・ティミル。
ショートカートの藍色の髪のリオ・ウェズリー。
おっとりしてはいてもしっかりもののコロナと普段は元気印一杯のリオだが、今の二人はどちらも心配顔でその顔を曇らせており、残る一人へと視線を向けた。
「…………もう少し奥まで見に行こう、コロナ、リオ」
その瞳に翡翠と紅玉のオッドアイをもつ金髪の少女、高町ヴィヴィオ。
三人は一週間前から行方不明になっている友人、シスター・シャンテの行方を探しにこの森までやってきたのだ。
この一週間ほどシャンテの姿が見えない。
聖王教会で騒ぎになりはじめたその事件がヴィヴィオのところに届いたのは比較的早い時期だった。
ヴィヴィオたちが修練している格闘戦技――ストライクアーツの師匠、ノーヴェ・ナカジマの姉妹が聖王教会のシスターであるのも理由にあるし、ヴィヴィオ自身が聖王教会と深い因縁があることも理由にある。
とにかく三人は友人であるシャンテが、誰にも行方を告げずにこの一週間ほど失踪してしまっていることを聞いて、聖王教会へと行こうとしていたのだ。
ヴィヴィオにとって聖王教会のシスターとの関係は、少し言いにくい複雑な関係のあるものではあったが、明るく陽気なシスター・シャンテは、少し向こうが年長ではあるが、楽しい友人である。
教会のシスターの中には、礼節面、生活態度のよろしくないシャンテが、シスター・シャッハに怒られて家出したなどという輩もいたが、ヴィヴィオにはそうは思えなかった。
ヴィヴィオから見て、シャンテは本当にあの場所が好きだったし、師匠であるシャッハたちが好きなように見えた。
シャッハもシャンテのことを心配して捜索を行っているらしいのだが、手掛かりは全くないらしい。
行方不明の友人のことを心配して教会に向かっていたヴィヴィオとリオとコロナが、目的地を変えてはなれた森にやってきたのには理由がある。
シャッハたちが見つけられなかった手がかりが、偶々見つかったのだ。
聖王教会に赴く道の途中、“困っているおばあさん”に話しかけられて相談にのったところ、シャンテがおばあさんの困りごとを解決しようとして出かけたらしいという情報が入ったのだ。
教会から少し離れたおばあさんの住む家の近く。そこに魔物が現れておばあさんの生活を脅かしているということを告げたのが一週間前。
時期的にシャンテが行方不明になる前後であり、シャンテがその森に赴いて行方知れずになったという推測は容易にたてられた。
教会からは離れた場所にある森でも、そこまでの行き道の途中にあったヴィヴィオたちからは距離が近く、シャンテのことが心配だった三人は、そのまま森へと赴いたのであった。
彼女たちには魔法もあるし、未熟とはいえストライクアーツや格闘技で鍛えた力があった。
自信、というにはか細いが、優しい三人はシャンテがなにか困った事態に陥っているかもしれないと、慌てて向かったのだ。
おばあさんの案内でシャンテが来たと思しき森にたどり着いた三人。
魔法が使えず、戦いの術ももたないおばあさんを森の近くの家において踏み込んだ三人は、最初は固まってシャンテの行方を、その手がかりを探していた。
だがシャンテがやってきたという痕跡はなく、くだんの魔物の姿もないとなれば、捜索範囲を広げるために分かれて捜索することを選択してしまった。
何かがあれば、すぐに魔法を打ちあげて知らせ、決して無理はしないと確認しあってはなれた三人。
彼女たちが気付かぬ間に、魔物の手は、すぐそこまで迫っていた。
「シャンテさ~ん」
リオとヴィヴィオと分かれたコロナは、用心深く辺りを警戒しながらシャンテの名を呼んで捜索していた。
三人の中で、もっとも体力が乏しいのがコロナだ。
彼女はヴィヴィオたちと一緒にストライクアーツを学んではいるものの、ヴィヴィオやリオに比べて運動神経にはそれほど恵まれておらず、その経験も圧倒的に浅い。
そもそも彼女の本領は、コアに魔力を込めて巨人を創りだすゴーレム創成の魔法だ。
魔物が居るかもしれない、ということで警戒しながら捜索していたコロナだが、体力と直接戦闘力に乏しい彼女だからこそ、長時間警戒を持続しながらの捜索活動は、知らず知らずのうちに彼女の注意力を散漫なものにしていった。
「シャン……ッ!? シャンテさん!?」
ちらりと視界の片隅に何かがよぎったのに気付いたコロナが、慌ててそちらに視線を向けると、そこには覚えのある後姿の少女の姿があった。
「あっ、待ってください、シャンテさん!」
呼びかけたコロナだが、その声が届かなかったのか、シャンテは森の奥へと消えてしまった。
その消え方はよくよく見ていればまるで“幻が消えるよう”ではあったものの、注意力が散漫になっていたコロナはそれに気づかず、ようやく見つけた手掛かりを見失うまいとして慌てて後を追おうとした。
道を遮る茂みをかき分け、森の影へと消えてしまったシャンテを追って走り出したコロナは、
「待ってくださ、きゃあああああっ!!!!」
突如として宙に吊り上げられた悲鳴を上げた。
一瞬にして視界が流れ、襲い来る浮遊感。
この時に、すぐさまデバイス、“ブランゼル”を抜いて魔法を使っていればその後の結末は変わっていただろう。
だが経験の浅さが、危機的状況に対する認識速度の遅さとなり、咄嗟の動きが出せなかった。
「な、なにが、えっ!? 触手!?」
逆さになった視界の中、急変した状況を遅まきながら理解したコロナ。足首に触手が巻き付いており、それが彼女を宙に吊り上げたのだ。
――――なんで? なにが? シャンテさんは?—―――
驚愕と疑問が脳裏を駆け巡り、動きがさらに遅れる。
—―危なくなったらすぐにデバイスで知らせて、絶対に無理はしないこと――
コロナが友人たちと取り決めた約束事を思い出したのはその後で、ハッとしたコロナが短剣型のデバイス“ブランゼル”に手を伸ばしたときには完全に手遅れだった。
「ブランゼ、きゃっ!! ――――あっ!!!」
デバイスを掴んだ手に触手が絡みつき、魔法を発動させるよりも早くにその手をひねり上げた。
コロナの魔法は発動せず、その手からデバイスが滑り落ちた。
彼女の行おうとしたのは連絡のための魔法。
だが触手は落下したデバイスを宙で絡み取り、コロナの手の届かないところに運んでいった。
「ま、待って! 返してっ!!」
遠くに運ばれていくデバイスに、懸命に手を伸ばすコロナだが、触手が次から次にコロナの体にまとわりついていき、到底その手はデバイスに届かなかった。
「なに!? なんなの!? ヴィヴィオ! リオ! シャンテさん!!」
混乱するコロナ。
助けを求めて懸命に声を上げるが、それに反応を返すは触手ばかり。
「放し、ンんっ!!!」
叫び声を上げさせないようにするためか、触手の一つがコロナの口の中に入り込んだ。
それだけではない。触手は彼女の服の中にも潜り込んできており、ぬるぬるとその幼い肢体を弄び始めた。
「ンんんっ!!? んぐっ!! んお゛ぁん!!!」
状況が全く理解できない。
口の中に入ってきた触手が奥に入り込んで喉をつき、コロナは反射的にえづきそうになる。
服の中に潜り込んだ触手は、脇の間をすべるように蠢き、こそばゆいような不快感をもたらして体を悶えさせる。
「ンんんんっ!! んぁぇ!!! ぁぁんぇ!!」
解放を求めようとしても、触手が口に突っ込まれた状態では声にはならない。
嘔吐感に呼吸が阻害され苦しさがつのる。
次第にコロナは抵抗しないことで苦しみから逃れようとする順応を無意識に見せてしまっていた。
「んむっ、んぁ、ん」
――なに? ……粘、液? …………!? ――
「ンんんんっ!!!?」
抵抗を緩めると、触手が何かの粘液のようなものを分泌していることに気が付いた。
気が付き、そして一気に体の火照りが進行した。
ドクン、と心臓が跳ねたような感覚を覚えたのと同時に、体が敏感になり、まとわりつく触手の一本一本が鮮明に感じられるようになった。
—――なんで、体……敏、感に……ッッ!!!――
服の中をのたうつ触手の責めは、まだクリティカルな場所を責めておらず、幼い彼女の肢体の上を滑っているだけだ。
だがそんな遊びのような生温い動きでさえ感じるほどに、コロナの体は蕾を開花させられていた。
触手の遊びに悶えるコロナ。
「ふぇっふぇっふぇ。随分と簡単にいったねえ」
不意に、何者かの声が聞こえてコロナは顔を上げた。
そこに居たのは一人の老婆。シスター・シャンテの行方の手がかりを教えてくれた、コロナたちがこの森に来るきっかけを作ったおばあさんだ。
「んんんんっ!!!」
「何言ってるのか分かんないねぇ。気持ちよくって喘いでんのかい、おじょうちゃん?」
おばあさん! と呼びかけた言葉は、口に入った触手に阻害されて言葉にならない。
だが森に入る前までの様子と今のおばあさんの様子はまるで別人のようであり、触手に囚われたコロナを前にしてもなんら慌てたこともなく、不気味な笑みを浮かべている。
そもそもこのおばあさんは魔物に困って、シャンテにその話をしたはずなのだ。
なのに、その魔物を前にしても全く慌てる様子もなく…………
「あんたのゴーレムは目立つし、暴れられると一番厄介だからね。デバイスを落とした時はひやりとしたけど、それももうできやしないだろ?」
「!!!?」
コロナの瞳が驚愕に開かれる。
なぜ自分の魔法のことを知っているのか。しかも、デバイスを落とした時、という言葉からすると、おばあさんはコロナが触手に絡めとられた時から見ていたということなのだ。それもコロナの身を心配してというわけでなく、むしろ逆。
「んぁあぁ!」
「ひぇっひぇっひぇ! 気が付いたかい? 騙されたんだよ、あんたらは! あの小生意気そうなシスターと同じさ!」
この魔物とグルなのだ。
そもそもおばあさんの話を聞いた時に気付くべきだったのかもしれない。
シャンテが内緒で魔物の討伐に行っていたのだとしても、それを話したおばあさんがシャンテのことを教会に伝えていないからこそ、シャンテの行方に手がかりがなかったのだ。
「な~に、心配いらないよ。お友達のシスターとは後で会えるさ。—――――そうさね。あんたが善がり狂って苗床になる準備が整うころには、一緒に来たほかの連中も終わってるだろうしねぇ」
「!!? んんんんっ!!!!!」
ヴィヴィオとリオにも、危険が迫っている。
そのことにコロナが危機感を覚えて脱出をはかろうと力を込めるが、触手はコロナへの責めを本格化し始めていた。
ふくらみがほとんどなくぽっちでしかない乳首に触手が絡みつき、右の乳首は絞るように、左の乳首はかぷりと口に含んで舐める。
一気に炸裂して発火したかのように胸から電流が奔る。
おそらくおばあさんはコロナたちのことを、もしかしたらシャンテのことも知っていたのかもしれない。
彼女たちはいずれもインターミドル・チャンピオンシップ――公式魔法競技会の地区予選でそこそこの活躍をしていた。初参加であったものの、話題になるような活躍をしていたから、調べればどんな魔法を使うのかなどすぐに分かっただろう。
そう、たとえばインターミドルに参加の資格のある年頃の魔法少女を狙う不逞の輩などが調べれば…………
コロナ最大の武器であるゴーレムを創りだすためには、ゴーレムの核を地面に落とし、埋め込む必要がある。
だがデバイスが遠く離れてしまった今となっては、ゴーレムを操作するどころか、そもそもゴーレムを創りだす核を出すこともできない。
そして力の弱い彼女にできることはほとんどない。
触手が落下したデバイスをキャッチしたのは、そこからゴーレムを創られることを防ぐためだったらしい。
木々の高い森の中とはいえ、コロナの創るゴーレムはその気になれば、森の木よりも高く巨大になれる。
そんなゴーレムが暴れれば、ヴィヴィオもリオもすぐに気づいてくれただろう。
少なくともコロナが戦闘状態にあることは気付き、魔物のことに対する警戒は引き上げたはずだ。
だからこそ、魔物は、おばあさんは、コロナを最初に狙ったのだろう。
遠くからでも目立つ戦い方をする反面、スピードや個人戦闘能力には乏しく、体力も少ない後衛魔法使いタイプ。
奇襲を受けたとき、ヴィヴィオやリオとは異なりとれる選択肢は多くない。
「さ~て、それじゃあ聖王様を迎えに行こうかねえ。ひぇひぇひぇ。聖王様をお迎えして、そのお子様をワシが生み出すお手伝いができるんじゃから、ワシほど敬虔な信徒もおるまいて」
去りゆく老婆の言葉に、友達の危険を察知したとしても、もはやコロナにできることはただただ喘ぎ、悶えることだけだった。