惑星BG-386
精錬所渓谷
「……u……grr……」
閃光と共に猛烈な爆風が精錬所を突き抜け、無数のエイリアンが熱線に晒された後。
シシュは爆発から逃れるべく、エミリオと共に切り立った崖を飛び降り、精錬所から少し離れた小川へその身を横たわらせていた。
そこは、ちょうどライバックと合流する前にいた場所であり、エミリオとシシュが月明かりの元で交わった、猥褻にして純潔な場所。
「grr……」
岩肌に身体の到る所を打ち付けたシシュは浅い呼吸を繰り返しながら身を捩らせる。
崖から飛び降りた際、エミリオはシシュを庇うようにその大きな体を抱いていた。
その甲斐があってあのか、激しく身体を打ち付けたのにも関わらず、シシュに骨折などの深いダメージは無く。
シシュは呼吸を繰り返す内に自身の肉体に活力が戻るのを感じていた。
「……エ、エミリオ」
身を起こしながら愛しい伴侶の名前を呼ぶシシュ。
さらさらと川の流れる音だけが響き、辺りは妙な静けさが包んでいた。
既に日は傾き、あの時と同じような月明かりが、異形の乙女を薄く照らす。
爆発により、この付近一帯のエイリアンは姿を消していた。
「……エミ!」
そして、エミリオの姿を見つけるシシュ。
見ると、エミリオはシシュからそう遠く無い所で、川岸にうつ伏せで倒れ伏していた。
「エミ! エミ!」
「……」
倒れ伏すエミリオに駆け寄るシシュ。
愛すべき乙女を守り通した黒髪の若者の肉体は、相応の代償を払っていた。
身体のいたる所に裂傷を負い鮮血を流し、腕や足は内出血で痛々しく腫れている。頭部も深い切り傷を負ったのか、顔面は血に塗れていた。
「エミ! エミリオ!」
エミリオの身体を抱きながら、可憐な瞳を涙で滲ませながらその名を叫ぶシシュ。
か細い呼吸を繰り返すエミリオに、懸命に名前を呼び続けた。
「krr……! krr……!」
やや狂乱状態に陥っていたシシュであったが、徐々に冷静さを取り戻しエミリオの状態を確認する。
エミリオの肉体は痛々しい様相を呈していたが、骨折などの深いダメージは無さそうである。だが、頭を打ったのかエミリオは気を失っており、時折苦しげに息を吐いていた。
「grr……!」
やがてエミリオの生命に別状がない事を見留めたシシュは、即座に移動すべくエミリオを横抱きにする。
200kgを超える乙女の肉体は、65kgほどしかないエミリオの肉体を軽々と抱き上げる腕力を備えていた。
だが、乱暴にはしない。大切な存在を慈しむよう、武骨な外見には似合わない丁寧な手付きでエミリオを抱いていた。
「grr……アソコ……!」
視界が開けているこの場所ではまだ無数に存在するであろうエイリアン共に囲まれる可能性がある。
故に、乙女は即座に安全と思われる場所を探す。ちょうど、渓谷とジャングルの境に存在する洞窟を発見したシシュは、逞しい両脚を躍動させ洞窟へと飛び込んでいった。
「grr……!」
洞窟内は2mを超すシシュの身体ではやや窮屈であったが、身を隠すにはちょうど良い場所であり。
シシュはエミリオを横たわらせると、素早い動きで洞窟入り口を岩石で塞いでいった。
「grrー……」
急ごしらえであったが、重たい岩石はエイリアンの襲撃をそれなりに防いでくれるだろう。これならしばらくは身を潜めると思ったシシュは、やがて深い溜息をついていた。
とはいえ、岩石が入り口を塞いだせいで、当然月明かりは全く差し込まなくなり、洞窟内は漆黒の暗闇に包まれる。
だが、シシュにとって闇は全く問題にならない。
シシュ達の種族は人間とは違い、蛇が持つピット器官に相当する“赤外線を視覚化する器官”を備えている。
これにより、シシュは暗闇の中でも昼間のように活動することが可能であった。
もっとも、裸眼だけでは燃え盛る炎などの光源に照らされると対象の視認がし辛くなるというのもあるので、シシュ達はマスクの視覚補助がなければそのポテンシャルを十分に発揮することは出来ないのだが。
「krr……エミリオ……」
しかし、シシュはたとえ紅蓮の炎に照らされても、エミリオの姿をしっかり認識することが出来た。
こればかりは、生物学的にも、科学的にも説明することは不可能であった。
「krrー……」
シシュは横たえるエミリオの傍に寄ると、水で濡れ、戦闘で破損した衣服を丁寧に脱がしていった。
エミリオの逞しく、そして傷だらけの肉体が露わになる。靴や靴下までも脱がし、下着一枚となったエミリオの肉体を見たシシュは、ほんの少しだけ頬を赤らめていた。
だが、長時間の戦闘、そして川の水に半身を浸していたエミリオからは極度の疲労、そして低体温症の兆候が現れており、その全身を小さく震わせ、唇を青く染めている。その様子を見たシシュは、ぶんぶんと頭を振り沸き起こる煩悩を払っていた。
「……」
シシュは身につけていた装具を外し、纏っていたボディスーツも脱ぐ。尚も浅い呼吸を繰り返すエミリオの傍に横たわり、その裸体で伴侶の肉体を包んでいた。
「……」
シシュはこのような介抱しか出来ないのを、忸怩たる思いを抱いきながら行っていた。
応急処置キットはとっくに無くなっており、装備はショルダープラズマキャノン、リストブレイド、シュリケンにスラッシャーウィップのみ。
どれもこれも、今の状況では何も役に立たない。
ただ、その身ひとつでしか、エミリオを介抱することが出来なかった。
「……エミリオ」
ぼそりとエミリオの名を呟くシシュ。
シシュの胸の中で苦しげな呼吸を繰り返すエミリオの姿は、乙女の心を強烈に苛んでいた。
「krr……」
ふと、シシュはおもむろに爪上口器を開き、エミリオの頭部の裂傷にそっと舌を這わせた。
ピチャリ、ピチャリと湿った音が洞窟内に響く。愛する男の傷を舐めることしか、乙女には出来ないのだ。
「chu……kyuu……」
切なげな顫動音を鳴らしながら一生懸命に傷を舐めるシシュ。エミリオの血液は乙女が想像していたよりも熱く、辛い。
だが、それがエミリオの生の証だと感じたシシュは、嫌悪感など一切感じることなく“治療”に専念していた。
「kyuu……kyuu……」
シシュは頭部の傷を舐め終えると、そのままエミリオを抱きながら肩や腕、胸の傷に舌を這わせた。
大きい身体を猫のように縮ませながら、シシュは丹念にエミリオの傷を舐める。
ピチャ、ピチャリと乙女の唾液が塗布され、エミリオの肉体は艶かしい粘液に包まれていった。
「……」
ふと、シシュはエミリオの肋骨の傷を舐め終えると、てらてらと濡れたその桜色の突起を見つめる。
ぼんやりと見つめていく内に、シシュの鼓動はドクドクと高鳴り、乙女の体温を上げていった。
「……krr」
ちろりと、エミリオの乳頭をひと舐めする。血の味とは全く違う、甘く、切ない味がシシュの舌に広がり、乙女は陶然とした表情を浮かべていた。
「……うぅ」
「krr!?」
ちろちろと乳首を味わっていると、僅かに身を捩らせうめき声を上げるエミリオ。シシュは驚きと喜びが混じった顫動音を可愛らしく鳴らし、エミリオの顔を見つめる。
「krr……エミリオ……」
「う……はぁ……」
切なげな吐息を漏らすのを聞き、シシュは増々体温が上昇するのを感じる。
シシュの体温と比例するかのように、エミリオの体温もまた熱を帯びていった。
「エミ……nchu……」
「うぁ……」
シシュはエミリオの乳首に再び口器を這わせると、そのまま舌で転がすように突起を舐める。
クチュ、クチュリと水音を鳴らしながら、シシュは上目遣いでエミリオの表情を伺う。
エミリオは未だ覚醒はしていなかったが、赤らんだ顔で熱い呼吸を吐き出している。それを見たシシュは、増々エミリオの肉体を味わうべく味覚器を這わせていった。
「kyuu……kyuu……」
「うっ……うぁぁ……」
陶然とした表情を浮かべ、一心不乱に男の裸体を味わう異星の乙女。
乳首を丹念に舐め取った後、そのままみぞおちへ思い切り舌を這わせる。
更に、エミリオのヘソへと舌を突き入れた。
「kyuuuu……」
シシュはそのまま自身の尻をエミリオの顔へ向けるように体位を変える。
あまりエミリオに負担をかけないよう、なるべく体重をかけず、大きい身体を猫のように身体を縮こませながら。
「Fuuu……Fuuuuu……!」
そして、目前に迫るエミリオの生殖器。下着越しではあるが、大きく怒張し、先端をしっとりと濡らしたそれを見て、乙女は興奮した猛獣のような熱く、淫らな息を漏らす。
全く触らずにいるのに、自身の陰部からとめどなく愛液た垂れていくのを感じる。
「ん……んく……」
トロリと、シシュの愛液がエミリオの口元に垂れる。エミリオは無意識の内にその愛液を嚥下し、更に熱い息を吐いていた。
「kyuuuuu……!」
愛した男性は、存外に逞しい。
嬉しそうに顫動音を鳴らしたシシュは、股下から器用にエミリオの顔を覗きながらそう思っていた。
常人なら重傷であってもその生命力は全く衰えを知らず。エミリオの驚異的な回復力は、乙女にとって望外の喜びであり、悦びでもあった。
「kyurrrrr……!」
喜色を抑え切れず、シシュはエミリオの下着に手をかける。
やや乱暴に剥ぎ取ると、この世で最も愛おしく、大切な存在の分身が、乙女の前に現れた。
ビクビクと細かい脈動を繰り返し、触れて無くとも伝わる熱い温度。
「kyu、kyuuuu……!」
おもむろに、その匂いを吸い込む。すると、乙女の脳髄に得も言われぬ快感が迸った。
いつになく麻薬めいた効能を発揮する肉の香りが、乙女の心をかき乱す。
一筋の涎を垂らしたシシュは、ゆっくりと舌を伸ばし、その熱い肉へ触れた。
「あ、あぅぅ……」
亀頭をひと舐めし、鈴口にそっと舌を入れる。
チロチロと舌を動かしていると、エミリオから悩ましげな声が上がった。
シシュはそれを聞くと、我慢を抑えきれず、思い切りエミリオの生殖器にかぶりついた。
「Fuu、Fuu、Fuuuuu!」
「う、あ、あぅぅ……!」
ジュボッ! ジュボッ! ジュボッ! と、激しいストロークで責め立てるシシュ。鼻息を荒くしながら、エミリオの臀部を鷲掴みにし、喉奥まで肉棒を挿れる。
シシュの首が前後する度に、エミリオは無意識下で快楽の吐息を漏らし続けていた。
「kyuuuu……! kyuuuu……!」
興奮しきった乙女は口器全体で愛する男の熱を味わう内に、その生命の熱さが心の奥底まで伝わるのを感じる。すると、シシュは自然と涙を流していた。
生きている、エミリオは生きているんだ。
私を、守ってくれたんだ。
大好きな、大好きなエミリオ。
もう、何もいらない。
エミリオさえいれば、もう私は何もいらない。
涙を流しながら口淫を続けるシシュ。唾液と、愛液と、腺液が混じった液体がボタボタと垂れ落ち、洞窟内は淫靡な湿気に満たされていった。
「う、うぁぁ……!」
「ッ!?」
唐突に、エミリオの肉棒が更に大きく膨らんだ。
そして間髪入れず、鈴口から精液が吐出された。
「……ッ! ……ッ!」
ドクッ、ドクンと肉棒が蠕動し、その肉々しい動きに合わせてビュクビュクと射精が行われる。
シシュは一滴も残すもんかと思い、涙目で精液を飲み込み続けていた。
ゴク、ゴクと喉を鳴らす乙女は、幸せそうに表情をとろけさせながら、エミリオの精液を嚥下し続けていた。
「kpuuu、kpuuuu……!」
やがて射精が終わる。だが、シシュはいまだ怒張が収まらないエミリオの肉棒から口器を離さず、ぷくぷくと泡を漏らしながら飲精の余韻に浸っていた。
まだ、硬い。
まだ、熱い。
シシュはエミリオが未だに精力を残しているのを感じると、名残惜しそうに肉棒から口器を離す。
亀頭と口器は粘ついた糸を引き、闇の中でも妖しい輝きを放っていた。
「krrr……エミリオ……スキ……スキ……」
シシュは再び体を入れ替えると、ゆっくりと包むようにエミリオの顔へ両手を当てる。愛液で濡れた顔を丁寧に撫で、愛しい男の顔を整えていた。
しかし愛情を堪えきれないシシュは、そのまま啄むようにエミリオの唇を舐め始めた。
「スキ……スキ……!」
抑えられない想いで、舌を口内へ挿れる。グチュグチュと愛する男の唾液を舐め、体液を交換したシシュの陰部からは、先程とは比較にならないほど愛液を漏らしていた。
「スキィ……!」
そのまま、濡れた手でエミリオの下腹部を弄る。
慎重に性器を掴んだシシュは、なるべく体重をかけないようしっかりと踏ん張りながら腰を落としていった。
「kyu、kyuuuuuuッ!」
だが、亀頭が陰唇に触れた途端、シシュの全身に電気が走る。
生まれたての子鹿のように脚を震わせながら、懸命にその衝撃に耐えるシシュ。
ツン、ツンと亀頭が当たる度に、シシュは更なる快楽の予感を感じ、その身を震わせ続けていた。
「……ッ! kyurrrッ!」
そして、意を決し、一気に腰を沈める。
「──ッ!」
ズチュウッ! と艶かしい水音と共に、エミリオの肉棒はシシュの胎内へと挿入される。
その瞬間、乙女は意識を僅かに飛ばし、支えていた身体を一気に脱力させた。
「うっ……!」
シシュの全体重がエミリオに伸し掛かる。
苦悶とも悦楽ともつかない呻き声を上げたエミリオ。それを聞き、咄嗟に我に返ったシシュは、慌てて腕と脚に力を込めようとする。
「ku……kukyuu……!」
だが、乳房や腹から感じるエミリオの体温、そして膣から感じるエミリオの熱が、シシュを更に脱力させる。
口器をだらしなく開き、全身を弛緩させとろけきった表情を浮かべたシシュは、力なくエミリオの背に手を回し、全身を愛する男に委ねた。
大丈夫、エミリオなら。
だって、こんなにも、力強いんだから。
私の重さくらい、なんてことない──
全身から感じる多幸感からか、シシュはそのような身勝手ともいえる想いに囚われる。そのまま脚を絡め、エミリオの肉体に深く身を沈めたシシュは、鎖骨から感じるエミリオの吐息により未開発の性感が刺激されたのか、結合部からとめどなく体液を漏らしていた。
「う……」
「kyu、kyuuuuu!!」
ふと、無意識下のエミリオが、僅かに腰を動かす。
グチリと膣壁が擦れ、シシュは悲鳴じみた嬌声を上げた。
「kukyuuuu! kukyuuuuuu!!」
ぐっしょりと全身を汗で濡らし、涙と涎を垂らしながら、シシュは自分の肉体を擦り付けるようにエミリオの上で蠕動する。
エミリオの肉体は熱く、淫らなシシュの体温のおかげか、しっとりと汗を浮かべる。
シシュが身体を滑らせる度に、番の周囲は体液が飛び散り、洞窟内の湿度を増々上昇させていた。
「kyuuu!kyuuuuu!!」
グチ! グチュリ! グチュリ! と結合部から激しく、粘り気のある水音が鳴る。
子宮口に感じるエミリオの熱が、シシュを更に狂わせていく。
もう、自分の体液なのか、それともエミリオの体液なのかわからないほど、シシュの肉体は狂ったように蠕動を続けていた。
「う……あぁ……!」
「kyu、kukyuuuuu!!」
そして、先程と同じ様に、エミリオの肉棒がビクビクと震え始める。
射精の前兆を受け、シシュの膣内も同じ様に震え出し、乙女の脳髄を快楽に染めていく。
「……ッ、あ、シ、シシュ……?」
「kyu!?」
すると、唐突にエミリオが声を上げた。
おぼろげな瞳で自身に伸し掛かるシシュを見たエミリオに、乙女は驚愕と嬌声が混じった声を上げていた。
「……シシュ」
だが、エミリオはそんなシシュの背中に手を回す。
「kyu──!」
そのまま、エミリオはシシュの鎖骨を甘く噛んだ。
未だ覚醒しきっていない、半睡半醒のエミリオの無意識の愛撫。
その刺激に、乙女は即座に半失神状態に陥った。
「ん、くぅッ!」
「──ッ!!」
ビュルッ! ビュクッ! ビュルルルッ!
悩ましげなエミリオの声と共に、深く挿入された肉棒から精液が射精される。
射精しながら、腰を突き挿れるエミリオ。まるで、精液を一滴も零さないよう、深く深くシシュの膣中へと肉棒を突き入れていた。
「シシュ……」
「……」
二度の射精でも、エミリオの肉棒は常の状態には戻らず、半勃ちのままシシュの膣内に留まっている。
深く繋がり、深く抱き合った異星の番。
気を失い、ぐったりと身体を弛緩させたシシュを抱きしめたエミリオ。それまでの疲労に加え、性交、そして吐精の疲れからか、同じ様に意識を失っていた。
シシュの温もり、そしてエミリオの温もり。
お互いに溶け合うような感覚に包まれ、異星の番はじっと息を潜め、洞窟内で微睡んでいた。
「シシュ……何が言いたいかわかるよね?」
「krrー……」
翌朝。
朝日の光が僅かに岩石の隙間から漏れ、洞窟内を薄暗く照らしている。
乙女の逆レイプともいえる性交を受けてから一夜明け、完全に覚醒したエミリオ。
消耗した肉体は未だに節々が痛むものの、とりあえずの活動には支障は無さそうである。
「あのね、介抱してくれたのは嬉しいし、助かるけど、それにしてももう少しやり方っていうのがあるんじゃないかな?」
「……」
覚醒したエミリオは結合したまま抱き合っている状況で全てを察し、幸せそうにスピスピと寝息を立てるシシュを即座に叩き起こしていた。
そのままシシュを正座させ、説教を始めるエミリオ。
シュンと長い睫毛を垂れさせ、反省した様子を見せる乙女の姿は、実に哀愁漂う光景である。
とはいえ、お互いに全裸で、更にお互いの体液で濡れた性器を露出している状況は、傍から見ればかなりシュールな光景でもあった。
「はぁ……もう、全部終わったら、好きなだけしてあげるから、ね?」
「krr!」
そんなシシュの姿を見て、やれやれといった風に溜息をついたエミリオは、そっとシシュの頬を撫でる。
現金な乙女は嬉しそうに顫動音を鳴らし、スリスリと愛しい男の手に頬ずりしていた。
「よし。それじゃあ、ライバック達と合流しよう。この辺りを探せば、また安全な場所が見つかるかもしれないから、シシュも気をつけてね」
「grr!」
エミリオとシシュは互いに衣服、装具を身に着け洞窟から出る。
とはいえ、シシュはともかく、エミリオの装備は渓谷へ飛び降りた際に失われており、唯一残されたのは乙女から託されたコンビスティックのみだ。
もっとも、エミリオにとって海兵隊の装備より、乙女から譲り受けたこの槍の方が頼れる武器であった。
二人は周囲を油断なく見渡し、エイリアンの姿が見えないのを確認すると、離れ離れになった仲間を探すべく行動を開始する。
「シシュ。ジャングルに向かうルートは──」
そう、エミリオが言った瞬間。
「ガッ!?」
「grッ!?」
突然、激しい衝撃が、異星の番を襲った。
「あ、があぁ……ッ!」
エミリオは激しい痛みに苛まれ蹲るように倒れる。見ると、シシュは一撃で意識を刈り取られたのか、膝から崩れ落ちるように地に倒れ伏していた。
完全に、意識外からの攻撃。
それは、エイリアンからの攻撃では無かった。
「目標ノ制圧ヲ完了シマシタ」
「目標ヲ研究所ヘ連行シマス」
薄れゆく意識の中、エミリオはひどく機械的な声を聞き、その声の方向へ視線を向ける。
ぼやけた視界の中、陽炎のような影が複数体、エミリオ達を囲んでいた。
「お前……達は……」
すると、陽炎が紫電を纏わせながら徐々に実体化する。そして、潜水服のような無骨な強化スーツを纏い、前時代のガスマスクのような不気味な防護マスクを被った異形共が現れた。
まるで人間味、いや生物感を感じさせないその無機質な襲撃者達は、機械的にエミリオ達を制圧していた。
「ウェイランド・ユタニ社社則第24条第11項ニ則リ、貴方達ハ拘束サレマス」
「ウェイランド・ユタニ社社則第31条第7項ニ則リ、貴方達ハ無力化サレマス」
更に激しい衝撃が、エミリオを襲う。
そのまま覚めない悪夢を見るかのように、エミリオの意識は深い闇の中へと落ちていった。
BG-386を照らす朝日は、残酷なまでの明るさを放っていた。