※この作品はR-18です。

プレデター♀のおよめさん   作:範馬勇太郎

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Chapter26.『Collateral Damage』

 

 惑星BG-386

 研究施設外周

 

「くらえッ! この@$%#野郎ッ!!」

 

 右腕に装着されたマシンアームに内蔵されたスマートガンが火炎を噴く。

 植民地海兵隊第13独立部隊隊長ダッチ・シェーファー少佐は、襲いかかる無数のエイリアンへ、悪態(スラング)と共に鉛玉をぶち入れていた。

 

「野郎ぉぉぉぶっ殺してやぁぁぁる!!!」

 

 その隣では、装甲ローダーに搭乗した第13独立部隊、ベネット大尉が気炎を吐きながらガトリング砲を掃射する。

 ベネット大尉と同じく、10名程の第13独立部隊の兵士達が、研究所外周部の岩陰を利用し円陣を組み、各々が銃火器にてエイリアンと戦闘を繰り広げていた。

 

「グレネード!」

「了解ぃ!」

 

 ダッチの指示を受け、ベネット大尉はローダーが装備するショルダーキャノンを連射する。

 無数のグレネード弾がエイリアンの群れへ降り注ぎ、猛烈な爆炎が発生。黒色の異形共は、爆音と共に五体を砕かれていった。

 

「やる事が派手だねぇ」

「流石スペシャル・フォースの連中さね。アタシらも負けてらんないよ!」

 

 円陣では、ダッチらへ援護射撃を行うライバック伍長とコナー上等兵の姿もあった。

 

「二人とも、レン少佐達と一緒にドロップシップで待機しててもいいんだぞ?」

「シェーファー少佐、言ったじゃないですか。俺達もまだ戦えます」

「少尉を助けるんだ! それに、少佐達よりも、アタシ達の方がバケモン共に慣れているよ!」

 

 気遣うようなダッチの言葉に、コナーは爆炎を掻い潜って来たエイリアンへ銃撃を浴びせながら応える。機敏な動きを見せるエイリアンの動きを予測し、的確に頭部へ銃弾を叩き込んでいた。

 

 植民地海兵隊第501大隊の残存兵達を救助していたダッチら第13独立部隊の精鋭達。

 ライバックら第3小隊の生き残りと共に、大隊長のレン少佐率いる残存兵も保護していた。消耗が激しいレン少佐達、そして負傷しているロス一等兵は、独立部隊が搭乗していたドロップシップ内に既に退避しており、研究所から離れた安全な場所で待機している。

 

 しかし、ライバックとコナーだけは、ダッチらの研究施設襲撃に参加していた。

 幾日にも及ぶ逃避行で、二人の兵士は相応に疲労感を滲ませている。だが、ダッチらの奮戦に闘志を喚起されたのか、勇猛な海兵隊に恥じぬ戦いぶりを見せていた。

 

「ッ!」

 

 ふと、ダッチは無機質な殺気を感じ取る。

 その直後、鋭利な何かが頬をかすめるのを感じた。

 

「スナイパーか!」

 

 即座に岩陰に隠れ、己を狙撃した者の気配を探る。

 どう見ても、エイリアン達が銃火器を使用したとは思えず。

 

「ライバック!」

「ああ……あそこだ!」

 

 コナーの声を受け、ライバックが冷静にM42Cスコープドライフルを構える。

 特殊スコープ越しに、肉眼では視認出来ない“狙撃手”の姿を見留めると、ライバックは引き金を引いた。

 

「ワンダウンだ」

 

 弾けるような銃声の後。

 ライバックが放った銃弾は、研究施設外周部にいた陽炎のような影を射抜く。

 被弾した陽炎は、直後に実体を現し、白い体液を撒き散らしながら倒れた。

 

「光学迷彩か。ヴェイランド社のアンドロイド部隊だな」

 

 望遠バイザー越しに、粘度のある白い液体に塗れた管を露出し倒れる敵を見るダッチ。しかし、倒れた敵以外にも、蠢く陽炎がいくつか視認出来た。

 光学迷彩を施したヴェイランド・ユタニ社──ビッショップが掌握する戦闘アンドロイド部隊の姿を見て、ダッチはその太い眉をやや潜めた。

 

「少佐ぁ! バケモノ(カカシ)共が引き上げていきますぜぇ!」

 

 ローダーで暴れまわっていたベネット大尉がそう言うと、ダッチはエンリアン達が撤退していくのも確認する。

 独立部隊の猛火力に恐れをなしたようにも見える。だが、どちらにせよ一時的な撤退だろう。

 恐らく、そう時間が経たない内に、エイリアン達は再び襲いかかってくる。

 それも、もっと多くの同胞を連れて。

 

「少佐ぁ、新手が来る前にこっちも下がりましょうぜ。あのバケモノ(カカシ)共はただの動物(カカシ)じゃねえ。妙に知恵が回りやがる」

 

 ベテランのベネット大尉もそれを予見し、ダッチへそう進言した。

 よく見れば、縦断爆撃の如き独立部隊の火力に対し、エイリアンの死骸はそこまで多くは無い。

 そして、散発的に降り注ぐアンドロイド部隊の狙撃。

 狡猾なエイリアン達は、“三つ巴”の状況を利用し、ダッチらがアンドロイド部隊との戦闘で疲弊するのを待つ戦法に切り替えたのだ。

 

「駄目だ。リンがまだ戻っていない」

「それはいわゆるコラテラルダメージというものに過ぎませんや。軍事目的の為の致し方ない犠牲だ」

「リンは捕虜の救出に向かってるんだぞ。置いてはいけない」

 

 とはいえ、現状ではダッチのハッキングによる妨害工作により、アンドロイド部隊は満足な展開が出来ずにいた。

 こちらの反撃を警戒し、狙撃もまばら。アンドロイド部隊もまた、増援を待ってから総攻撃を開始するつもりだろう。

 

 こうして、戦場は先程とは打って変わり、奇妙な静けさに包まれた。

 

「お前はビールでも飲んでリラックスしてろ」

 

 膠着状態に陥ったのを受け、ダッチはそう軽口を叩く。

 それを受け、ベネット大尉は口ひげを歪ませた。

 

「ま、あの筋肉モリモリマッチョウーマンならその内戻って来るでしょうな」

 

 流石に作戦中の飲酒はしなかったが、ベネット大尉はそのままローダーを待機状態にさせ、鉄身の中で身体を緩ませる。

 とはいえ、いつでも動けるように油断なく周囲を警戒していた。

 

「リン中尉は余程の手練なんですね」

「ああ。正直、あいつなら一人でもこの地獄を生き延びられるだろうさ」

「なるほど、それは頼もしい。ですが、ウチのエミリオ少尉も只者じゃありませんよ」

「ほう?」

 

 ダッチとライバックは警戒を続けたまま、世間話でもするかのように会話をした。

 この二人、たとえ会話の最中でも突発的な事態に反応出来るよう、引き金には指をかけたままであった。

 そして、二人は互いに信頼する海兵姉弟を、互いに誇らしげに伝え合っていた。

 そのような二人に、コナーは面白がるように割って入る。

 

「じゃあ二人が揃ったら一体何が始まるんだい?」

 

 コナーの問いかけに、ダッチとライバックはシンクロするように声を揃えた。

 

 

 

「「第三次大戦だ」」

 

 

 


 

 何故このような奇妙な事になったのか。

 クリーナーは唸るような顫動音を鳴らし、前を進む女海兵の姿を見てそのような思考に囚われた。

 

「なによ? なんか文句あんの?」

「……」

 

 艷やかな黒髪を纏め、文字通り馬の尻尾のようにポニーテールを揺らしながら、リン・クロサワ中尉は不機嫌そうにクリーナを見やる。

 それをクリーナーは沈黙をもって返していた。この女は、“獲物”としてみたら上等な部類に入る。

 だが、連携する相手となると、全くもって未知数なイキモノだ。

 

「アンタがナニモノかは興味ないけど、アタシらの足は引っ張らないでよね」

「……」

 

 加えて、妙に生意気だ。実力に裏打ちされた態度とはいえ、とても親しくなれそうにはない。

 もっとも、友誼を交わすどころか、氏族が地球人を認めた事など、ここ数百年はほとんどなかったのだが。

 先代クリーナーが活躍していた頃は、氷の大地での成人の儀式の際、地球人の女が氏族の若者に瘢痕文身(スカリフィケーション)を授けられていたり、また氏族の別の若者を宇宙船まで追い詰め、肉弾戦の果てに勝利を勝ち取った地球人もいた。

 そして、それらはエルダーが直々に称揚していたのを鑑みると、意外と地球人と氏族の相性は悪くないのかもしれないとも、クリーナーは思っていた。

 

「krrrr」

「あ、あの、シシュ。そんなにくっつかれると歩き辛いよ……」

 

 現に、身体を必要以上に密着させ、己の乳房をグイグイと地球の若者に押し付ける妹の姿を見ると、相性は……

 

「こんな時までイチャ付いてんじゃないわよ!」

「grr!」

「あ、ごめん姉さん……」

「krr……」

 

 言語は違えど異口同音を唱える姉兄に、弟妹は恐縮するばかり。

 この奇妙な集団……二人の地球人と、二人の異星人。

 四人の姉弟兄妹は、一時的な休戦を交わし、共に研究施設を脱出するべく行動を共にしていたのだ。

 

 

 

 クリーナーがシシュを救出せしめ、その後にクロサワ姉弟が研究室に至った後。

 弟妹の必死のなだめすかしにより、互いに矛を収めたクリーナーとリン。

 そして、簡潔ではあるが、エミリオとシシュはお互いがいかに大切な存在か、それぞれの大切な存在へと伝えていた。

 

「はぁ!? お嫁さん!? アンタ頭おかしいんじゃないの!?」

 

 これ以上ない程ストレートなツッコミをするリン。

 今まで忖度されたリアクションしかされていなかったエミリオ。故に、むっと表情を顰める。

 そして、珍しく──いや、初めて姉に対し反抗的な態度を向けた。

 

「おかしくないよ。シシュは、僕の大切なお嫁さんだ」

「うっ!?」

 

 キッと鋭い視線を向けられ、リンは僅かにたじろぐ。

 弟の鉄の意志を受け、姉はそれ以上言葉を紡ぐ事が出来ないでいた。

 

「krr……」

「な、なによ?」

 

 ふと、シシュがおもむろにリンのタンクトップの裾を引く。

 

「krr……onee……オネーチャン……」

「は、はぁ!?」

 

 そして、爪上口器を窄ませながら、長い睫毛を備えた瞑らな瞳を向ける。

 リンより遥かに身長が高いので、若干見下ろす感じにはなっているが、大きい身体をことさら丸くさせ、リンへ親愛の感情を向けていた。

 異星の乙女の突然のスキンシップに、リンは狼狽を隠せず。

 

「あ、アンタなんかにお姉ちゃん呼ばわりされる筋合いは無いわよ!」

 

 同時に、不覚にも妙な愛らしさを感じてしまい、なんともリアクションに困ったように困惑を露わにしていた。

 

「……」

 

 その様子を、クリーナーは黙って見つめる。

 本来、氏族の掟ではシシュは死を持って氏族の誇りを守らねばならない。しかし、クリーナーである自分、そして後継者として育てていたシシュに関しては、ある程度の掟破りは赦されていた。

 そもそも、先代クリーナーも、決して掟を遵守していたような()()ではない。

 

 しかし、それでも氏族の女が、本来獲物として狩る対象と()になるなど、それこそ氏族の長い歴史の中でも初めての事例だろう。

 地球人と共闘した例はいくつかあるし、その中で友誼を交わした者達もいた。

 しかし、愛情を交わすとは……。

 

「……」

 

 クリーナーは複雑な想いが沸き起こるのを自覚する。

 無論、可愛がっていたシシュが、よく分からぬ地球の男に()()()()という事実もショックではある。いずれ己が見繕った氏族のイキの良い若者を充てがうつもりであっただけに尚更だ。

 

 しかし、それ以上に、シシュが氏族の長──エルダーの娘という事実が、クリーナーの頭を悩ませていた。

 あの“悪しき血”達が画策した、異種交配による地球移住計画。

 あれは、エルダーにとって忌まわしき記憶だ。

 あの事件以降、エルダーは氏族の血を外部の者と交わらせるのを極端に嫌っていたのだ。

 

「grr」

 

 クリーナーは苛立ちが混じった顫動音を鳴らし、それ以上考えるのを止めた。

 シシュがどのような選択をしようと、どうせ結末は変わらない。

 

 この場は、この星は。

 エルダーの意思ひとつで、どのようにでもなる。

 自分のこの星での任務は、シシュの救出を果たした時点で既に終わっているのだ。

 故に、この後は──。

 

「Shesh」

 

 クリーナーは背負っていた少し大きめのクリーナーケースを下ろすと、尖った爪先で認証装置を撫でる。

 すると、機械的な作動音と共にケースが開封され、中には各種装備品が収められていた。

 

「krr」

 

 シシュはそれを見留めると、手早く装備を装着し始める。

 網状のボディースーツ、コンピューターガントレット、予備のマスク。

 乙女はマスクを装着し、ガントレットを操作してウェアラブルコンピュータを起動させる。

 

「krrr」

 

 ジャキン! とリストブレイドを起動させ、クリーナーへ頷くシシュ。

 近接装備のみであるが、先程までの無防備姿とは異なり、乙女の武装は完了していた。

 

「grr」

 

 そして、クリーナーは腰に装着していたスラッシャー・ウィップをシシュに手渡す。

 これも、ゼノモーフ(エイリアン)──硬い肉(サーペント)の尾で拵えられた、強力な近接武器だ。

 

「krr……」

「……」

 

 シシュはいいのか、という風にマスク越しにクリーナーを見つめる。

 クリーナーは首肯を返すのみだった。

 

「シシュ、よかったね」

「krr!」

「うむむ……アタシも何かエミィにあげたほうが良いのかしら……」

 

 シシュが装備を整えるのを見守っていたエミリオ。

 対して、弟に何も装備を譲渡出来ていないリン。何か渡そうにも、拳銃とサムライソードしか持っていない。

 

「ううん……」

 

 どちらも己の身を守り、襲いかかる敵を倒すのに必須の武器。というより、リンの武装はこれしかない。

 サムライソードはショートレンジでの戦闘に不可欠。拳銃もミドルレンジでの戦闘に必要だ。

 とはいえ、丸腰のエミリオをそのままにしておくわけにもいかない。

 戦闘アンドロイドから武器を分捕るのも考えられたが、恐らく武器使用権限を暗号化されており、鹵獲兵器の使用は難しいだろう。

 

「じゃあ、エミィ、アタシの拳銃を──」

 

 仕方なしに拳銃を手渡そうとしたリン。

 しかし、そこにクリーナーが待ったをかけた。

 

「grr」

「え、これ、僕に?」

 

 クリーナーは背面に収納していたコンビスティック(スピア)を取り出し、エミリオへ無造作に渡す。

 

「あ、ありがとうございます」

「……」

 

 エミリオの礼の言葉を無視し、研究室のドアへと向かうクリーナー。

 氏族のテクノロジーが、地球の若者に渡るのは、クリーナーにとってさしたる問題ではなかった。

 どうせシシュの装備品も鹵獲されているし、そもそも氏族のテクノロジーが地球へ流出するのは、それこそ数百年前から発生している。

 技術流出は氏族にとってさほどの問題ではない。

 重要なのは、個体としての強さなのだ。

 

「どーせアタシは何もあげられないわよ……」

「あ、いや、姉さんは悪くないと思うよ……」

 

 ふてくされるようにクリーナーの後に続くリン。それを慰めつつ、エミリオも後に続く。

 

「krr!」

「うん。シシュが一緒なら大丈夫だね」

 

 そして、私も忘れるなといわんばかりに、マスク越しに元気の良い顫動音を鳴らすシシュ。

 ぴったりと寄り添うように歩みを進めるシシュに、エミリオははにかんだ笑みを浮かべていた。

 

「……」

 

 油断なく研究室を出て、周囲を警戒するクリーナー。

 同時に、エミリオという地球の若者がどれほどの()()()()()

 マスクの下で、爪上口器を僅かに歪ませる。

 シシュから聞いた話では、エミリオはあの氏族の血が混じったサーペント──プレデリアンを、シシュと共に仕留めたという。

 そして、並のサーペントなら、徒手空拳にて仕留める事が可能だとも。

 

「grr」

 

 スピアは先払いだ。

 シシュが認めた男なら、これから始まる過酷な戦闘にも耐え、戦士としての矜持を見せてくれるだろう。

 楽しみだ。

 研究施設を脱出するまでに、どれほどの戦いを見せてくれるのだろうか。

 そう、言外に言い放つクリーナー。

 心なしか、その足取りは軽快なものであった。

 

「ちょっと、アタシらの足引っ張らないでよね」

「grr……」

 

 なし崩し的に共闘体制となったプレデターズとマリーンズ。

 リンの勝ち気な声を受け、クリーナーはやはり不機嫌そうに顫動音を鳴らしていた。

 

 

 

 


 

 惑星BG-386

 研究施設外周

 

 第13独立部隊が戦闘を繰り広げていた場所から、数km離れた場所。

 ジャングルと荒野の境目にあるその場所で、ステルス迷彩が施された一隻のドロップシップが降着していた。

 

「どうかな、200年振りの着心地は」

 

 内部では数名のクルーが何かしらの作業に従事している。

 そして、リーダーと思わしき黒人男性が、眼の前に鎮座する()()へ向け語りかけていた。

 

「ご先祖がこれを着て異星人と戦っていたと思うと昂りますね」

 

 異形の眼が光ると、流暢な英語が発せられる。

 異形の形は、フルスキンタイプの金属鎧で、施された意匠はこの惑星の各所で戦いを繰り広げている異星人──プレデターに酷似していた。

 

「クイン・マッケナのDNAが起動コードになっているのだ。君達マッケナ家の人間でないと動かせないスペシャル・コーデだよ。存分に楽しんでもらいたいね」

「あまりハードワークはしたくないのですがね。まあ、程々にやります」

「そうだな。ただし、あまり時間はかけられない。海兵隊とウェイランド社が和解したという情報が先程入った。グズグズしているとハンター達にも先を越される」

「ええ、分かっています」

 

 そう言って、異形の鎧は備え付けられた装置を外し、駆動音を鳴らしながら立ち上がる。その様子を、黒人男性は無表情に見つめていた。

 彼らの所属は海兵隊でも、ましてやウェイランド・ユタニ社でも無かった。

 

「分かっているなジェイコブ。我々の使命は──」

「ええ、もちろん。分かっています」

 

 ジェイコブと呼ばれた異形の鎧。

 鎧を纏うマッケナ一族の末裔は、確りとした声で応えていた。

 

「クインやローリーが守り続けていた地球を、我々の代で終わらすわけにはいきませんからね」

 

 ドロップシップのカーゴハッチが開けられると、ジェイコブはスラスターを噴出させ勢い良く飛び出していった。

 海兵隊が所持する最新鋭のパワーローダーよりもパワフルなそれは、明らかに地球の技術で作られた物ではなかった。

 

「ハッチを閉めろ……で、ビショップ氏はなんと?」

 

 ジェイコブが出撃したのを見留めると、黒人男性はハッチを閉めるよう指示しつつ、通信機を操作する部下へと声をかけた。

 

「我々の援軍に感謝すると。よほど切羽詰まっているようですね」

「そうか……まあ、ウェイランド社から見放され、海兵隊やゼノモーフ、おまけにハンター達にも囲まれているんだ。猫の手も借りたいだろうさ」

「三つ巴どころか四つ巴ですか。なかなか大変な状況ですねネブラスカさん」

 

 そう軽口を叩く部下に、ネブラスカと呼ばれた黒人男性は、相変わらず無表情に応えていた。

 

「我々がキャスティングボードを握っているのは変わらない。それに、いざとなったら母艦の核攻撃で全てを終わらす事が出来る」

 

 そして、ネブラスカはドロップシップを発進させるよう指示を下した。

 

「我々“スターゲイザー”がな」

 

 

 

 

 

 

 

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