ウェイランド・ユタニ社特級秘匿資料
惑星開発部門第3開発部部長カーター・J・バークの手記
・西暦2179年○月○日
USCSSノストロモ号の生存者、エレン・リプリー二等航海士の報告書は実に興味深い内容だった。
査問委員会はまともに取り合わなかったが、この報告内容は部内で精査するべき案件だ。
もしリプリーの報告が真実だとするならば、会社は莫大な利益を生み出す事ができる。
それこそ、植民地惑星ひとつ犠牲にしてでも十分なお釣りが来る程に。
ユタニ系列社員の間でまことしやかに噂されている“ハンター”の存在なんて目じゃない。
もしこの生命体……エイリアンを軍事利用する事ができれば……。
僕にとって入社以来最大のチャンスがやって来たようだ。
この件は上にまだ報告はしない。幹部連中がしゃしゃり出て来ると部内で自由に事が進められなくなる。
まずはLV-426で該当の宇宙船が実在するかどうかを確かめなくては。
早速現地へ秘匿指令を出す事にしよう。
・西暦2179年▲月○日
LV-426との通信が途絶えた。
指令を出してから4週間が経過している。時期的に考えて通信設備の故障とは考えにくく、宇宙船で例のエイリアンを発見したのかもしれない。
どうやら“ささいなアクシデント”が発生したみたいだが、これでエイリアンが実在する可能性が極めて高くなった。
僕が直接現地で確認する事にしよう。
優秀で、使い捨てても構わない兵隊を用意する必要がある……。
それと、リプリーにもアドバイザーとして同行してもらおう。航海士として復帰できるとチラつかせれば必ず乗ってくる。
航海士免許を無期限停止されてから倉庫での荷役作業で生計を立てているらしいが、ローダーやフォークリフトを運転するつまらない仕事だ。それにノストロモ号での経験がトラウマになっているらしく、毎日悪夢にうなされているみたいだ。
過去の悪夢との決着をつけるのも彼女の為になるだろう。
早速兵器開発部門のコネクションを使って植民地海兵隊の部隊選定をする事にしよう。
・西暦2179年■月▲日
やったぞ! やはりエイリアンは実在した!
USSスラコ号以下植民地海兵隊1個小隊と共にわざわざLV-426へと来た甲斐があった。
だが、問題点がいくつか上がっている。
まずエイリアンとの遭遇戦で海兵隊が壊滅した事だ。
だが、これは生物兵器としてエイリアンの戦闘力の高さを示している。大変喜ばしい事だ。
繁殖させ、軍事利用する事が出来れば莫大な利益をもたらす事は間違いない。
副産物としてワクチンの開発や新素材の開発も期待できる。
それと生き残りの海兵隊とリプリーがこの惑星に核攻撃をしかけようとしている事。
まったくもって理解し難い。あの貴重な生命体を絶滅させる権利なんて僕らには無いのに。
とはいえ、大気製造プラントの冷却装置が破壊されたので、どの道周囲40キロメートルは灰燼に帰すのだが。
スラコ号への帰還手段が無くなった問題については解決の目処が立っている。
LV-426の通信設備を使って母船にある予備のドロップシップを呼び出し、それに乗って帰還するという手段はアンドロイドのビショップによって今のところ問題無く遂行されている。
このままいけば無事に帰る事ができそうだ。
だがプラントの核爆発を防ぐ事は難しそうだ……。それに、リプリーがLV-426が壊滅した責任は僕にあると宣ってきた。
地球に戻ったら僕を訴追するとまで。
まったく、リプリーには完全に失望した。もっと賢い女性だと思っていたのに……。
もはや生き残っていたエイリアン寄生体のサンプルを持ち帰るしか手段は無い。
だが、これに関してはリプリーの言う通り、例え隠して持ち込んだとしてもICCの検疫を通過出来る可能性は低いだろう。
そうなると残された手段は誰かにエイリアンを寄生させ、身体の中に隠して持ち込むしかない。
リプリー……本当に残念だ。
君とニュートには最期に僕の為に働いてもらう事にしよう。
彼女達は今医療研究室で仮眠を取っている。
チャンスは、今しかない。
エイリアンを、あの素晴らしく完璧な生命体をなんとしてでも持ち帰らねば……。
手記はカーター・J・バークの個人端末から本社サーバーへと自動送信された物を複製。
厳重なプロテクトがかかっており、開示作業は難航したが概ね全ての情報を開示する事に成功。
上記資料から推察するにカーター・J・バークは取締役会の承認を経ず独断でLV-426での計画を実行していた模様。
尚、カーター・J・バークの独断で発生した“各種”損害に対する隠蔽工作はウェイランド・ユタニ社渉外部第9分室が実行済。
植民地海兵隊、植民地省、星間交易委員会、FBIへの隠蔽工作は概ね達成。
当該資料は上級執行役員のみ閲覧可能。
追記
カーター・J・バークの計画は“本社上級執行役員”兼“兵器開発部門統括”ランス・ビショップ・ウェイランド氏が引き継ぐ予定。取締役会並びにショウ・ユタニCEO承認済み。
詳細は“プロメテウス計画”特級秘匿資料B類、及び“ハンター型異星人”特級秘匿資料A類を参照されたし。
──────────────
惑星BG-386
ジャングル
洞窟から出発したエミリオとシシュはジャングルに生い茂る枝葉をかき分けるように進んでいた。
リストブレイドで枝葉を勢い良く断ち切りながら進むシシュであったが、時折チラチラと後ろを振り返りエミリオの様子を気にしていた。
「krr」
「シシュ、僕は大丈夫だから」
傷口は完全に塞がってはいたが、時折辛そうに息を切らせるエミリオが気になってしょうがない様子のシシュ。
そんなシシュにエミリオは苦笑いを浮かべながらジャングルを進んでいた。
ジャングルは昨日と変わらずジメジメとした嫌な暑さに包まれている。暑さに加え、空は曇天が広がっており、陽の光が弱まったジャングルは薄暗く、不気味な雰囲気を更に強めていた。
エミリオはシシュから渡された水筒のような容器を手に取り、ぐいと中身を呷る。
中身は水ではなく、シシュの氏族が常飲している一種の精力剤であり、消耗したエミリオをジャングルを行軍せしめる活力を与えていた。
ふぅ、と一息ついたエミリオは空を見上げ、シシュへと声をかける。
「雨が振りそうだね……シシュ、ペースを上げよう」
「krr!」
シシュはしっかりと頷くと、コツンと拳を眉に当てる。そのままリストブレイドを収納し、エミリオへと近づいた。
「シシュ……?」
目の前に立つシシュを訝しげな視線で見つめるエミリオ。
しばらくエミリオの目の前でモジモジと両手をこねていたが、やがてエミリオの腕を引きしっかりとその身体を抱き上げた。
「うわ!?」
エミリオを横抱きにし、勢い良く跳躍する。
シシュの驚異的な身体能力はエミリオを抱きながらでも容易に樹木の枝へと跳躍を可能とした。
突然のシシュのこの行動にエミリオは目を白黒させながら必死になってシシュにしがみついていた。
「シ、シシュ! 降ろして!」
「grr!」
エミリオの必死な叫びが聞こえていないのか、シシュは怒涛の勢いでジャングルを飛び跳ねる。
結局シシュがエミリオを降ろしたのはジャングルに激しい雨が振り始め、完全に辺りが闇に包まれてからであった。
「シシュ、あまり無茶な事はしないで」
「krr……」
エミリオとシシュはジャングルのひときわ大きな樹木の上で寄り添うように身体を密着させていた。
枝葉を組み合わせた簡易的なシェルターを樹上で組み、樹木の幹にはいくつものレーザーネットを仕掛けてある。
仮にエイリアンの襲撃があったとしても即座に対応できる体勢を整えており、ジャングルの真っ只中でも幾分安心できる状況であった。
シシュはマスクと胸甲、腰鎧を外し、幹に背を預けるエミリオにもたれ掛かるように身体を密着している。
エミリオの首元に顔を埋め、スンスンとエミリオの匂いを嗅いでいた。
「聞いてるのシシュ?」
「krr……krr……」
エミリオの言葉を聞いているのか聞いていないのか、シシュはエミリオの匂いを荒い息を吐きながら嗅ぎ続けている。
フゥフゥと呼吸を荒くし、顔を上気させて匂いを嗅ぐシシュに、エミリオは困り顔でシシュを見つめた。
「シシュ、今はそういう事する状況じゃないんだよ……」
「grr!」
元気いっぱいに返事をするシシュであったが、相変わらずエミリオの首元に顔を埋め続けている。クンカクンカと一生懸命エミリオの匂いを嗅ぎ続けるシシュは、実に幸せそうな表情でだらし無く口器を開いていた。
そんなシシュを見て、エミリオは一つ溜息を吐いた後、シシュを抱きしめながらドレッドヘアーのような管状の髪を優しげな手つきで梳く。
雨に濡れたシシュの髪は、不思議な程手触りが良かった。
「シシュ……」
クンカクンカと匂いを嗅ぎ続けるシシュの頭を優しく撫でるエミリオ。
エミリオはシシュと協力して第3小隊の生き残りを無事に地球へ帰還させる事を決意していた。
だが、シシュの存在をどう説明すればいいのか未だに悩んでいた。
エミリオにとってシシュの顔は愛嬌のある可愛らしい顔であったが、他者から見ればエイリアンと同じ異形の面相である事は疑いようもなく。
シシュに敵意が無くても人間は彼女に対し警戒心を持つだろう。
だが、自分がフォローし続けていれば、いずれは小隊の生き残りやブラヴォ中隊の兵士達ともある程度は仲良くやっていく事は可能であろう。
しかし、一番の問題はシシュが持つ各種武装だ。
22世紀の人類では決して開発出来ないであろう未知のテクノロジー。
完璧な光学迷彩や凄まじい威力を持つプラズマキャノンを始め、シシュが持ち得るテクノロジーの数々を持ち帰ろうとする人間は必ずいるだろう。
また彼女の種族が持つ驚異的な身体能力にも興味を示す者が現れないとも限らない。
シシュが人間に捕まって、解剖されてしまう事を想像したエミリオは強くシシュを抱きしめた。
「krr?」
急に強く抱きしめてくるエミリオに、シシュは首をかしげながらその顔を見つめる。
何かを恐れているかのようにぎゅっと目を瞑るエミリオを見て、シシュはエミリオの匂いを嗅ぐのを止め、その身体を抱き返した。
「シシュ……」
「krrrrr……」
甘い顫動音を鳴らしながらエミリオの胴に抱きつくシシュ。
スリスリと、エミリオの胸元へ自身の顔を擦り付けていた。
第3小隊の部下、仲間たちも大事だ。
だが、目の前のこの愛おしい存在もエミリオにとって大事であり、大切な存在であった。
「シシュ……僕は、何があっても君を守るよ」
「krr……エミリオ……」
シシュは切なげな表情を浮かべる。
潤んだ瞳で、エミリオの顔を見つめていた。
「エミリオ、スキ」
「シシュ……!」
ぎゅっとシシュを抱きしめるエミリオ。
シシュは切なげに瞳を潤ませながらエミリオの口元へと口器を近づける。
「んっ……シシュ……」
チュク、チュクと湿った水音を立てながら互いの舌を絡ませる。
次第に貪るようにエミリオとシシュは舌で互いの口内を吸い合っていた。
エミリオはシシュの甘い唾液を飲み込むと、下半身に血が巡ってくるのを感じる。
たちまち、エミリオのペニスはカーゴパンツを盛り上げる程逞しく屹立した。
「krr……」
貪っていた口を離し、口器から糸を引きながらエミリオの下腹部を陶然とした表情で見つめるシシュ。
ゆっくりと、カーゴパンツ越しにエミリオの股間を撫でた。
「うぁ……シシュ……!」
シシュは乱暴にエミリオのカーゴパンツを下着ごと剥ぎ取り、屹立したペニスを掴む。
ヴァギナからはつぅ、と愛液が垂れ落ちており、シシュはエミリオのペニスを膣口にあてがった。
「くっ、うぅ!」
「grrr!」
グチュッ! と、シシュのヴァギナから愛液が溢れる。
シシュはエミリオに抱きつきながら対面座位で激しく腰を振る。
グチュッ、バチュンッと、愛液が漏れる音と湿った肉がぶつかり合う音が雨音に混じって響いていた。
「うあ、あぁ! シシュ!」
「kyrr! kyrr!」
エミリオはシシュの腰をしっかりと掴み、激しくペニスを打ち付ける。
シシュも腰を動かし、たぷたぷと乳房を揺らしながらエミリオを掻き抱き、きゅうきゅうと切なげな顫動音を鳴らしていた。
激しく互いの身体を貪る二人の動きに、樹木の幹はギシギシと音を立てて揺れ動いていた。
「シシュ! シシュぅ!」
「grrr!?」
エミリオはシシュの大きな尻臀を掴み、露わになったアナルに指を這わせる。
エミリオの指がアナルに触れると、シシュはひときわ大きな顫動音を上げぎゅちっと膣肉を締め上げた。
目に涙を溜め、許しを請うかのような視線を向けるシシュに、エミリオの瞳はやや加虐的な色を浮かべていた。
「シシュは、ここが弱いんだね……!」
「grr! grrr!?」
ぐりっと、シシュのアナルに指を入れるエミリオ。
中指の第一関節まで侵入させると、そのまま指をぐりぐりと動かしシシュのアナルを掻き回した。
「grrrrrr!!?」
ぐりっ! と強く指をねじ込むと、シシュは涙を流しながら大きな嬌声めいた唸り声を上げる。ブシュッと、ヴァギナから愛液が噴き出した。
襲いかかる強烈な快感に耐えるように、シシュはエミリオの頭を強く掻き抱いていた。
エミリオはシシュから出る汗を浴び、自身の汗と雨に濡れた身体を必死になって動かしていた。
「はぁっ、ああ! 可愛い、可愛いよシシュ!」
「grrrrrrr!!!」
エミリオはシシュのアナルに中指を深々と挿れ、グチュ、グチュと湿った音を立てながら激しく指を動かす。
そのままシシュのアナルを責めながら、突起した乳頭を甘く噛み、勢い良くペニスを突き上げた。
「grraaaaaaaaaa!!」
ばちゅんっ! とシシュの腰が浮き上がる程強く腰を打ち付けるエミリオ。同時に、シシュのヴァギナから噴水のように愛液が噴き出る。
猛獣の咆哮のような嬌声を上げ、シシュはガクンと大きく身体を仰け反らせた。
「~~ッ~~~ッッ!!」
掠れたような声を上げながら、シシュはビクッビクッと全身を痙攣させる。
パクパクと口器を動かし、涎を垂らしながら汗だくになった身体をガクガクと震わせた後、シシュの意識はぷつりと途切れてしまった。
「んっ! シシュ! シシュ! シシュ!!」
エミリオはぐったりと自身にもたれかかるシシュの尻臀を鷲掴みにし、ズンッ! ズンッ! と激しく抽送を繰り返す。
腰の動きに合わせてアナルに入れた指を激しく出し入れし、エミリオの中指を根本まで咥え込んだシシュのアナルは粘液を垂れ流しながらヒクヒクと蠢いていた。
ぐちゅ、ぐちゅとヴァギナから愛液を洪水のように流していたシシュは、全身を弛緩させエミリオにもたれかかっていた。シシュはエミリオのペニスが貫く度にビクッビクッと体液で濡れた肉体を震わせていた。
「シシュ! シシュッ! イクよ! イクよ!!」
アナルから指を抜き、がっちりと両手でシシュの尻を掴む。
バチュッ! バチュッ! バチュッ! バチュッ! バチュッ! と今までで一番早く、激しく腰を突き上げる。
体当たりするように腰を突き上げる度に、結合部からビチャッ、ビチャッと愛液が飛び散っていった。
「ぐっ! ああああああああああああっっ!!」
バシャッ! と、バケツの水を勢いよく打ち付けたかのような音が響く。
初めての時以上の、大量の精液がエミリオのペニスから噴射され、シシュの子宮へ濁流となって流し込まれる。
エミリオはシシュを掴み抱きながら身体を震わせ、ビュルッ、ビュルッとペニスを痙攣させながら精液を吐き出し続けた。
精液が流し込まれる度、シシュの膣はビクビクと蠕動し、その身体も膣の動きに合わせて痙攣していた。
「はぁ、はぁ、はぁ……ぐっ」
1分以上精液を膣内へと吐き出しつづけたエミリオは、荒い呼吸を吐きながらシシュの腰を掴み、その身体を少しだけ持ち上げる。
ゴポポポっと、大量の精液をこぼしながらズルリとペニスが抜かれる。ペニスが抜かれた瞬間、チョロチョロと精液と愛液が混じった小水がシシュの尿道から流れてきた。
シシュは半開きの目でだらしなく涎を垂らしながら、意識を飛ばしつつ失禁していた。
エミリオはシシュの小水が湯気を立てながら自分の下半身を濡らしていくのを、どこか陶然とした表情を浮かべながら見つめていた。
小水が止まると、エミリオはシシュの身体を自身に密着させるように優しく抱きしめた。
「シシュ……愛してるよ……」
ちゅっ、ちゅっと啄むようにシシュの頬へ口づけをするエミリオ。
相変わらず意識を飛ばしていたシシュであったが、口づけをされる度にどこか幸せそうな表情を浮かべながらだらし無く口器を開けていた。
雨と、汗と、愛液と、精液と、小水が混じった液体にまみれたエミリオとシシュは、ジャングルの闇の中で身体を密着させ続けていた。
──────────────
「ライバック、今少尉殿の声が聞こえなかったか?」
雨が降りしきる夜のジャングルの中、ギラギラとした眼光を放ちながらリチャード・チャベス上等兵が低い声を上げる。
同じく鋭い眼光を放ちながら油断なくパルスライフルを構えたゲイシー・ライバック伍長がチャベスへと言葉を返した。
「本当か? どっちの方角だ?」
「東だ。少尉殿の声と、獣のような鳴き声も聞こえたが……」
「まさか! エイリアンか!?」
「エイリアンの鳴き声じゃない。もっと別の生き物だ」
スコープドライフルを構えながらエミリオの声が聞こえた方向に視線を向けるチャベス。斥候として優れた能力を持つチャベスは、他の人間では聞こえないような僅かな音を拾う事が出来た。
「ライバック、迎えに行くか?」
「そうしたいのは山々だが、夜間の移動は危険だ。それに、今は……」
ライバックはちらりと後ろへと目を向ける。
そこには横たわり、呼吸を荒くしながら苦悶の表情を浮かべるリッコ・ロス一等兵の姿があった。
「う……うぅ……」
「ロス、大丈夫よ。大丈夫だからね」
脂汗を浮かべながら苦しむロスを、シンシア・スコット一等兵がその頬を優しく包む。
見ると、ロスの横腹には包帯が巻かれており、その包帯には大量の血が滲んでいた。
「スコット、ロスの容態はどうだ?」
「さっき
スコットはロスの容態を見て険しい顔つきを浮かべる。
ロスは先のエイリアンとの戦闘で横腹に酸の体液を浴び、行動不能になる程の重傷を負っていた。
「ちくしょう……! ロスも俺も、あと5週間で除隊だってのに……!」
ビル・パクストン上等兵が拳を握りしめ、悔しそうに言葉をにじませる。
「パクストン、泣き言は後だ。とにかく夜が明けるのを待ってから──」
「ライバック。少尉はアタシが探しにいくよ」
ライバックの言葉を遮り、スマートガンを構えながらサラ・コナー上等兵が立ち上がる。
そんなコナーを見てライバックは眉間に皺を寄せながら溜息を一つ吐いた。
「コナー。夜間の移動は危険だ。それに、戦力を分散させるのも……」
「少尉殿がエイリアン共を殆ど引き付けてくれたおかげでアタシらは助かったんだ。近くまで来てるんなら迎えに行くのがスジってもんじゃない?」
「しかし……」
「ライバック。俺もコナーの意見に賛成だ。夜もじきに明ける。それに、今はエイリアン共は周辺にいないが、もたもたしてるとまた奴らは集まりだす。直ぐ行かないと少尉殿が危ない」
チャベスがコナーの意見に同意し、ライバックをその鋭い視線で見やる。
二人の固い意思を感じたライバックはひとつ溜息を吐くと、仕方なしに頷いた。
「わかった。夜間の遭遇戦には十分注意してくれ。明るくなり次第俺とスコット、パクストンはロスを担いで先行する。コナーとチャベスは少尉殿と合流し、精錬所へ向かってくれ」
「了解! ロスを頼んだよ!」
「了解。精錬所で会おう。だが、コナー」
チャベスはコナーの方を振り向くと、そのギラギラと燃える瞳を見据えた。
「君は残ってライバック達を援護してくれ」
「何言ってんだい! あんた一人じゃ!」
「俺は夜間での単独行には慣れている。ロスが負傷している今、ライバック達の方が戦力的に心もとない。コナーはライバック達と行動した方がいい」
滔々と述べるチャベスになおも反論しようとするコナーであったが、ライバックがそれに割って入った。
「チャベス。本当に一人で大丈夫か?」
「問題ない。一人ならエイリアン共に見つからずに少尉を迎えに行ける」
「そうか……わかった。だが、決して無茶はするなよ。コナー、そういう事だ。いいな?」
「……わかったよ。チャベス、しくじるんじゃないよ」
「了解した」
チャベスはライバックとコナーへ頷くと直ぐに装具を纏め、ジャングルの闇へ向かって歩き始める。
「ああ、そうだ。スコット」
「? どうしたのチャベス?」
歩き始めたチャベスがふと何かを思い出したかのように踵を返し、スコットの元へ向かう。
胸元の、チャベスの先祖由来の首飾りをスコットへと手渡した。
「チャベス、これって?」
「お守りだ。これを身に付けていると精霊が守ってくれる」
木彫りの首飾りを受け取ったスコットは困惑した表情をチャベスへと向けていた。
「そんな大層な代物受け取れないわ。あなたが持っていなさいよ」
「いや、君は衛生兵だ。君が倒れたら皆を治療する者がいなくなってしまう。気休めかもしれないが、持っていてほしい」
暗闇でよく見えなかったが、スコットに語りかけるチャベスの表情はどこか気恥ずかしげな表情を浮かべていた。
「チャベス、素直にスコットに死んで欲しくないって言えばいいじゃねえかよ」
そんなチャベスの様子を見て、パクストンがニヤニヤとした笑みを浮かべていた。
スコットはパクストンの言葉を受け、みるみる顔を赤くしていった。
「あ……そ、そういうことね……」
「……」
チャベスはしかめっ面を浮かべていたが、その頬は僅かに朱を差していた。
スコットはチャベスの顔を見つめ、ふっと微笑みながらその胸に手を当てた。
「わかった。でも預かるだけよ? 精錬所で返すわ」
「ああ。それでいい」
胸に置かれた手を握り、チャベスはしっかりとスコットの瞳を見つめる。
暫しの間、濡れた瞳でお互いを見つめ合っていたチャベスとスコットであったが、空気を読んで黙っていたコナーがしびれを切らすかのようにチャベスへと声をかけた。
「チャベス、早く行きなよ! 少尉殿が待ってるんだよ!」
やや呆れたような表情を浮かべながらチャベスへ言い放つコナー。チャベスはコナーへ頷くと握っていたスコットの手を離し、スコープドライフルを構えなおして生い茂るジャングルの闇の中へと向かった。
スコットはお守りを胸元でぎゅっと握りしめながら、チャベスへと声をかけた。
「チャベス……リチャード。気をつけて」
「シンシア、君もな」
短い別れの言葉を交わし、ジャングルを進んでいくチャベス。
その後姿を、スコットは見えなくなるまで見つめ続けていた。
「チャベスって結構めんどくさい性格してんのね」
「うーむ……」
コナーが呆れたように呟き、ライバックが難しそうな表情で呻いた。
ライバック達からは見えなかったが、チャベスは顔を赤くしながら黙って歩き続けていた。
「しかしチャベスがスコットに気があったなんて意外だな」
「ったく、どいつもこいつもこんな事態だってのに呑気なもんだぜ……ライバック、俺たちも移動の準備をしようぜ」
「ああ。スコット、コナー。担架の準備を頼む」
「ええ。了解したわ」
「了解!」
コナー達が出発し、ライバック達も移動の準備を始める。
ジャングルは徐々に白み始め、夜が明けようとしてた。
「頼むぞチャベス……」
ライバックはチャベスが向かっていった方向を見つめ、重たい息と共に呟く。
優秀なレンジャーのチャベスならばエミリオと合流し、このエイリアンだらけの地獄のようなジャングルを抜け精錬所で無事に再会できるであろうと信じていた。
だが、後にライバックはこの時何が何でもチャベスを行かせるべきではなかったと激しく後悔する事になる。
ジャングルの中で怪しく目を光らせる怪物の存在が、ジャングルをかき分けるチャベスを見つめていた。
気の強い女はアナルが弱いなどという都合の良い法則は存在しない。
だが気の強い女のアナルを責めるロマンは確実に存在するのだ。