ダークエロよろず短編集 作:カード読み込み
廃教会の地下深く、ソールという異才が魔改造した要塞の奥底には、
矛盾したほどの贅を凝らした露天風呂が設えられていた。無補給で湧き出る温泉は、
まるで地獄の底から湧き上がる欲情そのもののように熱く、
白色の湯煙が蠱惑的な帳を下ろしていく。そこには、
男たちの精と汗の腥い匂いが染み付いた ホーム の空気を洗い流すかのような、
しかし逆説的によりいっそう背徳の芳香を濃厚に煮出す湯気が充満していた。
湯煙の向こう側に、四つの影が揺らめいている。ヘスティア・ファミリアの女人たちが、
一つの岩風呂に身を沈めていた。彼女たちが共有する話題は、
薄っぺらな共同体の親睦などという建前に過ぎない。
その実態は、互いの肉の器に刻まれた淫らな刻印を、
無言のうちに嗅ぎ合う雌たちの水際だった宴なのである。
「はぁ……生き返るだす」
一番に湯に首まで浸かったのは、主神たるヘスティアであった。
白磁のような肌が湯に溶け出し、湯面から覗く顔立ちは幼さを残す少女のそれである。
しかし、その胸元に鎮座する肉塊は、神の御業といえば聞こえはいいが、
単に淫靡な歪みと呼ぶべき過剰な質量を誇っていた。
ロリ巨乳という俗語がこれほど似合う肢体も珍しい。湯の浮力に揺れる二つの白い椀は、
重力という物理法則を嘲笑うかのように鋭く屹立し、
淡い桃色の乳首が湯面を突き破って勃然と天を向いている。
彼女自身は貞潔の処女神を自称するが、
その胸の膨らみは既に男の掌を待ち侘びる牝の完成された狂いを孕みつつあった。
「神様、ゆっくり浸かってくださいな。
今日はベル様が遅いですから、時間はたっぷりありますわ」
隣で手桶に湯を汲んだのは、サンジョウノ・春姫であった。
金糸のような長髪が背中に張り付き、その艶めかしい曲線を際立たせている。
腰から生える狐の尻尾は湯に濡れて重そうに揺れ、
頭頂の狐耳が微かにピクリと動くたびに、
彼女の内なる欲望の受信アンテナが反応している様が窺える。
彼女の肢体は湯の下で一層に妖艶な輪郭を主張していた。
豐滿な双丘は、春姫がわずかに身じろぎするだけで水を弾く弾力と共に波打ち、
湯面から浮き出る乳房の麓には、男の目を惹きつけるための器用な陥没が刻まれている。
娼婦としての本能が、湯の中であっても男の視線を擬似的に感じ取って肉を震わせるのだ。
彼女の股間に潛む秘裂は、湯の温もりを受けると小陰唇の色素沈着が
暗い熟れた薔薇の色を浮かべ、幾多の男を受け入れてきた
娼婦としての歴史を生々しく主張し始める。無垢な容姿と淫猥な肉体の狹間で、
彼女は常に発情期の狐として雄の気配を渇望していた。
「春姫様は、本当にそういうことに余念がないですね。
ベル様がいなくても、身体が疼くのですか?」
毒舌混じりの呆れ声を上げたのは、リリルカ・アーデである。
小人族特有の小柄な体躯は岩風呂の椅子に腰掛け、
湯面すれすれの位置で細い脚を投げ出していた。
しかし、その華奢な身体の中心には信じがたいほどの肉が詰まっている。
リリの胸はパルゥムという種族の常識を遥かに凌駕する隆起を見せ、
湯に浸かってわずかに赤らんだ肌が、熟れた果実のような瑞々しさを放つ。
彼女の身体は、兄であるプレヒトの過酷なまでの調教によって極限まで開発され、
本来ならば持ち得ないはずの牝としての悦びを刻み込まれている。
肛門すらも性器として開花させられ、
今はただの排洩器官としての尊厳を奪われたその肢体は、
兄の巨大な杭が突き刺さる幻痛と恍惚を湯の温もりに回想しているかのように、
無意識に内腿を擦り合わせる仕草を見せていた。
「えっと、その、わたしは、ベル様の声を聞くだけで……こう、身体の奥が熱くなるんです」
春姫が恥じらいもなく胸元を両手で覆い、
しかし指の間からあえて乳肉を溢れさせながら艶然と微笑む。
その仕草は、男の加虐心を煽る計算高さに満ちていた。
「まぁ、別に構いませんけどね……結局、皆そうなんですし」
リリが鼻を鳴らして湯をかける。だが、その栗色の瞳には、
ベルに犯される自分を思い起こし陶酔する歪んだ光が宿っている。
「若い娘たちが肉の悦びに忠実なのは、いかがなものか?」
その低く、磁石のように魂を惹きつける声が、湯煙の中から響いた。
一同の視線が集中する先に、アルフィアがいた。湯にゆったりと身を委ね、
長い灰髪を水面に広げた彼女の姿は、まさに凄絶なまでの色気を放つ人間凶器であった。
オッドアイの灰と翠が、湯気越しに妖しく明滅する。
アルフィアの身体は、ひとつの宇宙であった。まず目を奪われるのは、
その暴力的なまでに豊穣な胸である。産むために在るかのような白桃の双丘は、
湯に浸かってななお弛緩することなく、浮力に抗して豊麗な曲線を描き出している。
淡い茜色の乳輪と、中央で勃った乳頭は、母乳を滴らせる準備を整えた牝獣のそれであり、
湯の熱気に当てられ、甘い芳醇な乳香が微かに漂う。視線を下方に滑らせれば、
鋼線のように引き締まった六条の腹筋が湯の中で光る。出産を経てもいささかも衰えぬ、
戦いと交尾に特化した女戦士の腹である。そして、その奥底、湯に隠された股間は、
ソールによって永久脱毛された無毛の秘所であった。ツルツルとした滑らかな恥丘は、
剥き出しの肉の裂け目を隠す術も持たず、幼児のような無毛と、
熟れきった肉壺の淫靡なアンバランスが、見る者の理性を焼き尽くす。
彼女はベルの嫁であり、ソールの奴隷であるという二重の隷属が、
その完璧すぎる肉体に最深の背徳を刻み込んでいた。
「女の身体というのは、若いうちは火のように燃え盛り、熟すと沼のように男を呑み込むもの。
……私のこの身体も、ベルたちがいなければただの空虚な器であったよ」
アルフィアが自らの豊満な乳房を掌で緩やかに揉みしだきながら、恍惚と眼を細める。
その仕草には、ヘスティア・ファミリア女性陣へ向けた宣戦布告のようにも、
あるいは同じオスに喰われ、貪られる牝としての性の真理の共有のようにも取れた。
湯気が、あるいは彼女たち自身の吐息が、この閉ざされた楽園を飽和させていく。
露天風呂というにはあまりに淫靡な、岩肌を穿って造られた湯壺は、
さながら巨大な膣の内部を思わせた。男という存在しないはずの空間で、
四人の女たちの肌が、互いの視線によってのみ犯されていく。
それは親睦などという生温い言葉とは無縁の、互いの牝としての格を値踏みし、
共有された秘密の重みを再確認するための、蠱惑的な闘争の場であった。
ヘスティアは、自らの肩まで湯に沈めながら、
眼前に広がる三つの異形の美肉をぼんやりと眺めていた。
処女神を自称する身でありながら、その魂はすでにベルの存在によって深く穢され、
蕩かされている。彼女の視線は、無意識のうちにアルフィアの身体に吸い寄せられていた。
「それにしても、アルフィアくん。キミ本当に、経産婦?」
主神は、半ば呆然と呟いた。
「その胸の肉も、腹の模様も、子を産んだとは思えぬエロさ。
まるで男を誑かすためだけに神が創り直したドスケベボディだよ」
アルフィアは、わずかに片方の眉を上げた。その仕草すらも、
男を跪かせるための計算された悪癖のように優雅である。
彼女は湯の中から片腕を持ち上げると、豊満な乳房の下側をゆっくりと掬い上げた。
白桃の果実が、湯を滴らせながらその質量を主張する。
「ふん……神に言われる筋合いはないな。この身体は、
忌まわしき才禍の器であると同時に、あの子たちを育むための母の肉体だ。……もっとも」
灰と翠のオッドアイが、ちろりと溶鉱炉のような熱を宿して細められる。
「今はベルに毎晩味わわれ、ソールに玩具にされるための淫らな雌肉でしかないがな」
その言葉には、絶望も諦念もなかった。あるのはただ、
抗いがたい快楽へと沈んでいった雌としての傲慢なまでの幸福だけである。
アルフィアの指が、淡い茜色の乳輪をなぞり、
その中央でぷっくりと膨らんだ乳首をきゅっと摘み上げた。
ぷしゅっという微かな音とともに、白く甘い母乳が一筋、湯面に弧を描いて滴り落ちる。
「ああっ……また、張ってしまっている。搾らねば……」
その光景を、春姫は翠色の大きな瞳を潤ませながら見つめていた。
金糸の髪から滴る雫が、彼女の鎖骨の窪みを伝い、
さらにその下の豊かな双丘の谷間へと吸い込まれていく。
「アルフィア様……なんてお美しいのでしょう。
わたくしのような娼婦とは、器の格が違います……」
春姫がうっとりとため息をつく。
しかし、その口調には単なる羨望だけではなく、どこか加虐的な期待が滲んでいた。
彼女は、己の指で自らの唇をなぞりながら、蠱惑的に言葉を継ぐ。
「でも……そんな気高く、完璧な肉体をお持ちでも、
結局は雄に負け、悦ばされてしまうのですね。
その無様に母乳を垂らす乳房も、ヴィリーという下賤な男にしゃぶられ、
揉み潰されたのでございましょう?」
アルフィアの指がぴたりと止まる。
空気が凍りつくかと思われた刹那、彼女は口元だけで嗤った。
「……良い度胸だな、小狐。お前のような小娘にさえ、私は格好の慰みものに見えるか」
「滅相もございませんわ」
春姫は、ふわりと蕩けるような微笑みを浮かべたまま、
その豊満な肢体をアルフィアの方へと滑らせる。湯が淫らな水音を立てて割れた。
彼女はアルフィアの背後に回ると、そのしなやかな指で、
女戦士の凝縮された雪蜜柑のような臀部をそっと撫であげる。
「ただ……わたくし、こう見えて娼婦ですから、
男の方だけでなく女の方の身体の慰め方も存じております。
特に、孕み袋を熱く滾らせたまま放置されている雌の身体を鎮める方法を……」
春姫の指が、アルフィアの臀部の谷間をゆっくりと裂き、
無毛の秘所へと這っていく。その動きはまるで琴の弦をつま弾くかのように優雅で、
しかし的確に相手の弱点を暴くものだった。
「ひゃっ……!? こ、小娘が……!」
リリはそんな二人の痴態を、
岩風呂の隅で栗色の瞳をぎらつかせながら凝視していた。
小さな両手は無意識のうちに自らの巨乳を揉みしだき、
兄に開発され尽くした肛門がひくひくと収縮を繰り返している。
「……ふん。結局、アルフィア様も春姫様も、
ベル様という雄を知ってしまったが最後、ただの牝豚でしかないんですよ」
リリは毒づきながらも、その声は上ずっていた。
彼女は自分の小さな指を口元に運ぶと、ねっとりと舐め上げる。
「リリは知っています。どんなに誇り高い女も、どんなに淫乱な娼婦も、
最後はベル様の……あの凄まじい巨根に子宮口をノックされて、
めちゃくちゃにされる快感だけを求めるようになるって」
そう言うとリリは立ち上がり、湯から上がると無防備に裸身を晒した。
小人族としては規格外の爆乳がぶるんと揺れ、
兄プレヒトによって「アナル奴隷」として開花させられた尻穴が、
恥ずかしげもなくひくついている。
「……神様。リリたちは、もうみんなベル様にわからせられてしまっています。
だからこそ、こうして裸で集まっても喧嘩にならない。
だって、みんな同じ雄の精液で腹を満たされた、ただの牝なんですから」
ヘスティアはその光景を、燃えるような嫉妬と、底知れぬ興奮を持って見つめていた。
彼女の小さな手は、いつの間にか胸元の例の紐をほどき、形の良い乳房を露わにしている。
「……ボクだって、いつか絶対にベルくんにわからせてもらうんだからなっ」
処女神のその言葉はもはや宣言ではなく、ただの懇願だった。
湯気が一層濃く立ち込める中で、四人の雌たちは各々の秘所を疼かせながら、
まだ見ぬ夜の英雄の帰還をただただ渇望していた。それは親睦会などではなく、
一匹の白兎に心と子宮を蹂躙された雌たちによる、
淫らな信仰告白の宴に他ならなかったのだ。
湯気が立ち込める露天風呂は、今や四人の雌たちが吐き出す熱い息によって、
一種異様な蒸気圧を帯び始めていた。岩肌を滴り落ちる水滴の一つ一つが、
彼女たちの肌の上で淫らに弾け、その度に甘ったるい女体の芳香が立ち昇る。
親睦会などという綺麗事の仮面は、とうの昔に剥がれ落ちていた。
ここにあるのはただ、一匹の白兎に心臓と子宮を射抜かれた牝たちが、
互いの傷を舐め合い、共有された快楽の記憶を反芻するための、秘密の饗宴である。
「ねぇ……せっかくだしさ」
不意にヘスティアが口を開いた。幼い容貌とは裏腹に、
その声には妙に湿った艶がこもっている。黒髪のツインテールを湯に浮かべながら、
彼女は眼前に広がる三つの裸体をじっとりと見つめた。
「お互い、どんな風にベルくんに可愛がられてるのか……ここで話してみないかい?
どうせベルくんがいないと身体が疼いて仕方ないんだろ? ボクも含めてさ」
沈黙が落ちた。しかしそれは拒絶の沈黙ではない。
むしろ、誰が最初にその禁忌の箱を開けるかという、
雌同士の値踏み合うような間合いだった。やがて、ぽつりと春姫が呟く。
「わたくしは……拘束されるのが好きです」
金糸のような長髪をかき上げながら、春姫はその翠色の瞳を潤ませた。
狐耳がぴんと立ち、尻尾が水面下でゆらりと揺れる。
彼女は自らの首筋をそっと指でなぞりながら、
まるで遠い日の思い出を語るように言葉を紡いだ。
「自由を奪われて、身動きできない状態で犯されるのが……たまらなく好きなのです。
縄でも、枷でも、ただ押さえつけられるだけでもいい。逃げ場を失くした身体に、
無理やり雄の欲望を注ぎ込まれるあの瞬間……
わたくしは、自分のすべてを肯定されたような気持ちになります」
その告白は、娼婦として幾多の男に抱かれてきた彼女ならではの真理だった。
男に求めるのは優しさではない。むしろ、自分という存在を完全に掌握し、
蹂躙し尽くす暴力そのものにこそ、彼女は愛の本質を見出しているのだ。
それはきっと、十一歳のあの日、気絶している間に客に凌辱された原体験が、
彼女の性癖の根底に刻み込んだ歪な刻印なのだろう。
「ふん……小娘のくせに生意気な性癖だな」
アルフィアが鼻を鳴らした。しかしそのオッドアイには、
春姫に対する侮蔑よりもむしろ、奇妙な共感が宿っている。
彼女は湯の中でそっと自分の腹筋を撫でながら、低く囁くように言った。
「私も……結局は同じようなものだ。最初は嫌悪しかなかった。
だが、あの子たち……ソールとベルに組み敷かれ、無理やり悦ばされるうちに、
いつしか抗うことそのものが快楽に変わっていた」
灰と翠の双眸が、過去の記憶を反芻するように細められる。
「特にベルだ。あの子はいつも無自覚なんだ。『母さん、大丈夫?』などと言いながら、
その実、私が完全に堕ちるまで腰を止めようとしない。優しい言葉とは裏腹に、
私の子宮口をこじ開けて精を注ぎ込む時のあの子の顔は……まさに英雄のそれでな」
アルフィアは自らの乳房を揉みしだきながら、うっとりと息を吐いた。
白く濁った母乳がぷしゅっと音を立てて乳首から噴き出す。
「だから私は……パイズリが好きだ。自分の胸であの子たちの肉棒を包み込み、
奉仕することでしか得られない悦びがある。特にフェラチオと同時にするパイズリフェラは……
私という存在すべてを使って雄を悦ばせている実感があってな」
その光景を思い浮かべたのか、リリがごくりと唾を飲み込む音が靜寂を破った。
小人族の少女は自分の小さな指を無意識に口元へ運び、ねっとりと舐め上げながら言う。
「リリは……兄様に教え込まれました」
その一言で、場の空気がわずかに緊張する。プレヒト・アーデ。
レベル8にして『始祖』と呼ばれる殺戮者の名が、まるで呪いのように湯気の中に漂った。
「兄様はリリに言いました。『お前は弱者だが、その身体だけは一級品だ』と。
だからリリは……兄様の専属サポーターとして、身体の穴という穴を開発され尽くしました」
リリは立ち上がると、自分の小さな臀部を両手で割り開き、
兄によって性器へと改造された肛門を露出させる。そこはもう排洩器官の面影など微塵もなく、
ただ雄を受け入れるためだけに開花した第二の秘裂だった。
「リリは特に……お尻が好きです。
いえ、正確にはお尻でしか感じられなくなってしまいました。
兄様の大きなモノで奥まで抉られる度に、頭の中が真っ白になって……
自分が何者かもわからなくなる。それが怖くて、でもやめられなくて」
栗色の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちる。それは悲しみの涙ではなく、
快楽を反芻するあまり分泌された過剰な体液だった。
「ベル様もまた……リリのお尻がお好きみたいです。
いつも『リリはここが弱いんだね』って笑いながら……わざとゆっくり責めてくるんです。
リリがおかしくなるまで焦らして焦らして……最後はぐちゃぐちゃに犯してくれるんです」
三人の告白を聞き終えたヘスティアは、その幼い顔立ちに大人びた妖艶な笑みを浮かべた。
彼女は胸元の例の紐を解き去り、ロリ巨乳と呼ばれる豊かな双丘を惜しげもなく晒す。
「みんな本当にベルくんに夢中なんだねぇ……うんうん、主神として嬉しい限りだよ。
ボクはまだベルくんとは一線を越えてないけどさ……」
処女神であるはずのヘスティアは、自らの淡い桃色の乳首をつまみながら言った。
「実はね……ボクもずっと想像してるんだ。ベルくんに組み敷かれて、
めちゃくちゃにされる自分の姿を。壁越しにアルフィアくんが
ベルくんに抱かれてる声を聞くたびに……ボクは指で自分を慰めずにはいられなかった」
神である彼女が告白するにはあまりに生々しいその独白は、
しかし今この空間では最も純粋な欲望の表明だった。
「だからさ……みんな」
ヘスティアは立ち上がり、三人に向かって両手を広げた。
その白磁のような肢体から湯が滴り落ちる。
「ボクにも教えてよ。ベルくんに愛される悦びを。ベルくんにわからせてもらう方法を」
処女神のその懇願は、この淫靡な女子会における合図だった。
春姫が最初に動いた。狐人族の娼婦はヘスティアに背後から抱きつくと、
その豊かな乳房を彼女の背中に押し付けながら耳元で囁く。
「ではまず……女同士で身体をほぐしましょうか。
ベル様に悦んでいただける牝になるために……」
春姫の細くしなやかな指がヘスティアの巨乳に伸びる。
掌全体で包み込むように揉みしだきながら、
彼女は熟練した娼婦の手つきで処女神の乳首をつまみ上げた。
「ひゃうんっ!?」
ヘスティアの口から漏れたのは、神とは思えぬ可愛らしい嬌声だった。
それを見ていたリリもまた、無言でアルフィアに近づく。
小人族の少女は見上げるようにしてかつての『才禍』を見つめながら言った。
「アルフィア様……リリにも教えてくださいませんか?
母乳が出るほど開発された雌として……どうやったらもっと感じられるようになるのか」
アルフィアは口元だけで嗤うと、リリの小さな頭を抱え込むようにして自分の胸元へ導いた。
「良いだろう。お前のような小娘でも私が仕込んでやる。……ほら、遠慮せずに吸え」
アルフィアが自らの乳房を持ち上げると、その乳首からは既に白い雫が滴っていた。
リリは一瞬躊躇した後、まるで赤ん坊のようにそれに吸い付く。
甘い母乳が口内に広がり、リリは小さく呻いた。
「んっ……おいひいれす……」
春姫に胸を弄られながら喘ぐヘスティア。
アルフィアの母乳を啜りながら指で自分の後孔を弄るリリ。
そして互いの身体をまさぐり合いながら、
それでも頭の中ではただ一人の雄だけを思い浮かべている四人の雌たち。
露天風呂にはもはや親睦会の面影など微塵もなかった。
ここにあるのはただ、
不在の英雄によって開花させられた牝たちが織りなす、
淫らで倒錯的な交歓だけである。
「ああ……ベルくん……早く帰ってきて……そしてボクも……わからせてほしい……」
ヘスティアのその呟きは、白い湯煙に溶けて消えていった。
しかしそれは祈りというより、
すでに決定された運命への確信に満ちていた。
四人の雌たちは知っていた。
今夜、ベル・クラネルが帰還した時、
この露天風呂はさらなる狂乱の坩堝と化すことを。
それまではただ、
こうして互いの身体で飢えを満たすしかないのだ。
ヘスティアは背後の春姫に豊かな双丘を揉みしだかれながら、
その幼い容貌を快楽に歪ませていた。処女神としての威厳など、
とっくに湯の中に溶け出してしまっている。今ここにいるのはただ、
熟練の娼婦の指先によって開発されつつある、無防備な女体そのものだった。
「んっ……はぁっ……ひゃりゅひめくん、
なんだか手つきが……んんっ……やらしすぎないかい……?」
ヘスティアは抗議の声を上げようとしたが、その言葉は最後まで形にならず、
甘ったるい喘ぎ声へと変わった。春姫の細くしなやかな指が、
彼女の淡い桃色の乳首を摘み上げ、コリコリと爪の先で引っ掻くように刺激する。
その度にヘスティアの小さな身体がびくんと跳ね、湯面に波紋が広がった。
「あらあら神様。わたくしはただ、
ベル様に悦んでいただける牝になるためのお手伝いをしているだけでございますわ」
春姫はそう囁きながらも、その翠色の瞳にはどこか加虐的な光が宿っている。
彼女はヘスティアの耳元に唇を寄せると、まるで秘密を打ち明けるように、
しかしこの場にいる全員に聞こえるようにはっきりと言った。
「それにしても神様……お身体の反応があまりにお上手でいらっしゃる。
まるで誰かにすでに仕込まれたかのような……」
その言葉に、ヘスティアの身体が一瞬で強張った。春姫はそれを見逃さない。
狐人族として培った鋭い嗅覚が、
この処女神の身体に染み付いたかすかな雄の匂いを敏感に察知していたのだ。
それはベル・クラネルのものではない。
もっと別の……もっと陰湿で執念深い男の残り香だった。
「まさか神様……ベル様以外の方に、もう処女を捧げられておいでで?」
春姫の指がするりとヘスティアの下腹部へと滑り、無毛の秘裂をなぞる。
まだ誰にも拓かれていないはずのその場所は、しかし熱く濡れそぼり、
男を受け入れる準備をとうに整えているかのようだった。
「ち、違う……ボクは……!」
ヘスティアは必死に首を振った。しかしその否定はあまりにも弱々しく、
むしろ自らの罪を告白しているに等しい。
彼女の脳裏には、あの忌まわしい記憶が鮮明に蘇りつつあった。
──そう。あれはまだ眷属がベルとアルフィアのみだった頃
「ボクは……カームに……」
ヘスティアがその名を口にした瞬間、露天風呂の空気が凍りついた。
アルフィアが灰と翠のオッドアイを鋭く細め、リリが息を呑む。
春姫だけが、すべてを予見していたかのように靜かに微笑んでいた。
「カーム……あの屋台の老人でございますか? 神様を拾って雇ってくれたという……」
「そうだよ……でも、あれは優しさなんかじゃなかった」
ヘスティアの声は震えていた。しかしそれは恐怖だけではない。
もっと複雑な感情……屈辱と後悔と、
そして抗いがたい快楽の記憶が混ざり合った、どろりとした響きだった。
「あいつはね……昔、自分の主神ブリギッドを孕ませようとして果たせず、
結局送還までしちまった大馬鹿者でさ……そしてボクに目をつけたのさ」
湯気の中で、ヘスティアの記憶は生々しく再現されていく。
あの日、ベルが不在で暇を持て余していた彼女に、
カームは好々爺の笑みを浮かべて近づいてきた。屋台での気楽なバイト。
売上を気にしなくてもいいという甘い言葉。
純粋で善良なヘスティアは何の疑いもなくその誘いに乗った。
それが巧妙に仕組まれた罠だとも知らずに。
「最初はね……ただ親切な老人だと思ってたんだ。
でもある日、店じまいの後に『一杯どうですかな』って差し出された酒を飲んだら
……身体が熱くなってきて……気がついたらボクは……」
ヘスティアの両手が無意識に自分の乳房を掴み、
ぎゅっと絞り上げる。その仕草はもはや自慰そのものだった。
「カームはね……ボクのこの胸に異常なまでに執着してた。
渾身の力を込めて根本から揉み潰してきて……
『女神様の乳は格別ですなぁ』って下卑た笑い声を上げながら……」
春姫は黙って聞きながらも、
その指は休むことなくヘスティアの秘裂をまさぐり続けている。
彼女は娼婦として知っていた。過去の凌辱体験を語らせることそのものが、
新たな快楽の導火線になり得ることを。
「それからあいつは……ボクに手淫を強要したんだ。
ズボン越しでもわかるくらいの巨根を握らせて……
『ほれ、もっと丁寧に扱かんかい』って……
神に向かってなんて口の利き方だと思わないかい? でもボクは逆らえなかった……
薬のせいだけじゃない……あいつの目が……
本気で女神を孕ませようとしてる狂人の目が怖くて……」
露天風呂にはもはや湯の流れる音だけが響いている。
アルフィアもリリもただ黙って聞いていた。それは同じ雌としての共感であり、
同時に自分たちもまた辿った道への苦い理解でもあった。
「そして最後には……ボクの処女を奪ったんだ。
『どうせいつかは誰かに捧げるんだろうが』って笑いながら……
巨体でボクの身体を押し潰して身動きもできなくして……容赦なく突き入れてきて……」
ヘスティアの指が自らの秘裂に沈み込み、
処女膜が破れたその瞬間を再現するかのように深く押し込まれる。
「あんまりにも苦しくて痛くて……ボクは泣きながら許しを乞うたんだ。
でもあいつはやめなかった。それどころか種付けプレスとか呼んでた体勢で……
もっと奥まで子種を届けようとしてきて……」
そしてカームは極超低確率ながら神すら孕ませるという人類救済薬を手に入れていた。
凡人である自分が始祖や救世主といった天上人たちに並ぶために、
どうしても女神に仔を産ませるのだと息巻いて。
「何度も何度も注ぎ込まれて……気がついたらボクは快楽に屈服してた。
『てんちょぉ、ボク、だめになっちゃう♡』なんて口走って……
完全にあいつに完墜ちさせられてたんだよ……」
ヘスティアはそこまで告白すると、
その幼い顔立ちに大人びた自嘲の笑みを浮かべた。
「結局さ……孕むことはなかったけどね。神っていうのはそう簡単には仔を宿せないんだ。
でもカームにとってはそれでよかったのかもしれない。
あいつが本当に欲しかったのは孕ませることそのものじゃなくて……
女神という絶対的な存在を屈服させ、穢し尽くすっていうその行為そのものだったから」
湯気の中で、まるでカームの亡霊が嗤ったかのような錯覚が一同を包んだ。
「だからね……春姫くん」
ヘスティアは背後に立つ狐人族の娼婦に顔を向けずに言った。
その声にはもはや羞恥も恐怖もなく、ただ靜かな覚悟だけが宿っている。
「ボクはもうとっくに処女神なんかじゃないんだよ。
カームに処女を奪われてあいつに完墜ちさせられた時点で
ボクはもう穢れきってるんだ。でもね……それでもボクはベルくんに抱かれたいんだよ。
あいつとの行為とは全然違う……本当の愛のある行為で自分を上書きしてほしいんだよ」
春姫はその言葉にしばし沈黙した後、そっとヘスティアの肩に手を置いた。
娼婦としてではなく一人の雌として共感するように。
「神様……わたくしも同じでございますわ」
春姫の声には普段の蠱惑的な響きではなく素朴な温もりが宿っていた。
「わたくしも十一歳の時イシュタル・ファミリアに入団してすぐ気絶中に客に凌辱されて……
それからずっと自分の身体は汚れていると思っておりました。
でもベル様だけは違ったのです。
ベル様だけはわたくしを汚れた娼婦としてではなく一人の女として見てくださった」
「春姫くん……」
「ですから神様もきっといつかベル様に本当の意味で抱いていただけますわ。
カームという下衆な男に穢された記憶などきれいに消し去ってしまえるくらい……
素敵な夜をお迎えになれるはずです」
露天風呂にはいつの間にか夜の帳が下りようとしていた。
湯気の中での告白と触れ合いはまだ終わらない。
しかし四人の雌たちは確かに一歩ずつ互いの傷を舐め合い
共有された快楽と苦痛を通じて深い絆で結ばれつつあった。
それは決して綺麗事だけではない背徳と倒錯に満ちた関係だったが
少なくともこのヘスティア・ファミリアにおいて彼女たちはみな
同じ雄に仕える牝として確かな連帯感を持ち始めていたのである。
先ほどの告白劇によって、場の空気は奇妙なまでの親密さと、
それとは裏腹の倒錯した熱を帯び始めていた。
アルフィアの豊満な肢体にもたれかかるようにして、
リリルカ・アーデはその小さな口を開けていた。小人族特有の小柄な体躯は、
まるで母親にしがみつく幼子のようにも見える。しかしその栗色の瞳に宿るのは、
無垢な幼児のそれではなく、もっと深い、暗い渇きだった。
「んっ……ちゅっ……」
リリはためらいがちにアルフィアの乳首に吸い付くと、
その瞬間、全身を戦慄が走り抜けた。
ぴりりとした電気のような快感が舌先から脊髄を駆け上がり、脳天を焼く。
小人族としては規格外の巨乳が、彼女自身の興奮に合わせてぶるりと震えた。
「ほおら……遠慮することはないぞ、小娘。
お前のような歪んだ子供にこそ、私の乳はよく効く」
アルフィアは口元だけで嗤いながらも、その声には奇妙な優しさが宿っていた。
彼女は自らの乳房を片手で支え、まるで本物の母親のようにリリの頭を抱え込む。
灰と翠のオッドアイが、湯気越しにとろりと溶けるような熱を帯びている。
リリは夢中で乳首をしゃぶった。舌先で乳輪の凹凸をなぞり、吸い上げるたびに、
甘く濃厚な母乳が口腔内に溢れ出す。それは単なる栄養などではなかった。
もっと深い、魂に直接染み渡るような堕落の味がした。
(これが……アルフィア様の……母の味……)
リリの脳裏には、幼い頃の記憶が断片的に蘇っていた。才能がないと蔑まれ、
役立たずと虐げられ続けたパルゥムとしての過去。唯一の肉親である兄プレヒトにすら、
「道具」として扱われ、身体の穴という穴を開発され尽くした屈辱と悦楽の日々。
彼女が知る愛情とは、いつだって暴力と表裏一体だった。
だが、今こうしてアルフィアの乳房にしゃぶりついていると、
そんな暗い記憶さえもが母乳とともに溶かされ、浄化されていくような錯覚に陥る。
これは母性だ。歪で倒錯的ではあるが、
紛れもなく彼女が一度も得られなかった母性そのものだった。
「んふっ……んんっ……アルフィア、さまぁ……」
リリの口元から母乳が一筋こぼれ落ち、小さな顎を伝って湯面に滴る。
彼女はもはや理性を手放し、ただ本能的に乳首を吸い続けた。
その度にアルフィアは微かに眉をひそめ、しかし決して突き放そうとはしない。
むしろリリが吸いやすいようにと、自ら乳房を持ち上げてやりながら、彼女は言った。
「いい飲みっぷりだな。まるで生まれたばかりの赤子だ。
だが……そんなにお前が私の乳に執着するのは、
それだけ飢えているからだろう。愛情という名の栄養に」
「……ッ」
図星だった。リリは吸うのをやめずに、
ただ涙で潤んだ栗色の瞳でアルフィアを見上げる。彼女は言葉にできなかった。
兄様に開発され尽くしたこの身体も、ベル様に抱かれる悦びも、
すべては「愛されたい」という根源的な渇望から生まれた歪みなのだと。
「構わんさ。私はもうとっくに、
ソールとベルの母親であると同時に雌でもあるという矛盾を受け入れている。
だからお前のような小娘に乳を吸わせてやることくらい、造作もない」
アルフィアはそう言うと、空いた方の手でリリの栗色の髪をそっと撫でた。
その仕草はあまりにも優しくて、リリは自分の肛門がひくひくと収縮するのを感じる。
兄によってアナル奴隷として調教されたそこは、
快楽と安心が結びつくと無意識に反応してしまうのだ。
「……リリは」
ぽつりと、リリが口を開いた。ようやく乳首から唇を離し、
母乳に濡れた口元を手の甲でぬぐいながら、彼女は小さな声で告白する。
「リリは……ずっと怖かったんです。兄様にめちゃくちゃにされるのも、
ベル様に優しく抱かれるのも……結局は同じことで。
リリが弱者で、ただの道具でしかないってことを思い知らされるのが……怖くて」
春姫とヘスティアもまた、その告白を黙って聞いていた。
「でも……アルフィア様のお乳を飲んでいたら……なんだかとても安らいでしまって。
まるで本当のお母さんみたいだって……そんな風に思ってしまったんです」
アルフィアはしばし沈黙した後、ふっと息を吐くように笑った。
それは冷笑でも嘲笑でもない、ただ純粋な共感の吐息だった。
「そうか。ならば存分に味わうがいい。お前が兄にもベルにも見せられなかった弱さを、
私の胸で吐き出せ。私はもうとっくに多くのものを失い、多くのものを穢してきた女だ。
今さら小娘の一人や二人に慕われたところでどうということもない」
そう言うとアルフィアは、再びリリの頭を自分の胸元へと導いた。
小人族の少女は今度こそ遠慮なくその豊かな乳房に顔を埋め、
まるで本当の母親に甘えるように深く吸い付く。
「んっ……ちゅぱっ……んふぅ……」
露天風呂には靜かな水音と、リリの甘ったるい嗚咽だけが響いていた。
それは淫靡でありながらもどこか神聖ですらある光景だった。
「あーあ……なんだかボクもお腹が空いてきちゃったなぁ」
ヘスティアがわざとらしく言って、その場の空気を少しだけ和らげる。
「あらあら神様。では後ほど厨房で何かご用意いたしましょうか」
春姫がくすりと笑いながら応じる。
露天風呂での女子会はまだ終わらない。
しかし四人の間には確かに新しい絆が芽生えつつあった。
それは決して清らかなだけの関係ではなかったが、
少なくとも彼女たちにとってはかけがえのない繋がりだったのである。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
湯煙に浮かされた肌を冷ますように、夜気がひんやりと廊下を這っていた。
廃教会の地下要塞という物騒な出自を持つこのホームも、
こうして女たち四人が連れ立って歩けば、どこか秘密の女子寮めいた親密さを帯びる。
もっとも、彼女たちが身に纏うのは寝間着代わりの薄手のガウンやバスローブばかりで、
濡れた髪から滴る雫が、歩くたびに石床に点々と淫らな印を描いていった。
「さてと……それじゃあボクは腕によりをかけて何か作ろうかな」
厨房に足を踏み入れたヘスティアが、そう宣言して袖をまくる。
もっとも彼女が普段いかにポンコツかは眷属たちが一番よく知っている。
すかさず春姫がその横に滑り込んだ。
「神様、わたくしもお手伝いいたしますわ。
さすがに包丁を持つお姿を見ているだけで胃が痛くなりますので」
「なっ、ボクはこれでも主神だぞ!?」
「主神であることと料理の腕前は関係ございませんわね」
そんな軽口を叩き合いながらも、
春姫の手つきは手慣れたもので、冷蔵庫から次々と食材を取り出していく。
狐人族特有の鋭い嗅覚で鮮度を瞬時に見極め、
翠色の瞳が今夜の献立を頭の中で組み立てていく様は、
さながら夜伽の手順を考える娼婦の横顔にも似ていた。
一方、アルフィアは厨房の隅に置かれた椅子にどっかと腰を下ろし、
その豊麗な肢体をくつろがせていた。灰髪からはまだ湯気が立ち昇り、
バスローブの合わせ目から覗く胸元は火照ったままである。
彼女は料理には参加せず、ただその様子を眺めているだけだったが、
それだけで厨房全体が彼女の色気に支配されてしまうのだから始末に負えない。
リリはといえば、アルフィアのすぐ傍らにちんまりと腰掛けていた。
先ほど露天風呂で母乳をたらふく飲んだせいか、
その頬はほんのりと上気し、栗色の瞳にはどこか夢見心地な光が宿っている。
彼女は無意識のうちに自分の唇を指でなぞりながら、
まだ舌の上に残る甘い母乳の余韻を反芻していた。
「リリは何か手伝わなくて大丈夫なのか?」
アルフィアが低く問いかけると、リリは小さく首を振った。
「リリは……もう少しだけ、こうしていたいのです。
アルフィア様の……傍で」
その声には普段の毒舌も皮肉もなく、ただ素直な甘えだけが滲んでいた。
アルフィアはふんと鼻を鳴らしたが、その手は自然とリリの頭を撫でていた。
それはまるで親猫が子猫を毛繕いするような、
無造作でありながら深い慈愛に満ちた仕草だった。
やがて厨房には包丁がまな板を叩く小気味良い音と、
油の跳ねる香ばしい匂いが広がり始める。
春姫が手際よく野菜を刻み、ヘスティアが鍋の火加減を見守る。
時折「それは入れすぎだ」「こっちは薄味で頼む」などと声を掛け合う様は、
まさに共同生活に慣れた家族の団欒そのものだった。
ただその会話の端々に「ベル様はどちらがお好みかしら」などという
特定の雄を巡る火花が散るのは、このファミリアならではの光景だが。
「できたよー!」
やがてヘスティアの明るい声が響き、テーブルに数々の料理が並べられた。
湯気を立てる野菜たっぷりのスープに、こんがりと焼けた肉料理、
彩り鮮やかなサラダ。春姫が盛り付けにも気を配ったそれは、
見た目にも美しい食卓だった。
「おぉ……これはなかなか美味そうではないか」
アルフィアがわずかに目を見開いて感嘆の声を漏らす。
その隣でリリもまた、小さく喉を鳴らしていた。
彼女は先ほどまで母乳で満たされていたはずだが、
本物の料理の匂いにはまた別の食欲が刺激されたらしい。
四人が席に着き、ささやかな晩餐が始まる。
まずはヘスティアがスープを一口すすると、
その幼い顔立ちをぱあっと輝かせた。
「うんうん! 春姫くんのおかげで上手くできたよ!
これはベルくんにも食べさせてあげたい味だねぇ」
「ふふ……神様はすぐにベル様の話をなさいますのね」
「そ、それはそうだろ! だってボクたちの団長だし……!」
顔を赤らめるヘスティアに、春姫はくすくすと笑いながら、
そっと焼きたての肉を彼女の皿に取り分けてやる。
その仕草はまるで年の離れた妹を世話する姉のようでありながら、
時折見せる目線には「ベル様」という共通の獲物を狙う雌としての計算もちらつく。
そんな中、アルフィアはフォークで刺した肉の塊を、
こともあろうに隣のリリの口元へと差し出した。
「ほら、小娘。遠慮せずに食え。母乳だけでは腹の足しにもなるまい」
リリは一瞬きょとんとした顔でフォークを見つめ、
それから周囲の視線に気づいてみるみるうちに耳まで真っ赤になった。
「なっ……! リ、リリはもう子供ではありません!
あーんなんて恥ずかしい真似……!」
「ふん……ついさっきまで私の乳にしゃぶりついていた奴の台詞とは思えんな」
「うっ……」
ぐうの音も出ないとはこのことだ。リリは羞恥に震えながらも、
しかしアルフィアの手から差し出された肉を拒むことはできなかった。
彼女は観念したように小さく口を開けると、
まるで雛鳥のようにおずおずとそれを受け入れる。
「ん……」
もぐもぐと咀嚼するリリの頬は、
食べ物だけでなく何か別の感情でも膨らんでいるようだった。
それはきっと、兄以外から与えられる初めての無償の慈しみに対する戸惑いであり、
同時にそれを素直に受け取れる自分への驚きでもあったのだろう。
「……美味しい、です」
ぽつりと呟かれたその言葉に、アルフィアはただ満足げに口元を歪めただけだった。
しかしそのオッドアイには、普段の冷厳な才禍としてではなく、
確かに一人の母親としての温もりが宿っている。
ヘスティアと春姫もまた、そんな二人のやりとりを微笑ましく見守っていた。
先ほどの風呂での告白合戦を経て、
彼女たちは互いの傷も歪みもすべて受け入れた上で、
こうして一つの食卓を囲んでいる。それは決して普通の家族ではない。
主神でありながら処女を奪われた少女と、
元娼婦でありながら純粋な恋心を抱く狐人と、
かつて最強と呼ばれながらも息子たちに牝として飼い慣らされた魔道士と、
兄に身体中を開発され尽くしながらも別の男に救いを求める小人族。
歪で倒錯した関係性で結ばれた四人だったが、
少なくとも今この瞬間だけは確かに家族だった。
「あ、そうだ! 今度はベルくんも一緒にこういうご飯会やりたいねぇ」
ヘスティアが無邪気に提案すると、春姫がすかさず応じる。
「いいですね。ただしベル様のお隣はわたくしがいただきますわ」
「ちょっと! それはボクだって譲れないんだからな!」
「あらあら……神様はまだベル様とは一線を越えていらっしゃらないのでしょう?
でしたらまずは経験者であるわたくしめがお側に……」
「うぐっ……そ、それは……卑怯だぞ春姫くん!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ始める二人を横目に、
アルフィアは再びフォークを手に取り、今度はサラダをリリの口元へと運んだ。
「ほら、もう一口だ」
「……も、もうお腹いっぱいです……」
「嘘をつけ。お前のような小柄な身体でそれだけ胸ばかり無駄に育つには、
相応の栄養が必要なはずだ。遠慮せずに食え」
「無駄って……!」
結局リリはまたしても口を開け、今度は素直にサラダを受け入れた。
しゃきしゃきと音を立てて噛み締めるその顔には、
もはや先ほどのような羞恥よりもむしろ安心しきった甘えの色が浮かんでいる。
彼女は咀嚼しながらこっそりとアルフィアの横顔を盗み見て、
その胸の中でそっと呟いた。
(これが……家族でご飯を食べるってことなのですね)
露天風呂から続くこの夜はまだまだ終わらない。
けれど少なくとも今だけは、
四人の雌たちはただ穏やかな時間の中で互いの存在を慈しみ合っていた。
それはベル・クラネルという英雄には決して与えられない種類の安らぎであり、
しかしだからこそ彼女たちだけが共有できる秘密の絆だったのである。
食卓の上には、もはや主食の皿よりも甘い残骸が目立つようになっていた。
春姫が淹れてくれた極東の茶葉は、湯気とともに清雅な香りを立ち昇らせているが、
それが鼻腔をくすぐるたびに、
四人の女たちの脳裏にはなぜか別の粘度の高い液体が連想された。
食後のけだるさと湯上りの火照りが混ざり合い、
厨房はさながら熟れた果実を詰め込んだ玻璃壺のような濃厚な空気に包まれている。
「ふぅ……生き返るだす。春姫くんのお茶はいつ飲んでも極上だねぇ」
ヘスティアが湯呑みを両手で包み込み、猫のように目を細める。
その仕草は無邪気そのものだが、バスローブの胸元から覗く深い谷間が、
ことさらあざとく揺れているのはご愛嬌というやつだろうか。
処女神の皮を被った牝猫は、いつだって雄を誘う準備を怠らない。
「お褒めに預かり光栄ですわ。でも神様、そんなに喉を潤しても……
今夜ベル様がお帰りになった時、またすぐに乾いてしまいますわよ?」
春姫がお茶のおかわりを注ぎながら、意味深に囁く。
金髪の狐耳がぴくりと動き、尻尾が椅子の背もたれでゆらゆらと揺れた。
彼女の視線はヘスティアの唇に注がれているが、その頭の中ではすでに、
ベルの唇がそこに重なる映像が何百回と再生されていることだろう。
「うっ……そ、それはその……ねぇ?」
ヘスティアは図星を突かれて視線を彷徨わせた。
カームという毒蜘蛛の巣にかかった苦い記憶は心中に仕舞い込み、
今はただ甘い未来予想図だけを描きたい。
だが、経験値において圧倒的に勝る二人の先輩方に比べれば、
彼女の恋愛戦略など児戯に等しい。だからこそ、彼女は声を潜めて尋ねた。
「ねぇみんな……ベルくんが帰ってきたらさ、
どうやって『おかえり』って言ったら一番喜んでくれると思う?」
その問いは、食卓を一瞬にして戦略会議へと変えた。
主神たる少女は無意識のうちに理解していたのだ。
この場にいる誰もが同じ雄を狙うライバルであり、
情報の共有こそが生き残る道であることを。
「ふふっ、初手から躍起になりすぎてはいけませんわ」
春姫が優雅に紅茶を啜り、余裕綽々で語り始める。
「雄というのはね、神様。追いかけるよりも追われたい生き物なのです。
ですから……帰宅したベル様を真正面から抱きしめるよりも、
少し俯いて『お帰りなさいませ』と囁きつつ、
彼の手を引いてベッドへ誘導する方が……ほら、
『何かが起こるかもしれない』という期待感を煽れますでしょう?」
娼婦として修羅場をくぐり抜けた狐人の語り口には、説得力があった。
彼女の翠色の瞳には、客を落とす瞬間のあの冷徹で計算高い光が宿っている。
男の欲望のツボを知り尽くした指先が、
空中で見えない糸を操るようにしなやかに動く。
「そして拘束ですわ。わたくしの場合はそうですが……
自由を奪うことで逆に雄の支配欲を解放して差し上げる。
これこそが至高の奉仕……いえ、愛なのですわ♡」
「はぁ……拘束ねぇ……」
ヘスティアにはその高尚すぎる美学はまだピンとこないようだが、
春姫の言葉には確かな重みがあった。彼女の身体に刻まれた無数の縄の跡が、
その真理の深さを無言で証明している。
「ふん。小狐の戯言だな」
そこへ冷ややかな声が割って入る。アルフィアだ。
彼女は湯呑みを置くと、傲慢なまでの自信に満ちた眼差しで二人を見下ろした。
「そんな小細工など不要だ。ただ黙って全裸で待っていればいい。
それだけであの子はもう……我慢できずに飛びついてくるからな」
灰と翠のオッドアイが陶然と細められる。
彼女の言は母親としての特権だった。血の繋がりという絶対的な優位性。
そして何より、彼女の身体そのものがベルの性癖を形作った本源なのだ。
「それに……私にはこれがある」
アルフィアはバスローブの合わせ目から自らの乳房を露わにすると、
その豊満な白桃をゆっくりと揉みしだいた。淡い茜色の乳首がぷっくりと立ち上がり、
そこから甘い匂いを放つ母乳がじわりと滲み出す。
「あの子はこれがないと眠れない体になっている。
口に含ませればもう……どんな言葉よりも雄弁に私に従順になるのだよ」
「ぐぬぬ……それは反則だろアルフィアくん!
ボクだってこの胸は負けてないんだからな!」
ヘスティアが自分のロリ巨乳を必死に強調するが、
質量と歴史において圧倒的な差があることは否めない。
まさに大人の女と小娘との埋め難い溝だった。
「あらあら……アルフィア様はいつもずるいのです。
母親であることを盾にベル様を独占しようとなさって」
春姫も少し拗ねたように頬を膨らませる。
しかしアルフィアは意に介さず、むしろ楽しげに嗤った。
「羨むならお前も孕めばいい。だが……あの子の子を宿す栄誉は誰にも譲らんよ」
その言葉には殺気すら混じっていた。牝としての生存競争において、
繁殖こそが最優先事項であることを彼女は本能的に理解しているのだ。
そこでぽつりと、忘れ去られていた一角から声が上がった。
「……リリも、負けてないんです」
リリだ。小人族の少女はまだアルフィアの傍らにちょこんと座りながらも、
その栗色の瞳には負けん気の炎が燃えていた。
「リリには……お尻がありますから。
兄様に開発されたこのお尻は……ベル様もとてもお好きで……」
彼女はもじもじと自分の尻肉を両手で掴むと、
バスローブ越しにもわかるほどの弾力を強調するかのように揉みしだいた。
「リリのお尻の中にベル様のが入ってくると……
リリは何も考えられなくなっちゃうんですけど……
ベル様はすごく幸せそうな顔をしてくださるんです。
だから……リリもベル様を悦ばせることができるんですっ」
その告白はあまりにも無垢で、しかしそれゆえに残酷なまでに淫靡だった。
肛門という禁忌の場所を開花させられ、そこに快楽を見出してしまった少女。
彼女の歪み方は春姫ともアルフィアとも異なる、
兄という絶対者によって植え付けられた悲哀と愛憎の結晶だった。
「……そうか。ならばお前はお前のやり方で縛ればいい」
アルフィアは呆れるでもなく嘲笑うでもなく、
ただ淡々とそう告げると、リリの頭を再び撫でた。
それは同類に対する肯定だった。正道から外れた雌同士としての連帯感。
「結局さぁ……みんなベルくんが好きなんだねぇ」
ヘスティアがふと漏らしたその言葉は、この場の誰にも否定できなかった。
主神も魔道士も娼婦も小人族も。肩書きも種族も関係ない。
ただ一匹の白兎に心臓と子宮を射抜かれた牝たち。
その事実だけが、四人を奇妙な 絆 で結びつけていた。
「あ……!」
不意に春姫が耳をピクリと立てた。
厨房の静寂の中に、微かな足音が響いてきたのだ。
それは地下室へと続く階段を降りてくる音。
軽やかで、しかし確かな力強さを持つその足取りは——
「ただいまー! なんかいい匂いするね!」
扉が開くと同時に聞こえたのは、まぎれもなくその声だった。
四人の視線が一斉に入り口へと向く。
そこに立っていたのは、白い髪と赤い瞳を持つ少年。
ヘスティア・ファミリア団長にして彼女たちの絶対的な雄、
ベル・クラネルだった。
瞬間、厨房の空気が凍てついたかのように静まり返り——
次の刹那、爆発した。
「お帰りなさいませベル様ぁ♡」
「おかえりベルくん!」
「遅かったではないかベル」
「お帰りなさいベル様!」
四人の雌たちが一斉に立ち上がり、少年のもとへと殺到する。
それはまるで餌に群がる獣のようでありながら、
同時に迷子だった子供を出迎える母親たちのようでもあった。
「わっ! なにみんな急に……
ってかなんでみんな薄着なのっ?」
ベルは四方から押し寄せる柔らかい肉壁と甘い匂いに困惑しながらも、
その顔には屈託のない笑顔が浮かんでいた。
彼はまだ知らない。この女子会で交わされた誓約を。
自分という雄一人を巡って結ばれた牝たちの同盟を。
だがそれも時間の問題だろう。
今夜このホームには、新たな夜伽の囃子が響き渡るのだから。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
白衣の少年が扉を開いた瞬間、廃教会の地下要塞はとめどない
雌の吐息によって沸騰した釜のような騒ぎとなった。
四人の女たちが一斉に猟犬のごとく駆け出し、唯一の雄である
ベル・クラネルという名の獲物へと殺到するさまは、
まるで餌を前にした獣の群れか、あるいは救世主を仰ぐ信徒の狂乱か。
判別がつかぬほどに、彼女たちの母性と牝性は混沌と融け合っていた。
「お帰りなさいませベル様ぁ♡」
春姫が真っ先に飛びつき、その豊潤な狐の乳房を少年の腕に押し付ける。
湯上がりの火照りが冷めやらぬ肌は、甘やかな香料と女の澱んだ汁の匂いを
充満させており、ヴェルフ・クロッゾの鼻を遠慮なく撫でた。
ただ、当の本人はそれどころではないらしい。
目の前で繰り広げられる同族たちの発情劇を、
どこか冷ややかな、それでいて諦観の滲む翠色の瞳で見つめていた。
厨房の片隅、暖炉の熱を背にした古びた木のテーブル。
そこに一人、ヴェルフはちまちまと夕餉の残りを口に運んでいる。
湯気を立てるスープを掬うスプーンの音だけが、
この淫靡な修羅場において唯一の現実的な音響だった。
「わっ、みんなちょっと……あんまり引っ付かないでよ!」
ベルの困惑した声が上がるも、それは牝たちの欲情を鎮める鎮魂歌にはほど遠い。
むしろ柴犬の鳴き声に群がる狼たちを煽る 効果しか持たなかった。
ヘスティアがバスローブの紐を無造作に引きずりながら、
処女神にあるまじる露骨な執着でベルの背中にしがみつく。
「ボクはベルくんの主神なんだからね! 最初の挨拶はボクの権利だよ!」
「大人しく私の乳を飲めと言っているだろうが」
アルフィアが低く唸るように言い、その白桃のごとき双丘を
ベルの顔に押し付けるべく長身を屈める。
淡い茜色の乳首からは既に甘露が滲み出し、
少年の頬を白濁の筋で汚さんがばかりの勢いである。
母乳の甘い芳醇な香りが、厨房の空気を更に粘稠に彩っていく。
「リリは……リリはベル様の専用ケツオナホですからっ!」
リリに至ってはもう、語彙力が退化したのか、
自らの信奉する変態的性癖を天下の台所で嘶く始末である。
小人族の小柄な身体が、ベルの脚にまるで
蔓植物のように巻き付き、その太腿に頬を擦り付けていた。
そのカオスの中心にいながら、ヴェルフは鍛冶師としての
鉄のような精神(あるいは鈍感さ)をもって食事を続行していた。
スープの具材である根菜を咀嚼する彼の心内には、
直接的な嫉妬よりも、「またか」という 深い深淵のような徒労感が拡がっていた。
ああ、こいつらときたら。
薄着のまま饐えた女の匂いをプンプンさせて、
たかが一人の男の帰宅でこれほど舞い上がりおって。
まるで発情期の猫の集会だ。
いや、猫の方がまだ 理知的 であろう。
ここにあるのは倫理の退廃と、
肉欲という名の 無底の沼だ。
ヴェルフはフォークで肉の残りを突き刺し、口に運ぶ。
咀嚼するたびに、目前で繰り広げられる
「わからせ」の儀式の 生々しさ が嫌でも網膜に焼き付く。
春姫の着物の合わせ目から溢れる白い肌。
アルフィアの隆々たる腹筋と、滴る母乳の白濁。
リリの股間に隠された、兄に開発され尽くした淫らな後孔の幻影。
そしてヘスティアの、紐一本で辛うじて保たれた
ロリ巨乳の危うい均衡。
それらが一つの焦点、白兎の少年へと 収斂 していく様は、
ある意味で壮観ですらあった。
(……コレさえなければ、いいファミリアなんだが。というか、
男増やしてくれよヘスティア様。なんでいつまで経ってもオレとベルだけなんだ)
ヴェルフは最後のスープを飲み干すと、
木の椀をカタンと靜かに置いた。
鍛冶師としての誇り、クロッゾ家の血筋、
そして何より一人の男としての自意識。
それらが囁くのだ。
ここはお前の戦場ではない、と。
厨房の空気はもはや、二手に分かれた牝たちが
ベルの衣を剥ぎ取り、その純白の肌に舌を這わせるという
完全なる 淫夜 の幕開けを予感させていた。
「あ、あのさ、みんな……とりあえずご飯食べよ? ご飯!」
ベルの哀れな懇願など、牝の渇望の前では蚊の鳴く声に等しい。
春姫がねっとりとベルの耳を舐め上げ、
アルフィアが強引に乳首を口元に押し込み、
リリが太腿に顔を埋め、ヘスティアが唇を奪おうと顔を近づける。
四人の女の兵器が同時に火を噴くその光景は、
地獄の釜の蓋が開いたかの如き惨状でありながら、
背徳の極致にある桃源郷の如き靡びを孕んでいた。
ヴェルフは立ち上がった。
未練げに食卓を振り返ることもない。
彼は無言のまま、厨房の隅に掛けてあった上着を手に取った。
この ホーム は、今宵こそが 正真正銘 の
「ヘスティア・ファミリアの夜」なのである。
そしてその夜に、男は一匹しか必要とされないのだ。
「……今晩は、俺もヘファイストス様のとこにイクかな」
誰に聞かせるでもなく、翠色の瞳を遥か遠くの
神殿へと向けて独りごちた。
鍛冶場の煤の匂いと、熾火の熱だけが、
今の彼には救いの 楯 だった。
今日もまた、主神の元で鉄を打つことこそが、
この狂った雌の園から逃れる 唯一 の聖域なのだろう。
更新希望の原作
-
魔弾の王
-
落第騎士
-
ハイスクールD×D
-
月姫
-
モブせか
-
マジエク
-
のんびり農家
-
新妹魔王
-
八男