※この作品はR-18です。

ダークエロよろず短編集   作:カード読み込み

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ヒロヤン
リクエストお願いします

原作:落第騎士の英雄譚

キャラ:貴徳原 カナタ

竿役:政略結婚相手の中年男性。実は裏で解放軍とつながっていてカナタをレイプと貴徳原家の遺産を狙っている

シチュ
婚前交渉を求められたカナタは渋々了承する。ケガを防止する為と魔力と体の自由を奪う薬物を飲まされたあとでセックス開始する。
慣れない奉仕を頑張るカナタをあざ笑い中年とのセックスは続くが急に解放軍が部屋に乱入してくる。
自由が利かない体でカナタは立ちはだかるが、実は解放軍は中年が呼んでおりそのまま輪姦に突入、動画を撮影され家の資産を全て奪うと告げられたカナタは絶望し強制的に絶頂させられる。


を参考にした筈なんですが、なんか違うなぁ


カナタが強制種付けされる話・リクエスト

 

**深淵にて灯火を見る**

——赤座守、或いは父としての覚悟の記録——

 

 雨音は太古の記憶を想起させる。

 

 蝋燭の芯がぱちりと弾け、燈火が揺れた瞬間、

赤座守はまたしてもあの夏の日を思い出していた。

襖の隙間から漏れる陽光が、

畳の繊維一本一本を黄金の糸のように照らし出していたあの午後——

五歳の自分が祖父の喝采を浴びるはずだったその日を。

だが現実は違った。

現実はいつだって、期待と軽蔑の奇妙な合金で出来ていた。

 

 彼は書斎の窓際に立ち、硝子に張り付いた雨粒を眺める。

指先でその冷たい表面を撫でると、水滴は歪み、下方へと流れ落ちていく。

まるで自分の人生そのものだと、彼は毒のように呟く。

上昇することはあっても、最後には必ず墜ちる。

黒鉄という名の重力に引きずられて、地を這うしかなかった半生。

けれど今は違う。今は確かに、天空を仰げる力を手に入れていた。

もっとも——その力が果たして自分のものかどうかは別の問題だが。

 

***

 

 祖母が死んだ朝も、こんな雨だったと彼は思う。

 

 十一歳の彼は棺桶の傍らでじっと拳を握りしめていた。

納棺を拒んだわけではない。

ただ、棺蓋を閉ざすその僅かな時間を惜しむかのように遺骸を見つめていただけだ。

黒い喪服に包まれたその老人は、

生前より幾分穏やかな表情を浮かべていたように感じる。

守は小さく唇を噛んだ。

どうすればあそこまで静かに眠ることが出来るのかと。

結局その答えはわからないまま十五年の歳月が流れていった。

 

 その後の彼の人生はといえば、

文字通り泥濘の中に沈む船に乗るようなものだった。

黒鉄本家の跡継ぎ候補たちは皆それぞれに輝いていた。

天才肌の妹は無論のこと、異母弟である巌さえも統治者の才を見せていた。

兄妹仲の良さで知られる二人から隔離された空間で

守が学んだものは唯ひとつ——己の凡庸さという名の鎖だった。

 

 十代後半になると彼はもう諦めていた。

剣でも学問でも芸術でもなく、

唯一自分に出来る領域へと没頭していくことを選ぶしかなかった。

それこそが政治であり情報収集だった。

どんな些細な噂話を逃さないこと。

相手の弱点を見つけ出し対策を講じること。

血のにじむような努力によって彼は自らの存在理由を見出そうとした。

 

 だがどれほど策略を巡らせようと根底にある焦燥は払拭されないままだ。

 

***

 

 二十三歳——大学卒業とほぼ同時期、守のもとに父上が一つの提案を携えてきた。

 

「守よ、倫理委員会に入るつもりはないか?」

 

 予期せぬ申し出に戸惑いながらも内心ほっとしたものだ。

少なくともそれは自分を認められている証拠なのだと思えたからだ。

 

けれど——喜びは束の間だった。

 

彼が迎えた第一の洗礼は初任務での失態だった。

監督官として赴任した部隊で起きたトラブルを収拾できなかったのである。

原因は稚拙な判断力による誤報。

結果として多数の死者と負傷者を出してしまい報告書には赤文字が踊る羽目となった。

 

「赤座殿のご対応には疑問符が付く」

「やはり分家だからなのか」

そんな陰口が聞こえてくるたびに

彼は怒りよりも失望という暗い湖底へ沈んで行った。

 

その後も数々の失態が続き次第に人々から遠慮されるようになったある晩のことだ。

 

---

 

深夜零時を回った頃合いだろうか。

ひとり孤独な執務室で書類整理をしている最中に

扉越しに訪れる静寂があった。

 

誰もいない筈なのに妙な寒気が走り振り返る。

すると机上の照明器具だけがぽつんと佇み

それに照らし出された壁一面におびただしい影が映っているではないか!

 

漆黒の輪郭だけで構成された顔面たちは皆こちらを見つめていた。

彼らは何を言っているのだろう。

罵倒か叱咤かそれとも哀願なのかもしれない。

いずれにしても己の幻覚なのであったとしても

到底看過できない質量を孕んで迫ってくる。

 

守は慌てて電源ケーブルを引き抜いたものの

瞬間的に真っ暗になった室内には

さらなる無数の影達が潜んでいるようで怯えながら布団に飛び込んでしまう始末だ。

 

翌朝目覚めても胸の奥深くに重石のような疲労感がこびり付いている気がした。

 

以来しばらく同じ症状が続き医師による診断では

極度ストレスによる一時的症状とのことだったがあれ以降

守自身、己の内で幾度か影達との遭遇経験を繰り返すこととなる

 

---

 

三十路を迎えようという折——

 

転機を迎えた年として今更振り返ると感慨深いものがある

 

当時の上司に進められた婚姻。

無論、当人同士、双方同意上で成り立ったものではあるものの

当時はむしろ突然提示されたような気がしたものだ。

夫婦円満とは言いかねない日々とはいえ

子宝を得ることができた瞬間全てが変わったといえる。

 

妊娠期間中彼女のお腹越しに胎児の鼓動を感じ取った夜を忘れない。

生まれてきた子供を見たときは不覚にも涙腺崩壊寸前だった。

それは何故だったかと追想してみると二つの因子に要約できると思う。

 

一つ目は無論無条件の愛情という名の贈り物を受け取れた喜び。

 

そしてもう一つ————

“この子こそ自分の運命”として希望を託すことができたからだ。

 

もちろん理想としては健やかに賢く成長してくれることを願う一方で

潜在層ではどこか別の望みを投影していたことは否めない。

それが剣の冴えだったとしても学力であったとしても芸術肌だったとしても

とにかく自分以上になれるのでありさえすればそれで良かったのだ。

 

子育て開始直後——つまり零歳にして既にその片鱗を見せつけてくると知って

呆然となってしまう自分自身を思い起こす度苦笑いすらこぼれ出てくる。

 

赤座理人

 

同年齢とは明らかに異なる風格と存在感を持って育っていく子ども。

産まれた時既に体重12000gという数字以上の筋線維群。

そしてなんといっても瞳孔の奥底で煌めく不気味なまでの殺気混じり凶暴性。

毎夕刻繰り返される竹刀稽古でも師範たちから

恐怖とも羨望とも区別つかぬ視線を注がれてしまっていたほどだ。

 

 

彼——理人が生まれ落ちてくる前まで長らく抱き続けていた

空虚感と劣等感という名の鬼達も徐々に薄れつつあった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

**覇者の胎動**

 

漆喰塗りの壁にひび割れが走る古武道場は、昼でも薄闇を孕んでいた。

赤座守は隅の控室からその中央を見据える。

鼻腔をくすぐるのは木肌の乾いた芳香と、かすかな汗の酸味。

季節は梅雨の晴れ間、湿度の膜が剥きだしの床板に纏わりつき、

靴裏が吸いつく感触が脛から伝わってくる。

そこに歩み出た黒鉄王馬は、金剛石を削いでつくられた偶像のようであった。

 

長髪が疾風を孕む。

漆黒の鬣が靡くたび、周囲の熱を攫っていく。

黄金の双眸は焔ではなく氷柱のように凛と澄み、

眉根ひとつ動かさず中央線へ歩む足取りは武神のそれに他ならない。

黒鉄本家嫡子――《風の剣帝》

国内小学生騎士最強と謳われるAランク騎士だ。

王馬が歩み寄るたびに木床が沈む。

否、正確には木床ではない。世界そのものが重力を増す。

守は喉奥で唾を飲む。

憎らしいほどの才能だ。

 

王馬の先導役として控えていた若い騎士が跳ねるように壁際まで退いた。

畏怖だ。風帝の一挙手一投足に触れまいとする本能的反応。

守は膝上で緩慢に掌を開閉する。

(これが血筋……本物の……)

 

しかし今日ここに招いたのは我らが《覇天》───

 

「父上」

 

背後で響いた低い声音。

守が振り向かずとも分かる。

そこにあるのは重い気圧の塊だった。

 

息子・赤座理人。

 

大柄という形容詞では収まらない巨躯が窮屈そうに框戸を擦る。

着流しの袖口から覗く腕は樹齢千年の楠の幹の如き太さ。

脚捌きはゆっくりと地軸を捩じるがごとく重い。

理人は立ち止まり父を横目で伺い見た。

黒曜の双眸は底知れぬ深潭。

興味とも挑戦ともつかぬ光が刹那きらめく。

 

「行くぞ」

 

短い肯定。

理人が武道場中央へ足を踏み入れると、床板が軋みを上げた。

王馬の到来で増した世界の重力に、更に加重が乗る。

守は胸中に沸く矛盾した安堵と戦慄を押し込めた。

(そうだ……我が子だ。ワタシの血を引く子だ……!)

 

間合い三歩。

双方の間に無言の火花が散る。

王馬が鞘走らせる黒刀《龍爪》。

理人は無骨な大剣《覇天》を両手持ちに下げた。

 

「始めっ!」

審判役の教師が叫ぶより早く動き始めたのは王馬だった。

 

大気を裂く轟音―――

《クサナギ》

大地を抉る竜巻が迸り理人を襲う。

木製の梁がきしみ破片が宙を舞う。

常人の視界では黒い閃光にしか見えぬ刃が、

瞬き一度のうちに四十、五十と弧を刻み理人の肩口へ殺到する。

守の網膜に焼き付いたのは、

 

――――悉く受け切った鋼鉄の背面だった。

 

「ほう」

 

王馬の薄氷の吐息が聞こえた気がした。

 

固有霊装:《覇天》

質量200kgはあるはずの鉄塊が紙を撫でるように最小限で軌道を変え、

風の刃を往なしながら軸を揺らさない。

衝突地点では空間そのものが凹凸となり歪曲する。

真空の甲高い哭きが耳を刺した。

 

王馬は右足首を捻り即座に重心移動。

第二第三のクサナギを重畳させていく。

その連撃は一突きごとに暴風雨となり

木床に穿たれた穴から湿土が噴き上がる。

だが理人は歩幅を一切変えず緩やかに歩を進めただけ。

受け流すたびに大剣の赤錆が剥がれ金属の鈍色が露わになっていく。

膨大な運動エネルギーを受け止め、尚且つ方向を捻じ伏せる。

圧倒的膂力に支えられた《後の先》。

 

守の背骨に稲妻が走った。

かつて憧れた黒鉄の剣を無意味に嗤うかのような技量。

(あれが……私の子ですか?)

信じ難い現実が夢と溶け合う瞬間だった。

 

ついに王馬が息継ぎを求め後退した刹那――

理人が動いた。

 

踏み込みは三寸。

それだけで畳替わりの床板が蜘蛛の巣状に罅割れる。

同時に《覇天》が水平に伸びる。

刀身は直線と錯覚するほどの速度。

王馬は反射的に龍爪を寝かせ防御するが、

受けると同時に吹き飛ばされる。

 

「……っ!」

 

五条の傷痕が王馬の左袖を千切り

鮮血と共に紫紋の制服を裂いた。

だが彼は地面に伏すことなく

風圧を蹴って体勢を戻し再び刀を掲げる。

その眼光には愉悦が宿っていた。

相対者を認めた戦士の眼。

 

しかし理人の二の太刀は許さなかった。

 

「終わりだ」

 

静かな宣言とともに大剣が垂直落下する。

虚空を切り裂く轟雷。

咄嗟に王馬は《風神結界》を展開―――

が、間に合わない。

 

地鳴りとともに武道場が沈降した。

瓦礫と木材が雪崩を打ち、煙幕が舞う。

守は衝撃に咄嗟に身を屈めたが鼓膜が震えている。

硝煙の向こうに立つ影は一つ。

王馬は折れた梁材に凭れかかり片膝をついていた。

 

《覇天》の切っ先がわずかに逸れている。

致死域を寸で外していた。

 

「お前は一度、死んだ」

 

理人の声は鉱物の摩擦音のように冷え渡る。

王馬は肩で息をしながら血塗れの左手で木片を払い、

立ち上がると朗らかに笑った。

 

「くくっ……痛快だ。面白くなってきたじゃないか」

 

挑戦状のようにそう告げると踵を返す。

風を纏って歩む足取りは軽く、

負けた者の悔恨など一片もない。

武道場出口で一度だけ振り返った黄金の眼差し。

それは明らかな宣戦布告だった。

 

(これは序章だ)

と雄弁に訴えていた。

 

王馬が去ると砂塵も鎮まり返る。

守はゆっくりと中央へ歩み出た。

理人は汗ひとつかいていない。

黒いTシャツがぴたりと肌に貼り付き隆起した僧帽筋を晒しているだけだ。

 

「よくやりましたよ、理人クン」

 

口を衝いたのは単純な讃辞だった。

いつもより一段低く響いた自らの声に気づく。

理人は無表情のまま父を見下ろす。

 

「当然です」

 

言葉少なに背を向け換気用の窓を開ける。

真昼の陽光が射し込み舞い上がった埃に虹彩をつくり出す。

守は眩しさに瞼を狭めたあと深く肺へ空気を取り込んだ。

 

甘い木の香りの中に硝煙と血潮の匂いが混じる。

しかし胸中の澱みは跡形もなく浚われていた。

 

「守オジサン」

 

ふいに呼びかける声があり、振り返ると

黒鉄一輝が入口に立っていた。

衣服についた埃を払いながら眉尻を下げる。

「すごい……試合でした。やっぱり理人さんは強いんですね」

 

尊敬する兄に敗北を与えた直後の兄貴分を称える、

その声音には衒いなく尊敬と憧憬が滲んでいる。

守は珍しく自然な笑みを浮かべた。

 

「はははっ、いやはや惚れ惚れしますなぁ。

一輝君も見ていて勉強になりましたでしょう?

なんせAランク騎士相手ですからねぇ~?」

 

軽口混じりに返しながらも胸中は澄みわたる泉のようだった。

今までこの少年を羨みも嘲りもしたことがある。

己と同じ凡俗の烙印を押されながらも

諦めぬその姿が鬱陶しかった時期も確かにある。

 

だが今は違う。

 

王馬が倒れた瞬間、

守の中で蠢いていた劣等感という虫は灰となった。

自らの血から芽吹いた至高の剣威が

本家の頂点を踏み越えたのだ。

 

ならば甥の小さな奮闘など可愛らしく見えるというもの。

 

「さてとぉ……理人クンも一輝君も一緒にお昼にしましょう。

今日は寿司でも頼みますかねぇ?勿論私の奢りでぇっ!」

 

饒舌になり過ぎたかと危惧しかけるが止められない。

笑顔が剥がれない。

彼の笑みは決して美男の微笑ではない。

だがそこには独占欲と自負と慈愛が均質に煮凝った温度があった。

 

廊下に出るとき

理人と擦れ違いざまにふっと視線が交わった。

息子は淡々と言葉を漏らす。

 

「満足しましたか、父上」

 

唐突に問い掛けられ

守は虚を衝かれたがすぐにニコリと肯いた。

 

「ええ。とても良い気分ですよぉ」

 

その瞬間

長い雨季の後に訪れる真夏日のような解放感が全身を満たした。

赤座守という器に溜め込まれていた腐臭はすべて蒸発し

清涼な風が抜け行く。

 

これから私は優しくなれる。

世界に冷笑を向ける必要などないのだ。

なぜならここに君臨するのは我々なのだから。

廊下の先

朱塗りの欄干越しに見上げた青空は

まるで初めて目にした宝石のように瑞々しかった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

**紅の胎動**

 

燭台の蜜蝋が垂れ落ちる音だけが間延びした時を刻んでいた。

 

会食場は黒檀の長テーブルを挟み、十二人の座が並ぶ。

壁際には黒鉄家の紋章が施された燭台が等間隔に立ち、

その火揺れが漆喰の天井に幾重もの影を孕ませる。

暖炉では薪が微かな爆ぜを奏で、

油を含んだ木芯の燃える香が部屋全体を包み込んでいた。

 

赤座守は肘を卓に預けながらグラスの中の葡萄液を揺らす。

指先に触れるガラスの冷たさだけが唯一の現実感だった。

 

「──では決まりと言うことでよろしいですかな?」

 

広報委員会副長・篠宮が皺深い頬を吊り上げる。

老人の視線はワインの色より深く濁っていて、

そこに含まれる打算を隠そうともしなかった。

 

「赤座様、ご子息・理人殿の稀有なご才能……

これを次世代へと継承すべく、

もう一本の苗木を植えるのが必定ではございませんか?」

 

守は答えない。唇を僅かに湿らせただけで、葡萄液を一口含んだ。

 

「奥方様はお体が弱くていらっしゃると聞き及びます。

分家の血を惜しまぬためにも……後嗣が必要なのです」

 

副委員長の言葉尻に乗る卑近な俗念。

だが守にとってその陳腐な期待はむしろ都合がよかった。

 

理人のあの規格外の力が一点の曇りもなく存在を証明している以上、

あとは種を蒔く器さえあればよい。

 

「その“器”をお探しだそうですな?」

 

場末の椅子からゆったりと立ち上がったのは、

黒鉄家の顧問弁護士であり家門評議会の議長を務める老紳士だった。

 

「貴徳原家の御令嬢をご紹介申し上げましょう。

曰く、“紅の淑女”」

 

「……ほう?」

 

守の睫毛がわずかに上下した。

カナタ・貴徳原。若葉の家出身の財閥令嬢。

白磁の肌と眩耀の金髪を併せ持つ生粋の社交界の華であると噂には聞いていた。

 

「財閥のご令嬢といえば確かに“器”としては十分。

しかし先方は黙っておりますまい」

 

「ご安心を」

老紳士は皺を撫でながら微笑んだ。

「これは公式な縁談ではなく“同盟”。

互いに利便を認め合うだけのこと」

 

利便。守の胸に鉄球のような言葉が落ちていく。

 

利便ならわかりやすい。

政治的な交渉材料としての肉体。

それ以上でも以下でもない。

 

「それでは正式にお引き合わせいたします。

連盟よりの使いが迎えに参りますので」

 

老人の言葉が終わると同時に、扉が軽やかに二度叩かれた。

 

「失礼いたします」

 

滑り出てきたのは銀盆を携えた給仕頭。

盆上の客札には白亜の羽ペン字で一文字。

 

—K—

 

その頭文字を見た途端、

守の喉仏がひくりと上下した。

 

「ご令嬢のお越しでございます」

 

●   ●   ●

 

会食場中央へと続く赤絨毯の廊下。

燭台の炎が左右対称に列を成し、

橙色の舌を飴のように揺蕩わせている。

 

そこを歩む少女は聖母のヴェールを戴いた天使か菩薩の化身か。

 

純白のベルラインドレスが燈火を浴びて七彩に煌めき、

裾取りがゆらゆらと舞子のように翻る。

光沢の強く出るオーガンジー地は

彼女の肢体の起伏を透かせながらも秘匿し、

観る者の想像力を残酷なまでに煽り続けた。

 

腰周りへ縫い込まれた真紅のバラ刺繍は

血管図のように密やかに蠢き、

布の光の裏側から肌色を仄かに漏洩させる。

 

第一印象は清楚。

しかし視線を絡め取って離さぬ艶冶さは娼婦よりも妖しい。

 

彼女は鍔広の帽子を目深に被っているが、

それでも零れ落ちる金色の房飾りが肩を流れて乳房の谷間に絡む。

胸元はクラヴァット状の布で覆われているものの、

ドレス生地そのものの張力が抑えきれぬふくらみを孕ませ、

呼吸のたびに小さく波打っている。

 

歩幅は優雅。

ヒールの角度が四十五度に固定されると

背筋の弓なりが一際強く際立った。

 

脊椎の一直線が首根で緩やかに円弧を描き、

そこから鎖骨が燕の翼のように拡がる。

そして……

 

──膨張する丘陵。

 

膨潤の中心に走る布地の皺が浅い谷を拓き、

谷底から盛り上がる脂肪の山岳は

見る者の理性を容易く麻痺させてしまう。

 

歩を進めるたび山頂がかすかに跳ね上がり、

肩紐が上下を掠める微細な擦音が耳朶に届く。

その度に胸郭内部で乳汁色の幻灯が翳りを見せた。

 

対照的にウエストは極細。

肋骨と腸骨の可動領域が可能な限界まで絞られ、

ベルトのバックルが腰椎のすぐ下をきつく囲う。

 

腹部の平坦さは胃袋と肝臓と膵臓の所在さえ疑わせ、

その先で急激に扇情的な曲線へ変貌する。

 

スカート下から垣間見える腿肉は熟桃のごとき柔軟な重量を保持し、

けれど歩行のたびに筋繊維が潜む輪郭を現出させる。

腰幅と腿幅とのアンバランスが生む奇跡の曲率は

古代彫刻のヘレニック美を凌駕するほどの均衡美を誇っていた。

 

足首は華奢。

踝の骨が月光を飲み込んで尖る。

 

声は水琴窟。

口角から洩れる言葉は常に敬語ながら甘やかに濡れ、

聴く者それぞれの孤独へ媚びるように浸透していく。

 

そんな彼女が会食場へ姿を見せると同時、

空気の比重が変わった。

 

焚き木の煙に混じる柑橘精油とローズウォーターの香。

ドレスから零れた香水が守の鼻孔を擽り、

体内を巡る血液が不穏な律動を始めた。

 

カナタは入室するとまず礼式どおり一礼し、

銀鈴の笑声とともに名乗りを述べた。

 

「貴徳原 カナタと申します。

本夜は赤座様をお慰めできましたら幸甚に存じます」

 

緩やかな会釈。

その瞬間だけ額が露わになると、

琥珀色の前髪が薄紅の頬へ斜陽のように掛かる。

 

守は乾いた喉を無理やり咳払いで誤魔化した。

 

「これはこれは……

遠路はるばる恐縮ですぞぉ~、んっふっふ。

以後お見知り置きをぉぉ」

 

卑猥で粘つきの残る声音。

本来の自分ならこんな時ほど礼節を講じるべきなのに、

カナタの持つ芳香と体温と光沢が理性の蓋を緩慢に外していく。

 

席へと促す動作ひとつにも欲望が滲む。

右手を差し出せば自然と肘の内側で彼女の腋窩の熱を感じてしまう。

指先が触れた袖口からは絹の冷たさと脈拍のぬくもりが交互に伝播してきた。

 

席に着いた彼女は皿上のキャビアにフォークを落としながらも、

会話を絶やさぬよう巧みな語彙を用いて場を繋ぐ。

 

「理人様の昨日の御雄姿……武道館の隅々まで震撼しておりました。

私も同じ破軍の籍を預かる身として心踊りましたわぁ」

 

彼女の声は高くも低くもない中庸を保ちつつ、

最後の一音を必ず微かに伸ばす。

それが甘露となり脳髄を這う。

 

守はグラスに映るカナタの横顔を盗み見た。

伏せられた睫が灯火を梳き、

頬骨に落とす陰影が大理石を削った面影を思わせる。

 

「あんな力を我が家の柱と考える者は多いようでしてなぁ。

そこで今回……」

 

と切り出し掛けたところで守は自分でも驚くほど慎重に言葉を選ぶ。

目の前の肉感――否、肉体――は偶像的な女神像ではなく一個の人間なのだ。

 

しかし次の瞬間、彼の逡巡は霧散した。

カナタが自ら話の矛先を掴んだからだ。

 

「護国のための“畑”が要ると仰るのでしたら」

 

まるで何事も憚るものはないと言わんばかりの微笑。

カップを持つ指は嫋やか。

薬指に嵌められた翡翠のリングが光を呑む。

 

「我が家としても貴徳原財団の将来を考えれば、

ただ慈善事業に溺れるだけでは未来を担保できません。

ですので……“新しい協業”にご興味があれば宜しくお願い致します」

 

協業――婉曲表現。

守の眼前で少女の金髪が微かに揺れた。

揺曳のたび胸元の谷間が覗き、

その奥行きに収納された蠱惑の暗渠が観る者の想像を誘い寄せる。

 

守はグラスを傾けて一滴だけ喉に流し込む。

葡萄酒は酸っぱいほど若い。

だが今の彼にとっては甘露の如く甘く感じる。

 

「なるほどなるほどォ~。まさしく“利害一致”とはこのことですかねぇぇ。

こちらとしてもありがたいお話ですぞぉ?」

 

粘つく声を自戒する暇などもうない。

カナタがテーブルクロスの上で爪先を組み替え、

ドレスの襞がわずかに捲れ上がったからだ。

太腿の肌理を忍ばせた白絹がちらと覗き、

同時に魅惑的な香料が一層強まる。

 

思考が粘つく蜂蜜に囚われていく。

守の眼球はレンズを狂わせ、

彼女の胸部へと執拗にフォーカスを当てた。

 

谷底の陰は思った以上の深度で

呼吸のたびに布地の皺が複雑な螺旋を作る。

吸えば凹み吐けば膨らむ。

その物理法則さえ官能の演出装置と化し、

守の鼓動は掌底にまで疼きを送りこんだ。

 

視線から逃げるようにカナタは一瞬だけ俯いた。

が、すぐに瞳だけを上げてくる。

炎越しに見える瞳孔は新月の闇色。

そこには恐怖も羞恥もない。ただ静かな決意。

 

 

燭台の炎がひとつ、音もなく揺れた。

 

カナタの視線がその火芯を追い、

そして再び卓の向かいに座す男へと戻る。

赤座守の瞳は燭光を二つ映し、

いずれも脂っぽい輝きを湛えていた。

 

「素晴らしい……いえ、なんと申しましょうかねぇぇ」

 

守は杯をくるりと回す。

紫色の液体が円を描き、

彼の唇へ運ばれるまでの刹那にさえ意味深な粘稠を孕んでいる。

 

「貴徳原家の姫君がこのような……殊勝なお考えを抱いておられるとは。

やはり上流階級というのは違いますなぁぁ?」

 

殊勝――その婉曲な罵倒。

カナタは微笑を保ったまま咽喉元で小さく息を飲む。

吐息は甘いが、その奥に隠した歯噛みの痕が消えない。

 

内心は泥沼。

土砂降りの廃墟で裸足を濡らすような寒気が足元から這い上がる。

けれど外界の仮面は微動だにしない。

 

「国家の安寧のために出来ることがあれば、何よりの喜びでございます」

 

澄んだ声音。清冽な湖面を思わせる滑らかさ。

その水面下で脚を絡める藻草の群れが彼女の本音だった。

 

嫌悪? 当然だ。

誰が好き好んで父親ほどの歳の男に身を預けよう。

しかもカナタは彼の息子の――理人のクラスメイト。

学年に君臨する王に密かに懸想する日々の思い出が

紙屑のように揉み潰される。

 

けれど家。

貴徳原財団。若葉の家。支える子どもたち。

これらすべてを思えばこそ、

 

「お気持ちを汲んでいただければ幸いですわ」

 

と、ついに言った。

 

言ってしまった。

 

守の口角がゆっくりと上がっていく。

蛇腹のような唇の波がグラスを舐め、

次の瞬間には既に決定事項として響いた。

 

「では早速ぅぅ! 今晩にも場を設けましょう。

如何でしょうかねぇ? 貴徳原のお屋敷でも構いませんがぁ、

うちの離れもなかなか趣があって……」

 

離れ――その言葉を聞いた途端、

カナタの記憶が血飛沫を撒いた。

 

離れ。

古びた瓦屋根の寝殿造。

障子一枚で仕切られる暗闇。

理人が幼い頃ここで稽古をしていた夏の午後。

汗と埃にまみれながらも凛々しかったあの少年の顔。

 

あそこに自分が閉じ込められるのだ。

母親代わりとなるかもしれない存在として。

息子を慕うはずだった相手として。

 

胸の奥が疼いた。

疼痛。吐き気。恐怖。

すべてを喉の奥で嚥下し、

カナタは微笑を更に柔らかく調整する。

 

「どちらでも結構ですわ。

場所より重要なものがありますから」

 

「ほう?」

 

「双方の意思統一でございましょう?」

 

貴族的微笑の仮面がようやく微細な罅を宿した。

そこにこそ本音が露出したと知って守は愉悦に震える。

 

意思統一。

そうだ。同意さえ取り付けてしまえば法の網は簡単だ。

令嬢だろうが傀儡であろうが

本人が望んだと言ってしまえばそれで済む。

 

「勿論でございますともぉぉ。

こちらも誠意を持って挑ませていただきましょう♪」

 

挑む――競技ではないのに。

この男は本当に剣の錬成のように女体を狙うつもりらしい。

 

守は卓上で指を組み替える。

節くれだった指関節が鳴り、

その音がカナタの鼓膜を針で突く。

 

「それにしても……美しい」

 

突如落とされた囁き。

視線が肌を舐めた。

どこを?

答えは明白だ。胸。谷間。

ドレスの下で脈打つ柔肉の稜線を

彼は粗相なく鑑賞している。

 

嫌悪感が胃に到達した瞬間、

反射的に唇を噛むと血が滲んだ。

僅かな鉄臭が口内に広がる。

 

痛い。これなら我慢できる。

痛みは偽物ではない。

他者の言葉よりはるかに確かな現実だ。

 

「ありがとう存じます」

 

唇の出血を悟らせぬよう俯き加減に礼を述べる。

瞼の裏には紫電の閃き。刀華の真っすぐな瞳。

――私が折れないでいられるのは彼女のおかげ。

 

「ふふぅ……謙遜なさらないで欲しいものですなぁ。

ここまで鍛え上げられた肢体は芸術品です。

きっと素晴らしい“胤”を受けていただけるでしょう」

 

胤。そう呼ばれた瞬間、

カナタの背骨に氷柱が突き立てられた。

 

胤――苗床としての自分。

道具としての自分。

しかしそれでいい。

必要なのは結果だけだ。

 

若葉の家にいる幼い妹弟たちが明日も朝を迎えられるなら。

東堂刀華が、そして多くの市民が安全に暮らせるなら。

 

「では約束を取り交わしたということで宜しいですかなぁ?

おおっと忘れておりましたがぁ」

 

守は懐から小箱を取り出す。

漆黒の漆塗り。朱の螺鈿が夜空の星座のように散る。

 

「ご準備品です。最近の排卵誘発剤は融通が効きますぞぉ?

最新医療薬でございますのでぇぇ♪お好きな方をご指定ください」

 

つまり――

 

拒否権は最初からないということだ。

 

カナタは蓋を開ける指を眺めた。

黒曜石のような瞳孔が一段暗く沈む。

 

 

「……検討させていただいても?」

 

「もちろん。もちろんもちろんですとも!

なんと言っても大切なのは“タイミング”ですからねぇぇ!」

 

守は喜悦に満ちた声を上げる。

その隙を突いてカナタは立ち上がった。

 

「それでは一先ず失礼致します。

後ほど改めて詳細をお伺いしたく思いますわ」

 

足首が震えている。

しかし踵から膝頭へ垂直に伸びた背筋は完璧だ。

ドレスの襞がしなやかに寄り添い、

まるで彼女自身が炎そのものに化けたかのごとく

滑らかに離脱する。

 

扉の蝶番が呻きを上げた瞬間、守の呟きが追いかける。

 

「待ってらっしゃいねぇぇぇぇ……♪

我が最良の“作物”になっていただくのですからぁ」

 

金具を外し廊下に出ると同時に

カナタは壁へ凭れた。

肺が焼ける。酸素不足。

壁材の大理石が氷のように冷えていたおかげで意識は辛うじて保てた。

 

遠ざかる靴音。

彼女は帽子を脱ぎ捨てる。

黄金の髪が瀑布となって零れた。

 

額に汗が伝う。

嫌悪。怒り。絶望。

そして――それらを超えて突き抜ける、

 

責任。

 

唇の血を啜りながら呟く。

 

「……私は負けない」

 

その独白を聞いた者は誰もいなかった。

けれど言葉は廊下の硝子窓へ跳ね返り、

月光に晒されて浄化される。

 

硝子に映るのは紅潮した頬と

揺らぐ睫毛と

未だ折れぬ意志。

 

●   ●   ●

 

――その夜丑三つ時。

離庵の襖が重々しく閉ざされた。

 

雨音。燈火。檜の匂い。

障子を透けて漏れる青白い光条が

畳の目を撫でている。

 

布団の縁に座す少女。

肩で息をしている。しかし衣服はまだ乱されていない。

代わりに向かい合って胡坐をかく男の肩が隆起している。

酔いと期待で全身の腺が弛緩している。

 

「さてぇ……まずは形式的な確認といきましょうかねぇ?」

 

守は襦袢姿で膝を滑らせながら、

カナタの爪先から徐々に視線を上げていく。

 

白磁の脛。

細い脹脛。

絶妙な肉付き。

そして大腿の輪郭――

 

視線が止まる。

カナタは咄嗟に膝頭を擦り合わせるが

男の眼はその摩擦を愉しむだけだった。

 

「誓約書を交わしているとはいえぇ、

やはり当事者の合意確認は不可欠ですぞぉぉ」

 

契約。

婚姻ではない。子種だけを得るために。

彼女はすでに署名捺印を済ませていた。

 

紙切れ一枚で人格が踏みにじられる現実。

だが涙は出てこない。

泣けば弱さを認めるだけであり、

それは戦わないことに等しい。

 

「……どうぞお始め下さいませ」

 

嗄れた声。己のものとは思えぬ低い響き。

守の眉が嬉々として跳ね上がる。

 

「素晴らしい覚悟ですねぇぇ♪

ならば……私も遠慮なくいただきましょうか」

 

掌が伸ばされる。

温度。湿度。老樹皮のようなざらつき。

 

触れて来たのは踝だった。

骨を確かめるように摩る。

続いて足首。靭帯。

血管の脈動を探る指先。

 

「綺麗に整った腱だ……力強い。

まさに武の器でいらっしゃる」

 

褒められているのか嘲られているのか判別不能。

カナタは奥歯を軋ませながら

指を絡めとる行為を許した。

 

膝。脛。そして腿の裏へ――

 

「……っ」

 

息が漏れた。

ここから先は境界線。

肉体的領土侵犯の兆し。

 

守は薄笑いを貼り付けたまま顎を上げる。

 

「怖がらなくて大丈夫。

あなたの“使命”に必要な処置なのです」

 

使命。

言われなくてもわかっている。

だからこそ苦い。

 

「ええ……わかっており……ます」

 

強がりというより宣言だった。

自分の意思で踏み出すのではない。

突き落とされるなら尚更

最低限の矜持だけは持っておく。

 

指がスカートの縁を探り始める。

絹地が撓み、秘密の領域が剥かれていく。

視線がそれを追う。

喉が渇く。

唾を飲み込みたい衝動と

声を上げたくない我慢とがせめぎ合う。

 

その拮抗に守は気付いている。

わざと遅く。わざと厭らしく。

時間を引き延ばすことこそ征服の醍醐味。

 

「やはり……いい素材だ」

 

声帯の奥から搾り出すような陶酔。

次の瞬間には掌全体が臀部に宛がわれた。

肉の堆積を確かめるように掴まれる。

 

痛み。しかし叫ばない。

叫んだら終わり。

終わったら折れてしまう。

 

耐えること。

それは闘うことと同じ。

 

守の呼気が乱れる。

興奮に比例して彼の欲念が具体的な形へ凝り固まりはじめる頃――

 

――カナタは一粒だけ涙を零した。

 

気付かれぬよう瞼の裏で転がし、

すぐに噛み潰す。

 

涙は敵だ。

敵を流してはならない。

 

代わりに微かに口角を吊り上げる。

歪んだ笑みでも十分。武装としては十二分。

 

「早く……」

 

囁く。

誰の声かわからないほど掠れていたが

確かに聞こえた。

 

早く終わらせろ。

そう祈ったかどうかは彼女自身も不明。

とにかく言葉は放たれた。

 

守の瞳孔が開く。

待ち侘びた餌に飛びつく猪のように覆い被さってきた。

 

 

 

褥は檜の香りに満ちていた。

 

古木の寝殿が放つ微かな樹液臭に混じって、

燭台の蜜蝋が融ける甘苦い芳香。

そして――女体が発する、処女の蜜のような

怯えと期待の入り混じった体温。

 

赤座守は膝立ちになり、

目の前の獲物を測量する兵站将校のように視線を走らせた。

 

敷布に仰向けとなったカナタは、

それでも尚、背筋を崩していない。

肘を脇につき、両手は胸の上で組んでいる。

いわば臨戦態勢。

守はそれが可笑しくて堪らない。

 

「おおう……」

 

思わず唸りが洩れた。

女体の完璧さが目に焼き付きすぎて

声帯の制御が乱れる。

 

第一に――長身。

 

通常の女性より頭半分高い約170cm。

それでいて肢体は弓なりの弧を描きながらも

腰骨は猫科動物のようにきつく窄まっている。

相反する二つの比率が生み出す起伏が

男性を永遠に惑わせるという魔の勾配となっていた。

 

第二に――胸。

 

ベルラインドレスの絹が押しつぶしているはずなのに、

布の表面を膨らませて存在を主張する質量。

しかも固くはない。

軟膏を封じ込めた革袋のように微妙に蠢いている。

 

第三に――腿。

 

裾から覗く肉付きは筋繊維の密度が高い証拠だが、

脂肪という緩衝材も充分にまとわりつき

オスにとって理想的な"咥え込み感"を予告していた。

 

第四に――顔。

 

伏せ気味でも頬骨の端正さは隠せない。

睫は扇状に拡がり、伏せた瞳からは

今にも水晶が滴り落ちそうだった。

 

総じて――稀代の傑作。

 

守の節くれだった指が

彼女の足首から腓腹筋へ沿って上昇する。

まるで山岳測量隊が高度を測るようだ。

 

「ん……」

 

初めてカナタの声帯が軋んだ。

爪先がぴくりと内側へ巻き込まれる。

 

その反応を見て守は満悦の溜息を深く垂らす。

 

「お美しい……これほどの"素材"を抱くとは

生涯最大の幸運かもしれませぬなぁ」

 

言葉自体は恭順を装うが、舌の裏に潜む侮蔑は明らかだった。

 

カナタは瞳を上げる。

紫燭に照らされて金色の虹彩が琥珀のように曇っている。

 

「……お褒め頂き恐縮ですわ」

 

震えは最小限に抑えているが語尾に揺らぎが残る。

矜持と恐怖が均等に分岐していく危うい発声。

 

守は右手で帯を解き始めた。

左手は依然として腓腹筋の稜線を往復運動しながら。

 

帯紐が解かれる乾いた音。

これは二人の魂の縛鎖を解き始める序章の鐘だった。

 

ドレスの布地が滑り落ちる。

まず露になったのは襟刳りから胸骨の尖端まで続く素肌。

 

――白皙。

 

北欧美人の雪のような透明感。

血管すら見えそうな薄膜の下で心拍が規則正しく隆起している。

 

続いて肩甲骨。

羽ばたこうとする翼の痕跡。

浮き沈みの律動は呼吸より早い鼓動のせいだ。

 

最後に乳房の頂まで曝された時、守は一瞬呼吸を忘れかけた。

 

大きいのに重力に逆らう如く上向きに保たれている。

乳腺と脂肪の絶妙な配合が引力という自然摂理さえ欺く奇蹟。

 

乳嘴は淡い珊瑚色。

まだ外部刺激を受けたことはないと雄弁に語る控えめな陥没。

 

「くく……」

 

嗤いと共に守は自らも袂を払った。

厚い僧帽筋と贅肉が波打ちながら薄鼠色の裸躯を晒す。

体温が急に増えた。

汗とローズウォーターと古書庫のような湿潤な体臭がカナタの嗅球を襲う。

本能的に眉を顰めかけるが表情筋を鞭打って固定する。

これが私の道を選ぶ代償なのだと何度も自己暗示をかけるしかない。

 

守の掌が胸部に載せられる。

乳房全体を包むには余裕がありすぎるが、

敢えて指先を四方向に展開させて輪郭を測量。

 

「柔らかい……いや、柔らか過ぎるわけではない。芯を感じますなぁ」

 

批評的な分析口調。

女を物として扱う専門家の診察室に患者を押し込むような残酷さ。

 

「あ……」

 

吐息が漏れた。

自分の知らない部位を他人に占拠された時の根源的な不安と羞恥が脊髄を遡る。

守は乳房の中央核を探るように拇指を圧入。

カナタの瞳が一瞬開き切り、また瞬時に閉じられる。

睫毛が震え、汗が眦に溜まる。

 

痛いのか。

痒いのか。

それとも――熱いのか。

 

どれに該当するのか判別のつかない混沌に翻弄される。

 

「良い反応ですぞぉ。こうやって内部から熟れてゆけば……」

 

言葉の途中で彼は唇を乳房の外縁に接触させた。

感触は蛞蝓の這うような冷えた蠕動。

 

舌先が皮膚の皺一本一本を数えるように撫で回す。

そこでようやくカナタは確信に至る――これは拷問だ。

 

自分から申し出たのだから責められない。

むしろ自虐的な罰を積極的に求めている

狂信者の姿に酷似しているのではなかろうか。

 

そんな思考の坩堝へ堕ちかけた瞬間だった。

 

守が唐突に身体を離す。

そして膝立ちになり正面から彼女の顔を見据えた。

 

「さてぇ……儀式は進めますがその前に――」

 

唇の端を吊り上げて意味深な間を作る。

 

「あなた様は本当に“納得”なさっておりますかな?」

 

虚を突かれてカナタは眉を潜める。

 

「どういうことですの?」

 

「いえねぇ。貴徳原の姫君ともあろうお方が

こんな世俗的な方法でお国の為に尽くす必要が本当にあるのかと……

ふと思った次第ですぞぉ」

 

皮肉たっぷりの抑揚。

同時に彼の瞳は彼女の深い部分を探っている。

 

弱みを見つけ出し掌握するために放つ捕食者の眼光。

カナタは答えるより早く自分の心の中を見返した。

 

なぜ同意したのか。

国家のため? 違う。

若葉の家のため? 当然大事だが決定打ではない。

最大の理由は――あの男、赤座理人のために決まっている。

 

初恋。

一目見た刹那から胸が灼けつく存在。

その父親の子種を孕めと求められるなど

最上の皮肉か最悪の冗談か分からない。

 

しかし理人を想えばこそこの国を守りたくもなる。

矛盾しているようで必然なのだ。

 

「承知しておりますわ」

 

静かに宣言する。

自分に言い聞かせるような声音だった。

 

「これこそが私の果たすべき使命なのです」

 

守の目尻が弛む。

哀れみにも嘲りにも取れる複層的な曲線。

 

「分かりましたぁ。でしたら私も全力で応えると致しましょう♪」

 

再び覆い被さってくる。

今度は両脚の間に己の腰を割り込ませる。

物理的に逃げ道を塞いでから咽喉を啄ばみはじめた。

 

噛む。

吸う。

舐る。

 

「ふっ……う…っ」

 

噛まれた箇所は鮮紅に腫れ上がり所有標が刷り込まれる。

その痛みが何故か痺れとなり四肢末端まで充填される。

脳幹が警鐘を鳴らすのに理性は麻痺へ傾斜する矛盾。

 

――恐怖だ。

 

この肉体が自我を超えてしまう事態。

未知へ陥落する感覚が怖い。

 

「や……」

 

微かな拒絶が唇を掠めた。

だが次の瞬間、守はわざと聞き逃し指を口腔内に侵入させた。

 

指先で舌を攫み捻る。

人差し指と中指の間で挟んで撫で上げる動作を幾度も繰り返す。

口腔内の分泌が増えたのを確かめてからゆっくり引き抜く。

 

「ふふぅ。潤いが増して参りましたな」

 

揶揄しながらその濡れた指を下腹部へ移動させる。

股裂けのように開脚させながら秘部へと向かう。

そこはまだ閉ざされていた。

守の口元に邪悪な笑みが宿る。

 

「これからが肝腎ですからねぇ」

 

カナタの意識が急速に遠退きかけたとき、頭の隅に別の影が降りてきた。

 

――理人。

 

寡黙で粗雑そうでいて澄んだ眼差し。

同世代には無い深淵を湛える少年。

 

(もし……もし彼がこれを知ったら?)

 

考えただけで胸が攪拌され涙腺が焼ける。

 

(幻滅されちゃうかな……失望しないで欲しい……

これは私が選んだ道なのだから)

 

だからこそ耐える。

だからこそ憎む。

だからこそ――未来を見据えなければならない。

 

瞼を開く。

紫燭の焔が涙で歪み七色に分裂する。

その中に守の顔があった。

豚にも蛙にも似合わぬ狡猾な表情。

 

「最後にお聞きしますかねぇ」

 

耳朶を舐めながら問い掛けられる。

 

「本当に……良うございますか?」

 

嘲りの微笑。

答えは決まっている。

 

「どうぞ」

 

静かな肯定。

声色だけは淑女のまま。

 

守の口笛が低く漏れ――

そして指が核心部へ到達する寸前、

 

「ですが」

 

カナタは続けた。

 

「もし……私が今日ここにて授かり損なったら――」

 

目線を逸らさず真正面で睨み返す。

 

「その時はまた日を改めて“共同研究”させて頂きますわ」

 

挑戦状の一種。

お前は私を孕ませるのに相応しいオスなのか?という。

 

一瞬、守の眉間に皺が寄った。

しかしすぐ破顔。

 

「ほほう。見た目によらず猛々しい……」

 

愉快そうに嗤いながら彼は指を止めた。

 

「いいでしょう。では今日という夜は存分に愉しみ

結果については未来に預けると致しましょう」

 

その言葉と共に蹂躙が開始された。

 

 

褥の上でカナタは初めて亀裂を見せてしまう。

 

守の顔が下降してくる軌道を――

唇の接触を予期して――

彼女は咄嗟に顔を背けた。

ほんの僅か角度を修正しただけだが衝動的な回避動作だった。

 

それが失策だった。

 

「……ほう?」

 

守の双眸が喜色を含んで光る。

まるで狩猟本能を目醒めさせる最後の一滴だ。

 

「まさかとは思いますがぁ……“初めて”ですかねぇ?」

 

揶揄ではない。事実確認だ。

カナタの心中深層を射抜く矢。

彼女は反射的に否定しようと唇を動かしかけるが

そこで声帯が錆び付いたように停止した。

 

沈黙こそが最大の答え。

 

守の喉仏が上下する。

この獲物にはまだ生きた宝珠が眠っている――

そう確信した瞬間だった。

 

「なんとまぁ可愛らしい!」

 

突然大声で笑う。

哄笑と言ってよい歓喜の爆発。

彼女の羞恥心を煽る最高の火口蓋。

 

「良かったですなぁ。生涯一度きりの祝福を

この拙老めが担うとは……実に名誉でございますぞぉ」

 

掌で彼女の顎を掴み強引に正面へ向き直す。

同時に自分は舌なめずりをする蛭のごとく口腔を湿らせた。

逃げ道を塞がれた唇は艶やかに乾きを訴えている。

 

カナタの頭蓋内で理人の横顔が閃く。

ああ。理人。ごめんなさい。

私があなたのために選び取った道が

いま正反対の奈落へ足を踏み入れようとしている。

 

それでも抗えない。

眼前の老猿が発散する獣臭に

意志よりも原始の恐怖が先に竦むからだ。

 

守は指先で彼女の下唇を捲り上げる。

ピンクローズのような皮膜を露出させてから

自分自身の唇を重ねた。

 

最初は柔らかかった。

接吻と言うには淡い挨拶のように思えた。

だが間もなく――侵略が始まる。

 

厚い舌が蛇となって隙間を穿つ。

舌苔のザラついた質感とニコチンの臭気が一挙に侵入。

酸素を奪うほどの吸引に変化し

口腔内の空間を圧迫してくる。

 

「んっ……ふ…ッ」

 

逃げようと舌を引っ込めるが捕食者の吸引力は凄まじい。

根本まで掬われ巻き込まれて咀嚼される。

同時に歯茎の裏まで舌先で削られ

唾液という名の粘菌が流し込まれる。

 

(こんなの……キスじゃない)

 

嫌悪。嘔吐感。絶望。

それらが同一平面に並列し混乱する。

なのに肉体は逆らえない。

自律神経という不可避の機構が条件反射で涎を湧出させ

彼の舌を迎賓する準備を整えてしまう。

 

守はその分泌液を啜り上げ

「美味しゅうございましたぁ」と喉の奥で呟く。

 

ひと呼吸置いて再度攻め込んで来る。

今度は唇自体を咀嚼する。

噛み千切ろうかという勢いで甘咬み。

上下の唇が交互に拉げられ紅潮する。

吸われて解放された瞬間には

彼女の唇はぷっくりと腫れ上がる瑞々しい果実になっていた。

 

「可愛いぃ……もっと食べてしまいたくなりますなぁ」

 

欲望は指数関数的に跳ね上がる。

彼の腕は彼女の首筋へ回り

もう一方の腕は肋骨を抱き締め拘束網となる。

逃げ場ゼロ。唇の牢獄。

 

再び深いディープキス。

酸欠寸前の体内で心拍数が爆音を奏でる。

視界が霞む。聴覚が水底に落ちる。

そこに混ざるのはヌチャヌチャという不潔な水音だけ。

 

(理人……見ないで……お願いだから見てないで)

 

頭の中でだけ祈る。

返事など永久に返らない問いを投げかける。

だからこそ救いになる錯覚もない。

 

唇を犯しながら守の右手指は腋窩を探り始めた。

汗ばんだ凹地にまで侵入して神経末梢を探る。

触れるだけで肩胛骨が跳ねる。

皮膚電流が脊椎を通じて脳幹を攪拌し

危険信号のベルを鳴らす――けれど既に轟音に塗り替わっている。

 

さらに左手指は臍の下へ滑り込む。

未耕作地を丹念に掘り起こす農夫のように土壌を確かめる。

そこはまだ冷たく乾燥していて

守の加虐心を唆るには充分な材料だった。

 

「ほらほらぁ、“共同研究”の続きですぞ?」

 

唇を開放すると同時宣言。

銀の橋が糸を引きながら伸び切る。

それを見て彼は愉悦に浸り

舌で切断して飲み干した。

 

「素晴らしい純度ですねぇ……この清冽な味わいは

間違いなく“初摘み”と認めざるを得ません」

 

言葉巧みに彼女の尊厳を剥ぎ取っていく。

誉めているようで貶し、賞賛しているようで踏み躙り

憐憫しているようで搾取する。

 

カナタは喘ぎながら睨み返す。

残りの体力全てを瞳に注ぎ込んで抗議する。

 

だが守には効かない。

むしろより濃厚なサディズムを掻き立てる燃料だった。

 

「おおっと……まだそんな眼ができるのですか?

結構。結構ですぞぉ。折れない蕾ほど散り際が綺麗なものですから」

 

再び唇を捉える。

今度は角度を変え斜め上から差し込む。

長い舌が軟口蓋まで届き

ツゥッと引っ掛かる感覚に戦慄が走る。

 

――胃が躍る。

――膝が揺れる。

――頭蓋に火花。

 

三重の地獄。

だが同時に奇妙なことが起き始める。

 

嫌悪の奥底で何かが溶け始めている。

脳内で分泌される苦痛物質とは別の化学物質が滲出してきて

疼痛を甘露に変えようとしている。

 

(やめて……ダメ……溺れたら……理人……!)

 

慌てて内心の名を叫ぶ。

ここで堕ちてしまっては文字通り最期。

だが肉体の欲望は自己保存本能と共に利己的に芽吹いてしまう。

 

守はその兆候を見逃さなかった。

彼女の口腔温度が一段上がった瞬間、満足げに頷き口唇を離す。

 

「いいねぇ。“理解”が早くなっておりますぞぉ」

 

両掌で彼女の頬を支えたまま宣言する。

 

「ならば次は第二幕といきましょう。

あなたの奥歯を全部抜いてしまいたいほどの情欲に

どこまで応えられるか試す時間です」

 

彼女は返事をしなかった。

できなかった。

呼吸すらもまだ整っていない。

 

ただ――瞼の裏で理人の凛々しい横顔が

蜃気楼のように揺らぎ続けている。

 

それだけが今のところ彼女をつなぎ止めている

蜘蛛の糸だった。

 

◆◇◆

 

――褥の上に漂う香煙は二層になっている。

 

ひとつは焚かれた伽羅の古い芳香。

もうひとつは男女双方が撒き散らす汗と粘膜の匂い。

その混合物が室内湿度を飽和近くまで押し上げ

互いの呼気が曇り硝子のように輪郭を曖昧にする。

 

カナタは仰向けになったまま呼吸器を小さく鳴らす。

唇は赤く腫れ、舌先が乾いている。

けれど瞳孔はまだ理性の灯を保っていた。

 

守は上肢を起こし自身の襯衣をゆっくり脱ぎ捨てる。

四十路半ばの肚が出っ張った胴体を誇示するように晒しながら

彼は彼女の腹部を指で円を描き撫で始めた。

 

「次はどの穴から探検いたしましょうかねぇ?」

 

まるで子どものように首を傾げる。

だが指先はすでに答えを決めている。

恥丘へ向かい陰阜を探り当てる。

そこはまだ外界の刺激に怯えた襞だった。

 

カナタの喉から小さな嗚咽が零れる。

否認ではなく逃避の声色。

 

「怖がらなくて良いですよぉ」

 

言いながらも決して優しさは感じさせない調子。

寧ろ期待と興奮の交差点に立っている老獪の声。

 

「だって初めてでしょう? 大切に開拓してさしあげますから」

 

唇を奪われた時と同じパターン。

“大切”と言いながら荒々しい舌を突っ込む手法。

だから信用など微塵も築かれない。

 

その不信こそが彼女の唯一の盾だった。

理人への思い。国防の義務。貴徳原家の名誉。

これら三つの杭を束ねて己を支柱にする。

 

(負けない)

 

内側で強く呟く。

誰にも届かない宣言。

しかし宣言を支えに彼女は次の衝撃を迎え撃つ準備をする。

 

守の右手が更に下方へ滑る。

左手中指でクリトリスの尖塔を掠める。

途端に全身が弓形に跳ねる。

 

「おやぁ? 意外と敏感ですな」

 

楽しそうに観察メモを取りながら

今度は親指で周辺組織を揉み解し始めた。

まるでパン屋が生地を伸ばすような愛情のない捏造。

だがそこにも性感という名の酵母はあるらしい。

神経が蕩け始めジュースを生成しだす。

 

(感じちゃダメ……これは罠……!)

 

理性が警告するのに追いつかない。

下半身から発する電流が脳へ直接送られて

判断中枢の働きを阻害する。

 

守は彼女の反応を逐一採点していく。

「こちらはどうです? ではここまで?」

医師が麻酔深度を測るかのように

指圧の角度と時間を微妙に変化させる。

 

やがて裂け目の入口が緩んだ。

粘稠な露がにじみ出る。

彼は嬉しそうに頷く。

 

「おめでとうございます。第一関門突破ですぞぉ」

 

そして無造作に中指を沈める。

指腹が内壁を探る行為。

狭隘な洞窟で迷わないよう慎重かつ獰猛に進軍。

 

「いっ……!」

 

鋭い痛みと同時に灼熱感が走る。

身体内部で他人の異物が蠢く違和感。

思わず拳を握り枕を掴む。

 

守は動きを緩慢に変えた。

初陣の乙女に対してはやはり最低限の配慮が必要らしい。

ただし目的は破瓜による出血ではなく

“慣らし”と“快楽抽出”だということは明白だった。

 

「少し我慢なさってくださいねぇ」

 

まるで客席に向かって解説する演劇役者のように

朗々と言葉を吐きながら指先で螺旋運動を開始する。

壁を押し込み角度を変え圧迫と解放を交互に行う。

すると――奇跡のように膣腔が呼吸を思い出しだす。

 

収縮。拡張。収縮。拡張。

この反復が彼女自身の意思を離れて自動化される。

 

(嘘……嘘でしょ……!?)

 

恐怖と侮蔑に近い感情が迸る。

肉体の裏切り。脳への叛旗。

それを見て取った守は悪魔的に微笑んだ。

 

「いい顔ですぞぉ。“自分の身体が信じられない”という顔。

安心なさってください。あなたの身体はちゃんと

雄を求めていますから」

 

まるで証拠を提示するように抽送速度を上げる。

指一本とはいえ粘膜が擦れる音が室内に響きはじめる。

ピチュッ ピチュッ ――規則的な摩擦音。

 

それに同期して彼女の呼気も揺れる。

甘くはない。苦痛とも違う。

境界線上の吐息。

 

「あと少し慣れれば指二本もいけますぞぉ」

 

楽しみで堪らない口調。

実際に指が引き抜かれると透明な糸が伸び、途中で宙に切れる。

その断片を見てカナタは耳まで朱色に染まった。

 

「そんな顔をしないでくだされ。

褒め言葉ですよ?“よく熟していらっしゃる”と」

 

再度覆い被さりながら彼は宣言する。

いよいよ最終局面が近い。

彼女の両腿を肩に乗せる姿勢を取り

体重を利用して更なる開帳を促す。

 

カナタは天井を見上げた。

梁組みに染み込んだ煤が星図のよう。

そこに理人の横顔を投影しようとして失敗する。

 

「力を抜いてください」

 

守の低い声。

だが彼の手つきは依然として粘着質で

慈愛と征服欲の狭間を泳いでいる。

 

「これ以上……醜態を晒したくはありませんので」

 

辛うじて発した台詞。

自分の矜持を守る最後の牙城。

 

それを聞いて守は意外にも柔和に笑った。

「では協力してもらいましょうか」

 

言葉とともに彼の身体が滑り込む。

股間へ。楔のように。質量を持って。

 

破瓜の痛みが来る――はずだった。

ところが予想に反し鈍痛より先に熱量を感じる。

体温より高いマグマのような温度。

 

「……ッ!」

 

声にならない呻吟。

眼球が勝手に上方を見る。

梁の煤が滲む。揺らぐ。

 

守は根元まで挿入しきらず

浅瀬で一旦停止した。

そしてゆっくり前後に律動を開始する。

浅く深く。浅く深く。

 

徐々に探りながら最適な深度を探している。

彼にとっても初物は久しぶりなのだろう。

 

カナタは両手を畳に突き立てる。

爪が畳縁に食い込み抜けそうになるほど力を籠める。

痛覚を堪えるためだ。

 

だが意外にも痛みは思ったほど強くない。

確かに裂け目はあるが出血量は微量。

それ以上に心が痛くて、遂に涙とともに嗚咽が溢れた。

 

「り……ひと……」

 

掠れ声で呟く。

赦しを乞うわけでも助けを求めるわけでもない。

ただ愛する者の名を呼びたかった。

 

守はその呟きを聞くなり抽送のペースを落とす。

そして訊ねる。

 

「“理人”、ですか?あなたがいつも廊下で微笑まれていた――」

 

カナタの瞳が怒気で膨張する。

同時に身体全体が痙攣した。

許可できない領域への侵犯。

 

「ふむぅん……なるほどぉ?」

 

守は了解したという顔をする。

だが優しくはならない。

 

「分かりました。ならば我が自慢の息子の話をしながら続けましょう。

きっと趣向深い。何、我ながら親バカですからねぇ、いくらでもやれますよぉ」

 

非情すぎる提案。

だが彼にとっては好奇心旺盛な遊戯。

禁忌を冒すことへの狂喜。

 

「さあ“理人くん”が居ると思って喘いでご覧なさい。

それが叶えば私も昂ぶり甲斐がありますのでねぇ」

 

言葉を終えると同時に律動が急加速した。

先ほどまでの慰撫的な動作とは比較にならない激しさ。

臓腑ごと揺さぶられる暴威。

 

「ひゃ――っ!」

 

思わぬ嬌声が漏れ出る。

羞恥心と快感の板挟み。

どちらも本人の意思を超え外部へ放出される。

 

守は満足げに唸り

更に角度をつけ突き立てる。

結合部からは湿潤な音が明瞭に立ち上る。

 

――濡れている?

 

自分で疑う暇もなく第二波第三波が襲う。

子宮口が叩かれるたび火花が散る。

痛覚と快楽が融け合い判別不能な焔となり脳髄を炙る。

 

(やだ……気持ちよくなんて……!)

 

否定すればするほど肉体は反比例する。

蜜液が増え膣壁が蠕動し

男性器の形状を記憶しようとする器官的職務遂行。

 

守は勝ち誇ったように喉を震わせる。

「ほらご覧なさい。これが“身体の正直”という奴ですぞぉ」

 

彼の片手が乳房へ伸び

桜桃のような突起を捻り上げる。

局部と胸部から同時多発的に疼きが奔騰。

 

「いやぁっ……!」

 

遂に意味を持った哀哭が飛び散る。

それを聞いた守は悦に入って吼える。

「良い音色ですぞぉ! もっと奏でましょう!」

 

前傾姿勢をとり咽喉に口づけの雨を降らせる。

鎖骨沿いに吸盤痕を配置し所有権を主張する。

 

カナタの意識はついに薄れかける。

視界に暗転と閃光が交互に訪れ

己が何者であるかの境界線が曖昧になっていく。

 

 

股間の痛みよりも

胸に生じた深い疵のほうが大きな比重を占めていた。

 

畳の上にぽたぽたと落ちた斑模様は

既に乾き始め暗褐色へと変色していた。

 

――汚れてしまった。

 

思考はシンプルな結論に至る。

もう理人には何も返せない。

ファーストキスも初めての性行為も奪われ尽くした。

 

泣こうと思ったわけではないのに

頬を冷たいものが伝う。

 

「ごめんなさい……理人……」

 

掠れた声が誰にも聞かれることなく

伽羅香の残滓に吸い込まれていく。

 

 

伽羅の香が薄れる頃、カナタの身体は別の生き物へと脱皮し始めていた。

 

最初は抵抗であった。

痙攣するような緊張、異物を拒絶する粘膜の収縮、

そして痛みを信号として送り続ける神経の警鐘。

しかしそれも――あくまで最初の話。

貴徳原家の血が持つ適応性、それはただの才能ではない。

環境への順応、生き延びるための狡猾さ、

優雅なドレスの裾に隠された獣の本能が、今こそ覚醒したのだ。

 

「おやおやぁ……」

 

守の声が、愉悦と驚愕を綯交ぜにして響く。

 

「こんなにも早く馴染むとは。まったくもって恐るべき適応力ですなぁ。

貴方のご先祖様は、相当な淫靡な才能をお持ちだったのでは?」

 

カナタは答えない。いや、答えられない。

思考の大部分は白濁し、理人の名を呼ぶために残されたわずかなスペースも、

守の指が辿る胸の曲線によってかき乱されていた。

 

身体の内部――未知の領域が蠢いている。

押し入り蹂躙するはずの剛直を、

包み込み、絡みつくように迎え入れはじめているのだ。

意志に反し、肉体は彼の巨根に順応している。

熱く、激しく、まるで幾度となく交わしてきた情人のように。

 

「ふふぅん……素晴らしい。見事な適応力ですなぁ。

これはまさに才能ですよぉ。まるで私のモノを待っていたかのような――」

 

守の言葉は続くが、もはやカナタの耳には届かない。

 

なぜなら彼女の全感覚は、蹂躙されるべき聖域が貪られているという

現実を認識するために使われていたからだ。

内部の壁が柔らかくなり、異物にぴったりと寄り添っている。

まるで己が存在を告げるかのように脈動する男根を、

カナタの肉壁は何度も何度も収縮しては締め付けている。

 

(違う……これは違う……私が望んだことじゃ……)

 

か細い抗弁はすぐに押し潰される。

なぜなら彼女の身体は正直すぎるからだ。

守の抽送に合わせて揺れる腰、知らず知らずのうちに絡ませた脚。

嫌悪すべき感触の中にある甘美な疼き――

それを必死に否定しようとしても、肉体の方が先に答えを出し始めている。

 

「おやおやおやぁ? 今度は私の方から申し上げましょうか?」

 

守がニヤリと口角を歪める。

 

「どうやら私のモノが随分と気に入ったようですなぁ。

ほらほら、貴方の中がうねるように私を抱きしめてくださる。

まさか処女だったとは信じ難い……これはもはや愛人の領域ですぞぉ」

 

恥ずかしさに顔を覆うことも叶わず、カナタは歯を食いしばるしかない。

しかし閉じた唇から零れるのは、拒絶の声ではなく――熱を帯びた吐息。

 

「くっ……はぁ……」

 

僅かに開いた隙間から洩れるのは喘ぎか、それとも悔恨か。

その区別すら曖昧なほどに、彼女の身体は混沌の中にあった。

 

守の動作が変わる。

単なる往復運動から、一点を狙う集中攻撃へ。

ちょうど子宮口に近い内壁の皺を集中的に抉る動き。

カナタの喉が反射的に仰け反る。

 

「ここが弱点でしょうか? ふぅん……面白い」

 

獲物を見つけた猫のように目を細める守。

彼は右手の指をカナタの額に当てると、

 

「これから毎晩ここを可愛がって差し上げますからねぇ。

貴方に新しい快感の扉を開いて差し上げましょう。

これ以上の幸せは無いでしょう?」

 

その言葉通り、彼の指は器用に動く。

先端が触れていなくても分かる圧迫感――

外側から内側へ押し広げるような感覚が彼女を襲う。

 

「いや……止めて……っ!」

 

ようやく絞り出せたのは哀願の言葉。

しかし彼女の両腕はもはや抵抗の力を失い、

ただ虚空を彷徨っているだけだった。

 

守は満足げに笑いながら腰使いを加速させる。

荒々しくも確かなリズムが鼓動と共振し始める。

内部では充血し膨らみかけた突起物が彼女自身の蜜によって滑りやすくなり、

摩擦の減衰と共に快楽成分だけを凝縮させてゆく。

 

そして――

 

ドクン。

 

突然訪れた波に飲まれるように、彼女は仰け反った。

 

「いっ……!!」

 

声にならない声が喉を震わせ、視界が白い稲妻に塗り替えられる。

頭蓋の中で火花が爆ぜ、肋骨の内側が急速に収縮するような感覚。

初めて味わう極限の衝動――それがカナタを飲み込んだのだ。

 

守も同じタイミングで息を詰める。

己の根幹から湧き上がる灼熱の流れを抑えきれずに噴射。

その飛沫は当然のことながら最深部へと叩き込まれる。

 

ドクドク……ビュク……ッ!

 

大量の白濁がカナタの体内奥深くへ撒き散らされる。

火照った粘膜に触れるたびに新たな炎が立ち上がり、

彼女の神経網を焼き払っていく。

 

「あっ……あっ……!」

 

押さえきれない痙攣が続き、呼吸も整わない。

意識は遠ざかりつつあるのに快感だけは鮮烈に残り、

 

(もうダメ……助からない……)

 

そう悟らせるに十分すぎるほどの恍惚が肉体を蝕んでいた。

 

しばらくして――

 

「さてさてぇ……まだまだ終わりではありませんよぉ」

 

放心状態にあるカナタの耳元で囁く声。

守のモノは未だ萎える気配を見せず、

むしろ彼女の粘液と己の分泌物でより艶やかに光っている。

 

「今は序章にすぎません。

真の夜はこれからですよぉ。

まずは貴方のお腹の中に確かな種を宿すまで……

ねぎらいだとか慈悲などありませんので」

 

その言葉通り、彼は再び腰を沈め始める。

一度弛緩した身体は再侵入を迎える準備ができており、

僅かな抵抗の末に奥へ奥へと招き入れてしまう。

 

そして――二度目の蹂躙が始まった。

 

カナタは涙で霞む視界の中で思う。

この離れが漆黒の奈落となったような錯覚。

高貴な令嬢の仮面は剥がされ、

残されたのはただ欲望と恐怖に翻弄される裸身。

 

それでも尚……

 

(理人……理人……)

 

祈るように念じることだけは止めない。

どれほど穢されようと魂だけは渡さない、と誓う。

だが肉体の方はどんどん深みへ落ちていき――

 

守の剛直が再び穿たれる度、

彼女は溺れる魚のように口を開閉するしかなかった。

 

闇夜が明けるまで……赤座家の離れに淫靡な旋律は続きそうだ。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「良い趣味してるよ、親父殿……いや、ホントに。

クラスメイトが父親に種付けられてる映像見せられて、どう反応すりゃいいんだよ」

 

 

 

破軍学園生徒会室は、午後の斜光を琥珀色に濾過していた。

 

高くそびえる窓から差し込む光が、

磨き上げた会議テーブルの表面に幾何学的な紋様を刻む。

壁には歴代生徒会長の肖像が並び、

その最奥に位置するのが現生徒会長・東堂刀華の凛とした姿――

当然、現在の彼女はその椅子に腰掛けることなど叶わず、テーブルの下に跪いている。

 

「全く……親父殿の趣味にも困ったもんだ」

 

理人の嘲笑に似た溜息が、静寂を切り裂く。

 

スマートフォンの液晶画面には、

昨晩に父・守が撮影したであろう映像が再生されている。

そこにはクラスメイトたる貴徳原カナタが――あの清廉で気品溢れる財閥の令嬢が――

よく知る離れのベッドで男根を受け入れる光景があった。

否、受け入れるという生易しい表現では追いつかない。

もはや完全に屈服し、悦楽に眉を歪めている。

 

「しかもこんな高画質で送ってくるあたり……」

 

舌打ち混じりに呟く理人だが、その指は映像を停止しようとしない。

むしろ拡大表示し、カナタの震える喉元や濡れた陰毛を丹念に確認している。

膝元で小さく震える生徒会長が微かに身じろぎした。

 

「おっと。刀華、まだ休憩時間じゃないぞ?」

 

理人の声は氷点下。

だが次の瞬間には暖かく甘ったるい砂糖菓子の如き声音となる。

 

「ほらっ! テメェの大好きな“俺様のチンポ”だぞ? 

親友の痴態をオカズにして愛情奉仕してくれよ」

 

理人の剛直――刀華の細首ほどの太さに匹敵する凶器――が眼前に晒される。

 

刀華の瞼が震えた。

しかし反抗の言葉は紡がれない。高潔なる雷切は既に堕ちたのだ。

ゆっくりと唇を開き、熱い唾液で光る亀頭を迎え入れる。

 

「ん……ふぅ……」

 

生徒会長の敬虔な祈りにも似た口唇奉仕が始まる。

 

頬を凹ませ吸引する音が響く。

舌先が尿道口をほじくり、竿の裏筋を這う。訓練された奉仕技巧。

だがそれでも足りないと判断したのか、

理人は彼女の後頭部を掴んで腰を押し込んだ。

 

「フェラ下手糞だからイラマチオ補習だ。

生徒会長なんだし優秀なはずだろう? 

胃袋まで届くぐらい大きく口を開けろ」

 

喉奥まで犯される苦痛と息苦しさに

刀華の両眸が見開かれるが嗚咽すら漏れない。

絶妙な角度調整とタイミングで食道入口が擦られ、反射的な嘔吐感を誘う。

それこそが理人の好みなのだ。

 

一方画面ではカナタが四つん這いとなって蹂躙されている。

金髪が畳を叩き、財閥令嬢の口から甘美な媚声が零れ――

 

「んぶっ……! ごぼっ……!」

 

映像の嬌声と実演中の咳き込みが重なり合い奇妙な多重奏となる。

 

「ククッ……! 見てみろよ刀華。お前の親友のカナタがあれだぞ?

高貴な紅の淑女サマが下品に腰を振ってる。

だが安心しろ。今のお前も負けず劣らず美しいぞ?」

 

嘲笑と共に刀華の頭を上下に振り続ければ

半開きの唇から涎と先走り汁が滴り

純白のブラウスの襟元に醜悪な水玉模様を刻む。

 

(……カナちゃん)

 

親友の喘ぎと痴態に疼く女体の浅ましさに心が痛む。

それでも奉仕は止まらない。

むしろ激しくなるほどに。

 

「よし……そろそろ俺も射精するか」

 

理人は抽送速度を徐々に上げつつ

左手でスマートフォンを操作し映像を早送り。

守の声が録音されている箇所に到達した。

 

 

 

ほぼ同時に理人もまた

 

「親父殿に習って俺もお前の可愛いツラにぶちまけてやる!

しっかり顔全部で受け止めろよ!?」

 

警告と同時に彼女の口腔からペニスを引き抜き

顔面を跨ぐような体勢で屹立させた亀頭を近づける。

 

「キャッ――!」

 

悲鳴とともに射精が炸裂。

 

凄まじい勢いの精液が弧を描いて刀華の

睫毛・鼻梁・紅潮した頬を白濁で埋め尽くす。

しかも一度では終わらない。二度三度と濃厚な迸りが降り注ぐ。

 

映像の中でもカナタの全身が白く染まる。

一方現実の生徒会長もまた美しい容貌を雄臭で穢され

為すすべなく椅子の脚にもたれて蹲った。

 

「フウゥゥゥ~ッ」

 

心地よい充足感のため息をつき

理人はティッシュで亀頭を拭いながら嘲るように呟く。

 

「まあ……こういうのも悪くはないけどな。

ただし次回からは事前に教えてくれると嬉しいんだけどなぁ親父殿。

流石にいきなりは正直驚いたよ……」

 

苦笑交じりでスマホの電源を落とし

視線を床に伏せる刀華に向ける。

 

「おい刀華。まだ時間あるだろ?

せっかくだしこのまま続きといこうじゃないか」

 

理人が手を差し伸べる。

そこに載せられたのは彼女専用の黒革首輪――

生徒会長としてではなく雌奴隷としての印籠だった。

 

虚ろな瞳で見上げる刀華。

プライドと絶望と僅かな期待が交錯し

それでも抵抗なく首筋を差し出す姿は滑稽なほど美しかった。

 

(理人くん……わた……わたしは……)

 

首輪が嵌まり鎖が引かれる刹那

彼女は再び人間であることよりも玩具であることを選択する。

 

廊下には放課後の喧騒が遠く響いていた。

しかし扉一枚隔てたこの王国では

理性よりも原始の欲求が支配する――そんな黄昏時の一幕だった。

 

---

 

《後日談》

守は息子からの謝礼メールを読み

画面越しに満足気に笑みを浮かべる。

 

<次は是非とも三人一緒の日にしましょうか>

 

「ふふ……私に似たのか、悪趣味ですねぇ、理人クンは……?」

 

 

 

伽藍の香が燻ぶ離れの一室に、淫靡な交響が満ちていた。

 

画面の中で――見慣れた生徒会室で繰り広げられているであろう実演が、

高級な映像機器を通じて鮮明に投影されている。

巨大なスクリーンいっぱいに映し出されているのは、

メガネを曇らせながらも健気に奉仕する刀華の姿と、

それを俯瞰しつつ冷笑を湛える理人の横顔。

 

「ほほう……なかなか扇情的ではありませんか?」

 

守はソファにどっかと腰掛けたまま、

腿の上で小さく震える財閥の令嬢を眺め下ろした。

 

スクリーンには今まさに理人と刀華の第二幕が始まろうとしている。

カメラのアングルが変わると共に二人の痴態がアップで映し出され――

東堂刀華の潤んだ瞳がこちらを捉えた気がした。

 

カナタの肩が跳ねる。

 

「なんで……?」

 

掠れた叫びは却って罪悪感を増幅させるばかりだった。

親友が目の前(いや画面の中)で辱められている。

更にその相手は自分が密かに慕ってきた赤座理人なのだ。

 

「おやまぁ可哀想に。大切な親友さんがそんな目に遭っているのに

自分も放置されてるわけにもいかないですからねぇ」

 

守が唇の端を吊り上げた瞬間――

 

パンッ!

 

平手打ちが頬を打った衝撃で意識が現実に戻る。

 

「はいはい注意散漫ですよ貴徳原カナタさん。

そもそも貴方にも責任はあるのですからね? 

恋人も居ない年頃なのに男遊びも知らない箱入りお嬢様でしたから

私みたいな野暮な男でも簡単に引っ掻けられるんですからぁ~」

 

嘲笑混じりの批評。

それでもカナタは俯いたまま首を振るだけだった。

羞恥より先に恐怖が勝り声帯が麻痺しているのだ。

 

守の脂肪で膨れた指が顎先を掬い上げる。

至近距離で覗き込まれる双眸には侮蔑と好奇しか映っていない。

 

「理人くんも大概ですけど私も歳甲斐もなく滾っちゃいましてねぇ。

真面目で潔癖な生徒会長なんか連れ込んでやってるのに

肝心のヒロインが脇見をしてるんじゃ盛り上がらないでしょう?

なので今日は特別サービスで“二枚看板同時上映会”ですよ」

 

意味が分からない。

理解したくもない。

 

だが赤いスーツの腹部から覗く黒光りするペニスがすべてを物語っていた。

 

「待って――いや――」

 

後ずさろうと試みるが両腕は既に拘束されている。

刀華と理人と同じような黒革の首輪に繋がった鎖が

ベッドヘッドに固定されていたのだ。

 

「ちゃんと見届けましょうねぇ。“愛する理人くんと憧れのお友達の真実”を」

 

守が覆い被さる。

重量でベッドが悲鳴をあげる。

 

ドレスの胸元を裂く音と同時に肌蹴た谷間に熱い吐息がかかった。

先程のビデオで見たものより太い血管が脈打ちながらも

明らかに自己中心的にそそり立った逸物だ。

 

「ぐっ……!」

 

絶句する暇もなく無遠慮な挿入――いや挿入未遂。

質量も硬度も規格外。

理人が規格外の怪物なら守は中年の怪物だ。

 

 

(痛い……痛い痛い痛い――)

 

昨晩からの凌辱で早くも順応し堕ちた女体ではなく

年頃の女子高生、恋と友情に夢見る少女の心が拒絶し軋みを上げる。

それでも本能は悟る。抵抗は無意味だと。

 

「くくっ……やっぱ狭いですねぇ。こんなサイズで躾けたら

女の子が可哀相だと思っていたのですが案外杞憂だったようで。

貴徳原さんは適量を心得てるみたいですわ」

 

半分ほど埋没した肉棒を一旦引き抜き

汗と膣液と昨晩の痕跡を絡ませるように円を描きながら

再び根本近くまで捻じ込む。

 

ミチッミチッと結合部が異様な音を立てる。

 

カナタの瞳孔が開ききり眦に涙が滲んだ。

痛みよりむしろ無力感のほうが辛い。

 

守は構わずゆっくりとストロークを始める。

脂っぽい指が鎖骨と乳房の境目を舐めるように移動していく。

 

「素晴らしいですよその貌。

まるでお伽噺のお姫様が醜い怪物に攫われたみたいだ。

けれど現実逃避するのは良くないなぁ。

今貴方を犯しているのはれっきとした父親世代の権力者なんですよ?

それに貴方の親友は画面の向こうでちゃんと“感じてる”」

 

言われて咄嗟にスクリーンを見る。

 

理人が刀華の両脚を開かせ挿入し

ゆっくり腰を振っている最中だった。

制服は脱がされ片乳が露わになっているが

本人はどこか安堵したような表情を見せている。

声に出さない感謝――そんな空気が伝わってきた。

 

(嘘……嘘よ……こんなの……)

 

刀華のあの毅然とした面差しが

今や朱に染まり儚く蕩けていく。

 

絶望がカナタの胸を貫いたとき守の律動が変わった。

 

「そろそろ私も愉しませてもらいますよ?」

 

ズンッ! ズグゥッ!!

 

突如ピッチを上げる轟音ストローク。

カリ首が膣襞を削る感触が鮮明に蘇る。

疼痛と痒痛が綯い交ぜになった刺激が背筋を駆け上り

口端から甲高い悲鳴が洩れた。

 

「んんーっ!!」

 

「はいはい聞こえませんよぉ。

もっと盛大に啼きなさい。そう……もっと!……それとも……」

守の声が一段低くなる。

「理人くんの名前でも叫んでみます?」

 

「違う! あんな人なんか……っ!」

 

反射的に否定しながらも内心の憧憬を思い出し顔が火照る。

自分が理想化してきた偶像とこの暴力的な凌辱現場の乖離に混乱する。

 

その動揺を見透かしたのか守は口角を釣り上げ

一層深く抉るように腰を入れた。

 

「認めなさいよ。あなた理人くんのこと好きなんでしょ?

その想い人に苛まれる親友を見てショックを受けつつ

本当は羨ましいと思ってたんじゃない? 違いますか?」

 

「そんな……! そんなはず……あ…ッ!!」

 

否定しようとした瞬間最奥が抉られた。

視界が白く反転する。

 

「ほら来た来た。貴方みたいな良家の子女は何故か

普通のセックスよりこんな形のほうが燃えるらしいんですよ。

覚醒してる証拠です。さあ素直になりましょうねぇ」

 

激しくグラインドを続けながら

両乳首を抓りあげコリコリと捻る。

乳房全体を捏ね回す重量級の掌には残酷な温度がある。

 

「やめ……あぁ……ダメっ……!」

 

拒絶の言葉とは裏腹にカナタの腰が微かに波打った。

自分で気づけない無意識の迎合運動。

 

守が耳朶に湿った息を吹きかける。

 

「ね? 身体は嘘をつけませんよ。

貴方も刀華ちゃんも。全て同じ穴に入ってくる淫乱小羊です。

親友同士仲良く堕ちてくれて私も鼻が高いですわぁ」

 

「……堕ちてなんか……いな……っ!!」

 

必死に搾り出した抵抗。

それが最後の矜持だった。

 

しかし膣内の蠢きは雄弁で

収縮しながら先走りと汗を啜り

さらなる挿入深度を請うように蜜を溢れさせる。

 

守は低く唸ると急激に前傾し

ほぼ寝バックの体勢で体重ごと突き刺す。

 

「ぐぅッ!」

 

骨盤が砕けそうな重み。

杭打ちのごとき貫通感。

押し潰された乳房が布団との摩擦で疼く。

 

もう駄目だ――思考が空白になる寸前

カナタは初めて叫んだ。

 

「誰かっ! 誰か助けてぇっ!!」

 

ただ名前を呼ぶわけにもいかず漠然とした「誰か」に縋る。

それが唯一残された救いの糸口と思ったのだ。

 

守はそれを聞き拾って愉快そうに首を傾げる。

 

「誰が来るっていうんです?

ここは我が家の離れで監視装置付きで警備員付き。

しかも今日私が貸し切りにしたおかげで人払いも完了済みです。

あなたの飼い犬ですら招待客リストに入っていませんよ?」

 

絶望がカナタの中で決定的な形になる。

 

視界の端――スクリーンの方で刀華が果てていた。

巨乳を揉み潰さんばかりに込められながら乳首を吸われる音と同時に

全身を弓なりに反らせて昇り詰める姿。

 

守もそれに煽られたように速度を上げ

カナタの臀部と自らの下腹を乾いた破裂音で打ちつける。

 

パン! パァン! バン!!

 

「いい? これが大人の交わりです。

さあ一緒にいきましょう“貴徳原さんの膣内(なか)”に――」

 

「いや……やめ……!!」

 

「さぁ――」

 

ドクンッ!!

 

守の欲望が爆ぜた瞬間、熱湯のような奔流が胎内で炸裂した。

 

焼けるような感触。

堰を切った悲鳴がほとばしる。

 

「あ゛ぁあああああああッ!!!」

 

自我も矜恃もプライドも何もかも削ぎ落とされる瞬間。

眼球は虚空を見開き、爪先はシーツを掻き毟り

脳髄を真っ白に染め上げる絶頂が襲いかかる。

 

同時に膣壁は痙攣し脈動し

注ぎ込まれた子種を最後の一滴まで搾り取らんとする。

 

「はぁっ……ふぅぅ……素晴らしい。まさに財閥令嬢の膣穴だ。

高級娼婦なんて目じゃない充填度ですよこれは」

 

守がゆっくりと身を離すと

栓を失った穴から濃灰色の混濁液が逆流した。

 

カナタは仰向けのまま呼吸さえ忘れたように硬直している。

意識があるのか無いのか判然としない。

 

しかし股間を伝う温かな液体の感触だけが現実感を持っていた。

 

――こんなところで終わって堪るものか。

まだ戦うべき舞台があるはずなのに。

 

そう訴えようと瞼を震わせるが

今の自分がどれほど愚かしい格好をしているか想像するのが怖くて

ただ嗚咽を噛み殺すことしかできなかった。

 

 

 

燭台の火が揺らめくたびに、壁に投影された巨大な影が蠢いた。

 

スクリーンの中で、東堂刀華は跪いていた。

純白のブラウスはボタンを弾け、年齢不相応に実った豊乳が露わになっている。

涙で曇った丸眼鏡の奥で、彼女の瞳は既に焦点を失い、

生徒会長としての矜恃はどこへやら、

ただ腰を振る若い雄の所有物としての喜悦に塗り替えられていた。

 

「うぅ……とうかさん……」

 

呆然と呟く貴徳原カナタの声は、己の鼓膜にすら届かぬほど儚かった。

 

赤座家の離れ――外界から遮断された贅沢な檻の中、

高貴な財閥令嬢は無力な子猫のように縮こまっている。

彼女の眼前で展開する地獄絵図は、親友の転落だけでなく、

密かに憧れてきた赤座理人という青年の残酷すぎる正体を示していた。

 

「おやおや? 見てますねぇ。貴方の大切なお友達がどんな風に啼いているか」

 

低い鼻にかかる嘲笑。赤座守――五十路を迎えても尚、

分厚い脂肪を鎧うような「樽」は、ゆったりとカナタを嬲る。

肥え太った肉体から漂う加齢臭と香水の入り混じった匂いが、

彼女の嗅覚を侵蝕した。

 

「そらご覧なさい。理人くんは優しいですよぉ?

親友さんのあそこをこんな風に可愛がってくれている。

まったく羨ましいことこの上ない」

 

スクリーンではちょうど理人が跪く刀華の巨乳を膝で捏ねていた。

恥辱に顔を紅潮させて首を振る刀華だが、その肢体は悦びに弛緩している。

 

カナタの喉が蠕動した。

助けを乞うことすら憚られるような圧迫感。

守はその沈黙を充分楽しんだのち、突然背後から手を伸ばした。

 

「んっ!?」

 

掴まれたのは右の乳房――双丘のひとつ。

その巨大な脂肪塊は確かに守の掌に乗り上がるほどの重量感を持っていた。

 

「やっぱり大きいですねぇ。2年生でここまで成長するとは。

男子生徒の視線を一手に集めて当然ですわ。触りたくもなりますよね」

 

皮膚越しに感じる体温。ぷるんと揺れる柔肉の波紋。

カナタは振り払おうとするが四肢は既に絡め取られている。

 

「や……やめて下さいっ!」

 

か細い悲鳴。

しかし守の口角は吊り上がり、舌舐めずりをする。

 

「何をおっしゃいますか? 女性が声を荒げるのは興奮している証拠。

それに……」

 

ぐいっ――と力任せに胸を左右に引き千切るように拉し上げた。

 

「ぃあ゛ッ!」

 

悲痛な声が漏れる。

「貴方は今とっても“濡れてる”」

 

指が双峰の狭間を滑り落ちて鼠蹊部へ到達し、茂みを探る。

そこは既に薄暗い水気を湛えている――否応なく自覚させられる絶望。

 

「ほぉら見て下さいこの可笑しな形! 陰核が充血して腫れてきてますよ?

あれだけ大事に大事にお磨きされた宝石が

結局はこんな中年親父に玩弄される羽目になるとは――」

 

「やめ……てっ……あぅ……!」

 

爪先立ちの脚が痙攣する。

守は容赦なく蜜口に指を一本……二本……捩じ込み掻き回す。

 

「んひィっ――――!」

 

甲高い嬌声と共に透明な飛沫が噴出。

スクリーンの向こうでは刀華が同じような絶頂に突き上げられていた。

奇妙な同期現象に守は哄笑する。

 

「面白くなりましたねぇ。生徒会コンビ揃って“イキアクメ”とは」

 

言葉の棘がカナタの人格を剥ぎ取っていく。

彼女は恥辱の涙を零しながら首を振るしか出来ない。

なのに、醜悪な肉塊を咥えこまされた雌膣は主の蹂躙に歓喜の涙を零す。

 

 

守の巨躯がのしかかり、唇を奪った。

唾液が口腔に流れ込み、窒息しそうな甘臭が鼻腔を占領する。

 

「むぐっ――ふぅぅっ!」

 

蹂躙される柔唇。角度を変え角度を変え執拗な接吻。

彼女の白魚のような指は空中を彷徨い最後には硬い男の腕を掴んでしまう。

 

(こわい……助けて……誰か……)

 

守は狙い澄ましたタイミングで唇を解放した。

酸素を求めて喘ぐ隙間から紡がれるのは嗚咽混じりの懇願。

 

「た……助けて……! お願い……これ以上……やめてぇ……!」

 

言葉と矛盾して女の器官は疼き、剛直を欲するように収縮する。

守は薄笑いと共にその都合の悪い部分だけを信じた。

 

「ほうほう! “止めないで”だと? いやらしい女学生だ。

なら責任取って“こちら”にもきちんとお相手してもらいましょうか」

 

彼の右手が再び彼女の胸へ戻り左の乳房を鷲掴む。

手形を残す勢いで揉み潰しながら硬くなった乳頭を親指で擦る。

 

「ひゃっ!? ……くふっ……!」

 

乳首への直接的な電流。

 

 

「さあ? 親友と一緒に善いモノを見せて下さいよ。

高貴な貴徳原家の跡取り娘が平民以下の豚野郎に屈服する様をね」

 

その瞬間スクリーンで理人が刀華を寝かせ正常位に移った。

巨根がゆっくりと挿入される。

白い太腿が開かれ充血した粘膜に黒檀のような肉竿が飲まれていく。

 

映像と音声が生々しくリンクしカナタの臨界を超えさせた。

 

「あ……あ…!」

 

彼女は気づかない。

守の先端が子宮口を抉ろうと躍起になっている事実を。

次に訪れる衝撃に準備も抵抗もできないまま――

 

**ドプンッ!**

 

「んあ゛ぁあああッ!!」

 

咆哮。

どす黒い精臭とともに吐き出された汚泥のような精子が膣奥を灼く。

同時にスクリーンの刀華も絶叫し潮を撒き散らした。

 

二人の乙女は同じ地点で魂を削られた。

 

守は余韻も薄れぬうちに再抽送を開始した。

吐いたばかりの白濁を潤滑油に孕ませる目的で。

 

「ぐっ……いやっ……もうっ……やめてぇっ!」

 

懇願の声色はすでに媚びを含む。

だが守には通用しない。

それどころか彼女の言葉尻を捕らえて嘲る。

 

「『もう』? つまりこれからも何度も続く前提ですね。

正直で宜しい。ほらもう一度!」

 

パァンッ! パァンッ!

 

肥肉の巨体が叩きつけられる打擲音。

粘膜の擦過音。

乳肉が振り子のように揺れ褐色の雄乳が跳ね返る。

 

「ふぁ……あっ……だめっ……またイッ──」

 

守は腰を止めた。

あと僅かでピークを迎える筈だった少女の身体は宙吊りに。

 

「さてここで問題です。カナタさん?

親友が貶められて幸せそうな理由は何だと思う?」

 

唐突な問いかけ。

理性と快楽の狭間で喘ぐ思考回路に滑り込む。

 

「わ……わかりません……」

 

「ならば教えてあげましょう。簡単ですよ?

“彼ら”にとってはそれが幸福だから。虐げられ穢されることがね」

 

カナタの瞼裏に過る疑念――本当にそうだろうか?

 

「貴方も同じになれば分かりますよ。さあ答え合わせしましょう?」

 

再び猛然と開始される穿孔行為。

同時に両乳首を捻られ内臓を掻き乱される衝撃に思考が融解する。

 

「ひぃっ……!? いゃあッ! 知りたくないっ……知らないッ!!」

 

「ほぉら答えが欲しい! わたしの中に全部注いでほしいって!!」

 

「いやぁああッ! 注がないでぇっ――」

 

ドクン! ドクンドクン!!

 

灼熱の第二射。

膣壁が勝手にペニスを締め付け白濁を飲み込む。

迸る潮。反り返る肢体。黄金の髪が踊る。

 

「あ゛あ゛ぁぁぁッ!!」

 

絶叫と共に脳味噌が真っ白に染まった。

愉悦か絶望か判断不能な閃光が全身を貫く。

 

守は痙攣する膣から一気に楔を引き抜いた。

ピンポン球並みの泡立つ精汁が溢れ出し畳に斑を描く。

 

「これで……暫く遊べる玩具が出来上がりましたねぇ」

 

放心状態で横たわる財閥令嬢。

それでも美しい容貌は損なわれていない。

むしろ妖艶な匂いを帯びて魅力を増幅させていた。

 

「さぁ次は理人くんを召喚しましょうか?

親友と恋人――いや“好きなひと”でしょうか?

どちらの肉便器として使えるかテストしなければ」

 

守は携帯電話を弄りながら冷笑する。

絶頂の余韻と疲弊の淵にあるカナタの耳にその台詞は届いていない。

 

離れの窓硝子には夜明け前の薄紫が滲む。

贅沢な拷問は終わりではなく序章に過ぎないと告げていた……

 

 

 




某SSに刺激されて落第熱が高まったため、ちょっと優先
一輝に優しい親戚の赤座オジサン爆誕

カナタ・刀華のエロが少なすぎる問題
私もそうなんですが、ステラ一強過ぎて……

更新希望の原作

  • 魔弾の王
  • 落第騎士
  • ハイスクールD×D
  • 月姫
  • モブせか
  • マジエク
  • のんびり農家
  • 新妹魔王
  • 八男
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