※この作品はR-18です。

ダークエロよろず短編集   作:カード読み込み

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ワンパと言われようと一輝は劣勢からの大逆転が似合う
つまり、今は寝取られていても問題はない
最終的に人類の歴史的視点から大局的見地に立った道徳的勝利を収めればよいのだから


一輝の武者修行時代:賞金稼ぎの夢

 

 

 山の夜は深い。

 闇が水のように湛えられ、湿った空気が肺の奥まで染み込んでくる。

 その静寂の中に、肉が打ち合う卑猥な音が反響していた。

 

「あぁっ……ぁ、ンんっ……!」

 

 古びた山小屋の床板に背を預け、黒鉄珠雫は甘い悲鳴を漏らした。

 かつては硝子細工のように硬質だった紅玉の瞳は、今は涙に潤んで蕩けている。

 銀色の短い髪が汗で額に張り付き、荒い息を吐くたびに白磁のような肌が波打つ。

 

「おや、もう限界かね?」

 

 西園寺智樹は冷淡な声で問いかけながらも、

 その手は容赦なく珠雫の身体を貪っていた。

 藍染めの作務衣は袷から脱ぎ捨てられ、

 鍛え抜かれた男の裸体が薄暗い灯りの下で浮き上がる。

 四十路を超えた男の肉体は、

 しかし衰えるどころか研ぎ澄まされた刃物のような緊張感を孕んでいた。

 

「ち、が……ぃます……っ! もっと……もっと、お仕置きを……ッ!」

 

「ふん、殊勝なことだ」

 

 西園寺の大きな掌が、珠雫の胸を鷲掴みにする。

 一年前にはまだ発展途上であったその膨らみは、

 今や男の手に余るほどの重量感を放っていた。

 何度かの妊娠と出産を経て、オスの精気を吸って育った女肉は、

 扇情的な成長を遂げていたのだ。

 白く豊かな乳房は重力に従ってわずかに形を変えながらも、

 若さ特有の弾力を保っている。

 朱色の乳首は熟れた果実のようにふっくらと立ち上がり、

 西園寺の指先が摘むたびにビクンと震えた。

 

「ひぁっ……! おっきい……おっきくなって……っ!」

 

「当たり前だ。私の仔を孕み、私の精で育ったのだからな」

 

 西園寺は冷酷な笑みを浮かべながら、もう片方の乳房を口に含んだ。

 舌で乳輪をなぞり、乳首を歯で軽く挟む。

 その刺激に珠雫は背を反らし、悲鳴にも似た喘ぎを漏らした。

 

「あぁんっ! だめ……そんなことしたら……お乳が……っ!」

 

「出るか? 私の仔に吸わせるための乳が?」

 

「ちがっ……ぁっ! あぁっ……出ます……っ!

 おにいさまのために……おにいさまのために絞り出すのです……っ!」

 

 口では兄を理由にしながらも、

 珠雫の身体は西園寺に完全に作り変えられていた。

 胸の先端から白い液体が滲み出し、西園寺の唇を濡らす。

 それを舐め取られるたびに、珠雫の腰が無意識に跳ねた。

 

「嘘をつくな。お前の体は私だけのものだ。

 この乳も、この腰も、この濡れた割れ目も……すべて私が開発した」

 

「あぁっ……! いや……そんなこと……っ!」

 

 西園寺の手が珠雫の股間に滑り込む。既にぐっしょりと濡れた秘所は、

 指一本触れただけでひくひくと収縮し、男を求めて喘いだ。

 

「見ろ。こんなに濡らして。兄のためなどと言いつつ、

 お前は私に犯されるのを待っていたのだ」

 

「ちが……ぁぁっ……!」

 

 否定しようとした声は、西園寺の指が敏感な芽を擦り上げた瞬間、

 甘い悲鳴に変わった。珠雫の腰が浮き、無意識に西園寺の指を更深く飲み込もうと動く。

 

「おにいさま……おにいさまぁ……っ!」

 

「私の名を呼べ」

 

「し……西園寺せんせ……ッ! あぁっ……んんっ……!」

 

 名前を呼ばれた瞬間、西園寺の瞳が暗く燃えた。

 彼は珠雫の両脚を大きく開かせ、己の屹立した楔を押し当てる。

 ずぶずぶと肉を裂くような音が響き、珠雫の口からか細い悲鳴が漏れた。

 

「あぐっ……! おおきい……まだ……きつい……っ!」

 

「毎晩抱いているのにまだ慣れんか。まあいい、それがお前の良さだ」

 

 西園寺は一気に根元まで突き入れた。珠雫の身体が弓なりに反り返り、

 白い喉が露わになる。痛みと快楽が入り混じった声が山小屋に響き渡った。

 

「あぁぁぁっ!! 砕ける……お腹の中が……砕けちゃう……っ!」

 

「これくらいで砕けるか。お前の中は私の形を覚えさせたはずだ」

 

 西園寺は容赦なく腰を振り始めた。

 熟練した剣士の腰使いは的確で、容赦なく珠雫の弱点を突き上げる。

 そのたびに珠雫の豊かな胸が波打ち、汗と母乳が混じり合って飛び散った。

 

「ひっ……あっ……あぁっ! そこ……だめ……そこは……っ!」

 

「ここか? お前が一番感じる場所だろう」

 

「やぁぁっ! いや……おにいさまに……おにいさまに見られちゃ……っ!」

 

「一輝は来んよ。今頃は山中で刀を振っている。己の非才を呪いながらな」

 

 その言葉に珠雫の表情が歪んだ。罪悪感と背徳感が快楽と混ざり合い、

 頭の中を真っ白に染め上げる。兄のためという大義名分は、

 今や自分を正当化するための薄いベールに過ぎなかった。

 真実はもっと醜く、そして甘美だった。

 

「あぁっ……おにいさま……ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」

 

「何を謝る? 自分が雌であることをか? それとも兄を裏切っていることをか?」

 

「わかりません……っ! わからないけど……気持ちいい……っ! 

 西園寺先生のに……突かれると……気持ちよくて……おかしくなっちゃう……っ!」

 

「素直でよろしい」

 

 西園寺は珠雫の脚を肩に担ぎ、さらに深く突き入れた。

 子宮の入り口を叩かれる刺激に、珠雫は狂ったように首を振った。

 

「あぐっ! あぁっ! そこ……子宮……子宮を叩かないで……っ! 

 また……また孕んじゃう……っ!」

 

「孕めばいい。お前は私の雌だ。私の仔を孕み、私に養育されるのがお前の運命だ」

 

「いやぁっ! そんな……そんなこと……っ! でも……でもぉ……っ!」

 

 珠雫の抵抗は言葉だけだった。身体は正直に西園寺を受け入れ、

 奥深くで精を請求していた。子宮口がひくひくと収縮し、男の精液をねだるように蠢く。

 

「おにいさま……おにいさま……っ! 許して……許してください……っ!」

 

「私に許しを請うのか? それとも兄にか?」

 

「わかりません……っ! あぁっ……んんっ……! 

 イク……イキます……っ! わたし……イキます……っ!」

 

 珠雫の身体が痙攣し、白目を剥いた。

 絶頂の波が押し寄せ、思考を完全に焼き尽くす。

 西園寺はその瞬間を見計らい、最奥に向けて熱い精を放った。

 

「うっ……! 飲め……すべて飲み干せ!」

 

「あぁぁぁっ!! 熱い……熱いのが……子宮に……注がれるぅっ!」

 

 大量の精液が珠雫の子宮を満たし、溢れ出した白濁が太腿を伝い落ちる。

 二人の肉体が重なり合ったまま、荒い息遣いだけが山小屋に響いていた。

 

 やがて西園寺が身を起こし、汗ばむ額を拭った。

 その視線は冷徹に珠雫を見下ろしていた。

 乱れた銀髪、涙に濡れた顔、白濁にまみれた太腿……

 かつての傲慢な少女はどこにもいなかった。

 そこにいたのは、ただ男に飼い慣らされた一匹の牝だけだった。

 

「休憩は終わりだ。もう一戦したいなら水を飲んでこい」

 

「はい……西園寺先生……」

 

 珠雫はよろめきながら立ち上がった。

 脚の間から白濁が滴り落ちるのも構わず、彼女はペットのように西園寺に従った。

 その背中には、微かな哀しみと、抗いがたい快楽の影が張り付いていた。

 

 山の夜はまだ長い。そしてこの倒錯した関係も、終わりを見せる気配はなかった。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「んっ……ぁぁっ、せんせぇ……っ! おっきい……奥まで……届いてるぅっ……!」

 

 黒鉄珠雫は、まさに淫魔のごとく喘いでいた。

 かつて「深海の魔女」と恐れられた冷徹な瞳は今、涙と快楽に蕩けきっている。

 対面座位で抱き合い、西園寺智樹の逞しい首に細い腕を回してしがみつくその姿は、

 傲慢な妹君の面影など微塵も残していなかった。

 

「ふん、どうした深海の魔女。その口から出るのが雄を乞う媚び声とは嘆かわしい」

 

 西園寺は嘲るように言いながらも、その腰使いは止まらない。

 珠雫の小さな身体を上下に揺さぶるたび、結合部からは淫靡な水音が響き渡る。

 剣禅一如を体得した男の腰は鋼のように堅く、それでいて蛇のようにしなやかだった。

『珠雫のオマンコ専用に鍛えられた』と畏怖するべき凶悪な肉槍が、

 幼い蜜壺を容赦なく抉り続ける。

 

「あぁっ! だって……だってせんせぇの……すごいんですものぉ……っ! 

 おにいさまのこと考えても……もうダメなんですぅっ……!」

 

 珠雫の嬌声が山小屋に響く。兄への申し訳なさは最初から偽善に過ぎなかったのか? 

 いや違う。だが、その葛藤すら快楽のスパイスにしかならないほど、

 この身体は西園寺によって「完成」させられていた。

 

「ほう? 一輝のことはもういいのか。彼奴が聞いたら泣くぞ」

 

「おにいさま……おにいさまは……きっと喜んでくださるはずですわぁ……っ! 

 わたしが……せんせぇに可愛がられて……どんどん凄くなるんですものぉ……っ!」

 

 西園寺は眉をひそめ、唇の端に誇らしげな笑みを刻んだ。

 確かに──―弟子の一輝は強くなった。

 破軍学園の上位陣に伍するどころか、トッププロ魔導騎士とも互角に戦える域に。

 Fランクの出涸らし? 笑わせる。あれは紛れもない怪物だ。

 剣気だけで空間を震わせ、その目に映るものすべてを切断する『殺意の刃』。

 自分ですら、あの目に見据えられた瞬間の恐怖を忘れられない。

 もし己が普通の師匠であったなら、

 あの尋常ならざる修羅の気に当てられ、逃亡していたであろう。

 

(まったく……一輝がこの有様を見ることがあったなら。

 師匠としては少しばかり複雑な心境よなぁ)

 

 そう思いながらも、目の前の少女を征服する手は止められない。

 肉壺はまるで生き物のように収縮し、男の楔を柔らかく、しかし貪欲に絞ってくる。

 小ぶりな尻を両手で鷲掴みにし、さらに奥へと突き入れた。

 

「ひぃっ! あぁぁんっ!! 子宮……子宮の入口がぁぁっ……!」

 

「そう言えば、以前貴様の母から聞いたな。母親譲りの名器だと」

「お母様が……ですか……?」

「ああ。『うちの子達はみな具合が良いが、末娘のそれは特に別格』とな」

 

 西園寺の言葉に珠雫は一瞬呆然とした後、頬を朱に染めて俯いた。

 その初心な反応がなおさら可笑しく、西園寺は喉の奥で嗤う。

 母すら知る妹の胎内。それを我が物としている優越感。

 一輝はこの秘密を永遠に知る由もない。

 

「さて……そろそろ終幕だ。最後に兄を想って逝くか? それとも私だけ?」

 

 西園寺は抽迭を速めた。

 珠雫の背が弓なりに反り返り、銀糸のような髪が宙を舞う。

 焦点の合わない双眸が虚空を見つめ、意味をなさない喘ぎ声だけが漏れる。

 

「あぁぁぁっ! イク……イキますぅぅっ! 

 せんせぇの……せいえき……いっぱいくださいぃぃぃっ!!」

 

「良い子だ珠雫。お前に私の子種を与えてやる。次はどこに仕込めというのだ? 」

 

 西園寺は珠雫の耳元で囁きながら、最も深くまで楔を突き立てた。

 熱い奔流が胎内で弾け、少女の小さな身体は雷に打たれたかのように痙攣した。

 

「あひぃっ……!! 熱い……お腹いっぱいに……

 せんせぇのが……入ってくるぅぅ……っ!」

 力尽きて崩れ落ちる珠雫を支えながら、西園寺は窓の外に目を向けた。

 遠くで鈴虫の音がかすかに聞こえる。

 

 放たれた精の熱に身を灼かれ、

 黒鉄珠雫は脱力した人形のように西園寺智樹の懐に崩れ落ちた。

 痙攣する内壁がなおも男の楔を搾り上げ、一滴たりとも零すまいと貪る様は、

 まさに淫魔のそれである。かつて氷のように冷徹だった少女は、

 今や欲望の溶鉱炉にくべられた鉄屑のようにドロドロに溶かされ、

 再凝固することなくただ男に従属する雌の形へと流し込まれていた。

 

「ん……ぷはっ……ぁ、せんせぇ……」

 

 荒い息をつく珠雫の唇が、無防備に半開きになった瞬間、

 西園寺は容赦なくそれを塞いだ。舌をねじ込み、口腔内を蹂躙する。

 抵抗などあるはずもない。珠雫は嬉しそうに目を細め、

 自ら舌を絡めてきた。唾液を注ぎ込まれる嚥下音が、静かな山小屋にいやらしく反響する。

 

(……甘い)

 

 西園寺は脳の冷静な部分でそう評価しながらも、

 決して唇を離そうとはしなかった。師弟契約から一年。

 最初は兄のためという大義名分で身を差し出した少女は、

 もうその言い訳すら忘れたようだ。兄が山を降りて不在のこの夜、

「一輝のため」と唱える必要すらない。ただ快楽と服従のみが支配する密室。

 

(まったく、罪な女だ)

 

 舌を吸い上げながら、西園寺は思索を続ける。

 無論、思考の主題は目の前の雌ではない。

 我が愛弟子、黒鉄一輝の将来についてだ。

 

 一輝は強くなった。凄まじく強くなった。

 だが、世間はそれを知らない。

 彼はまだFランクの烙印を押された『伐刀者失格の落ちこぼれ』のままだ。

 魔力が絶望的に足りないという事実は、

 如何なる剣技をもってしても覆せない社会的障壁となって立ちはだかる。

 

 破軍学園への推薦状は出す。

 これだけの逸材を見逃すほど、私も耄碌してはおらん。

 だが、破軍は世界最高峰の騎士養成機関である。狭き門だ。

 推薦状一枚で素通りできるほど甘くはない。

 選考委員会の連中は、「データ」を重視する。

 Fランクというレッテル、過去の戦績の空白……

 それらが邪魔をして、書類選考で落ちる可能性もゼロではない。

 

(確実を期すのであれば、あやつに何か実績を積ませる必要があるだろうな)

 

 西園寺は珠雫の口腔を犯しながら、冷徹な計算を弾き出す。

 剣術大会か? いや、国内の大会では今更インパクトのある実績とはなり得ぬ。

 海外での武者修行? それも手だが、足がつきやすい。

 それとも……もっと血生臭い場所で、その剣を振るわせるべきか。

 

「んっ……ぅむ……」

 

 珠雫が喉を鳴らして唾液を飲み下す音が、思考のBGMとして心地よい。

 師として弟子の前途を憂慮しつつ、その妹の肉体を貪るという倒錯。

 この背徳的な二重生活こそが、西園寺智樹という男の本質であり、愉悦であった。

 

(「修羅」を見る目はある。……ならば、一度修羅の道へ放り込むのが手っ取り早いか)

 

 西園寺は心の中でニヤリと笑った。

 破軍学園への入学が決まった暁には、必ずや世間を驚愕させることだろう。

 そのための「叩き台」が必要だ。

 

 唇を離すと、銀糸が二人の間に引いた。

 珠雫は恍惚とした表情で、潤んだ瞳を西園寺に向けている。

 

「せんせぇ……おにいさまのこと……考えてらっしゃるんですか?」

 

「さてな。師として模範的な思索をしてやっただけだ」

 

 西園寺は嘘をつかなかった。

 ただ、その「模範的思索」の中身が、常人のそれとはかけ離れているだけだ。

 

「珠雫。一輝には少々、荒療治が必要かもしれんな」

 

「荒療治……?」

 

「ああ。あやつの剣は既に完成されつつあるが、心にまだ迷いがある。

 ……実戦という名の修羅場で、その迷いを断ち切らせる必要がある」

 

 西園寺はまだ結合したままの珠雫の腰を抱き寄せた。

 ビクンと身体を震わせる珠雫。その反応すらも愛おしい。

 

「お前もそう思うだろう? 愛する兄のためにな」

 

「はい……っ! おにいさまのためなら……わたし……っ!」

 

 珠雫は無批判に頷いた。もう彼女にとって西園寺の言葉は絶対だ。

 兄のためという名目は方便に過ぎないが、それでもその言葉を口にすることで、

 自分たちの関係を正当化しようとする健気さが残っている。

 

「よろしい。……では、続きだ」

 

 西園寺は再び腰を動かし始めた。

 思考の整理がついた今、再び男としての欲望を爆発させる時だ。

 山小屋に再び淫らな水音が響き渡る。

 一輝よ。お前が帰ってくる頃には、お前の妹はさらに深く私に染まっているだろう。

 だが心配するな。私は師だ。お前の剣を見極め、お前を最高の舞台へ送り出す。

 ……その対価として、お前の最愛の妹をもらうなどという些細な契約はするが。

 

 

「んっ……んんっ……! ふぅ……ぅっ……!」

 

 歳も体躯も遥かに上回る中年の厚い胸板に、成長著しい彼女の乳房は潰れて歪み、

 熟れた果実のように形を変える。硬く尖った乳首が、

 男の胸に吸い付くように擦り付けられ、痺れるような快感が背骨を駆け上る。

 珠雫は西園寺の首に細腕を絡め、吸い付くような口づけを貪りながら、腰を沈めた。

 

 兄の一輝は、武者修行のため今はこの山を降りている。不在である。

 だからこそ珠雫は、この背徳の時間に一切の遠慮も名目も忘れて溺れることができた。

「お兄様のため」という大義名分は、

 すでに風化してガラクタとなって床に落ちている。

 だが、彼女が兄を愛する心に一片の曇りもないことだけは真実だ。

 お兄様は大好き。世界で一番愛している。

 ───それとは別に、西園寺先生に抱かれるのは堕落するほどハマっているだけ。

 ただそれだけのことだ。

 

「はぁ……せんせぇ……っ! 先生の……奥まで当たってますぅ……っ!」

 

 唇を離し、糸を引く唾液を気にも留めず、珠雫は甘い声で鳴く。

 西園寺の肉杖は、彼女の身体を知り尽くしたように膣内を塗り替え、

 子宮口という最奥の扉を容赦なく叩く。剣聖と謳われた男の腰は岩盤のように安定し、

 その下半身から繰り出される突き上げは、まるで津波のように珠雫の理性を洗い流していく。

 

「お前も随分と素直になったな、珠雫。最初はあんなに嫌悪していたのに」

 

 西園寺が低く唸りながら、珠雫の腰を掴んでさらに深く迎え入れる。

 その声には、獲物を調教しきった男の傲慢さと、

 愛玩動物を慈しむような歪んだ情愛が混在していた。

 

「だって……っ! 先生のが……気持ちよすぎて……っ!

 おにいさまのこと考えてられな……ッ!」

 

 珠雫は泣きそうな顔で首を振りながらも、腰を止めることはできない。

 膣壁が収縮し、男の異物を逃すまいと絞め上げる。

 兄を想う純潔な乙女の心と、西園寺に飼い慣らされた牝の肉体。

 その二つは彼女の中で矛盾することなく共存し、

 むしろ背徳感というスパイスによって快楽を増幅させていた。

 

「あぁっ! イクッ! せんせぇのもので……わたし……壊れちゃいますぅぅっ!」

 

 絶頂の波が押し寄せ、珠雫は白目を剥いて西園寺に突っ伏した。

 ビクビクと跳ねる身体を抱きしめながら、西園寺は最奥へと熱い精を注ぎ込む。

 子宮に注がれる精液の熱量に、珠雫は「あへっ」と間の抜けた声を漏らし、

 完全に男に屈服した淫らな顔を晒す。

 

「……ふぅ」

 荒い息をつく珠雫の銀髪を撫でながら、西園寺は天井を見上げた。

 この少女は、単なる性処理用具などではない。

 彼の子を孕み、その身に宿した女としての自負と情が、

 西園寺の中にも微かに芽生えていることを自覚していた。

 修羅のような剣士と、夫婦のような関係。

 ソレこそが彼らを燃え上がらせる薪なのだ。

 

「んちゅ……っ、れろっ……んん……」

 黒鉄珠雫は、四つん這いになりながら西園寺智樹の股間に顔を埋めていた。

 兄の一輝が山を降りて三日目。

 最初は「お兄様のお留守番」という悲壮な決意で過ごしていた彼女だが、

 西園寺の手が触れた瞬間にその決意は霧散した。

 もはや「一輝のため」という大義名分すら口にする必要はない。

 ただ雄の匂いを嗅ぎつけ、発情してしまう雌の本能だけが彼女を支配している。

 

「ふむ……相変わらず下手な銜え方だな。

 剣の達者な妹君が、竿を舐めることのみ不得手とは滑稽だ」

 

 西園寺は皮肉交じりに呟くと、珠雫の銀髪を掴んで無理やり奥へと押し込んだ。

「んぐっ……! ぅぅ……っ!」

 喉奥を突かれ、珠雫は苦悶の声を上げるが、その瞳は恍惚と潤んでいる。

 口内を蹂躙される屈辱すらも快楽へと変換されてしまった証拠だ。

 舌が肉棒に絡みつき、

 先端から溢れるカウパー液を啜る音が、静寂な山小屋に卑猥に響く。

 

「ほら、一輝ならどうする? 己の不手際を誤魔化すために剣を振るうか?

 それとも舌先で誤魔化すか?」

「んっ……じゅるっ……! おにいさまは……っ! んぐっ……! おにいさまは関係ありませんっ……!」

 

 口から肉棒を引き抜かれ、唾液の糸を引きながら珠雫は喘いだ。

 否定すればするほど、

 兄への背徳感が快楽を増幅させることに彼女自身気づいているのだろう。

 頬を朱に染め、潤んだ瞳で西園寺を見上げるその表情は、

 兄を想う妹のそれではなく、男に媚びる淫魔のそれだった。

 

「関係ないだと? ……ほう」

 西園寺は鼻で笑うと、珠雫の華奢な身体を抱え上げ、そのまま畳の上に押し倒した。

 着物の袷から手を差し入れ、ま

 だ発育途上でありながら十分な柔らかさを持つ乳房を鷲掴みにする。

「あぁんっ……! せんせぇ……粗暴ですわ……っ!」

「粗者で結構。剣は繊細だが、女を抱くときは蛮勇に限る」

 

 西園寺は珠雫の両脚を大きく割り開かせた。

 秘部は既に洪水のごとく濡れており、ひくひくと収縮を繰り返している。

 剣聖の指がそこへ突き入れられると、珠雫は弓なりに背を反らせて啼いた。

 

「あっ! あぁっ! そこ……だめぇっ! おにいさまが……帰ってきちゃいますぅっ!」

「帰ってくるわけがなかろう。今頃は何処かの戦場で泥にまみれている最中だ」

 

 西園寺は冷酷に否定しながらも、指の動きを激しくした。

 内壁をかき回し、性感帯を的確に攻め立てる。

 珠雫の抵抗など最初からあって無きようなものだ。

 彼女は自ら腰を動かし、指を飲み込もうと貪欲に蠕動する。

 

「あぁぁっ! いいっ! せんせぇの指……すごいですぅぅっ! 

 お兄様は、最近、修行ばっかりで、シテくれないのにぃ……っ!!」

 兄への愛憎が入り混じった妄言。それが西園寺のサディズムを刺激する。

「シテくれない……か。ならば私が代わりにシテやろう」

 太い楔が秘裂に押し当てられ、一気に貫かれた。

 

「ひぎぃっ!!!」

 

 絶叫。しかしそれは苦痛のみではない。

 快楽の雷に脳を焼かれた雌の悲鳴だ。

 西園寺は容赦なく腰を打ち付けた。

 珠雫の最奥を突き上げ、子宮口を殴打する。

「あぁっ! あぁっ! あぁっ! せんせぇ! せんせぇ! すごいっ!

 おおきいっ! おにいさまより……ずっとぉぉっ!」

「当たり前だ。未熟児のような小僧と、私を同列に語るでない」

 

 西園寺は珠雫の足首を掴み、さらに深く穿った。

 汗と愛液が混ざり合い、淫靡な音を奏でる。

 兄を想う心など、この瞬間だけは完全に消え失せている。

 ただ目の前の男に征服される快感だけが全て。

 

「いくぞ珠雫。私の子種を受け取れ」

「はいっ! くださいっ! せんせぇの……全部くださいぃぃっ!」

 

 熱い放出が子宮を満たした瞬間、珠雫は白目を剥いて失神した。

 山小屋には荒い息遣いだけが残された。

 西園寺は事後に沈む珠雫の肢体を見下ろしながら、再び剣のことへ思考を戻す。

 一輝よ。お前の不在は、お前の妹を私に完全に明け渡すことになったぞ。

 だが心配するな。お前の剣には期待している。

 ……お前が戻ってくる頃には、

 お前の妹は私の匂いが染み付いて離れられなくなっているだろうがな。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 山の湿気は、肌にまとわりつく湿布のごとく粘ついていた。

 季節外れの長雨が降り続いているわけではない。

 標高千メートルを超える深山の、

 草木の呼吸が織りなす天然の結界が、この離れを外界から隔絶しているのだ。

 その閉鎖空間の只中で、熟成された果実が弾けるような卑猥な水音が反響していた。

 

「あッ、ぁぁッ……せん、せぇ……ッ!」

 

 黒鉄珠雫は、西園寺智樹の厚い胸板に乳を押し付けられ、

 半ば強製的な対面座位で深く貫かれていた。

 かつて「深海の魔女」と恐れられた氷の姫君は、

 今や熱湯で茹で上げられた海月のごとく形を失い、

 男の腕の中で無防備に蕩けている。

 

 西園寺は、焦らすように、そして容赦なく腰を回した。

 亀頭が、最奥の子宮口という敏感な襞を捏ねり回すように擦り上げる。

 それは剣客が鞘走る刀身で敵の急所をなぞるがごとき、

 絶妙かつ残酷な加減であった。

 

「ふッ……あの愚直な小僧は、今頃どうしているかな。

 魔境と呼ばれる地で、泥と血にまみれながら実績を拾い集めているのか、

 それともすでに誰かの肥やしになっているか」

 

 西園寺の口から漏れたのは、師匠としての憂慮か、

 あるいは間男としての嘲笑か。

 どちらも疑う余地なく、この男の中に棲まう本質であった。

 一輝が不在のこの山で、その最愛の妹をかくも深く犯しているのだ。

 薄々、珠雫の身に何が起きているか察しつつも、

 弱さゆえに目を背け、剣の腕のみを頼りに飛び出した弟子への、

 倒錯した優越感が勃起をさらに硬度へと導く。

 

「おにい、さま……っ! おにいさまは、関係っ……あぁッ!」

 

 珠雫は兄の名を口にしようとするが、

 子宮口を的確に叩き上げられるたびに、その言葉は悲鳴へと変調する。

 かつて「兄のため」と唱え、自らの身を売った大義名分は、

 西園寺の熟練された性技の前に風化し、今や形骸に過ぎない。

 彼女が今求めているのは、道徳的な免罪符などではなく、

 脳髄を白濁させる純度百パーセントの快楽なのだ。

 

「関係ない、であろう? お前の身体が真実を語っておるわ」

 

 西園寺は、珠雫の胸に埋もれていた掌を動かした。

 指に馴染んだ乳肉を、無造作に揉み潰す。

 白磁のごとき肌の上で、熟れた果実が圧迫され形を変える。

 指が深く食い込むたび、桜色の乳首が西園寺の胸板に擦れ、

 痺れるような快感が珠雫の背骨を駆け上がった。

 

「ひゃぁッ! いじら、ないでぇ……っ! ダメ、そこッ……ぉぉッ!」

 

「ダメなものか。これは我が弟子への授業料だ。

 それに、お前も心の底では理解しておるはずだ。

 あの小僧がいくら剣を振るおうと、

 お前のこの乳も、この壺も、一生満たすことはできんということをな」

 

 耳元で囁かれた背徳の言葉が、珠雫の理性を最後まで繋ぎ止めていた

 禁忌の堤防を決壊させる。

 兄への純潔な愛と、西園寺への歪んだ依存。

 その二つは互いに排斥し合うものではなく、

 背徳というスパイスによって化学反応を起こし、

 彼女を底なしの快楽の泥沼へと引きずり込んでいた。

 

「あぁぁッ! せんせぇの、おっきいッ……おにいさまより、

 ずっとぉ……奥まで、きてますぅぅッ!」

 

 口が勝手に兄との比較を口走る。

 それは珠雫の無意識の抵抗か、それとも更なる背徳感を貪る欲求か。

 西園寺は喉の奥で嗤い、腰の回転を止め、

 代わりに猛烈なピストン運動を開始した。

 

「ほざけ、小娘。剣だけが男の価値ではないと、

 私のこの肉棒が骨の髄まで教え込んでやろう」

 

 ズンッ! ズンッ! ズンッ! 

 靜として疾風迅雷。西園寺の腰使いは、

 まさに彼の剣理そのものであった。

 予兆を消した打突が、珠雫の最奥を連打する。

 

「あぐッ! ぁぁぁぁッ! イクッ! イッちゃいマスッ! 

 せんせぇの、せーえき……子宮に、注いでぇぇッ!!」

 

 絶頂と共に、珠雫は白目を剥いて西園寺にしがみついた。

 ビクビクと痙攣する膣壁が、男の楔を搾り上げ、

 子宮口が亀頭に吸い付くように収縮する。

 西園寺はその感触を確かめながら、

 熱い精をこれ以上ないほどの深さで注ぎ込んだ。

 

「……ふん」

 

 事後の靜寂の中、西園寺は気だるげに煙草に火を点けた。

 雨の匂いが少し強まったか。

 あの弟子は無事であろうか。

 死なれては困る。私の最高の傑作なのだから。

 だが、もし仮に戻ってきたとしても、

 待っているのは剣の師匠と、

 その胎内に別の男の子種を蓄えた妹のみ。

 その事実を知った時、あの高潔な小僧はどんな顔をするだろうか。

 西園寺は紫煙を吐き出しながら、

 胸に抱く気怠げな銀髪の少女の頭を撫でた。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「……ふむ」

 

 美作弥吉は、机の上に置かれた一枚の書類に視線を落とした。

 西園寺智樹からの推薦状。

 そこに記された名前は、黒鉄一輝。

 

「確かに、強い。逸材だ。逃すのは惜しい」

 

 美作は独りごちた。

 彼自身の目で見たわけではないが、西園寺の太鼓判がある。

 あの凝り固まった剣聖がこれほどまでに推すのだ。

 只者であるはずがない。

 黒鉄家の横槍も問題にはならない。

 美作自身の権威と実績があるし、

 実質的な黒鉄家のトップである赤座守が後見人である以上、

 無視できる障害だ。

 

「ただ……」

 

 問題は実績だ。

 あまりにも実績が皆無である。

 道場破りの記録はあるものの、公式の大会出場歴なし。

 伐刀者としてのランクはF。

 これでは、他の生徒や保護者から反発を招く可能性がある。

 破軍学園は実力主義だが、同時に看板もある。

 

「暫し保留とするか」

 

 美作は書類を脇に退け、深く椅子に背を預けた。

 そして、ゆっくりと視線を前に向けた。

 

 そこには、破軍学園理事長・千歳がいた。

 小柄な身体に、縄が食い込んでいる。

 その姿は、異様かつ淫靡であった。

 

「んっ……ぁぁ……っ」

 

 千歳は涙目で美作を見上げていた。

 口には猿轡が嵌められ、言葉にならない懇願を発している。

『ヤメテクダサイ』と。

 しかし、その瞳の奥には、微かな期待と快楽の色が混じっていた。

 

 美作はニヤリと笑った。

 この小柄な童女のような姿にして、

 熟れた果実のような肉体を持つ女。

 彼女を支配し、屈服させる悦び。

 それこそが、美作の支配欲を満たす最高の餌であった。

 

「ヤメろだと? 千歳殿。

 私がヤメるわけがなかろう」

 

 美作は立ち上がり、千歳に近づいた。

 そして、縄が食い込む乳房を鷲掴みにした。

 

「んぐっ!? ……ぁぁっ!」

 

 猿轡越しの悲鳴が響く。

 乳房は、掌から溢れるほどの質量を持っていた。

 柔らかく、温かい。

 指が沈み込むたびに、形を変え、弾力が返ってくる。

 

「このデカパイは、オレに挨拶もせずに揺れているんだぞ? 

 罰を受けるのは当然だろうが」

 

 美作は乳房を揉みしだきながら、

 乳首を親指と人差し指で摘み上げた。

 そして、捻り上げるように刺激する。

 

「んんっ!! ……っ! ……っ!」

 

 千歳の身体がビクンと跳ねる。

 背中を反らし、足先が痙攣する。

 その様子は、まさに快楽の波に溺れる小舟のようであった。

 

 美作は満足げに頷き、

 もう片方の手を千歳の股間へと伸ばした。

 縄の間から覗く秘部は、すでに濡れていた。

 愛液が糸を引き、太腿を伝っている。

 

「口では拒んでも、身体は正直だな。

 ほら、こんなに濡らして」

 

 美作は秘裂を指でなぞりながら、クリトリスを弾いた。

 

「ひぐっ!! ……ぁぁぁっ!!」

 

 千歳の目が見開かれ、涙が溢れる。

 拒絶の言葉は猿轡に阻まれ、

 ただ甘い喘ぎ声だけが部屋に響き渡った。

 

 美作は残酷な笑みを浮かべながら、

 さらに指を秘部へと挿入していった。

 

 

 

 

 三十年を超える月日が流れたというのに、

 千歳の容貌は蒼旻の幻の如く微塵も色褪せていない。

 いや、年輪を重ねるごとにその身に澱んだ熟韻が、

 幼い器の中で飽和し臨界に達した蜜のように、今まさに溢れ出さんとしているかにも見えた。

 

「三十少し前……あの壇上で、

 お前が理事長として挨拶をした時のことを覚えているか、千歳」

 

 美作弥吉は、肉厚の掌で鷲掴みにした乳房を、

 まるで粘土細工でも捏ねるかのように無遠慮に変形させながら、

 嘲笑を含んだ声で囁いた。

 

「あの時のお前は、 女王の如く冷たく、触れることすら叶わぬ高嶺の花だった。

 しかし今はどうだ? 縄の嘎音と嬌声を撤するだけの、オレの掌中の雌じゃないか」

 

 麻縄が、雪のように白い肌に深々と食い込んでいる。

 その桎梏は、千歳の小柄な身体を刺激的に裁断し、そして強調した。

 括れた柳腰には蛇のように巻き付けられ、

 豊隆たる双丘は上下から締め上げられ、本来の以上の主張を為している。

 熟れた桃の果実に擬えたその乳房は、

 縄の鬱血によって淡い藤色に染まり、病的な艶めかしさを放っていた。

 

「んっ……ぅぅ……っ! やめっ……」

 

 猿轡の隙間から、か細い拒絶が漏れる。

 しかし、その潤んだ紅蓮の瞳は、

 歓喜の涙を湛え、哀れなほどに雄を誘っている。

 薄い睫毛に引っ掛かった涙滴は、

 琥珀色の夕闇に透けて宝石のように煌めき、美作の昏い欲情を触媒させる。

 

(──このメスを、俺の物にしたい)

 

 美作の脊髄を、かつての入学式で目撃したあの幻影が電撃の如く走抜ける。

 あの日、壇上に立つ千歳を見た瞬間、

 彼の胸中に巣食ったのは、純粋な憧憬などではなかった。

 あの神聖不可侵の美貌を泥に塗り、穢し、服従させるという、

 倒錯した破壊衝動であったのだ。 そして今、その妄執の対象は、

 目の前で縛り上げられ、己の欲望のままに鳴いている。

 

「身体は正直だな、理事長殿。口では『やめろ』と言いつつ、

 この淫らな乳首は、俺の指紋の形に硬く尖っているぞ」

 

 美作は、桜貝色の乳嘴を指先で弾いた。

 ビクンッ! と千歳の全身が反り返る。

 肋骨が浮き出るほど身体を震わせ、痙攣するたびに、縄が食い込む肉が波打つ。

 その蠢きは、深海に棲む妖精の舞踏のように妖艶であった。

 

「あぁッ! ぁぁッ……っ!」

 

 美作は、さらに残虐な指技を見せつけた。

 乳房の根元を掌で圧迫し、先端を口に含んで強く吸引する。

 舌の粗糙で乳暈を擦り上げ、舌先で乳管の開口を弄ぶ。

 その際どい愛撫に、千歳は白目を剥きかけ、

 首を振って抗おうとするが、縄の拘束がそれを許さない。

 

「三十年分の欲情を、その身に教え込んでやろう。

 お前は、ただ俺のチンポを咥えて喘ぐために存在しているんだということを、

 その子宮に刻み込んでやる」

 

 美作は、着物の袷を乱暴に掴み、露わになった下半身へと視線を這わせた。

 縄が割り込む秘裂は、愛液の霧雨に濡れそぼり、

 昨夜の情事の余韻を恥じらいもなく物語っていた。

 紅蓮の瞳は、快楽の淵に沈み込み、もはや理事長の威厳など欠片も残ってはいない。

 

「さあ、千歳。入学式までに、立派な『肉奴隷』に仕上げてやる。

 破軍学園の長として、生徒の模範を示す必要があるだろう?」

 

 美作の巨躯が、千歳の小柄な肢体を覆い隠す。

 暗闇の中で、再び卑猥な水音が響き始めた。

 それは、天才教育者と呼ばれる男が、

 己の欲望を満たすための、背徳的な授業の始まりであった。

 

「ふんっ……!」

 

 美作弥吉は、千歳の口を塞いでいた革製の猿轡を乱暴に引き剥がした。

 粘ついた唾液が銀色の糸を引き、千歳の唇という熟れた果実の表面に光る。

 

「はぁっ、はぁっ……っ! み、みまさか、せんせぇ……っ!」

 

 解放された唇から溢れ出したのは、

 いつもの澄ました理知的な声などでは到底なかった。

 喉の奥で粘度を増し、熱に蕩けた雌の啼き声。

 それもそのはずだ、これほどまでに開発したのだから。

 美作はニヤリと口角を吊り上げた。

 

 理事長室の防音設備は、帝国ホテルのスイートルームをも凌駕する。

 ここでどれほど嬌声を撒き散らそうと、外の廊下を歩く生徒の耳に届くことはない。

 届いたところで、と美作は皮肉な笑みを深める。

 独身の男女が、合意の上で肌を重ねているだけだ。

 身分的に結ばれても何ら不思議はない。

 真っ昼間から学校で、

 しかも理事長の執務室という神聖な空間でおっ始める貞操観念の無さについては、

 あのお堅い折木有里あたりが真っ赤な貌で抗議してくるかもしれないが──

 そんな可愛い反撃もまた、想像するだけでペニスに血が集まるというものだ。

 

「どうした千歳。さっきまでの威勢はどこへ行った? 

『やめてください』『不敬です』とやかましかった口が、

 今は俺の指先一つでポンコツみたいな声を出しているじゃないか」

 

 美作は、縄で締め上げられ鬱血した乳房を、さらに無遠慮に揉みしだいた。

 熟れた桃のごとき柔肉は、美作の荒れた掌の中で形を変え、

 乳首は充血して赤黒く変色し、勃起している。

 三十年来の妄執を込めて、乳嘴を爪で弾く。

 

「あぁッ! オホッ……!! ぁぁッ、そこっ、ダメェッ……!」

 

 ビクンッ! と千歳の小柄な身体が跳ねる。

 括れた腰が宙を切り、安産型の尻肉が椅子の革と擦れて淫らな音を立てた。

 あのお高く止まった理事長が、である。

 かつて壇上で冷徹な眼差しを向けた女が、

 今は自分の下で白目を剥きかけ、メスの声で鳴いている。

 この倒錯した光景こそが、美作の嗜虐心を不可逆な領域へと駆り立てる。

 

「先程保留にした一件についてだがな、千歳。

 あの小僧……黒鉄一輝の件だ。実績が足りねぇ。だが、実力はある。

 西園寺の話じゃぁ、実績作りに賞金稼ぎをやってるみてぇだから

 判断はソレ次第だな……ギリギリまで入学枠は埋めんな」

 

 美作は、千歳の耳元でわざとらしく業務連絡を行った。

 極めて事務的な口調とは裏腹に、彼の手は千歳の秘部へと伸びている。

 縄が食い込む股間、その奥はすでに洪水のごとく濡れそぼっていた。

 愛液が太腿を伝い、高価な絨毯に染みを作っている。

 

「あふッ……! んんッ……! いっき、くん……っ? 

 いいのですか……彼を、入れて……オホォッ!!」

 

 美作の太い指が、濡れそぼった秘裂を割り開き、最奥のポイントを的確に突き上げた。

 千歳の問いかけは、瞬時に喘鳴へと変調する。

 脳髄を直接弄られるような快感に、理性のタガが外れていく。

 

「入れるさ。俺が認めた素材だ。

 それに……お前もそう望んでいるだろう? 

 俺が更多くの『傑作』を生み出すことを」

 

 美作は指を抜き、代わりに怒張した一物を秘口に押し当てた。

 亀頭が粘膜を擦り上げる感触に、千歳の背筋が凍えるような战慄が走る。

 恐怖と期待。拒絶と懇願。

 そのすべてが混ざり合った紅蓮の瞳が、美作を見上げていた。

 

「さあ、千歳。……俺を受け入れろ。

 そして、俺の『教育方針』に賛同するんだ」

 

 ズリュッ……! と、容赦ない侵入が始まった。

 強引な拡張に、千歳の口から悲鳴とも嬌声ともつかぬ叫びが迸る。

 

「イィッ!! アァァッ!! オホォォォーッ!!!! 

 

 破軍学園の長が発するにはあまりにも下品で、

 あまりにも悦びに満ちたオホ声が、防音壁に包まれた室内に反響した。

 それは美作にとって、どんなオーケストラよりも甘美な凱歌であった。

 三十年の時を経て、ついに手に入れた至高の楽器。

 その調弦は完璧だ。

 

「そうだ……いい声だ。

 お前はそうやって啼いていればいいんだよ、千歳」

 

 美作は腰を打ち付けながら、千歳の頬を愛おしげに撫でた。

 涙でぐしゃぐしゃになったその顔は、

 もはや童女でも魔女でもない。

 ただ雄に抱かれ悦ぶ一匹の雌の貌であった。

 

 窓の外では、青空が広がり始めていた。

 しかし、理事長室の中には、

 永遠に晴れることのない湿った密雲が垂れ込めていたのである。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 廃ビルの薄暗い一室。

 剥き出しのコンクリートと錆びついた鉄骨が、

 冷ややかな月明かりを受けて陰影を刻むその空間は、

 文明の墓標というにふさわしい静寂に包まれていた。

 ただし、精神的な静寂が訪れることは永遠にない。

 ここは、鉄血の獣・志摩崎巌が支配する、愛と欲望の狂宴の席なのだから。

 

 部屋の中央、粗末な寝台の上に、三つの肉塊が蠢いていた。

 いや、肉塊などという無機質な言葉では、そのあまりにも有機的で、

 かつ倒錯的な営みを表現するには不足している。

 

「あぁ……っ、ご主人様ぁ……っ! お腹のなかの赤ちゃん、動いてます……っ!

 巖さんの赤ちゃんなんです……っ!」

 

 牡丹。雪のように白い肌に、薄墨色の髪を持つアルビノの少女。

 かつては触れれば壊れそうな儚さを漂わせていたその華奢な肢体は、

 今や見るも醜怪なほどに膨れ上がっていた。彼女の腹部は、

 父親のような巨躯の男の分身を宿し、球体のように隆起している。

 妊娠線が蜘蛛の巣のように這うその肌は、病的な青白さと相まって、

 グロテスクなまでの艶めかしさを放っていた。彼女は四つん這いになり、

 そのボテ腹を揺らしながら、己の主である男の太腿に頬を擦り寄せている。

 その瞳は狂気じみた心酔に彩られ、口からは悦びの涎が垂れ流されていた。

 かつての虚弱的な美少女の面影はどこにもない。

 あるのは、ただ雄の精を貪るだけの、肉欲の器としての姿のみ。

 

「…………」

 

 その隣で、姉の桔梗が憂鬱げに佇んでいた。

 野性味のある美貌は曇り、快活だった笑顔は消え失せている。

 彼女の腹部もまた、妹とお揃いの孕み腹を重たげに抱えていた。

 特異体質の持ち主でありながら、

 その頑強な肉体は今や別の意味での重圧に耐えていた。

 豊かな赤茶色のポニーテールは乱れ、健康的だった小麦色の肌は、

 無理やり注がれた精液の白濁と汗でどろどろに汚れている。

 彼女は虚空を見つめ、何かを呟こうとして唇を震わせるが、

 言葉にならない。力強さの象徴であった大斧は壁に投げ出され、彼女自身もまた、

 剛腕をもってしても振り払えない絶望という名の重力に縛り付けられていた。

 

 そして、部屋の隅。ユーリ。

 神話の彫刻から抜け出してきたような完璧な美貌を持つ少女が、

 冷たい床に座り込んでいた。

 彼女のみが、この狂った生殖儀式の中で唯一の抵抗者であった。

 氷河色の瞳を固く閉じ、己の胎内で起こっている不可解な現象と対峙している。

 伐刀絶技『説明できない力』。その因果干渉系の異能は、

 彼女の身に及んだ忌まわしい受精という事象を否定しようと働いていた。

 だが、四六時中、巌の精液を膣・尻・口、汎ゆる場所から摂取し続けた女体は、

 もはや異物として種付け汁を認識できなくなりつつあった。

 彼女の子宮は、抵抗することすら忘れ、

 雄の精を歓迎する子宮へと作り変えられつつある。

 白濁にまみれた太腿が微かに痙攣するのは、快楽か拒絶か、あるいはその両方か。

 

「ククッ……いい眺めだ」

 

 寝台の主、志摩崎巌が満足げに唸った。

 赤銅色の肌に刻まれた刺青が、薄明かりの中で生き物のように蠢く。

 黄金の双眸が、三つの孕み腹を舐めるように見下ろしていた。

 彼の手には、銀甲冑〈金剛輪〉ではなく、麻縄が握られている。

 それは拘束具であり、そして愛撫具であった。

 

「牡丹。俺の種を受け入れて喜べるようになったか」

 

「はいっ! 嬉しいですっ! 巖さんのオチンポから出たミルクが

 お腹の中にいっぱい入ってるだけで……ぁぁっ……幸せなんですっ!」

 

 牡丹は狂ったように首を縦に振り、ボテ腹をさらに押し付ける。

 その瞳には理性の光はなく、ただ盲目的な崇拝だけがあった。

 かつての姉への依存は、より強大な雄への依存へと形を変え、

 彼女の精神を塗り替えていた。

 

「桔梗。お前はどうだ? まだ抵抗する気か?」

 

 巌の問いかけに、桔梗の肩がビクリと跳ねた。

 彼女は顔を上げられない。姉として妹を守れなかった無力感。

 圧倒的な暴力と快楽によって屈服させられた屈辱。

 そして、自らの腹に宿る忌まわしい生命への恐怖と、抗えない母性の芽生え。

 それらが入り混じり、彼女の喉を塞いでいた。

 

「……っ……ぅぅ……」

 

 嗚咽とも呻きともつかぬ音が漏れる。それが答えであった。

 言葉など必要ない。彼女の孕み腹こそが、彼女の敗北宣言なのだから。

 

「フン。口は悪いが身体は正直だな。

 そのデカい乳とケツは、俺の精を欲しがって震えているじゃねぇか」

 

 巌は立ち上がり、桔梗の背後に回った。そして、その豊かな臀部を鷲掴みにした。

 

「ひぐっ!? ……あぁっ……!」

 

 桔梗の身体が電撃に打たれたように跳ねる。

 しかし、逃げることはできない。麻縄が、彼女の手足を戒め、自由を奪っている。

 

「ユーリ。抵抗するのは勝手だが、結局は俺のモノになる。

 お前の子宮はもう、俺の精液がないと生きていけねぇ体になってるんだぜ」

 

 巌は残酷な宣告を下し、ユーリの方へと歩み寄った。

 ユーリは歯を食いしばり、睨みつけるが、その瞳の奥には恐怖の色があった。

 彼女は知っているのだ。自分の抵抗が、砂上の楼閣に過ぎないことを。

 

「……来るな……! 汚らわしい……ッ!」

 

「汚い? 違うな。これは愛だよ。お前ら全員を俺色に染め上げる、唯一絶対の愛だ」

 

 巌はユーリの顎を掴み、無理やり自分の方へ向かせた。

 そして、彼女の氷河色の瞳に映る自分の顔を見つめながら、

 ニヤリと笑った。それは獣の微笑。支配者としての傲慢な微笑。

 

「さあ、続けようか。三人まとめて孕ませてやる。

 誰が最初に出産ショーをするのか競争しようじゃないか。

 

 巌の低い哄笑が、廃墟の闇に吸い込まれていく。

 その響きは祝福でもあり呪詛でもあった。

 葉暮姉妹とユーリの新たな人生は、

 今日もまた、この男の暴力と快楽によって更新されていくのである。

 ─────────彼が現れなければ。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 廃ビルの内部は、まるで巨大な獣の胃袋のようだった。

 崩落したコンクリートの骸が湿った暗闇に沈み込み、立ち込める黴臭い空気は、

 今しも降り注ごうとする暴雨の如き重度を孕んでいた。湿度は九割を超えている。

 肌に吸い付く水蒸気が、呼吸をするたびに肺の奥まで侵入し、

 粘つく快楽の予感を嘲弄するかのように咽喉を撫でる。

 

 薄暗がりの奥、鉄骨の墓標の蔭から、その男はゆっくりと湧き出た。

 志摩崎巌。赤銅色の肌に刻まれた刺青の龍が、

 湿気を含んで今にも躍り出さんばかりに蠢いている。

 白髪交じりの短髪、そして黄金色に燃え盛る双眸。

 その巨躯は廃ビルという棺に似つかわしくない、圧倒的な生命力の塊であった。

 彼の足元には、先程までの余興の痕跡が転がっていた。

 女たちの徒花のような嬌声が、

 まだコンクリートの孔隙から淫らに滲み出しているかのようだ。

 屈服と略奪の歓喜が、空気中に白濁した霧として充満していた。

 

「ハッ、馬鹿が来やがった」

 

 巌は低く、腹の底から響く閧笑を漏らした。

 その視線の先に立つは、影法師のような青年。

 

 黒鉄一輝。

 陰鉄を握るその手は、微かに震えている。恐怖からではない。武者震いだ。

 いや、それだけではない。この湿った空気、血と精液と絶望の臭いが、

 彼の内なる修羅を狂おしく刺激していた。

 

 ──見ろ、この男を。

 圧倒的な暴力の権化。すべてを蹂躙し、

 すべてを犯し、すべてを己が色に染め上げる覇道の獣。

 美しい。あまりにも美しい。

 

 一輝の唇が、歪んだ。啜り泣くような、歓喜の笑みだった。

 かつて同じように、巨大な男が妹の全てを食い破った夜のことを思い出す。

 森の奥の小屋で、木刀を振るう自分のすぐ傍らで、

 少女が大人の男に喘がされていたあの夜。

 男の背中が揺れるたび、軋む床が鳴るたび、己の無力と非才が責め苛んだ。

 だが同時に、その背中は余りにも雄々しく、武の極致として輝いていた。

 

 西園寺智樹。

 あの男が珠雫を奪い、代償として己に剣を教えたことで、一輝は深淵を覗いた。

 力なき者は奪われるだけだという真理を。

 そして、力ある者が全てを手中にするという、この世の極上の快楽を。

 

「……待っていたよ、志摩崎巌」

 

 一輝の声は、濡れた糸のように甘く、そして刃物のように鋭かった。

 陰鉄の切っ先が、ゆらりと巌の喉元を狙う。

 

「あんたを狩れば、僕は破軍学園へ入れる。

 あんたの首が、僕の実績になる。……だが、そんな建前はどうでもいい」

 

 一輝は、仄かに熱を帯びた吐息を漏らした。

 股間が疼く。剣を握る手のひらが、汗で滑りそうになるほどの昂揚。

 この倒錯した空間で、最も強い男と交わるのだ。

 剣と剣、あるいは拳と刀の交錯。それは一方的な暴力による陵辱であり、

 喰らい合いであり、何よりの交合であった。

 

「お前に勝てば、僕はもっと強くなれる。あの男……西園寺先生に、また一歩近づける。

 教えてくれよ、あんたのその体で。僕の剣が、どこまで通用するかをよ!」

 

「……淫乱な小僧だ」

 

 巌は指虎〈金剛輪〉を嵌めた拳を握りしめ、骨の鳴る音を響かせた。

 その音は、逆説的な愛撫のように一輝の鼓膜を震わせる。

 

「てめぇみたいな貧弱な童貞野郎が、

 俺に何をされるか分かってねぇようだな。挽肉にされるだけだぞ」

 

「やれるもんならやってみろッ!」

 

 一輝は地を蹴った。

 第四の秘剣『蜃気狼』。急激な緩急が生み出す残像が、暗闇に刻まれる。

 まるで複数の影が重なり合い、巌の巨体に 口付けるかのごとく肉薄する。

 

「死ねぇぇッ!」

 

 陰鉄が閃く。第五の秘剣『狂い桜』。

 相手が斬られた事すら気付かぬ神速の斬撃が、巌の厚い胸板を掠めた。

 鮮血が舞う。だが、巌は笑っていた。

 傷は浅い。彼の魔力圏と鋼鉄のような筋肉が、刃の深度を拒絶したのだ。

 

「チョロいんだよ、童貞の剣はッ!」

 

 巌の巨大な拳が、砲弾のように唸りを上げる。

 一輝はそれを最小限の動きで躱すが、拳圧だけで皮膚が切れ、

 内臓が揺さぶられる。圧倒的な暴力の雄姿。

 女たちがこの暴力の前で白濁を吐き出し、堕ちていったように、

 一輝もまた、その質量に圧倒され、恍惚としそうになる。

 

(あぁ、これだ……! これこそが、僕が求めていたものだ……!)

 

 一輝の理性が、快楽の泥濘に沈み込んでいく。

 己が非才であるという事実。それを覆すには、とてつもない暴力に身を委ね、

 その中で奇跡的な生存を勝ち取るしかない。

 その極限状態こそが、一輝にしか味わえない絶頂であった。

 

「ハハ……ハハハハハッ! いいぞ、志摩崎! もっと来い! 

 僕の全部をぶち壊してみろ! 僕があんたを、喰い破ってやる!」

 狂気じみた笑い声とともに、一輝の瞳から光が消え始めていた。

 二人の男の狂った求愛劇は、廃ビルという閉鎖された子宮の中で、

 最も生々しく、最も残酷な頂点へと到達するのであった。

 

 湿っていよう、この場所は。 剥き出しのコンクリートが、

 まるで発情期の牝獣の粘膜のように黒く湿り気を帯びている。

 空気は黴と鉄錆、そしてそれらを覆い隠すほどの濃厚な体液の臭いに満ちていた。

 汗と、血と、そして誰かが啜り泣きながら吐き出した哀訴の残滓。

 それらが渾然一体となって、廃ビルという名の巨大な膣内を充満していた。

 

「ハハ……ッ!」

 

 黒鉄一輝は笑った。引き攣った喉から、悲鳴と喘ぎが入り混じっ苦鳴が漏れる。

 陰鉄が唸る。第五の秘剣『狂い桜』。斬撃というよりも、

 むしろそれは剥き出しの生肉に対する指先の愛撫に近かった。

 神速の刃が巌の赤銅色の胸板を掠める。皮膚が裂け、赤い花が咲く。

 だが、巨体はびくともしない。

 分厚い筋肉という名の鎧が、一輝の微弱な愛撫を一一受け流していく。

 

(浅い。あまりにも浅い……ッ!)

 

 沸騰する脳の片隅で、師匠譲りの分割思考が冷徹にデータを弾き出す。

【敵戦力分析】

 ・魔力総量:自身を圧倒的に上回る。A級に迫る。

 ・防御力:皮膚硬度および魔力強化により、陰鉄の通常打撃は軽傷止まり。

 ・攻撃力:一撃必殺。被弾即、肉体の機能不全(=死)。

 

 勝機は薄い。いや、存在しない。これは戦闘ではない。

 弱小な雄が、圧倒的な支配者である雄に挑む、無様な求愛行為だ。

 あるいは、種付けの儀式だ。

 

「チョロいんだよ、童貞の剣はッ!」

 

 巌の拳が唸る。それは砲弾ではなく、まかり間違えば肉棒のメタファーか。

 暴力的なまでに雄々しく、充血し、脈打つ質量の塊が、

 一輝の受け流そうとした腕を容赦なく軋ませる。

 

「ガッ……!!? オ、フゥ……ッ!」

 

 肋骨が軋む。内臓が悲鳴を上げる。

 衝撃が背骨を駆け上がり、脳髄を直接揺さぶる。

 だが、一輝の口から漏れたのは苦悶の声だけではなかった。

 甘い、痺れるような吐息。

 痛みが快楽の受容体を通過し、脊髄を逆流して脳の快楽中枢を直撃する。

 

(あぁ、入り込んでくる……! この男の「力」が、僕の不堪な肉体を蹂躙し、

 貫き、奥深くまで叩き込まれていく……ッ!)

 

 

 物理法則の粋を集めた技巧すら通じない魔窟のような肉体。

 圧倒的な種としての格差。巌は強い。あまりにも強い。

 かつて珠雫の華奢な肉体を我が物顔で犯し、壊し、

 そして再構築した西園寺智樹と同じだ。いや、あの男以上の粗暴さで、

 一輝の未熟なプライドという処女を奪い去ろうとしている。

 

「ほらよッ! どうした、童貞! 

 お前が欲しいって言った実績を、俺の拳で叩き込んでやるぞ!」

 

「あ、あぁぁッ……! 来い、来いッ! 僕を、もっと……ッ!」

 

 涎が垂れる。目からは生理的な涙と、屈辱的な興奮の雫が溢れる。

 寝取られるのだ。僕のプライドも、僕の矜持も、そして僕の肉体さえも。

 この巨大な雄の暴力という名の精で、白濁に塗れるまでに染め上げられる。

 恐怖などない。あるのは、負かされることへの倒錯した期待と、

 抗えない運命に身を委ねるマゾヒズムの極み。

 

(僕のような非才が、才ある者に勝てるはずがない……。

 そうだ、受け入れろ。この男の圧倒的な雄性を。僕の全てを破壊し、

 僕をただの肉便器に作り変える、この甘美な暴力を……!)

 

 第六の秘剣『毒蛾の太刀』。浸透勁。

 衝撃波が巌の体内に入り込むが、強固な魔力圏がそれを弾く。

 まるでコンドームのようだ、と一輝は狂ったように笑う。

 直接の接触、中出しの快楽は、この強靭な結界に阻まれている。

 

「無駄だ無駄だッ! 貧弱な魔力じゃ、俺の殻すら破れねぇよ!」

 

「……く、ぁ……ぁぁぁッ!」

 腹部を掠める重撃。胃袋の中身が逆流する。意識が白む。

 美しくも醜い敗北の予感。それは、かつて森の小屋で聞いた、妹の嬌声と重なる。

 あの時と同じだ。僕は、強い男に全てを奪われる。

 奪われることでしか、満たされない。

 剣鬼の瞳が、完全に白濁した色に染まり始めていた。

 

 

 廃ビルの内部は、まるで時間が停滞した胎内であった。

 湿った空気はゼリーのように粘つき、二人の男の荒い呼気すら絡めとって重く淀む。

 床には先ほどの饗宴の残滓と混じり合い、汗と血液が醸す腐臭と、

 それらを洗浄するかのような雄の滾りが漂っている。

 この澱んだ子宮の中で今まさに新しい生命──

 いや、古い生命の終焉が生まれようとしていた。

 

「ハァ……ッ、ハァ……ッ……!」

 

 一輝は肩で大きく呼吸をし、額の脂汗を拭う暇もなく次の一撃を警戒する。

 陰鉄の柄を握る掌はすでに汗で滑りそうなほど熱を帯びていた。

 だが、その焦燥とは裏腹に、彼の表情には喜悦が浮かんでいた。

 恐怖? 違う。それは飢えた牝獣が、ついに得た獲物を目前にして洩らす陶酔の呻きだ。

 

(来る……来るんだ……! 彼が僕を支配してくれる……! 

 あの巨大な質量で、僕という非才な肉体を掻き乱し、蹂躙し尽くしてくれる……!)

 

 巌の右手が軋む。

 指虎〈金剛輪〉を嵌めた拳は、それ自体が独立した生き物のように脈打つ。

 まるで赤銅色の凶器。鋼鉄をも容易く拉ぐ膂力の化身。

 

「おいおい、もう虫の息か? 

 こんな貧弱な玩具で俺に歯向かってきたのが奇蹟みてぇなもんだぜ」

 

 巌の嘲笑は乾いていたが、そこには紛れもない欲望が宿っていた。

 獲物を甚振る愉悦。弱小を征服する本能的な快感。

 眼前の華奢な青年は確かに強い。だがその強さは脆すぎる。

 

「まだ……これからだ……!」

 

 一輝は嗤った。

 そして次の瞬間、地を蹴りあげた。脚の腱が悲鳴を上げても構わない。

 全霊をこめた第七の秘剣『雷光』。

 稲妻のごとき横薙ぎが、巌の胴を捉える──かに見えた。

 

 だが、届かない。

 巌の纏う魔力圏という透明な卵嚢が、一輝の剣速を殺し、刃先を触れた瞬間に弾く。

 まるで薄膜越しに爪楊枝でツツキングされているような徒労感。

 非才の童貞の拙劣な「抽送」は、格上の雄の硬い膜に阻まれ続けるのだ。

 

「ふん」

 

 巌は鼻を鳴らすと同時、左手が疾る。

 それはまさしく蛇腹剣のよう。

 鞭のようにしなり、一輝の右腕を捕らえた。

 万力じみた指先が肉を抉る。

 

「ギィッ……!!」

 骨が砕ける鈍い音。激痛が神経網を焼き尽くす。

 なのに一輝の口角は吊り上がっていく。

 痛みという名の「精液」が末端神経を満たしていく。

 マゾヒズムという回路を通じて、脳内にドパミンの潮汐が奔流する。

 

「離せ……ッ! 僕はまだ……!」

 

「五月蠅ぇ」

 

 左腕を封じたまま巌は右拳を捻る。

『雷光拳』。

 稲光が宿った拳骨は、神罰そのものの勢いで一輝の腹腔へめり込んだ。

 

「ご……ぉ……ふぅ……っ!」

 

 

 音がない。

 鼓膜が破裂したかのように、世界から音が消え失せた。

 ただ、腹部で何かが弾けた感覚だけが残る。

 いや、弾けたなどという生易しいものではない。

 それは暴力的なまでの侵入。条件反射すら超えた受け入れがたい質量が、

 一輝の平坦な腹という名の処女地をこじ開け、

 容赦なく最深部まで踏み込んでくる衝撃。

 

『種付け』だ。

 

 一輝の痩せた躯に、巌の雄性が直接注ぎ込まれる。

 筋肉という名の強靭な肉壁を突破し、内臓の柔らかな襞を掻き回し、

 胃袋という子宮の奥底にまで太い楔を打ち込まれる。

 雷光を纏った拳は灼熱の生殖器。

 神経を焼き焦がすほどの熱量と、内臓を圧し潰す容積が、

 一輝の存在そのものを懐妊させていく。

 

「————ッ!!」

 

 声にならない絶叫が喉を突き破る。

 だが、口から溢れ出したのは悲鳴ではなかった。

 ドクドクと脈打つ鮮血。

 赤黒く泡立った液体が、口の端から垂れ落ちる。

 

(あぁ……出されてる……ッ!)

 

 一輝の歪んだ認識は、その嘔吐を『口内射精』と翻訳した。

 強烈な雄の精が、喉奥に直接注ぎ込まれる。

 ドロリと濃厚な鉄の味が舌を覆い、鼻腔を逆流し、

 脳髄まで雄のフェロモンで白濁させていく。

 苦い。辛い。そして、ひたすらに甘美。

 

(熱い……彼のが、僕の中に……ッ!)

 

 膝が折れる。大地に頭を垂れるようにして崩れ落ちる。

 だが、それでも腹にめり込んだ拳は離れない。

 巌は一輝の腹に手を突っ込んだまま、獲物の反応を楽しむように拳を捻る。

 グリグリと内臓を嬲るその動作は、

 まさしくピストン運動そのものだった。

 

「どうだ童貞? 俺のが入ってる感触はよォ。

 てめぇの腐った腹ん中、俺のが形変えてるのが分かるか?」

 

「あ……ぐっ……おぉっ……!」

 

 一輝の目は虚ろに見開かれていた。

 焦点が定まらない。視界が赤く染まる。

 それは脳内出血の兆候か、それとも絶頂の余韻か。

 答えはどうでもいい。ただ、この内側から満たされる感覚だけが真実だ。

 

 非才の凡夫は、才ある覇者に犯されることでのみ完成する。

 内側をかき回され、自分の形を失い、相手の形に作り変えられる。

 それこそが僕の望んだ帰結だ。

 あの時、森の小屋で妹が男に貫かれていたように。

 今度は僕が貫かれている。理不尽な暴力という名の愛で抱かれている。

 

「ひぐっ……ぅぅ……ッ!」

 

 陰鉄が手から滑り落ちる。カランと乾いた音が響くが、

 一輝にはもう剣を握る力も意志も残っていなかった。

 あるのはただ、犯された雌としての無力感と充足感だけ。

 

 ドサリと巌が手を引き抜く。

 喪失感。内臓が引っ張り出されるような感覚に、

 一輝は無意識に腰を震わせた。

 

 地面に這いつくばる。冷たいコンクリートの感触が頬を刺す。

 だが一輝は無様に四肢を突っ張り、腰だけを高く浮かせたままだった。

 まるで背後の雄に子種をねだる牝犬のように。

 破れた服の隙間から露わになった臀部は、

 震えながらも無防備に空へ向けられていた。

 

「……あ……ぁ……」

 一輝の唇から漏れたのは、剣鬼の唸りではなく、ただの雌の喘ぎだった。

 

 廃ビルの冷たい床に這いつくばる一輝の臀部は、まるで献上品のように高く掲げられていた。

 張り詰めた空気に晒されたその曲線は、戦士のそれというよりは

 むしろ発情期を迎えた牝獣のそれに近しい。

 震える大腿部の内側には、屈辱と快楽の汗が玉になりながら伝い落ちている。

 

(あぁ……恥ずかしい……ッ! こんな無様な姿を……!)

 

 羞恥心が脳裏を過ぎるが、それすらも甘美なスパイスに過ぎない。

 プライドという処女膜はとうに破られ、今の一輝にあるのは

 強き雄に蹂躙されることへのただならぬ渇望のみであった。

 

「ハッ、なんだその姿はよぉ」

 

 頭上から降ってくるのは、嘲笑を含んだ低い唸り声。

 巌の巨大な影が一輝を覆い尽くす。

 まるで死刑宣告を行う処刑人のようでもあり、

 あるいは種付けを行う種牡馬のようでもある。

 

「入学? 実績? 笑わせんじゃねぇよ。

 てめぇみたいな尻振ってるだけのメスが剣士面するたぁな」

 

 ドンッ! 

 

 ズシリと重い衝撃が背中から腰へと走る。

 巌の分厚い靴底が、無防備な一輝の臀部を無遠慮に踏み躙ったのだ。

 重量級の踏みつけ。骨が軋み、肉が悲鳴を上げる。

 だが、一輝の喉から漏れたのは苦悶ではなく、甘い嬌声だった。

 

「ン゛ッ……! ぁぁッ……!」

 

(踏まれてる……僕はこの男に踏みつけられてる……!)

 

 背筋が震える。臓物が痙攣するような快感。

 靴底の革の皺が、尻肉という名の敏感な粘膜を直接擦り上げる。

 それは支配と被支配の明確な証。

 上位の雄に地面に這わせられ、足下で鳴くことこそが、

 非才な凡夫にとって唯一無二の生存戦略なのだと悟る。

 

「どうした童貞? 何か言いたいことぁねぇのか?」

 

 巌は踏みつけた足にグリグリと体重をかける。

 重心を移動させるたびに、一輝の華奢な骨盤がきしむ音がする。

 まるで未熟な子宮を熟れた雄の体圧でマッサージされているかのような錯覚。

 

「ぁ……ひぃ……ッ! ご……ご主人……様……ッ!」

 

 口をついて出た言葉に、一輝自身が驚愕した。

 ご主人様? 何だそれは。

 僕は剣士だ。誇り高き黒鉄一輝だ。

 そう抗おうとした瞬間、巌の足がさらに深く沈み込む。

 

「あ゛っ!? ぎぃ……ッ!!」

 

「聞こえねぇな。もっとデカい声で鳴けよ」

 

 命令。絶対的な王命。

 抵抗などできるはずもない。

 一輝は頬を床に擦り付け、涎を垂れ流しながら叫んだ。

 

「ご主人様ぁ……ッ! 僕は……僕は貴方の……ッ!」

 

 言葉はそこで途切れた。あまりの羞恥と快感で声が出ない。

 だが、もう十分だった。

 プライドも矜持も希望も、すべてこの男の靴底の下で粉砕された。

 残ったのはただ、支配されることへの安堵と、

 これから先この雄に飼い慣らされる雌としての未来だけ。

 

(そうだ……これでいいんだ……)

(僕のような非才は……才ある強い雄に所有されてこそ……

 生きる意味があるんだ……!)

 一輝の虚ろな瞳に、微かな淫らな光が宿る。

 それは剣鬼の眼光ではなく、ただ快楽に忠実な牝犬の眼差しであった。

 

 

 

 廃ビルの澱んだ空気を引き裂くように、不可視の波紋が奔った。

 

 ユーリが動いたのだ。

 彼女の手にした槍が不可解な軌跡を描き、

 因果律の枠組みすら無視した現象が引き起こされる。

『説明できない力』。

 如何なる原理かも、如何なる現象かも定義不能の暴力。

 スラヴの孤児が生き抜くために身につけた、

 論理を介さない純粋なる生存本能の結晶。

 

「————ッ!」

 

 波紋は巌の躯へと殺到した。

 しかし結果は、あっけないほど無惨だった。

 赤銅色の巨躯を包む恒常魔力圏──

 絶対的強者の纏う運命の甲羅が、その現象を音もなく弾き返した。

 石を水に投じても波紋が拡散するのみのように、

 格上の存在には何一つ届かない。

 これが現実だ。格差という名の絶望だ。

 

 だが、その波紋は別の獲物を見つけていた。

 地面に這いつくばり、尻を差し出す無様な姿で

 雄の足蹴に恍惚とする敗残者──黒鉄一輝。

 

「あ……ぐっ……!?」

 

 不可視の楔が一輝の精神に深々と突き刺さる。

 回避不能。防御不能。

 説明も理解も許さない因果干渉が、

 彼の脳髄という最も脆弱な核を直撃した。

 

(な……に……これ……)

 

 視界が歪む。

 いや、歪んだのではない。

 見せつけられているのだ。

 自分が助かるためならば他者の尊厳など切り捨てる、

 ストリート・チルドレンの冷徹なるリアリズムが、

 残酷な幻影として投影される。

 

 目の前に広がるのは、廃ビルの冷たい床ではない。

 あの山小屋だ。

 西園寺智樹に剣を教わるため、妹が身体を売っていたあの場所だ。

 

 だが、そこにいるのは師匠ではない。巌……? 

 いや、よく見ろ。

 陵辱され、白濁に塗れながら嬌声を上げているのは、

 葉暮姉妹でもユーリでもない。

 

(珠雫……!?)

 

 そうだ。

 幻影の中で巨漢に犯されているのは、

 他ならぬ黒鉄珠雫その人だ。

 巌の巨躯に押し潰され、その太い楔で子宮を貫かれ、

 苦痛と快楽に顔を歪ませている妹の姿。

 

「や……やめろ……ッ! 珠雫……!」

 

 一輝の喉から絞り出されたのは悲鳴だった。

 ユーリの力は、一輝の罪悪感という最深部の傷口に指をねじ込み、

 容赦なく掻き回したのだ。

 自分が剣を振るうすぐ側で、妹が喘いでいたあの罪悪感。

 自分の非才のせいで、最愛の妹が雄の慰み者になっているという事実。

 

 そして残酷な真実。

 今の自分と重なるのだ。

 自分もまた強き雄に犯され、雌としての悦びに浸っている。

 妹も自分も、所詮は才ある者に蹂躙されるだけの存在なのだと。

 

「あぁ……ぁぁ……ッ!」

 

 絶望と興奮が臨界点を超える。

 幻影の中の珠雫が、「お兄様」と呼びながら巌の子種を受胎する瞬間と、

 現実の一輝が巌の足下で「ご主人様」と喘ぐ瞬間が完全に重なり合う。

 

(そうだ……僕たちは……孕むためだけに生まれてきたんだ……!)

 

 ユーリの氷河色の瞳が冷ややかに一輝を見下ろしていた。

 同情などない。

 ただ、自分が生き残るための計算だけがある。

 この敗北者を囮にし、あるいは道具として使い、自分は生き延びる。

 他人の尊厳などクソ食らえだ。

 それが彼女の生きる世界のルールだ。

 

 

 幻覚が脳裏を灼く。

 

 白濁に塗れた妹の肢体。巨漢の腹に押し潰され、

 子宮の奥底まで暴力的に穿たれながら、快楽に顔を歪める珠雫の痴態。

 それが、スラヴの孤児が放った冷徹な現実認識と共振し、

 一輝の精神を内側から食い破ろうとしていた。

 

「あぁ……ぁぁ……ッ!」

 

 喉の奥から漏れるのは、嗚咽か、それとも歓喜か。

 自身もまた地面に這いつくばり、

 強き雄に踏みつけられることに悦びを感じていた被虐の精神が、

 その幻影を見た瞬間、弾けた。

 

 尊敬する師・西園寺智樹にならば、まだ納得できた。

 彼は剣の泰斗であり、珠雫が自らその肉体を差し出した相手だ。

 あれは一種の「対価」であり、契約に基づく神聖なる淫行だったのだと、

 無理やり自分に言い聞かせてきた。

 

 だが———

 

(てめぇのような……獣が……ッ!!)

 

 この強いだけのオスに、最愛の妹を孕ませられるなど。

 断じて認められない。それは許容範囲を百万光年ほど逸脱している。

 理性が焼き切れる音がした。

 これまで培ってきたマゾヒズム的な自己否定が、

 怒りという名の酸によって分解され、新たな化合物へと再構築されていく。

 

「殺して……やる……ッ!」

 

 ドクリ。

 

 心臓が跳ねた。

 ただの鼓動ではない。

 生存本能という名のリミッターを物理的に破壊する、起爆スイッチだ。

 西園寺の指導によってのみ到達しえた領域。

 生身の人間が決して踏み込んではならない、修羅の領域。

 

 ドクリ、ドクリ、ドクリ! 

 

 心拍数が跳ね上がる。

 血管内を流れる血液が沸騰し、全身を駆け巡る。

 それはまるで熔岩。毛細血管という名のパイプラインに灼熱のマグマを流し込み

 、肉という工場をフル稼働させる。

 

「————ッ!」

 

 一輝の肌色が変容していく。

 蒼白だった肌が、内側から湧き上がる熱量によって鮮紅に染め上げられていく。

 それは羞恥の赤みではない。限界を超えた出力によって発生した摩擦熱の色だ。

 血管が浮き上がる。筋肉の一本一本が鋼鉄のワイヤーのように収縮し、

 弛緩し、爆発的なエネルギーを生み出していく。

 

 ドクンッ!! 

 

 心音が響く。

 もはや生体音ではない。圧縮された空気を爆発させるエンジンの爆発音だ。

 全身の筋肉が悲鳴を上げ、関節が軋み、骨髄から造血細胞が搾り出されるような激痛。

 だが、今の一輝に痛みはない。

 あるのはただ、湧き上がる激情と、殺意という名の純粋なエネルギーのみ。

 

(見ていろ……珠雫……ッ!)

(僕が……僕の手で……この獣を……殺す……ッ!)

 

 魔力が暴走する。

 Fランクという極端に少ない魔力を、一滴残らず搾り出し、

 身体能力強化というただひとつの目的に全て注ぎ込む。

 血液循環に乗せて魔力を全身の細胞に浸透させ、一つ一つの細胞を爆弾に変えていく。

 

「———《一刀修羅》」

 

 呟きと共に、世界がスローモーションへと変貌した。

 脳のリミッターが外れ、情報処理速度が飛躍的に向上する。

 巌のゆっくりとした動作。

 嘲笑を浮かべるその表情の筋肉の動きまでが見て取れる。

 そして自身の内側から湧き上がる、圧倒的な暴力衝動。

 

 

 

 廃ビルの埃っぽい空気が凍り付く。

 

「———ッ!」

 

 爆ぜた。確かに感じた鼓動の爆発。

 だが奇怪なことに、空間は何の変化も伴っていない。

 黒鉄一輝の肉体。そこから本来噴き上がるはずの魔力の燐光が無い。

 ただ静かに、その矮躯が呼吸を整えるばかり。

 志摩崎巌は怪訝そうに眉根を寄せた。

 

(何だ……? どこが《切り札》だって言うんだ?)

 

 何も感じない。

 逆転の一手。何らかの伐刀絶技だろうに。

 これは一体、どうした? 

 

 その思考は刹那のことだ。

 次の瞬間には、一輝の姿が掻き消えていた。

 

「———!?」

 

 巌の脊椎に電流が走る。

 反射的に左肩を軸に横薙ぎの一閃。

 銀甲冑に覆われた右腕が虚空を裂いたが、既に遅い。

 黒衣の剣士は遥か斜め下方に潜り込んでいた。

 視界に映る彼の背中。そこから滲むものもやはりない。

 蒼い炎。一閃毎に舞い上がっていた筈の幻想の火花。

 それが一切失われている。

 

 西園寺智樹の指導。

 魔力の浪費。その無駄を削ぎ落としたのだ。

 発動の瞬間、噴出したはずの魔力の放出さえも。

 全てを内部に閉じ込めることで生成された奇蹟的な圧縮。

 一輝はそれを自在に操ることに成功していた。

 

 体内という狭隘な宮殿の中に溢れんばかりの

 魔力という淫靡な欲望を閉じ込め続ける拷問にも似た技法。

 逃げ場を奪われ行き場を失い続けた生命エネルギーが堰を切る寸前、

 ギリギリのところで均衡を保つ。それはまさに「我慢汁」だ。

 射精の瞬間まで絞り切ることなく耐え抜き、最後の一滴に至るまで

 睾丸の奥深くに溜め込んだ猛毒を凝縮させる男の忍耐力に匹敵する。

 

 一輝は微笑を浮かべる余裕すらあった。

 

「行くぞ」

 

 静かな宣告。

 しかし声音には鉄鎖を引き裂くような悍ましい力が含まれている。

 踏み込み。

 廃墟の床材が破裂し月面のクレーターを想起させる円弧型の大穴が穿たれる。

 疾る。

 稲妻の残像すら凌駕する閃光。

 肉と骨という二重奏の上で奏でられた交尾のリズム。

 巌の反応は明らかに遅滞していた。

 

「———ふざけた速度だッ!」

 

 咆哮とともに放たれる豪腕の迎撃。

 固有霊装である銀甲冑を纏った拳撃が唸りをあげて炸裂したが当たらない。

 影すら捉えられない。

 一輝は既に巌の懐深く潜りこんでいる。

 狙い澄まされた一撃。《犀撃》。

 黒刀陰鉄の切っ先が蟻の一穴に等しい隙間を抉るように侵入。

 巌の硬い胸板——否、魔力圏という名の絶対領域を突き抜ける感触。

 肉壁を突き破るよりなお深い衝撃。

 

 

 

 肺の奥底まで侵入されたような、嫌な音が鳴った。

 

 ギチリ、と。

 肋骨という名の防壁が軋みを上げ、そこをこじ開けられた生々しい感触。

 志摩崎巌は、自分の内側が暴かれるという未知の衝撃に見舞われていた。

 

「がっ……ッ!?」

 

 喉から溢れたのは、酸素と共に搾り出された呻き。

 だがそれは痛みのみへの反応ではない。

 雄としての矜持が、土足で踏みにじられたことへの驚愕だ。

 彼の纏う恒常魔力圏。

 それは数多の物理法則を無効化し、あらゆる干渉を拒絶する絶対的な城壁であり、

 他者の侵入を決して許さない処女膜にも等しい純潔の結界だった。

 

 その膜が破られた。

 黒鉄一輝という名の野獣に、最も奥深い聖域を抉じ開けられ、

 土足で踏み込まれたのだ。

 

「———これが、お前の限界か」

 

 一輝の声が腹の底に響く。

 低い。重い。粘着質な男の声。

 

 黒刀・陰鉄が、まるで独立した生物のように蠢く。

 巌の体内に食い込んだ切っ先が、

 内臓の隙間を縫うようにして更に深淵へと潛航していく。

 肉を裂くのではない。

 肉の隙間という名の潤滑液を利用し、最も敏感な粘膜を擦り上げながら、

 子宮の奥底まで届かんとする肉棒の如き執拗さで刺突がねじ込まれる。

 

「お、おおぉッ……!?」

 

 巌の巨躯が跳ねた。

 直立不動の姿勢から強製的な反り身を強いられ、

 褐色の筋肉が波打つ。

 黄金の瞳が見開かれ、白目が剥けそうになるほどの衝撃。

 自らの内部で暴れ回る異物感。

 魔力圏という名のコンドームを突き破り、ありったけの殺意という名の精液を

 直接子宮壁にぶちまけられたような、強烈すぎる「中出し」の衝撃。

 

(な、なんだこれは……ッ!? 入ってくる……オレの中に、直接入ってくるぞ……!)

 

 巨漢の戦士は混乱した。

 彼は常に「入れる」側だった。

 剛拳という名の肉棒で他者を犯し、蹂躙し、屈服させる側。

 なのに今、彼は初めて知ったのだ。

 安全圏を突破され、無防備な内臓を直接突き上げられるという、

 雌の羞恥と恐怖を。

 

 だが、一輝の容赦はない。

《犀撃》。それは助走に比例して威力を増す刺突。

 廃ビルの床を踏み抜き、自らを弾丸として撃ち出したこの一撃は、

 もはや剣術の枠疇に収まらない。

 それは物理法則を強引にねじ伏せ、相手の存在ごと貫通せんとする

 純粋なる暴力の交尾だ。

 

「珠雫に、手を……出すな……ッ!!」

 

 一輝の咆哮と共に、陰鉄が更に深く潛る。

 巌の心臓に鋭利な接吻。

 文字通り、心臓の震えを伴う深挿入。

 血管が限界を超えて悲鳴を上げ、一輝の口からも鼻からも鮮血が溢れ出すが、

 その痛みすらも彼の興奮を増幅させる触媒に過ぎない。

 体内に押し留めた魔力の圧力が、

 自らの肉体という器を内側から破裂させんばかりに膨張し、

 全てのエネルギーを剣先という名の亀頭に集中させて放出される。

 

「ぐ、おぉぉぉぉッ!!」

 

 巌が吼える。

 それは苦痛の叫びでありながら、どこか悦楽的な嬌声の響きを孕んでいた。

 脳髄が痺れる。

 強靭な精神の砦が、この理不尽な刺貫きによって無惨に崩れ去っていく。

 絶対的強者であるはずの自分が、

 非才の小僧に種付けされるという倒錯した光景。

 

(やべぇ……これ、やべぇぞ……!)

 

 巌の背筋に、冷たい汗と共に奇妙な熱が這い上がる。

 痛みと快楽の境界線が、刹那のうちに溶解していく。

 内臓をかき回される不快感と、

 それを凌駕する圧倒的な暴力に支配される徴服感。

 強い男に腹を殴られ、内側を犯される悦び。

 それは彼がこれまで他者に与え続けてきたものの、

 寸分違わぬ鏡写しだった。

 

「はっ……はぁっ……!」

 口端から泡のような唾液を垂れ流し、

 褐色の巨漢は剣に穿たれたまま白濁した眼差しを彷徨わせる。

 廃ビルの湿った空気が、二人の荒い吐息で更に粘度を増していく。

 剣戟と性交。破壊と交尾。

 その境界が暧昧に融け合うこの空間で、

 修羅の剣士が咆哮と共に次撃を叩き込んだ。

 

 肉と肉が触れ合う湿度は、まるで密閉された蒸し風呂のようだった。

 

 志摩崎巌は、己が肋骨の隙間に食い込んだ黒刀の切っ先を抜こうと

 無意識に身体をよじろうとした。だが、許されない。

 黒鉄一輝は、その矮躯でありながら巨漢の懐に潜り込んだまま、

 まるで恋人を抱きしめるかのように離れようとしない。

 

 零距離。

 互いの鼓動が伝わるほどの近さ。

 一輝の体温が、発汗する巌の肌を通して直接流れ込んでくる。

 

「——— イクよ」

 

 一輝の唇が動く。

 放たれたのは、第六の秘剣『毒蛾の太刀』。

 浸透勁。衝撃を相手の体内へと浸透させる技。

 しかし、一輝は剣を振るわなかった。

 ただ刀身を巌の体内に埋めたまま、全身の筋肉という筋肉を連動させ始めたのだ。

 

 うねり。

 丹田から湧き上がった力が背骨を駆け上がり、

 肩から腕へ、そして剣へと波のように伝播する。

 それは剣術というよりは、まぐわいの動きだった。

 腰を打ち付け、最奥を突き上げ、子宮という名の的を狙い撃つ

 猛烈なピストン運動のストローク。

 

「くっ……うぅッ……!?」

 

 巌の喉から抑えきれない呻きが漏れる。

 体内に埋め込まれた黒刀が、微細かつ猛烈な速度で振動しているのだ。

 肉壁を隔てて直接内臓をかき回されるような、

 得体の知れない不快感と痺れ。

 それはまるで、敏感な粘膜を数百本の舌で同時に舐め回されているかのような

 屈辱的な快感でもあった。

 

「まだ、だ……!」

 

 一輝が吠える。

 同時に、《一刀修羅》による圧縮された魔力が爆発した。

 体内に閉じ込められていた莫大なエネルギーが、

 今度は剣を通して巌の肉体へと注ぎ込まれる。

 

 ドォォォォォンッ!!! 

 

 音は聞こえない。ただ衝撃のみが内側で響いた。

 一輝が生み出した振動が、巌の体内で反響する。

 人体の共振音階と同じ波長を持つその振動は、

 壁に反射してさらに強まり、別の振動と交わり、

 幾重にも乱反射して莫大なエネルギーを生み出していく。

 

 共鳴。

 そして臨界。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!?」

 

 巌の口から、言葉なき叫びが迸る。

 それは雄の咆哮などではなかった。

 内臓を直接掴まれ、全力で捏ね回された雌豚の悲鳴だ。

 胃袋が裏返り、肝臓が躍り、心臓が狂ったリズムで鼓動する。

 全身の血管が同時に絶頂を迎えたかのように脈打ち、

 血圧という名の快楽液が限界を超えて噴き出す。

 

「僕の最弱(さいきょう)を以て、君の最強を打ち破る……!」

 

 魔剣・無慙。

 毒蛾の太刀を凌駕する、内部破壊の極致。

 人体の隅々にまで行き渡り、肉と血が混じり合い、

 スープのようにドロドロに溶かし合わせる凄惨なまでの陵辱技。

 

 巌の視界が白濁する。

 内側から崩れ落ちていく感覚。

 強固な精神も、頑丈な肉体も、全てが共振する狂宴の中で溶かされ、

 ただ快楽と苦痛の区別もつかない泥沼へと沈んでいく。

 

(壊れる……! オレが……壊れちまうぅぅッ!!)

 

 褐色の巨漢は、初めて知った絶頂に身悶えした。

 それは射精などという生易しいものではない。

 存在そのものが射精し、虚脱していくようなアナキズムの嵐。

 一輝という名の雄に完全に支配され、

 内側から征服されるという究極の雌落ち。

 

 ドクンッ! 

 最後の脈動が走り、巌の巨躯から力が完全に抜け落ちた。

 

 

 鉄の臭いと、生臭い水音が混ざり合う。

 

 秘剣・無慙がもたらした結末は、

 あまりにも凄惨で、それでいて奇妙なまでに静謐だった。

 

「ぁ……ぁぁ……ぅ……」

 

 志摩崎巌は、もはや人としての輪郭を保っていなかった。

 全身の関節が奇妙な方向にねじ曲がり、

 褐色の皮膚の下で骨格が融解したかのように歪んでいる。

 口から溢れ出すのは、赤黒い泡沫。

 それは嘔吐物などという生易しいものではない。

 彼自身の内臓がスープ状に砕かれ、

 喉という名の排水口から溢れ出した惨澹たる体液だ。

 

 肛門からも、尿道からも、

 ありとあらゆる穴という穴から「彼」が流れ出している。

 一輝という名の肉棒に内側から貫かれ、

 遠慮なく種付けされた結果、子宮壁もろとも崩壊した

 肉便器の最期。それが今、目の前にあった。

 

 巨漢だった肉体は陰嚢のように皺萎み、

 重力に引かれて床へと崩れ落ちていく。

 グチュリ。ネチャリ。

 粘着質な音を立てて、かつて闘牛士と呼ばれた男が

 血と肉の混じった水溜まりへと拡散していく。

 

 その悍ましい血の池地獄の前に、一人の少年が佇んでいた。

 

 黒鉄一輝。

 彼はただ静かに、右腕に携えた黒刀の血糊を振るって払っただけだ。

 刀身に一滴も汚れを残さないその所作は、

 汚れを知らない修道女の潔白さを思わせる。

 だがその背後には、解体された男の残骸。

 そのアンバランスさこそが、彼の剣鬼としての真価だった。

 

 蒼白な顔に返り血を浴びたその表情には、何の感情も浮かんでいない。

 ただ淡々と、理不尽なる暴力を行使した事実だけが残っている。

 その姿は美しかった。

 残酷なまでに透明で、穢れを知らぬ故に恐ろしいほどに艶めかしい。

 

 廃ビルの階段で、ユーリは息を呑んでいた。

 

(あ……)

 

 彼女の氷河色の瞳が見開かれ、震えている。

 恐怖ではない。

 確かに恐怖はある。あれほどの暴力を間近で見せつけられれば、

 生物としての本能が逃げろと警告している。

 だがそれ以上に、

 下腹部の奥底から熱い塊が込み上げてくるのを止められなかった。

 

 股間が湿る。

 太ももの内側を、ヌルリとした愛液が這い降りていく。

 ユーリは無意識に自分の身体を抱きしめた。

 豊かな胸を自分の腕で押し潰し、

 その乳首が硬く勃起しているのを感じて狼狽する。

 

(これが……っ!?)

 

 心臓が早鐘を打つ。

 あの細身の体躯に、あれほどの暴力を内包しているとは。

 あのしなやかな腕で内臓をかき回され、

 あの冷たい瞳で見下ろされながら蹂躙されるなら——

 

(あぁ……っ!)

 

 想像しただけで、脳髄が痺れた。

 ユーリの奥底で眠っていた雌が、

 圧倒的な雄の匂いを嗅ぎつけて目を覚ます。

 強い男に屈服し、支配されることへの喜び。

 

 

 これが、恋? 

 そんな馬鹿なことがあるか。

 出会って間もない、年端もいかぬ少年に対して? 

 だが否定できない。

 彼女の中で芽生えたこの熱情は、

 紛れもなく恋という名の病なのだから。

 

「———終わりだ」

 

 一輝が短く告げる。

 その声色にすら、ユーリは背筋を震わせた。

 倒れた巌がピクリとも動かなくなり、

 ただ血の池だけが広がっていく。

 その残酷な静寂の中で、

 ユーリは自分の初恋が成就することのない、

 片思いであることを悟った。

 

 だが構わない。

 ただ側にいるだけでいい。

 あの剣鬼に見初められ、いつかあの刃で貫かれる日を夢見て——。

 

「……っ」

 

 ユーリは無意識に手を伸ばしかけ、慌てて胸元で握りしめた。

 指先が微かに震えている。

 それは恐怖からの震えではなく、期待と興奮による戦慄きだった。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 滝壺から立ち昇る飛沫は、

 まるで山水画の余白のように湿り気を帯びて西園寺智樹の頬を撫でていた。

 

 遥か下方──苔むした岩の上で胡座を組み、

 不動如山の構えで瞑想に耽る一人の少年。黒鉄一輝。

 彼こそが此度の祝砲の主たる存在であった。

 

 賞金首・志摩崎巌の討伐。

 それは単なる仕事の完遂ではない。

 非才の烙印を押され続けた少年が、才ある者たちの理不尽なる壁を物理的に粉砕し、

 名門・破軍学園への切符を勝ち取った歴史的快挙である。

 

「ふむ……」

 

 西園寺は眼を細めた。

 口元に滲むのは師としての純粋なる歓喜か、それとも修羅を育て上げた歪んだ征服感か。

 あるいはその両方をない交ぜにした老獪な笑みか。

 琥珀の瞳が爛々と輝き、下方で精神統一する弟子を見下ろす。

 

(見事だ、一輝。まったくもって見事……!)

 

 胸の内で万歳三唱したい気分であった。

 己の剣理が正しかったことの証明。

 世界から見捨てられた小僧が、世界に食い込む爪を研ぎ澄ませた瞬間。

 だがしかし。

 西園寺は知っている。慶事には相応しい酒が必要であるということを。

 

「して、祝杯といこうか……」

 

 低く呟くと、西園寺は視線を足元へと落とした。

 彼の腰元には、滝の轟音とは異なる水音が濡れていた。

 

 そこには銀髪の美姫がいた。

 黒鉄珠雫。

 一輝の実妹にして、西園寺にとっての「授業料」。

 彼女は岩肌に膝をつき、小さな手で自らの胸を寄せ集め、

 西園寺の怒張した剣を包み込んでいたのである。

 

「んっ……ちゅぷ……れろ……」

 

 舌足らずな愛の囁きと共に、朱色の唇が赤黒い亀頭に吸い付く。

 14歳の肢体はまだ発展途上でありながら、

 兄への異常な愛情という名の酵母によって

 過剰なまでに熟成された果実のような芳香を放っている。

 

 西園寺はその白磁のごとき乳房を眺めやり、

 指先でその頂点に咲く紅玉を抓んだ。

 

「ひゃぅっ!?」

 

 珠雫が小さく跳ねる。

 ビクンと硬直した肢体が震え、

 その反動で挟み込まれた肉柱が乳溝の中でずぶりと沈み込む。

 

「……感度が良いな。お前の兄貴が合格したのがそんなに嬉しいか?」

 

 耳元で囁かれる嘲弄。

 西園寺の指は容赦なく乳首を捻り上げる。

 親指と人差し指で形成した挟撃部隊が、

 充血した蕾を左右に引き千切らんばかりに扯り、

 

「あぐっ……ぅぅっ……嬉し……ぃです……っ!」

 

 珠雫は涙目で叫んだ。

 生理的な痛みと背徳的な快感。

 そして何より、あそこにいる最愛の兄が

 自分のおかげで認められたという事実が、彼女の子宮を痙攣させた。

 

「そうだろうとも。あれほどの男が日の目を見たのだ。……お前の犠牲のおかげでな」

 

 パチリ。

 爪先で乳首を弾く。

 弾力のある肉が波打ち、乳肉という名の白い砂丘が揺れるたびに、

 西園寺の剣は深く温かな泥沼へと引きずり込まれていく。

 

「んっ……んぅっ……! おにぃ……さま……っ!」

 

 珠雫は喘ぎながら滝壺を見つめる。

 水煙の向こうに座禅を組む兄の姿。

 彼は知らない。

 自分が身を粉にして修行している間、

 頭上で妹が師匠の肉棒で乳房を揉みしだかれていることを。

 その無知が珠雫を煽った。

 見られているわけではないのに、

 兄の視線を感じるような妄想が彼女を追い詰める。

 

(見て……お兄様……私が……私がお兄様のために……ッ!)

 

 乳肉を激しく上下させるパイズリのピストン運動。

 ジュポジュポという水音は滝の音に紛れはするが、

 二人の鼓膜には爆音よりも大きく響いている。

 

「ほぅ……良く締まる。お前もようやく私の扱い方を覚えたようだな」

 

 西園寺は恍惚と呟きながら、

 空いた片手で珠雫の反対側の乳房を掴み上げた。

 鷲掴みにされた乳房は指の間から溢れ出し、

 形を変えながら赤みを帯びていく。

 

「いやぁ……っ! そんな……強く……っ!」

 

「強く? 贅沢な女だ。もっと強くしてやろう」

 

 チリリと乳首を摘まみ、回転させるコマのように指先で弄ぶ。

 過剰な刺激に珠雫は首を反らし、

 白魚のような喉を震わせて無言の絶叫を漏らした。

 

 白濁した汗と乳汗が混じり合い、

 摩擦係数を極限まで高めた肉壁同士が擦れ合う。

 西園寺の肉棒は既に限界寸前だった。

 弟子への祝福。妹への陵辱。

 二重三重の快楽が精嚢を沸騰させる。

 

「くっ……受取れっ!」

 

 ドクンッ! 

 先端から放たれた白濁の砲弾。

 それは珠雫の顔面から胸元にかけて降り注ぎ、

 瑞々しい肌に醜悪な粘液を撒き散らした。

 

「あぁぁぁっ……! あつぃ……っ!」

 

 熱液を浴びた珠雫は痙攣し、

 ガクガクと膝を揺らしながら潮を吹いた。

 兄のためという大義名分を汚液で汚される背徳感が、

 彼女を究極の雌へと堕としたのである。

 

「……はぁ……はぁ……」

 

 絶頂の余韻に浸る二人。

 滝壺では依然として一輝が瞑想を続けている。

 西園寺は汚れた乳首を愛おしげに撫でながら、心の中で乾杯した。

 

 祝うべき入学決定。

 そしてこれから始まる新たなる背徳の日々に──―。

 

更新希望の原作

  • 魔弾の王
  • 落第騎士
  • ハイスクールD×D
  • 月姫
  • モブせか
  • マジエク
  • のんびり農家
  • 新妹魔王
  • 八男
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