※この作品はR-18です。

『監獄の掟』   作:ミスターN

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第20章疾痛 第3節幾十万の視姦

第3節 幾十万の視姦

 

 あの女は想像を絶するほどに強い力を得ていた。私たちの前から姿を消した3年間、いや正確に言えばあの女が目を覚ました1年弱の間に何があったのか、想像を絶する。だけど、一つ間違いなく言えることは、如月千種という人間は、今や夜叉になっているということだ。私と春香を監獄に押し込め、手玉に取っている。

 春香も同じようなことをさせられているのだろうか・・・。何とかすることはできないのか・・・。

 私は何度も願っていた。これが悪い夢であってほしい。目が覚めれば、そこにはなんでもない日常が顔を出していると信じたい。だけど、何度ほっぺをつねったところで現実は変わりはしない。

「先輩・・・助けて。」

 心の中で何度も叫んだ。実際に何回も声に出していた。だけど、だからと言って望月先輩が助けに来てくれるわけがない。

そもそも、ここがどこなのか、私自身にも分からない。

 本の情報が頭に入ってこない。もはや気を紛らわせる手段は、部屋に設えられた本棚の本を読む以外に何もないのに、本の内容に集中できないのだ。

 アダルトビデオに出る・・・つまりそれは、愛してもいない、見知らぬ男、不気味な男に、唇を奪われ、体をまさぐられ、乳首を吸われ、知らない男のモノを・・・口で咥えて・・・見知らぬ男のモノを・・・私の秘部に押し当てられ、中をえぐられるということだ・・・。

 考えるだけで頭がおかしくなってしまいそうだ。呼吸が荒くなる。意識を失ってしまいそうになる。

 夢に出てくるのだ。あの男が・・・。私を凌辱し、愉悦し、罵倒し、殴打し、蔑視し、強姦し、精神を破壊したあの男のことが。

 それだけじゃない、日中も何の関係もない、ただ本を読んでいるだけなのに、フラッシュバックしてくる。恐ろしい現実が目の前に迫ってきている。それを考えるだけで、今すぐにでも死んでしまいたい衝動に駆られる。

 きっとそっちのほうが楽だ。これから待ち受けていること、されようとしていることを考えると・・・今すぐに死んでしまったほうが楽に決まっているのだ。

 だけど・・・私は死ぬわけにはいかない。そもそも死ぬための手段がないのだ。包丁は取り上げられてしまった。他に死ぬ方法は・・・絶対ないわけではないが、少しでも不審な行動をとれば、すぐに止めに入ってくるだろう。そのための監視カメラなのだ。

 それに人質は私だけではない。私に何かがあれば、春香の命に支障が出てくる。私と春香は運命共同体なのだ。

 だけど・・・あの女が言っていたことが気がかりだった。春香は私を恨んでいる。水瀬さんが言っていた言葉を思い出す。私は・・・あの子からこれでもかというぐらいに恨まれているのだ。だとしたら・・・春香は私に何があったとしても、私のことを助けてくれようとはしないだろう。もし仮に、私と春香で殺し合いをさせようとしたら、春香は喜々として私を殺しに来るかもしれない。

 でも・・・これも自業自得なのだ。だとしたら、私はその殺されてしまうかもしれない相手の為に、こうやって自殺を思いとどまるのが、果たして正しいことなのだろうか。

 分からない。私は・・・何をしたらいいのか。何をしてはいけないのか。

考えることをやめよう。感じることをやめよう。本の文字だけを目にいれよう。風で窓を叩く音だけを耳に入れよう。考えるのが、感じるのが・・・怖い。だったら、何も考えず、何も感じず、ただ人形のように固まっている。それしかない。考えたら・・・きっと意識を失ってしまうからだ。

 数日後のことだった。お昼ごろになって、あの女が姿を現した。

「じゃあ、行くわよ。外に車を用意してあるから、そこに乗りなさい。」

 私はゆっくりと立ち上がり、ふらふらと玄関口で用意された靴を履き、目の前に止めてある黒塗りの車に向かって歩いた。そういえば、外から周りを見るのは初めてだった。そこは、昼でも夜のように暗い、鬱蒼と木々が生い茂った森林だった。

 私は車の後部座席に乗り込むと、奥の方に男がいた。黒づくめのサングラスをかけた男だ。そして後から,同じような男が乗り込んできた。そしてその男に、アイマスクとヘッドホンをつけられた。ここがどこなのか、悟られないようにするためなのだろう。ヘッドホンからは、クラシック音楽が流れている。私はアイマスクをつけられていたが、そのまま目を瞑った。この小屋は、きっと誰か人を隠すために作られたのだろう。そうとしか思えない。そんな場所に建てられていたのだ。

 それから数時間が経った頃だろうか。私はアイマスクとヘッドホンをはずされ、肩を叩かれた。眠っていると思われたのだろう。

「ここだ。下りな。」

 そう言ってドアの扉が開き、私の隣に座っていた男性が先に下りる。そしてもう片方側の男性に促され、私は外に下りた。

 外に下りた瞬間、私は辺りを見回した。

「じろじろ見んじゃねーよ。」

 私は先に出ていた男に強引に引っ張られて、雑居ビルの中に連れられて行った。この場所が東京圏なのか、中京圏なのか、関西圏なのか、全く手掛かりが見つからなかった。

 腕をつかまれながら、雑居ビルの階段を上がり、3階の扉を開けた。そこは、オフィスビルの一角のような場所だが、中は簡易の撮影スタジオになっていた。

「じゃあしっかりやれよ。」

 男は私が中に入ると、部屋から出て行ってしまった。撮影所の中には、ラフな格好をした監督と思しき人や、カメラマン、ADと思われる人、そして男優などがいた。機材も本格的で、大型のカメラやマイクセットなど、さながらテレビ局の様だった。だが、オフィスの奥側だと思われる撮影スペースには、ベッドとイスとテーブルが置いてあるだけだ。

「あんたが、今日の女優さん?名前は、『如月千早』だっけ。」

「え・・ええ。はい。」

「俺が監督の田中だ。よろしく。」

「は・・・はい。」

 完全に気圧されていた。40代くらいのこの田中という男も、どこかイカツイ顔をしている。恐怖で縮み上がっているから、どんな顔もそう見えてしまうのかもしれないが。

「聞いた話によると、あんた随分訳アリみたいだね。」

「・・・・・。」

 どこまでなのかは知らないが、少しでも話は伝わっているらしい。

「アンタがどういう境遇なのかは知らないし、興味もないが、こっちもビジネスでやってる。ちゃんと演技してくれないと困るんだよ。」

「演技・・・ですか。」

「そうだ。こういう作品に出てるほとんどの女優は、別に『気持ちよさ』を感じているわけじゃない。そういう演技をしているんだ。カメラの先にいる男たちを抜かせるためにな。だから、あんたも演技だけしてくれればいい。『気持ちいいふり』それで十分だ。今回の撮影コンセプトは、『ウブな新人のデビュー』。だから、無理して過剰に気持ちよがる必要はない。ただ、エッチな声は上げてもらわなくちゃ困る。君が普段どんなセックスをしているかは知らないけど、最低限、気持ちよさそうにして声を上げる、時々「気持ちいい。」とか言う。それは守ってもらわないと困る。いいね。」

「は・・・はい・・・。」

 監督ににらまれるように言われて、生返事しかできなかった。

「千早ちゃん、君はAVを見たことはあるかい?」

「いえ・・・全く。」

「じゃあ先に見せておこうか。そのほうが話が早い。おい、広岡!俺のパソコンを事務所から持ってきてくれ!」

 監督が広岡という人に指示を出した。まだ若いADみたいな人だった。

「全く、こんな訳の分からない子ばかり、俺に押し付けてきやがる。本意じゃない子なんて、面倒なんだよ全く・・・。」

 監督が独り言をつぶやいていた。

「知っているんですか?私が・・・その・・・。」

「ああ。知ってる知ってる。どうせあれだろ、ヤバイところから金借りちゃったりして、出演料で返せってあれだろ。ああいうの困るんだよね~、曲がりなりにも演技してもらわなくちゃいけないからね。本意じゃない子は、それがうまくできない。売り上げに響くんだよー。」

「上からの指示なんですか?」

 この際だ。聞けることは何でも聞いておこう。この境遇から抜け出すためのヒントが得られるかもしれない。

「ああ。そうだ。社長のやつ、俺にはこんな訳アリの子ばっかりよこしやがるんだ。たいていやくざか暴力団絡み、金が返せなくてこの業界に入らざるを得なくなったかわいそうな子だよ。」

「そういえば、ここって東京ですか?」

「?変なこと聞くね。ここは大手町だよ。あんたまさか・・・。」

 監督の顔が曇った。こういう業界に長くいるであろうこの監督からしても、相当やばい案件だと感づいたらしい。

 現場の時計を見る。午後7時過ぎだ。私が今日拘束されたのは、お昼頃。時計がないので日が昇った時からの感覚でしかないが、つまり6~8時間近く車に揺られていたことになる。東京から6~8時間。かなりの遠方だ。気候の感じからして、かなり冷え込んでいたから、東北の方かもしれない。いや、山の中だから気温が低いのかも、もしかしたら中部地方かもしれない。どちらにしろ、車で4分の1日以上揺られている時点で、関東にはいない。

「これ以上、変な質問はしないでくれ。アンタは特級の問題児さんのようだ。あんまりかかわるとこっちも寿命が縮んじまう。」

 そして、広岡というADが持ってきたパソコンで、私はAV作品を軽く見せられた。こういうあえぎ方をしろ、こういう風によがれ、その手本を見せられたのだ。

 その後私は着替えさせられた。撮影用の洋服があるみたいだ。最初から全裸というわけではなく、最初は服を着ていて、それを徐々に脱いでいくという仕様らしい。確かに、ずっと拘束されているときに来ている洋服は、色気がなかった。ブラジャーや下着まで用意されているところが本格的であった。

 午後8時頃になって、いよいよカメラが回ることになった。

事前に監督からいくつかレクチャーを受けていた。最初にインタビュー的なものをするらしい。まず今回AVに出演したのは、自ら好んで出演したことにする。そして、出演の動機は「こういうのに興味があったため」。これまでの経験人数は「1人」。そう答える様指示された。

 いよいよ撮影が始まった。私は着衣のまま椅子に座り、カメラに対して真正面に向かい合っている。男優の人がカメラに入らない位置から、私に質問をぶつける。プロフィール紹介といったところのようだった。

「名前を教えてください。」

 男性の野太い声が耳に入る。今日は、この人と・・・体を交えることになるのか・・・。私はその男優の方を見ていた。体を鍛えているのか、肌は小麦色で程よく筋肉がついている。顔は四角っぽく、やっぱりいかつい人のように見える。

「如月千早です。」

「年はいくつ?」

「19歳です。」

「まだ未成年なんだね。大学には通っているの?」

「ええ。まあ・・・。」

「大学は1年生?2年生?」

「えっと・・・2年生です。」

「そっか。まだ初々しいね。どうして今回AVデビューしてくれることになったのかな。」

「はい・・・こういったことに興味があって。」

「へえー、そうなんだ。これまでの経験人数は何人?」

「1人です。」

「それって彼氏?」

「えっ・・・はい。」

「もう別れちゃったの?」

「そう・・・ですね。」

 何だこの質問は。意図的に誘導しているのだろうか。

「なんで別れたの?二股されたとか?」

「えっと・・・ちょっといろいろ事情があって。」

「そっかー。いろいろ大変なことがあったみたいだけど、今日は気持ちよくなって、全部忘れちゃおうね。」

「はい・・・。」

「じゃあ、ベッドに移って、服脱いでみようか。」

 男優の指示で、私はテーブルから離れて、ベッドの方に腰を下ろした。

「じゃあ、脱いで。」

 私は一つ一つゆっくりとボタンをはずしていった。

「カメラの方を見て。」

 指示に従い、時折カメラを見ながら少しずつ服を脱いでいく。やがて、上は水色のブラジャーだけになる。

「下も下着だけになって。靴下も脱いでいいから。」

 私は立ち上がって、スカートを下ろす。そして、これも事前に履かされていた白いハイソックスを脱いで、床に置いた。

「千早ちゃん、きれいだねー。」

 男優の色気づいたいやらしい声だ。

「ありがとうございます・・・。」

「じゃあ、ゆっくりとブラのホックを外してごらん。」

 私は両腕を後ろに回し、ブラの鍵ホックを外した。そして、ゆっくりと腕を正面に戻し、胸当てを両手で抑えた。背中にかけていたホックがだらりと前に垂れている。

「ブラを覆い隠している姿もセクシーだねー。じゃあゆっくりでいいから、ブラを取ってごらん。」

 今の私はどんな表情をしているのだろうか。戸惑っていて、多分顔がへの字に曲がっているのかもしれない。そんな姿を見て楽しいのだろうか。私はいろいろなことを疑問に感じながら、ブラをずらし、胸全体をはだけさせた。

「きれいなピンク色だね・・・。」

 私はとっさに両手で胸を隠す。

「隠さないで隠さないで。」

 それでも手をどけようとしない私に、男優が腕をつかんで、腕を前に下ろさせる。

「困ったような表情も可愛いよ。ほら、顔が赤くなってる。」

 これを・・・カメラの向こうにいる何百人何千人・・・もっとそれ以上という人がこれを見ているのだ。そして、自らの性欲のはけ口として使っている。私は・・・数万人に精神的に犯されている。

だけど、これを「喜ばなくちゃ」いけないのだ。顔が赤くなっているのも、恥ずかしさ、怒りそんなものが混ざったような感情なのだ。

「じゃあ、下着も脱いでご覧。」

 私は、下着に手をかける。カメラの向こうで監督がカンペを持っている。「ゆっくりと、なるべくセクシーに」

 言われたままにするしかない。私は監督の指示通り、ゆっくりと下着を脱いでいった。やがて、私の髪の毛の色と同じ群青色の陰毛があらわになる。カメラがそこにゆっくりと寄っていく。

「おまんこも綺麗だね。よく手入れしているの?」

「えっと・・・お風呂で普通に洗っているだけです。」

「やっぱりセカンドバージンのせいもあるのかな、使い込まれていないからきれいだよ。」

「・・・ありがとうございます。」

 さっきから、馬鹿の一つ覚えみたいに、ありがとうございます。しか言っていない気がする。私に・・・演技なんて出来ようがないのだ。

「じゃあ、ベッドに座って。」

 相手の男優はすでにパンツ1枚になっている。

 怖い・・・。本能的に体が収縮する。

 私は体が硬直しながらも、ベッドの上にストンと座り、どこかそっぽを向きながら、固まっている。

 男優がどすんと腰を下ろす。私との距離は、20センチしかない。ああ、怖い怖い・・・近づいてくる感覚が怖い・・・。

「緊張してる?」

「え・・ええ・・。」

「最初だけだから。だんだん、気持ちよくなっていくからね。」

 男優は私の手を握った。男の人の感触で、鳥肌が立つ。それでも嬉しいふりをしなければならないのだ。

「こっちを向いて。」

 男優の指令で私は顔をその男優の方に向けた。男の唇が迫ってくる。覚悟を決めて受け入れるしかない。私は目を瞑った。

 寸刻の後、柔らかい感触が唇に当たったのが分かった。チュッという湿った音がたつ。男優が私の唇をチューチューと吸ってくる。薄気味悪さで卒倒しそうになるが、何とか耐えている。

「もっと吸い付いて。」

 男優の声に呼応して、私も男優の上唇、下唇に食らいついていく。しばらくして、男優が私の口の中に舌を挿入してきた。いきなりの感覚にびっくりしてしまった。

 私は入ってくる男の舌を自分の口の中で接待するしかない。カメラから見るとどんな光景になっているのだろうか。おどろおどろしい想像が頭に浮かぶ。男優が私の口の中に強く舌を差し入れるので、私は次第にその勢いに負けて後ろに倒れそうになってしまった。

だけど、それを許さないとばかりに、右手で私の後頭部を強く抑えてくる。左手で私の右胸をわしづかみにする。

「んっ・・・んっ・・・。」

 声にならない喘ぎ声を上げる。

 痛い。乱暴だ。痛みで顔がゆがむ。まるであの時みたいだ・・・。目を閉じて男に体をゆだねていると、途端にあの時のことを思い出してしまうのだ。あの男に性欲のはけ口にされて・・・凌辱されていたあの時のことを・・・。

 やがて、男優は私の唇から顔を離した。そして今度は、私をベッドの上に押し倒し、そのままその汚い口で、舌で、私の乳房を舐めてくるのだ。

 男の熱い吐息が乳房に、そして乳首に当たり、男の汚い舌でチロチロと私の乳首を刺激してくる。

「あんっ・・・あんっ・・・。」

 さっき見せてもらったDVDのように、私はとりあえずそれらしい反応を示してみる。

「どう?気持ちいい?」

 男優の呼びかけに、私はコクリとうなづいて見せた。

「乳首が千早ちゃんの性感帯なんだね。やらしい子だ。もっと虐めちゃおうかな。」

 ジュルっチュルっズズルっっっジュルル

「あんっ!あんっ!あ~ん。」

 男がいやらしくするためにわざと唾液を口に溜めて、音を立てて乳首に吸い付くのだ。気持ちよくなんてない。怖くてしょうがない。くすぐったいのだ。私は、思わずベッドのシーツを強く握りしめ、体をくねらせて抵抗を試みる。見る人が見れば、私が気持ちよくてよがっているように見えるのかもしれなかった。

 右胸だけでは飽き足らなかったのか、左胸の方にも口をつけて、同じようにいやらしい音を立てながら吸い付いてくる。

「あ~ん、あ~ん。」

 なんだか大根役者になったみたいだ。

「気持ちいい~。」

 心にもないことを口走る。それに気を良くしたのか、男は今度はあばら骨やへそをチュッチュッと刺激してくる。

「あんっ・・・おへそ・・・。」

 私は手を伸ばし、へそのあたりを隠そうとする。

「へそのあたりが好きなの?」

 別に好きじゃない。一番くすぐったいからやめてほしかったのだ。だけど、そんなこと言いだせるはずもない。

「う・・・うん。」

「かわいいな~。もっと責めちゃおう。」

 ジュルッズズズッジュルジュル

「あんっ・・・あんっ・・・気持ちいい~。」

 体がビクンと起き上がる。くすぐったくてそこから逃れたくて、体が浮き上がってしまうのだ。気づけば、私は男優の頭を手で押さえてる。だけど、そんなことお構いなしに、男は容赦なく攻め続ける。

 ジュルッズルッジュジュジュル

「うんあっ!うっ・・・あんっ。」

 私は何度も体を悶えさせた。その顔にはもしかしたら、苦痛の色が見えていたのかもしれない。

 男はだらりとベッドの前に下ろしていた足を持ち上げ、完全にベッドの上に乗せた。私をさらにベッドの奥側へと移動させ、男も完全にベッドに乗る。

「股を開いて。」

 私は言われたとおりに、ゆっくりと股を開く。

「きれいなピンク色だよ。花が咲いているみたいだ。」

「恥ずかしいです・・・。」

 私はとっさに両手で顔を隠した。

「濡れてる?」

 男が左手で私の右ひざを押さえて股を固定させると、男の右手が私の膣へと延びる。

「あんっ・・・そこは嫌です・・・。」

 私はとっさに股を閉じようとする。だけど、それを男が抵抗して、何とか開かせたままにしておこうとしている。

「まだあんまり濡れてないね。じゃあ、これからぬるぬるにしてあげるからね。」

 男は私の陰部に顔を近づけてくる。男の吐息が、股間に当たり、とても不快だ。これから起こる恐ろしさを前にして、顔が曲がる。

「ひゃんっ!」

 男優の舌が私のクリトリスに当たったのだ。思わず私は素っ頓狂な声を上げて、体を少しのけぞらせてしまった。

「澄ましていても、ここは正直なんだね。」

 男は自分の舌で、私の宝石をチロチロと嘗め回してくる。

「あんっ・・いやんっ・・あんっあんっあんっ。」

「そろそろ、指を入れてみるね。」

 男の人さし指が小陰唇に触れる。

「いやんっ・・・そこは・・・あんっ!」

 男は小陰唇と大陰唇の間を丁寧に何度もなぞりつつある。そしてゆっくりと、膣の中に人差し指を差し入れた。

 そのまま男はゆっくりと人差し指の上下運動を始める。

「あんっあんっあんっ・・・きもちいい・・・。」

 全然気持ちよくない。異物が入ってきた緊張感から、体が引き締まるのだ。下腹部を襲う猛烈な違和感、膣内が濡れていないせいか、男の指が上下するだけでも、膣に強い摩擦の痛みが生じる。

 ジュルジュルジュルっっ

 膣内が全然濡れていないことに気づいたのか、男はクリトリスを刺激し、何とか膣内を濡らそうと懸命になっているようだ。

 私のいやらしく聞こえるか自信のないあえぎ声だけが、撮影所にこだまする。

「あんっ・・・気持ちいい。」

「どこが気持ちいいか言ってごらん。」

 男がいやらしい言葉を引き出そうと、私に声をかける。

「えっ・・・あそこ・・・です。」

「あそこじゃわからないよ。どこなのかな?」

「んっ・・・だから・・・ひゃんっ!」

 男がクリトリスを甘噛みしながら、膣内で素早く人差し指を動かし始めた。

「うんっ・・・ぐっ・・・あんっ・・・。」

「ようやく濡れてきたね。君のおまんこ。」

 男が人差し指で膣内をかき回す。正直、薄気味悪さしか感じないが、体は生理現象的に膣内から愛液を垂れ流す。やがて男は、人差し指を膣から引き抜き、粘性の膣液をカメラの前にひけらかす。

「ほら・・・もうこんなに濡れてるよ。千早ちゃんは、淫乱なんだね。」

「ち・・・違います。」

「口では澄ましていても、体は正直だね。」

 男優は立ち上がり、パンツを脱ぎ捨てた。

「じゃあ、口でしてもらおうか。」

 そういうと、男優はベッドの上に足を広げて座り、自分のモノを差し出している。さっきのDVDで見たフェラチオをしろということなのだろうか。

「さあ、俺のを握って。フェラしてフェラ。」

 戸惑いながらも私は四つん這いになりながら男に近づき、右手で恐る恐る男のペニスを触ってみた。独特の皮膚の感覚、勃起した海綿体の固くも柔らかくもない肉の感覚。それが男のモノだと思えば思うほど、嫌悪感が体からこみあげてくるのだ。

「手でしごきながら、口に含んで。」

 私はまるで汚物にでも触れるかのように、親指と人差し指で男の陰茎をつかみ、ゆっくりと上下を始めた。それとともに、顔を近づけ、男のカリの部分にキスをする。

「おっ。」

 男がキスに反応して声を上げる。

 生臭いイカのような匂いがする。

 私はゆっくりと口を開き、男のモノを口全体で覆う。そしてゆっくりと口内でカリの部分をピストンして刺激を与える。

「いいね~うまいよ、千早ちゃん。」

 男の言うことは完全に無視して、男のモノに一心不乱に吸い付いてる。

 じゅっぽじゅっぽじゅっぽ

 男のモノから苦い汁が染み出てくる。口の中に広がるほのかな苦み、気持ち悪い。それがだ液と混ざっているから、味が薄まっているが、男のモノから出た体液と考えると、吐き出したくなってしまいたくなる。

 ずっと唾液を飲み込んでいなかったから、男のカリの部分は常に湿っていた。そして、ストローで何かを飲むときのように、いやらしい音を立て続けている。

「あー気持ちいい、最高だよ、千早ちゃん。」

 私は男の言葉を無視して、一心不乱に続ける。あまりにも口内に唾液がたまってしまったので、少し飲みこんだ。唾液とは違う、異様な何かが体内に入った感覚がする。だけど、そんなことは考えないようにする。考えてだけで、気が狂いそうだ。

 こんなフェラチオを10分くらい続けて、いよいよ男もペニスの準備が整ったようであった。

「ありがとう、じゃあそろそろ千早ちゃんのマンコの中に入れるよ。仰向けになって。」

 私は言われたとおりにする。

「じゃあ、挿れるよ。ゆっくり入れるからね。」

 そういうと、男はベッドの上で立膝を突き、男のモノを陰部に押し当ててくる。さっきの男の指とは明らかに違う質感、そしてその太さ、途端に強い恐怖感が襲ってきた。好きでもない男とつながってしまう瞬間・・・。あの男に犯され、凌辱されて、好き放題罵倒されたあの頃を思い出してしまう。

「や・・・やめてください・・・。」

 か細い声で私は男に慈悲を求める。

「そそるねえ、君のか細い声は。」

 男はそんなことを言いながら、私の抵抗を無視して、亀頭をゆっくりと挿し入れる。

「んっ・・・」

 苦痛で顔がゆがむ。激痛が下腹部を襲うのだ。男はそのままずるずるずると、陰茎を根元の半分近くまで押し入れた。あの男のモノは、私の子宮口にまで達した。

「痛い・・・痛いです・・・!」

「すぐに気持ちよくなるから。」

 男はゆっくりと上下運動を始めた。いくら膣内が濡れ始めたとはいえ、男のモノに悠々と耐えられるほどまでに濡れ切っているわけではない。

 男が上下するたびに、私の下腹部に鋭い痛みが襲ってくる。

「あんっ・・・うんっ・・・。」

 口元を見せないようにしているが、歯を食いしばっている。

 男が私に覆いかぶさって、キスをしてくる。

「んっ・・・んっ・・・。」

 私の口をふさいで、痛い痛い言わせないようにする作戦の様だ。男は次第に上下運動の速度を速めていく。そして一定のリズムで上下しながら、私の唇を奪い、両胸をもみしだくのだ。

「あんっあんっあんっ・・・気持ちいい・・・。」

 膣内の摩擦にも少しずつ慣れていくようだ。全然気持ちよくはないが、痛みは少しずつ収まっていく。

「じゃあ千早ちゃん、俺に馬乗りになって。」

 馬乗り?よくわからない。

 私が戸惑っていると、男優が私につながったまま、私を抱き起した。そしてそのままベッドに対して垂直になるように据え付けると、男は逆に仰向けに寝っ転がり、突き上げるように突いてくるのだ。

「あんっあんっあんっ」

 男の陰茎が子宮口を激しく叩いてくる。正直かなり痛い。

「もっとゆっくり・・・」

 男は私の要望に従い、少しゆっくり目に腰を動かしている。

「自分でも動いてごらん。もっと気持ちよくなれるから。」

 私はベッドに両手をつけながら、少しずつ上下に動き始めた。自分でタイミングをコントロールできる分、まだましだ。少しずつ、徐々に慣らすように加速させていく。

「おおっ・・・気持ちいい。それいい。」

 男優の方が嬌声を上げた。

「私も・・・気持ちいいです。」

 ほんの少しだけ気持ちいい。痛気持ちいいというやつだ。

 しばらく馬乗りのままピストンをしていたが、その姿勢に疲れて後ろに倒れこんでしまった。

「きゃっ。」

「疲れちゃった?じゃあ別の体位にしようか。四つん這いになって。」

 言われたまま、私は体を反転させ、両腕をついて、立膝を突いた。

「お尻の穴もきれいだよ。」

 男は四つん這いになった私の肛門を人差し指で、撫でる。

「いやん・・・そこはダメです。」

 男は肛門に軽くキスをすると、男の方も立膝を突き、男のモノを四つん這いになった私の膣の中に差し入れてきた。さっきまでとは違った感覚だ。膣の下側を強くさするような感覚。やっぱり痛い。自分のタイミングでやらないと・・・。

「あんっあんっ・・・。」

 この態勢ならあまり顔が映らないので助かるが、正直苦悶に身もだえしているのだ。かなり辛い。

 でもそんなことお構いなしに、男は徐々にピストンの速度を強めていく。

「いいね、千早ちゃん。中の締まり具合も最高だ!」

「あんっあんっあんっ、気持ちいい~。」

 自分でも、あまりにも心にもない言葉だと思う。男優が私に覆いかぶさるようにしながら、右手で乳首をつまんでくる。

「ああん、そこ!そこは・・・らめえ・・・。」

 痛い。恐らく気持ちよくしようとして、つねってくるのだろうが、全然気持ちよくないのだ。やがて、痛みと四つん這いになっている疲れがたまって、腕が腰折れてしまった。

「体を反転させて。さっきの体勢に戻って。」

 男はいったん自分のモノを私から引き抜いた。私は言われるがままに、仰向けになった。そこに男は両ひざを立てて、自分のモノを思い切り私の膣口に突き立てた。

「ああんっ、気持ちいい~。」

 男が私の口にキスをする。そして勢いに乗ったまま、舌を口の中に差し入れる。

「んんっ・・・んんっ。」

 しばらくして、男が唇を離すと、今度は両手で胸をもみだした。

「胸・・・あんっ・・・。」

 男は随分と気持ちよさそうだ。私のような貧乳のどこがいいのか、両手で熱心にもみしだいでいた。

 やがて、男のピストンの速度が上がっていく。射精の瞬間が近づいているらしい。

「あんっあんっあんっあんっ!」

「もうそろそろイクよ。いっちゃうよ!あっ!」

 男は果てるその寸前、自分のモノを膣から引き抜き、私のお腹の上に射精した。

「はあーはあー」

 男は息を上げている。私も少しだけ息が上がっていた。

「お掃除フェラをしてよ。」

 そういうと男優は私のもとに近づき、口元にまだ勃起しているペニスを差し出してくる。

 目の前に突き出されて、拒むわけにもいかず、私は顔を近づけ、ペニスを口に含んだ。さっきよりも苦味が増している。その上、カリのあたりがぬるぬるしている。精子の残滓が感じられるのだ。

 私は一通りカリのあたりを舌ベロを使って嘗め回した。

「おお、いいね。さっきより大胆になったね、千早ちゃん。」

 私はうんとうなづいた。もうどうにでもなれという気持ちだった。

 やがて、「カット!」という監督の大声が響き、その日の撮影は終わった。監督の話だと、明日も撮影ということだった。

 私はこのビルのシャワールームで体を洗い終わると、また黒づくめの監視の男がビルに入ってきて、私を捕えるのだ。私は車に揺られて、ビジネスホテルのようなところに連れていかれた。私はその日ビジネスホテルに一泊し、翌日も撮影に臨んだ。全ての撮影が終わり、再び監視の男の誘導で車に乗り込んだのが午後3時頃、あの小屋に戻った時には、もうすでに周りは完全に真っ暗になっていた。

 

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