※この作品はR-18です。

『監獄の掟』   作:ミスターN

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第12章ある日の風景 第7節仄かな生への執着

第7節 仄かな生への執着 残り 45時間

 

 私は恋をしていた。思い出したのだ。私が彼のことを好きだと思ったのは、確かに最初は彼が思い出の中の「加藤君」に似ていたからであった。しかし、それは彼を狙う春香に配慮するために、私の中で膨れ上がった「嘘」だった。

 思い起こすと、あの頃の私は徐々に望月先輩への恋心を募らせていたのだ。そうしてその度に、春香への罪悪感を感じていた。

 私が取り戻した記憶はここまでだ。その後、私たちの恋路がどうなったのか、そこまでは思いだせていない。

 私が想像していた通りの最悪の展開だ。私と春香は、先輩を巡って奪い合う関係にあった。では、その結末はどうだったのだろうか。

 私は隣で瞑想している春香の方に目をやった。春香は静かな寝息を立てている。いつの間にか寝てしまったようだ。極度のストレス環境下で深く眠れるわけでもない。当然、疲れがたまってしまう。こうやってうたた寝してしまうのも仕方のないことだ。

 私はもう一度正面を向いて、この事件のことについて考えてみることにした。

 私は、この事件は私の母親が起こしたものだと思う。根拠は・・・あのスピーカーの男との会話だ。あの男は私の母親が「なお恨んでいる」といった。つまり、犯人グループと私の母親がつながっている何よりの証拠だ。

 しかし、春香の言う通り、私の母親が全て1から10までこの犯罪を用意したとは考えにくい。大勢の男たち、この地下室、どれを取っても暴力団や、やくざといった裏世界の人間を利用しなければできない犯罪だ。そんなコネクションを、私の母親が持っていたとは考えられない。

 ということは、この事件には、私の母親以外に協力者がいるはずなのだ。私たち二人を、殺し合いをさせたいほど憎んでいる誰かが。そして、これだけの大掛かりな組織を動かし、実行できる実力者が。

 あのスピーカーの男は、まだ私たちは“全て”の罪を認識したわけではないのだという。つまり、その「罪」が何なのかを理解しなければ、協力者、即ちこの事件の真犯人を知ることはできないということだ。

 私たちの罪・・・。今思いつくことが一つだけある。それは・・・、雪村さんから望月先輩を奪ってしまったことなのではないか。

 雪村さんは、望月先輩に好かれていなかった。許嫁だったから、それなりに大切にされていただけで、望月先輩が会社を継ぐことを放棄してしまえば、雪村さんから望月先輩を奪ってしまうことはたやすいことだった。

 望月先輩が会社を継ぐかどうか、それは望月先輩の意思に係っている。その気になれば、相続を放棄することだってできる。だからテニスサークルの周りの人間は、半ば冗談、そして半ば本気で望月先輩のことを狙いにいっていたのだ。

 もしかしたら、私たちのうちどちらかが、望月先輩のことを奪ってしまったのではないだろうか。それに逆上した雪村さんがこんな犯罪を・・・。

 あり得るのではないか。雪村さんの実家は、大学の理事長を務めていてお金持ちだ。これだけの犯罪を仕込むだけの経済力はあるだろう。

 そう考えると、やはり私か春香のどちらかが、望月先輩を・・・。

 どちらが先輩の心を射止めたのだろうか。そのことがとても気になってきた。でも、なぜそんなことを気にする必要があるのだろうか。

 私は・・・死ねばいい。私が死ねば・・・春香は何の気がねもなく、先輩を手に入れることができる。だったら、彼をどっちが射止めたのか、そんなことなど気にする必要はないではないか。そんなことを気にするのは・・・私に邪な感情があるからだ。

 私は体を身震いさせた。そんなことを気にしてもしょうがない。私が死ななければ、春香が死ななければならない。何の罪もない春香が、犠牲にならなくちゃいけない道理なんてない。私は春香に幸せになってほしい。春香の悲しみに満ちた人生は、ここで終わりにさせなければならない。

「ん~」

 春香が目を覚ましたようだ。

「起きたのね、春香。」

「うん。いつの間にか寝ちゃったみたい。」

「そう。」

「ん?大丈夫、千早ちゃん。顔色が悪いよ。それに・・・震えてる。」

「ちょっと・・・疲れちゃっただけ。」

「だったらいいんだけど。」

 寝坊助の春香に異変を察知されるほどに、私は動揺していたというのか。平静を取り戻すまでには時間がかかりそうだ。

 春香が問いてきた。

「何か思いだせたことはあった?」

「・・・あったわ。」

「ほんと?どんなことについて?」

 思い出したことを語るのは怖い。状況がどんどん悪い方向に向かっていくような気がするからだ。しかし、勇気を出さなければ、真実にはたどり着けない。私は勇気を振り絞って、思い出したことを口に出すことにした。

「私が望月先輩に恋をしていたのは、最初は彼が『加藤君』に似ていたからだと思ってた。でも実際は、そうじゃなかった。」

「え?そうなの?」

「・・・ええ。私は春香に気兼ねしていたの。あなたが、本気で望月先輩のことを好きで、落としにかかっていたことが分かっていたから、だから私は、自分の気持ちを抑えて、彼のことが好きなのは、彼が思い出の中の『加藤君』に似ているからって偽っていたの。」

「・・・そうだったんだ。」

 私は春香の方に目を向けた。ぶ然としているとか、怒っているとかそういう態度ではなかった。

「それで?」

 春香が私に目を向けて聞いてくる。私はとっさに春香から目を逸らした。

「私・・・望月先輩に酷いことをしてしまった。ある日の飲み会で、トイレに向かっていた時に私は、居酒屋の床で躓いた。そんな時たまたま向かい側にいた先輩に、転びそうになったところを抱きかかえてもらったの。だけど私は、あの男にレイプされたときのことを思い出して、悲鳴を上げてしまった。」

「・・・その後確か、千早ちゃんは走って逃げちゃったんだよね。」

「・・・ええ。本当にひどいことをしてしまった。それで私は先輩に謝ろうと、彼を食事に誘った。」

「そこで何か言われたの?」

「大した話はしてないと思う。」

「聞かせてよ。それ、確か千早ちゃんが私に教えてくれなかった話じゃない?」

 確かに、その後彼と何を話したのか、春香にしつこく聞かれたような気がする。だが、「プライベート」なことだから、とかなんとか理由を付けて話さなかった記憶がある。正直な話、確かに話したくないから話さなかったのだ。正直に話せば、春香が私に嫉妬してしまうかもしれない。そんなことを気にして言わなかったのかもしれない。

「彼は、私が“心の闇”を抱えていることを見抜いていた。」

「確かあの時・・・私は、千早ちゃんは高校時代に痴漢にあった“って説明したんじゃなかったっけ。」

「その通りよ。だけど先輩は、多分見抜いてた。春香の言葉が嘘だって。」

「そうなの?」

「先輩は、“私が大変な人生を歩んでいる”ってことに気付いていたみたいだった。」

 よくよく考えれば、痴漢にあったぐらいで、男性に抱きつかれただけで、瞬間的に「やめて!私に触らないで!」なんて大声で叫んで、突き飛ばしてしまうとは思わない。春香がとっさに見繕った嘘だとばれても仕方がないことだった。

「それから、私の力になりたいとも言ってくれた。あと・・・」

「あと?」

「“自分の気持ちに正直になれ”って。」

「それどういうこと?」

「・・・私が先輩のことを密かに想っていたことに気付いて、それで・・・」

「好きだって認めろってことね。」

「たぶん・・・うん、そうだと思う。」

 なんだかバツが悪い。

「それで全部?」

「そうよ。それで私、気づいたことがあるの。」

「何?」

「私は、この犯罪の首謀者はやっぱり私のお母さんだと思うの。あのスピーカーの声の主は、私のお母さんが私たちのことを尚も恨んでいることを知っていた。それは、お母さんがこの事件にかかわっていることの何よりの証拠だと思わない?」

 春香は「うーん」とうなった。その上で彼女は「確かにそうかもしれないけど」と可能性があることは認めた。でもまだ納得していない様子だ。

 私は続ける。

「春香が言う通り、この犯罪を一人で行うことはできないと思う。誰かほかの、お金持ちの協力者がいると思う。」

「お金持ちの協力者・・・。」

「もしかしたら、それって雪村さんなんじゃないかしら。」

「彼女が!?」

 春香が驚愕して私の方に顔を向けた。私も春香に目線を合わす。

「もし私たちのうちどちらかが、本当に望月先輩を射止めてしまったとしたら。そのせいで雪村さんが許嫁の地位を外れてしまったら、私たちを恨む理由になるんじゃないかしら。」

「それは・・・違うんじゃないかな。」

「どうして?」

「思い出してよ。犯人たちは、望月先輩まで拘束しているんだよ。私たちが殺し合わなければ、望月先輩まで殺すって。望月先輩に恋い焦がれている雪村さんがそんなことをするとは思えないよ。」

 確かに一見すると正論だ。だけど別の可能性だってある。

「でも心変わりしていたら?先輩を得ることができなくなったと知って絶望して、愛情が憎しみに変わったとしたら?」

 春香は「それはありえないよ」と否定した。

「あの人にそんなことができるとは思えない。雪村さんは、望月先輩に精神的に依存していた。例え恋が叶わなかったとしても、心の支えであることには変わりないんだと思う。彼女にとっての精神的支柱を自ら壊すなんて考えられないよ。」

「雪村さんについて、やけに断定的に言うのね。」

「なんとなくだけど、そんな感じがする。」

 そんなものなのだろうか。

「それに、仮に雪村さんが犯人の一人だとして、どうして二人とも捕まえたの?先輩を奪ったのは1人だけなんじゃないの?だったら、私か千早ちゃんのどちらかだけが恨まれているはず。だって、もう一人は雪村さんと同じで、恋敗れた人ってなるじゃない。雪村さんにとっては、親近の対象になるこそすれ、恨むことはないんじゃない?」

 確かに、正論だ。

「それに、千早ちゃんのお母さんと連絡を取ってまでこんな犯罪をする動機もないよ。本当にやりたければ、一人でやってしまえばいい。千早ちゃんのお母さんを参加させる意味もない。それにそもそも、私たちの過去をどうやって知ったんだか。」

 春香の反論は的を射ている。返す言葉もない。

「じゃあ、春香は誰が協力者なんだと思うの?」

「・・・分からないよ。私たち二人を恨んでいて、これほどまでに巨大な組織を動かせるほどの人物・・・正直思い当たらない。」

 でもなんとなくだが、その「協力者」は大学時代に出合った誰かなのではないだろうか。

「『お金持ちである』ってことだけを考えれば、この犯行ができそうな人が何人かいると思うけど。例えば、今の雪村さんもそうだし、水瀬さんとか。あとは・・・望月先輩も・・・。」

 春香が反論する。

「望月先輩は被害者でしょ。だから論外。雪村さんも違う。」

「じゃあ、水瀬さん?」

 春香は顔を曇らせる。

「・・・違うんじゃないかな?」

「根拠は?」

「・・・特にあるわけじゃないけど、恨まれる理由が特にあるとも思えない。そもそも、あんまり私たちと関わりはなかったはずだけど。」

 確かに水瀬さんに関する記憶は薄い。水瀬さんと言えば、いつも部室に来ては、みんなと絡まずに一人でスマホをいじっているような人だった。そういえば、たまに美希に絡まれたりして怒ってたりしたが。

 私は尋ねる。

「水瀬さんって、望月先輩のこと好きだったの?」

「いや・・・そんなことはなかったと思うけど。むしろ、冷ややかに見ていた気がする。だから・・・違うと思う。」

 話は振出しに戻ってしまった。

「ところで千早ちゃん。」

 春香が急に話を振ってきた。

「何かしら?」

「正直な所・・・今はどう思っているの?」

「何が?」

「先輩のこと。今この瞬間・・・先輩のこと、好きなの?」

 私は体を震わせた。ついに来てしまった。私が恐れていた質問。

「ねえ、どうなの?」

「・・・今は・・・どうとも思ってない。」

 これは、きっと「嘘」だ。春香を苦しめないためにつく「優しい嘘」。

 少し間があった。

「ふーん。そうなんだ。」

 春香は特に表情を変えるでもなく、それだけを述べた。私は恐る恐る尋ねる。

「春香の方は?・・・好きなの?彼のこと・・・。」

 また少し間があって、春香は表情一つ崩さずに答えた。

「・・・今は、『普通』かな。」

「普通・・・それって好きでも嫌いでもないってこと?」

「・・・よく覚えてないや。」

「尋ねてるのは今の気持ちのことよ?」

「分からない。」

 分からない。春香が発したその言葉を、私はどう捉えたらいいのだろうか。私には、正直言って春香の言葉が信じられなかった。春香は多分きっと、先輩のことが好きなのだ。だって、春香はあれだけ先輩にアタックしていた。確かにそれは、私の過去の記憶の中の「春香」だ。

 だけど、それがいつの日にか大きく心変わりしたというのだろうか。春香の表情では、何も分からない。何を隠しているのか、あるいは何かを隠しているのかどうかすら、私には判読できそうにない。

「テニスサークル・・・楽しかったね。」

 春香がふとそう声をかけた。

「覚えてるでしょ?サークルで何してたか?」

 サークルでやっていたこと・・・。

「只管遊んでたってこと?」

 春香がにっこり笑う。

「そうそう。テニスサークルなのに、全然テニスやらなかったよね。」

 私も笑みをこぼしながら応じる。

「そうだったわね。みんなでゲームしたり、トランプしたり、漫画を読んだり、お茶を飲んで楽しく話してたり、みんな思い思いのことをしてたわね。」

「私一番楽しかったのは、みんなで大富豪をやっていた時だったかな。」

 私も微かに記憶がある。

「なんとなく覚えてるわ。フフ、春香ったら、全然勝てないのよね。」

「ローカルルールが分からないんだよ。だから、いつも戦略負けしちゃうの。」

「それで一回負けちゃうと、あとはカード取られっぱなしでどうしようもなかったわね。」

「美希が強かったよね。」

 確かに、そんな記憶がある。

「あの子、チャランポランに見えるけど結構すごいのよね。」

「なんていうか、天才肌って言うのかな、何でも努力しなくてもうまくできちゃう感じ。」

「正直、うらやましいわ。彼女の力、少しは分けてほしいくらい。」

「本当だね。それに中々のナイスバディーだよ!」

 春香はわざとらしく、胸を強調するしぐさをした。

「確かに・・・一番うらやましいのはそこだわ!」

 私は語気を強めた。

「そこまで気にしなくてもいいんじゃないかな・・・。」

 虎の尾を踏んでしまったみたいに、春香が委縮する。普段の私も、胸のことは気にしていたみたいだ。

「冗談よ、春香。」

「だよね。」

 このやり取りまでテンプレートみたいだ。

「美希は、先輩のこと好きだったのかな?」

 春香が急に尋ねてくる。

「違うと思うわ。本人が違うって言ってたし。」

「そんなこと言ってたの?」

「ええ。なんだか『怖い』って。」

「『怖い』?」

「お金持ちは、何考えているかわからないから怖いんだって。」

「ふーん。そんなものなのかな?」

「ちょっとは当たってるんじゃない。この事件には、お金持ちのスポンサーがいるんでしょ?」

「あくまで私たちの予想だよ、千早ちゃん。」

「うん。分かってる。」

 でも「お金持ちスポンサー説」は消えつつある。雪村さん、水瀬さん、そして望月先輩、お金持ちというお金持ちが私たちの身近にいたが、その人たち全員とも、私たち二人を同時に恨む理由がない。

 私たちはまた無言になってしまった。相変わらず手はつないだままだった。

「ねえ、春香。」

「ん?」

「さっきの話の続きなんだけど、あの日のこと詳しく覚えてる?私が望月先輩に酷いことをしてしまった日のこと。」

「うん、覚えてるよ。」

「春香が私のことを追いかけてくれた。それで・・・私のこと・・・慰めてくれたよね。その・・・エッチなことしてくれたよね・・・。」

「うん・・・。」

「私・・・男の人が怖かった。みんながみんなアイツみたいに見えてしまって、男の人に抱き着かれる感覚があると、血の気が引いてしまう。」

「うん・・・。」

 私は春香に近寄った。

「私、美希に『レズなの?』って聞かれたんだ。たまたまその飲み会の席でね。その時は『違う』って答えた。私は、女の子ならだれでも好きになるってわけじゃない。私は・・・春香だから・・・好きになった。」

「・・・・・。」

「思いだせば思い出すほど、春香のことが愛おしい。春香を傷つけたくない。でもどちらかがどちらかを殺めないと出てこられない。それが一番、私にとって耐えがたいの。犯人は、多分ここまで計算に入れて私たちを捕えているのだと思う。」

 春香は無言のままだ。

「私たちは多分・・・あの人を奪い合ってた。だから、私たちが殺し合うショーを楽しみたいんだと思う。でもそんなの・・・辛すぎるよ。そうでしょ?」

「・・・うん。」

 私は春香に抱き着いた。

「だから・・・たとえどんな結末になったとしても、憎しみ合うのだけは、お互いにしないようにしましょう。私が死ぬことになっても、春香が死ぬことになっても・・・決して相手を恨まず、優しく送り出す・・・ね?」

 春香の体は柔らかい。安心する。女性的な柔らかさ。男に抱かれているのではない、そのふんわりとした触感が、まるで天使の抱き枕を抱いているみたいだ。

 私は春香の耳元で囁いた。

「ねぇ、また・・・シてもいい?」

 私は春香なら受け入れてくれると思ってた。けれど、春香は両手で私の抱擁を解いた。

 私は予想外のことに驚く。

「千早ちゃん・・・さっきと言ってることが違うね。」

「へっ?」

「さっきは、私を守るために自分が死ぬって言ってたじゃない・・・。なのに、もう心変わりしたの?」

 言葉自体は、柔らかいのに、胸に突き刺さる。

「だって、さっき春香が・・・。」

「『まだ決めなくていい』って確かに言ったよ。でも・・・千早ちゃんの中の決意って、そんなに簡単に揺らいじゃったのかなーって。」

 私の中の決意・・・。春香を事件に巻き込んだ責任を取って、春香の代わりに私が死ぬ。その思いは・・・。

「変わってない!変わってないよ!でもまだ春香が」

「なら、安心だね!」

「へっ・・・。」

「私、生きて帰れるんだよね?そうだよね?千早ちゃんの決意に変わりがないんなら、私、生きて帰れるんだよね!?」

 春香の表情は笑顔に満ちている。にもかかわらず、その心は笑っていない。

 怖い。こんな春香・・・見たことない。

 私は思わず身じろいだ。春香が逆に私に迫ってくる。

「千早ちゃんは・・・私を幸せにしてくれるんだよね?そうだよね?」

「・・・・・。」

 私は、恐怖からなのか、それともただ単にこの問を肯定できなかったからなのか、とにかく何も答えることができなかった。

 

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