※この作品はR-18です。

女神が堕落する時   作:濡れ書生

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エロなし回です。
本編での不足するであろう説明描写が中心ですので、スルーしてもらって問題ありませんとか、以前書いておりましたが、
不足説明描写なのにスルーしたらあかんと今頃きがついたしだいです


2

 巨大な神殿。いや、巨大な敵を打ち払い、多くの無力な民間人を収容し守る事を前提に作り上げられた巨大な城砦。この荘厳で本来の主を守る鉄壁の鎧となるはずの巨大な構造物は今や魔の者共の巣窟と成り果てていた。

 その中には本来の主を守るはずの親衛隊達が魔へと堕ちた。そんな魔物がいる。主たる女神を守るヴァルキリーと呼ばれた彼女達はみな熟達の武芸、集団戦闘を得意とし、またこの神殿の構造を熟知する。高い戦闘力と知能の高さをもったまま魔物化した彼女らも徘徊する危険極まりない建造物。だが、決して死角がないわけではない。巨大であればある以上、要所の確保の為に、侵入者の迎撃に、防衛戦力を集中せねばならない。そして今、人間狩りを機に、幾人かの人間達がこの神殿へと侵入を果たしている。中には地上から送り込まれた女神の剣士までもいる。警戒は厳重になるが、場所は重点的となる。魔物達はそこへと集中していた。

 緊張感の漂うこのサルモンの神殿に、魔物達の迎撃の間隙を縫う様に二人の娘が侵入を果たす。彼女達の目的は二つ。この神殿を制圧した魔を封印するため。そして、その大きな原動力となる女神の剣士を援護するため。

 本来の主たる、双子の女神レアとフィーナの二人の侵入は完璧に行われた様に思えた。だが二人は知らなかったのだ。不気味な眼球が二人を密かに音もなく追いかけていた事を。

 

「どうにか潜り込めたわね」

 

 姉神のレアが周囲を見回しながら口を開く。薄暗い水路の中で、明らかにこの場に男達がいればこんな危険な場で放ってはおかないだろう可憐な二人の娘がそこにはいた。暗くじめついた場所に何とも不釣合いな純白のワンピースの法衣を身にまとう美しい女神。法衣の下からでもわかるほど、均整の取れた美しい体。長い手と腰の位置から予想される足の長さ。素肌は若く健康的であり、染みひとつない処女雪の様に美しい。

 慎重に歩みを進める中で揺れる長い青い髪も艶と光沢があり、この小汚い水路の中でも輝いて見える様に思える程、誰しもが羨むものがある。相貌も清楚に整い、優しく涙脆そうな瞳は清らかに澄みわたっている。綺麗に通った鼻筋に顔に合わせて造形された様な小鼻、形の良い柔らかそうな唇。この娘の唇を奪える男はきっと幸せな事だろう。こんな娘に見つめられでもすれば、ノーマルな性癖の男なら誰しもが熱い鼓動を覚えるのは間違いないと思われた。完成された美貌。女神と称される乙女二人は、力だけではない。例え力が無くとも、その類まれな容姿からもやはり女神と形容されるだろう美しさだった。

 

「そうね……」

 

 先ほど言葉を発したレアと良く似た娘、フィーナが憂いを秘めた表情で頷く。どこか心ここに在らず。そんな状態である。それもそのはずで、彼女が密かに想いを寄せる青年、アドルがこの神殿に突入し多くの魔物や魔王達と死闘を繰り広げている。不安と心配、直ぐに助けに行きたいという焦り。そういった感情に心がかき乱されていた。女神の剣士と魔の者共から恐れられるアドルが、結果敵を引き付けてくれている。何とか彼の手助けをしたい。だが、現実は敵に発見されるわけにはいかず、守りの薄い通路を選び進みながら、最深部を目指して進むしかなく、だがその上ですら中々たどり着けずにいた。

 女神としてではなく、本来の姿であった普通の娘として、一時の間生活していたゼピック村での日々がふと脳裏に浮かぶ。世界の未知なるものを見たいという渇望に支配されたアドル・クリスティン。そんな彼に神殿地下の深部に閉じ込められ、不安に泣いていた所を助けられた。村までフィーナをしっかりと守りながら無事に送り届けてもくれた。そんなアドルは無垢な探究心と旺盛な行動力。そして旅の中で磨いてきたのだろう。特殊な技術、日銭を稼ぐ為らしい、見たことも無い楽器の演奏から辺境の音楽を奏で、台所に立てば初めて知る料理の数々を披露してくれた。それは女神としての立場の不安と焦りがあったフィーナの重荷を溶かし、女神を普通の一人の娘として夢中にさせるものがあった。湖で不安を口にした事や、釣りをする青年とこの時代の、海の向こうの世界の事を聞いた事。湖の浅瀬に入り二人遊んだ記憶。全てが鮮明に思い出せる。

 

(お願いアドルさん……どうか、無事でいて……)

 

 妹神の健気な祈り。結果的に一番死の危険の大きい役目を背負わせてしまった。その負い目もあるが、やはり好きな男に無理はして欲しくない。怪我して欲しくない。女神としてのフィーナは大きく変わっていったのかもしれない。

 その女神フィーナを変えたアドル・クリスティンは子供の様な純粋な好奇心の塊であるだけではない。それだけしかないのであれば冒険といっても早々継続する事は出来ない。実際、若いながら冒険の中で身につけた剣術は型通りの作法での戦いをすればからっきしであるが、非常に実戦むきで、あらゆる場所での戦いに対応し、一対多という変則的で圧倒的に不利な状態でも勝ち残る力があった。

 他にも旅で覚えた公共性の高い複数の言葉を理解し、片言なれど交渉が出来る。音楽を奏でるだけでなく、地図を描く才能もある。薬学もあり、旅で特定の地方へ行く時に相談役ができるだけの知識、それをアドルは父親から学んでいた若いながらもつ珍しい駆け出しの冒険家だった。

 技能面だけでなく、目立つ赤い髪と優しげな瞳と精悍さを併せ持った凛々しい顔立ち。誰にでも優しく手助けをしてくれる。そんな性格と容姿から信用と、人気を街や村で集める事になる。特にアドルはフィーナの為に多くの苦労を重ねてくれた。親族がいないか、街まで情報を集めにも行ってくれたし、護衛で安全を確保しながら村の周辺までであるが、見覚えがある場所がないか一緒に探してくれた。そんなアドルにフィーナ以外の娘達が夢中になる事は多い。事実、リリアという娘がそうであり、彼女以外にも彼に夢中になっている娘もいるだろう。

 フィーナにとって、アドルの生命もだが、そういった娘達の好意をアドルが受け入れたら。そう考えると不安でたまらなくなる。女神としてあってはならない考え。もし、女神である自分がアドルを受け入れたらどうなるか。きっとそれはアドルの立場を危うくするだろう。フィーナの女神としての立場が争いを生みだす切欠になる事も考えられる。叶うはずのない、叶ってはいけない想い。それがフィーナの胸を蝕んでいた。

 

「アドルさんの事、心配なのね?」

 

 そんなフィーナを気遣ってか、一度歩みを止めてレアがフィーナを見る。

 

「え、ええ……。かなりの魔物がアドルさんに向かっているし、敵にはまだあのダレスとザバもいるから……」

 

 内心の思っている事を姉神に突然指摘されてドキリと鼓動を打つ。

 

「別に隠さなくてもいいわ」

 

 あわてて取り繕うフィーナにレアが悲しげな微笑を見せる。

 

「好きなのでしょう? アドルさんの事。

 あれだけ素敵な男性なんですもの。それにずっとフィーナと長年過ごしてきたんですもの。フィーナの考えてる事なんて手に取るように分かるわ」

 

 でも、告げなければならない。レアも通ってきた道だ。意を決して言葉を続ける。

 

「でも、わかっているでしょう? 今のフィーナは、ゼピック村で過ごしたただの村娘のフィーナではないの。イースの女神の一柱のフィーナ。それが今の貴方。

 だからその想いは決して口にしては駄目よ。心に止めておきなさい。ゼピック村に残すの。村娘フィーナとともに。

 そうしないと貴方の想いは女神フィーナの弱点になる。

 それにね。私達女神とされる者が、たった一人を人間を愛したらどうなるか。きっと辛く、そしてアドルさんを決して幸せにする事が無いわ」

 

 レアに言われるまでもなく、フィーナ自身がよく分かっていた事。でもこうして半身であるレアから改めて指摘を受けると心が重くなる。どんなに自分がアドルを好いていても、アドルがフィーナに好意を寄せてくれたとしても。

 

 

二人の花壇に花は咲かない。

 

 

咲いてはいけない。

 

 

絶対に咲かせてはいけない。

 

 

 でも、それを分かっていても、フィーナの心の奥からアドルを想う暖かいこの気持ちは、とめどなく湧き上がり続けた。

 

「ま、今は深部を目指しましょう。

 この事態をどうにかしないと、その事を考えている余裕はないしね?

 それに、アドルさん安全の為にも、今は目の前のやる事をしないと、ねっ?」

 

 不安そうな妹神にウインクしてレアが微笑む。そう。今は姉神の言う通り悩んでいる暇はない。魔との最終決戦。黒真珠をどうにかするまでは、余計な事を考えていては命に関わる。これは先送りにしよう。フィーナが決意を新たに頷く。

 

 

 

 

 二人は双子である。体つきも瓜二つで容姿も同様に見分けがつかない。辛うじて僅かに違う髪形が外見からの差異である。だが意外というべきか、性格はわかりやすい差異が現れている。

 

 

 姉神の方は大人びた雰囲気と、人と積極的に交流し、時にからかい、時に冗談を口にして場を和やかにする事が出来る。

 

 

 妹神は淑やかなもの静かな性格。分け隔てなくやさしいが芯が強く、誰しもが守らなくてはと思わせる可憐さがあり、どんなに険悪な場も納める柔らかな存在感がある。

 

 

 だが、二人の違いはそういった性格だけで二人の持つ魔力は対等である。だが、二人でともに行動してこそ、その力を存分に発揮できた。事実二人が力を合わせれば二倍、三倍にもなる。そう感じられるそのため二人で一柱と目されてきた。そんな二人が分かれて行動した期間。短い期間であるが、それが後にこの戦いの勝敗を大きく左右するものになるとは、この時二人は考えてもいなかった。

 

「まずいわね……。どうやら誘導されているのかしら?」

 

 神殿深部へ歩みを進める中、レアが妙だと小首をかしげる。神殿の構造は完璧に頭の中にある。ザバやダレス、ヴァルキリー達以上に熟知しているという自負がレアにはある。例えそれがこの地下水路であってもである。そしてこの神殿を増改築した気配はまったくない。時間的な余裕もない。つまり昔のままなのだ。そしてその中を移動する中で要所の魔物達の配置、巡回する魔物達を避けて移動してきた。

 だが、頭にある地図から今まで通ってきたルートを考えると、特定の道を通らされ、袋小路に追い詰められていく気がする。このままルートを策定していけば完全に身動きできなくなる完全な袋小路しかない。だが、幸いにもまだ追い込まれていない。引き返せば今なら退路があり、罠だった場合逃げる事が出来る。通常の状態であればレアの性格上ワナを踏み越える事も考えたが、特に今フィーナの精神状態が不安である。

 妹神が人に恋をした。それは一目みて簡単に解った。自分も通った道であった様に、レアも恋をしたから。もし恋を知る前の昔の自分だったら、妹の様に自分も夢中になったであろう。レア自身アドルを認めていた。そんなアドルを前に、女神としての立場ではなく、村で過ごしたのは本来のフィーナの性格。その思い出や記憶。アドルへの想いにきっと苦しんでいる。そしてそれは間違いなく戦いに良い影響を与えない。今やるべき事に集中している様に見えるが、全力を出し切れないだろう。

 

「あまり敵の術中に嵌るのは良くないわ。一戦覚悟で戻りましょう。相手はダレス。そしてダームもいるのだから」

 

 決断したレアの言葉にフィーナが頷く。自分より冷静で理知的な姉神の考えならば、自分が考えるより確実だ。姉神にフィーナは全幅の信頼を寄せていた。

 

「流石、腐ってもイースの女神。罠に気がついたか。だがもう遅い!」

 

 突然響く聞き覚えのある男の声。ぞくりとする威圧感と、絶対的な敵意。

 

「ダレス!?」

 

 フィーナが身構える中、響いてくるのは通路の前後から響く魔物達の足跡。レアの危険の察知が正しかったのを示したが、殺到してくる魔物達を前に、それは少し遅かったのは間違いない。

 

「フィーナ、結界をお願い。魔物は私が!」

 

 レアの指示に従いフィーナが膝をついて祈りの姿勢をとる。魔力を高める為の姿勢。その直後通路の中に神聖な空気がフィーナを中心に勢い良く流れる。浄化された空気とレアとフィーナを守る風。この風と共にレアが敵を迎え撃って撃破する。レアの採った戦い方と指示。フィーナの集中力が高まり、トランス状態にはいったのか、微動だにしない。一見双子の女神が優位に立っている様に見えた。しかし、それこそダレスの望む所であった。

 黒衣のローブをまとった怪人が姿を現す。それがダレスだというのがレアにはわかる。ただ長い年月を経てずいぶんと姿はザバ同様に醜く変化したようだが。

 

「私達二人に、たったこれだけの手勢とダレス、あなただけなんて甘く見たわね!」

 

 正確な戦力分析。如何にダレスが強敵でも、雑魚とダレスを相手に双子の女神が揃っている状態でなら勝機は十分。ここにダレスがいてザバら他の魔王がいないのはアドルにかなりの戦力を差し向けているから。守りについているのがダレス以外の魔王クラスがいない事を示している。アドルが結果囮の役目を十分に果たしてくれていたのだ。

 

「ふふふっ。私が何の策もなく女神を二人同時にと矛を交えるとでも思ったのか?」

 

 いやみったらしく笑うダレスに怪訝な表情になるレア。だが、その理由は直ぐにわかった。突如起こる下からズンと突き上げる衝撃。地震かと思った時、地面に現れたのは巨大な魔方陣。しかも壁の向こう側まで通るもの。これだけの規模のものを使えるのはダームしかいない。

 

「まさか!?」

 

「女神の動向なぞ疾うの昔から把握ずみよ!」

 

 ダレスが指差す方向に気色の悪い眼球がひとつ。レアを凝視しており、視線が合う。

 

「そんな、じゃあはじめから……」

 

「お前たち女神の策などそやつを通じて筒抜けよ。貴様が集めようとした地上の神官の子孫どもはもう死んでおろう。

 お前が送り込んだ娘も捕らえた。大きな誤算があったとすれば、あの女神の剣士が配下の者共を散々蹴散らしてくれたという所だ。

 だが、それもお前達女神を抑えれば後は全戦力をもって迎え撃てる」

 

 悔しさに顔をにじませるがフィーナの張る結界が徐々にダームの魔力に侵食され始めている。フィーナ一人ではこのダームの魔力に対抗するのは難しいのは間違いなかった。レアもフィーナと並び膝をつくと体内の魔力を高める。このままではダームの魔力によって虜囚となってしまう。それだけは絶対に避けねばならない。

 

「無駄だ。今のお前達如きの力でダーム様に対抗できるわけ無かろう」

 

 笑うダレスを尻目にレアがフィーナに同調して結界を強化すると、ダームの魔力を押し戻す。だがそれも一時的なもので加速度的に広がるダームの魔力が二人を押し包みついには風を溶かし二人を一瞬で包み込んだ。あっけない程簡単に、ダレスの講じた罠に嵌り侵入した双子の女神を捕られた瞬間であった。

 

 

 

2

 

 

 

 神殿最深部の手前、侵入者から深部を守る最後の守りの要となる一室。ここがダレスに与えられた守りの場であった。窓の無い薄暗い部屋の中、ダームの魔力を前に、双子の女神すらその力には対抗できず、魔力を集中するためにとった祈りの姿勢のまま、体をまるで石化された様に封じられている。そんな女神二人が運び込まれていた。

 女神達の姿は元々の美貌もあり、その姿を見ると魔の眷族ですら欲情を刺激されているのだろう。にやにやと笑いながら二人の女神の胸元へと手を伸ばすと二人の乳房をもみしだいて、柔らかな感触を楽しんでいる。それ以上の行為に及ばないのはダレスの厳命があるため。もし何もなければ今すぐにでも二人を裸に剥き、欲望の限りをぶつけていただろう。

 

「さて、どうしたものか」

 

 そんな光景を見ながらダレスが呟きながら思案している。その表情はフードの奥に隠れている為に伺い知れないが、ダームの腹心としてその頭脳が動いているのは間違いなく、できればおこぼれを預かりたいという魔物達が見守っている。

 

「一番の厄介な存在と思っていた女神だったが、意外にもあの男の方が最大の難敵になるとは思わなかったが、さて」

 

 アドル・クリスティン。ダレスは当初歯牙にもかけず人間の小僧とたかをくくっていた。それがどうだ。今や迎撃の任に当たらせたザバやヴァルキリー達らを倒し、神殿最深部への入り口となる地下水路へと向かっている。迷宮と化した水路を踏破するのに時間は間違いなくかかるだろうが、果たして一日位の時間を稼ぐ事が出来るだろうか。

 冷静に考えれば、地上にある魔物や魔人となった神官の末裔ダルク・ファクトをダームの塔にて殺した男なのだ。ダレスが舐めてかかっていたのは事実であった。

 そして女神の力でこの浮遊大陸へと来たアドルがやはり要所を守る各魔王も次々に撃破し、魔法により人外へと変化させたにも関わらず、人の姿を取り戻してきたのだ。

 神官達の加護、クレリア製の武器と防具まで持つアドルは当初の想定を遥かに上回る脅威となり、手駒の殆どを喪失する結果となった。幸い、女神の動向を把握し、罠まで誘導しダームの魔力によって捕らえる事で、ダレスが積み重ねた失点はある程度消され、ダームの懲罰の対象から何とか外れたが、だがこれまでの失点はそれでも大きく、ダレスの統制力は失いつつある。

 女神を陵辱する事こそないが、ダレスの目の前で女神に対して欲情している事を示す魔物がいるのは統制が失われつつある。それを如実に表していた。

 

「あの小僧を相手にするとなれば、ダーム様ならば女神の加護なき今どうとでもなろう。

 だが、問題は私が先方として迎え撃たねばならぬ事だ。流石にクレリアの武具を持ち、神官共の加護がある状態では分も悪い」

 

 既に何度も侮った事で失敗という手痛いしっぺ返しを受けてきた。次を失敗すれば主たるダームに処分される前にアドル・クリスティンの手にかかり死ぬという結果に繋がる。それを踏まえた上でダームから最後の機会を与えられたというのは間違いないのだ。この事態はダレスにとっては屈辱でしかないが、冷静さを失うわけにもいかない。

 

「ただアドルを倒すだけでは問題が済まぬ。

 失われた戦力無くとも、下界の島の制圧も叶おうが、これ以上戦力を失えば外の大陸へと出る事にさしさわる。

 ロムン帝国。流石に正面から事を構えるには戦力の補充が必要。か。

 ならばまず、この一帯の人間どもをいかに戦う事なく屈服させるかだな」

 

 それが適えばダームの心象もよくなり、改めて腹心としての自分の地位を確立できるだろう。何よりもいずれ勢力を拡大する必要があり、外の大陸には人間のロムン帝国という巨大な帝国が存在しているだけではない。

 そもそも本来人間の帝国だけなら女神程の脅威足り得ないのだ。だが今の時点で、その戦力を相手にするには現在ではアドルにより数多の魔王を討ち取られ戦力が弱体化している。負けこそしない。だが今ではかなりの時間を要する事になるだろう。

 だがそれよりも問題なのは帝国よりも女神の一族の文明が残した兵器もいまだ残っていると予想され、それを扱う者がいる。手に入れようと蠢動している者がいる。という事実である。実際残されたものの中には生物兵器の存在もある。仮りに戦うとしてもその存在は中々の脅威となる。と想定してもいる。事実発見済みの遺跡、危険な遺跡が眠る場所はある程度特定しており、確定はしていないが危険な遺産があると想定している箇所は更にいくつか把握している。

 もし、それらと戦うとしたら戦力的に現状ではいささか苦しい。暫く雌伏の時が必要になる。どうやって早期に状況を立て直すか思案している中で周囲が騒がしい事で思考が中断される。いらだって視線を向ければどうやら女神を巡って争っている様で、ダレスが苛立ちを隠さずに手で退室を命じるとしぶしぶと魔物達が部屋からでていく。

 

「ふむ」

 

 白い法衣が乱れたレアを見て、ダレスも心の奥に色欲が浮かぶのを感じる。憎らしい敵であるが、この美しさは認めざるを得ない。だが、だからといって本能のままこの場で女神を陵辱して遊んでいる暇はない。

 

「いや、そうか」

 

 女神を犯す。今までの鬱積を晴らす対象として十分であり、何より美しい。ただこれを征服するのは個人の快を叫ぶだけの事で、別にアドルとの戦いや、その後の戦局にさしたる影響はない。だが女神を犯す。これを副次的なもとして捉え、本題を変えれば女神を陵辱する事の意味は大きく変わり、行為そのものも楽しめるものになってくる。

 人間らが編み出した独特の魔法。それを女神に使うという手がある。女神を監視していた時に女神フィーナの恋愛事情をはじめ色々と面白い情報も得た。もし、今思いついた内容が失敗したとしても、その結果を想定して更に二重、三重に策を巡らせておけば問題は無い。大きな効果を期待できるだろう。ダレスがこの考えを高速に脳内で纏め上げていく。

 

「くくくっ。十分楽しめそうだな。

 アドル・クリスティンが到達するまでに間に合うかどうかだが、まぁそれも、どうとでもなろう」

 

 自分の策をダームが採用すれば自分も安泰となろう。計画が失敗し、仮にアドルとの対決になった場合も助力を期待出来るかも知れない。そして、将来的にダームの配下の魔王を増やす事がかなう。上手く事を運べば強力なダームの配下が誕生するかもしれない。笑いながら動かぬレアの乳房を掴むと女性特有の柔らかな感触が手に残る。

 魔の宴の始まり。その期待に胸が膨らむのを抑え、姉神のレアの柔らかな胸の感触を楽しみながら、レアを抱えてダレスが一瞬にして姿を消した。

 

 部屋には何も知らぬ。動けぬ片割れの妹神フィーナだけが残される。暫く後、ダレスの命を受けた魔物達がフィーナを抱えあげると、ダレスの部屋から運び出す。全ての準備を整える為。ダレスの計画がダームに承認された証であった。

 

作中(本編・番外編含)のフィーナのスケベシーンに関して

  • 和姦比率多いの方が良い
  • 凌辱の比率多い方が良い
  • もっと甘い内容の方が良い
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