フィーナ様の手を取ったらアドルさんがあっさりと陥落してデートでイチャイチャする
そんなSSを書いてたつもりがこうなってしまった
反省はしていない
濡れ場の元ネタにした公式のフィーナ様の水遊びシーンは本当個人的にストライク(アドルさん視点と考えると、とても幸せになれる)
少しキャラの会話部分とか今までと変えてみたり、濡れ場の文章配分変えたりしてますので以前と違和感があるかも
「ジャガイモは大き目の一口大に切ってくれる?」
「煮込む分、崩れて小さくなるからですか?」
「うん。普通に一口大だとちょっと小さくなり過ぎるから」
赤い髪の青年と、美しく艶やかな青い髪をアップに纏めた娘。二人がエプロンを身に着けて並んで、笑顔でそんな会話を交わしている後ろ姿が見える。井戸の隣にある村共有の屋外の台所で野菜の皮を向いてはカットしていくそんな二人の姿はまるで結婚した新婚家庭の様とも言える微笑ましい光景で、周囲からも笑顔で見つめられている。そんな中、意外と赤い髪の青年が見事な包丁さばきを見せている事にジェバは驚きもあった。
この村で生活する中で中々浮かない顔、不安や焦燥感といった表情を見せる事の多い娘であった。特に赤い髪の青年が危険な場所に赴くと知れば、それは顕著に表れた。だが逆にこうした二人で一緒にいる時は笑顔でいっぱいで、見る人間の心を温かくする様な可憐な笑顔。多くの男達が魅了されるそれは、男達の誰しもが自分が独占したいと思うものである。だが、そんな物静かで清楚な娘の可愛らしい笑顔はこの赤い髪の冒険者にだけ向けられ、あまつさえ独占するしてしまう。何よりもこの娘をこれだけの笑顔にさせるのはただ一人、彼だけしかいなかった。当然赤い髪の青年は多くの男から妬みの対象ともなったが、娘の笑顔を見れば中々それをぶつける事は難しい状態でもあった。
家の縁側に置いた椅子に背中を預けながら、すっかりと料理を覚え、今では教える事の無くなった程料理の腕前が上達した娘を見ていると、余程赤い髪の青年と一緒に料理しているのが嬉しいのだろう。そう思える程にいつも以上に明るく娘が微笑んでいるのが見えた。あの娘が積極的に料理を覚え、赤い髪の青年に自分が作った料理を振舞う事に幸せそうにしていたのは、助けられた恩返しだけではない。好きな異性を癒したり、喜んで欲しいと思う娘の行動のそれであった。だからこそ赤毛の青年に喜んでもらえると思うと腕によりをかけて調理していたし、ジェバと事前に相談したりと余念もなかった。
だがそれだけでは飽き足らず、更に貪欲に料理の知識の吸収の為に赤い髪の青年の郷土の料理を覚えたい。そういって青い髪の娘が赤い髪の青年から料理を教わる為に二人で台所に立つ事になった。これは娘がただ料理を覚えたいだけではない。匿ってもらっていた状況から半ば親子の様になったジェバから言われた言葉がきっかけである。
『良いかいフィーナ。男なんて胃袋を握ってしまえば、大抵台所を預かる女に中々頭が上がらなくなるんだ。
お前は私やデミやアイリス達が料理を教えて、たった少しの間でこの村の料理の上手い女達に引けを取らない程に料理上手となったと思う。その腕を存分に使ってアレをしっかり餌付するんだよ』
そうからかう様にジェバが笑うと青い髪の娘フィーナが戸惑った様に、恥ずかしそうに笑みを見せる。当初お菓子作りやお茶の用意は習慣だろう。入れ方はまるで裕福な家の者特有の癖が見られたが、そういった事あ出来た。ただ当然調理ともなると包丁は使えても味付けや食材の切り方始め理解している様子が無かったのでジェバが一から教えていたが、フィーナは直ぐにそれらを吸収し、上達してしまった。
そんなフィーナの為に赤い髪の青年と心を通わし、つなぎ留めるには次に何をすべきか、また何が必要かフィーナをからかいながらもジェバが自分の経験を教えていた。その事に有難さと同時に気恥かしさもフィーナにはあった。自分の気持ちがジェバに気が付かれている。赤い髪の青年への想いを明確な言葉でなくても指摘されるとフィーナ自身、顔が火照ってくる程の気恥かしさを感じた。
『これだけこの村に適応している様に見えてもね、やっぱりアドルは異国からの冒険者だ。自分の御袋の味や故郷の味は恋しいものさ。だからアドルと一緒に料理をしながら、あれの故郷の味を覚えなさい。
そうすればこの異国の地であるこの村で、故郷の味を味わえるのならアドルにとって体だけでなく心も休める事が出来るからね』
以前は観光地として、少し前は銀鉱山の村として拠点の一つとなったゼピック村である。外の大陸から訪れた人間達も入ってきた事でエステリアの郷土料理で出迎えるだけでなく、故郷を懐かしむ者達の心理を理解して彼らの郷土料理を用意していた仕事の話からジェバがフィーナにどうするべきか、実例として伝えている。
アドルはまだまだ甘い部分もある。だが、サラが人間として信用した男であり、ゴーバンにも男として気に入られている珍しい青年でもある。何より容姿も良い男であるとすれば、フィーナの将来の相手と考えるにこれほどふさわしい男はいないとジェバには思えた。
それだけではない。フィーナは赤い髪の冒険者、アドルに対して恋愛感情を抱いている。そしてアドルもジェバが提供しているとはいえ、フィーナを保護してから探索の拠点をミネアからジェバの家に移した。普段のアドルを見ていればそれがどんな理由かなど、ジェバには容易く理解出来る。ジェバの家にフィーナがいるというのはそれだけ大きな事であり、二人の感情的に何ら問題はないと判断もできる。
ならばフィーナの背中を押してアドルとの関係を深化させて夫婦にさせてやりたいというのはある意味親心である。ゴーバンが独立し、サラを失ったジェバの家を明るくしてくれるこの若い二人はジェバにとって厄介や迷惑な客人というより、新たな家族であり、子供達で会った。フィーナが懐いてくれて母親離れ出来るか心配になるが、ジェバもフィーナという新たな娘の子離れが出来るか、心配な点もある。それだけではない。もしフィーナに記憶が戻れば元の生活に戻る可能性もあるのだから当然でもあった。
平和な元の生活に戻してあげたいと思う。同時にフィーナを手放したくない。そんな感情がジェバにある。酷く我儘で、人の娘を記憶を失っているからと自分の娘にしようとしている自分への疑問と、フィーナを想う感情が同居する矛盾した感情だが、一つ確かな事はフィーナの幸せが第一であり、その為にはこの娘がアドルと結ばれる事が一番だろう。そう思っていた。
親心としてフィーナの恋愛は成就させてやりたい。無論簡単にアドルにフィーナを渡すのは面白くはないが、ここを拠点にするアドルを見て、この青年は良い男だと感じた息子達の感覚は本物だと思う。だが、ジェバから見て心配な面もいくつかは存在している。だからこそ急いでその対策も必要だと感じてもいた。
『それに、アドルに喜んでもらいたいのだろう? ならばアドルの事を少しずつでも良い。色々知っていくといいさ』
記憶を失い空っぽの自分に悩み、焦燥感を感じているフィーナに、少しずつ見つけて行けば良い等と言っても直ぐには感情の切り替えは出来ない。ならばアドルを心配している気持ち。アドルの為ならと行動を起こす気持ちを大事に、そこから行動させて行こうとジェバは考えていた。
家事や占い、薬草の作り方。編み物といった基本的な事を覚えて、アドルの為に行動させている事は実際、フィーナを前向きにさせて、その影響からか村の中で出来た友人達と良い関係を築く事にも繋がり、本来のであろう明るさを取り戻させている。
その中でもやはりアドルという存在はフィーナに一番大きな影響を与えているのはあの笑顔を見れば間違いなく、そこからまずは足場を固めて、少しずつ新たな自分を確立できればフィーナの幸せに出来る。そうなる様に根回しをしていた。
その結果の一つが今、目の前にある光景である。中々男が台所に立つなんて事は無い。アドルの場合冒険者という事もあり、何事も自分でやる必要がある。簡単な調理は出来るのは当然ではあったのだが、旅費を稼ぐ必要があったとアドル自身が口にしていたが、旅した地域の料理のレシピをメモしていて、それを元に料理屋で仕事をした事もあると笑って口にしていた。
日雇いの肉体労働や地域の歴史を纏める中で覚えた音楽での日銭稼ぎといい、冒険者というのは中々大変なのだとジェバも知る事になったが、そんな器用に生計を立てれるアドルがフィーナへの好意を抱いているのは理解出来たものの、果たして将来を展望し、明確にはっきりしたビジョンを持っているのだろうか? ジェバにはまだそこまで、それこそ所帯を持つものまではっきりと将来を、アドルはまだ見据えておらず、好意の種類すら本人がまだ理解していない様子であると見えた。
女慣れこそしているが、本気の恋愛は初めてなのだろう。もしかしたらまともな初恋をしていたのかすら疑問に思う程にジェバには感じられる程であった。
このままアドルが無事にエステリアで謎を解き明かし、平和に戻ればアドルの事だ。自分自身の感情に気が付かずに新たな冒険に各地へと旅に出る事もありえる。出来るだけ早くアドル自身にフィーナへの感情と向き合わせたいと思うし、出来れるのであれば、アドルが各地へとある程度の冒険に出るのは仕方ないが、フィーナを帰る家としてアドルが伴侶に迎え入れて欲しいと思う。この点が、フィーナの幸せの為にジェバが一番骨を折る必要があると感じられた。
フィーナが自分の娘に思えた様に、またアドルも自分の息子の様に感じるジェバである。二人の子供が本当の夫婦になってくれる事を願い、更にその二人を自分の本当の子供としたいと思う。だがジェバ自身が自分の内心を理解している事だが、不思議と簡単にフィーナをアドルにくれてやるものか。と娘を嫁に出す父親の様な感情を抱いてもいる。可愛い子供には幸せになって欲しいのに矛盾した心境があり、ジェバ本人も心の中で一筋縄ではいかない問題が実は多かった。
(何れ、デミやアイリスに頼んで最近の流行をフィーナに教えてやらないとね……)
あれだけの神々しい程の美貌の娘だけあり、既に美貌に陥落して夢中になっているのは村の男連中だけではない。アドルもフィーナが特に何もしなくても夢中になっているのだ。だがそれをより確実なものにしなければならない。行商が訪れたら色々買い物をさせようとジェバが心に誓う。
何もしていない素でこれだけの影響力を与える娘なのだ。贅沢こそさせられないがオシャレの一つでも覚えれば、どんな男も転ぶと断言できる。アドルですら未知なるモノへの好奇心と、一人の娘の選択を迫られたら間違いなく後者を選ぶと思えるし、事実そうさせねばならない。
が、それだけではない。ジェバも人の子であり、大切な自分の娘を綺麗に着飾らせて良い子だと周囲に見せてやりたい。そんな気持ちも存在している。
「絶対にフィーナを前に膝に矢を受けさせてやるから、覚悟するんだよ」
そう笑うジェバは、自分は陰謀を巡らす魔女のつもりの笑いであったが、その笑顔はただの老婆心溢れた笑顔であった。
(アドルさん、包丁の扱い上手)
フィーナがアドルが手際よく人参の皮を向いていく姿を見て思った事だ。アドルの野菜の皮を向いてカットしていく手際は慣れたもので、村の男達等とは比べ物になるものではなかった。畑仕事や元炭鉱作業者達の様な手と似ている訳ではないが、男だと理解出来る大きな手。そんなアドルの手は細かな傷がいくつもあり、ごつごつとした所もあった。そんなアドルの手が取り分け心強く感じられ、この手を握って神殿地下から連れ出された時はあの暗い神殿の中を、魔物が徘徊する中を歩いていく中で勇気をくれた。
ジェバの家で体調を崩している時には様子も見に来てくれて、不安だった時に手を握ってくれた事も強く印象に残っている。幾度も手を握りたい。繋ぎたい。そう思わせるアドルの男らしい手がこうして料理をする。しかもそれが中々の手際の良さを見せると、改めてアドルの手は凄い手だと改めてフィーナが感じる。
自分の手は綺麗だと村の娘達から羨ましがられているが、フィーナにとってジェバやアドルの肌が荒れてガサついていても、ごつごつとしていても自分の手より綺麗で温かいものがあると感じていた。
そんな風に考えながら見つめているフィーナの視線を感じてか、少し照れた感じのアドルである。ジェバの家がそんなアドルの活動拠点になってから、島中を探索しながらその過程で一緒にフィーナの情報を集めていた。時にはあまり人目や魔物に目撃されない様に注意しながら、村周辺を見て回ってはフィーナに見覚えのある場所がないか探している。二人の距離は意図せずともしっかりと縮まっているのだ。
一日神殿に潜ったり、鉱山を探索したり、ミネアの街と往復しているアドルであるが、夜にはちゃんと無事にフィーナのいるジェバの家に戻ってきてくる。そしてこの島であった話や、自分が旅してきた中の事を色々とフィーナに話していた。そのアドルの話を毎晩、胸をときめかせながら聞いて、外の世界の事や音楽、料理の話に興味をもったし、実際それを披露もしてくれて不思議な気持ちになった。見た事の無い世界をアドルの眼を通して一緒に見た気もした。いつか一緒にそれを見て、体験出来れば。ともフィーナは考えている。
そんな幸せな毎日だが、ジェバが何故笑いながらアドルを餌付けしろと笑って言ったのか、それを何となくだがフィーナも理解し始めていた。この幸せを逃してはならない。という事なんだと理解はしているが、でもこうやってアドルが料理出来る姿を見ると自分の傍にアドルを留めさせる事が出来るのだろうか? 料理は覚えたがアドルも出来る。それ以外の出来るものはお茶を入れたり、楽器の演奏位なものでデミ達に比べて裁縫や縫物は教わり始めたばかりで出来るわけではない。お化粧の一つも出来ない。流行りも知らずに衣類を着こなして華やかな姿をアドルに見せる事も出来ない。大体そんな手持ちがフィーナにはまったくないのだ。そんな自分なんて何れ見向きもされなくなるのではないかと、そんな不安が今までアドルの生命の安全だけだったのに、フィーナの新たな心配となって生まれていた。
笑顔の裏でそんな心配をしているフィーナだが、その心配の原因である当のアドルはと言えば、フィーナと並んでいる緊張から少し笑顔が固い状態であった。隣にいるのは今まで生きてきた中でフィーナ程の、神々しいまでの美貌の娘と出会った事はなかった。それこそ大きな街で有名な美貌の歌姫や舞姫を目にしていたが、フィーナを目にしてしまえば今まで見てきた美しい花々である歌姫や舞姫は一瞬で霞んでしまった。
そんな娘に玉の様な笑顔を向けられている。そんな今の状況がただただ嬉しい。自意識過剰だと思っているが、フィーナが人へ向ける笑顔はいくつかあり、村人たちに見せるものは魅力的だがいたって普通のものだった。だがデミ達に見せる笑顔は更に可愛らしいと、そう思っていた。そして特にジェバやアドルへと向けられる笑顔はデミ達以上に特に明るく、アドルの心の中に暖かなものをもたらす笑顔である。そんな気がしていた。
そういったアドルの内心のフィーナへと向けているこの想い。これは神殿に捕らわれたフィーナを助け出した時に生まれている。彼女の手を取った時から生まれたもので、流していた涙を応急手当用に持っていた清潔な布でそっと拭い、ゆっくりと彼女の手を取った時、細く美しい白魚の様な指の感触はアドルにとって特に衝撃的だった。
村で育って来たアドルにとって一般的な女性の手は家事や労働で肌あれのした手である。それこそまだ家の手伝いをしていない年齢の娘の手であったり、使用人の抱える家の娘でなければ綺麗な手の娘はいないが、それに比べてもフィーナの手は美しかったのだ。
過去、助けた事で気に入られたからか、歌姫や舞姫と関係を持った事がアドルにはある。そんな彼女達は自分の美貌と肌を維持するのに並々ならぬ努力をしていたのも知っていた。そんな娘達に比べてフィーナの手は肌触りも柔らかさも次元が違い、温かく柔らかい美しい手が不安からだろう。アドルが優しく手を握っているとフィーナも自分の手をしっかりと強く握り返している。恐怖の色のある瞳でアドルを見上げる姿はアドルがフィーナを守らなければと思わせるものがあるが、フィーナが傍にいる事はアドルに不思議と安堵感と、戦う勇気を与えてくれる。そんな美しい娘の手をずっと握っていたい。放したくないとしっかりと握り、その感触に鼓動が高鳴るのを聞きながら歩いて来た記憶は鮮明にアドルの中に今でも息づいている。
(今まで女の子の事を本気で気にした事なかったのにな)
何度も女性と一夜を共にした事もあるし、一夜だけの関係で終わらせてきていたのもあるだろうが、筆おろしの相手は自分が助けた舞姫と歌姫だった事もあり、女性の扱いを学んだ事で慣れていた。
だが、本当の意味での恋愛はアドルにとって初めてであり、しかもそれが恋愛感情だとアドル本人がそれに気が付いていない。だからこそだろう。学んだ女性の扱い方を実践しているのだが、本当にこれで良いのか? フィーナが満足してくれているか? 喜んでいてくれているか? 不快に思っていないだろうか? そんな不安を赤い髪の青年が抱え込んでいる。
冒険だけだった青年に違うものが入った。これは大きな変化であり、確実にアドルの思考や行動に変化をもたらしている。活動拠点の変更だけではない。嵐の結界を超えてきた無鉄砲さもフィーナを助けてからなりを潜め、慎重な探索を心がけている。本人には気が付かない事だが、危険を察知したり、無理だと思うと引く姿勢は実際何度もこの赤い髪の青年の命を助けているが、本人はそういった変化に気が付いていない。言える事は気が付かないだけでフィーナという娘は、フィーナ本人の女神の力が無くてもほんの少しの事で、大切な赤毛の青年の命を助けている、まさにアドルにとって守り神であるという事だった。
「後は火も通ったし、余熱で温めながら味がなじむのを待つ位かな」
「意外と簡単なんですね。ただチーズとか、お芋が多いのはアドルさんの生まれた地域の特徴という感じなのでしょうか?」
「そうだね。故郷は山岳の多い所で耕地面積や野菜の種類的に農業に不向きというのもあったし、羊や牛の酪農はあったからね」
懐かしそうに故郷を思い出すアドルだが、特に帰りたいとかそういった感情がある様には見えない。何れは帰る事にはなるだろうが、それはまだまだ先の話。今は世界を見て回る事が重要だ。そう思えたし、そう言った印象を周囲に与えている。
だからこそ、このアドルを見ているとフィーナは心配になる。もしアドルを自分が独占したら? もし二人家庭を持つ事になったら、アドルのこういった行動を阻害しかねないのだ。アドルの夢や、したい事を自分のせいで諦めさせるのはフィーナに心苦しいと思えるものがある。一緒に居られる喜びと相反する部分に、アドルと関係が少しずつ深化して行けば行く程に、その考えが大きくなっていく。
二人とも恋愛経験不足故、互いに自分を低く見積もっているのはジェバが心配していた通り、中々二人の関係が進展していかない理由となっているが、こればかりは時間が解決していく所もある。だからジェバ二人の時間を作る為にこう助け船を出す事になる
「終わったのなら、どうせやる事もない。フィーナを連れて少し出かけておいで」
要はデートしてこい。という事であり、アドルが苦笑して頷く。フィーナは恥ずかしそうにでも喜色に満ちた笑顔でジェバにありがとうと御礼をいうと、着替えて来ると軽い足取りで一度家の中に入る。思ってもいない形でアドルと出かける事になったのだ。こうやってフィーナの為に色々と助け船を出してくれるのは、本当に感謝しかなかった。
「しかし、本当大した料理の腕だね」
「冒険にはお金が必要だからね」
何をするにも金がかかる。世知辛い世の中だが、こればかりはしょうがない所でもある。その結果がアドルの多芸な技能となり、こうやって結果的に二人の仲をより深化させるきっかけになるのだから、ジェバとしては有難いものである。
「村の娘達がお前さん達を羨ましそうに見ていたよ」
「ぼくとフィーナを?」
「そりゃあそうさ。恋人が、一緒に家事を手伝ってくれる。しかもそれの手際が良い。
何より一緒に作業をしている。というのは男と女では仕事が違う。その違いを超えて一緒に何かをしている満足感を与えてくれるからね」
思ってもいないジェバの言葉にアドルが一つ頷く。
「旅の途中とか、酒場とかで仕事を掛けもって料理人まがいの仕事をしてた時は特に言われなかったけど、普通こういった村で料理をしようものなら軟弱、惰弱って言われそうなんだけどね」
アドルの呟き。だがそれは事実でもある。男は体を使った仕事こそが本職である。これが旅の途中で食事の用意をする。酒場で料理人として働くというのであれば、奇異の眼で見られる事はないが、ゼピック村の様に農業や元鉱夫の多い場所であればそうは見えないのが実情である。
実際ロムン帝国では帝国領内において市民権を得るのに一定の兵役が必要である。戦う事を求められているし、多くの市民がそれを普通としている。権利が保障される市民権を得る儀式。戦い国を守るのが普通であると考えられているロムン帝国の勢力圏において、自然と戦う農業、鉱山という危険の多い仕事場、戦場に出る兵士と違い、戦いとかけ離れたイメージの職や技能はどうしても惰弱と言われるのは避けられないものだ。
「お前さんの場合、フィーナを助け出したり、多数の魔物と戦う実力をゴーバンが認めている。そういった下地があるからね。
もしそういったものが無ければ、惰弱者とそしりを受けていたかもね」
戦うだけでない。ジェバの家の畑も柵の修繕や手入れをして維持に貢献もしているのを知られている。大工仕事もしているのだから、十二分に普通の男として認められているのだ。その上でパートナーを助けているのだから評価は上がるというものだ。
「それにしても、本当フィーナが明るくなったよ……」
「ぼくもそう思うよ。でもそれ以上にジェバがフィーナをあそこまで気に入っているとは思わなくて驚いた。迷惑かけていると心配してたんだけど」
ジェバがフィーナを匿ってくれた時、ジェバはアドルから見て不思議な感覚だった。匿い護るのが当然と言った様子だったのだ。見も知らぬ娘、下手をすれば襲われる事もあり得る。もしかしたら、サラの仇である敵が狙っていた娘として心配したのと同時に、失ったサラの喪失感をフィーナが埋めたのかも知れない。そうとも考えたが、今では本当に娘として扱っているのだ。
サラを失った代償行為ではない。あれは完全に娘と思っているな。そうゴーバンが笑っていたが、確かにこれだけ器量の良いフィーナの様な女の子を娘に迎えられたら、親となる人間には嬉しいものがあるだろう。
「そうだねぇ。お前さんがあの子を連れてきてくれて本当にありがたい事さ。
だから、悲しませる様な事をしてみな? 私が絶対に許さないからね?」
普通にしゃべっているはずなのに凄みを感じるのはゴーバンをも大人しくさせる母親特有の気配。これはゴーバンだけではない。アドルも同様に素直に「気を付けます」と言わせてしまうのだから、ジェバの凄さの一端であろう。
「まぁそれよりもだ。私としてははっきりと、フィーナとの関係を明確にして欲しいんだけどね?」
その言葉にアドルが苦笑いをみせる。二人の関係は肉体関係となったし、想いを確認しあってもいたが、恋人として正式にジェバに報告していない。だから関係をはっきりさせろ。
言外の意味をアドルが正確に理解している。関係をもって進展もしているのに、ジェバに明確にそうなったとまだ言えない段階。これはアドルが抱えている心配や不安が大きい。いつこの探索の中で自分が死ぬかもしれない。他にも色々な問題があり、それが理由になっているのをジェバは知っているが、早くそれをアドルの中で解決してはっきりとさせ、自分に報告して欲しいとジェバは思う。
(早く一度は『お前にフィーナを任せるのはまだ早い! 出直しておいで!』といってやりたいんだけどねぇ)
そんな未来をジェバが期待しているのを知らずに、アドルが小さくうなずいていた。
ジェバにアドルが釘を刺されているとも知らず、フィーナに宛がわれた部屋でフィーナが数少ない着替えを箪笥から取り出す。元々神殿の地下に捕らえられ、下着を含め着替えがまったくない上に、お金もない。アドルがどうやらジェバの家に匿ってもらうのに自分の生活費を入れている様子も知っているが、そんなお金を自分の為に無駄遣い出来ない。まして衣料品店もないのだ。隊商は来ると言えば来るのだが、それもミネアからの定期的に訪れるのに頼るしかない。一人でミネアの街へ行くにも危険すぎる。フィーナに残されたのは仲の良いデミや、知り合った吟遊詩人の妻であるアイリスからのお古の服をもらったり、未使用の下着を貰う事しかない。もっともその下着がデミ達の勝負下着と知らないフィーナなので、もし見られたらアドルを煽るかも知れないと考えもしていなかったのだが。
そうやって調達した衣類で精いっぱい、アドルの前に立っても恥ずかしく無いようにするしか方法がない。となるとフィーナの選択は最初に出会った時に着ていた質の良い白のワンピースに、サイズが合わず少しキツイが新品の綺麗な下着を身に着ける位しか出来ない。
「よしっ」
着替えも直ぐに済み、姿見の前でおかしな所がないかチェックする。デミ達から散々注意されていた内容が頭の中に思い浮かび、それに合わせてチェックしていくが、元々服選びする時間もなかった為大した時間にもならずに全てが終わってしまう。
そうなればアドルとこれから二人で外にでかけるのだ。その事実に緊張してしまう。既にアドルがゴーバンの使っていた小屋を修繕している。それは自分が住む場所であり、同時にアドルが住む場所でもある。そういった関係になって、一緒に床を共にしたのに
も関わらず、こうやって二人で外に出かけるというのはフィーナの胸の鼓動を強くさせていく。
「大丈夫。デミも言ってたじゃない」
フィーナなら大丈夫。デミの口癖。これは不安に陥るフィーナにデミが口にしていた言葉。実際神々しい美貌を持つフィーナなのだから不安も心配もする必要はないのだが、事恋愛になればそうも言っていられない。その為、必ず自分は大丈夫だと言い聞かせる様にと教えられていた。普通の娘と変わらぬ行動にジェバが見れば笑みを見せただろう。本当にただの村娘として幸せの真っただ中にフィーナは確かにいた。
「お待たせしました」
家から出て来ると緊張と興奮で少し顔を上気させたフィーナの顔がある。であった頃のワンピースを身に着けているが、不思議といつもと違う様にアドルが感じているのは、ほんの僅かでも髪型を弄ったり、腰帯にアクセントに小物を付けたりしているからだろう。デミやアイリス達から教わった事がこういった細かい所で出ていて、それがしっかりとアドルに伝わっている。それを何となくフィーナも感じられて笑顔になる。
「ゆっくりしておいで。私も久しぶりに一人のんびりとさせてもらうよ。ほら、そのバスケットを持っていきな」
そうジェバが笑って軽食の入ったバスケットを持たせると二人を送り出す。やれやれと椅子に背中を預け、暖かな日差しに微睡みながらやはりフィーナに衣服の一つでも買い与えてやらないと、とアドルとの逢引を考えて真剣に考える事になった。
「その帯に付けている提げ紐の二つの人形、可愛いね?」
歩きながらフィーナの腰部分にある人形にアドルが視線を向けると嬉しそうにフィーナがそれを手に持つ。
「はい。アドルさんが以前お話してくれた遠くの帝国の人らしいですよ。
こちらは女性、伯爵家の令嬢当主でありながら実家の流派の使い手で相当な剣豪でもあるとか……もの凄い大剣を扱い、帝国の英雄である灰色の騎士を守る剣士。
でも、その灰色の騎士を守る剣でありながら、妻の一人だと。大切な男性と一緒に戦えて、お互い守り合えるって何か羨ましいです」
ラウラという綺麗な女性らしいですよ。そういってフィーナが嬉しそうに人形を撫でる。女性の間でこの人形が人気なのは女性ながら剣の腕が抜きんでている事。若く美しい娘である事もあるが、何より物語の主人公の灰色の騎士の妻の一人で、共に戦い支え合う間だが、凛とした性格と優しさがお姉様と人気を集めているらしい。
女性が戦いにでるというのは中々少ない世の中で、ラウラという女性は世の女性の希望とも言えるのもあるのだろう。
「こちらは灰色の騎士を導いた魔女エマ。物静かで穏やかな性格。ラウラという女性と比べれば、ある意味対になる存在みたいですね」
「この人も灰色の騎士の奥さんだったりするの?」
「そうらしいですよ。英雄色を好む。という事らしいですけど、お二人とも子供の頃から共に学び、戦ってきたそうです。
きっとそういった事もあるから二人とも灰色の騎士の奥さんになったのかもしれませんね」
確かに武のラウラ、文・魔法のエマ となれば灰色の騎士を支えるのに適した存在はいない。しかもそれが妻であるなら信頼も出来る。問題はこの二人が揉めないか、という所だろう。だがきっとこうやって人形で流通しているのだ。仲は悪いわけではないのだろう。
「凄い騎士らしいですよ。救国の英雄で、戦うだけでなく若いのに教導する立場にたって多くの優れた人材を輩出する。
でも、奥様も多いらしくて……」
そういってフィーナが上げていく数にアドルが苦笑いをする。義理の妹に、学友、教え子、国の諜報機関所属の女性に、教官、しまいには帝国の皇女が降嫁しているとも。国の英雄だけに貴族の派閥単位で嫁を取り血の結び付けを行い、派閥の代表の娘を妻として娶ったりと政治的な問題があったのかも知れない。美姫に囲まれハーレムを作る。男にとってある意味夢であるが、問題はその灰色の騎士の立場であろう。
「……アドルさん。浮気、駄目ですからね?」
ハーレムの事を考えていた所にフィーナにそう言われて思わず苦笑してしまう。
「アドルさんって、絶対沢山の女の子泣かせてると思うんです」
「いやいや、恋人なんて出来た事ないよ?」
これだけ女の子の扱いが上手なのに? そんな視線をフィーナがアドルに向ける。本当にアドルの言う通りとしても、きっとアドルは気が付いていないだけなのかも知れない。多くの娘から熱い視線を向けられている事に。例え気が付いても旅を続ける事を選んでいる事もあろうだろう。きっとアドルにとって出会ってきた娘達はそういったアドルの心の中に居住出来なかったといえる。
今の所、自分はアドルの心の内に住んでいる。だがこれから先どうなるだろう? もしかしたら自分を受け入れてもアドルは旅を続けるかもしれない。それはそれで不安で心配になるが、女の自分では一緒についていくのも難しい。そして、アドルが旅に出れば間違いなく多くの女性を自分の様に夢中にさせてしまうのは間違いない。こういった将来の事もフィーナにとって不安が積み重なっていく部分はあった。
「はぁ……アドルさんって鈍い人ですから……。
デミ達が女の子の扱いにアドルさんが慣れていると言ってました。きっと知らない間に女の子をその気にさせてしまうだろうから気を付ける様にって」
小さくため息をついてアドルを見つめると、慣れているという言葉にアドルが今日何度目かの苦笑いをみせる。
「人並みの付き合いはあったけど、それ位だよ」
人並みの付き合い。それには一夜だけの関係も含まれる。もっとも、それを口にする程アドルは愚かではないが、おそらくそういう事をデミ達は認識しているんだろうとは思う。そこからフィーナも理解しているのか、予測しているのかまでは解からないが。
不意にフィーナが立ち止まる。アドルに対してどんな行動を示すべきだろうか? その中で思い浮かんだのが今思いついた事である。これは単に自分がそうしたい。というのもある。ただ、先ほどの内容からこれを言うのは気恥かしさが先行してしまう。だが行動をしなければ失うとデミ達に言われているフィーナが意を決してアドルに
「あ、あの……手…………繋いでも良いですか?」
惚れた娘が恥ずかしそうに顔を赤くしているというのは心の平静さを粉砕する破壊力がある。そしてそれが可愛らしいお願い。卑怯だ。こんなお願い断れるわけがない。アドルが嬉しそうに勿論と左側にいるフィーナへと手を差し出すと、嬉しそうに指を絡める様にフィーナが手を繋ぐ。
温かい手。先ほど料理していた細やかな仕事が出来るとは思えぬアドルのしっかりとした手はフィーナに安心感を与える。決して失っては、離してはならない。そんな気がした。遠い昔もう一人の自分が失ってはならぬものを手放した。そんな記憶が頭を過るのが不思議だったが、それを考えると大切なこの人の手を放したいとは到底思えなかった。
絡められた指の感触はやはり柔らかく、温かい。この手の持ち主を守らないと。そう思わせると同時に、この手の持ち主が可憐に微笑んで自分だけに向ける笑顔を見せるてくれている。きっとだらしない顔になっているんだろうと思うがこればかりは仕方のない事でもある。
「そういえば、今日湖があまり波だってる事も無くて、気温に比べて水温も気持ち良いとパプロさんが」
湖に行きたい。そんな遠回しのフィーナの言葉にアドルが頷く。あまり自分から何かしたいとも、欲しがったりもしないフィーナが珍しく自分から話を振ってきたのだ。アドルとしても喜んでそちらへと足を向ける。
いつもなら釣り人がいたり、子供達の遊び場となっている湖だが、不思議と今日は人の気配がない。この湖は不思議と魔物が近寄る事がない。それもアドルがこの場所に来る事に同意した理由でもあるが、何故人がいないのか、魔物が徘徊している気配もないのは魔除けの効果もあるだろうとはいえ、不思議な光景だった。
「今日は二人だけでここを独占、かな?」
フィーナに視線を向けると嬉しそうに小さく微笑みながら言葉を返す。
「もしかしたらお昼でお家に戻っているのかも知れないですね」
そういった意味ではラッキーだ。そうアドルが笑う中、フィーナがバスケットを地面に置いて砂浜へと歩き出す。遅れると思ったのだろう。急いで靴を脱いでズボンの裾をまくり上げるとアドルも波打ち際へと足を向ける。波は穏やかで大きく水が跳ねる事もない。透明度の高いこの湖は昔は観光地だけではなく、若い男女の出会いの場だったとも聞く。
「本当、綺麗な砂浜だし、歩きやすい。綺麗な景色と揃って良い所だ」
こんな場所を二人きりで独占しているが、この景色と湖の中に足を踏み入れ笑顔を見せるフィーナ。この二つを同時に見れる自分は本当に果報者なのかも知れない。
「どうしたんです?」
アドルの表情にフィーナが不思議そうな表情を見せながらワンピースの裾を水面に付けない様に手でまくりあげる。何気ない動作に見えるがフィーナの表情が緊張している様に見える。
(ああ、デミ辺りから言われんだろうな)
そうアドルが内心で思うのは普段衣類で見えない部分を水の中に入る事で意図的に自分に見せている。と理解したのだ。笑顔で少し前かがみになっているのも胸元に視線を意識させる為。そんな懸命なフィーナのアピールだが、もしこれが知り合ったただの娘であったら特に感じなかっただろう。
だが、問題は惚れている娘がそうやってアピールをしてくる。これはアドルにとって大きな影響を与える。夜の営みで目の前の娘の裸を幾度か見ていても、こうやって覗く二の足の美しさ。胸元から見える白い下着と胸元。どうしても視線は向いてしまう。大体女性の扱いに慣れているとはいえ、恋愛経験は皆無のアドルである。惚れた娘のこの様な行動に自制を保つのは困難であった。
(あっ……)
アドルの雰囲気が変わった。それはフィーナが瞬間的に理解した。アドルが顔を真っ赤にして視線を泳がせていたが、視線が定まって、自分の足や胸元、そして顔を見ている。だがその視線はまるで村の若い男達の様な、ギラギラとした視線なのだ。そう、何度断っても遊びにいかないか? と声を掛けたり、接触を図ってくる時のそれであり、少し恐怖を抱いていた男達の視線。それはデミ達も気を付ける様にと注意しており、自分が自意識過剰なわけではない、身の危険を感じる時のそれなのだ。
あまりやり過ぎると幾らアドルさんでも狼さんになっちゃうから、加減は気を付けてね? と散々デミに言われていたのにも関わらず、どうやら無意識の内に自分はやり過ぎていたのだとフィーナが気が付いたが、もう後の祭りである。
(どっ、どうしよう……)
普段のアドルなら恐怖を感じる事はない。だが、まるで自分に下心をもって近づいてくる男達と同じ目をしているのだ。同じアドルでも恐怖がある。ジェバが恋愛経験がアドルが少ないかも知れない。そういっていた部分の発露なのだが、同じく経験の少ないフィーナに理解出来る部分ではない。
だが、アドルにだって言い分もある。ここ最近忙しさからフィーナとの時間を作れても数が少ない。自分の欲求をフィーナ以外で満たす事等考えらえるはずもない。村でそういった行為の場所は限られる。となれば、アドルがお預けを食らっていたのと同じ状態なのだ。しかも若い男が。自然と我慢の限界にもなろうというものである。本来なら必死に隠し続けるだろうが、相手が大切な娘、まして恋愛経験の少なさから、解かっていても精神的に我慢が効くはずがないのだ。
(スゴイな……あの綺麗な脚も……覗いてる胸元も、解かっててやってる照れた顔も特に)
「ア、アドル……さん?」
「あっ、ああ! ごめんフィーナの仕草が凄い可愛くて」
必死に平静さを保つアドルに不安そうな表情のフィーナだったが、アドルがどうやら必死に我慢してくれている。平静さを保とうとしていると解かって嬉しそうに微笑む。他の男達と違うのはこんなちょっとしたアドルの一面。だからきっと彼に惹かれているのだろうと思う。
「お世辞でもそう言って貰えると嬉しいです。
ほら、アドルさんも」
フィーナにそう誘われれば断る事も出来ない。一緒に水の中へと歩を進め、フィーナから悪戯で水を掛けられたりと暫く遊んでいるとワンピースの裾が水につかっていたのだろう。段々と水分を吸い上げて上の乾いた部分へと浸食していく。
その濡れた部分はフィーナの体にピタリと張り付き、繊維が透けてフィーナの美しい脚、丸く綺麗なお尻、くびれた腰回りをアドルの眼の前に晒していく。それだけではない。密着した部分から今日のフィーナの下着のラインまでくっきりと浮かんでいる。
「あっ……うわっ、やばいかも」
そんなアドルが思わず口から洩した言葉にフィーナの表情が曇る。
「やばい、ですか?」
何か自分に問題があったのだろうか? 不安そうな表情を見せるフィーナだが先ほどまで夢中だったから気が付いていない今のフィーナ自身の状況。下半身が透けているだけでない。上半身も跳ねた水滴で部分的に体に張り付き、下着が透けて見えるのだ。人目がない事が幸いだが、いつ人がやってくるかわからない。正直このままではまずいのだ。
「……一度上がって、あそこの木の下に行こうか」
女の裸や下着姿など見慣れているはずなのに、幾度も肌を重ねた相手でもあるのに、アドルが羞恥に顔を赤らめてそれだけやっと口にする。この時やっと自分を顧みて状況を理解したのだろう。フィーナも耳まで顔を真っ赤にして固まってしまう。
「じゃあ、向こうまで……行こうか。人が来るかもしれないから、僕を盾にしてくれていいから」
「ご……ごめんなさい。私はしゃぎすぎちゃって……」
赤らめながら楽しいひと時を潰してしまったと申し訳なさそうな表情になるフィーナ。
「きっ、気にしないでいいよ」
正直アドル自身、そろそろ我慢の限界なのだ。このままでは不味いという危機感がアドルをせっついてくる程に。周囲を見渡して人が来てないか、フィーナが男達の視線に晒される事の無い様に注意しながら途中バスケットを拾い、アドルの指さした木の下へとやってきた。ちょうど背の高い植物も生えており、視線を隠すには最適の場所であり、水を含んだフィーナのワンピースの裾を絞ってやるが、温かい陽気とはいえ、そう簡単に乾くとは思えない。
あれだけ先ほど煽られて、この状況。そして人目の届かぬ場所へ移動してきた。正直、よくここまで我慢したと自分をほめてやりたいアドルであった。
「ありが……んっ……」
木陰に移動して自分が視界に入らない様にしてくれていたアドルに、御礼を口にしようとしたフィーナ。だがその唇をアドルが塞ぐ。突然の行動に驚いた様子であったが、そのまま抱きしめられられると体の力も抜けて、静かに木の幹に背中を預ける形になる。
村の若い男達の様な欲望の籠った視線は怖い。だがアドルがその視線をしていると、恐怖も確かにあるが、いつの間にか、恐怖以上に嬉しいと思える様になっていた。好きな人が自分をそういう相手として見てくれている。欲情してくれている証明なのだ。何より、無理やりではない。自分を大切に扱ってくれているのも解かるから。もし拒絶したら引いてくれると感じられるから。
今もこれ以上強引に迫る事なくアドルが居てくれるのは我慢しているから。きっと自分を求めたいと思っているのだろうというのは経験の少ないフィーナでも解かる。自分が足を見せたり、胸元を見える様にしたのは、内心でもそうなれば良い。そう思っていた部分もあるし、その結果、アドルが欲情してくれているのだから。
「ごめん……もう我慢出来ない」
素直なアドルの言葉にフィーナがはにかみながら頷く。
「私も……アドルさんと最近……だから……」
お互いの気持ちを知れば止まる事など出来るはずもなかった。
「……でも、声………どうしたら……」
アドルに求められるのは構わないし、恥ずかしい姿を見られるのも構わない。問題は違う男に自分の裸を見られたり、アドルに蕩けさせられている姿を見られる事だ。そんな自分を見て良いのはこの目の前の赤毛の青年だけ。絶対に他の男に見せたくない。
幾ら人気のないとはいえ、波の小さな湖では、人が近づけば気が付かれてしまう。そこでアドルがハンカチを取り出すとフィーナの口元へと運ぶ。これを噛んで声を我慢をしようという事は理解出来たが、それだとアドルと唇を合わせる事が出来なくなってしまう。だが、ここまで来てしまえばアドルの欲望を受け止めたいという気持ちもある。
一瞬の葛藤だが、答えは直ぐに出た。そっと可憐な口を開くとハンカチを噛む。アドルを受け入れ、アドルと共に快美感を貪りたい。フィーナの決断だった。
アドルの動きは的確で速かった。ワンピースをずり下げて胸元を露わにすると、少しきつめに見えるブラに包まれた乳房に手を当てる。
「んっ……んんっ」
柔らかくきめ細かな乳房に触れた指を乳房に沈みこませる。
「柔らかくて、すべすべしてて……フィーナの体、気持ち良い」
(私も、アドルさんに体中、一杯触ってもらえて心地よい……)
ハンカチを噛んでいる為、言葉で返せないがフィーナが何度も肯定の意味を込めて頷く。そんなフィーナの反応を見て直ぐにアドルがフィーナの胸への愛撫を始める。
「んくぅ……んっ……んふぅ……」
出来る限り声が漏れない様にしっかりとハンカチを噛み締め、フィーナが声にならない、快楽にそまりつつある小さな喘ぎ声を上げる。そんな愛しい娘の乳房をやわやわと指で優しく押しつぶしながら円を描く様にゆったりと揉みしだく。
(アドルさんの手……いつもより、えっち)
本当にアドルが興奮しているのが解かる。きっと自分からアドルを刺激した事もあるだろう。こういった人がいつ来るかわからない屋外での行為というのもあるだろう。自分と同じ様に興奮しているのを感じると一体感がよりフィーナを高めていく。
「こんな綺麗な胸、ずっと触っていたい」
囁かれながら、ゆったりとアドルの愛撫を受け入れていくと、体中にその刺激に合わせて震えが走る。
(もっと……一杯、満足するまで触って……)
アドルにそう視線で訴えかける。そしてそのフィーナの気持ちは正確にアドルに伝わった。小さくうなずきながら。
「フィーナの胸は本当すごい。これだけ綺麗で柔らかい胸、どんな男も夢中になるよ」
そう言いながらじっくりと胸への愛撫を続けると我慢できなくなったのか、いつの間にか口元で噛んでいたハンカチが地面に落ちて必死に声を押し殺すフィーナの顔がある。
「アドルさんのものだからっ……。私のおっぱいを触ってもっ……見てもっ……乳首に意地悪な事しても良いのっ……アドルさんだけだからっ、アドルさんだけなのっ!」
「フィーナのこの柔らかい胸も、綺麗な丸みのあるお尻も、今エッチな言葉を紡いでるこの可憐な唇も、フィーナの全ては僕のものだ」
そのアドルの言葉に必死にフィーナが首を縦に振る。そんなフィーナを見ていてアドルがフィーナを反転させて木に両手を突かせると腰を突きだす姿勢を取らせる。その間にズボンを降ろして分身を開放させると、後ろから抱きしめる姿勢を取る。
アドルが先ほどと同じ様にフィーナの柔らかな乳房を揉みしだき、空いた片方の手を女陰部へと進ませてゆっくりと動かしていく。秘裂を指でなぞるとフィーナが体をビクつかせる。
「大丈夫?」
「は、はい……きっ、気持ちよいだけですから……」
「そっか。なら続けるよ」
フィーナの返事を聞いて、ショーツ越しからフィーナの女陰部をゆっくりと刺激していく。
「あっ……、あぅ……っ、くぅん」
秘裂から くちゅり と水音が響き、アドルの指に液体の感触が残る。先ほどの水遊びで濡れたものではない。僅かな愛撫であったが、この特殊な環境で間違いなくフィーナの性的興奮が高まり、分泌された愛液。
「フィーナ、濡れてるね?」
「あっ、アドルさんがぁ……あっ、触ってっ……くれてるからぁっ!
ショーツの上から刺激を与え、秘裂の奥へと指を押せば愛液が溢れて来る。フィーナが快楽に染まりつつあるのが明確に解かる。そして男を迎え入れる事が出来る状態まで体が作れている事も。
「ごめん。もう挿入したい」
本当に限界なのだろう。切羽詰まったアドルの言葉に後ろ向きながら何度も小さく首を縦にフィーナが振る。どうやら自分だけではない。フィーナも限界なのだ。高まる興奮で息苦しさを感じながらフィーナのショーツをずらと、現れたフィーナの女陰部。そこは早く自分の大好きな男を迎え入れたいと小さく戦慄いていた。
そっとアドルが分身をあてがい、ゆっくりと腰を押し進める。
「おねがぃっ……早くぅ」
フィーナの可愛らしいおねだりを受けながら、アドルがゆっくりとフィーナの感触を味わう様に腰を突きだす。ぬちゅりと姫鳴りを響かせながらアドルの男根がフィーナの女陰部へと突き刺さっていく。
「あっ……! くぅ、はぁぁぅっ!」
アドルの侵入を受け入れて、今では先端部分が完全にフィーナの女陰部を抜け、奥へと突き進んでいく。
「あっ、あんっ……あぁ、あっ……」
じっくりと、とろとろに溶けて、ざらざらした感触ときゅんと甘い締め付けで歓待してくるフィーナの膣をかき分けながら、秘められた場所を目指す。アドルの肉茎の一番太い所を超えると、後は大きな抵抗もなくフィーナの女陰部はそれを受け止め、一気に奥まではまり込む。
「あんっ……くはぁっ!」
アドルの愛撫で準備が整っていたフィーナの女陰部はアドルの肉茎を容易に根本まで飲み込む。先端部はフィーナの子宮の入り口に嵌り込み、その瞬間想像を絶する快楽がフィーナの体を快感の電流となって駆け抜け、体を小さく震わせ続ける。軽い絶頂をフィーナが迎えていると、膣内の動きと断続的な締め付けからアドルが感じ取り動くことなく優しく後ろからフィーナを抱きしめる。
「大丈夫? 苦しかったら言ってくれ」
そう耳元で囁く。
「んっ……ふあっ…………ちょ、ちょっと……イっちゃいましたっ……」
恥かしさで顔を赤くしながらそれだけ口にする。本来ならばこのまま、アドルに激しく愛してもらいたい。でも流石に今動かれると声を抑える事は出来ない。ハンカチは地面に落ちていて、声を抑える事が出来ないのだ。
「アドルさんのが……私のっ、中でぇ……凄いきっ、気持ち良い……のっ」
「僕もフィーナの中、何もしなくても出そうだ」
素直に答えるとフィーナが幸せそうな表情を浮かべる。
「嬉しいっ……アドルさん……が、私で気持ちいいってぇ……。もっともっ……と、気持ち良くなっ……ほしいのっ……」
アドルと何度も体を重ねたが、やはりアドルにもっと気持ちよくなって欲しい。自分を何度も快楽で意識を失う程求めてくれるのだから、自分もアドルに快楽を得て欲しい。そんなフィーナの気持ちを感じ、アドルも幸せを感じる。
「すきぃ……アドルさんっ……すきなのっ」
フィーナのアドルへの感情の吐露。甘く苦しい想い。その言葉にアドルが爆発寸前まで煽られていく。フィーナと同様にアドルも大切な娘への想いは強く、その想いはありふれた言葉でしか伝えるしかない故に、言葉だけでは形に表す事が難しい。でも、ありふれた言葉でしか伝えるしかないから何度もフィーナを背後から抱きしめながら
「僕も好きだ。誰にも渡さない」
そう口にする。それが合図の号砲となった。アドルが夢中で腰を振り始めたのだ。
「ああぁっ!」
突然のアドルのピストンに、フィーナの口から嬌声が漏れてしまう。必死に声を抑えようとするがアドルの腰の動きから生まれる快楽に飲まれて、殆ど抑える事が出来ず、手で口を抑えようにも両手で体を支えている為にそれも出来ず、結局恥かしさと、心地よい快楽に甘い声を響かせている。
(誰も来なければいいが、来たらそれまでだ)
既にアドルは開き直っていた。フィーナの美しい裸体を他の男に見せるのも、快楽に蕩け切った表情を見せるのも嫌だ。だが、そうやってフィーナはもう自分のものだ。そう誇示するのも良いかも知れない。外でのフィーナとの交わりでアドルも普段の冷静さが失われていた。
大体ここまで来て、一度その精をフィーナの体内に放つまで、フィーナとの性行為を止める事なんてアドルには出来なかった。これはフィーナも同じだとアドルは解かっている。
「いっ、いいっ! ア、アドルさっ、……きもちっ……いいのぉ!!」
押さえていたはずなのに、フィーナの声が段々と大きくなっていく。アドルが自分の男根が深々と突き刺さっていた状態からゆっくりと引き抜いていく。ゾクゾクとした感覚がフィーナの体中に走るのと同時に、愛液を男根の先端部が交代に合わせて組みだして結合部から溢れさせる。幾本か筋を作りながらフィーナの太ももを伝わり、脹脛まで流れ、残りは結合部から雫となって地面へと流れ落ちる糸を作り、二人の繋がっている真下が濡れた地面が小さな水溜まりとなるのにさほど時間がかかる事はなかった。
「あっ、あんっ、ああっ……。あっ、くぅんっ!」
ぐちゅり、ぐちゅりと結合部から響く粘性の強い音とフィーナの口から発せられる喘ぎ声がアドルの耳を叩く。静かな湖と静かなこの辺り一帯の環境から思えば、近くに人が来れば間違いなく、この場で行われている事がバレる。覗きに来るかもしれない。改めてそう考えるとアドルの興奮は更に高まって腰を振りたくる。
「気持ち良すぎて、止められない」
アドルがそう声を漏らす。普段のアドルとは考えもつかない程、余裕のない声色。目の前の美しい娘の乱れる姿に理性が崩壊しかけているのだ。
「はっ、はぅっ……! んっ、あっ……あんっ!
やぁ……んんっ、んぁぁっ!」
アドルの動きに合わせてフィーナも体を前後に揺らしている。アドルが腰を突きだすタイミングに合わせてフィーナも腰を押し付け、結合が深くなる様に、アドルとの一体感を求めている。自分との交わりがそれだけ気持ち良いのだろう。一つになっているという満足感を得ているのだろう。
その後ろ姿にアドルが嬉しさと、それと同時に普段の彼女と思えぬ淫靡さを感じる。二人で繋がる肉欲だけでない、心がつながった様な感覚はアドルもしっかりと感じている。冒険で初めて見る光景や、未開の地の踏破した感覚とは違うが、それと同等、いやそれ以上に自分の心を熱く、満足させる感覚。
「アドルさんっ……のっ、すごっ……きもちいいっ!
なんで……こんなぁっ」
いつもと違う環境、外で人に見られるかも知れない。そういった不安がよりフィーナの感度を高めているのだろう。快楽に蕩けた表情で、可憐な唇から聞くものの欲情を煽る声が紡がれる。
フィーナをこんな風に快楽に溺れさせている。そう思うとアドルの興奮もより高まる。ただ荒々しい行為にならない様に必死に堪え、胸元に柔らかな大きく実ったフィーナの二つの果実を愛撫して暴走しない様に高ぶる精神を抑える様に息を吐く。
「いつもより、感じてる?」
少し意地悪かな? と思った質問だったが、アドルの心配を他所にフィーナが何度も首を縦に振る。
「アドルさんのっ……すごいっ! いつもいじょっ……おくとどいてっ、いつもよりはげっ……しくてっ!
こんなところでっ……でもアドッ……アドルさんとしっ……それがいいのっ……きもちいいのっ!」
顔を真っ赤に染め上げながらそう口にする。これは何度か肌を合わせた時にアドルに素直に教えて欲しい。自分も言うから。一緒に気持ち良くなりたい。そう言われてから実践している事。恥かしさもあるが、アドルが喜んでくれる。もっともっと気持ちよくしてくれる。二人で一緒にこの快美感を共有できる。そう思うと恥かしさを抑えてフィーナがアドルの求めに素直に応じて自分の今の心境を口にする。
「アドルさんのがっ……なかっ……もうっ、もうだめっ、きちゃ! きちゃうっ!!」
貫かれ、子宮をノックされるだけでは物足りない。全てを捧げるだけじゃない、溶け合ってアドルと一つになりたい。フィーナのその感覚は言葉に出来なかったが、膣内のアドルの肉茎を刺激し、体液を絞り出そうという動きからアドルが感じ取る。
特に好意のあるわけでもない男に向けられた視線は怖かった。でも好きな男にあの視線を向けられ、その視線のまま求められ、体を楽しまれる。同じ視線でもアドルならこれだけ幸せな気分になれるのかとフィーナが幸福感に包まれる。荒々しい行為にならない様に必死なのもフィーナには感じられ、それも嬉しかった。だからこそ、思った事を改めてこう口にする。
「わたっ……わたしのからだでっ……きもちよくなっ、もっときもちよくなって!
いっしょにっ……ふたりいっしょにっ……」
そんなフィーナの愛らしいお願いにアドルが肯定を示す様に腰を激しく振る。惚れた娘にこうまで言われれば、共に快楽を得たいと思うのは当然だった。
「フィーナ! フィーナ!!」
もう二人で達する事しかアドルの頭にはない。荒々しくなる事も忘れ、必死になるアドルの動きをフィーナの体は受け止め、一緒に昇り詰めていく。
「あっ、くるっ! くるくるっ! きもちいのきちゃっ……きちゃうっ!」
切羽詰まったフィーナ喘ぎ声が漏れた瞬間
「ふぁっっっ!!」
体中に力が入り、硬直した状態でびくっびくっ、と体を震わせる。同時に結合部からはぷしゃと水音が響く。フィーナが淫蜜を噴出したのだとアドルが理解したが、フィーナにそんな快感をもたらせたと喜んでいる暇はなかった。
「んふぅっ……あっ、あぁっ! はっ、あぁぁぁぁっ。
やっ、くぅ……あっ……はぁぁぁ……」
体中の痙攣が止まらずにいるフィーナ。快感の波が引かず立て続けに絶頂に昇り詰めているのが解かる。同時に名器であるフィーナの膣がアドルの分身を想像を絶する快感を伴った締め付けと、断続的な痙攣。中のとろとろとした感触、こすると腰を砕けさせるようなざらざらとした感触、あらゆるものがアドルに止めをさすべく襲い掛かってくる。
このフィーナの体内の感触にアドルの臨界点は一瞬で突き抜けた。
「射精る!」
そういって白く丸い柔らかいな尻に腰を密着させて、男根をフィーナの子宮へと押し付ける。
「き、きてっ! きてくだっ……さいっ!!」
フィーナの声を受け、アドルの中にため込まれた体液がつながったフィーナの体の奥深くで爆発する。
「んんっ! んっ、あっ……おくにっ……そそがれてっ、いっぱいはいってるっ!」
アドルが体を震わせているのを感じる。それは幾度も体験したアドルが精を放つ時の動き。快感を得ている証。自分の体がアドルを気持ち良くする事が出来た。その満足感と男が女を孕ませる体液を放出している証。アドルの子供を宿す為の神聖な儀式をしている。それを感じてフィーナが喜びの涙を流す。
アドルの射精も驚くほど長い。何度も精を注ぎ込みながらフィーナの体内で分身が跳ねるとそれに合わせてフィーナの体も大きく揺れる。
「くっ……凄い、搾り取られる」
想像を絶する快楽。こんな快楽を知ってしまえば浮気何て出来るはずもない。極上の快楽を与えてくれる体。そしてその体の持ち主は絶世の美少女で、自分の大切な、そして自分を大切に想ってくれる少女なのだ。そう思えば思う程、アドルの男根は更に大量の精を噴出していく。アドルが子宮から男根の先端が離れない様にしっかりと後ろからフィーナの体を抱きしめ、二人の結合をより確かなものにする。
「すっ……すごいっ。アドルさんとまってないっ……。なかっ、アドルさんのであふれちゃうっ」
二人しっかりと繋がり、体を絶頂の痙攣で震わせながら、フィーナが唾液を溢れさせ言葉を発する。
「うれしいっ……こんなっ、あふれちゃうくらいっ……いっぱいっ……」
射精に合わせて、フィーナの腰が小さく円を描いている。無意識な動き。だが本能的に好きな男の体液を一滴残らず搾り取ろうとしているのは間違いなかった。
「だめっ……あふれるっ……アドルさんのもったいないのにぃ……」
二人の結合部からアドルの精液があふれ出ているのを見て、フィーナが悲しそうな声を漏らす中、ようやくアドルの射精が止まる。腰砕けになっているが何とかアドルは姿勢をキープしてフィーナが地面に崩れ落ちそうになるのを支える。
心臓が破裂するのではないかと思う位バクバクと鼓動を打ち付けていた。必死に呼吸を整えながら一度結合を解くとフィーナをアドルと向き合う様に振り向かせる。
「大丈夫。何度でも中に出すから。今日だけじゃなくて、フィーナが欲しい時にも」
アドルの興奮は今だ収まっておらず、男根の大きさも一向に衰えていない。まだまだ出来る。このまま続けて自分の中にアドルが更に大量の精を放出させる。言葉でこそないが、アドルの雰囲気をフィーナが察する。若い男のタガが外れたのだ。一度で収まる事などあるわけでがない。その日、煽り過ぎは良くない。実体験でフィーナが学んだ事だった。
「あぅぅ…………」
恥ずかしそうにアドルと腕を組みよろよろと歩くフィーナ。
結局あの後、立位でアドルの精を受け止めた。地面にアドルの服を敷いた上でよつんばいになった所を背後から貫かれて声を上げ続け、昇り詰めた。フィーナは気が付かなかったが、どうやら覗かれているのを知っていてアドルはフィーナは自分のものだと見せつける様に背面座位で共に快美感に溺れた。最後は体についたお互いの体液を湖で洗い落としながら、アドルの男根を口で愛撫して体液を受け止めたフィーナである
「恥ずかしい……」
覗かれていた事こそわからなかったが、こんな腰砕けの、疲労しきった自分の状態を見られれば、アドルとナニがあったか、そんなの直ぐに解かるだろう。実際何人かからの視線も感じている。恥かしさでフィーナの顔が真っ赤になる。
「でも、凄い気持ち良かったよ」
「わ、私もですけど……」
外という解放感。見られているかも知れない緊張感。この二つがフィーナをより高めさせたのは間違いない。でも、アドルも燃え上がり、求められる喜びを再確認したし、アドルと一緒に昇り詰める幸せも何度も感じたが、こんな状態を見られるのは恥ずかしいものがある。
「ジェバに……ばれちゃいますよ……ね?」
何気ない一言。フィーナにとって母親であるジェバにアドルと愛し合った事がバレるのは気恥ずかしさは他の村人らに知られる以上に強いものがある。それが心配だった。
だが、アドルにはそれが違う意味で深刻な問題となって気が付かされた。フィーナに無理させるんじゃないよ? と何度も釘を刺されている。フィーナを本当の娘として可愛がり大切にしているジェバである。
(これは……相当不味いかも知れない……)
内心の焦りを表に出さない様に必死に平静さを装うが、どうしたものかと思考を巡らせる。だがどうやっても回避する方法はない。ゴーバンですら敵わぬ隠れた女傑であるジェバ。どうやら自分は着実に死地に向かっているとアドルは覚悟するしかなかった。
でもそんな未来が待っていると解かっていても、湖でフィーナと遊んだ事。濡れたフィーナに欲情して行為に及んだ事。きっと何年たっても忘れないだろうし、フィーナと二人だけの時に話題にすれば恥ずかしがるだろうけど、きっと良い昔話になるだろう。
夕焼けを眺めながらフィーナの腕の感触をしっかりと感じながら、もっとフィーナと湖で遊んだ様に楽しい思い出を積み重ねていこう。
肌を合わせて幸せな体験もしていこう。そう思いながらジェバの家に向かって歩みを進めていった。
その後アドルがフィーナがいない間に、フィーナが腰砕けになる程の激しい行為をした事をこっぴどく叱られ、出来婚は許さないとお灸をすえられる事になったのは自然の流れであり、改めてゴーバンの母親はやはり女傑なのだ。とアドルが思い知らされた。
省略した体位の部分書きたかったけど、元々短編のハズが凄まじく文章量増えたので省略しました
昔はちょっと書きたいなぁと思った事もあるけど
軌跡のキャラのストラップ捻じ込んだのは他意のない小ネタです
閃の軌跡だと、ラウラ、エマ、ユウナ(@エリゼの事忘れてた……)が個人的なリィンの嫁的お気に入りだけど、嫁論争とか、キャラ間のCPで信仰が生まれたりと色々見て、何だかんだ個別に人気あるキャラ多いなと改めて思う所
(信仰というのが何か爺臭い表現だけど)
一律ストラップの嫁の部分とりあえずハーレムルートにしておいただけ
本当軌跡の方は書き手が多いので自分の需要が満たされて素敵