今みたいな書き方だと今後のレアパートのエロが予想できてしまうのがつらい……
陵辱した人間に対して、少し残酷な描写があります
胸の中で静かに泣いていた女神だった娘が、溢れる涙を拭って赤い髪の青年を見上げる。自分の我がままでアドルがあんな感情を向けられる立場となってしまったのだ。償いきれるものではない。好きな相手にこんな過酷な道を進ませたかったわけでもない。
だけども、どうしても手に入れたかった。どうしても一緒にいたかった。出来るなら結ばれて、子供を産み、育てて一緒に人として死にたいと。
「私……もし、アドルさんが望むならどんな事も大丈夫です」
フィーナの微笑を浮かべながらも決意を込めた言葉。それは、フィーナが思い浮かべた様に、アドルもゼピック村の人々や、彼の故郷の事を思い浮かべていたのら、そう考えたのだ
「だから、アドルさんが望むのなら、もしその時がきたら時々でいいから、私の事を思い出してくれれば十分ですから。
ただ……もし、アドルさんに好きな人が出来て、結婚して、子供が生まれたら、その子が年に一回でもいいの。私の所に来てくれたら、嬉しいです。
その子が結婚してアドルさんの孫が産まれたら、その子にも会いに来てくれたら、やっぱり嬉しいです。
アドルさんが平和に生きて、天寿を全うして、アドルさんの子供達も同じ様に生きていってくれるのなら……私…………」
もし、アドルが魔と戦い黒真珠の封印を選ぶのなら、フィーナはアドルの為に、アドルが守りたいと思う人々の為に黒真珠を封印するつもりだった。例えそれがフィーナの想いが一生叶う事がなくなる事だとしても。
二度とアドルとは語らう事も、触れ合う事も無くなる。でも、それでアドルが健やかに生活出来るのなら。アドルが子供を成したら、その子供達にも健やかに生活出来るのなら。そんな自分ではない相手とアドルが結ばれる未来への想像が、フィーナの心に引き裂かれる程の痛みをもたらす。それでも涙を堪えてアドルにそう笑顔で語る。触れ合う事も話す事も出来ないにしても、アドルの子供達が、その子孫達が訪れてくれれば寂しい想いはしないだろう。アドルの子供達が生きていく世界を見れなくても、感じる事が出来なくても。そうフィーナには思えた。例え女神としての自分を認めない人間を結果守る事になっても、アドルが無事であるならそれで十分なのだ。
だからアドルに無理強いも、下手な配慮もさせたくない。冒険というアドルの原動力を奪いたくもないし、アドルを自分のせいで何かを諦める事をさせたくない。自分が今までそれで辛い思いをしてきたのだからなおさら。
勤めて表情を作るフィーナ。だが言葉はとめられない程の震えが走る。そして先程拭ったのに涙はまた溢れている。今日どれだけ涙を流したのだろう。枯れない涙にフィーナは自分を叱咤する。
「いいんだ。もう、いいんだフィーナ。僕の答えは決まっているから」
フィーナが何を考えているのか、手にとる様にアドルには理解できた。優しい娘なのだ。ジェバの家で過ごした時、何かをしてあげたいという性格も見て取れた。その性格故にアドルを慮った言葉。だから、これ以上はフィーナに言わせる必要は無かった。
黒真珠を破壊出来ない。封印も出来ない。ならば方法は一つしかない。アドルは自分の中の答えを明確にしている。冒険を捨てる事に未練があるかと言われたら、無いといったら確実に嘘になる。でも、冒険以上に大切なものは確かにある。父さんはそれを見つけた。そして自分もそれを見つけただけなのだ。と。
「僕は二つを同時に手に入れられないから、片方を諦めるだけ。ただそれだけだよ。
確かにこの選択で大切なものを失う。でも、今この手にあるものを手放したら、それは一生心の中に空洞になって後悔すると思う。僕は後悔をしたくないし、そんな一生を過ごしたくない」
それで裏切り者と謗られても、悪魔と形容されようとも、アドルには問題はなかった。叶うのなら魔と戦い、勝利して、フィーナと一緒に石となるのが良い位だ。だがそれも叶わないのなら、一人愛する者の石像の前で一生を終えるのは御免だった。
自分が新たな冒険に出ても、フィーナの存在に気がついてしまった以上、アドルは自分の胸には大きな空白が生まれると理解していた。きっと、色々な出会いを繰り返しても、神秘や奇跡を目にしても、アドルの中のフィーナは永遠に消える事は無いと。人と出会えば、フィーナの姿がチラつくだろう。二つだったものが一つになった。なのにまた二つに分かれたら。そう考えて胸の中にあるものを強く抱きしめる。
何が正しいか。考えるまでも無い。多分戦う事と封印する事が正しいんだろう。でも正しくても選ぶ何て出来ない。そんな聖人君子にはなれないと改めて感じる瞬間でもあった。
「それにさ。フィーナと出逢ったのが、僕の年貢の納め時だった。人によっては早いと言うかもしれない。でも、僕にとってこの選択はそんな些細な事だったんだよ」
些細な事とアドルが笑う。矮小化している。だがこれは間違いなく苦しい未来の選択。だがそれをフィーナに思わせない為のアドルの笑顔は先程と違って明るく優しいものだった。
「ダレスの言ってた通り、僕はゼピック村の人々は助けるべきだと思っている。
僕としては、今まで僕を助けてくれた人や故郷の人を救いたいという勝手な気持ちもあるけど」
もうこれ以上の事を気にする必要はないと、アドルが話しを変える。
「私も、ジェバやデミは助けたい。アドルさんが望むのなら、その人達も……。
でも、あの人達は絶対に嫌」
鏡に映し出された人間の事だろう。こればかりはアドルが助けようとはいえなかった。
「そうだ……、アドルさん、ナイフがあれば貸してもらえませんか?」
フィーナが照れた様に微笑む。特に何か危険な事をするわけではない。そう理解して探索に使う為のナイフをフィーナに差し出すと、ただの布きれになったワンピースの生地をナイフを使って裂いていく。外套で体を包んでいるがその中は裸。流石に恥ずかしいが、着替えがあるわけではない。裂いた生地を胸元に巻いて、残りを腰周りに巻きつける。最低限の事しか出来ないが、これ以上アドル以外の男に体の全てを見られる状態にあるのはフィーナには我慢できなかった。
「そういえば、この人達って人狩りで集められた被害者だったのに、私や罪のない女の子に酷い事を、自分からしたんですよね」
アドルに見せていた恋する乙女。愛する者を前にした深刻な表情から一変、酷薄な表情で先程までフィーナは自分の不浄の穴を陵辱していた男達を眺める。
「何をしても、結果的には同じく殺されるだけなのに、酷い人達」
ナイフを手にとって、手足の腱を切られてまともに動けぬ一人にフィーナが歩み寄る。傷が深かったせいか、血管を傷つけた事でのかなりの出血がため、なかばショック状態を起こしている様子に笑顔になる。
「貴方が私や、あの子にした事をよーく心に刻んでくださいね」
クスクスと笑いながら、治療を施す事もなく、髪をかき上げながら男の耳元でそう囁く。本来はとどめをさそうかと思った。だがこのまま苦しみながら死ねば良い。簡単に殺してたまるものかとフィーナが微笑む。
続けて隣にいたリーダーの男。その男の前にフィーナが膝を突いて男に微笑む。誰しもが思う美しい表情。だがアドルに向けていたのとはまったく違う、異質なものでもある。見てるものを恐怖させる様な表情のないもので、まるで幽鬼にも思えるものだった。
「あなたは元気なのね。あれだけ私達を汚しておいて。かなり出血もしてるはずなのに」
だがリーダーは答える事をせずにフィーナを黙って睨んでいる。僅かにフィーナの体が近づいてくるのを観察し、ぎりぎりまで待った時、出血し手足が動かないにも関わらず上半身のバネで跳ね起きながらフィーナの首筋に噛み付こうとする。驚いた表情のフィーナ。声を上げる暇もない状態であり、そのままフィーナの無防備なのど笛を噛み千切ろうとする。
だがそれは銀製のブーツに包まれた脚に邀撃され、何本もの歯を折られながら壁へと激突する事で中断された。
「あ……」
「無闇に近づいたら駄目だよ。どうせ死ぬならと自棄になってる」
戸惑うフィーナに優しく笑いかけるアドル。まさに騎士と姫の様な、そんな光景である。
「ありがとうございます」
アドルに抱き付きながら微笑むとお礼のキスを頬にする。
「でも、やらないといけない事があるの」
表情を改めてリーダーの男の前にフィーナが移動する。その手にはナイフが握られており、その矛先がリーダーが自分の男根にあるのに気がついた。
「な、何をする気だ……。や、やめろ!」
口元を蹴られた事で血だらけの口から漏れる声は恐怖に引きつっていた。別に殺されるのは仕方ないと思っていたが、目の前の女神はあの陵辱から自分達には慈悲の欠片もないとわかったのだ。元々フィーナを陵辱しておいて、殺されるにしても残虐な事はないだろうと、安直で愚かな事を思っていただけに、フィーナの手元のナイフの動きは予想をまったくしていなかった。
「私……何度もお願いしたんです。やめてって……。穢さないでって……」
「やっ、やあっ! ああああああああああああああああ!」
男の懇願が終わらぬ内にフィーナの手元にあったナイフが男の股間に突き刺さる。
「私、あなた達好きでもない男の人のペニスを体に突き立てられたんです。
泣きながら何度も、もうやめてって言ったのに。
それなのに、貴方は殺される未来は変わらないのに、自分達から命令されずに、私達で自分勝手に気持ちよくなって」
突き刺さったナイフを無造作に穿る様に動かすとリーダーから絶叫がまた生まれ、フィーナが喜びに陶酔した表情になる。アドルが自分とセックスしてる時、アドルの快楽に染まったあの声とはまったく違う。だが、心の中にあったあの時の屈辱を晴らしてくれる心地よさがあった。
血が溢れ、泡を吹いて白眼を剥くリーダーに「どうしたんですか?」と心配そうな声色で微笑む姿はこの光景を転送しているのを見た人間が皆こう思うだろう。
女神は魔女になったのだ。と。だが、あれだけの事をして被害者が獲物を持てば同じ事になる。それは当たり前の事だといえた。
「私が受けた苦しみはこれだけじゃないんですよ? だから、簡単に意識を気を失わないで?」
刺激を与えて目覚めさせようとナイフをリーダーの腕にゆっくりと刺そうとしてその手が止まる。フィーナの血に染まった白い手を優しく止める手があったのだ。
「どうして?」
何故とめるのだろう? 不思議そうに、そして悲しそうな表情でフィーナが手の主であるアドルを見つめる。
「これ以上はフィーナの手が汚れるから。こんな奴らの血で汚れる必要はないよ。後は僕がするから」
思ってもいなかったアドルの言葉。だがアドルも男達に恨みがあるのだ。その言葉にフィーナが嬉しそうに笑う。自分で手を下したいが、先程の事もあり、アドルが自分を心配してくれているとわかったのだ。
2
アドルがフィーナに取って代わって男達を拷問し、命を奪っていく姿に、内心ダレスが残念に思う。この作業は是非ともフィーナにして欲しかったのだ。慈悲のない罰。それを女神自身の手で行う事が重要だったのだ。
今のこの時代、女を陵辱する行為だけでは死刑にはならない。女神の罰は行き過ぎていると感じる者も出てくる。野蛮と思う者や、感情に流される人間と変わらないと思う者が出てくるだろう。陵辱された被害者やその家族が、加害者を私刑にかけると同情や喝采の声が上がるし、減刑を求めるが、法の元に処罰されるのだ。だが神である女神は自分の感情だけで罰を与える。そういった差を人間達に見せ、人間側から離れさせようというのがダレスの考えだった。
孤立分散すれば女神はますます自分達と共存せざるを得なくなる。人間全てが滅びるのはありえない。食料としても、労働力としても使い道はある。その人間達には精精女神を恨んで貰い、蔑んでもらい、味方と思わない。そうなって貰うのだ
そういった意味でアドルが直接、男達を惨たらしく殺すという事を女神から奪ったのは女神を結果的に守ったといえる。だが意外にも人間の中に惚れた娘や、女神を守り、罰を与える男と評価する者もいる。こういった人間が増えるのならば、女神が守る事になれば、アドルや、他の守るべき以外の、人間が増える分だけ人質としても使える。当初の目的からみればマイナスではあるが、それほど大きな失敗ではないか。とダレスが思う事にした。
「惚れた男の為に全てを捧げ、惚れた男の為に生きて、惚れた男の為に死ぬ。甘美な事だろう。
本来ならば私を殺し、ダーム様に勝利すれば、女神としての立場と愛する男を思って自ら犠牲になったのだろうが」
女神の剣士であるアドルの力量は正直ダレスの分析から、自分では勝てないと踏んでいた。もし、自分を殺して女神を開放する事が出来れば、過去のあの戦い同様ダームを封印出来るのではないか? とも考えていた。
女神の座を捨て、女神の力を持ったまま人間として堕落する。その為には自分の中にある欲や感情、快楽や痛みに素直にさせればいい。色狂いに堕とす事よりは難しい。とはいえ、愛する者がいるならばそれは簡単であった。
以前の戦いであれば、神官の息子という想い人がいる姉神レアがターゲットになっただろう。レアがあの神官の息子の為に堕ちれば妹神フィーナも、陵辱といった行為を加えなくても自然と性格的に陥落するのは見えていた。時代は移ろい、人の身であるレアの想い人が寿命で死んでしまった。今行っている様に使えばレアの心を壊す材料には使えれど、当初の堕落は難しく、双子の女神をどう堕落させるか考えた。
だがまさか、フィーナが人の想い人を作るとは。もし、あの時の様に魔が敗北すれば、黒真珠を封印する必要があるのに、それは姉と同様に、永遠に想い人と別れるという同じ運命を辿る事になるのにだ。
「感謝されても良いと思うのだがな」
アドルとフィーナが結ばれる。愛など馬鹿らしい。理屈が通らない。盲目的になる。だが、こうも自分にとって有利に事を進められるのなら、是非とも二人には愛しあって幸せになってもらわねばならない。
何よりも、フィーナの半身。双子の姉の今の状況を見れば、なお更だった。
「どうだ姉神よ。貴様の妹神は愛する者と結ばれる幸せを手に入れる事が出来たぞ」
笑みを浮かべながら空中に吊るされた姉神へと視線を向ける。
「貴様もあの時、違う道を選べばこの様な事にもならず、妹神の様に愛する男とつがいになる事も出来だろう。
そして愛する男の子を宿し、産む。それも何人もだ。その子も何れ新たに子を成し、それが続いていけただろう。
神である為に、その約束された自分の幸せを捨て、フィーナを陵辱したり、魔に降る者まで公平に愛し、女神であるお前達が人間に奉仕せねばならぬ。辛い事だ。
女神である事を否定した妹神は、自分勝手な人間を捨て、自分の大切な人間のみを守り、生きる事で幸せを噛み締めている。女神の剣士も妹神と共に生き、人間に恨まれる事を選んだ」
そう状況を報告するがレアから返事が帰ってくる事は無い。先程レアになされた、フィーナの心を折る為に行われた汚らわしい行為がレアにもなされた。それも愛する男が見ていてくれれば勇気がもてようと、古き墓を暴いた遺骸を自分の真下に置かれた上で。
ダームの邪悪なる呪法で遺骸に彼の魂が戻された。あってはならないこの生命の理に反する蘇生魔法の犠牲になって生ける屍となり、その上互いに愛しあった女は自分が辱められる姿を見られ、男は辱められるのをなすすべなく見守るしかなかったのだ。そして訪れた女神の不浄なるものが解き放たれる決壊。
フィーナの幸せそうな性交とはまったく違う今の自分の置かれた状況にレアは完全に放心していた。そして渦巻くのはフィーナ同様に片割れへの不信や憎悪。妬み。そして後悔。
「大丈夫だ。何も心配するな。受け入れれば殺しはせぬ。あるのは心地よい悦楽。
ただそれを受け入れておけば良い。それ、ダーム様の準備も整った」
ダレスが指さすとレアの視線が無意識に指先を追う。その先にあったのは、巨大な黒い球体。黒真珠から三つの大きな物体が糸をつなげたまま床に ドサリ と落ちる所であった。
「フフフッ。貴様を孕ませる為のダーム様の分身。しかもレア、お前の為に特別にダーム様がわざわざ用意してくださったのだから感謝するが良い」
少しずつ、一つの物体が人の形と変わり、立ち上がっていく。そして、レアの不浄なるものに汚れた生ける屍も体を清められ、魔へと堕落させられたヴァルキリー達が自分の鎧を脱いで裸になってまとわりついていく。
淫欲なる魔の宴。フィーナへと施されたものとはまったく違う女神堕落がレアに行われようとしていた。だがアドルもフィーナもレアに気がつく事はない。それで良い。二人だけ幸せに生きれば良い。女神を捨てたのだから、それが当然なのだ。手に入れる為に失うものがある。アドルの言葉は事実なのだ。
3
「選んだかな? 女神、いやゼピック村の娘フィーナよ」
数時間後、再び姿を現したダレス。そしてフィーナに呼びかける時に合えて女神から村の娘といいなおした。そして呼ばれたフィーナもそれに対してダレスの言葉に頷いたが、呼び方を訂正をしようとはしなかった。ダレスの思い描いた選択を選んだのだと解った。
「出来れば先の出来事は、忘れろとは言わぬが手打ちにして貰いたいものだ。アドル、貴様には色々とこちらもやられているのでな」
外套で体をすっぽりと包み込んでアドルの背中に隠れるフィーナ。生々しい陵辱の記憶。そして、初めては守れても。体を穢された事は一生心に残る。アドルが受け入れてくれからこそ、今は幸せだが、それは苦々しい程の現実。
「お前達が人間を助けたいというものがいれば、その者達は出来る限り助けよう。
安全の為に近隣の村に移住させるのも良い。先もいったが、アドル以外にも、縁のある者はおるだろう」
「レアは、どうなるんだ? 会えないのか?」
「殺しはせぬ。安心しろといっても、無理か。だが会わす訳にはゆかぬ。女神二人が揃えばその力は強い。黒真珠を封印できるのは二人揃ってからだ。フィーナを人質に差し出すのであれば、考えて良いが。あれだけたっぷりとフィーナを穢した私を信用できるのならしてくれても構わぬぞ?
その辺りは理解して貰えるとありがたいのだがな」
ダレスの言葉にアドルもそれ以上は食い下がる事は出来ない。フィーナとレア、同時に自分の手元に置いてはおけない。ならば優先するのはフィーナしかなかった。
「暫くは女神の宮殿はいまだ女神の力の残る空間。そこで生活するが良かろう。私は当然としても、ダーム様ですら簡単にどうにかできる場所ではない。元々女神が生活した場所でもある。暫く住処としては打って付けだろう。
後はフィーナ。お前が元女神である力を使って約束通りのものを作り上げて貰うだけだ」
「作るのは構わない。でも私一人じゃ……あの大きさのものは作れないわ」
恐らく中枢に安置されている黒真珠の事だろう。二人で作り上げたからこそのあの大きさなのだ。一人でとなると、半分以下の大きさになる。だがダレスはあまり気にした様子がなかった。
「半分以下でも十分。それだけの価値があるのは事実だからな。良かったではないか。人間と魔と女神の共存だ。といっても、魔がほとんど主導権を握る事になるが、それは仕方ない。
ああ、それと一つだけフィーナ。お前に良い事を教えてやろう」
アドルの背中越しにあるフィーナに全てではないが、事実だけを教える。
「レアは今後開放される時必ず訪れる。そうだな、解り易い目安で表すのであれば、今の言葉ならフェルガナ地方。あそこにいる魔王や、そういった相手を駆逐出来てからとなろう。
長き戦いともなるが、女神として悠久の時間があるのだ。終われば開放してやろう」
「フェルガナ?」
ダレスの出した単語にアドルが戸惑う。旅を続けた中で実際経由しただけ、船が寄港した程度だが、訪れた事はある。その程度の場所。だがアドル以上にフィーナが意味を悟ったのか静かに意味を理解した様に頷いている。イースを女神が富ませ、魔法を作ったのは国の発展だけではないのだ。民を守る為に外敵との戦いに備えるという面もあった。その中で一番直近の災厄となりえたのが彼の地に住まう魔王ガルバランだった。
だが皮肉にも黒真珠から魔が生まれ、内側からイースは崩壊してしまったのだが、自分達が魔を封じた様に、どうやらガルバランもまた封印されていた様だ。というのはこの世界が平和だったという事から予想していたのだ。イース同様に激戦があり、総力戦となった事で文明が滅びた可能性が十分にある事だ。そうフィーナは思っていた。
それをアドルに伝えると、まさかこの地以外にも神と呼ばれる存在がいたとも、滅びた文明があるとも知らずに、素通りしてしまった事に内心アドルが落胆する。知っていれば探索したのにと。だが、今はそれよりも大切なものを手に入れたのだ。うつつを抜かして、今の幸せを手放す事は出来ない。
「魔王ガルバラン。今フェルガナと呼ばれる地方で精強な魔物を従えた存在。どの様に生まれたかは私達と同じで詳しくはわかりません。ただとにかく強い敵です。当時のダームと互角。私とレア二人がかりで互角。
それほどの強さです。でもだからなんです。何とか対決は出来たと当時考えていました。ただ多くの民を守りながら戦うというのはとても無理でした。とてつもない数の犠牲が出るのは目に見えていましたから、それを減らす必要があった。そこで黒真珠を作り、魔法とクレリアをもって戦う事を考えました。ただそれでもかなりの犠牲は避けられなかったと思います。ですがその結果は……」
黒真珠から魔が生まれしまった。という事かとアドルが納得する。女神が破壊できないといったのも、恐らくその魔王ガルバランと対決がある事を想定して、簡単に壊れてしまっては困る。だから頑強に作ったのだろうとも。全てが裏目に出てしまったというのは皮肉でしかなかった。
「でも問題なのは、ガルバラン以外にも巨大な敵は多く当時いました。互いにお互いを牽制していたから全面戦争という破局が訪れなかったのですが、イースが滅びて以降はバランスが崩れてしまったのでは、どうなったかは……。
いずれにしても、ダレスが私やレアを手にかけない理由がそれだ。というのは、事実間違いないと思います。今は特にアドルさんが……」
「アドル、貴様が多くの魔王を、根こそぎその手にかけてしまったからな。
ロムン帝国とやらはまだ何とかなろうが、現在まともにガルバランと戦うのは辛い。本来なら貴様にも戦って貰いたい程のダメージがあるのだぞ」
ダレスの冗談めかしているが、隠し切れない程の恨みがましい声で言葉を口にした。ダレスがアドルにやられているというのはこの点からも事実なのだ。クレリアで魔王を倒した。その復活はただの武器で倒されたのならいざ知らず、クレリア製の武器で死んだ魔王は復活は出来ない。だからこそ、レアを母体とする必要が生まれた。アドルはダレスにとって見れば災厄以外の何者でもないのだ。
「心配なら、魔法の研究を進めても良いのだぞ。人間をやめる事になるかも知れんが、アドルを女神と共に同じ時を生きるようにすれば一人寂しくもないし、不安になる事もなかろう」
思ってもいなかったダレスの言葉にアドルが怪訝そうな表情になる。同じ時を生きる。人を辞める。意味がわからなかったが、アドルと違いフィーナには何を意味するかわかったのだろう。後で時間を置いて聞く必要があると感じた。
「黒真珠の生成や他の人間どもに関しては一週間を目処に宮殿へこちらから向かう。その時にでも決めればよい。
今は女神の宮殿に行くがいい。お前達二人、積もる話もあるだろう。愛を囁いて肌を重ねたくもあるだろう。もうフィーナ、貴様は自由なのだからそれを謳歌すればよい」
互いにこれ以上争わずに住む。重畳重畳とダレスが笑う。ここまでダレスが自分達を遇する理由はわからないアドルにとって、注意を怠る事は出来ない。移動こそするが、暫くは警戒が必要だろう。手に入れた大切なものを守るのは自分なのだと決意を新たにする。
だが、アドルは知らない。このやり取り。これら全てレアに向けられていたものだと。レアとフィーナの格差を作りあげる事でレアの精神を崩すのが目的であり、歪な幸福を堪能する妹と、陵辱の限りを尽くされ、子供を孕まされる自分。この現実にレアが壊れれば、蘇らせた動く屍もまた壊れ魔に落ちる。それは極めて強力な魔王の誕生となる。そして、それはもう直前まで迫っていた。
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女神の宮殿。サルモンの神殿上層部に作られた二人の女神が私生活を営んだ場所。だが今この宮殿の主は妹神と姉神ではなく、神だった娘と一人の青年の住処となっている。神聖な女神の力はいまだ失われておらず、フィーナの力も失われていない。魔がここに侵入するのはそれこそ、ダーム位のものではないと不可能で、ある意味安全な場所。ダレスがわざわざここを使っても良いといったのは、そこまで譲歩している。という事でもある。裏があるのではないか。それこそ自分達を見て反感を抱いた人間をけし掛けてくるのではないか。そんな不安がアドルにはある。
念の為宮殿内部を、フィーナが奇跡的にも女神として生活していた時に身に着けていた服が現存しているのを見つけ、それに着替えるために、辱められた体を清める間、アドルは見回る事にした。
大きな宮殿。最上階には空中庭園があり、色とりどりの花が咲いている。豪奢だが、華美ではない。フィーナ達の性格を現した宮殿内部は複雑な作りではない。不思議と人の温かみを感じる空間に驚きがある。そんな宮殿を見回っていると悲鳴と嗚咽が聞こえて慌ててアドルが取って返す。
声の主がフィーナだとわかっている。彼女の身に何かがあった。焦るアドルが辿り着いたのは沐浴の為に作られた空間。まるで巨大なハンマームの様だと思うが、ここを過去使う事がゆるされたのは女神とわずかな共の女性のみ。そこにフィーナが腰を床に落として目を押さえながら泣きじゃくっていた。
特に何かの影があるわけでもないのを確認すると、衣類が濡れるのも構わずにフィーナを抱き寄せる。美しい体がアドルの腕の中に納まると彼女の柔らかな胸の感触を感じる。だがそれを堪能している暇は無かった。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
小さく何度も謝りながらフィーナが溢れる涙を抑えて泣いている。悲痛な声。どうやらフィーナがアドルに向かってひたすら謝罪を繰り返しているのをアドルが気がついた。だがフィーナが落ち着くまでは焦らずしっかりと胸に抱いて頭を撫でる。
「汚されちゃった……お尻から汚いのが……もうやだ……」
安心した瞬間、そして体を清めいている時に思い出した記憶。男達とダレスが注いだ残滓が流れ出てきたのだ。それを見て、体の中に不浄なものを無理やり放出させられた上に、多くの人間に見られたという事実がフィーナをまた傷つけている。アドルが穢れたフィーナを受け入れてくれている現状でも、思い出してしまえばその心の傷は深く、ダメージが大きい。何度も今起きた事の様に傷つけられる感覚に襲われるフィーナの姿をまざまざと見せ付けられる事になった。
結局泣き止むまで体を冷やさぬ様、流れる温水でフィーナを暖めながら、落ち着いた頃を見計らって自分も裸になってフィーナの体を清めていく。あの薬の効果と、異常な状況と、精神状況でまぐわったから気がつかなかったが、開放されて、冷静な感覚が戻ってくれば陵辱行為の記憶はおぞましいものでしかない。それでも男全てを否定するのではなく、濡れた体を拭い、新しい清潔な服を身に着けると、アドルの手をしっかりと握って離れようとしないでくれているのは、アドルにとってありがたかった。
「ごめんなさい……。服、ぬれちゃいましたね」
「乾かすから大丈夫さ」
700年前の服は不思議と下ろし立ての服のように清潔で白い。何故かわからなかったが、女神の力が宿る宮殿故なのかもしれない。と考えるのをアドルが放棄した。というのも、目の前にあるフィーナが少し恥ずかしそうにしている姿が改めて可憐なものと思えたのだ。スリットの入ったスカートから覗く美しい脚線美。二の腕の肌の美しさ。服装一つで今までのフィーナとは違う美しさがある。
「少し、派手でしたでしょうか?」
先ほど浴場で思い出した嫌な記憶を強引にねじ伏せるとフィーナがそうはにかむみ様に小さく微笑む。長い女神としての経験で、本来の自分や、嫌な事を前にして、表情に出す事無く心の奥に押し殺す術をフィーナが身に付けていたからこそ出来た。でもそのやせ我慢はアドルには見ぬかれていた様だ。心配そうな表情でも、それでもアドルはフィーナが話を転じるのに応じてくれた。
実際村での時は白いただのワンピースであった。神殿に入る前は神官服を調達したが基本白い長衣である。女神であった時に着用していたものはそれよりも生地も質がよく、白を基調としているが、装飾も豪華であり、脚が覗く形になる。派手というよりも、露出が増えてアドルを視覚的に刺激している。
女神の時はレアの様に活動的でも無かったので、肌が露出する心配をする事もほとんどなく、足が覗く事をあまりフィーナは意識していなかったのに、アドルに見られると思うと恥ずかしくもあり、でもアドルに見せたくもある。そんな気持ちがある。
アドルを前で着飾って、彼に自分が魅力的な女の子だと思って欲しい。そんなフィーナであるが、今まで女神であった頃にはありえなかった自分の中にある感情。デミが好きな男の前で可愛くありたいという言葉は本当に同意権だ。もっともっと自分に夢中になってほしい。アドルを誰にも奪われたくない。そういった感情がアドルと共にいる喜びと共にある。
「凄い綺麗だ。フィーナの綺麗な脚と二の腕が見えるから、凄いドキドキするし、視線の向け所に困るんだけどね」
上手くお世辞がいえない。だからこその素直な感想。それだけにフィーナが嬉しさと恥ずかしさで頬が赤くなる。ちょっとした会話が嬉しいし、胸がときめく。きっと時間がかかるかもしれないが、アドルとのこの生活が嫌な記憶を封じ込め、新しい楽しく、記憶で上書きしてくれると信じたかった。
ただその伴侶となるアドルが濡れたズボンだけで上半身が裸なので、何とも申し訳なさそうな表情になるフィーナにアドルが笑う。
「まぁ今は僕の服よりも考える事のが多いから、そっちをどうにかしよう。
食事は最悪、僕の持ってる保存食があるけど、長期的に生活するにはどっかから調達しないと駄目だね。
後は寝る場所とかかな」
ダレスがこの点を何も言わなかったのは意地悪をしたのではない。単純に自分が食事をする必要が無い為に気がつかなかった事だ。だが実際無い事を考えると色々と考えなければならない。
「上の庭園に昔、お野菜とか、ベリーも植えていましたから確認の必要はありますけど、野生化しているのがある程度残っているかもしれないです。それ以外はどこかに調達しないと無理だと思います。
あ……あと寝る場所なら、わ、私の寝室があるので」
赤らんだ頬で恥ずかしそうに目線を背けるフィーナにアドルが微笑む。あれだけ激しくまぐわったのに、今でも清楚な娘の反応。男心を擽るというもので、アドルも多分に漏れずそんなフィーナに心が揺さぶられる。とはいえ、デレデレしているわけにもいかない。今後の食料調達も考えなければならないし、生活必需品もどう揃えるかである。
二人で生活するにあたり、アドルは冒険の関係で狩りも出来るし、農村の生まれだけに畑仕事も出来る。器用貧乏ではあるがそれなりに出来るのだ。フィーナも家事をジェバから習っているから炊事洗濯掃除と問題は無い。問題はアドルが作れない、生活に必要な物の調達手段なのだ。
アドルとフィーナの交わりの一件がある。迂闊に村に出たら大きさ騒動になるだろう。宮殿と神殿の中枢の通じる回廊を警護に徘徊するヴァルキリーに何とかダレスに伝言を頼む事が出来ないだろうか? リターンの魔法ではとてもではないが、地上の村との行き来は出来ないし、フィーナの魔力が失われている今、行き来も出来ない以上、それ位しか今は手立てがない。
ただ不思議と楽しいとは思える生活にはなりそうである。楽観的だがそう感じた。フィーナと何もない中で、何とか作りあげ、用意する。贅沢は出来ないし、大変な生活でも二人なら乗り越えられる気がする。ただ問題としてフィーナが先程見せた精神的に不安定になる部分。これがアドルにとって最大の問題であり、アドルの後悔の一つ。ダレスに対して改めて強い殺意を覚えるが、フィーナを封印の供物としない為にも、特定の人間を守る為にも、互いに争う訳にもいかない。不条理な現実にアドルがフィーナの手を握りながら、歯噛みする。
「そういえば、ダレスがいってた事だけど魔法の研究って何の事だろう?」
アドルの疑問にフィーナの表情に迷いが生まれ、顔を下げる。言ってもいいのだろうか。表情からそんな思案が見えた。だがこればかりはフィーナにはどうしようもない所である。全てを打ち明けて決めて貰ったほうがいい。そう思うとフィーナが視線を上げてアドルを見る。
「人間には寿命がありますよね?」
「そうだね。見聞きした範囲でだと最高齢は100歳位だった気がする」
アドルが頷くと、それを聞いてフィーナの手がアドルの手をしっかりと握る。
「私達に寿命はありません。私は老いていくアドルさんと日々を過ごして、最後は看取らねばいけません。それはアドルさんとの間に生まれたら、多分その子供達も、です。
そして、私はその子供達が、私達みたいに誰かと結ばれて、子を成して、そんな風に私とアドルさんの血を脈々と残して行くのを見守りながら、魔の支配する世界でレアが開放される日を待たねばなりません。
きっと一人で、子供達を守れるか不安になるだろうって、ダレスはわかっててああ言ったんです。アドルさんが寿命から解き放たれたら、二人で居られる。でもその時にはアドルさんは人でなくなります。神か人かわからないですが、少なくても人の営みから外れた存在にアドルさんはなります」
人ではない神と、ただの人が結ばれるというのはこんなにも大きな障害があるのか。改めて考えてもいなかった現実にぶち当たる。確かにアドルも、もし自分が死んだらその後どうなるかという不安はある。アドルが老いて勝てると思えば約束を反故にして襲い掛かって来るかもしれない。自分がいればフィーナを守れる。もし間に子供が生まれていたら、その子達もだ。でも自分の死後はどうなるだろう? 誰も自分と同等の力量の人間が着いていてくれるわけではないのだ。
「だから、あんな風にいっていたのか。人間を辞めるって」
無限の寿命。永遠の若さなんて望みもしなかった。確かに寿命がなくなればそれは人間でなくなるのかもしれないと思えた。アドル自身冒険中にいつ死んでも後悔がない。そうなる様に生きてきたのだから。だが、フィーナと出逢い自分の価値観が大きく変化していくのをアドルが感じる。惚れた女と一緒になる。惚れた女を守る。親父とここまでは同じだったが、ずいぶんと自分は難易度が高い人生だと苦笑する。
そしてフィーナがあまり語りたがらなかったのは人でなくなる。その事を気にしていたのだろう。限られた寿命を生きるからこそ、生に執着するのが人間であり、これを駆け引きに使われると普通の人間には若さと寿命は魅力的なのだ。魔に人間が落ちる時、寿命も大きな理由になっている事がある。アドルが寿命から開放されるのはそれだけ魔に落ちたと取られかねない。
なによりも本人が人間性を失っていなくても、寿命のない人間をどうやって他の人間は人間と認識するだろうか。羨む者も出てくるのは簡単に想像できる。だからその事実をフィーナが告げるとアドルも簡単に決断は出来なかった。
他にも問題がある。自分がフィーナと同じ時を生きるとして、二人に子供が産まれたら子供達はどうなるか。もし子供達が人間の時を生き、死ぬ定めであれば、子供が自分より先に老いて、自分より先に死ぬのだ。子供達を見送らなければならない。それは寿命とはいえ残酷な事で、親不孝の中に子供が親より先に死ぬという事がある位であり、アドルには重いものだった。
今考えただけでも、寿命が人が魔に落ちる理由。今ある人間性が失われることも考えられる。子供が出来た時どうなるか。これだけでもフィーナが逡巡したのもわかる。こればかりは直ぐに答えが出せないな。そうアドルが改めて苦笑いする。
多分、フィーナが人間であるアドルを諦め、魔を封印しようと最初に考えていたのは、この生きる時間もあるのだろうか? アドルが考えると、自分が年齢的に変わらずに、フィーナが老いて、自分より先に逝く事にとても耐えられないだろうと思える。
伴侶がいなくなって残された時間、失った伴侶を永遠に思い続ける。新たな出会いが新たな愛を育む可能性も無論ある。だがそんな未来は考えたくも無かった。もし、アドルがフィーナを封印に捧げたら、長い苦しみにアドルは寿命という終わりがくる。いつか苦しみは終わるのだ。だがフィーナには封印を選ばなかった今では、伴侶を失った時にフィーナに苦しみが終わる日は永遠に訪れない。そして、その失った日々がいつか必ず訪れる。何でも出来ると思っていた神というものは、実は人間以上に制約がある中で生きていたのかも知れない。
「もう踏み出したんだ。焦らずゆっくり考えよう。僕とフィーナの二人で、ね」
制約から解き放たれたのだ。今は性急に答えを出すのではなく、焦らずに考えていこう。アドルの言葉にフィーナが頷く。そう。もう選んでしまった。人間達が女神フィーナを恨んでいたのは見て知っている。女神であった自分がアドルを選んだ事で、アドルも同じ道を歩む。そしてアドルが自分を受け入れて共に生きてくれる。一人じゃない。二人なら、何とか出来る。不思議な予感だった。
もしこれがダレスの罠だったとしても、それならアドルと死ぬだけの事。体を穢されるより、アドルと離れ離れになる位なら悪い未来ではなかった。公平さを捨て、人間として一人の男だけ愛して、共に生活して共に死ぬ。そして女神だからこそ、最大の公平さを保ち、触れてはならなかった命の禁忌、これに触れようともしている。古代王国イース、女神が滅びるという意味での滅亡はこの時だったのだと後言われるのかもしれない。そして新たな小さなイースという王国の誕生も、この時だったと言えるのかも知れなかった。
ダレスの一押しにより女神フィーナの愛欲堕しはこの時に完全に完遂し、女神が魔女として、女神の剣士が魔女の剣士として生まれ変わった。
作中(本編・番外編含)のフィーナのスケベシーンに関して
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和姦比率多いの方が良い
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凌辱の比率多い方が良い
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もっと甘い内容の方が良い