醜い勇者の大冒険 ~転生したのは豚人(オーク)でした~ 作:ガリアムス
※11/10 修正入ります
小説やファンタジーゲームに出てくる種族の一種であり、敵や噛ませ役の立ち位置に在る存在。
外見は太り気味な身体、荒い鼻息、臭い体臭。そして低い知能と怪力を誇る。
主に森や洞窟に暮らし、女騎士やらを集団で襲い、凌辱させる、悪い印象しかない種族。
だが俺は、そうは思えなかった。確かに豚人と言われればそうゆう印象で画かれる場合が殆ど…先ず間違いないと、断言しても良いのかもしれない。けれど、
何故かそんな風に考える事が多くなった…。
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地球の中に在る日本と言う島国、その首都たる東京から離れた所の町の、偏差値がそれなりに高い高校。物語はそんな高校の図書室から始まる…。
「…
姫様は無事救出され、王様と女王の元に戻り、勇者は褒美として国の職人が丹精込めて作り上げた聖なる剣と盾を授与され、彼は旅を続けました。
ねぇ…」
「大毅くーん…って、またその小説読んでる」
此処は日本の何処にでも在る、ごく普通の高校の、一般的な高校生。その普遍な図書室でライトノベルを読んでいるのは、
趣味は小説やライトノベルの読書。
総合的に見てもザ・普通な男子。
…で、普通な高校男子の趣味を覗き観てるのは俺の幼なじみの
「大毅君ってファンタジー物のゲームや小説、よく読むよね。今度私に紹介してくれないかな?」
「良いよ。何か要望はある?小説って言っても数は多いし」
「じゃあ…王道ファンタジーでお願い出来るかな?」
王道のファンタジー小説…いつも読んでいる物は楓も知っているだろうし、そうなると
「任せとけ。ただし、今日の放課後は掃除当番で本屋で小説を選ぶ事は出来ない。土曜日になるけど良いか?」
楓
「ありがとう♪期待してるからね!」
「分かった」と一言。ライトノベルをパタンと閉じて、椅子から立ち上がると、小さく手を振って教室に戻る。
だが俺は、自分の運命って奴が残酷だってのを知る羽目になるんだが…。
その運命は、静かに、ゆっくりと迫っていた。
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日にちが流れて、金曜日の夕方。俺は行き付けの本屋のライトノベルコーナーに浸り、楓に合いそうな本を実際に試し読みで探し、紆余曲折を経て数時間。
やっと自信を持って言い切れる、小説の幾つか見つける事が出来たた。
ありがとうございましたと店員の声を背中に、店を後にすると、ポケットから白のスマートフォンを取り出し、電話帳から楓の連絡先を引っ張って、電話を掛ける。
横断歩道は人も居ない。車の音も聞こえない、静かな道が槍のように真っ直ぐに、一直線に貫いていた。
「大毅君、もしかして私にピッタリの小説、決まったの?」
「ああ。数時間掛かったけど、良いのが見つかった。明日直接届けるよ」
「待ってるからね。約束だよ?」
約束だ。そう言い、スマフォの電話ボタンを切る。ポケットに閉まった直後、不意に俺の左側が物凄く明るく、視界が真っ白になった。
瞬間。
俺の意識と身体が飛んだ。
ドーン!と雷が落ちたみたいな音がしたと思えば、背中と後頭部にとてつもない衝撃。力士にのし掛かられた様な、乗車率250%の電車の中央に押し込められた圧迫感。
全身が引き伸ばされ、バラバラに千切られる痛みが。
骨の全てが粉々に砕ける痛みが、電光石火で脳に到達。
痛い。苦しい。そう思ったのも、本当に僅か。
やがて俺は
考える事も
感じる事も
出来なくなった
俺という存在。
真杣 大毅という『人間として人生』は、交通事故により、呆気無く終わりを告げたのだった。
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「おーい。大丈夫かー」
誰かに呼ばれる声がする。
目を開けた時、辺り一面真っ白な世界に俺は居た。真っ白に満たされ、地平線が何処までも続く何もない、神秘的で、どうしてか…怖い。そんな世界。
呆然と眺める俺の顔を、変な爺さんが物不思議そうに覗き込んでいた。
中世ヨーロッパの科学者や哲学者達が身に付けた白い服を纏い、手には宝玉付きの御大層な金ぴか杖に、紫色の分厚い本。そして立派に伸びた白いさらさらなヒゲの持ち主。
見た目はどちらかと言えば、神様より仙人に近い。
「目が覚めたの」
「此処は…何処…!?」
俺は直ぐに、自分自身に起きた事実に気が付いた。人間としての身体は無く、よくお化け屋敷で出でくる霊魂の状態になっている事に。
「お、俺は…」
「ええっと…真杣 大毅。高校1年の15歳、趣味は読書…主に小説が殆ど。1月13日生まれの山羊座…と」
紫の本を開きながら、此方の情報を淡々と述べては、超能力か何かで浮かせた一枚の紙にすらすらと書き込んで行く。
そうして老人は彼に対して…言った。
「まぁ、その…なんだ。君は死んでしまったのだよ、車に牽かれてな」
さらりと告げられた事実。
普通普遍の生活の消滅。
死亡した自分自身。
おかしくて笑いたくなる。
だが同時に込み上げてきたのは、悔しい気持ち。怒りの感情。叶えなかった約束。
ただただ、申し訳ない気持ちで締め付けられる、支配される。
「…
じゃが…『時を巻き戻す事』なら…、儂には出来る」
「本当か!?本当に出来るのか!?」
信じられないキーワードに俺は無我夢中で神様に詰め寄った。必死だった。あの時、あの場所に帰りたかったから。
「お願いします!俺はもう一度、大切な人に会いたい!」
「…その言葉。真実として誓っても良いな?」
「はい!」
彼は此方を見つめた後、ニカッと笑う。
「…その意気、確かに受け取った!」
杖を振るい、複雑な呪文を唱えると、俺の身体はみるみる金色の光に呑み込まれて、消えてゆくではないか。
「これから君には、ある世界に居座る悪の魔王を倒して貰う。手段は選ばん!見事大魔王を討ち倒したのならば、時戻しの願いを叶えようぞ!!!」
「分かりました!あの、名前を聞いても…!」
光に消えた彼の霊魂は、白い地平の世界から脱出し、何処かへと流れて行った…。
その最後の言葉に、神は大毅に向けて言ったのである。
我が名は時の神、ウラヌス…と。
大毅の気配が消えた後、神…ウラヌスは椅子に腰掛け、懐からキセルを手に取りつつ、煙を吸う。
「さて…あやつは魔王を打ち倒せるか。見ものじゃな」
ウラヌスの目の前…其処には『巨大な世界地図』と、ミニチュアにしてはリアルな建物の模型。そして『沢山の大小異なる様々な形をした地図の上で動き続ける無数の駒達』が在った。
「試練に挑みし者よ。その戦いに幸多からん事を祈る」
神は静かに。そして高く振り上げた1つの『駒』を、地図の上へと置いた。
軈て地図が眩いばかりの光を放ち、駒へと吸収されてゆくのを静かに見守っていたのである…。
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光に呑み込まれてから、どれくらい経ったか?
1時間?1日?それとも1年?
分からない。それほど長い時間が経った…と思う。
「ん…う~…はぁぁ…」
やがて俺は瞼越しに伝わる光の眩しさと、背中を包む土の香り、水が瀬せらぐ音に目が覚めた。例えるならタイムカプセルの中、100年の長い眠りから醒めたような…そんな感じでガチガチに固まった体を伸ばし、起き上がろうとした時だった。
俺身体の異変に気付いたのは。
視界に写り込んだ、ピンク色の肌に出っ張った丸い腹とヘソ。普通では有り得ない事態に、思考が混乱する。
大毅
「なに…これ…い!?」
顔を触った時、弾力の有る人間の物とはかけ離れた、張の無い水でも詰めたように、ブヨブヨした頬と皮膚。身体を横にしてから起き上がり、近くに流れて居た川の水面に顔を覗かせた時、俺は自分自身の転生した姿を思い知った。
逆さのハート型の鼻。2メートルは有にある大きなピンク色の身体、ずっしりした四肢と腹、ピクピク動く耳とつぶらな瞳。
緑色の大きなジャケットに下には服とズボンを着ていたり色々と違う部分も有る。
だが、この姿はどんなに見ても見間違えはしない。
「な、ななな…!?」
なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?
そんな存在に、自分は転生していたのだ。
* * * * * * * * * * * * * * *
「…ん」
「如何なされましたか、陛下」
「…なぁに、ちぃっとな。面白い気を感じたんだ」
「はぁ…」
大毅が
そしてある者は、これから世界に訪れる『破滅の未来』を不安視しながら…天に祈りを捧げていた。