※この作品はR-18です。

醜い勇者の大冒険 ~転生したのは豚人(オーク)でした~   作:ガリアムス

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真杣 大毅[元人間・故人] 転生後種族:豚人[オーク]

元人間の高校生だった少年。幼馴染の楓へプレゼントにライトノベルを買った帰りに、交通事故にあって即死。人の人生を終えた。

死者の世界[?]らしき場所にて時の神ウラヌスと呼ばれる老人と出逢い、時戻しの成就の為、異世界転生を果たす。


大毅、知り学ぶ

真杣 大毅は死んでしまった。交通事故にあって。

次に目覚めた時、彼は何も無い純白の地平が広がる世界に居た。其処で出会った時の神ウラヌスにより、自分が死んだ事を知る。

 

失意と悲哀に沈みかけた彼にウラヌスは、異世界に居座る大魔王の討伐を依頼し、その報酬として事故にあって死ぬ前までの時間まで巻き戻して貰う事を約束した。

 

しかし、飛ばされた世界で覚醒した彼を待っていたのは、ライトノベル等では定番とも呼べる敵キャラ・嫌われ役たる、豚人[オーク]への転生だった…!

 

* * * * * * * * * * * * * * *

 

「まじ…かよ…」

 

驚愕、呆然、衝撃。大毅の思考を支配したそれらは、彼が居た世界[じげん]では到底体験出来ぬ事であった。

 

まさに不意討ち。予測不可能にして回避不能な事態。

 

「俺…豚人[オーク]になっちまったのか…」

 

ブヨブヨの頬をつねって、ぶって、夢か現か確めた。だが痛みは有るし、そもそも1度自分は死んで、ウラヌスによってこの世界にやって来た。最早、どうこう思考を働かせようが、目を背けようが、自身が豚人(オーク)である事には先ず変わりない、変わらない。

 

不変たる事実(豚人になっている事)を受け入れねばなるまい。と、大毅は此処である事に気が付く。

 

「…あ、そうだ!神様ー!か~み~さ~ま~!」

 

(ああん?今此方は仕事中なんじゃが)

 

天に向かって叫んでいたら、ぶっきらぼうな言葉で、神様は自分の脳に直接語りかけてきた。この口調からだと何をしていたのかは分からない。多分トランプとか麻雀をやって負けたりしたのだろうか?

 

「神様!『能力』!この世界にも何かしらの能力が在るんだよね!?そこの所詳しく教えて!」

 

(お、おう…じゃあ取り敢えず落ち着く事から始めようかい)

 

* * * * * * * * * * * * * * *

 

(先ずはこの世界の事じゃ。此処は時の神ウラヌスが見守る、異世界ヴォルツ・カーダー。多種多様な種族や数多の動植物、そして大自然に育まれた世界…じゃった)

 

「…じゃった…?」

 

(数年前まではな。ある時、1人の男がこの世界に降り立った。素質も高くてな、儂自身も密かに期待を寄せていたよ。だが、奴は力に見いられ、暗黒面に堕ちた。

奴は古代に滅びた魔物を禁呪を以て使役し、私利私欲の為に力を奮い、ヴォルツ・カーダーに災厄をもたらした。

 

儂は奴を潰さんとしたが、儂の力は奴の足元にも及ばなかった…)

 

ウラヌスが勝てなかった敵…その力の強大さは彼の言葉から犇々と伝わる。

最終的に、そいつを倒さない限りは自分の願いは叶わない。叶う事は一生無いのだ。

 

(…しんみりしてしまったな。では話を続けよう。

次にお前さんが言った通り、この世界に住む人や獣、草木に関わらず、万物全てが(異能[スペシャル])と呼ばれる力を絶対に1つ持って産まれてくる。人間の世界のファンタジーやらで言う[能力]みたいなもんだな。

 

そして(能力[スキル])じゃ。こいつは己の経験や戦いの中で身に付け、磨かれる物で複数所持出来る。此処で注意しとくのは、(能力[スキル])は(異能[スペシャル])で確変や消去が出来る。じゃが、(異能[スペシャル])は(異能[スペシャル])の力で変更も確変も出来ねば、消去する事も出来ない。

 

また異能[スペシャル]や能力[スキル]にも上下関係が存在しておる。どんなに強く優秀な異能[スペシャル]や能力(スキル)を身に付けたとしても、たった1つの異能(スペシャル)や能力(スキル)で負けるという事さえ過去に有ったからな。心しておくように)

 

異能(スペシャル)と能力(スキル)…ファンタジー物の定番たるそれらを聞くと、やはりと言うか、まさに「冒険」と実感してワクワクする。

誰しも1度は抱く感情は尊く、忘れ難い。

 

(もう1つは属性[エレメント]について話そうかの。属性[エレメント]は、異能[スペシャル]や能力[スキル]の根源に辺る物であり、戦いに於ける最重要事項と言っても過言ではない。

 

属性[エレメント]は炎・風・雷・草・水・氷・土・光・闇の9つがあると同時に、無と言う何物にも属さない特殊な物が存在する。つまり10という事じゃな)

 

「優劣関係はどんな感じ何ですか?」

 

(属性[エレメント]は炎は草に強く、逆に水には弱い。

雷は水には強く、草に弱い。草は炎に弱いが、雷に強い…まぁこの4系統の強弱関係を覚えれば、大体は何とかなるわい。

 

問題は此処から…。風・氷・土属性は他の属性に対して強力な相乗効果を付与したり、対消滅させる時に役に立つのじゃ。

例えば、炎属性に対して氷と土は強力な消滅効果を発揮するのに対して、風は無類の相乗効果を与え、氷属性は水・草をより強く高める一方、炎と雷を死滅させる。

 

だが属性は『卓上ではそうあるだけに過ぎない』。属性は2~3つ程掛け、組み合わせる事で大きな力に変わる。そうして産まれた融合属性[エレメントエンチャント]と呼んでおる。

この先属性呪文やらを覚えたい時、強弱関係や相乗消滅、融合関係について記憶しておくとよいぞ)

 

「成程…。じゃあ無属性と光・闇属性はどうゆう関係です?」

 

(光と闇の属性[エレメント]は先に説明した7つの属性の内、光ならば炎・雷・氷。闇ならば水・草・風を組み合わせ、土の属性を加える事により生まれる高等属性[ハイエレメント]だ。

 

先に言った4つの属性[エレメント]全てをバランス良く融合する事でのみ、完成される最上位の属性[エレメント]である。そして光と闇の属性は他属性では無効化出来ず、光は闇で、闇は光のみで対消滅出来る。

 

最後は無属性[ノンスエレメント

]だが…ぶっちゃけるとどの属性よりも、危険度がダントツぶっちぎりで低いんじゃよ)

 

「ええ!?…無属性って言われて、最後の最後だったから期待したんだけど…」

 

無属性は彼の中では『全ての属性を無力化する虚無の能力』だと思っていたらしい。期待が外れ、肩を落とす大毅に、神様の声は話を続ける。

 

(まぁ、悲観せんでも良いわい。無属性は『誰でも』、『どんな種族であろうとも』体得出来る。魔力が無い?身体が不自由?そんな物で有ろうが、無属性の前では無意味なのだよ!)

 

「分かった。ありがとうございます、神様」

 

(気を付けるんじゃよー)と脳に響き続けた声は、やがて静かになり、聞こえなくなった。

 

「さて、と…先ずは川を下ってみるかな」

 

身体を大きく伸ばし、地面を踏み締め、ゆっくりのっしりと立ち上がる。彼は瀬せらぎの音を横に聞きつつ、川の流れが下る方へと歩き出した。

 

* * * * * * * * * * * * * * *

 

川を下り始めて数時間程の刻が経った。燦々と降り注ぐ太陽の光は、大毅の体に染み渡る。川の水は光をグラスのように弾いて光り、人間の世界では見た事のない魚達が泳いでいる。

 

「はぁあ~…まさに異世界って感じだ。此処からどんな人に会えるのかな?楽しみだぜ」

 

呑気で悠長な、甘い考えに浸る大毅。皆さんは御存知では在るでしょう。彼は現在、自分が『豚人[オーク]』である事を忘れております、それがこの世界では命取りになる事を。

 

パシャン…と一匹の魚が、水面から空に向け跳ね上がる。その様子はまるで水族館で見上げたイルカショーの大ジャンプのように鮮やかな物でありました。

 

「お、魚が跳ね」

 

ドウン!と遠くから響く轟音。同時に彼は、『自分の出っ張った腹が弾け飛び、即死する』ビジョンを刹那の内に見てしまった…!

 

「え!?」

 

彼は咄嗟とも呼ぶべき反射的行動で地面に倒れ込む。お腹が地面にめり込むのと、ほぼ同時にドガァン!と鼓膜を破裂させるかのような爆音。見上げた場所から数メートル先がクレーターのような大穴が空いて、焼け焦げている…!!

 

今のビジョンがなければ、確実に死んでいたに違いない。一瞬で血の気が引いた。

 

「何だよ…これ…」

 

「外したか。だが次は当てるぞ、豚」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

振り返ると、茂みの中から南蛮装束の銀の鎧を纏う、身長170程の茶髪の女が1人現れる。鋭く、そして見るもの全てを尻込みさせる、巨大な、強い覇気を持ち、長銃を構えながら…。

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