襲撃者
「くっ、あの脳筋女め!」
私は今、手傷を負い敵から逃亡している。
敵の名は煌坂紗矢華……獅子王機関の舞威媛だ。 奴の持つ煌華麟の空間断裂の前では私なんかの魔術防壁は紙も同然、そんな訳で近接戦闘は当然の事だが、遠距離では鳴り鏑矢で放つ呪術と私が一番相手にしたくないタイプだ。
しかも、襲われるきっかけがあんなつまらない事なんて‼︎
20分前
私はお気に入りの店で食事を取り、取引相手を待っていた。だが、私の待ち人は最悪の女と揉め事を起こしていたのだ。
この女の言い分だとナンパしてきた魔族の男が、胸を触れようとしただけで回し蹴りを顔面に叩き込んだ事になる。これだけでも過剰防衛となるが、この女はこんな短いスカートで蹴りをするとは周りにスカートの中を披露する露出狂のケでもあるのだろうか?
実際には重いトランクを持つ男が、この女を邪魔と思い退いてもらう為に肩をポンと叩いただけなのだ。
「これだから男はガサツで、臭くて、乱暴で嫌なのよ!」
……これはツッコミ待ちなのだろうか?
この店にいる全員が、お前の方が乱暴だよ⁈ って言いたい筈だろうに……
しかもこの女、ここまでして自分が被害者ヅラをして更にトドメに呪術を使おうとしている!
……こいつは馬鹿じゃないだろうか?
私はお気に入りの店で殺人沙汰になるのと、取引相手を殺されては敵わないのでこの馬鹿女を止めた。
「あんた、ちょっとやり過ぎだよ⁈ 」
「誰よ。貴女? それにやり過ぎですって? 知らないの? 女の敵には死の鉄槌をって! これは世界の常識よ?」
当然の様はにドヤ顔で異世界の常識らしきものを語る。
……やはりこいつはダメだ。
「そんな常識はこの世界には存在しない! そんなに男が嫌ならアマゾンでアマゾネスにでもなってこい!」
「あんな魔族の男を庇うなんてあんたもロクな奴じゃ無いわね! 私が叩き斬ってあげるわ!」
……私は異星人と会話をしているのだろうか?
「何でそうなるのさ‼︎」
「覚悟しなさい犯罪者」
馬鹿女は煌華麟を店の中で取り出し切りかかってきた。
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あの馬鹿のおかげであの店では私は犯罪者みたいになってしまうし(大きなカテゴリーで言えば元よりグレーゾーンだが) 大事な客を伸されてしまうし、手傷は負う、更に逃げる時にあの剣で貴重な魔道具が幾つも壊されてしまった。
だから私は誓った! 絶対にあの馬鹿女にラ・フォリア以上の酷い目に遭わせてやると‼︎
私は必死に身を隠しながら逃げ回りようやく陽太君の家に逃げ込み匿ってもらった。
「ウィーナ様⁈ 大丈夫ですか?」
私はラ・フォリアの声と自身の安全を確認した途端に気を失ってしまった。
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「ウィーナお姉さん大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ? これくらいなら何とかなります」
私はウィーナ様の手当てをしながら、心配するご主人様を宥めた。
次回 紗矢華編 1話 裏切り