純粋に見たいという人のために。
ヤンデレ描写はこの作品が初めてです。
紅き姫は依存する
昔々あるところに、林檎畑に囲まれている一軒家で母と娘が暮らしていた。
シュリーフォークト家である母親のインゲは娘の為にアップルパイを作り、ツインテールの髪をしている娘のヒルダは家の近くにある木に登って林檎を見つめている。アップルパイが出来上がると、ヒルダは喜んで木から降り、食べながら母親に笑みを見せて何不自由のなく幸せに過ごしていました。
そんなある日のこと、林檎畑の近くで二人の家族と同じような髪色をした少年が仰向けに倒れていたのを見つけ、二人は彼を拾って家に連れて帰りました。血の繋がりを持たない拾われた少年はレイゼルと名付けられ、ヒルダの義理兄として三人家族になり、家族が増えたことでより一層賑やかになりました。
レイゼルの部屋はヒルダと共有し、この世界のことや勉強を学び、遊びも一緒にしていた。レイゼルという少年は、この世界の異端者である転生者という存在であり、このことはまだ誰にも話しておりません。転生する際にスタンド能力を二つと、レヴェンという名のデバイス、機体であるアルケーガンダムとアルヴァアロンを手にし、この世界へと降り立ちました。
今ではレヴェンという腕輪の形をしたものを身につけており、二人の家族と触れ合いながらも裏ではその機能を使ってこの世界のことについてを調査をしていました。
特に最重要視されるべきものはマナとノーマという人種で分けられるノーマ管理法というものが存在し、レイゼルはマナの使えないノーマの一人であることが判明した。更に、彼だけではなく側にいる妹のヒルダもまたノーマの一人であることも分かった事で二人揃って警官に連れて行かれる可能性があると考え、行動に移った。インゲはマナを使おうとしないヒルダとレイゼルのことを不自然だと思わず、母親としてきちんと二人のことを大事に養ってくれていた。たとえ心の底では薄々感づいていたとしても、それでもそうじゃないという感覚で二人と触れ合っているのだ。
まだマナだと気づかれていないその間にレイゼルは一生懸命に転生の特典としてもらったスタンド能力を二人の家族に隠しながら密かに鍛え続けている。スタンドは精神に応じて強くなる為、まだ幼かった頃の彼は制御するのが非常に難しく扱いが慣れていなかった。
それでも、いつこのことがバレてもヒルダと共に逃げられるように懸命に努力した。スタンドを使いすぎてめまいや頭がクラクラして気が滅入りそうになったこと、風邪をひいて無理をした、最悪の場合だとやり過ぎで血反吐を吐いたという痛い目にもあった。
レヴェンからは子供の姿になっているレイゼルがヒルダを養うなど難しいが、それでもヒルダを見過ごすわけにはいないという兄としての決意としてヒルダを助けようと決心している。そして、どこかでヒルダがノーマだという情報がバレてしまったことで警察に連行されそうになったところをレイゼルのスタンド『
泣きながらも心の底から助けてと叫んでいたヒルダにとって、助けてもらった時の義理兄の背中がとても眩しく思えてしまった。
彼とレヴェンはヒルダをリィアンという船に乗せてもらい、転生者であることと能力(スタンドと機体)を持っていることを明かした。聞いているヒルダは余りのことで頭が混乱して話が追いついていけなかったが、警察から救われた事で兄に抱きつき、落ち着くまではならないようにしていた。
今後はこの世界のことについて先生ではなく兄が妹に教育していた。
それからのこと、二人でずっとその船で暮らしていた。
毎度二人で学んだり鍛えていても、結局レイゼルは自分達の食べ物収穫のために外に出て奪ったりしている。情報の収集はレヴェンに任せて、レイゼルは暗い夜の中で影に潜んで手に入れている。
マナの世界にはいろんなものが豊富であるため、結構な場所だった。ゴールドエクスペリエンスで育てた食べ物でも良かったが、それだけでは足りない。船で育てるにも範囲が狭く、自分達で食べ物を用意しても僅かになる。そもそも彼自身が妹のヒルダに過保護すぎる面もあったため、いくら銃などを人を殺せるような武器を教えたとしても、彼は危険なことには巻き込ませたくなかったためにずっと留守番を任せている。しかし、ヒルダは悲しい顔をして、ここにいてほしいかのようにレイゼルのズボンを掴む。
ーーーねぇ、いつ帰ってくるの?
いつもは母親に依存していたヒルダだったが、故郷を出てからは母親の代わりにレイゼルがヒルダの面倒を見ていた。もう母親と同じくらい大事にしてくれている義兄のことが大好きになっており、もうほとんど中学生と同じような年頃を重ねたのに、まるで子供みたいにまだ駄々をこねている。
ーーー怖い、苦しい、嫌だ、助けて、一人にしないで
しかし、ヒルダがずっと向け続けてきた愛は船内でずっと教えてもらっている間にもレイゼルの知らないうちに彼女の心は歪へと変貌していった。
*****
いつも通り夜にレイゼルがスタンドで食品を奪ったりしてリィアンに帰っていると
「ただいま…あれ?ヒルダ」
「おかえりー」
本当ならレイゼルが、その奪った食料で料理して夕食にするつもりでいた。
が、今回はヒルダは料理している。もともと冷蔵庫に置いてあった食料で作り、調理していた。
火を付けて、切った食べ物を炒めている。
「危ないだろっ⁉︎そんな一人で作るなんて」
「いつもお兄ちゃんが作ってるからさ、今度は私が作るようにしたんだよ。それに私のこと過保護すぎんだよ…少しは手伝わせて」
レイゼルの代わりにヒルダはエプロンをつけて料理をしていたが、指に切り傷がついてある。まだ小さいのに一人で料理なんて到底できないとレイゼルが考えていたが、ちゃんと包丁も握れており、食べる用意ができていることに驚いていた。
「…本当にごめん。もうそれしか言いようがないよ」
「もう、そんなの気にしないでよ。私達家族でしょ?それに、せっかくご飯作ったのに早くしないと冷めちゃうよ?」
レイゼルとヒルダは席に座って、用意した食事を食べる。机に料理用のレシピが置かれてある。
「「いただきます」」
炊き込みご飯とクリームシチュー、野菜炒めの三つを食べていた。初めてなのにどれも美味しくできており、ヒルダがどれだけ頑張ったのか分かった。
「どれも美味しいよ」
「今はこれぐらいしかできないけど、今後は私も作れるように努力するからさ」
「それは良いけど、さっきのように一人でやらないこと。いいな?」
喋りながら食べている間に水を飲むと急に視界がぼやけ、片手で目のあたりを押さえている。
「ねぇ、眠たい?さっきから頭が俯いてるよ?」
「あぁ…なんかそうみたい。ごめん、ご飯はレンジで温めるし、ちょっと自室で寝てくるよ。」
(あれ、なんで…疲れなのか?いや、今回は料理もしてないのにそんなすぐに疲れが生じるなんてあり得な)
そんなことを考える前に、部屋に移動する前に身体が地べたに倒れこんでしまった。ヒルダが水に睡眠薬を溶かして混ぜ込まれていたことをレイゼルは知る由も無い。
*****
「ねぇお兄ちゃん。起きた?」
「…何の真似だ、ヒルダ。俺にこんなことして」
レイゼルの左手と両足には逃げられないように縄で縛られており、上半身裸の状態でベッドに寝転ばせている。ヒルダもレイゼルと同じような裸の状態になっており、レイゼルの右手を掴んで自分の成長した胸と乳首を触らさせている。
「私ね、気づいちゃったの。いつもは私、強がってたこと多かったじゃん。
兄貴が間違って私が着替えてる時に入ろうとしたり、故意じゃないのにセクハラしようとしちゃったり、何度もそういうことがあったから兄貴が謝って遠慮がちだったのも知ってるよ。前まではママと一緒にいた頃は私も見るんじゃねぇて言って追い出したりして凄く恥ずかしいって思ってたけど、今じゃ身体が成長して兄貴に見られても全然構わなくなった。むしろ恥ずかしがってる兄貴を見て私の身体で興奮してくれたことが凄く嬉しかった。
気分が高揚した。
だからこそ気付いちゃったんだ…兄が遠出して一人でいるとすごく怖くて、心苦しくて、辛いの。私の知らないところに何処かに行ってしまいそうで心の底から本当に寂しくなった。こんなのは独りよがりなのはわかってるよ…でも、でもね、こうでもしないともう私駄目なの」
「何を、言っているのか俺には…」
「いいよ。何も言わなくても私分かってるから」
ヒルダは話しながらも泣いていた。いつも遠くへ行くレイゼルに恐怖し、こんな風に何処にもいかせまいと拘束している。
ヒルダの独りよがりかつ、愛着の故に。対してレイゼルの方は狂った愛とも知らずにヒルダがこうして拘束しているのも、何を言っているのかが全く理解できなかった。ここまでのことをしようとしてきた妹にもう口でも無駄だと思ったレイゼルは、デバイスであるレヴェンに助けを求める。
「レヴェン!ヒルダを何とかし「お兄ちゃん、レヴェンに助けを求めても無駄だよ。私には何もできないようにしておいたから」なんで」
『申し訳ありません…あなたが外出している間にプログラムを』
ヒルダも幼い頃からレイゼルの行動をちゃんと見て把握していた。レヴェンの本体そのもののプログラムはいじる事はできないが、ヒルダの邪魔をしないようにするという命令はレイゼルに隠れながらも学んでいた。
愛故に、レイゼルにいたいという気持ちがヒルダを動かせた。この世界は残酷であり、余りにもノーマを偏見とした目で見ようとするから、ヒルダはもっと兄に依存するようになった。
このままゴールドエクスペリエンスと
「悪く思うなよ…
こうなった以上時を止めて拘束を解けば、あとは体術でヒルダを傷つけずに抑えてつつどうにでもできるとレイゼルは考えた。ヒルダがスタンド能力に目覚めてるわけがなく、持っているはずがないと
(よしこれで、この拘束を解いて)
しかし、それは甘い考えだった。
ここまでスタンド使いであるレイゼルと一緒に暮らし、ここまで愛に執着した環境が、ヒルダの精神面で影響されないはずがなかった。
「なっ⁉︎」
「もぅ逃げようとしても無駄だからね?お兄ちゃん」
ヒルダは何故かスタンドを持っていた。しかもそれは、キングクリムゾンという時間を削り取って、未来を予知するというスタンドだ。レイゼルは時間を止めて逃げようとするところを、ヒルダは未来を予知してレイゼルの逃げ場を妨げる。そしてキングクリムゾンというスタンドを使って押さえつけられていた。
どんな手を使っても逃げ場がなかった。
「どうなってるんだレヴェン!なんでヒルダがスタンドをっ…」
『それが…信じられないと思いますが…目覚めさせた根拠が、精神面で異常をきたしていた原因と言われる貴方への愛なんですよ。愛が…あんな風にスタンドとして目覚めさせてしまったわけなんです』
「なんでそこで愛…⁉︎」
スタンド能力の定義としてスタンドに目覚めてなくとも才能があり、徐々にスタンドを使えるようになる必要がある。ただし、そもそもスタンド使いになるためには少なくとも生まれつきによる素質からでなくてはならない。だが、まだ幼かった頃のヒルダはスタンド能力さえ知らなかったのだ。
レイゼルの方は転生特典として手に入れた力だが、ヒルダが手に入れるとは思ってもみなかった。
スタンドのルール上、このまま一生ヒルダがスタンドに関わることなくその力を手にするわけがないと。
だが、その定義はあくまでジョジョの世界での話。レイゼルという強力なスタンド使いが一緒にいたことでに影響されてしまったという可能性が高い。こうしてヒルダを強力なスタンド使いとして目覚めさせてしまった。こうしてレイゼルのスタンドもヒルダの目に見えている。
いくら時間を止めたところで未来予知して止められるのならどうにも抗えない。これには、レイゼルもお手上げだった。
「わ、分かった…今後はお前と一緒に動くことを誓うよ。だから、頼むから監禁するような真似は勘弁してくれ。
こんなことされたら碌に外に出て食料がとれない」
ヒルダはレイゼルの言い分に耳を傾けた。ここにレイゼルを置いても今後の食料は期待できるものではない。
「うーん、それもそうだよね?お兄ちゃんとずっといても食べ物がなかったら餓死しちゃうし。ただし、今後は私も手伝うから良いよね?」
ヒルダは両手でレイゼルの頬を触り、顔を近づける。そしてヒルダから唇と唇を押さえつけて、直接口に舌を入れられディープキスをしてきた。
「必ず私とお兄ちゃん二人で一緒にいるの。お兄ちゃんとずっといーっしょ。収穫する時も、寝る時も、お風呂入る時も…
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと、ずーっとお兄ちゃんと一緒だよ?
私ね、お兄ちゃんがいないと生きられないから、だから離れ離れはもう嫌なんだもん」
家族同士でなんて言い訳も到底言えるわけがない。血縁同士であったとしても、今のヒルダにはそんな言葉聞く耳を持つわけがない。
「お兄ちゃんは、私のこと否定するわけないよね?」
ヒルダには一人きりな時間を増やし過ぎたのか。その寂しさが、置いてけぼりにされたことがかえってこんな事態にまで引き起こしてしまったのだ。
結果、重度の依存した愛は唯一の救いであり導いてくれている兄を求めていたのだから。