「レヴェン。アルゼナルの第一中隊はアンジュがいなくなっても維持しているか?」
『…ドラゴン狩りをしながらも、一応アンジュを探していますね?』
第一中隊は新兵を一人失い、かつアンジュをレイゼル達に攫われてしまった。ジル側はアンジュを連れ去った機体の調査を行い、他の第一中隊は悲しくもドラゴンを殺している。
もう一人の新兵、ミランダはココという少女の墓を見て泣いている。泣いたところでその少女が生きて帰ってくるわけでもない。
ノーマである彼女達にはドラゴンを狩るメイルライダーである以上、ドラゴンに食い殺されるわけにはいかなかった。
「あいつが自殺できないように見張れ、死なれても困る人材だからな」
『了解しました…』
レイゼルはジルのような力ずくで押さえつけるといった暴力的なことはせず、彼女の精神的な攻撃を続けていこうと考えている。
「でもさ、いくら探しても見つからないのなら最悪死亡扱いにされているでしょ?」
「さぁな」
アンジュを探しているものの、なかなか見つけられない。無人島にいるわけでもなく、行方不明ということになっている。ヒルダは皇女の確保に安堵しているレイゼルに、嫉妬していた。
「連れて帰ったのはいいとして…あの女のこと気にしてるの?私より大事なわけなの?」
レイゼルがアンジュリーゼのことを気にしている。話に集中して、ヒルダはそんな兄に苛立っていた。いくら必要なことだとはいえ、別の女の人と会話するだけでも青筋が立つくらいに激しく怒っている。
「…あぁなんだ。そんな下らないことか。安心しろ、あの女の心の傷を癒すつもりはないし、ましてや同情する気も更々ない」
そう言われても納得できないヒルダは、レイゼルを部屋に連れ込んでそのままベッドに寝転ばせて押し倒す。
「…何のつもりだ」
「今ここで、その証拠を見せてよ…でないと監禁するよ?」
「それは本気で困る…少し待ってろ」
今のレイゼルにはスタンドを使う様子もない。ヒルダはそのままキングクリムゾンを出現させ、警戒している。
「?何をするつもりなの?」
レイゼルはポケットに入ってある小瓶を取り出す、瓶には錠剤入りの媚薬が入っていた。その錠剤を口に入れ、起き上がってヒルダに口移しする。
「⁉︎」
「さっきの媚薬には、相手の心を読むことができる。本当に愛してないっていう証拠を知りたいのなら互いの心を曝け出したっていいだろ?」
「は、恥ずかしいよ…なんでこんな」
「証拠を見せたいって言ったのはお前だろ?だからヒルダ、今夜は思う存分にヤるぞ。
早朝は用があるけどいいよな?
嫌なら今夜は無しだ」
(欲しい…欲しい欲しい欲しい欲しい兄貴のちんこ好きちんこ好きちんこ好き)
レイゼルもまた媚薬によって勃起させた陰茎をヒルダに見せびらかす。四六時中ずっとそばにいるヒルダにとってその強烈な臭いをいつも嗅いでいるため、クセになってしまった。
彼の頼みにヒルダはすぐに頷く。
「良い子だ…」
(ならヒルダ、上半身裸になってくれ)
(だったら兄貴もそうして)
そう言ってヒルダの頭を撫で、彼女の髪留めを解いた。彼の手を掴んで、人差し指と中指を口に咥える。
(その指のように今日もシよ?)
レイゼルは寝転んでいる状態から端に寄って座り込む。彼の上着と下着は、そのままベッドの上に置いた。
ヒルダはパンツ以外の衣服をそのまま脱いだ。豊満な巨乳と乳首が露わになり、そのまましゃがみこんで長い髪で、レイゼルの陰部を包み込む。髪と吐息、手で陰部を気持ちよくさせようと懸命に頑張っている。
「はっ…ん」
尿道部位やその入り口を舌で舐め回し、亀頭から下は髪ごと利き手である右手で上下に優しく撫でまわしている。睾丸部分は左手で揉まれていた。
「…レヴェン、俺は朝早く起きるからその時にアンジュのいる部屋のドア開けとけ?」
『?何をなさるおつもりで』
「俺に考えがある。詳しい話はまた早朝な?」
レイゼルはレヴェンとの会話を終わらし、兄妹との近親相姦を楽しんでいた。
(私、こういうまだ上手くでいないかもしれないけど気持ち良くなってるのかな?)
(うん、気持ちいいよ。幼い時は互いの身体の成長に驚いてたもんな?
じゃあ…そろそろ出すよ。
ちょっと口開けて)
ヒルダがレイゼルの言う通りに口を大きく開けると、そのままその口に向かって射精する。舌と喉が犯され、飲み込むと興奮している。
「ハァ…ハァ…」
「なんだ、もうイッたのか?」
口内に射精すると、盛大に飲み込んだせいでヒルダの顔がとろけていた。散らばった精液は巨乳の上に残ってある。
(…少し休ませるか)
そう心の声を聞こえたヒルダは、すぐさま行動に入る。精液をソープがわりにし、胸圧で陰茎を支えてつつストローみたいに口で吸い出そうとする。
(お前、よくもやってくれたな)
(意地悪するからだよバーカ…元々私がやんちゃなの知ってるだろ?
欲しかったんだもん。べーっ)
二度目の射精は、最初の時よりもずっと濃いものだった。まだ舌についてある精液を見せつけて自慢している。そのまま何度も精液を飲み込み、レイゼルに抱きついてディープキスをする。
(兄貴のこと、だいだいだーい好き)
(…知ってるよ。そんなこと…そのままキスを続けて)
そう言いつつ、キスをしたままヒルダのパンツを脱がし、お互いに全裸になる。
「⁉︎ん、ンーッ!ンンンッ‼︎」
(ちょっ…や、兄貴…まだ心のじ)
彼女の身体を持ち上げて、そのままナマで挿入した。レイゼルは平然と立ったまま抱きついた状態で尻と身体を掴んでいる。
(こ、この馬鹿!ビックリするじゃねぇか…まだ私)
このままヒルダの身体全体を上下に動かし、セックスを続ける。ヒルダは離れまいと抱きしめてるが、レイゼルはただ陰茎で気持ち良くさせているだけではない。
「⁉︎‼︎‼︎」
(んにゃぁぁぁっ⁉︎)
お尻の穴とその入り口を指でほじくっている。さっきまでヒルダの唾液で濡れている中指か人差し指で突っ込む。
一方で、彼女の子宮にコンコンと亀頭がノックしていた。
(口どころか、心まで侵食されてる…もう馬鹿になるから、これ以上は馬鹿になるからやめてよぉばかぁ‼︎)
(だってな、ヒルダ)
至る所を犯され、ヒルダは絶頂に至っていた。レイゼルには心の声が届いても止まらないどころか続けていく。
(そんな顔されたら、可愛すぎて意地悪したくなるじゃないか)
今のヒルダはキスをされながら半泣きになりつつも、嬉しすぎて喜んでいる。やめてと言われても、あまりにも幸せすぎでお互いどうにも止まらなくなっていた。
そして、
(な、中出しされちゃった。やめてって言ってんのに、馬鹿兄貴に盛大に犯されて、イっちゃった。ずっと一緒にいるのも、兄貴のおちんちん遊びも、ハメハメ…されるのもだいしゅき…しゅき)
「ひにゃぁぁん!」
白い白濁液が溢れ、子宮を兄が支配した。ヒルダの身体が痙攣して、射精させるたびにまた絶頂を繰り返している。気絶するまでにはいかなかったが、舌を出して可愛げに甘えている。
「ばかぁ…ばかぁ…」
「もう可愛いなヒルダ。
愛してるよ」
*****
早朝
「もういや…こんなところにいたくない!」
アンジュはあまり眠れずに、昨日レイゼルが行ったことで気分が悪くなっていた。自分の行いを侮蔑され、マナの光が使えないことをダシにされ、ノーマだと判断されてアルゼナルに連れてこられてもココを見殺しにしたことを言及された。一方的に否定されたことで精神的に苦しくなっている。諦めてここに残るよりも、何が何でもここから出たいという気持ちが強くなっており、拘束から解こうと必死になっている。
「帰え…らなくては。ミスルギ皇国に」
ひとまずここから逃げたいという気持ちに駆られている。さっきまで暴れたことで縛っていた縄がだんだん緩くなり、解くことに成功した。
早速アンジュは扉を開けようとすると、
「…あれ?さっきまで閉まっていたのに」
閉まっていた扉が何故か開いていた。無理矢理気絶させられ、ここに閉じ込められたのに肝心な扉がどうしてか空いていた。だが、扉から向こうは真っ暗中になっている。
「考えてもどうにもなりません。私は、帰らなくてはいけないのです!でも、何ですか…この臭いは」
部屋を出ると、別のところから独特で強烈な匂いがしている。純粋無垢な彼女にとって精液であることも知らずに、悪臭だと鼻を押さえながらも出口を探す。
「…いくら探しても無駄だぞ?」
「⁉︎な、ななななんで裸なのですかっ…‼︎そんなものをぶら下げてっ…か、隠してください!それに臭いです!」
彼女が探している間に、後ろから声をかけられた。アンジュリーゼの背後にはヒルダとヤった後のレイゼルがそこにいた。彼の身体からはあの扉と同じ臭いが漂っている。
「そんなのは俺の勝手だろ。誰かが咎めるわけじゃあるまいし」
「こ、今度は…私に何をさせるのですか⁉︎貴方達に構うよりも、ミスルギ皇国に一刻も早く帰りたいのです!
そこを通しなさい‼︎」
「レヴェン、もう説明してやれ」
『分かりましたよ…ミスルギ皇国なんて存在しませんよ?この際だから教えますけど、どうやらアンジュリーゼがノーマであることが判明されてしまったことにより革命が起きてましてね。結果、ミスルギ皇国ではなく神聖ミスルギ皇国という形に変えられております』
「えっ…?」
このままレヴェンが説明していく。
レイゼルはアンジュを追い詰めるのは勿論だが、理不尽な言葉の暴力よりも抗いようのない真実を突きつけた。
『まぁ要するに、革命によってミスルギ皇国というものが無くなってしまいましたってことです。
皇女がノーマになったことが分かってしまったのですから、もう連れていかれた時点で助けを求めていた国が既に変わっていることが考えられるに決まってるじゃないですか。簡潔に言えば、貴方がそのミスルギ皇国に助けを求めても、もう求める以前の話なわけで…守ってくれる人は誰一人いないということになりますね』
「それじゃあ、お母様は?お父様、お兄様や、シルヴィアは?」
洗礼の儀で皇女がノーマだと断定されたということは、国の方向性が悪い方向へと向かった証拠となった。国そのものが変わってもなんらおかしくない。アンジュリーゼは自分の家族の安否も聞いてきた。
しかし、
「自分の身よりもその家族が心配だっていうのも…なんつーか皮肉なもんだな。こんな目にあっても、お前まだ気づいてないな?
これはとんだお笑い草だな」
「一体、一体何を言っているのですか!それに私が、私が一体何をしたっていうんですか?こんな地獄みたいな場所に…貴方達の言っていることも信じられません!私をあの故郷に返してください!」
「…別に良いよ。お前が故郷に帰りたいんならそうさせても構わない。
ただし兄と妹、そして守るべきはずの民にまで捕まえようと襲いかかって、見世物にされて醜く処刑されるけどな?」
「は…?」
アンジュは呆然とした顔をしていた。
アルゼナルやこの船に出て行って、帰るべき故郷のはずが、その国に住む人達が殺意を持って皇女を今度は殺そうと襲ってくる。
「だってそうだろ。お前がアルゼナルに送り込まれて以降、母親はノーマのお前を庇って銃殺されて、国も崩壊、更には父親も見世物として処刑されている。首を吊ってな?だから戻れば、父親のように首を吊ることになるぞ?家族の絆を信じるって?
父母を殺す所業を行なったあいつら兄妹をお前のことを本当に救ってくれると思っているのか?そもそもお前がノーマだと断定され、アルゼナルに移送して一体何日経ったと思う?
まともな家族なら、どんなことをしてでも助けに向かうはずだろ。特に特権を有しているのなら、その権利を使ってでも守ろうとするだろ。
なのにお前がドラゴンに殺されそうになっても助けが来るなんてことはなかっただろ?」
アンジュは家族殺しなんて惨たらしいことをするはずがないと信じられなかった。真相を知ってもなお、震え声になりながらもレイゼルの言い分を否定していく。
「そんなものは、そんなものは何かの間違いです‼︎」
「お前が捕らえられ、あのジルっていう女に死んだ母親も無駄死にだったなと言ってる時点で気づいているのかと思ってたんだがな?お前の父親が必ずしも生きている保証があるとでも思っていたのか?
にしても、この世界は本当に余りにも残酷だ。躊躇なくノーマを地獄の底に叩き落とそうとする」
洗礼の義にある装置を父親が改変させたが、その兄のジュリオが元に戻した。妹のアンジュリーゼがノーマであることを仕向けさせたのは兄のジュリオなのだから、いくら家族でもここまでするようならアンジュ以外に支持していた父母については察しがついていた。
「俺達は…アルゼナルよりも正確な情報を待っている。嘘なら映像を見せようか?これで失ったってことが証明されるならな?」
「私は、私は貴方達のような戯言を絶対に信じません!」
「そうか?んじゃレヴェン」
映像を流すと、ジュリオの演説により娘であったアンジュ(ノーマ)を擁護したジュライ一世を殺すことを厭わなかった。実の兄が憲兵達に命令して父親を首吊りで処刑しているシーンが流れている。
民衆の罵詈雑言がアンジュを蝕む。
『死んでしまえ!』
『ざまぁみろ!ざまぁみろ‼︎』
『化け物を隠した大罪人め‼︎‼︎』
「やめて、わたしは…こんな、こんなことわたしは…」
「これでもまだ…民を、兄妹のことを信用できるのか?」
そしてトドメはシルヴィアとジュリオの二人が父親を貶した。
『お父様、お母様も…あの化け物のせいで…わたしの足まで奪って…こんなのあんまりだわ‼︎』
『忌まわしき妹アンジュリーゼを擁護した、愚かしき父ジュライの処刑によって。この国はミスルギ皇国から、神聖ミスルギ皇国に変わるのだ‼︎』
アンジュリーゼの心がとうとう壊れてしまった。兄のジュリオと妹のシルヴィアの二人は民衆の目の前で家族殺しをやった。しかも、アンジュリーゼというノーマに罪をなすりつけて。
「は、ハハッ…本当に何も、何もない。私には」
「そう、何もない。お前には何も。与えられただけものはノーマという事実が発覚した時点で既に消えさられた。
妹も、兄も、父が死んでも良心が痛まない。これがその証拠だ。
お前は世界から、つまはじきにされたんだ。ひとりぼっちのまま。
悲しいけど、これが現実だ」
アンジュはその映像を見て、絶望した。残っても地獄、故郷に帰っても地獄。もう彼女の居場所など残されていない。
どうあがいても、待っているものは絶望しかない。幸せに暮らすことなど、夢のまた夢に過ぎなかった。それでもなお、彼女にとって大事な人の名前を叫び続ける。
「違う、チガウチガウ!モモカ、モモカなら私のことを」
「現実を見ろ偽皇女アンジュリーゼ。目を背けるな、罵倒する市民の姿を、母と父親の死を、国がお前の存在を虐げ拒絶する有様を。
今までの『優しい世界』は今では大嘘つきな世界になったと。
そして思い知れ。自分の愚かさを。
そのモモカが来たとしても、お前はモモカって子も殺すだろう。
だって慕ってた奴を殺す畜生になってしまったのだから。
今まで信じていた人達は、もう既に誰もいないんだってことを。これが現実なんだ。
マナを持たない者に、なんの価値もない」
「あ、ぁぁぁっ…ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ‼︎」
彼女の心が、砕かれた。追い詰められた人間は、怯えて嘆くことしかできない。子供のように泣きじゃくり、自分を制御できずに暴走する。
「黙れっ‼︎」
「⁉︎」
アンジュリーゼはその一声で、黙まらせた。彼女の泣き叫ぶ声は止まり、レイゼルは話を続ける。
「『マナを持たない者に、なんの価値もない』…この発言はあくまでマナ使いの連中の考え方だ。お前は…父親と母親は最後の最後まで愛されている…兄と妹に関してはもうお察しだがな。
でも俺達の方はお前の言った通り母親に拒絶され、しかも新しくヒルダって名前の子を産んで妹のことを忘れたことにしていたんだ。
…自分だけが悲劇のヒロインだと思ったら大間違いだぞ。俺達ならその苦しみを、そのぽっかり空いた穴をどうにかしてやれるかもしれない。俺がお前にはさっき何もないと言ったな。恵まれていたもののほとんどが失った。だが…何も全てというわけじゃないだろう?お前には目と両腕両足、耳、口といった五感を持っている。自由に歩き回ったり、様々なものを見ることも風の聞くことも、そして声を出して表現することも、食物を食べて『おいしい』と口にすることができる。
身に持っている身体能力や美徳、それらはお前自身が持ち合わせたものだろう?身体が不自由なら死の第1中隊…いやドラゴン狩りのメイルライダーに配属なんてあり得んからな?
だからまだ絶望するには早いんじゃないのか?」
「…嫌です。もう生きるのが、嫌」
アンジュの顔は泣きたまま赤く腫れてる。さっきのものを見せてもまだ反抗して来るかと思いきや、殺して欲しいとせがんできた。
「もう、もういいです!いっそ私を殺してください‼︎こんな地獄みたいな世界もう生きたくない!」
「殺す?何故お前を殺す必要がある?お前にしかない価値…それも兼ねて俺たちが見出しているんだ」
家族と民衆の醜悪さに、彼女も自暴自棄になるしかなかったが、それで自殺されてもレイゼル側は困っている。せっかく助けたのに、それで死なれたら考えていた保険もままならない。
「私にしかない、価値?」
「なぁ、アンジュリーゼ?俺達と共に築き上げていかないか?この地獄みたいな世界をどうにかしようって心を俺達が買ってやろうって言ってるんだ?
アルゼナルという人としての尊厳も何もない理不尽で最悪すぎる環境を持ち合わせた場所で戦うよりずっと有意義だ。
お前のあり方を、俺達が買ってやる。
ヒルダはお前のことを鬱陶しく思うが、世界を壊していくという目的が一致しているのであれば共存しあえる。
だからこそ大事なものを失い、何もなくなってしまったお前が、今度は俺達と築き上げていく。
新兵を見殺しにしたのはお前だ。
それに関しては、罪を背負って生きれば良い。自分をこんな目に合わせたこんな世界が理不尽だと思わないか?
世界を壊し尽くせ、アンジュリーゼ。虐げた者共に報復しろ、復讐に身を焦がせ。
それがお前が生きる為の道標となる。
死にたがりなら、生きればいい。後々嫌になるくらい死にたくなるほどの経験をすることになる。」
レイゼルが救いの手を差し伸べる。ノーマの軍事施設も、マナのある世界もそこにいるだけで不憫な扱いを受ける。だから心が折れたアンジュリーゼは、彼の手をとることしかもうできなかった。
「あと髪はそのままにしたほうがいいぞ?復讐が完了したその時に、決別しろ。軽蔑した連中を一掃したその後に、髪と共に捨て去るんだ。
だから皇女としてではなく、復讐者として生き続けろ‼︎」
「はい…!」
(堕ちたな)
そうやってアンジュリーゼを言葉巧みに騙し、懐柔させた。しかも、決別とは言ったもののレイゼルの心中にはアンジュリーゼが過去に対する決別などさせるつもりはない。兄妹にとってアンジュリーゼは過去に囚われたままの皇女でなくてはならなかった。
(決別?させないに決まっているだろ…髪を切る必要はない。お前には復讐者として始まり、最期も復讐者として終わってもらうからな?)
アンジュリーゼは手を取ったものの、レイゼルの目を見ようとしても、裸である為に下半身を見てしまうか視線を逸らしている。
「分かりました。ですが、その、お願いがあるのですが…その…やっぱり服を着てください。見てるこっちまで恥ずかしくなります」
「ハァ…わーったよ」
*****
ヒルダはアンジュリーゼをレイゼルの勧誘に笑おうとするのを必死に堪えていた。自分達が救世主だと、導き手だと身寄りのなく絶望している少女に囁き、騙している。
「ほんっと傑作だわ…こんなの。でも…」
ヒルダは昨夜のことを思い出すたび、顔を赤らめている。アンジュリーゼを騙したことよりも、レイゼルの性行為のことを鮮明に覚えている。
(にしても身体だけじゃなく心まで…バカぁ)
「戻ってきたぞ…アンジュリーゼの懐柔は一応済ませた。あれから大人しくしている」
レイゼルとは幼くして処女を奪われ、次は心まで犯されていることに喜びを感じていた。両手で顔を抑えつつ、赤面になっている。
「あのさ、なんか…兄貴も大概だよね?」
「ん?何の話だ?」
「決まってるじゃん。あの女を思いどうりにしようと言葉遊びに惑わさせて、手駒にしようとしてるでしょ?あいつの不手際をダシにしてさ」
アンジュリーゼの情報は全てレヴェンが取り寄せたものばかりだ。本来、そういったものを手に入れるなど容易なわけがない。
デバイス能力であるからこそ、大量の情報を手にすることができる。
「子供ばかりの幼女達が沢山いて教育していくのと、煩いくて喧しい、差別しがちだが、優秀で信じ込みと思い込みが激しく痛いチョロインを手玉にするの…どっちが楽なのか分かりきったことだろ?
だが、前の自分と決別…本当にそうなってしまうのは非常に困る。道具として扱うことがバレてしまうからな。
利用するものは利用するだけだ」
「私のことは?」
「無論お前は駒じゃない。命に代えられない大事な妹」
レイゼルはヒルダの頭を軽く撫でているが、ヒルダ本人は彼の手を掴んで頬を当てる。
「これ、好き…もっとナデナデして」
「少人数だと動きやすいけど、それでも油断はできない。今後もあいつは俺たち二人で見張っておく必要がある。
今までも、これからも、全部俺とお前でやっていくわけだからな。居場所も、お前も…全部俺のものだ。良いな?」
「うん…でも付けて寝なきゃダメだよ」
一緒に寝る時には、引き出しにある二つある鎖付きの首輪を互いにつけている。必ず離れ離れにならないようにするくらい、ヒルダは依存している。
「ああ…それじゃもう寝るとするか。
おやすみ」
「おやすみ、お兄ちゃん」
アンジュリーゼを救うことはしたものの、信用は全くしていない。レイゼルとヒルダはアンジュリーゼや他の誰よりも信じられるのはもうお互いしかいないのだから。
*****
*アンジュリーゼの悪堕ち
淡い心を利用しました。誰も助けてくれないと言ったところから、彼女の目は映像とはいえ父の死を目の当たりにしてしまっている為ほとんど生きておりません。
髪は切ってない状態です。
【闇落ちなのフェイ】ってなんか良いよね。