表向きはアルゼナルを攻略する前段階としてミスルギ皇国のジュリオ一世の攻略法を模索していた。まずジュリオの隣にいるリィザという女が実はドラゴンだったことも分かり、彼女がアウラというドラゴンの居場所を知りたがっていたことが判明。
彼女が隠れて報告しているところを確認できたため、話の内容から確認できた。ジュリオがどこにいるのかも大体は把握でき、あとは船に帰って状況を整理していく。
(取り敢えず、この女については用心深く見るか。ドラゴンの世界に俺達のことが知れても正直困るしな)
「あにきー、ご飯できたよー」
表向きの計画はアルゼナルの守りを崩すためにジュリオを唆そうと準備し、裏の計画として闇堕ちさせたアンジュリーゼの障害であるモモカ・荻野目をレイゼルが殺害した。アンジュリーゼには伝えることなく、もうレイゼル達の傀儡になっている。
レイゼル達はこのままヴィルキス奪還作戦に前進しているが、すぐに終わらせるというわけでもないため焦らずじっくりと着実に攻略していく。そんなことを悶々と考えつつも、夕食を食べようと向かったら机には既に用意されている。
机に置かれてる食事は
とろろネギご飯
アボカド
オニオンスープ(切ったタマネギが大量)
すっぽんの鍋
これらの料理の共通点としてホルモン増強に関連するものばかりである。
「おいヒルダ…お前これ」
「いっぱい食べてね!」
最初に料理だけしか置いていなかったのならはなにも気づこうとはしなかったが、そばに置いてある精力剤の瓶があった時点で何を考えているのかを大体察した。
元々、ヒルダがアンジュリーゼのために料理を作るとは思えないため、アンジュリーゼにヒルダが作るよりも前にレイゼルの作った料理をさっさと食べていた。
レイゼルの夕食には、一人分には見えないくらいの量が置かれている。
「…そんなに食べれるのですか?」
(食べれないってヒルダの前に言ったら、睡眠薬飲まされるか、スタンドで無理矢理気絶されて…部屋にずっと監禁されてしまうだろうが。
今夜は、絞り尽くされるかもな…)
食事を食べ終えたとしても、ヒルダの目がまだ病んでいる状態になっている為、レイゼルには逃げるという選択肢は無かった。
*****
食事を終えると腕を掴まれて、すぐさまベッドに誘導されてしまう。休む余裕も与えてくれず、抱こうとしてきた。
「ねぇ、アンジュのこと抱こうとしないの?」
ヒルダが口にする質問の一つ一つに気をつけなければならない。妹の目が生きておらず、回答次第では酷い目に合うのが目に見えていた。
「もし俺がそいつのこと抱いたら…絶対お前が怒るだろ。そもそもな…親しくしてるわけでもないあいつと、いきなり性的関係になるなんてこと力づくでなんてできるか。アルゼナルのジルが身体検査っていう性的な暴力をしたせいでトラウマがあるかもしれないんだから、そのことで今度は俺達も恨まれる対象になるぞ。
あの女とは最後まで平行線の関係を取るつもりだ」
「でも兄貴ってさ。言葉巧みにアイツのこと墜としたんだから、そういう関係になるのも造作も無いよね?」
前科をダシにしていたとはいえ、彼女を手篭めにできたのはレイゼルにとって都合が良かったが、今のところアンジュ自身が逆らわない限りは滅多に怒ることはなかった。
「そんな不要なリスク背負いたく無い…また嫉妬しているのか?」
「うん、そーだよ」
ヒルダは顔を急接近させ、お互いに正直に話している。レイゼルの方はアンジュリーゼに対して安易に触れたり、話そうとすれば目をつけられるのに無意味な行為だと否定する。ヒルダの方は自分から離れ離れにさせないために、抱きしめようとしてくる。
(嘘でも抱いたって言ったら、ヒルダのことだからスタンドで押さえつけて来るんだろうな)
「あのね…アタシはさ、お兄ちゃんのことを心配してるの…勧誘したあの女が「あれだけの精を尽くした食事を俺に沢山飲み食いさせて置いてか?作った試食も食べて、寝る時に首輪もつけて…それでお前に対する愛が無いって?」あ、うぅぅっ…」
逆にレイゼルが顔を近づけて言葉責めをしてきた。意地悪なレイゼルにヒルダは、泣き顔になりつつもまだ拗ねている。
ぐぬぬという顔をしているヒルダに、レイゼルは押し倒しつつ、衣服類を脱がす。
「大体なヒルダ、俺が本気で嫌なら拒んでる」
「ひにゃっ…⁉︎」
「拗ねてるなら、思う存分甘えていいぞ」
子宮に精液を何度も注がれ、ヒルダは何度も絶頂を繰り返していた。声を出さまいとレイゼルの首に甘噛みして抑えているが、突かれる度に可愛らしい声が漏れてしまう。強情なのか、それともツンデレなのかとレイゼルは困惑し、ヒルダの顔はふてくされているが、内心は嬉しすぎて甘えるだけ甘えていた。
*****
一方、アルゼナルではアンジュの捜索を諦めるしかなかった。新兵三人のうち一人が死亡、ミランダは自分だけがこのまま生きて帰っていた。ドラゴンは第一中隊の活躍によって全滅し、新兵二人が先の戦いで失っていたとしても少なくともゾーラ率いる第一中隊のメンバー6人は生き残っている。
あの事件以降アンジュとココがいなくなったのは悲しいが、他のメイルライダーの中隊はゾーラの指示でまとまっており、毎度やって来るドラゴンを何回も駆逐していた。が、
「あとは、肝心のヴィルキスか…」
「適任者が来たと思ったんだけどね」
マギー、ジル、ジャスミン、サリア、メイの5人が会議室で話している。ノーマと断定された皇女がアルゼナルにやって来た。パラメイルの適正も良く、いつかは彼女にヴィルキスを与えることで後は支配すればそれで良かった。虫ケラ(適任者以外)には扱えないように鍵がかけられ、ヴィルキスに乗れる条件として皇族の血とノーマ、そして指輪の三つがない限り乗って戦うことすらもままならない。彼女がかつてヴィルキスのメイルライダーであり、仲間達と共にリベルタスを起こしたものの失敗に終わった。代償に右腕と仲間を失い、彼女はこうして司令官として生きている。
ノーマ解放のためのリベルタス遂行には、ヴィルキスが必要不可欠となる。
今、ジル達が必要になっていたのはラグナメイルに騎乗できる皇族のノーマ。指輪はアンジュリーゼから引き抜いて手に入れたものだが、当の本人はどこに行ったのかも分からなくなっている。
彼女をよっぽど憎んでいる人物が奪い取ろうとしていたのならば、アルゼナルに生きて戻って来れる保証だって考えられない。少なくともアンジュリーゼを奪ってきた機体を証拠として映像に残し、それを頼りにエマ監察官を通じてマナの上層部で確認しているが、結局機体を見つけることはできなかった。
リベルタスはジルの不手際で失敗に終わり、アルゼナルでマナ側からバレないように今でも計画を隠し続けている。
(…アレクトラ、なんでまだ私にヴィルキスを渡してくれないの?)
一方のサリアはヴィルキスを差し出さないことに、不安を抱えている。
彼女がまだ幼い頃、リベルタスの失敗からアルゼナルに帰還し、ボロボロになった姿を目にしている。ジルをこんな目に合わせた人を許せないと決意し、仇を討ちたいと望み、今までずっと努力を惜しまなかった。が、メイルライダーになったとしてもヴィルキスを渡されていない。ジルがサリアに機体に乗れない理由をちゃんと教えない以上納得ができなかった。
革命を起こせる戦力としてはかなり集まったが、やはり問題は肝心なラグナメイルを操縦できる人物が誰もいないこと。倒すべき敵は
当然、アルゼナルにいる中隊だけでリベルタスを始めようだなんてできるわけがなかった。
*****
「アンジュ…生きてるのかな」
初陣での戦いから何日か経つ。
新兵の生き残りとして、ミランダだけがアルゼナルに取り残されてしまった。
彼女は、ココのお墓に座って花を添えいた。
メイルライダーになる前の頃、かつてミランダはココだけではなくナオミという少女と三人で一緒にアルゼナルで暮らしていた。だが、ナオミはパラメイルの試験時にシンギュラーが発生したことでドラゴンに襲われて墜落死。初陣でも、アンジュリーゼは元の国に帰りたいと叫び、ココは夢の国を望んでアンジュリーゼに付いて行った。未熟故に何もできなかったミランダは、それをただ傍観することしかできずに彼女の友達はいつの間にか手の届かないところに行ってしまった。
「アンタ、またそこにいたのかい」
「ゾーラ隊長」
死の第一中隊の実力があっても、大量のドラゴンの襲撃でアンジュを助けることがままならなかった自分を責め、ずっと後悔している。
「私が、ココやアンジュのことを助けていれば…」
「状況認識の判断がままならないお前が行ったところで、返り討ちにされるだけだ。最悪お前も死ぬかもしれない。
過ぎたことは、もうどうにもならないよ」
怯えていたアンジュと同じように、自分も精一杯だった。感情に任せすぎて助けようとした所で、パラメイルごと爆死してしまうかドラゴンに食い殺されるかのどちらかだったのだろう。
「みんなお前のことを心配していたぞ。最近は上の空になって話を聞いていないこともあるそうじゃないか?」
「申し訳ありません…」
何もできないまま戦死したココ、連れ去られていったアンジュのことを深く思い悩んでいた。身体が思うように動かず、ただ後ろで怯えることしかできなかった自分を責めていた。
「戦場じゃ、迷った奴から死んでいく。仲間はおろか自分自身を殺すことになるよ」
「…」
「少し、過去の話でもするか。
実はな、私の可愛い後輩は元々3人だったんだよ。ロザリーとクリス、あとラナ…クリスとロザリーはまだひよっこだったか。
新型のドラゴンが出てきて、みんなして初物だと喜んでいたが、それでも敵の様子を伺った。どう仕掛けてくるか分からなかったから、攻撃を避けつつドラゴンを狙い撃ってなるべく弱らせようと指示したのさ。動きが鈍くなったところで、トドメに凍結バレットで凍らせようとしたら、頭部だけが復活して私を喰らい殺そうとした。
でも、ラナが私を庇って死んでしまったよ。私の目の前でな」
ミランダは内心驚いていた。あまり親しくもないのに、ゾーラが自分の過去のことを話してくるとは思ってもなかった。
「…なんで、私にそんなことを」
「間違いは誰にだってあるさ。私達全員はあの場で何もできなかったことを別に恨んではいない。さっきも言ったが恨むどころか、みんなして不安そうなお前を心配していた。」
間違いは誰にでもある。ゾーラでさえも、力量を見誤って仲間を死なせてしまった。ミランダも二人と同じように陣から離れることで命令違反を犯したが、黄金の機体についてはどうにもならなかった。
誰も彼も最善を尽くせるというわけではない。
「アンジュもココも助けられなかった…私は」
「あたしらの出来ることは、力を合わせて戦い、ドラゴンを殺して生きる。
殺した分が、ノーマの生きる証だ。
死んでいった連中の為にもな」
死んでいったココが残した日記をジルに渡され、ココがアンジュリーゼに対する決意を書いていたことを思い出した。
【わたし決めた!アンジュリーゼ様のお側にいる!アンジュリーゼ様に傷ひとつつけないようにわたしは全力でお側に付き添いたいの!
だってアンジュリーゼ様は、私の憧れだもの。そう決めたんだ。出撃する時にはアンジュリーゼ様に寄り添って、ドラゴンを倒すんだ】
(そうだ、私にも夢があったんだ…ドラゴンを全部倒せば戦いは終わるかもしれない。そうだよね、ココだってアンジュのことを信じていた。
もしアンジュとまた再開できたのなら、死んだココの分の夢を背負おう)
「返事は?」
「イエス、マム!」
ゾーラはミランダの表情を見て、生き生きとしている姿に笑みを見せて去っていった。
「悩みが吹っ切れたなら、私以外の中隊に顔合わせとけよ」
最初にあった時、連れのロザリーとクリスの二人でイチャイチャしていることに気が引いて苦手な印象だったが、真剣に相談してくれたおかげで、本当は良い隊長だったことを知った。彼女は自分の気持ちが晴れ、第一中隊の人達に会いに行こうと走っていった。
だが、アルゼナルにいるノーマ達は何も知らない。この平穏が後わずかであることも気付かずに呑気に暮らしていることを。
ゾーラの過去に出ていたがラナという人物はオリジナルキャラです。