※この作品はR-18です。

汝の眼球が食べたい   作:Schuld

3 / 8
可愛らしい嫉妬

 剣戟と容赦の無い打擲。哄笑と裂帛の気合いが混じり合った怒声。そして響く断末魔。

 

 散らばる臓物、舞い散る血煙、切り捨てられる玉の緒。赤と黒の極彩色に染め上げられた残酷劇。即ち戦場とは地獄であり、武とは“こういうもの”だと思い知らされる空間。

 

 「くはははは! よい! やはり陵辱は心地よい!!」

 

 鬼は巨大な骨刀を振り回し、その一撃毎に人体のパーツを玩具の如くぶちまけて哄笑を上げた。約五尺の身の丈よりも巨大で無骨な大骨刀は、人体を切り裂くというよりも、質量と運動エネルギーが持つ膨大な破壊力によって粉砕する。あまりに行きすぎた暴力は最早理不尽としか形容し難いが、そも鬼とはヒトが被った全ての理不尽を練り上げたような化生だ。彼女が暴力を振るうと決めたのであれば、吹き荒れるのが理不尽の嵐であることはむしろ当然とさえ言えた。

 

 「茨木さん! 無理に突出しないでください!!」

 

 「あれだ! あの金色のを撃て!! あれを潰せば押さえられるぞ!!」

 

 地獄は山の裾野にあった。小さな廃城に立て籠もる軍勢と僅か数名の寡兵は、しかして数の大小に反して寡兵側が圧倒的に押していた。かたや敗残兵が寄り集まって産まれた野盗の群、かたや英霊化生の混成軍。尋常の兵法は通じず、ただ圧倒的な個が軍を蹂躙する神代の法則が堂々とまかり通っていた。

 

 「マシュ! 茨木が十字砲火を浴びないように前進して支援! 俺は良いから!」

 

 「ですが……いえっ、はいマスター!!」

 

 藤丸 立香とその一行はかつて解決した特異点、オルレアンにいた。大した理由はない、英霊達の霊基を鍛え上げ、更に業を冴えさせるために必要な霊媒となる飛龍の爪を求めてやって来たのだ。グランドオーダー完遂の後、人理の歪みがゆるやかに元に戻りつつあれど、未だこの地に残された飛龍を狩るのは最早彼等の習慣とさえ言えた。

 

 殆ど作業化した狩りを終えた後、彼等は拠点に帰る前に小さな村に立ち寄った。人理の歪みがどの程度正されつつあるかの確認のためと、戦いの疲れや汚れを落とすために。しかし小休止の最中、近場にかつて魔女の軍勢に追われた敗残兵が野盗と化して屯しているという話を聞き次の予定は変わる。

 

 茨木の鬱憤晴らし……ではなく、素材集めの続行だ。

 

 言い方は悪いがヒト由来の素材というのはそこそこ存在し、レイシフトした先で気兼ねなく倒して回れる存在というのは結構貴重であったりする。その貴重な機会と品を逃さず、ついでに人理が完全に修復されるまでの間とはいえ、善良な市民に安寧を与えるために彼等は動いたわけだ。

 

 かくして極めて実利的な理由と、偽善かつ無意味であると分かりながらも攻撃を決めた立香によって地獄は作り出された。彼は理解している、実行するのは自身の配下たるサーヴァント達であれ、彼等に手を汚させたのは自分であると。

 

 何が起こったかを詳細に語る必要はあるまい。理不尽や死という概念に形を与えた鬼に小細工は不要だ。押し入り思うが儘に暴れ回るだけで、ヒトが考える儚い軍略や兵法は無に帰すのだから。

 

 しかしながら、歪んだ特異点の中で暮らす泡沫のような兵士達も馬鹿ではない。戦場を俯瞰できる者は圧倒的な暴力を使役する存在を見つける。声がきちんと届く範囲で指示を飛ばす異国の装いの少年、全ての理不尽が彼に従っていることが把握されれば、当然攻撃の矛先が差し向けられる。

 

 弓兵隊の一隊が恐慌状態に陥りつつも、指揮官の指示に従って狙いを門前の鬼から後方の少年へと変えた。そして、元正規軍だけあって悪くない集中率の矢が群となって襲いかかるが……。

 

 「ふむ、存外賢いものよ」

 

 空間が揺らめいたと思えば、波濤の如き矢の群は一部の空間を避けるように掻き消えていた。否、神速の斬撃によって切り飛ばされたのだ。

 

 「されど、飛燕より早くとも素直な矢玉ではな……」

 

 雅な和装、涼やかな美貌の剣士がいつの間にやら主君の前に立ちはだかっていた。剰りに長く、大太刀にしても儀礼用か装飾品なのではと思わせる長刀を操る人物は自称農夫、さる縁によって召喚されし暗殺者のサーヴァントだ。

 

 彼の名は佐々木 小次郎。日ノ本の大剣豪、宮本 武蔵の逸話に必ずと言って良いほど付随して語られ、しかして実態を伴わぬ架空存在。この“小次郎”は架空の存在に無理矢理に形を与えて現界させた一種のバグが如きサーヴァントなれど、その力量は紛れもない本物である。

 

 変則的な軌道を描いて飛ぶ神速のツバメを断つ妙技、これが一直線にしか飛ばぬ矢を打ち払えぬ筈があろうか。たとえその数が十以上に及ぼうとも。

 

 まぁ、そこまでせずともツバメは斬れるだろうとの突っ込みは各所から飛んできているが、彼もまた抹茶ガンギマリ時代の武人だ。どっか思考がおかしいのはデフォルトなので、あまり深く考えぬ方が精神衛生上よろしかろう。

 

 「矢玉では役者が足りぬが……ま、一の盾を差し置いて任されたことを誉れに思うとするか」

 

 飄々と軽やかに残心をとり、剣士は微笑んだ。世の乙女を容易く魅了するであろう笑みは、この状況において敵を畏怖させるファクターにしかなり得ない。人の身ではあり得ぬ絶技を前に、弓兵達は絶望しつつも二の矢をつがえるしか出来なかった。さもなくば、次にかの絶技が届くのは自分の下であると分かっていたから。

 

 「ただマスター、如何に茨木の支援の為とは言え、自らの身をさらして矢玉の幾ばくかを受け持つというのは……些か無謀に過ぎぬか?」

 

 「それだけ小次郎を信頼してるってことさ」

 

 各自の自由射撃に切り替わったのか、散発的に飛んでくる矢玉を小バエか何かの如く打ち払う小次郎に立香は信頼の笑みを送った。遮蔽物など小次郎しか無いというに堂々と、むしろどんどん打ち込んでこいと言わんばかりに大仰な動作で指示を出し進軍する。そしてその姿に敵の頭は恐怖を覚え、懐に入られた鬼よりも狙いやすい彼に弓兵を嗾ける。

 

 「ふむ……サーヴァント冥利に尽きるというか、信頼が重いというべきか。全く、我がマスターは従者の扱い方をよく心得ておるわ」

 

 この従僕ならば雲霞の如き矢玉からも己を守り切る、その信頼を形にした堂々たる立ち姿。この姿を見て奮起せぬ訳にはいかないが、この世に完全は無いと知る武人としては些か信頼が重すぎるとも言えた。事実、切り飛ばした矢玉の破片が幾らか表皮を浅く傷つけてはいるのだ。いざとなれば“予備の盾”が立ち塞がるであろうが、己がマスターの大胆さに小次郎としては胆が冷える思いでもあった。

 

 結果だけ言うと、彼等の抵抗は半刻と持たず終わった。元より武装した程度の集民は鬼に蹴散らされるのが仕事ともいえる。バーサーカーという性質上、どうしても脆く手傷を負いやすい茨木に深傷とまではいかぬも十分な負傷を与えられたのは、むしろ快挙と誉めてもよいだろう。

 

 尤も、その誉められるべき彼等には、もはや讃辞を贈っても届きはしないのだが。

 

 「やはり闘争は良い。殺し殺される場こそ鬼には似つかわしい」

 

 屍を積み上げた小山の上に茨木童子は座っていた。城外では戦いの熱が冷め、殺戮に酔った後輩が毎度の如く反吐を吐いているが、鬼にとってこれは手慣れた所業。気分を害すどころか、何処かの誰ぞの持ち物であったであろう右手を囓って愉快そうに微笑んでいた。

 

 鬼とは殺戮を好む者。しかして、伝統的な鬼であり洒脱を好む彼女は、自分が殺されることすらも殺戮の内として好むのだ。故に彼女は進んで矢玉を浴び、刀を受け、槍に突き刺されてみせる。鬼という種族の高スペックを押し出してゴリ押しする戦い方のためではなく、殺し殺される立場を楽しむために彼女は傷を受けるのだ。

 

 サディストとマゾヒストは表裏一体とはいうが、中々どうして難しいものである。

 

 「さて、戦利品の回収か。中々に鬱々とした作業よな」

 

 「死体からの略奪も楽しみの一つであろうに。侍とは斯様に細い神経でなりたつものか?」

 

 「真逆、拙者は剣の道を歩んだだけで士分ではござらんよ」

 

 「そういうものなのか?」

 

 士分が力を持つよりも前の日ノ本で暴れた茨木童子には、どうにも武家がどういうものかの理解が難しいらしい。彼女にとってはヤットウ担いで戦場に出ていく連中は侍区分になるのだろう。平らの某さんや源の某さん達が活躍してからが武家政治の本番なので、武官と武家の差が明確に存在していた時代の鬼には馴染みが無いのであろう。

 

 人死にが割と普通だった時代の農夫と鬼は、倒された野盗共から物を漁ることに抵抗がない。数多の死を内包した特異点を踏破し続けてきたマスターもまた同様だ。人の死に恐怖と嫌悪を覚えて反吐を吐くような可愛げは第二の特異点に置いてきて、戦士としての幼年期は疾うに過ぎ果てた。殺人への抵抗こそ喪ってこそいないが、青い子共は何処にも居ない。

 

 だのに同じ経験を同じ目線で辿った後輩は、どうしてああも儚いのであろうか。

 

 立香は雑用ながら略奪という名目なので面倒くさがることの無い茨木にその場を任せ、城門の傍らに蹲った後輩の側にしゃがみ込んだ。

 

 「大丈夫? マシュ」

 

 「せん……えほっ、先輩……」

 

 色素が薄く陽炎のような印象を受ける後輩は、如何に外道に手を染め村々を略奪して回り、死体を掲げて弄ぶことを娯楽とする現代から200年位先の北米に生息していそうな連中相手でも戦いの抵抗が抜けきらない。可能な限り峰打ち――盾の峰とは一体――で済ませようとする彼女を優しいと評するべきか、弱いと評するべきかは意見が分かれるところであろう。

 

 そこが彼女の良いところではあるのだが、毎度この調子では流石に可哀想にもなってくる。とはいえ、一の盾を自認する彼女を置いていったら、それはそれで精神的に気に病むので実にめんど……難しくもあった。

 

 「口をゆすいで」

 

 「はい、すみません……」

 

 差し出された主の水筒で口の中を洗っても、殺したという嫌悪感までは拭えない。

 

 やむない事、というのは分かる。彼等をたとえ追い散らそうと、また何処かで集まって似たような狼藉を働くだろう。一度略奪と暴力、そして陵辱の熱に酔った人間は元の生活には戻れないのだ。その事実は強大な野盗や盗賊が転じ、恐ろしい鬼として語られた歴史から分かるだろう。

 

 人理が修復されれば無意味となっても、無意味と知りつつ人を助けながら戦った仮定を否定しないためには救い続けねばならない。必要と犠牲の合間に挟まれて、無垢な魂は悲鳴を上げている。幼い精神と未熟な、それでいて普通の倫理観が軋んでいるのだ。

 

 「……大丈夫だよ、マシュ」

 

 「先輩……」

 

 立香は今にも消えそうな、淡雪の如き後輩を強く抱きしめた。戦士と言うには柔らかすぎる自分の盾を抱きすくめ、今までもこんな事はあったなと回想する。所長を喪った時、初めて人の亡骸を目の当たりにした時、人間同士のぶつかり合いで命が散っていった時。もしかしたら、自分よりも先に彼女が傷ついてくれたからこそ、自分はマトモでいられたのかもしれない。

 

 縋るようにマシュは自分の主を抱き返した。強く、それでも壊れないように。

 

 ふと、鼻腔を擽る匂いに気付く。汗に混じった微かな匂いは戦場に立ち込める匂いに似ているが、決定的に違っている。微かな裂傷から溢れる立香の血だ。魔力を豊富に含んだ血液からは常人の血液と異なる芳香が漂う。魔力を察知することができる魔術師やサーヴァントだからこそ分かる匂い。

 

 無意識にマシュは大きく息をし、香しい血の芳香を肺一杯に取り込んだ。

 

 戦場に散らされた血と主人の血は匂いが違う。これが無慈悲にぶちまけられる様を今の地獄と重ねて連想し、盾の従者は大きく震えた。悲しみや恐怖からではない……“もったいない”と感じてしまった自分の思考のおぞましさにだ。

 

 自分はどうしてしまったのだろうか、現状から精神の一部が切り離されたような冷静さで自己分析している己の存在に気付いた。この震えも畏れも本物の筈だ。しかし、自分は先輩がこうしてくれると分かって……。

 

 「立香よ、終わったぞ」

 

 「茨木」

 

 「っ……!?」

 

 良く無い方向へ転がり始めた思考は、戦利品を集め終えた茨木によって中断された。慌てて身体を離したマシュをみやり、これだからオボコは、とでも言いたげに茨木が嗤う。だがそれどころではないマシュは、小さく己の身体を抱いて状況と自分の中に湧いた思考を誤魔化すのに必死だ。

 

 鬼としてはつまらない反応であったのだろう。何か他に面白いことはないかと初心な主従を眺め……そして、鬼はそこまで急に離れなくても、と首を傾げる主人の顔に出血を認めた。

 

 「はは、マスター、男気が増したな?」

 

 「へ?」

 

 戦場で流した血は戦士の誉れ。されども、鬼としてはただ流れる血を放ってはおけない。

 

 「だが、あまり吾の前で勿体ないことをしてくれるなよ?」

 

 人血は彼女らにとって、酒にも等しい甘露なのだから。

 

 自然な動きで間合いを詰めた茨木は、マスターがしゃがんで丁度良くなった身長差を利用して血が滴る頬を舐め上げて見せた。長く赤い舌がじっくりと皮膚を削るような、そして見せ付けるような仕草で頬をなぞっていく。そのあまりの淫靡さに後輩は息を呑み、主人はなすがままに配下の暴挙を受け容れる。

 

 「美味しい?」

 

 何をすると憤るでも、濃密な舌での愛撫に困惑するでもなく、数多の英霊を従えるマスターは微笑みと共に問うた。求められたなら喜んで差し出すのがこの男だ。驚くことも無く、慌てることも無く、欲されれば差し出し感想を求め、もしも不満を覚えられたら改善しようとする。

 

 「うむ、悪くない」

 

 「そっか、よかった」

 

 そうして、満足されたら今のようにほんわりと微笑むのだ。ただその為に自分はあるとでもいうように。

 

 鬼とヒトが触れあう様を、後輩は何処か遠くのことのように感じながらも羨んでいる自分の姿に気付いていた。今までも何度も分かっていたが、自分は先輩に構われたいのだ。また、先輩から何かを貰っている他人が羨ましくて仕方がない。

 

 あの鬼は先輩からたった二つきりの大事な物を一つ貰った。宝石のように煌めく、強い意志が形になったような瞳を。冬木の燃えさかる地獄の中、後ろで信頼して自分を見つめる目にどれだけ力づけられたことか。その目を、そんな素敵な目をあの鬼は食べた。それから今も血を啜っている。

 

 だのに先輩は、どうして笑えるのだろうか。

 

 よく分からない感情の渦に後輩はただただ困惑し、目の前のある種倒錯的な光景を眺めるばかり。

 

 「……根が深い、否、業が深いか」

 

 花鳥風月を目で、女性の機微にもそこそこ聡く興味もある剣客は、己が主人のせいで色々と拗らせかけた同胞を見て小さく嘆息した…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人理継続保障機関という大仰な肩書きが付くカルデアは、本来百数十人体制で未来を観測する集団であった。特異点探査に主目的が移行した後も人員量に大差は無かった。むしろ「世界が滅ぶかもしれんのやで」と煽れるだけ煽って優秀な人員を絞ってきたきらいもある。

 

 そう考えると死んだり再起不能状態になったマスターや職員が魔術師、或いは魔術師に連なる家系の連枝であったことを鑑みるに、割と洒落にならない数でお家騒動が勃発することになりそうだが、そこはまぁさておくとしよう。大抵の問題は世界を救った英雄という肩書きのゴリ押しで何とかできるだろう。

 

 ならなかったら? 鬼の手綱から手を離せば片付かなかった問題も解決しよう。暴力を以て解決しないことなど、この世の中には大凡人間関係くらいしかないのだから。

 

 閑話休題。カルデアとは巨大な組織であったため、本来は百人以上が雪山の頂に隔絶された状況においても生活できるような設計がなされている。薄暗い研究室や工房に数年単位で籠もって平気という、地虫か蛞蝓の親類が如き生活スタイルを持つ魔術師に斯様な気遣いが必要かは議論の余地があるが、科学面でカルデアをバックアップする役割を持つ面々には精神的リフレッシュが必要ではあるので、長期間の滞在が想定されるカルデアには娯楽施設が複数存在する。

 

 その一つが外界、それも常冬の万年雪が積もる殺風景な雪山の上では無く、自然公園を模した猫の額程度の温室だ。芝生と花壇、一本の菩提樹が植えられた空間には温んだ空気が供給され、環境音や投影モニターに映し出される四季の風景が心を落ち着けてくれる。

 

 そんなささやかな空間、時間帯に合わせて夜の光景が投影された場に一人の武人がいた。オルレアンにおいては立香の盾となって活躍し、本来の目的ではドラゴンスレイヤーとして飛龍を屠りまくった小次郎である。

 

 本来レイシフト先から物資を持ち帰るのはコフィンの形状上難しい物となるが、色々と拗らせた希代の天才が作り出した小袋のおかげで食料品程度はある程度持ち帰られるようになっている。そのおかげ食糧事情に若干の改善がもたらされたことが、十五世紀のフランスから持ち帰られた葡萄酒を剣客が持ち込んで居ることから分かるだろう。カルデアにおいては、精神面の安定のためサーヴァントであっても飲食がある程度は推奨されているのだ。ある程度は。

 

 「ん? 先客か」

 

 「おう、大江の鬼殿か。先にやらせていただいておるぞ」

 

 模造とは言え月は月、愛でて酒を呑むには良いと菩提寺に背を預けていた佐々木の元へ、同じ事を考えた茨木童子が現れた。片手には瓢箪をぶら下げており、その中には鬼のみが呑めると言われた強い酒精の酒が収められている。鬼と酒とは切っても切り離せないファクターであり、これを持って彼女は現界した。いわば尽きぬ酒を収めた宝具のような物だ。

 

 茨木童子は鬼なれど、正々堂々戦う者には寛容だ。共に戦場に立ち死狂いして見せた物にはとみに。彼女は小柄な身体を菩提樹へ預けると、口で瓢箪の栓を抜き、香りだけでキツイと分かる酒を一口煽った。

 

 「やるか、佐々木」

 

 「いや、遠慮しておこう。鬼の火酒など煽っては私なんぞひとたまりもあるまい。この神の血とやらで十分よ」

 

 何処からか持ってきたらしいぐい飲み――流石に宝具ではない――でワインを煽る侍は、一口やってから酸いが美味いぞと茨木に瓶を差し向けた。

 

 「成る程、確かに酸いし渋いが悪くは無い……些か弱いが」

 

 「はっはっは、これで弱いと言われると拙者が下戸になったように思えて愉快だな」

 

 「鬼と張り合おうとするか、思い上がるなよヒトめ」

 

 言葉尻こそ乱雑なれど、共に酒を煽れる相手には寛容な茨木童子は普通に楽しんでいた。毒を混ぜていない酒ならば何時だって歓迎なのだ。尚、余談であるが現地ではこのワインとて三倍程度に希釈して呑むのが一般的なやり方である。

 

 「しかし、つまみが欲しくなるな」

 

 「塩で良ければあるが」

 

 「……身体に悪そうな呑み方よなぁ」

 

 言いながらも塩をつまみとして酒を煽る二人。モニターに投影される月の姿は、日ノ本以外で撮影されたものなのか二人には見覚えの無い形をしていた。月は常に同じ面を地球に向けているが、観測する場所によっては角度が異なるので見え方も違ってくる。のんべぇ二人はぽつぽつと、見慣れぬ月影に連想する物を並べて遊び始めた。極東人にとって月とは何時の時代でも愛でながら酒を呑み、語らうためのものである。たとえその有り様がまやかしや異国のものであろうとも。

 

 「頭からヒトを喰らう鬼」

 

 「こういう席でくらい血生臭い話から離れられぬのか……。荷を担いだ行商」

 

 「ふむ、なら跳ねる貂はどうだ」

 

 月影に酔う二柱のサーヴァント。良い塩梅に酔いが回ってきた小次郎は、ふと違和感に気付く。この鬼が主人を伴わずに酒を煽り、伴わぬにしても十分に呑んだ後に寝所へ潜り込みにいかぬのが妙に感じたのだ。鬼は肉としても立香を喰らうが、時に別の意味で喰らうこともあり、それを楽しみにしているのをカルデアの殆どが知っていた。恥ずかしそうに隠そうとしているのはマスターくらいのものであろうか。

 

 まぁ、ハイティーンのマスターが見た目ローティーンの少女に良いように貪られている、という絵面は知られて楽しい物でも無かろうし理解も及ぶが、それを楽しそうに食堂で語る鬼の精神は理解し難いものがあった。

 

 連想するものを挙げる頻度が少なくなって察されたのであろうか、鬼は塩を一嘗めしてから酒を煽り、ぽつりと言った。

 

 「流石の吾とて空気くらいは読むのでな」

 

 「ん? ……ああ、なるほど」

 

 急に何を言うのかと思えど、レイシフト先であったことを思い出せば納得も行く。今頃マスターのマイルームでは、ちょっとした桃色遊戯が繰り広げられていることであろう。もしくは甘酸っぱい野苺のような展開か、囓れば酷い目に遭う山椒のような状況かも知れないが。

 

 鬼はメンタルにダメージを負ったマシュを気遣い、今日は一人酒と独り寝を楽しむつもりだったらしい。鬼と酒を呑むまでならまだしも寝るような英霊は珍しいというか、一部の酔狂を除いて殆ど居ないと言っても良いので賢い選択肢と言えた。まぁ、茨木相手であれば喜ぶどっかの海賊がいるが、さしもの鬼も相手を選ぶという話である。

 

 「しかし、あの盾はどうしてああも硬いのに脆いのか。そこがヒトの面白い所でもあるがなぁ……」

 

 「なぁに、脆いから盾として役に立つのであろうよ」

 

 「ほう?」

 

 生まれた時から強い生命体であり、精神はヒトと異質な鬼には理解できぬ発言。語ってみせよと金と緋の瞳で促してみれば、剣客は頷いて語り始めた。

 

 「ヒトは護る物あらば強くなる。私には久しく縁が無かったことだが、捨てるか得るかせねばヒトは強くなれぬものよ」

 

 「ふむ……あの源氏の頭領も色々擲ったから強かったと」

 

 「いや、あれは……うん、まぁ……」

 

 あの半人半魔の御仁をヒトにカテゴライズしていいのかは疑問の余地があるが、混ぜ返すと話のベクトルが歪みそうなので、ある意味人間が出来ている剣客は回答を濁すだけに留めた。まぁ、あそこまでブッ飛んでいれば逆に強くならないはずがないとも言えるが。

 

 「んんっ……兎角、ヒトは護る物があれば、その為に幾らでも精神が頑強になるのだ。何度も折り畳まれて叩かれた鋼が硬く粘り強くなるようにな。マシュ殿が先に傷つくからマスターの精神は頑強になる。この子の為にも何かしてやらねばな、と」

 

 「ふぅん……」

 

 「……さりとて、あの施しの英雄ばりに自分を投げ出せる御仁故、あまり参考にならぬ例やもしれぬが」

 

 彼等のマスターは一般論では語れぬメンタルの強さを誇る。普通であれば心が折れ、二度と自室から出ることが能わぬような修羅場に遭遇しつつも笑い、冗談を飛ばし、戦い続ける精神がある。その上、欲されて自分に適う物であれば何でも与えてしまうような精神性だ。彼を普通の人間に割り当てて良いかは、この剣客をして中々難しい問題である。

 

 人並みの感性はある。喜びもすれば傷つきもするし、不機嫌になることもある。されど、自身が掲げた大目的に完全に身を捧げるという、座に招かれる者達、つまり英雄としての気質も持ち合わせているというのがおかしいのだ。

 

 本気にて大業は成らず。まともな感性の持ち主では、歴史に残る偉業を打ち立てることはできない。

 

 それこそ“佐々木 小次郎”の代役として呼び出されるほどの鍛錬を、ただ飛燕を叩き落とすだけの技量を求めて死ぬまで続けた名も無き男とてまともではない。普通の生き方をしてこなかったからこそ、歴史に名を刻むことがなくも紛いなりに英霊として霊基に刻まれた。人間が出来てはいても、彼もまた精神性でいえば狂人の部類といえる。

 

 その狂人に並び立てる精神性の持ち主が、あの子のためにと死地に立つなどという“可愛らしい”思考をするだろうか?

 

 まぁ、それこそ狂気の沙汰であろうよと言われればそこまでだが、笑顔で自分の目を抉り出す人間に当てはめるには不釣り合いにも思えた。

 

 結局、あの子共は何がしたくて、何を思って此処に立ったのか。

 

 語らったはいいも、言葉にしたからこそ佐々木には分からなくなってきた。マシュが立香を強くしているのは事実だろう。されども、彼が少年漫画の如き思考をして強くなっているのかは、考えている内に本当に分からなくなってきた。

 

 「うーん、まっこと我らが主人は難しい。山門に屯するよりは良いが、難儀であるなぁ」

 

 「おう、精々懊悩せよ佐々木、その様も吾の酒のアテよ。ヒトは幾ら眺めても飽きぬなぁ……」

 

 何やら楽しそうに笑う茨木童子だが、その実彼女は主人の人間性を理解しているようでもある。他種から見ればこそ分かる物もあるのだろうか。

 

 されど、どうあれ自分がすることに変わりは無いと自分を納得させ、佐々木は舌になれぬ異国の酒を楽しんだ。さて、あの主人がどう転んで人理を救うのかと空想を馳せながら…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこうなったのだろう、と茹だった頭で紫色の愛らしい後輩は黙考した。

 

 今の状況を俯瞰すると、何やら色々とおかしな気がするのだ。

 

 場所はカルデアの中でも最重要機密区画ともいえる場所、要するに最後のマスターとなった藤丸 立香の寝室だ。

 

 寝室に設けられた大きめのベッド、寝ようと思えば複数でも眠ることの出来る寝台で二人の距離は零になっていた。

 

 といっても、艶っぽい意味でではない。ゆったりとした寝間着を着込んだ主人の膝に従僕が倒れ込んでいる形だ。顔を腹に埋め、胡座の上には柔らかな上半身が力を抜いて預けられている。

 

 見ようによっては子共が親に泣きついているような体勢。しかしながら外見はハイティーンの二人がするには些か歪な光景であった。逆であったなら、それはそれで一部のお友達が拍手喝采総立ちでの大喜び展開だったが。

 

 丁寧に壊れ物を扱うように立香の指が髪の毛を梳る。短いながらも細く繊細な髪は、色素が薄いこともあって掬い上げれば水晶のような輝きを帯びていた。

 

 しかしながら、その手つきは髪を愛でるよりも撫でる相手を宥め、慈しむような手つきのそれ。混乱しながらも盾の従者は自分が大変リラックスしていることに気がついた。

 

 たしか自分は帰還後に間を開けて呼び出されたのだったな、と落ち着きを取り戻した頭で後輩は行動を辿る。自分たちで作り出した地獄から抜け、レイシフト先から帰ってきた後の話。夕食を採ってそろそろ寝ようかと思って居れば、珍しく呼び出しを受けたのは覚えていた。

 

 そう、それからは……ああ、そうだった、寝間着に着替えて寝台に腰掛けたマスターは、何も言わず腕を広げて誘ってきたのだった。これこそが、最も自分の求めていることだろう? と言わんばかりの自然さで。

 

 優しげな父を連想させる微笑みを受けて、盾の従者は一息に理性の鎧を剥ぎ取られ、欲求に従いふらふらと吸い寄せられた。その間、彼女の思考らしい思考は殆ど働いていなかったと言っていいだろう。気がつけば腹に顔を埋めていた、故に混乱していたのだ。

 

 自分は蜜に寄せられる虫か、と軽く自重しつつも、人肌の例えようも無い心地よさにマシュは既に溺れていた。彼女の作り出されてから先を含め、ずっと味わった事の無い感覚は何よりも心地よく身体に染み込んでいく。

 

 理性はみっともない、はしたないと叫びを上げるも、心地よさが精神を蕩かして身体を引き剥がすことは能わない。このまま寝てしまいたい、そんな欲求すら湧いてくるほどだ。

 

 『魔性のお膝……!』

 

 マシュは戦慄しているが、別段立香の太股が魔性の域に達している訳では無い。むしろ男性相応、そこそこ運動していることもあって弾力と堅さのある膝枕向きとは言い難い感触ですらあった。

 

 しかし、マシュはその特異な出生故、人生の殆どを無菌室で過ごしてきた。触れあうのは冷たい検査機器や分厚いバズマットスーツを纏った研究員ばかり。ヒトの温もりなど殆ど知らずに育った。彼女には人生経験だけではなく、ヒトの温もりに対する耐性もなかったのだ。

 

 じわりと染みるシャワーとも風呂とも違う触れ合い。戦場でヒトとぶつかり合うことは数あれど、濃密にゆったりと触れあうことなど殆ど無かった。これであと少しメンタルが健全であれば、恥ずかしさからこの体制に持ち込まれることは無かっただろうが、今日はタイミングが悪かった。

 

 いや、むしろ良かったのかもしれない。立香は彼女のメンタルを癒やすため、彼女が“何を望んでいるか”を察して呼び出したのだから。

 

 マシュは寂しい人生を送ってきた。楽しみも無く、苦痛ばかり溢れる中、まともに話をしたのはDrロマンとダ・ヴィンチちゃんくらいのもの。同年代との接触が無かったのは当たり前だが、彼女には幼少期に受けて然るべきであった“無償の愛”を知らない。人間にはどうしても必要なのだ、一度は自分が自分であるというだけで受け容れてくれる他人の存在が。

 

 知らずの内に欲していた、足りていなかった物を与えられてマシュは固まっていた。例えようの無い安心感と充足感。自分は此処に居ていいのだと、本心から望まれているのだと実感できるほど幸福なことはそうない。ヒトの合間に生きるからこそ、我々は人間なのだから。たとえ作り出された命だろうと、その身に英霊を宿そうとも何も変わらないのである。

 

 「マシュは頑張ったね、本当にいい後輩だね」

 

 ぽつぽつと立香はマシュを誉め始める。傷ついた心を癒やすように、ささくれだった感情を均すように。

 

 抑えていた感情が言葉を契機に溢れ出し、マシュは涙を抑えることが出来なかった。子共のように、否、子共らしく鳴き声を上げて縋り付く力を強くする。戦闘状態になくとも英霊の加護によって増大した力で抱きしめられても、立香は呻き一つ挙げず受け容れ、ただ彼女を撫でて誉め続けた。

 

 どれ程の時間が過ぎただろうか。薄衣の寝間着が涙でしとどに濡れた頃、漸う鼻を啜るのを止められたマシュは、ぽつりと怯えた声で語りかける。

 

 「しぇん……ぐすっ、先輩……」

 

 「はい、なにかな?」

 

 「ひとっ、ひとつ、聞いて良いですか……」

 

 「ん、何でも聞いて」

 

 許可の後、それでも暫く逡巡してから、マシュは勇気を振り絞って、今まで蟠っていた心の中の願いを打ち明けた。

 

 「もし……もし私が……先輩の左目が欲しいっていったら、先輩は私にくれますか……」

 

 鼻声での懇願。それはきっと、子共が親に見せる独占欲に似た幼い感情。自分が好きな御菓子を親が他の子共にやっていれば、子共は自分も欲しいと思うはず。あの冬木の朝焼けの中、掌の上で輝いた瞳に魅せられたのは鬼だけでは無かったのだ。

 

 悩むことも無く捧げられる身体は、全幅の信頼の証か、それとも他の感情が込められているのか。人間として幼い彼女には理解できなかったが、捧げられた身体の一部が尊いことだけは分かった。

 

 今も覚えている。鬼の喉が蠕動して眼球を嚥下した時に覚えた心のざわめき。あれは恐怖でも痛ましさでもなく、紛れもない嫉妬だったのだ。自分もあれほどに思われたい、自身の掛け替えのない身体を差し出されるほどに、そう彼女は焦がれ続けていた。

 

 やっと心に蟠り、焦げ付いた願望を口にすることができた。先輩は自分を受け容れてくれる、愛してくれていると実感できて。

 

 立香の回答は、彼女の頭を抱き込むように身を寄せてなされた。囁き声は彼女の耳朶だけを揺らし、体温と同じようにじんわりと染み込んでいった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、毎度の如く英霊達はレイシフトの準備に追われていた。そろそろ次の特異点が見つかりそうなので霊基を鍛えるのもラストスパートに入りつつあるからだ。昨日とは面子を少し入れ替えながら、またとんでもない修羅場になりそうな次の特異点に備えた呪物集めである。

 

 置いていくと喧しいので今日もメンバー入りした茨木童子であるが、ふと普段と違うことに気付いた。

 

 自称マスター一番の盾にして最後の盾ことマシュの間合いが近いのだ。一歩後ろが定位置であったのが、今日は珍しく左隣にぴったりと寄り添っている。昨日気を遣ってやったこともあり、色々な階段を上ったのであろうか。

 

 そう思って茨木童子がからかってやろうと近づけば、またマシュも彼女の存在に気付いた。が、なんとマシュはそこで見せ付けるように立香の左腕を抱いたと思えば、つま先立ちで左の瞼に口づけをしたではないか。

 

 出撃前の静かに沸騰した空気が一瞬で凍った。一部のサーヴァントは事態を飲み込みきれずに得物を取り落とし、一部のサーヴァントは嫉妬に狂って即座に発狂し、そして何とか事態を飲み込めた一部のサーヴァントは発狂した面々を取り押さえに掛かる。

 

 対し挑発……いや、最早喧嘩を正面から売られたに近い形の茨木童子はといえば、何とも外連味たっぷりの表情で笑い返したではないか。小娘がやってくれると馬鹿にしていると言うよりは、お前にしてはよくやったではないかと誉めるような、それでいて調子に乗るなよと威嚇するような笑顔であった。

 

 「左目は、もう私が予約しましたから」

 

 「ほぉ……? だが先に唾を付けたのは吾ぞ」

 

 「先輩がくれるっていったんです!」

 

 「あ”あ”?」

 

 闘争の予感で沸騰していた空気が冷えた後、別種の熱を帯びて再び沸騰し始める。またやかしたのかあのマスターと呆れる者や、何それ狡いと騒ぎ出す者など反応は様々なれど、一番拙いのは……金色の鬼だ。鬼とは言えどおなごがしてはならない凶相を造り、髪は怒りから熱を帯びてうねり始めている。

 

 並の英霊なら引くほど強すぎる殺気が放たれるも、盾の英霊は自慢げに胸を張りながら真正面から受け止めた。どうだ、羨ましいだろうと言わんばかりに。

 

 「先輩は仰りました! 人理を救ったらご褒美に左目をあげると! 私に! 茨木さんにではなく、私に!!」

 

 勝ち誇る後輩、額に青筋を浮かべ虚空から取り出した大骨刀を握る鬼。マスターは次の瞬間にも戦場になりそうだというのに、こまったなー、くらいの顔で曖昧に笑っていた。はよ令呪切れよ! と常識人勢からの懇願が目線に篭めて叩き付けられるが、それが届くかどうかは神のみぞ知る。

 

 「……階段を上ったと思ったら降りていたか…………」

 

 そして昨日のことを知る一人の剣客は宿酔いの残る頭を抱え、鉛のように重い吐息を零すのであった…………。




もうこれR-18じゃなくてR-15でよかったかもしれんなぁ。

峰打ちをするサーヴァントはするし、平気でぶっ殺すサーヴァントはしないだろうということで、レイシフト時にまま地獄が展開される設定と相成りました。そして三話目にしてさっさと拗らせていく後輩。まぁ、まだ底は見えていないのでずんずんいきましょう。

さて、弊カルデアは割と高レア勢もいるのですが、次は誰を拗らせようか。紅茶キメてる勢かなぁ……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。