前中後編の分量がめちゃくちゃ過ぎますね……。ごめんなさい。ドスケベな話に精が出すぎる。
※尿注意です。苦手な方は読み飛ばして頂けると。
瞬きを忘れ、目を見開く。
「……!?」
今の俺を傍から見たら、とんでもなく間抜けな顔をしているんだろう。……そしてそんな様子がこの会議の場で見過ごされるわけもなく。
俺を見て怪訝な表情を浮かべるのは一人や二人ではない。その内の一人、立派なひげを蓄えた爺さん提督──だったはずの
『
席から見るに、恐らく横須賀鎮守府の主なのだろう。そんな彼女に名指しされた俺に、大会議室で席に着く全員の視線が集まる。よりどりみどりの女性の目、目、目。
「あっいえ、その……」
何か? って俺が聞きたいわ! ……見知ったおっさん共が女になれば誰しもこんな風になるだろう。そう大声で叫びたい気持ちに一瞬駆られたが、実行した暁には精神異常の疑いで懲戒免職まっしぐらだろうから口を噤んだ。しどろもどろになりながら、なんとか別の理由を見つけ出して俺の発言とする。
「……ぎっ議題に関してなのですが、かねてよりの懸案事項にプラスして新たな問題が見られるようです。議論の前にそちらも確認して頂こうと」
『ほう……宜しく頼む』
「はい!」
緑の黒髪を後ろで1つにまとめた美女は、俺に続けろと促す。あっぶねえ、かなりグレーなラインだが危機は脱したみたいだ。俺は側に控えていた鳳翔に命じて、自作した書類を各提督に配らせる。
落ち着け、落ち着け俺……! すんごい大きなおっぱいの彼女の谷間より、今は会議が
「それでは、お手元の紙をご覧下さい──」
ここから先はよく覚えていない。ただ、会議を滞りなく終えられたらしい事だけは救いだった。
†
「提督、体調がよろしくないのですか? 先程の会議は……」
「だ……大丈夫。少しびっくりしたことがあっただけで」
庁舎の廊下で、俺と並び立つ鳳翔が気を遣ってくれる。すごく心配だと顔に書いてあるようなその表情。「おっさんが女になってたんだよ」って素直に話したらゴミを見る目に変わってしまうんだろうか。
……会議が終わり、もう陽が沈む時刻だ。提督としてやるべき事は済んだが、俺にとってはこれから本当の地獄が始まる。
「ちょっと休憩したら飲み会だ。鳳翔も秘書艦同士の集まりがあるんだろ? 会議中は気を張ってて疲れただろうし、羽を伸ばしてきなよ」
思わずため息をつく。今日は沢山の女性にお酌祭りか? おっさんじゃない分余計に空気読む力を試されそうだな……。
†
秘書艦同士、是非仲良くなりましょう。そんなことから各鎮守府の艦娘が集められたのは、鳳翔も昼間に利用した食堂だった。
その隅にテーブルを複数個合わせた即席の大きな机が形作られ、周囲の思い思いの椅子に少女達は腰掛ける。鳳翔も例に漏れず、とりあえず適当に席を取った。
机の中央にはバスケットに菓子、つまみが山のように盛られている。ソフトドリンクは2リットルのペットボトルがいくつかあるものの、人数と比べて明らかに少量だ。
その代わりに350ミリリットルのアルコール缶が所狭しと置かれていることから、ジュースはチェイサー程度、飲酒は必至だろうと推測される。
「お久しぶり! 合同演習以来かしら」
「ホントですね〜」
お互い面識のある艦娘も居るようでぽつぽつと会話が紡がれるものの、鳳翔を始め大半は初対面だ。会議の直前に会釈したくらいの関係でしかない。
そんな中、一人の艦娘がおもむろに立ち上がって周囲を一瞥し、口を開いた。
「えーこの度は、お、お日柄も良く──」
「山城早くー! 酒を飲ませろー!」
山城と呼ばれた女性はその幸薄そうな顔を不機嫌に歪ませ、野次を飛ばした三編みの少女を睨む。その後、ため息交じりに口上を省略して続けた。
「……横須賀の山城です。親睦を深めて頂けるよう準備しました。宜しくお願いします」
「テンション上げてー! 」
「あーもう……では、乾杯」
横須賀鎮守府秘書艦・山城の言葉が音頭となって親睦会が開かれる。
「かんぱーーーい!!」
「か、かんぱー……い」
主催とは対照的に威勢のいい艦娘達が声を張る。若干気圧されつつ、鳳翔も後に続いた。
†
……どうしてこうなった。
「いや〜木南くん最近はどうだい? 資源が足りなくなったらいつでも頼ってくれたまえ! さあさあ!」
「ど、どうも……」
手元のコップになみなみと注がれるビール。泡と液体とが層を作る様を眺めつつ、
次から次へと俺のもとに提督がやってきて、俺からのお酌どころか席を立つことすら許されない。しかも誰が誰だか、どこの提督だか分からないんだから心労がかさむ。
あぁ、また違う人に代わる。階級章は大佐。首元まで伸びるポニーテールを揺らしながらその手に持つのは星のラベルの瓶ビール。
「きっ
誰だ……。凛とした顔立ちで、いかにも武人然とした姿勢の良さを見せる女性が俺の隣に腰掛ける。
「えっと……そ、そうですね! また……」
「本当かい! 予定を練っておくよ」
合同演習、合同演習……ああ! 舞鶴の提督か。以前
どう考えても俺目当てだな……。まあ大きい鎮守府との合同演習は確かに益があるから、向こうから頼んでくれるのはありがたい限り。愛想を振りまいといて損は無いだろう。確か、名前は──
「はい、
いかん、目の前の美女の後ろに、
「はぅっ……よ、よろしく。……さ、コップを」
一瞬自らの胸を抑えた嶋田大佐。心臓の病か? と疑う間にお酌の催促が。
「……ありがとうございます、大佐」
「なに、遠慮はいらないよ。それと、もっと楽な呼び方でいい。特任の君には疲れる言葉遣いだろう」
「あ、ありがとうございます……嶋田さん」
「それでいい」
あぁ、またビールの
「そうだ、それともう一つ……」
そのまま嶋田大佐……嶋田さんは更に言葉を続けようとするが、後ろの提督に小突かれる。
「おい、もういいか」
「ん、ああ……済まないね、この話はまた今度」
それじゃ、と席を立つ嶋田さんを見送りつつまた新たな提督の襲来に備える。ま、またビール……酔いがだいぶ回ってきた自覚があるものの、上司の誘いを断れない縦社会を恨みつつ、俺はまたコップを空にして差し出した。
†
「鳳翔さんとこの提督エロ過ぎっしょーーー!!」
「ねね、彼のこと色々教えてよ。秘書艦なんでしょ?」
「いえ……私はたまたま同行に選ばれただけの臨時役ですので……」
食堂で行われる親睦会は、最初の静寂はどこへやら、今や喧々たる有様である。その話題の中心に居座るのは──いや、居座らせられているのは鳳翔であった。唯一の男性提督、それもそれなりの容姿な彼の付き人とあればこうなるのも当然だろう。
「浮ついたハナシとかないの? 絶対あるでしょあれは!」
「
「いえ、そんな噂もありませんし……不能でもないです」
四方八方からデリカシーのない質問が飛び交う。相当にアルコールが回っているのだろう、見渡すと真っ赤な顔をした艦娘ばかり。鳳翔もそれなりに頬を火照らせつつ、新たに手元の缶のプルタブを引く。
「私だったら3秒で装填だなー。あの提督の酸素魚雷」
多くの艦娘が席を立って鳳翔の周りに集まる中、三編みの少女──北上だけは机にぐでっと伏したままこちらに顔を向けている。
「あっはは! 先制雷撃にも程があるって!」
「ふふん。あーもうヤっちゃいましょー……ってね」
どっ、と場が湧く。先程舞鶴の秘書艦だと名乗った彼女は、飄々とした態度で軽口を叩く。非礼だと叱責したい所だが、酒の席だからと半ば諦め気味の鳳翔。こく、と酒を煽りつつ、アルコールの力を借りて彼女への応戦を試みる。
「提督はそんなに尻軽じゃありません。むしろ女性を避けているかと」
「あーん?」
嘘はついていない。
「あー……まあ確かにこないだ演習したときはそうだったかもしんないねえ」
「鎮守府で心を開かれているのは、私くらいなもの……です」
思い出すように虚空を見上げる北上相手に、つい威勢のいい言葉を放ってしまう。口を滑らせた、と後悔しても後の祭り。ハッとして彼女の方を見やれば、恐ろしいほどに口角を上げたニヤけ顔が鳳翔を見つめている。
「へええー……」
ヒューッ、と二人を取り巻く内の誰かが煽る。鳳翔は自分の言葉の恥ずかしさ、周囲の好奇の目に耐えられなくなり縮こまってしまう。が、これだって嘘じゃない……はずなのだ。
常識で考えて、男性が女性に対して脱ぎたての上下の下着なんて渡すわけがない。世の
──そう自分を奮い立たせる鳳翔だが、次に続く北上の言葉に虚を突かれる事となった。
「じゃあさ、しちゃいなよ。
……は?
「同室なんでしょ? 今夜、しっぽりとさあ」
「そ……そんなこと、考えたこともありません」
嘘だ。提督に誘われて真っ先に思いついたものの、意識の外に無理やり押しやった発想。たった今北上に掘り返され、実行可能なタイミングがあと少しでやって来る事を強く意識してしまう。
「提督もお酒入ってるわけだし、ちょっと押せばいけるって」
「や、やめてください」
「据え膳食わぬは
脳裏に浮かぶのは提督の乱れた姿。妄想の産物に顔を更に赤らめつつ、度を過ぎた北上への怒りが生まれる。これ以上心の中を乱されたくない。
「いい加減にっ──」
「はい。二人ともそこまで」
パン、と手を叩き、山城がストップに入った。
「親睦は深まったみたいだし、お開きにしましょう」
「えーっ、夜はこれからじゃない」
「明日朝早く帰られる提督もいらっしゃるでしょう。さっさと帰り支度して寝るべきよ」
冷静な彼女の言葉に、他の艦娘達が渋々引き下がる。北上もぶーたれながらも従う様子だ。
「後片付けは私と
「はーい」
「お疲れ〜」
「あ……私、手伝いますね」
多くの艦娘が食堂から退出する中、鳳翔は周りのゴミを整理し始める。
「鳳翔。いいって」
「いいえ、手伝わせて下さい。空気を悪くしてしまってすみません」
「はぁ……気にしてないわ。まったく北上は手に負えない。主催なんてやるものじゃない……不幸だわ」
手を動かしている内は邪念に囚われずに済む。更には深いため息をつく山城の助けにもなると言うのなら、手伝わない道理は無かった。
†
はぁ、はぁ……。
宿舎の階段を小走りに登る鳳翔。玉のような汗を流し、時折片手を内腿に添える姿からは相当の焦りが見える。
結果的に、片付けは中々に時間がかかった。ゴミ捨てや机と椅子の位置の修整といった仕事量に対して、人手不足にも程がある。
数時間に続いた親睦会の間、ずっと話題の中心人物と置かれて一度も手洗いに立たなかった鳳翔。彼女は頭の中で存在感を増す尿意に気が付きつつ、手伝うと言った手前離脱も憚られるとして黙々と作業を続けた。──その結果が、これ。
──も、もう限界……っ。
幾度となく緩みかけた
深夜の清掃で鎮守府庁舎のトイレは閉じられ、自室へ向かうしか選択肢がなかった。アルコールの利尿作用が響き、膀胱は既に張り詰めているのに腎臓から新たな水分が送り込まれ続ける。部屋に着き次第直ぐに扉を開けられるようにとカードキーを握るその手には汗が滲んでいる。
あの時、他の艦娘と同じようにお手洗いへ行っておけば。スッキリした表情の彼女達の顔が思い出され、後悔ばかりが胸に去来する。今朝の我慢の比ではない辛さに視界がチカチカする。
頭の中はもうこの我慢からの開放しか考えられなくなっていた。部屋の入口、ユニットバスと扉を二つ開け、目の前に待つのは白い陶器──洋式のお手洗い。そこに座り込み、乙女の熱水を、放つ。
片付けの最中から何度その妄想をしただろう。とにかく、下腹部に重くのしかかる強い排尿の衝動をなんとか相応の場所まで持ち堪えさせることが現在の彼女の命題だった。
どうにか、宿泊している部屋の階に辿り着く。あと少しだけ歩けば……手前から3つ目の部屋、そのドアノブの少し上にカードをかざして、開いて、ユニットバスへ。そして──。
「きゃん……っ!」
微かに見えた希望を前にして、秘められたダムもその限界を強く訴えかける。甘い誘惑に傾きかけた意識を再び叱咤し、覚束ない足取りで前へ進む鳳翔。
──駄目、でちゃう……まだ……あと少しだけ……!
1、2、3つ目の扉。誰も見ていないのを良い事に、袴の上からぎゅうっと股間を抑えつつ、震える手でカードキーをかざす。
キーの認識の数秒すら果てしない時間に感じながら、引いた腰を左右に大きく振って耐える。電子音が響き、扉が解錠されるや否や、彼女は排泄を許される場所まで駆け出した。
ユニットバスのドアノブに手を掛け、開く。──と、中から水音が響いている事に気付いた。前を見れば、バスタブのカーテンが閉じられている。その幕に照明によって浮かび上がっている影が一つ。すらっとした身体、女と違い無駄な脂肪の無い胸──
「て、提督っ!?」
『あ、鳳翔か。おかえり』
思わず素っ頓狂な声を上げてしまうが、それどころではない。尿意を増幅させるシャワーの音、視界に捉えた白い器。
もはや恥も外聞も考えている余裕はなく。
「も……もう駄目っ! 漏れちゃう!」
『へ?』
扉を閉めることすら忘れ、片手で袴を腰上に、ショーツはもう片方の親指に引っ掛けて辛うじて股下数センチにずり下げる。
露わになる鳳翔の薄く茂った陰部、陰唇、尿道口。漏らせば汚してしまう筈だった衣服が取り除かれ、外気に触れた括約筋がその仕事を放棄する。
「はぁ……っ!」
──出る……!
腰を便座へ落とす直前からフライング気味に飛び出す、彼女の小水。我慢に我慢に我慢を重ねた鳳翔の努力が実を結ぶ瞬間。陶器製のトイレの底面へ、激しい水流が打ち付けられた。
†
じょろろっ──しゅいいいいいい。
飲み会がお開きとなりシャワーを浴びていた俺。遅れて部屋へ戻って来た鳳翔は、開口一番に我慢の限界を訴えてきた。困惑する俺とカーテン一枚を隔てた向こうで鳴り響くのは……。
「んっ……はぁ……っ」
シャワーでも掻き消されない水音と鳳翔の幸せそうな吐息。とてつもなく艷やかな声。水音も一向に終わる気配がない。
これ……おしっこだ。鳳翔の……それも、ギリギリで間に合ったもの。
現状を把握……すれば、するほど……。……駄目だ、頭がクラクラしてきた。体を洗うことをやめ、タイル張りの壁に手を添えて身体を支える。全身の血液が俺の
どくん、どくんと鼓動に合わせて、俺の陰茎は段階的に仰角を成していき怒張する。
†
しゅいいいいい──
膀胱の半分は空になっただろうか。未だ水勢は衰えを知らないが、放心状態からやや平静を取り戻すことに鳳翔は成功する。放尿以外の事を考えられるようになって真っ先に思うのは、余りに性的なシャワーカーテン。
「……」
見てはいけないと心の中で思いつつ、意に反して視線はバスタブの方へ向かってしまう。
シャワーを浴びながら壁に両手をつく提督のシルエットの美しさに吐息が漏れる。だが──先程まで見られなかった部分、正確に言えば股間から飛び出す影の存在に気が付いた。
石鹸? シャンプーの容器? さっきまで無かった影なのだから、考えられるのはそれくらいか──と思ったところで、一つ見落としていた事実に気付く。
──これ、提督の──
男性の下腹部で大きくなるもの。鳳翔の目の前で繰り広げられるこれは、間違いなく──
勃起。
「……っ!!」
理解した瞬間、下腹部の膀胱の裏にきゅんと電流が走る。呼吸が浅く乱れ、目がそこから離せない。おおよそ人間の心拍数と同じテンポでびくり、びくりと大きくなるその影。それにつれてはっきりとシルエットに形作られていく段差、凹凸は、鳳翔が本で読んだ限り亀頭、カリ首、裏筋と呼ばれる部位なのだろう。
「はっ……はっ」
カーテン越しの、すぐそこに男性のいきり立った性器が存在しているという事実に信じられないほどの興奮を覚える鳳翔。開いた口から呼気が漏れる。カー……と紅潮するのは頬に留まらず、全身が熱を持ったかのような錯覚に陥った。
最大の角度になったかと思われた提督の剛直だが、まれにびくんと根本から上下する様を見せる。そういった動きの全てが彼女の瞳に新鮮に映った。
しゅいいい──ちょぼぼ……。ちょろっ、ちょろっ。
しばらくして溜め込んでいた熱水を全て出し切り、紙を巻き取って陰部についた残りを拭った。この時も、提督の
もう一度同じルーチンを繰り返し、ショーツと袴を元通りに穿き直して立ち上がると、トイレの水栓をひねる。こうして、鳳翔の危機は過ぎ去った……のだが。
途轍もない衝撃で上書きされた鳳翔の頭の中に、最早先程までの苦痛の記憶はない。
「失礼しました、提督」
『ん、ああ』
びくん、とまた跳ねる剛直。それを凝視する鳳翔の腹の奥も締め付けられ、下着に水気が染みる。
『風呂は少しだけ待ってくれ。もうすぐ出るから』
「いえ、ごゆっくりして頂いて構いませんよ。……それでは」
手を洗うとユニットバスを出た鳳翔。静かにドアを閉め、ふらりと自分のベッドに向けて倒れ込む。
「はぁあ……」
今見た光景を絶対に忘れないよう脳裏に刻み込む。興奮のあまりマットに顔をぐりぐりと
優しく揉み込むように指をくねらせながら甘い刺激に身を任せる。絶頂には至らない指使いだが、代わりに心地よさで胸が満たされる。このまま浅く眠りに就いてしまおうか──という所で、ユニットバスから提督が現れた。
「鳳翔、風呂空いたよ」
「ん……ありがとうございます」
提督を見やれば、部屋に備えられたバスローブを身に纏い、火照った首筋、胸元を晒している。普段の鳳翔ならこの時点で相当の興奮を覚えるはずだが、今回は違った。
──あ、もう膨らんでない……。
ちら、と下半身を盗み見て少しだけ残念な気持ちになりつつ、彼女は入浴の準備に手を付ける。
「ふぅ……」
湯浴みを済ませ、持参していたゆったりめの寝間着を纏いつつ蒸し暑い風呂場から戻った鳳翔。普段は後ろでまとめている髪も今は下ろし、あとは就寝するだけといった出で立ちだ。
提督がスイッチを切ったのだろう、寝室はメインの照明は大方消灯されており、枕元の間接的な明るみに照らされるのみでぼんやりとオレンジ色に染まっている。
鳳翔に背を向けるように寝転がる提督からは規則的な呼吸が聞こえてくる。まだ日付は変わっていない──飲み会の始まりが早かったお陰でそこまで遅い時間ではないのだが、出張の疲労が溜まっていたのだろうか。
「お疲れさまです、提督……」
ぽふ、と提督のベッドに腰掛ける。掛布の上から寝転がっている提督。照明の影に隠れてその表情は見えないが、きっと安らかな顔をしているんだろう。
男性でありながら多くの艦娘の上に立ち、
『──しちゃいなよ、夜這い』
「……」
唐突に、北上の言葉が脳裏をよぎる。が、鳳翔は頭を振って否定した。そんなことはしません。今の関係が崩れてしまうような事なんて──と心中で天使と悪魔が戦争を繰り広げる。その
「んん……」
こちらに背を見せる体勢から、仰向けになろうと動く彼。
バスローブが無理に引っ張られ、へそから足にかけて肌が露出される。そして、鳳翔は目の当たりにするのだ。──パンツ越しの勃起を。
「っ!」
伸縮性の良さそうな素材の下着をこれでもかと押し上げるその姿。伸びきった薄布はその肉棒の先端の凹凸を、間接照明はその陰影をはっきりと映し出す。
「て、提督……っ」
鳳翔にとって2度目の遭遇。先刻の衝撃から、ようやく激しい性的興奮から抜け出したばかりだったのに──まるで差し水で落ち着いた熱湯が少しの加熱で吹きこぼれてしまうように、いとも容易く鳳翔の中で劣情が再び鎌首をもたげた。
──見たい……見たい。
胃の上辺りがぐわりと締め上げられる感覚。
──見たいっ!
ぶるん、と露わになる──提督の、陰茎。
「〜〜〜っ!!」
ペニス、男根、おちんちん。数々の言葉で言い表されるそれは、まさに世の女性にとっての淫欲の原点。エロスの根源。この時世、どれだけ願っても触れることなく生涯を終える可能性もある部位。
それが今、目の前にある。
「はあっ、はあっ……」
鳳翔の眼下で、一切の萎えを見せず直立する棒。先端は紅く、竿は浅黒く。根本で広がる茂みすら鳳翔の興奮の材料となる。
寝室に響くのは、提督の整った呼吸と鳳翔の獣のように荒げた息の音。
──あ、ショーツ……。
脚をすり合わせるだけで粘性がクロッチから滲み出す。愛液がとめどなく溢れる様を文字通り肌で感じつつ、その不快感も剛直を前にした興奮で即座に上書きされた。
がばっ、と鳳翔は提督の太ももの間へ伏せる。視界一面が提督の陰部となり、そのまま見上げた。重力に逆らい、天を衝く怒張を前についに我慢ならなくなった鳳翔は、更に顔を近づけて──
「──はぷっ」
亀頭にしゃぶりつく。
†
女性の嗅覚は敏感だって聞いたことがある。男はオナニーしてから最低2時間は身体からあのニオイが漂ってるらしく、女はその臭みにすぐ気づくらしい。
だから必死で抜くのを我慢した──手を触れずとも至ってしまいそうな興奮を乗り越えて。次にユニットバスを使用する鳳翔が不快なニオイに戸惑わないように。自室に戻ったら何を差し置いてもまずはぶっこ抜くことを胸に誓って。
この宿舎に俺が自慰をするスペースなんてない。悶々としたままベッドに横になったものの、アルコールの手助けもあってすぐに俺は意識を手放すことに成功した。
……のだが。
『んっ……んふっ……』
くぽっ、ちゅる……じゅるる……
なんだ、この音? 何かを吸うような、舐めとるような……。眠りから浅く覚めた俺は目を閉じたまま、まずその響きを耳にする。それよりなんだか股間が温かい……気持ちいいな……。
──いや待て。股間? 物音もそこから!?
寝起きで思考が定まらないままに異変を察知する。わけも分からないまま、俺は瞼を開いた。
「……んっ!!!?」
目にしたのは、俺の上に跨がる……緑色のバケモノ。 なんだあれ!?
「んんっ!? ん!!?」
即座に起きようとしたのだが、ぴくりとも身体が動かない。かっ、金縛り!? こんな時に! ……んあっ♡
小さい頃にかいけつゾ○リで見た宇宙人のようなソレが、タコのように伸ばした口で俺の大事な息子を包みこんでいた。じゅるりと音がすれば、敏感な先っぽから電流が走る。
た、助けっ……! 首も満足に回らない俺は必死に目を横に向け、鳳翔のベッドを見る。彼女はすやすやと就寝中だ。起きてくれ鳳翔! 宇宙人に俺の遺伝子を研究されちまうぞ! きっとそのデータを基に地球を滅ぼす気なんだ、奴らは!
「ほ、鳳翔……! ほっ♡ 翔……」
やたらに情熱的な舌使いに意識がかき混ぜられる。この状態をどうにかできるのは鳳翔しかいない。満足に回らない舌で、必死に彼女を呼んだ。
気付け、助けてくれ! 鳳翔……!
†
雑誌やネットで聞き齧った知識を基に、ふんだんに唾液を絡めた舌──鳳翔の
ちゅ、れろ……じゅぽっ。じゅぷっ。
瑞々しい唇で鈴口とキスを交わす。そのまま吸い付き、提督の溝を下から舐めれば、上端を刺激した瞬間に肉棒が大きく跳ねた。
興奮が止まらない。ふと提督の顔を伺うと、眉をひそめ、眠ったままに悶える提督の淫靡な表情が。
はあっ……提督、提督……! 以前何度も堪能した提督のあそこの匂い、下着の匂いの主は今、自分の粘膜の中。
しっとりとした陰囊を片手で玩び、舌は真っ赤な肉の鈴口を。コンクリートのようにがちがちの竿と、熟れた果実のようなハリをもつ
「ほっ、鳳翔……鳳、翔……」
「……っ!
──んはぁっ……っ!
ぞくぞくっ、と背筋に走る快感。オーガズムとは違う、だがそれより甘美な稲妻で脳内がどろどろと融解する。提督へ色目を使う人間を見るたびに胸に積もっていた、黒い……何か形容できない感情が瞬く間に浄化されていった。
今は、今だけは──提督は私のもの。
じゅっじゅっ、くぽっ、じゅるるる。
やがて提督の大切な二つの宝石が怒張の根本へ寄っていく。鳳翔はこの現象を、雑誌の特集で知っていた。
「鳳翔っ……!」
「ふっ、ふぅっ!」
じゅぷっじゅぷっじゅぷっ。
射精が近いのだ。また一段と腫れ上がった亀頭からとめどなく先走りが垂れる。提督の息が荒れる。口蓋と舌で包み込まれた肉棒は、淡くも激しい摩擦で性感の頂きまで昇り詰めようとしていた。
そして、それは訪れる。
「……んぐっ!」
びくっ! と提督の腰が跳ねた。
──びゅるるっ! どくっ! どくっ──
「っ!!」
鳳翔の口内に放たれる、精。オーガズムの収縮を舌と唇で感じ取る。
イかせてる! 男性を……提督をっ! 射精させてる!!
その事実を理解し、遅れて鳳翔も軽く達してしまう。
一般的に絶頂とは、女性は達し易いものの、男性のそれを女性が導くのは相当な技術か心の繋がりが必要と言われていた。初めての口淫で提督を悦楽に浸らせたとあっては、歓びも相当なもの。
ちゅっ……ごくん。
ほんの少しもこぼさないように鈴口を吸って子種を口に含むと、ゆっくりと嚥下した。むせ返るような雄の匂い。力尽き、萎えた陰茎。これほど女の性的欲求を満たす光景は他に無いだろう。
「提督……提督っ」
満足した鳳翔は愛おしそうに陰茎へ頬擦りをする……が、そこでハッと我に返った。冷静に考えて、これは
「いや……これは、違っ……!」
血の気が引いた顔で現実を否定する鳳翔。その間もぷにぷにと海綿体をつつく指は止めない。
──これが提督に知られたら、今度こそ本当に解体されてしまうかもしれない。提督に会えなくなってしまうのは……嫌。絶対に、嫌。
そう思い立つや否や、素早い手付きで後始末を始める鳳翔。ウエットティッシュで陰部を拭き取り、衣類の乱れを直す。情事に関する一切の痕跡を隠滅せんと動く彼女の技術は、日々鎮守府でこなす家事のノウハウが活かされていた。
「……これでよし、と」
30分後。すっかり家事モードとなった鳳翔は達成感に包まれつつ、隣のベッドへと潜っていった。
静まった部屋に残されたのは、栗の花の匂いだけ。
†
翌日。宇宙人に搾り取られる夢を見て気分が優れない提督と、妙に肌がツヤツヤとした鳳翔──全くもって対照的な姿で出張から戻った二人を見た
しかし、誰が言ったか『あの鳳翔さんの事だから、横須賀鎮守府の大掃除でもしたんじゃないの。んで、提督にも手伝わせたとか?』という推測に、鳳翔の人望もあってか誰もが納得し、事態は収束の一途を辿った。
「う〜ん、本当かなあ……?」
たった一人、吹雪だけに違和感を残して。
すっかりおしっこは一般性癖だと思いこんでおりました。反省です。
次回
海防艦、それは艦娘として任用のできる限界。
海防艦、それは全ての終わり。
ここに手を出して、人は逮捕の運命を変えられはしない。……真っ当な貞操観念の世界なら。
海防艦数隻、引率の"有明の女王"、宿命の明石と鳳翔。
それぞれの宿命の限界まであと僅か──
提督まで、あと僅か。
『強襲、ロリ限界点』
嘘です。