朝潮「イくとこ見てて下さい!!」ビクビクー
朝潮(賢者)「司令官に自慰をみせつけてしまった…解体か…」
提督「まあ処分は無しで」
朝潮(興奮)「もう司令官に見られながらじゃないとイけないわ」
朝潮と一騒動あってから数日。
まだまだ日が高く昇る昼下がりの執務室には、秘書艦の吹雪と、一枚の書類を前に頭を抱える俺の姿があった。
「あ~……」
あーとかうーとか意味も無く声帯を震わせる俺を見かねてか、吹雪が口を開く。
「今度はどうしたんです?」
コトリ、と俺の机に配された湯飲みから上がる湯気。書類から目を逸らすように俺はそちらへ手を伸ばす。
「パーティーだよ。パーティー」
「は? パーティー……ですか?」
そ、と返事をする。緑茶をちびちびと口に含みつつ、改めて目の前の文書に目を通した。
「
──会議とは名ばかり。深海棲艦の侵攻も大分抑えられている現在、この会議の内容なんてたかが知れている。俺にとって問題なのは──
「会議の後の飲みが嫌なんだ……」
「そうなんです?」
「ああ。全くもって」
体育会系を極めたようなこの職種において、まだ(上層部では)若輩者の俺が飲みに交ざればどうなるか。
「お酌、お酌、お酌……って感じでさ。疲れるったらありゃしない」
自分の席に座る時間など無いに等しいんだ。思わずまた溜め息をついてしまう。
……が、ここまでの説明を持ってしても、吹雪の顔はクエスチョンマークを浮かべたままだ。
「……え? 司令官がお酌するんですか?」
「そう。年齢が下だから──」
「
──ん?
吹雪の目が少しだけ怒気を纏っているような、そんな感じがする。彼女の言葉に疑問を呈そうとして、少しだけ言葉に詰まった。
「え、どゆこと?」
「あ……いえ、何でもないです。さ、仕事しましょ、仕事!」
言葉を濁されたまま吹雪に話題を流される。……まあいいか。そんなことを呟きながら文書に印を押した。
あっそうだ、秘書艦には先に伝えとこう。今回の出張は俺一人だけの用事じゃない。
「そうそう。会議の時は大本営で一泊するから」
「了解です」
手元の書類を整理しながら答える吹雪。だが、次に俺が続ける言葉に目を丸くする。
「同伴に艦娘一人つけてね。申し訳無いけど同室だろうなあ」
「艦娘同伴ん!? どど同室っ!!?」
ガタンッ、と音を立てて立ち上がる吹雪。
「うおっ!」
ビックリしたあ! なんだ急に。
「艦娘同伴で一泊二日ですか!?」
「そ、そうだけど」
鼻息が荒いぞ。何かマズったかな? 俺の困惑をよそに、ぐわっと此方を見つめながら吹雪は続ける。
「で、誰を連れてくんです!?」
「ああ、そりゃ勿論。秘書艦……」
「えっ///」
「以外の誰かだな。俺の留守を任せられるのは吹雪しかいないし」
「……」
トゥンク……という擬音が聞こえてきそうな顔から、一気に放心といった表情に移り変わる。
お前そんなに鎮守府から出たかったの? 有給残ってないの?
「そうですか……。頑張ってきて下さい……」
「お、おい大丈夫か」
「元気です……」
ふらりと席についた吹雪を心配しながら、業務を再開した。めっちゃ虚ろな目してるんですけど……。
「……今度夜中にドライブでもしようか。車出すよ」
いけね、吹雪を見かねて思わず口から出任せが。
「えっ!? ……本当ですか!? 嘘じゃないですよね!?」
俺の言葉に、またすごい勢いでがっついて来た彼女。まるで抜け出た魂が戻ってきたみたいだ。
「お、おう。朝までに帰れば仕事も大丈夫でしょ。一徹出来る?」
「はっはい! 余裕です、朝まで
よかった、機嫌を直してくれたみたいだ。両目に炎を灯しながら「朝帰り、朝帰り……」と呟く姿はこの際見なかったことにしよう。
はぁ……それはそれとして、やっぱり会議は憂鬱だ……。
そうだ、こういう日は
†
居酒屋鳳翔。日が暮れると店先に暖簾が掛かるここは、その名前の通り艦娘・鳳翔が開く店だ。
あくまで艦娘達のコミュニケーションの場、鳳翔が趣味である料理の腕を振るう場であり、利益を上げるための場所じゃない。模擬店とでも言うか。
「珍しいですね。提督がお見えになるなんて」
「色々あってな」
俺は今、鎮守府の外れに位置するこの店で酒を煽っていた。憂鬱から気を逸らすのにアルコールは最適だろう。
「来てくださって嬉しいです。常連の皆さんは遠征でいらっしゃらないし……」
「ああ、道理で俺しか居ないわけだ」
図らずもここの常連を全員すっ飛ばしてしまっていたらしい。静かな店内の様子に納得しつつ、お猪口に注がれた日本酒をぐいっと飲み込む。
鳳翔の儚げな笑顔が調度いい
「──でさあ、大本営からまた会議の招集かけられちゃって」
「あら……」
そうだ。俺に同伴してもらう艦娘、鳳翔にお願いしてみようかな。一緒にいて一番安心できるのは彼女で間違いない。
「話変わるんだけど、その会議、一泊二日でさ」
「ええ」
「艦娘を一人同伴させる決まりなのね。その相手には悪いんだけど、同室で」
ぴくっ、と鳳翔の眉端が動いた気がしたけど……見間違いだろう。
「ええ……。それで、どなたと行かれるんですか?」
「それなんだけど、まだ決まってなくて。……良かったら、鳳翔どう?」
鳳翔の、皿を拭く手が止まる。全く予想だにしなかったという目で俺を見るとみるみる顔を赤らめていった。
「えっ……」
「心配事の多い出張だけど、鳳翔と居れば安心出来るんだ」
「っ……」
俺は少しだけ恥ずかしくなって思わず視線を下に向けてしまったけど、鳳翔に思ったままを伝える。
ちらりと彼女を見上げれば、真っ赤な顔に目を潤ませていて……なんだか少し震えている。
「……っ、…はぁっ…」
……息も荒いのか? どういう感情なのか分からない。もしかしてめっちゃ拒否されてる!?
「ほ、鳳翔っ?」
俺は童貞丸出しの不安感に襲われて、答えを急かすように言葉を続けてしまう。
「鳳翔……どうだろう? 行ってくれるか?」
「……いえ、その…っ…ぃ、イッてます……」
鳳翔がようやく口を開いた……と思ったら何?
「へ?」
「あっ……行きます! 是非お供させて下さい」
……あ、OK下りた! うわー良かった……。マジで。
「本当? よかった。断られたらどうしようかと思ってたんだ」
「断るはずがありませんよ。他の誰でもない、提督のお願いなんですから」
何故か上気した顔のままに、にっこりと笑みを湛えて俺を見る鳳翔。こういうのを女神っていうんだなあ。俺は残った酒を流し込むと、席を立った。
「鳳翔、ありがとな! 詳しい予定はまた明日伝えるから」
「いえいえ、同伴の艦娘として精一杯の仕事をさせて頂きます」
「それは頼もしいや。じゃあ」
ガラリと戸を引き、店を後にする。若干の熱を帯びた身体に夜風が心地いい。
「帰って寝て、出張の準備だあ」
月明かりの道を庁舎へ歩いていく。
提督に誘われるだけで脳イキする鳳翔
すみません、前後編になります。