「おはよーおねーちゃーん!」
「わっ……日菜?」
リビングでコーヒーを飲んでいた紗夜に日菜が後ろから抱きつく。
「全く。飲み物を飲んでる時は危ないって言ってるでしょ」
「えへへ〜ごめんごめん」
コーヒーを机に置いて注意する。
しかし日菜は反省しているのか、判断しづらい様子で謝る。
紗夜としては“いつものこと”として最近は片付けられるようになったから、最近はあまり考えないようにしている。
「……あら?」
抱きつかれながらあることに気付く。
「あなた今日出掛けるの? 前に「土曜日は休みー」とか言ってなかったかしら?」
「んー? そんなこと言ったっけー?」
「……言ってたわよ。ほら、今週の火曜日に」
「あははー覚えてないやー」
この妹の適当さには慣れてきたとはいえ、時々本当に心配になる。
紗夜が気付いたのは日菜が外出用の服に着替えていたことだ。
先程の会話の通り、日菜は
紗夜はそれを本人から聞いていて、その日は家で色々すると言っていたのを覚えている。
「なんかねー彩ちゃんがSNSでショッピングするって言ってて、それがるんっ♪ てしたからあたしも行こー、って」
「そ、そう」
内心、彩にお疲れと思う紗夜。
「それと──」
日菜が外に行く理由は他にもあるらしい。
「今日つぐちゃんと過ごすんでしょ? じゃああたしは居ない方がいいよねー、って!」
満面の笑みで衝撃のことを告げられる。
「な──ひ、日菜!? ど、どこでそのことを……!」
誰にも言っていないことを妹に知られてて驚きを隠せない紗夜。
日菜はそんな紗夜を見て、ニヤニヤとすると同時に、とてもご機嫌な様子で話を続ける。
「前にねつぐちゃんに聞いたんだー。おねーちゃんに勉強教えてもらうから楽しみだー、って。内緒にしててって言われてたから黙ってたけど」
「(つぐみさん──っ!)」
つぐみが嬉しそうに話す姿が容易に想像出来る。
今日を楽しみにしてくれてるのはとても嬉しい。嬉しいのだが、出来れば2人の秘密にしておきたかった紗夜としては、複雑な気持ちになる。
「つぐちゃん、今日すっごい楽しみにしてるみたい。学校で「紗夜さんは──紗夜さんは──」ってずっと聞いてくるんだよねー。……あれ、おねーちゃん?」
「そ、それ以上言わないで……十分分かったから……」
同じ学校……それも生徒会に所属しているつぐみと日菜は紗夜よりも話す時間が多い。
生徒会では副会長、会長という立ち位置でもある2人だ。生徒会のことはもちろん、それ以外のことも話し合ったりしているのだろう。
しかしそれがこんなふうに傾くだなんて、紗夜は考えてもいなかった。
別に今日は不健全なことをするわけじゃないから別に隠さなくてもいい。
なんなら、日菜は紗夜とつぐみが付き合ってるのを知っている。これは両バンドメンバーも認知しており、お互いに周囲に支えられて成り立っている関係でもある。
今更隠すのも「この期に及んで……」と思われるだろう。
「そうー? あたしとしてはまだ話し足りないくらいだけど──お?」
更に追撃を加えようとする日菜を止めたのはインターホンの音だった。
これまでの流れからして誰が来たのかは確認するまでもない。
紗夜と日菜は玄関に向かって同時に走り出した。
日菜はただいつも通りにつぐみが来たのを喜んでおり、笑顔で迎えるため。そして紗夜は、その日菜が余計なことをしないように止めるため、だ。
しかし日頃パスパレでトレーニングをしている日菜に追いつけるわけもなく、先に玄関に着き扉を開けたのは日菜だった。
「つぐちゃんおはよー!!」
「わわっ!? ひ、日菜先輩!?」
勢いよく扉を開け相手の確認もせずに抱きつく日菜。
抱きついた相手──インターホンを押した人物は案の定、羽沢つぐみだった。
「おはようございます羽沢さん。ほら日菜、羽沢さんが困ってるから……」
「お、おはようございます紗夜さん、日菜先輩……。え、えーと……日菜先輩……?」
「んーー、んーーーー?」
日菜は紗夜の言葉には耳を傾けず、つぐみに抱きついたまま顔をスリスリと擦り付ける。
当のつぐみがそれを受け入れてるあたり、紗夜も無理やり引き剥がすことを諦める。
「んーー……うんっ! やっぱりあたし、今日は彩ちゃんのとこ行ってくるね! じゃーね、おねーちゃん、つぐちゃん! 」
それからしばらく経った時。
日菜はつぐみから身体を離し、その場を後にする。
「中へどうぞつぐみさん。いつまでも外にいるのは寒いでしょう?」
「あっ……は、はい! 失礼します!」
まるで嵐のような行動で消えていった日菜を見送りながら、2人は家の中へ入るのだった。
「お待たせしましたつぐみさん」
紗夜は飲み物を準備し自分の部屋へ向かった。
部屋──自分の机の前には、先に2階へ上がらせていたつぐみが椅子に座っていて、勉強道具を広げている。
今日はつぐみからの提案で紗夜が勉強を教えることになっている。
唐突な連絡で驚いたが紗夜自身、最近つぐみと会う時間がなく会いたいと思っていたため好都合でもあった。
「(そんなふうに思うのは私だけ、でしょうけど……)」
「? 紗夜さん……?」
心の中で呟く。
つぐみが急に黙った紗夜を不思議に思い、声をかける。
……つぐみさんも、私に会いたいと思ってくれてるのだろうか──。
「いえ、なんでもないわ。始めましょうか」
紗夜は心の迷いを払い、目の前のことに集中する。
「えっと……この部分なんですけど──」
「ふむ。そこは……こちらの公式を当てはめてみてください。そうすると──」
つぐみの分からない部分を教え終わった紗夜は少し休憩を挟むことにした。
「ありがとうございます紗夜さん。このところで詰まってたから……」
「いえ、つぐみさんのお力になれたのなら私としても嬉しいです」
「えへへ……っ」
嬉しそうにはにかむつぐみを見てると、自然と紗夜も顔が緩んでいくのが分かった。
「っ、あ……えと……」
「? どうかしましたか?」
たまたま紗夜の方を見たつぐみと目が合う。
その瞬間、顔ごと目を逸らされたので紗夜は回り込むようにして顔を除きつつ、質問する。
「さ、紗夜さんが近くにいるなぁ……って」
キュ、と服を掴まれる。
そう言葉を漏らすつぐみは耳まで赤くなってるのが分かる。
オドオドと消え入りそうな声で“自分との時間”を大切にしてくれるつぐみに紗夜は愛おしくなり、抱き締めた。
「さ……紗夜さん!?」
突然の紗夜の行動に驚きを隠せないつぐみ。
「──つぐみさん……。正直、私は、ずっと会いたかったです」
「ぁ──。はい……私もです……っ」
言葉を返すのと同時に、つぐみは服を掴む力を強める。
「でも、こんな気持ちは私だけと思ってました」
紗夜もそれに気付き、更に抱き締める力を強めた。
それは、お互いにお互いを求めている証拠で。
「そんな……ことない、です……っ! 私も、紗夜さんと会いたいって──!」
「つぐみさん……。ふふっ」
自然と紗夜は笑みがこぼれる。
「いつかも言いましたが、私達似てますね」
「紗夜さん……。はいっ、そうですね!」
つぐみも笑顔になる。
結局、お互いに似たもの同士。2人は改めてそう思った。
「……あー。それはそうとつぐみさん」
「はい? ──ひゃぁ!?」
先程とは打って変わって、紗夜が微妙なトーンで話す。
「さっきの可愛いつぐみさんを見てたら、我慢できなくなりましたので……シても、いいですか……?」
「ぇ──っ、あぅ……その……ぉ……。〜〜〜〜っ!」
暫く目を泳がせた後、つぐみはおもむろに椅子から立ち上がり紗夜のベットの上に座った。
無言の空間に、体重をかけられたことにより軋むベットの音が響く。
紗夜にはそれが嫌に大きく聞こえてしまい、胸の鼓動が早まるのが分かった。
先程よりも顔を赤くしたつぐみが紗夜の言葉を肯定するかのようにベットに横になる。
「ど──どうぞ……っ」
「(本当に、そういうところが……!)」
ベットに横になるつぐみに覆い被さる紗夜。
「つぐみさん──」
「紗夜さ──んっ……ぁっ」
直後、つぐみの唇に紗夜の唇が重ねられる。
「ぁ……っ、はぅ」
そのままつぐみの口の中に舌を入れ、味わうように動かす。
お互いの粘膜が擦れ合い不思議な気持ち良さが2人を襲う。
「っあ……つぐみ、さん……!」
一度口を離し再び重ね合わせる。
今度はつぐみが求めるように舌を突き出してくる。
紗夜はそれを唇で優しく啄む。
「あっ……っ!」
背筋にゾクッと快感が走る。
つぐみは尚も動かす紗夜の舌に、同じようにして返す。
「〜〜っ」
突然のことに驚きつつも、目を閉じて身体を震わせた紗夜を見て、つぐみは頬が緩んでしまう。
2人はそうやってキスをしあった後、唇を離した。
お互いに熱っぽく息を吐きつつ、言葉を交わす。
「つぐみさん……可愛いです」
「さ、紗夜さんだってかわ──ひぅ!」
少しムッとしたつぐみも言い返そうとするが、その言葉は途中までしか言うことが出来なかった。
「つぐみさんが、可愛いです」
そう紗夜が耳元で囁くと同時に、そのまま耳たぶに吸い付いたからだ。
至近距離で荒くなった紗夜の息が耳にかかる。
「ひっ……あっ、さ、さよ……さぁ……っ!」
背筋に更に快楽が走る。
擽ったくもどこか気持ちいい感覚に身体を小刻みに震わせ、直接その快楽が頭に流れ込んでくる。
「んぅ、ぁ……っう……!」
「つぐみさん……声、もっと……」
「〜〜っ。は、ずかし……ぃ……です……」
声を聞かれるのが嫌なのか、手の甲を唇に当てて口を塞ぐ。
それを見た紗夜は、その手を退かし使わせまいと指を絡める。
「でも……可愛いです」
耳元で囁き、耳の内側を舌でなぞる。
妙に生々しい感覚につぐみは紗夜と繋がれた手を強く握り必死に耐える。
「あっ、やぁ……っ」
しかしその抵抗虚しく、我慢が出来ずに声が漏れてしまう。
「〜〜〜〜っ」
そんなつぐみの姿が可愛くて、愛おしくて。紗夜は勢いに身を任せてしまう。
つぐみの着ていた服を脱がしブラジャーとパンツを露にする。
そのままブラを外し、つぐみの膨らみかけの胸が紗夜の前に現れる。
「ん、ぅ」
紗夜は胸全体を優しく擦る。
その手の平につぐみの胸の先が擦れて、小さい快楽が身体を走った。
そのまま形のいい胸を揉む。
「んっ、はぁっ……」
「ちゅ……っ」
「んん、っ!」
突起を弄ったり、揉んだり、吸ったりとを繰り返してるうちにつぐみに変化が見られた。
絡めてない方の手を自らつぐみの下半身部分に誘導したのだ。
「つぐみさ──」
顔を見るために少し上を向いた紗夜は、涙目のつぐみと目が合う。
「っ……こっち、触って……ぇ」
くちゅ……。
と既に濡れていたパンツに手を重ねられて、どれだけ我慢していたかがハッキリと伝わる。
パンツを下にずらしつぐみの秘部が露になる。
「あっ、ああっ……あっ」
紗夜が優しくなぞると、つぐみはお腹のあたりにものすごい快楽が走るのを感じた。
「さよ、さん……っ、キス……してぇ……」
息が荒くなりつつあるつぐみがキスを求める。
普段と少し違うつぐみに興奮しつつ、紗夜はその願いを叶えるため、唇を重ねた。
「えぇ。──っ、ちゅ……ん、んん」
「ぁ、ぅ……ちゅっ、ちゅ……ぅ」
顔を寄せキスをすると、離さないかのように抱き締められる。
キスの最中でも紗夜はつぐみの秘部を弄るのを止めない。
指を膣内に侵入させて動かす。
ただ動かすだけではない。つぐみの敏感な部分を、刺激している。
「……っ! ……っ!」
「(つぐみさん──!)」
指を曲げ内側を擦る度に身体を震わせ、反応してくれるつぐみを見て、紗夜は更に身体を求める。
愛液によりトロトロになった指を引き抜き、すじに沿って擦りその先にある突起を弄り始める。
「んっ……ぁ! だ、だめ……ですっ、そこぉ!」
指先で弾くように刺激を少しずつ加えていく。
それだけでもつぐみは相当感じている。
「だ、だめっ、さよさんっ! きちゃ──」
「我慢、しないでください……。つぐみさんの可愛い姿……私に、見せて……」
「っぅ──ひぅっ!?」
きゅ、と突起部分を指でつまむ。
するとつぐみの身体が大きく跳ね、ガクガクと震え始めた。
つぐみは頭が真っ白になりつつある中、紗夜を求める。
「紗夜さん、紗夜さん……っ! さよ、さ……んっ!」
怯えるのか、縋るのか、それすら曖昧な状態で名前を呼び続ける。
「……はいっ、ここに居ます、つぐみさん。なので、安心してイってください……」
「ぁ──さよさっ、あっっ……はぁ、っ! あああああっ……!!!!」
紗夜と目が合い、微笑んだつぐみは力が抜けたからか一気に快楽が身体を突き抜けた。
身体が先程よりも大きく跳ね、2、3回腰が痙攣する。
「はっ……はーっ、はーっ……」
気持ち良すぎて意識が飛びそうになるのを寸前で耐える。
呼吸がおぼつかない中、快感がゆっくりと引いていくのを紗夜と抱き合いながら待つ。
「つぐみさん……好きですよ」
「えへへ……わたしも、紗夜さんのこと──」
突然そう言われつぐみも返事をする。しようとするが、そこでつぐみの意識は途切れてしまった。
「ん、ふぁ……?」
「すいません、起こしちゃいましたね」
「紗夜、さん?」
つぐみが目を覚ますと目の前に紗夜が横になっていた。
「もう少し寝てていいですよ。こんな時間、最近はなかったんですから」
優しく抱き締められる。
その腕の中にいるのが妙に心地よくて、まぶたが重くなるのを感じた。
「はい……ありがとうございます……。……紗夜さん」
「どうかしましたか?」
眠りかけていたつぐみに急に名前を呼ばれる。
寒かっただろうか、と心配する紗夜だが、つぐみから来た言葉は予想していないものだった。
「私も、紗夜さんのこと……好き、です。大好き……です……」
そういい、眠りに落ちるつぐみさん
「(全く。こんな時間をくれたあの子には感謝しないと……)」
紗夜は眠りに落ちるつぐみの髪を撫でつつ、今日この時間をくれた妹に静かに感謝をしていたのだった。
さよつぐをすこれ(挨拶)
前回のひまりを書いてる最中にさよつぐとひなつぐに沼った鴉です。
取り敢えずずっとリアルでしんどいしんどい言ってます。
紗夜のことが好きなつぐみと紗夜のことが好きな日菜でさよつぐとか考えるだけで悶えてます(語彙力)(伝われ)
それはそうと、久しぶりに書くと書き方が変わっちゃいますね()
申し訳ないですけど、そこは気合いで対応をお願いします。
さて、最後になりますが読んでもらいありがとうございます。
感想や評価はとても嬉しいです、前回くれた方とてもとても感謝。
それではみなさん良いお年を、です。
……ところで、オメガバースって好きですか?