「ここか……」
今私は病院にいる。妊娠したわけじゃない。
行き先のフロアボタンを押したエレベーターが低い音を立てて昇ってついた階でおりて目的の病室に。
行きかう看護師さんとすれ違いながら……目的地の514号室についた。
部屋のネームプレートには、秋月穂積の表記。
扉をノックすると、
「どうぞー」
と明るい声。
意を決して病室に入ると、
「……」
「久しぶりだね。元気してた?」
病院着を着た穂純がベッドの上ではにかみながらこっちをむいてた。
白い肌は長い病院生活のせいか前よりも白く見えるし、髪を伸ばす理由にもなったまっすぐな黒髪はさらに長くなってて……。
「どうかしたの? こっちおいで」
「え、あ……うん」
うながされるままに面会用に置かれてる椅子に座る。
「そこじゃなくてこっち」
「え?」
言われるがままに椅子から離れてもっと近くに行くと、細っこい腕で抱きしめられた。病人だっていうのにあの頃の甘い匂いは健在みたい。
「あー、本物の由奈だ」
私の事を抱きしめながらあちこち触ってくる穂純。なんとも気恥しい……。
「む、知らない間に胸が大きくなってる。お客に揉みし抱かれた?」
「そんな事……」
固執するように胸を愛撫する柚華ちゃん。
揉んだり吸ったりはさんだりしてくるシアちゃん。
他にも間まあいまでお客に揉まれてる……。
「シたくても出来ない私を差し置いて……」
「病気だったんだからしょうがないでしょ」
「1人エッチ出来るようになったのも最近だし」
「病院でなにしてるの?」
「だってシたかったんだもの。本当は由奈とシたかったの我慢してたのに」
あちこち触ってた穂純の手が止まってぎゅーと抱き締めて来た。もう、そんな事言ったって私だって穂純とシたかった。
「ノーマルプレイなら問題ないってお墨付きは貰ってるけどね」
「……そういえば担当の人って社長の知り合いだっけ」
「ふたなりの子とするのはいいけど中出しはまだダメって」
知る限りでは、中出し以外の選択肢を持ったふたなりを私は知らない。うちのバカどもは問答無用で中出ししてくるし。
「由奈と一日中ただれた性生活送るのは問題ないらしいからいいけどね」
「性生活はともかく、一日なんて体力もたないでしょ」
「スローセックスで休憩はさんだらイケるんじゃないかな」
数か月ぶりに会うのに昨日別れたみたいにやりとりできてる。ずっと会いたくてたまらなかった穂純に会えてる……。
「……試しにここでシてみる?」
「個室とは言えそれはないでしょ」
「じゃあさ、キスだけしよ。というかもう我慢できない」
わずかに体を放した穂純が貪るようにキスをしてきた。徐々にその激しさがやわらいでいったけど何度も舌をからめて唇を合わせた。
リップクリームでケアしてたのかみずみずしく潤ってた穂純の唇。いつまでも触れてたくらいに柔らかい。
「んぅ……」
「これも久々。これで治ったって実感でてきたかも」
「実感のしかたおかしいでしょ」
「いいじゃないの、これくらい」
その後も穂純が入院してる間に起きた事、ガール内の序列とかLacrimで金曜シェフしてる事とかいろいろ話した。
「へえ、由奈がLacrimのねえ。ご飯おいしいとはおもってたけどついに厨房長もやっちゃったのね」
「金曜限定でね。好き勝手作っていいって言うから」
「由奈の扱いがうまいようで。基本快楽主義の由奈にはちょうどいい謳い文句ね」
「快楽主義で悪かったわね」
「そのうえ我儘で言固辞で」
「穂純?」
「まあ、そこがいいんだけどね」
「ッ……」
さらっと言わないでよ……。
「ほーずみー、あら先客だ」
「おひさー、椎奈。彼女出来たんだって? ズブズブのヲタクなのに」
「まあね。由奈に負けず劣らずの巨乳娘」
ふわっとしたお嬢様っぽい格好をした椎奈が見舞いにやってきて私の横に座った。
「ほう、これと同等の巨乳……」
「な、なに」
「なんとも見ごたえのある光景ね」
「軽く3Pもシたけど夕衣と由奈が抱き合ってる時の胸の具合がなんともねー。見てるだけでどうにかなりそうだったわ」
「写真とか撮ってないの?」
「その後部屋で続きしたのに由奈は1人で温泉行っちゃうからない」
「……温泉?」
「椎奈の彼女、社長の従妹でバカでかい日本家屋に温泉付きの家に住んでるから」
「温泉って言っても土地の中に源泉があるからそこから引いてるって言ってたけど」
「あんなのからそんな血筋って発生するもんなんだね」
あちこちで言われたい放題だね、社長。
「ねえ、そろそろお昼時だけど何か食べてきてるの?」
「なにも」
「適当に済ませる気だったからなんも食べてない」
「そっか。じゃあ食堂行こうか」
「え?」
「ねえ、病人が食堂でこんなん食べていいの?」
「うん、許可は貰ってるから平気」
ベッドから降りてスリッパを履いた穂純について歩いて食堂に着くと、食券機でチーズカレーを買って受付に持っていってた。
私も親子丼を買って、椎奈も醤油ラーメンを買った。なんでこんなにバリエーションがあるのかな、ここ。他にも結構種類あったし。
「今はあんな病室だけど少し前は無菌室状態にしてあったからね。こういうところも今日初めてきたし。んー、おいしい」
おいしそうにカレーを食べてる穂純……ふむ、この程度で満足してもらっても困るんだけど。退院祝い料理で惚れ直させる気なんだけど。
「うん、おいしいね。ねえ由奈、Lacrimでラーメンだそうよ」
「いやよ、めんどくさい」
「Lacrimでラーメンか……いいね」
「……」
「ねえ、今めんどくさいって言ったばっかりなのになんで思案顔してるわけ?」
そりゃ、まあ……ねえ?
「それはそうとさ、退院って18日よね」
「うん。縮めようと思えば縮められるけど」
「……はい?」
「ん? いつでも退院できるよ」
え? なにそれ。
「黒ちゃんにも言ってたと思うんだけどそっちの方で言ってたんだ」
「じゃあ今日退院とかできるわけ?」
「うん、出来るよ……いても暇だし退院しようかな」
おいしそうにカレーを食べながらそんな事を言ってる穂純。まさかとは思うけどあのクソアマ、病院滞在期間の最終日だけ聞いてたわけ?
縛り上げて鏡香のエサにしてやろうか……。
「……ねえ由奈、今日退院するとしたらさ」
「ん?」
「シようて言ったら……する?」
「うん」
「……場違いと言うか部外者感すごいあるんだけど、帰った方がいい? あんたらなんだかんだ言って付き合ってんでしょ」
「付き合ってるの、私らって?」
「どうなんだろうね」
椎奈の発言には穂純も首をかしげてる。うん、やたらと仲はいいけど付き合ってはないと思う。
「穂純、今日退院するの?」
「うん。これ食べたらねー」
*** *** ***
「何ヶ月も空けてたのに綺麗なものね」
「何ヶ月も掃除とかしてたからねー」
穂純はあの後宣言通りに退院手続きをして病院を出た。椎奈はなんかあきれ顔で帰って行ったけど、私ら2人はそのまま穂純の家に帰って今の状態。
社長宅とあまり離れてない所にある一件屋。3LDKの間取りで、今は穂純の寝室に入る。
「ふう、帰って来たー」
「ねえ穂純。さすがに食料は何もはいってないからね」
ベッドに寝転がってる穂純に言うけど本人は気にしたふうもなくごろごろしてる。今この家には乾物と賞味期限が来年まである缶物くらいしかない。
「うん、いーよ。出前とか取ればいいし」
「……冷蔵庫の中に対して物がはいってなかったのと何か関係かるのかな、それ」
冷蔵庫には今の発言が物語るくらいに大したものがはいってなかった。私が食料を持参して泊まりに来た時くらいしか物がはいってなかったくらいだしね。
「自分でも作ってるけどね。手軽なものを作り続けたらああなったと言うか」
簡略にしていった結果、あんななにもない冷蔵庫に……。
はあ……。
「由奈、こっちおいで」
「猫じゃないんだから……」
ベッドに寝転がってる穂純に呼ばれて近づいたら手を掴まれて引き倒された。
「捕まえた」
「逃げてすらいないのに捕まえたもどうもないでしょ」
「でもこれでやっと2人きり」
ベッドの上でぴったりとくっついて抱き合ってる私ら。服越しにすこし痩せてる穂純の感触がする……胸は小さくなってないみたいだけど。
「なに、このままするの?」
「えー、シャワー浴びようよ。洗いっこしよ」
このままするって流れではなかったらしい。
その割には抱きついてる手はあちことさわってきてるけど。
「でももうちょっとこのまま」
「ん」
別に逃げはしない、というかもっと抱きつけくらいの状態だけどぎゅっと強く抱きついてくる穂純にされるがままにしてる。
まあこれはいいとして、聞いときたい事を聞いとこうと思う。
「ねえ穂純」
「なに?」
「もう治らないとか数ヵ月後には死ぬとかじゃないよね」
「……?」
ん、違うのかな……。
何言ってるのって顔してるし。
「死にそうだからトントン拍子で退院したわけじゃないからね? 間質性肺炎って言っても即死するわけじゃないんだから」
「そっか。ならいい」
穂純の温もりが消えない……消えないなら、それでいいや。
もうちょっと、なんて言ってたけどベッドの上でくっついていちゃいちゃするだけで1時間くらい経った。全然飽きなかったけども。
「……由奈ってさ、今でも男は嫌いなの?」
「死ぬほど嫌いだけどなに?」
「なんか嫌な事されたとか言ってたっけ?」
「うわべだけ。内面には一切触れようとしない目的丸わかりな連中ばっかり」
「まあ由奈だもんねー。綺麗系かと思えば今みたいにかわいい所もあるし。背もそこそこあって、出るとこ引っ込むとこしっかりしてるもんね。器量よし気立て……はまあ置いといて。見てくれだけでもよってくる輩は多いでしょ」
「あんまりにもしつこいからぶん殴ったらそれ以来音沙汰なくなったからいいけどね」
「殴ったのねー。この大きい胸に害灯のごとくよってきたばっかりに……料理もおいしいし家事もできる優良物件なのにね」
「相場で憶単位って事で」
「私でも?」
「欲しいのならいつでもどうぞ?」
「じゃあもらいまーす」
そう言ってまたぎゅぅっと抱き締めてくる穂純。ベッドの上でひたすたいちゃいちゃいちゃいちゃ、と。
「そろそろシようよ」
「ちょっとごろごろしすぎたかもね」
穂純を引き起こして一階にあるお風呂に。紗季が夏休みの間入り浸ってたから勝手しったる状態で歩いて行って、脱衣所でさくさく服を脱いでお風呂に入ると、
「改めでじかで見ると大きいわ」
「まじまじと見すぎ」
人さまの胸を食い入るように見だした穂純。
「改めて言うけど、久々だから我慢できないよ?」
「たまにはまったりシたいって言いたいくらいの日々だから平気」
具体的には彩音さんとシたときくらいのまったりがいい。ここ最近激しいのばっかりだし。
「そっそそっか。じゃあ遠慮なく」
食い入るように見てきていた胸に吸いついて、なんとも言えない力加減で乳首を吸ってきてる。空いてる手はやわやわと胸を揉んできてるし。
緩急をつけながら吸いついてる穂純は閉じていた目を開けると、
「やっぱ出ないか」
「……皆して母乳が出るってなんで思うかな」
「でも生理期間に出る時あるよね」
「まあ、うん」
このまえ夕衣ちゃんの家に行った時がちょうどその期間で、好奇心旺盛な夕衣ちゃんに吸われたっけ。胸張ってキツかったからちょうどいいと言えばよかったけど。
「……」
「残念ながらまだきてないよ」
「入院する前も1回くらいしか飲んでないのに……お預けか」
「そんなに飲みたかったの?」
「うん」
胸から離れて正面から抱きついてきてる穂純。型のいい胸がむにゅりと押しつけられてる……。
「ビンか何かに搾乳しよう」
「給食じゃないからね、私の母乳」
明案と言わんばかりに妙な事をいう穂純。さすがにそれはないでしょ、搾乳とかさ。
「じゃあ期間着たら教えて? 飲みに行くから」
「はいはい」
ドリンクバー扱いな気もするけど、いいか。
シャワーのコックをひねってお湯を出すと2人して揉み洗いをしながら浴びた。全身をマッサージしあうように体をほぐすように。
感覚も敏感になりだした頃にお風呂を出てまた部屋に。
何故か裸のままがいいとか言う穂純の言うがままに体を拭いてそのまま戻ったけど。
「……穂純?」
「なにかな」
「目付きが怖いんだけど」
「数ヶ月間禁欲状態だったからね。1人エッチも満足に逝けなかったし」
夕衣ちゃん風にいうなら、私の事めちゃくちゃに犯すつもりなんですね! エロ同人みたいに放送禁止物になるまで犯し抜くんでしょ! かな。
「掃除してたとか言ってたけど玩具は処分してないよね」
「滅菌消毒して袋に入れて置いてあるけど」
ナカに入れたりするものだし滅菌して袋に入れて保管してあるけど……ねえ?
「そんな警戒しなくても大丈夫だよ? 犯したいとかじゃなくて犯されたい気分だから。たまりにたまった性欲を吐き出したい気分だから。ということで犯して?」
「さらって笑顔で言うことかね」
「じゃあ言い方かえて……いっぱい逝かせて?」
あ……なんかいいかも。
「逝くだけなら黒ちゃんとか鏡ちゃんみたいな子とでもいいんだけどね」
そう言いながらベッド前に立ってた私の前にきてぽーんと体を押してベッドに倒すと、穂純もその上から覆いかぶさってきた。
「ずっと誰かとシたくて、誰かに逝かされたくても出来なかったその誰かさんに満たして欲しいから。入院してるときね、誰とも面会できない間ずっと由奈の事ばっかり考えて由奈とシてる妄僧ばっかしてた。そしたらだんだん胸に穴が開いてるみたいになってね、1人エッチ出来るようになってから毎晩シてたのに全然満足できなくて……」
「……」
「ぽっかい開いた穴、由奈が埋めて? いっぱい逝かせて、喘がせて、脳がスパークして何も考えられないくらいにシてもいいから」
「由奈が――すごい、欲しい」