※この作品はR-18です。

でりばりーがーる   作:八月朔日

49 / 51
番外編 夏だ!海だ!さまーばけーしょん! 上

「海?」

「うん、海行こ」

 

 企画も終わって社長からもぎ取った夏季休暇一日目を部屋でだらけて過ごしていたらそんなことを言われた。んー、海かー。そっかー。

 

「やだ」

「え……」

「人目がうっとうしい」

 

 だいぶ前に社長の知り合いがもってるプライベートビーチには行ったけど、今回行くことになるのは普通の海水浴場だしそうなると人目がある。男とか男とか男とかの目がある。ナンパだのなんだのもあるだろうからストレスマックス案件。

 そんなのめんどくさいから絶対に嫌。

 

「どうしてもだめ?」

「うん、やだ」

「柚ちゃんの家が持ってる私有地でも?」

「私有地かー……」

 

 それから有象無象はわかないから大丈夫だろうけど。んー……。

 

「日帰り?」

「一泊二日予定」

「……じゃあ行く」

「やった! じゃあ水着買いに行こ! 着替えてくるね!」

「え、今からとか……いっちゃった」

 

 服を着替えに部屋に戻っていった紗季を見送って寝ていたベッドから体を起こす。ひとまず、服を着替えるとしますか。

 

 

 

「お姉ちゃんはビキニ一択」

「異議なし、色は黒で」

 

 外着に着替えて紗季に連れ出されたショップには現地集合だったのか柚華ちゃんがいて、2人してなぜか私の水着を選びだした。あれでもないこれでもないと選びつつ、最終的にはビキニになったらしい。今は色を決めだしてる。ちなみにここまで一切試着はしてない。

 勝手に白熱してる2人をおいて店内を見て回れば、いろんな種類の水着が陳列してある。どうやってきるのかわからない布面積が少ないのからデザインの凝った物までいろいろ。

 そういったのを見ながら店内をぶらついていると、

 

「お姉ちゃんこれに決まったよー」

 

 紗季がそう言って持ってきたのはクロスホルタータイプのビキニ。黒い花柄。

 

「ん、わかったー」

「……試着は?」

「柚華ちゃん?」

「試着」

 

 なんだろ、圧力は。なにがなんでも試着させてやろうって圧を感じるんですけど。そう思ってると柚華ちゃんに手を掴まれて試着室に放り込まれた。そうまでして着せたい? まあ、これくらい別にいいけど。

 ん……サイズぴったりだけどサイズあの2人に言ったかな? たぶんいった覚えないんだけど。

 

「ん、サイズピッタリ」

「いきなりカーテン開けるのどうかと思うよ、柚華ちゃん」

 

 ちょうど着終えたのと同時くらいに柚華ちゃんがカーテンを開けてきた。着たのと同時くらいだから覗いてたとか?紗季もなんで顔赤らめてこっち見てるかな。

 

「お姉ちゃんの水着はこれで決まりだね」

「私のはともかく紗季達は?」

「お姉ちゃんの選ぶついでに決めたから平気だよ」

「うん、これ」

 

 柚華ちゃんが差し出してきたのは黄色地に黒ラインが入ったビキニ。ローテンションの柚華ちゃんにしては明るい色合いのチョイス。そしてしれっと差し出してきてた紗季のはパレオタイプの水着。ほうほう、ワンピースタイプとか選ぶと思ってたけどそこに行ったか。

 いったんカーテンを閉めて服を着てから試着室を出て、2人が持ってた水着も合わせてレズに向かう。

 

「お姉ちゃん、それくらい払う」

「お金あるよ?」

「はいはい、そうですかー」

 

 なんか言ってくる2人を無視してささっと会計を済ませる。このくらいはおとなしくおごられときなさいな。実際、今回の企画の報酬もそれなりにあるからこの程度の出費は大した事ない。

 会計済ませて時間を見ればいい感じで昼時。このままどっかの店に入るとしましょうかね。

 モール内を適当にぶらつけばいい感じの洋食店を発見、ここでいいかな。

 

「お昼、ここでいい?」

「うんいいよ」

「肉があるなら」

 

 柚華ちゃんの判断基準は相変わらずだね。ハンバーグ系ならあるみたいだし大丈夫でしょう。

 店に入って空いてる席に通されてからメニューを見る……うん、パスタやリゾット、パエリアとかオムライスにハンバーグ等々。最近多い自家製パンの食べ放題とかもつけれるみたい。

 2人を見れば紗季はオムライスのページ。柚華ちゃんはハンバーグのページを食い入るように見てる。そういえば肉食でなおかつ大食漢だっけ。

 普段食べないのは……リゾットかな。面倒だから滅多に作らないし。んーと、5種のチーズときのこのリゾットでいいかな。

 

「2人は決まった?」

「うん決まったよー」

「これ」

「パンの食べ放題とかあるけどつける?」

「つける」

 

 はい、即答いただきました。とりあえず店員さん呼んでメニューを注文してからパンを取りに行く。Lacrimじゃさすがにこれは出来ないよねー、パンの仕込みとかやってられないだろうし。

 意外と種類があるんだねー。あ、プチケーキもある。2人を見れば全種制覇でもするつもりなのか盛りに盛ってるのはいいけど、頼んだのちゃんと食べれるんだよね、それ。

 席に戻って取ってきたパンをつまみながら頼んだ料理を待ってる間海にいくスケジュールを聞いていると、

 

「それでねお姉ちゃん、柚ちゃんの妹も海に来るんだよ」

「あー、そういえばいるって言ってたっけ。騒がしい感じの妹」

「別荘の件で電話したら聞かれてたから」

「その妹さんは現地集合?」

「うん、別荘に直接。来た」

 

 目をキラキラさせだした柚華ちゃんの目線の先には運ばれてきた料理が。完全に運ばれてきたハンバーグに興味が移ってる。なんとも肉肉しい料理がやってきたよ……。肉の添え物に肉がある訳の分からないやつ。

 

「ま、食べましょうか」

 

*** *** ***

 

「ほー……」

「別荘とか初めて見たけど大きいね」

「別荘、あと2個ある……ここ一番小さい」

 

 へー、そうなんだー。これで一番小さい……柚華ちゃんの家ってお金持ちだっけ? 何の家で何してるかはさっぱり知らないけど。まあなにともあれ、別荘兼プライベートビーチについたんだけども、目の前にある別荘がまあ大きい事。

 社長の家と同じくらいの大きさあるんじゃないのこれ。

 

「妹さんはもう来てるの?」

「うん、もういる」

「おねえちゃーん!」

 

 扉を開けて玄関にあがると明るい元気な声が飛んできた。ドタドタと階段を駆け下りる音がして少しすると、ミディアムショートにカチューシャをつけたぱっと見でも活発そうな子が躍り出てきた。なんだろ、確かに柚華ちゃんとは正反対な子かも。

 

「おねえちゃん、そっちの人がよく言ってる由奈さん!? 初めまして、宮下桃花です!」

「うん、笹倉由奈です。よろしくね、桃花ちゃん」

「桃ちゃん相変わらず元気だね」

「うん、今日が楽しみで気づいたら朝とかになってたけどそんなの気にならないくらい元気だよ!」

 

 それ、ただ寝てないからハイになってるとかじゃないよね? 夕衣ちゃんもたまに徹夜後はこんなテンションだって聞くけど。

 

「それに宅配で届いた食材の受け取りとかもやったし浮き輪とかも前もって空気入れといたから!」

「何時から来てるの?」

「んーとね、朝の7時くらいかな。それがどうかしたの? おねえちゃん」

 

 寝てない上に朝の7時入りしてあれこれやってたわけね。にしても食材ってどういうこと? ここで料理でもするのかな?

 

「そんなことより早く海行こ、海!」

 

 そういうと桃花ちゃんは着ていた服を脱ぎ捨てて……ああ、下に着てたのね。服を脱ぎ捨てて腰にパレオを巻くと勢いよく海に飛び出していった。リビングの大窓を開け放って元気よく。

 

「行っちゃった。私たちも着替えよ?」

 

 紗季はそういうと服を脱ぎだして……、

 

「紗季、それ水着じゃなくて下着」

「え? 着てきたつもりだったんだけどまあいいや」

 

 上着を脱げ捨てた紗季はバックを漁って水着を出すと残ってた服を全部脱いで裸になるとその場で水着に着替えて海に飛び出していった。

 飛び出していくのはいいけどさ、2人とも日焼け止めとか塗ってないよね? 黒々と焼けても知らないよ?

 残ってる柚華ちゃんをみれば下にちゃんと着こんできてたのか服を脱いで水着スタイルになってる。

 

「脱がないの?」

「脱ぐよー」

 

 のんびり見てないで私も服を脱いで水着になる。ヨレとか食い込みとかを直してバックから出した日焼け止めを塗る。家を出る時にも塗ってきてるけど追加で塗る、とは言ってもスプレータイプだから吹き付けるだけだけど。

 

「塗ろうか?」

「吹き付けるだけだからいいよ」

「……」

 

 

 にじり寄ろうとしてくる柚華ちゃんを抑えて手早く吹き付ける。よし、準備完了、海に行こうか。

 通されてたリビングにある大窓から出てウッドデッキを降りれば砂浜、その先には海に足首までつかって水を蹴りあってる2人がいた。

 

「膨らませた浮き輪とかは放置していいわけ?」

「あ、忘れてた。そんなことより泳ぎましょーよ!」

 

 目先の楽しい事を全力で楽しむ子らしい、桃花ちゃんは。言うなりざぶざぶと深瀬まで行って泳ぎだした。綺麗なクロールで泳いだり潜ったりして遊びだしてる。紗季もそれに感化されたのか泳いだり潜ったりしてる。補足みたいになるけど浜辺には前もって準備したのかビーチパラソルとレジャーシートが敷いてあった。まあそこにできた日陰に座って眺めるよね。

 

「お姉ちゃん泳がないよ?」

「うん、行っといで」

 

 柚華ちゃんはその足で泳ぎ回ってる2人の元にかけて行った。そして桃花ちゃんがそれを見て何を思ったのか海から出てきて柚華ちゃんの手を掴むと海に放り投げた。桃花ちゃんはそれを見ながら楽しそうに笑って海に戻……、

 

「由奈さんも泳ぎましょう!」

「え、ちょッ」

 

 走って私の所に来たと思えば腕を掴んで引き起こすと、そのままどこから出てるのかわからない力で海まで引っ張って行ってッ!?

 

「ッ、わ、ぷ」

「海に来た以上日陰に引きこもりなんてダメですよー!」

 

 柚華ちゃんと同じく海に放り投げられた。うぇ、しょっぱい……。

 

「ダイナミックだね、桃ちゃん。お姉ちゃん平気?」

「なんとか……」

「じゃあそこまで遊泳しよ!」

 

 桃花ちゃんはそういうと少し沖にあるブイ目指して泳いでいった。なんであんな元気なんだろ、それと紗季もなんでそれについていけるのかな。泳いでいくのはいいけど脚攣って溺れたりとかしないでよ?

 

「お姉ちゃん」

「ん? どうかした?」

 

 濡れた髪をかき上げて水気を切っていると、正面から近寄ってきた柚華ちゃんはそのまま緩く抱き着いてくると、

 

「今日の夜、シよ」

「桃花ちゃんがいるでしょうが」

「一回寝たら起きないから平気」

 

 そう言って桃花ちゃん達がUターンして帰ってくるまで柚華ちゃんは抱き着いてきたままだった。

 それはそうと、素肌出てる分抱き着いてきてる柚華ちゃんの手つきがすでにあれなんだけれども。背中にまわされてる手が撫でるように触ってきてるし、少しづつ下にずれて行ってる手を呼び止めたりといろいろとあった。

 帰ってきたハイテンションガール桃花ちゃんを中心にしてビーチフラッグとかおいかけっことかで遊んだ後、

 

「んーっ、お腹すいた!」

「あんなに動いたらそりゃお腹すくよ。でもお昼なんて用意してたっけ?」

「材料ならあるよ?」

「お姉ちゃん」

 

 材料ならあるよって言った紗季の言葉に一目散に反応してこっちを見た柚華ちゃん。それは作れってことかな? 今ので結構疲労困憊気味なんですけど……。

 

「一応夜はバーベキューするつもりだったから網台とか鉄板ならあるよ?」

「だってよ、お姉ちゃん」

「はぁ、ありあわせでいいんでしょ」

 

 先頭を走っていく桃花ちゃんに続いて別荘に戻れば、冷蔵庫の前まで振り返ってこっちをみてた。ここまで戻ってきたら別にキッチンで普通に作ればいい気もしてきてる。というかキッチンで作ろう。

 そういえば材料はあるとか言ってたけど何があるかはまだ聞いてなかった。

 ウッドデッキにあった水道で足を洗ってタオルで拭いてから別荘に入って奥にあったキッチンに向かう。バーベキューするつもりって言ってたから野菜とか肉があるんだろうけど、さてさて何を作りましょうか……。

 

「……」

「せっかくなんで牛肉とか用意してみました!」

 

 冷蔵庫を開けると肉の塊があった。肉屋とかにありそうな塊肉。しかも霜降りも入ってるいかにも高い肉。これはバーべキューじゃなくてステーキとか食べる肉だとおもう。あと鶏肉なんだろうけど、これもそれなりの量がある。丸鶏がいないだけまともか。

 さすがに野菜類はまとも……、

 

「炭で焼いて食べる松茸っておいしいですよね!」

 

 桐箱にはいった松茸がいるー。うわー。

 気のせいかな、トウモロコシとジャガイモくらいしか野菜の類が見えない。

 

「あ、一応海鮮もありますよ。ほら」

「……」

 

 そう言って二段目を開けた桃花ちゃん。そこに入ってたのは企画中に散々さばいた魚がはいってた。とはいってもカツオが1匹……うん、切り身とかじゃなくて丸々1匹。他にもホタテに牡蠣、伊瀬エビやアワビにウニ、サザエ。

 

「ひとまずそれっぽいのそろえてみました! おねえちゃんが由奈さん料理なんでもできるって言ってたので!」

 

 ほほう、柚華ちゃんが……というか姉妹そろって肉食なんだね。それ以前に材料偏りすぎて何作ればいいかわかんない。

 んー……あ、そうだ。

 鶏肉が山に様にあるからから揚げにしよう。ついでにジャガイモもフライドポテトにしてしまおう。念のためにもってきておいた自前のエプロンを着て調理開始。

 取り出した鶏肉を一口大にカット。濃い目の漬けダレを作ってそこに切った肉を入れて軽く揉んでしばし放置。その間にジャガイモをコンビニとかにある感じに切って、油を用意して火にくべる。油の温度が上がるまでの間に海鮮類の下処理を行ける範囲で済ませてしまおう。

 冷蔵庫から取り出したバフンウニを横向きにして普段は底に来てる部分を包丁で開けていく……その数20個。

 

「紗季、暇してるならこれ揚げて」

「はーい」

 

 温度の上がってきた油を確認して紗季を招集。から揚げ担当に任命して私は引き続きウニをさばく。

 ボウルに用意した塩水にカットしたウニをいれてゆすって内蔵とか余計なものを落として、塩水を入れた容器に身だけを入れていく。ミョウバンなんて使う気もなければそもそもないだろうけし、瓶詰してぐちゃぐちゃに混ぜるとかアホみたいなこともしない。手早く塩水ウニを作ってウニの調理は完了。その間に言ってなかったけど、紗季が二度上げしてたから揚げとフライドポテトも完成。イモには塩を振ってから揚げはそのまま。一応マヨネーズがあったから持っていくけど。

 

「はい、お待ち同様」

「やったー! から揚げだー!」

「レモンは邪道死すべし」

「レンモなんてないからそんなこと言わないの」

 

 柚華ちゃんはそう言いながらから揚げを食べて、二個目はマヨネーズで食べてる。ちなみに桃花ちゃんも同じく。

 

「じゃあ、食べようか」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。