突然だが、一人の少年を紹介したい。
彼の名は
そんな彼には、ある悩みがあった。
「はぁ、同年代や年下にはモテるのに、どうして年上にはモテないんだろう」
聞く者が聞けば何を贅沢な事を言ってやがるこのクソガキ、金玉握りつぶすぞ的な暴言が飛んできそうなものだが、少年は同年代や年下には一切興味がない。
彼が興味を持つのは年上の、グラマーで色気たっぷりな大人な女性である。
そんな少年が好きな漫画はBLECHだ、高校生の主人公が死神代行となって戦う物語である。
そこに登場する女性キャラクターは、数こそ少ないものの少年のストライクゾーンを打ち抜いているのである。
そして少年は、常々願っていた。
「死亡フラグとかどうでもいいから彼女たちとキャッキャウフフな生活をしたい」
そしてその願いが、翌日の朝にやってくるなどとは、少年は知りもしないのでした……。
おしまい、おしま……あ、間違えた。
はじまり、はじまり~。
「っておい、こりゃ一体どういうことだ?」
この俺、黒沼千歳の目の前にいる白い髭を足元まで伸ばした仙人の様なジジイは、どうやら神様らしい。
「なんじゃ、せっかくお主の望みの世界へ送ってやると言っておるのに、不満そうじゃな」
「そりゃそうだぜ! 何の力も持たずにBLEACHの世界逝けってか!?」
俺がそう叫ぶと、ジジイは首を横に振り、溜息をついた。なんかムカツク。
「何も力をやらんとは言っておらんだろうに、そうじゃなぁ、何がほしい?」
「むっ……いざ言われると、ぱっと浮かんでこないものだな……」
人は明確に欲しい物がないと、どれにしようか悩む生き物だと俺はおもっている。
「ほれほれ、はようせんか」
「じゃあ、とりあえず産まれは
「なんじゃ、以外と注文が少ないの、前の奴なんざワシと同じ力を望んだのじゃぞ?」
「あんたが何できるかなんて知らないし」
俺がそう言うと、ジジイは正論じゃなと頷いた。
「あいわかった、それでは、お主をBLEACHの世界へ送ろう、お主の力については、お主の記憶に詳細を埋め込んでおこう」
なんか、頭の中いじくられるみたいで怖いな。
俺がそんな事を考えていると、足元が薄くなっていき、次第に俺の体全体が薄くなっていく。
「よい人生を」
「おうよ」
そして俺は、消えた。
「ふむ、随分とまぁ謙虚な少年じゃわい、ちびっとだけサービスしてやるかのぉ」
神を名乗るジジイはそう言って、すでに旅立った少年にある物を植え付けた。
それは「飢え」である。
ある条件を満たすと発動するその飢えは、きっと少年にとって楽しめる力のはずだ。
「まぁ、戦闘には役立たんかもしれんがのう」
そう残し、神はまた、次なる転生者をと姿を消すのであった。