今回は短めな内容になりました。
夏が終わった。
木々が紅葉を付け始めたこの頃、
俺は卯ノ花隊長と共に懐かしい場所へとやってきていた。
東流魂街80番、黒沼。
俺が産まれた(?)場所でもあり、育った場所でもあるここ。
今は昔より改善されたのか、悪臭がする事はない。
治安の悪さは相変わらずだが。
街は素通りし、山へと入っていく。
移動には卯ノ花隊長の肉雫唼を使っている。
卯ノ花隊長曰く「無用な争いを避けるため」らしいのだが、
本当は面倒くさいだけなんじゃないかと思ったりする。
ただ、そういった考えをすると卯ノ花隊長から「どうかされましたか?」と
聞かれる辺り、あながち間違っては無いのだろう。
適当にごまかしつつ、山に向かう。
「この辺りです」
紅葉の葉の形に似た薬草が広がる一帯で立ち止まり、卯ノ花隊長が腰を下ろした。
根っこから引き抜かれた葉は、多少の土を落としながら卯ノ花隊長の手に収まる。
「このように、根っこから抜いてください、葉と根っこが薬に使えますので」
「分かりました」
俺は足元の薬草を片っ端から抜きはじめ、ひょいっと背中に背負う籠に居れる。
黙々と同じ行動を繰り返していると、ある事に気が付いた。
(薬草を摘むためにと言う目的で卯ノ花隊長と二人きりだけど、これって言いかえればデートなのか?)
その割には会話と言った会話は無いし、お互い離れた距離で薬草を摘んでいる。
これをデートと言えるのか、否、ただの仕事である。
(卯ノ花隊長とデート……そういえば来週に紅葉祭りがあったな)
日番谷の故郷、西流魂街1番、潤林安で開かれる紅葉祭りは、
大勢の人で賑わうと言う。
(いつか現世にも二人で行ってみたいな)
欲が溢れ、考えに没頭していると横から「手が止まっていますよ」と、
怒られてしまった。
すみません、と答え薬草を摘もうと屈んだ。
「そういえば、こうして二人で仕事に出るのは初めてでしたね」
「ひゃぃっ?!」
先程まで考えていた事を見抜かれたかのような発言に、
声が裏返ってしまった。
慌てて自分の口を塞ぐと、卯ノ花隊長がクスクスと笑っていた。
「もしかして、千歳さんも同じ事を考えていたのですか?」
花のように笑う卯ノ花隊長に、俺は「はい」と素直に答えた。
「考えてみれば、私達の関係と言うのは少々おかしいですね」
卯ノ花隊長の話しに、俺は耳を傾ける。
「千歳さんが隊に入って少ししてから、千歳さんは私に想いを伝え、私も千歳さんに想いを伝えました、お互いの想いは通じ合っているのに、交際はしていません」
両想いなのに付き合わない俺と卯ノ花隊長の関係について、
卯ノ花隊長は「何故でしょう?」と呟いた。
「それは、俺が隊長になって卯ノ花隊長を迎えに行くと言ったからで……」
「確かにそうですね、ですが、翌々考えれば私が伴侶となる方を選ぶのに、隊長である必要はないと思うのです」
卯ノ花隊長が言いたいのは、つまり、
自分自身が俺の事を好いているのだから、
交際しようとも結婚しようとも自由だと言いたいのだろう。
俺も卯ノ花隊長の事を好きであるし、
そうであるなら卯ノ花隊長から一言「付き合いましょう、結婚しましょう」と、
言ってさえしまえば、周りは何も言わないのではないか?
そんな単純めいた事に思いつかなかったのは、
お互いに立場を重要視したからだと思う。
「ですので、千歳さん、私と結婚を前提にお付き合い頂けないでしょうか?」
屈んだ状態の俺にすっと手を差し伸べる卯ノ花隊長。
俺はその手を取ろうとし、辞めた。
「申し訳ありません、俺は隊長になるまで卯ノ花隊長の恋人にはなれません」
「どうしてです? 私が申し込んだと言いさえすれば、周りは誰も気にしないと思いますが……」
名案を思い付いたとばかりに先程言った事を繰り返す卯ノ花隊長に、俺は立ち上がって目線を上げた。
「卯ノ花隊長の言う通り、隊長からの申し出を受け入れれば、周りも多少の妬みや陰口はするでしょう……」
それは、気にしなければいいのでは?
と言う卯ノ花隊長に、俺は「でも」と続けた。
「どうせなら周りから卯ノ花隊長の隣に居ていいのは黒沼千歳だけ、と言われたいです」
意地みたいなものですが、と締めくくると、卯ノ花隊長は少し残念そうな顔をしていた。
「分かりました……ですが、私もいつまでも待てる訳ではありません……」
「長く待たせるつもりはありません……」
すかさず答えた俺に、卯ノ花隊長は首を横にふり、厳しい目つきで俺を見つめた。
「いいえ、もう待つのは嫌です、ですので、これからは二人きりになる機会をたくさん作り、千歳さんにアプローチをかけます」
それは、俗に言う俺様、いや、この場合。
「貴方を私のモノにします」と言う女王様発言で良いのだろうか?
呆然としていた俺を卯ノ花隊長の匂いが覚醒させた。
「た、隊長?!」
「言いましたよ、私はもう待ちません、千歳さん、愛しています」
好きが愛に変わってますよ! 卯ノ花隊長?!
それから仕事が終わって瀞霊廷に戻るまで、
俺は卯ノ花隊長に手を握られる、人気のない場所で抱きしめられる。
唇を奪われるなど、もう貞操観念とかないんじゃないかと言う事までされてしまった。
隊舎に戻った時、副隊長の勇音さんにグッタリしている姿を見られ「どうしたんですか?」と質問され、答えられなかったのはご愛嬌だ。
書き終わって、読み返していると、
「キャラクターの感情を表現するのが下手だな」と思いました。
どうにか改善できる所は書き直してみたのですが……。
感情を文にして表すのが難しい。
思考はまだ出来るんですが……。
私は書き方を本やネットで調べて書いているのではなく、
私が見てこの人の作品はキャラクターの感情が分かり易いと思う物を自分なりに取り入れて書いているので、極端な話し小説を書く上での基本的な事を何も知らないと言っても過言ではなりません。
起承転結ぐらいは知ってますけどね。
今後の課題は「キャラクターの個性を生かす」「そのキャラクターが抱いている感情をより明確にする」ですね。
中々難しい課題ですが、自分が書いていて楽しいし、好きなので、読んでもらう皆様にもより楽しんでもらえるように精進してまいりますので、どうかお付き合いくださいませ。