気が付けば異世界、なんてことは無く。
俺は時代がタイムスリップしたかのような錯覚に陥りながらも、聞こえてくる会話、感じることのできる奇妙な力でここが尸魂界だと判断した。
奇妙な力と言ったのは、これが霊圧なのかどうか確信が持てないからである。
そして何と、俺の身長はひっつんこと日番谷冬獅郎と同じなのである。
雪のように真っ白でサラサラな髪は長いが、手入れが行き届いていないためボサボサ。
普通にしているのに睨んでいるように見える目つきがちょっと気に入らない。
瞳の色は琥珀色だ。
肌も白くて、真っ白。
俺は今日も盗みを働く。
ここは東流魂街80番「黒沼」である。
原作を知っている身として言っておくと、最低である。
食べ物は最低限、寝床は無い。
寝床が無いと言うよりも、一定の場所で寝泊まりすることが出来ないと言っておこう。
治安が悪すぎて夜もおちおち眠れないのだ。
そう言う意味では、ここは腐っていると言っても過言ではない。
盗みを働いて3年、どういう訳か俺の体は成長しない。
筋力が上がったと言う気はするが、身長や体重が増えた気はしないのである。
もしかすると、筋力も一定までしか上がらないのかもしれない。
それは嫌だなぁ、せめてもう少しぐらい筋肉欲しい。
さてさて、そんな今日の俺の獲物はゴロツキ共の持っている刀だ。
質より量だな、とりあえず武器は多いほうが良い。
結果から言うと、簡単だった。
ゴロツキ共が酒を飲み寝込んだ所に忍び込み、武器だけ拝借してさようなら。
こうして刀が4本と鉈が2本、包丁1本が手に入った。
包丁は武器じゃないし、鉈も武器とは言えないけど、まぁいいだろう。
東流魂街は人が多い。
それも、番号が高い方に向けて多いのだ。
もしかしたら生前に大罪を犯した人間が多いのかもしれないな。
元に、俺を見つけて声をかけてきた奴は「金を出せ」か「抱かせろ」だったからな。
まぁ、どっちも殺したけどな。
前世、まぁ、転生前の記憶を持っている俺は当然の如く格闘術も見たり呼んだりで覚えている。
そして俺は、黒沼から遠く離れた山奥に小屋を建てた。
人と触れ合うのは嫌いじゃないが、俺は前世でも一人だった。
天才と言うのは必ずしも良い事ばかりではないらしい。
寄ってくる女達の目には金しか見ていないし、大人たちは傀儡にしようとあれやこれやと吹っかけてくる。
そう言った物から逃げるためでもある。
山奥に小屋を建てて半年、死神になるための修行をしていると、途轍もない霊圧が近づいてくるのが分かった。
「誰だ……?」
痛いと言うよりは冷たい。
他人の霊圧を向けられた第一印象は、それに限る。
そして近づいてきた霊圧の持ち主は、死覇装を纏い、その上に白い……隊首羽織を着ている。
何でだ?
護廷十三隊の隊長が何故こんな所に?
「おや? こんな所に人が住んでいるなんて……」
その声は、美しく、穏やかで、聞くだけで心の底から癒されるかのような、そんな慈愛に満ちた声だった。
「お姉さん、誰?」
黒い髪を背中の腰辺りで三つ編みにした女性は俺の目線に合わせるようにしゃがんで微笑んだ。
「私は卯ノ花烈と申します、貴方はどうしてここに?」
「街は汚いから出てきた、ここは景色も綺麗だし、静かだから」
卯ノ花さんは俺が言った汚い、からどこの出身か察したようだ。
「貴方の名前「ウォォォォオオアアアアアアアア!!!!!」
名前を聞かれそうになったが、それを遮るように咆哮が森を支配した。
その方向は、俺の小屋がある場所だった。
あそこに虚の欲しがるものなどないはずなんだが……。
それよりも、初めてにしては上手く出来た小屋を壊されるのは嫌だ。
「貴方はさが「人ん家に何してんだぁぁああ!!」
俺は卯ノ花さんが止めるのも気にせず、走り出した。
「お待ちなさい! 危険です!」
卯ノ花は俺の後を追うように飛び出してくる。
無我夢中で小屋にたどり着くと、死覇装を着た女性の死神が、5匹の虚を相手に戦っていた。
苦戦している様子はないが、明らかに戦い慣れていない様子だ。
確か名前は、
勇音は己の斬魄刀を抜き放ち、虚と距離を取っている。
俺は虎徹さんを追い抜き、小屋を叩き潰さんとしている虚に向かって飛び上がる。
「なっ! 何を……!」
「人様の家を壊すなって母ちゃんに教わんなかったかぁぁあああ!!」
制止も聞かず、虚を蹴り飛ばす
着地した俺は、小屋の外に立てかけてあった刀を二本取ると、それを抜き放った。
長さはそれなりにあるが、日々鍛えている俺に重さは感じられない。
ウォオ、ウォオと吠えている虚に向かい、俺は飛び上がる。
「疾ッ!」
仮面に向かい、一閃、二閃。
急所を着られた虚は嘆くように叫び声をあげ、塵のように消えた。
「つぎぃ!!」
俺は雄叫びを上げ、虚に向かう。
衝撃的だった。
走り出した少年は、さっきまでの歳相応な態度とは打って変わった、戦闘狂のような雄叫びを上げています。虚と退治していた副隊長の勇音を抜き去り、飛び上がって虚を蹴り飛ばし、小屋にかけてあった刀を二本取って抜き放つと、一番近くい居た虚に向かって飛び上がり、切り捨てました。
荒々しく、獣のように、獰猛に、虚を殺し終えた少年は、折れた刀を捨てました。
何をするつもりなんでしょうか?
私は少し、あの少年に興味がわきました。
「っしゃらくせぇえええええ!!!!」
全身から霊圧を膨らませ、爆発させる。
その霊圧を拳に溜め込むと、虚の仮面に向かって打ち抜いた。
陥没する虚の仮面、驚く虎徹さんの声と、息を呑む卯ノ花さんの姿。
怖がられるのは、嫌だなぁ。
でも、とりあえず。
今はこの虚共を殺して、俺の飢えを満たそう。
戦いと言う名の虐殺は、30分後、助太刀に入った卯ノ花さんの鬼道によって終結した。
あの小さな少年から感じられた、異常な程の霊圧。
ここ数カ月、時々噂に聞く東流魂街で発生する霊圧。
虚でもなく、被害が出ることもないのでこうして勇音と薬草を摘みに来たのだが……。
「あの……隊長」
「なんですか? 勇音」
「あの子は……一体」
「それは、これから確かめるのです」
私は少年に近づき、改めて声をかけた。
「貴方のお名前は」
少年は、私を見上げた。
大きな琥珀色の瞳が、私を写した。
「ちとせ、……千歳」
そう名乗った彼は、私に手を伸ばし、何かを求めるように、その目に涙を浮かべて言った。
「怖がらないで、僕を、連れて行って……」
戦闘時による性格の変貌、今の少年からは見て取れない、おびえる表情に、私は酷く母性を掻き立てられました。この子を守らねば、何よりも、孤独から……。
「連れて行ってあげましょう、私は護廷十三隊、四番隊隊長、卯ノ花烈です」
「わ、私は護廷十三隊、四番隊副隊長、虎徹勇音です」
それから、彼を狙う、女からも……。
タイピングをしているときに、画面にすぐ文字が表示されないとイライラしますね。
変換すると余計に遅く感じるのも、イライラの原因でしょうか。
え? 私のPCの調子が悪いだけ? そうですね、ちょっとお仕置きしなくちゃ。
7月24日 修正
霊力を持たない流魂街の魂魄は食事を必要としない、とのご指摘を受け、本文を書き直しました。