※この作品はR-18です。

色欲の花嫁(番外編)   作:スカイリィ

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第二話 快楽の園

 

「う、うう、うう……!」

 

 マシュの顔が痛みに歪められた。

 

 膣はもともと外部からの異物、すなわち男性器を受け入れる形状にはなっている。しかしそれまで自慰すらしたことのない彼女の膣にとって、たとえ十分に愛液が滴っていたとしても、いきなり男性器を受け入れたところで苦痛が大きいのは道理だった。

 

 そしてマシュの未発達な性器と比べて、立香の性器は大きすぎたのだ。

 

「マシュの中、きついっ……!」

 

 ぎちぎちに引き締められる立香の性器。本当に彼のサイズは通るギリギリだった。腰に力を込めるがなかなか奥まで進まない。

 それでも少しずつ進んでいき、とうとう最奥まで到達したところで、マシュの両目から涙がこぼれ始めた。

 

「いたい、いたい……いたい」

 

 泣きじゃくるマシュ。彼を受け入れたいのに、痛覚がその邪魔をしようとする。こんなに優しい彼なのに、どうして私の身体は痛みの警報をあげているのだろう。

 

「ごめん、マシュ。今抜くから」

「だめ、です。ぬかないで」

 

 腰を引こうとする彼の腕を掴んで、ぐいと引き寄せる。立香はバランスを崩してマシュに体重を預ける形になった。

 

「マシュ?」

「せんぱいの、ぬいちゃイヤです」

「でも、痛いんでしょ?」

「痛くてもいいです」自身にのしかかる立香を抱き締めるマシュ。「私はせんぱいが欲しいんです。このくらい、平気ですから」

 

 せんぱいの動きたいように動いてください。そう言うマシュに立香は戸惑うような表情を見せたが、数秒経つといつもの優しげな顔に戻った。

 

「わかった。でも、優しくするから」

 

 本当に彼は優しい。マシュはそう思いながら彼への返答としてキスを送った。ついでに痛みをこらえながら微笑みを向ける。

 

「じゃあ行くよ」

 

 宣言と共に立香の腰が動く。最初はゆっくりと、それから少しずつ早くなっていく。膣壁が彼の男性器を強く締め付ける。

 

 マシュは肉を裂くような痛みを必死に耐える。膣の痛みだけでなく、腹の内臓を押し退けられるような感触に身体が震える。気持ち良い気持ち悪いの問題ではない。マシュは未知の感覚に恐怖した。シーツを握る手に力がこもる。

 

 腰を動かしはじめてから一分も経たずに立香の息が荒くなり、わずかに喘ぐ声が混じり始める。

 

 それに気づいたマシュは痛みに耐えながら喜んだ。彼が、感じてくれているのだ。この自分の身体で。

 

 しかしその喜びもつかの間、動き始めてから数分でマシュは再び泣きはじめてしまった。外側からの痛みならともかく、身体の内側からの痛みを我慢する術を彼女は知らなかった。彼女が嬉しさを覚えていたとしても、身体は痛みに対して防衛反応をしてしまう。

 

 涙をこらえようとすると、今度は声が漏れてしまう。喘ぎ声ではなく、苦痛を訴える泣き声だ。マシュは声をあげて泣いてしまう自分を制御できなかった。

 

 しばらくそうしていると、立香が腰の動きを止めていた。

 

「ごめん、マシュ」

「やぁ」彼の謝罪を拒絶と受け取ったマシュが首を横にふる。「抜かないで、せんぱい」

「抜かないよ」苦笑しつつ、自身の右手の甲を示す立香。「代わりに、これを使ってもいいかな」

 

「……令呪?」

「これ使えば、痛いのはどうにかなると思うんだ」

 

 立香はそう言って、マシュの頬に手を添えた。

 

 サーヴァントへの命令権、令呪。本来はサーヴァントを強制的に自害させることすら可能なほど強力だが、立香の持つそれは彼の優しい性格を表すかのように、絶対的な強制力を持たない。

 

 だがそれ自体が巨大な魔力を込められた術式だ。サーヴァントへ命令を送り、ある程度を実行させるだけの力はある。

 

 マシュは彼が、令呪を鎮痛剤として用いようとしているのだと判断した。それくらいのことは令呪ならば可能だ。

 

「でも、一晩に二角も使うなんて」

「あと何時間かすれば日付が変わって一角補充されるよ」

 

 だから良いんだよ、と彼はマシュの頬に口付けをした。それから彼女の耳元に口を寄せて、囁く。

 

「それに、俺はマシュの痛がる顔を見て興奮するような男じゃないから。それよりマシュのエッチな顔が見たい」

「……せんぱいさいていです」

 

 そう言いつつ、マシュは彼の頬にキスをしていた。頬、それから首筋と耳にも軽いリップ音を立てて唇で触れていく。それからお返しのように彼の耳元で返答した。

 

「……どんな命令をしても、いいですよ」

 

 痛みをこらえつつ、いたずらっ子のように言ってやった。すると立香は顔を赤くして目を見開いていた。それを見てマシュは笑いそうになるのだけど、腹筋が動くと痛いので我慢した。

 

「わかった。じゃあ使うよ」

 

 隠蔽の魔術を通り抜けて、赤い光が手の甲に現れる。三角限りの令呪。そのうち一つが使われ、残りは二角。

 

 自身が強力な対魔力スキルを保持しているマシュは、身体の力を抜いて、彼から流れ込む魔力に抵抗せず、下される命令に身を任せようとしていた。

 

「令呪をもってマシュ・キリエライトに命じる。今夜だけでいい。俺とのセックスで充分な快楽を得るんだ。──それと俺と一回キスするごとに、一回絶頂して」

 

 え? とマシュが己の耳を疑った時には既に令呪の効果が身体に浸透しているのがわかった。今、彼はなんと言った? 前者はわかる。だが、後半の命令はなんだ?

 

「せんぱい、今のは──」

 

 尋ねようと開いた唇が立香のキスで塞がれる。とたんにマシュの頭の中が真っ白になった。不意討ちのような絶頂に身体が震える。

 

「あぅうううう!」

 

 無意識のうちに飛び出した快楽の絶叫は立香の唇に塞がれてしまう。くぐもった叫びが響く。痛みに強ばっていた全身の筋肉が弛緩していくのをマシュは感じた。

 

 立香の唇が静かに離され、そしてもう一度キスしてきた。余韻に酔いしれる間もなく再びの絶頂がマシュを襲った。

 

「んあ、ああ……!」

 

 オーガズムからくる身体の浮遊感に、とっさに立香の身体に縋りつくマシュ。身体の内側から快感が押し寄せ、下腹部の痛みなど掻き消されてしまう。それどころかそれまで痛みとして認識していた刺激が、徐々に快感へと代わっていく。

 

「う、ああ、……せんぱい、これ……」

「痛くない?」

 

 立香が頬にキスをしながら訊いてくる。マシュは乱れた息を整えようとするのだけれど、二連続のオーガズムが彼女の心臓を加速させ、全く呼吸が落ち着かない。

 

 返答代わりに彼の頬へキスを送る。すると立香はニヤリと笑う。

 

「これでマシュのエロい顔、たくさん見れるね」

 

 その笑顔を見て、マシュは自らに待ち受ける運命に慄き──同時に歓喜した。

 

「せんぱい……!」

 

 立香の後頭部に腕を回して、自分からキスをする。その瞬間に強烈な快楽が身体を駆け巡る。両脚が強ばり、ベッドシーツに皺が寄る。

 

「はぁ、はぁ、ああ……!」脱力しながら立香を呼ぶマシュ。「せんぱい、せんぱい……!」

 

 抗いがたい立香の魅力と快楽に侵されたマシュの頭に、もはやまともな判断力は残されていなかった。

 

 世界で一番素敵な彼とひとつになって、たくさんキスをされて、たくさんイって、たくさん抱き締められる。なんて魅力的なのだろう。

 

「どうぞ、せんぱい」

 

 腰をわずかに揺らして、彼の動きを促す。クチャ、クチャと先ほどまでよりも大きな水音が聞こえた。さらにあれほど下腹部を貫いていた痛みはほとんど感じなくなっていた。

 

 痛みがなくなったことで、マシュは彼のイチモツの形までもはっきりとわかるようになっていた。彼の鼓動に合わせて脈動しているのまで感じ取れる。入れる前に見たあの大きさのモノが自分の中に納まっているというのが不思議に思えた。

 

 膣を目一杯占有している彼の性器。その存在を意識して、マシュは身体が熱くなるのを感じた。

 

「ん……動くからね、マシュ」

「はい、いっぱい気持ち良くなって──ひゃあん!」

 

 彼の腰が一気に動き、マシュは甘い悲鳴をあげた。入り口近くまで引き抜かれたあと、すぐに奥まで突き上げてくる彼の性器。その感触に強い快感を得たのだ。

 

 先ほどまで痛みしか感じなかったはずなのに、一転してこの気持ち良さ。令呪の効力は確かだった。

 

「あっ、あっ、あっ、うう、ああぁん!」

 

 マシュは目を閉じて彼を抱き締めて、流れてくる快感に身を任せる。すごい。すごい。こんなに気持ちいいなんて。指や舌の刺激なんて目じゃない。彼がほんのわずかに動くだけで背筋に甘い電流が走る。引き抜かれるたびに、突き上げられるたびに制御不能なほど声が出てしまう。

 

「ああっ、うん、はぁっ、せんぱい……!」

 

 彼と繋がっている場所は焼けるように熱い。それでいてとろけてしまいそうなほど気持ちいい。それ以外の場所も汗が噴き出して彼から滴る汗と混ざり合い、肌を濡らしていく。

 

 彼が自分にのしかかって、自分が彼を抱きしめて、互いの身体に夢中になって、ひとつになる快感の、なんて素晴らしいことか。これが、セックス。

 

「マシュの中、最高だよ……!」

「あん、あっ、あん。……せんぱい、せんぱい、キスして、ください」

 

 言われた通り、立香は腰を動かしながらキスをする。マシュはもう何度目かわからない絶頂を迎えた。

 びくびくと震えるマシュの耳元で熱い吐息と共に立香が囁く。

 

「イクたびに、すごい、締まって、気持ちいいよ……」

「ああ……ああ、ううう、もっと、気持ちよくなって、ください、せんぱい……!」

 

 マシュは立香の首筋にキスをして、そこから彼の耳に至るまで細かく唇で触れていく。その刺激があるたびに彼がビクリと反応するのがわかった。少しずつ腰を動かすペースが上がっていく。

 

「うあ、マシュ、それだめ」耳元への刺激に身もだえる立香。「ダメだって、俺、もう、イキそう……!」

「どうぞ。せんぱい。いっぱいイって、ください。──あんっ!」

 

 一番奥まで突き入れられてから、彼の動きが止まる。

 どくんどくん、と彼の性器が脈を打ち、奥に何かが当たっていくのがわかった。マシュは自身の胎に温かいものが流れ込んでくるを感じた。

 

「あ、ああ、ああ……」

 

 暖かい何かが注ぎ込まれる感覚にマシュはゾクリと震える。彼にキスされているわけでもないのに、下腹部がびくびくと痙攣した。これは、なんだろう? 気持ちいい。もっと欲しい。

 

「うう、ふう、……中に、出しちゃった……」

 

 立香が荒い息のまま笑みを浮かべ、マシュの髪を撫でた。

 

「なか、に?」

「うん。今のが射精。俺がイって、精子を、マシュの中に出したんだ」

「射精、せんぱいの、精子……」

 

 マシュは自身の下腹部を片手でさすった。先ほどの温かい感覚がじわりと広がっていく。これが、精子なのだろうか。

 

 射精。男性が性的刺激によりオーガズムを迎えた際に、性器から精液を放出する現象だ。医学書で得た知識で理解はしている。

 

「せんぱいの、暖かくて、気持ちよかったです」

 

 彼が膣へ射精したということは、すなわちこの自分の身体でオーガズムを迎えたということだ。マシュはそれを喜び、立香の耳にキスをした。

 

「でも、妊娠しちゃうかしれないよ」

「せんぱいの赤ちゃんなら、喜んで産みますよ」

 

 膣へ放出された精子は子宮へと向かい、そこに排卵された卵子がいれば、受精する。そしてうまく子宮へ着床すれば、妊娠して新しい命が育ち始める。

 

 マシュはそれに不安を覚えてはいなかった。彼の子供を産めるというのなら、それは自分にとって喜ばしいことだ。きっと彼にとってもそれは同じだろう。

 

 もとより彼の子を産むつもりではあったが、実際に子を成すための行為をしてみると、また違った実感がある。

 

 彼とのセックスがこんなにも心地よいものだというのなら、何人でも彼の子を産んであげたいという気持ちになってくる。彼と、子を成したいという感情がさらに強くなってくる。彼と、もっと交わりたいと思ってしまう。それを実感し、マシュの心も身体も疼いた。

 

「そっか、じゃあ、もう一度良いかな」マシュの額にキスをする立香。「マシュの中が良すぎて、全然収まらないんだ」

 

 医学書では、一度射精すると男性の性器は勃起を維持することが難しいと書かれていたのだが、立香の性器は未だに膣内で存在を主張し続けていた。

 

 彼とまたセックスできる。それを意識したとたんにまた身体が熱くなる。そして今度は下腹部が特に強く疼くことにマシュは気がつく。

 

 そこには膣があり、そして子宮がある。彼の精液で刺激されたのか、あるいは淫らな思考に反応したのかはマシュにはわからなかったが、これからさらに気持ち良くなれるということは理解できた。

 

 彼と、もっと、交わりたい。マシュはとうとう、それだけしか考えられなくなった。

 

「どうぞ、せんぱい。好きなだけしてください」

 

 そう言ってマシュは立香の唇にキスをして、絶頂と共に彼を抱き締めた。

 

 

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