※この作品はR-18です。

エロエロナ物語 -エロエロンナ物語R18編-   作:ないしのかみ

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うわっ、続いてしまった。
2で終わらせる予定だったのに。
てな訳で、もう少しお付き合い下さいませ。

改訂。
西部→東部。
かの港町は、グラン王国東端にあるのに西部とはこれ如何に?
うーん、書いてた時に西武線の事でも考えてたのかも知れない(笑)。



海軍娼妓士官 -サッキュバスの館4- その2

-サッキュバスの館4- その2

 

 ずちゅ、ずちゅと淫靡な水音が響く。

 嫌なのにどうしても出てしまう喘ぎ声。「はぁ、はぁ」と洩れる淫魔の吐息。

 

「ああっ、ああっ、気持ちいい。気持ちいいよぉ」

「うぁ、うぁっ、止めて、止めてぇ」

 

 懇願は無視される。ふたなり化したサッキュバスの陰茎が高速で抽送を繰り返し、やがて感極まった淫魔が「うっ」と叫んで、動きを止める。

 次の瞬間、最高に解き放たれた快感と共に、膣内で精液が爆発した。

 

「ああああーっ、お姉ちゃん。お姉ちぁぁぁぁぁゃん」

「熱い。いゃああー、熱いよぉ」

 

 凄まじい大量射精。汚れ無き身体一杯に、精液の奔流が流し込まれて膣をえぐって行く。

 その日、僅か11歳でシグルーンは処女を喪失した。

 

              ◆       ◆       ◆

 

「はぁ……」

 

 タンハーは上甲板で嘆息していた。

 ママには、ああ答えたものの、実際、娼妓士官を目指すのかという決心は未だ付いていないからだ。

 エロエロンナ東岸にある海軍基地。

 もっとも古くから、此処が〝エロンナ村〟とか呼ばれていた頃から開発されて来た軍港だ。

 

 今、この船、ジーベック艦『シャンブロウ』は舫いで艦体を岸壁に固縛され、好天の下にその体躯を休ませている。

 グラン王国海軍。いや、口性の無い奴らはエロエロンナ海軍とも呼んでるらしいが、その中でも大型艦に属する三艢式の立派な戦闘艦だ。

 自分が任官したら、やっぱりこのクラスの艦に乗るのかと連想してしまう。

 

「いっそ、自分が船酔いに弱かったら良かったのになぁ」

 

 海軍基地付きの娼妓士官と言うのも無論ある。

 海軍基地は海兵(セイラー)だけを擁している訳では無く、移乗戦闘や上陸作戦に従事する陸戦隊(マリーン)を編成しているからだ。

 特にエロエロンナの場合、軍事費削減の為に陸軍は領主の意向で一兵も配置していない。

 これは領主様が元海軍士官だったせいもあるのだろうが、軍事の全てを海軍に統一化している為である。

 曰く「守備隊を陸戦隊で代用出来るのに、何で陸軍まで飼わなきゃならないのよ」である。

 限られた予算を徹底的に省きたいのと、自分が海軍閥な為、指揮系統の違う陸軍を排除したいとの考えが根底にあるらしいが、政治の授業で習った事以上にはタンハーに知識は無い。

 

「でも……」

 

 娼館自体が海軍所属だから、当然、見習い淫魔にも最低限の海事が叩き込まれる。それは水泳から始まって、ボート漕ぎ、そして操船や各種信号なんかだ。

 以前、何回か行われた実習航海で小さなタレッテとか言う漁船に毛が生えた(本当に元漁船だったかも知れない。船内が魚臭かったから)帆船で一週間(六日)程航海したのだが、親友達は良い成績を収めていた。

 ラーガやアラティーも船酔いには強かったから、基地付けになるのは無理っぽいかも知れない。

 

 どんな時にだって、遅かれ、早かれ別れはあるのだ。しかし、タンハーの中では姉妹の様に仲良く育った友達と別れるのは、今一、決心が付かなかったのだ。

 背中をブルワークに預け、天を仰ぎ見る。船に揺れが無いのは、この軍港が河口の中にあって波が無いからである。

 

「あ……」

 

 至近距離に薄桃色の縦ロールが目に入る。

 褐色の肌をした新米少尉が、いつの間にかそこに立っていた。

 

「貴女、まだ居たの?」

「えーと……確か」

 

 なんか、長い名だった筈だなと思い出す。

 

「キャロン少尉?」

「誰に聞いたの。キャロンは愛称。ああ、貴女のお母様ね!

 シグルーン・モードリン・ディア・キャメロンよ」

 

 そうそう、そんな名だった。

 記憶術は割合しっかりとしていたのになと反省する。忘れかけていたのは、彼女に無関心だったらなのか、どうでも良い事柄だからか。

 

「で、居ちゃ悪いのか?」

「悪いわよ」

 

 即答ですか。そうですか。

 

「サッキュバスが居ると風紀が乱れるし、あんな淫らな事をするし」

「乱れてないと思うけど、むしろ風紀の為には良い影響ががある筈だよ」

 

 タンハーは事実を淡々と述べる。

 少なくとも娼妓士官制度の発足後、グラン王国東部艦隊(エロエロンナ駐留艦隊)では強姦事件等、性による不祥事、事件は一切起きていないと。

 

「まぁ、淫らと言ったら淫らかもなぁ。殿方相手に性行為するのがサッキュバスの性だし」

 

 腕を頭の後ろに組んで空を仰ぎ見る。

 ふと思い出して「あ、殿方相手とは限らなかった」と訂正すると、それを受けたキャロンの顔が真っ赤になる。

 

「キミ、潔癖すぎない?」

「うっ、五月蠅い。毎日、毎日、いやらしい声を聞かされる身にもなって頂戴」

「もしかして、キミの私室。母さんの部屋の隣?」

 

 士官室は大抵艦尾にある。

 兵に比べ、艦乗り組みの士官は数が少ないが、それでも与えられる個室は狭っ苦しい。

 壁だって薄い。艦体の外壁が波浪に耐える為に強固に作られているのは対して、艦内の仕切りは艦長室を除けば安普請だ。

 艦自身を軽量化する為の設計なんだろうけど、声なんか筒抜けになろう。

 

              ◆       ◆       ◆

 

「あんっ、あんっ、あんっ、そこっ、そこよ。ほら頑張ってぇ」

 

 エンプーサの嬌声が廊下に響いている。

 今、母は任務中である。

 ただ性交をしてるだけに思えるが、これも立派な娼妓士官の仕事。娼妓士官室の前に貼られた予定表に記された将兵のお相手をするのがノルマだ。

 

 午後の予定表。一人に付き、三十分の時間制限付きで13:00から八名。

 18:00に一旦上がって、20:00から夜間の部に入る。こっちは四名。午前の部を会わせると、一日のノルマは十六人。大変だなぁと思う。

 

 常々。オーバーワークだから、現場が娼妓士官の増員を申請してるのが分かる。

 基地に対して臨時で娼館のサッキュバスが時々応援にかり出されるのも、これを見たら判る様な気もする。

 普通、淫魔が一日に必要な精は空っぽの時でも二人もまぐわえば充分だ。

 滅多に精にありつけない田舎の野良淫魔なんかは、この時、精を絞れるだけ絞って相手を枯死させてしまう。常に糧を得られないから、魔素を食い溜めする必要がある為である。

 

 対して都会の淫魔は獲物が多いから、そんなにがっつかない。

 まして公娼に就いてるエロエロンナのサッキュバスは、糧の完全な安定供給が保障されてるから、枯死するまで相手を搾り取ったなんて話は、タンハーは聞いた事が無い。

 同時に何でタンハー向けのお弁当(精液入りの水筒)が、毎日豪華なのかの謎も解けた。

 毎日、毎日十六人も精を搾ってたら、そりゃザーメンの取り過ぎだ。無駄にするより、娘にお裾分けって事になるのは納得行く。

 

「ね?」

「ね、と言われても。うん、まぁ、悩ましげな声なのは認めるよ」

「いやらしく、淫らな声を聞かされ続けるのよ。朝も、昼も、夜も」

 

 キャロンの言葉に戸惑う。

 突然、船尾楼に連れて来られて、母さんの仕事場の外で声を聞く羽目に陥ったけど、淫魔である彼女にとって、それって『別に良いじゃん』的な感想しか出て来ない。

 そして『うーん、身体の疼きが声に誘発されるのかな?』的な結論に至る。

 

「御免。あの声聞いてると濡れちゃうんだね」

「は?」

「でも、母さんの声にはセイレーンとかみたいな魅了効果はないんだけど……。

 声で感じちゃうってのは、キャロンの身体が敏感なのかなぁ」

 

 ぽりぽりと頭を掻くタンハーが、「おかしいなぁ」と首を捻る。

 

「違うわよっ、これだからサッキュバスってのは!」

「何だよ、それ。良く分かんねー」

 

 会話は噛み合っていない。

 サッキュバスに取って性行為こそが生活の根幹を成す基本であり、それを恥じたり、隠したりと言うのは常識の範囲外なのである。

 人間と一緒に社会生活を営んでるのだから、知識として理解出来る物はあるだろうが、やはり、姿形は似ていても、淫魔はメンタリティ的には全くの異種族だからだ。

 

「性行為は生き物の基本だけどね。生殖もそうだけど、あたいらにとっては食事だし……」

「そんな事、分かってるわよ!」

 

 キャロンが「とにかく部屋に居られない。いつもピンク色で、気が狂いそうになるのよ」とぶつぶつと呟く。何だそれ、と思う。母さんは任務に忠実なだけだ。

 個人的に音が不満なら耳栓でもすりゃ良いじゃん。

 

「不満なら、部屋替え申請してみたら?」

「船尾楼中に響くんだから、意味ない」

 

 士官室は全て船尾楼にある。

 

「船の壁が薄いのはあたいらのせいじゃない。文句は造船所に……」

「ああっ、もうっ、サッキュバスが居るから悪いのよ!」

 

 じゃあ、この『シャンブロウ』みたいな大型艦じゃ無くて、娼妓士官を載せていない小型艦にでも転属しろよと言いたくなるが、それは叶わない。

 女性が乗り組む場合、娼妓士官抜きの艦には配備される事は基本的に無いからだ。

 性欲を抑制された男が、限界を超えて爆発し、乗り合わせた女性を強姦対象にするのを未然に防止する為である。娼妓士官はそんな女性の貞操をも守っているのである。

 

 ただ、娼妓士官が配置されているのは基本的にエロエロンナ駐留の東部艦隊だけだ。

 だから、海軍で女性士官として任官する場合、殆どが東部艦隊に回されて来る。

 西部に比して、東部艦隊の女性比率が異様に高いのはこの為である。

 

「そんなに淫魔が嫌い?」

「ええ」

「理由は?」

 

 毛嫌いしてるにしても、原因がある筈だとタンハーは踏んだ。

 それを取り除ければ改善するかもと考えるのは、淫魔学校で習った間諜教育のせいだろう。

 人間観察。裏を探れ。は間諜の手練手管の一環として、教え込まれる技術の一つであり、対人情報収集の基本の様な物だ。

 

 

「認めない……。あたしは認めないからね。とにかく、娼妓士官なんて嫌い。

 あんたも海軍以外の淫売宿に就職しなさい。いいわね!」

 

 答えずに身を翻して去る彼女。

 ここまで頑なに淫魔を否定する彼女にタンハーは興味が湧いた。

 

              ◆       ◆       ◆

 

「キャメロン少尉か」

 

 母は任務で忙しそうだったので、タンハーは艦長室を再び訪ねた。

 ママは机に溜まった種類を整理中であったが、相談には乗ってくれた。

 

「原因があると思うんだよね」

「まずは親の関係だわね」

 

 かりかりとペンの音が響く中、パール艦長が即答した。

 

「親?」

「あたしも報告書でしか知らないんだけど、キャメロン少尉の母親はサッキュバスに強姦されたそうだ。で、子供を産んだ」

「え、孕んじゃったの?」

 

 普通は有り得ない。

 淫魔と母胎になる女性の間ので子供が出来る為には、互いに相思相愛の間柄である必要があり、単に強姦されただけでは絶対に子供は産まれないからだ。

 仮に精子が卵子に受胎しただけでは駄目で、相思相愛ではないと受胎した卵子は育たずに死んでしまうのだ。ちなみに、どうしてそうなるのかの原因は分かっていない。

 

「強姦って事は、相手はエロエロンナの淫魔じゃないわね?」

「ああ、彼女の出身は王都よ。でも、それ以前はどこかの地方領だった筈。

 その地方領時代にサッキュバスに襲われたらしい」

 

 キャロンは南方系か中原系の浅黒い肌しているから、そっちの方面の出であろう。

 魔族であるサッキュバスはエロエロンナ以外では違法な存在だ。人々を襲い、男を枯死させ、女を強姦する危険な魔物と見られており、発見次第、駆逐するのが常識となっている。

 

「産まれたって事は、キャロンの母親もその淫魔との間に情愛があったって事じゃ……」

「かも知れん。が、間違っても人前で口にするなよ。タンハー」

 

 パールは娘に注意を与えた。

 タンハーは「はい、ママ」と姿勢を正す。時として本当の事であろうが、事実に目を瞑らねばならない事態もあるのだ。

 

「で、犯人のサッキュバスは?」

「討伐されたらしい。しかし、キャメロンの母は孕んだ子を産んだ。

 堕胎するには時間が経ちすぎて、産むしかなかったらしいが……。産まれた子の詳細は記録に無い。恐らく、世間体から記録が抹消されているのだろう」

「だから、キャロンがサッキュバス嫌いなのかな」

 

 母親を穢されたという理由なら、何となく恨みを持っていても不思議じゃ無い。

 パールは書き物の手を止めて、棚から幾つかの書簡を取り出してめくって行く。

 

「個人的な事だから、余り詳しい事の追求はしなかったが、どうも産後、母親は死亡したそうだ」

「え?」

「噂レベルだから信憑性には欠ける。だが、本当に産後の調子が悪くて亡くなったのか……」

 

 それ以上は口をつぐんだが、タンハーにはその先の意味が理解出来た。

 魔族と繋がり、忌むべき子供を産んだ者は恥。家の名誉を守る為に、身内の手で殺されたのかも知れないのだ。

 

「………酷い」

「個人的に言える事は、彼女に関しては放っておけ、だわね。

 キャメロンの淫魔嫌いは、ちょっとやそっとで治る様な物じゃ無い。下手に触れるとタンハー、お前自身が危なくなるかも知れない。母としてはそっちの方が心配になる」

 

 抱き寄せて頭を撫でてくれる。

 

「よっぽどの事が起きない限り、だ。あたしとエンプーサが昔、体験した時の様に……」

「何?」

「あたしも昔、キャメロンと同じ位、サッキュバスが大嫌いだったのよ」

 

 大きく目を見開く愛娘に対し、ママは「ふふっ」と笑って見せた。

 

              ◆       ◆       ◆

 

 午後、任務明けの18:00時過ぎに、再びタンハーはエンプーサの元へ訪れる。

 

「で、娼妓士官になってくれるのかしら?」

「うん、ママには良い返事を返したけどね。実際はまだ迷ってる」

 

 陽が落ちかけているので、貴重なランタンの明かりが灯る。

 艦内に灯る照明は火災の危険から限られており、士官室にそれぞれ一つ以外は、食堂とか大部屋にあるか、艦首と艦尾の航海灯程度に過ぎない。

 廊下は真っ暗。後はガンデッキにぽつり、ぽつりと申し訳程度に点いているだけだ。

 魔法照明器具(マジカルライト)みたいな高級品は無い。

 この点では、魔法器具によって華やかに夜を彩る娼館に比べて遙かに劣る。

 

「まぁ、任務は過酷だからね」

「後悔してる?」

「まさか。パールと一緒の職場だし、生きがいはあるわよ」

 

 安物のギャラガ油が燃える匂いの中、エンプーサはにっこりと笑う。

 

「聞いて構わない?」

「ん」

「ママとの馴れ初め」

 

 タンハーを後ろから抱えて、その背中に頭を擦り付けて感触を楽しんでいる母に、思い切って質問してみる。

 思えば、タンハーはそれを聞いた事が無かった。

 

「キャロン少尉の事、気になってるのね」

「あ、分かるの」

「そりゃ、あたしも母親だしねぇ。

 パールに昔のあたしらの関係を聞いてきたのだって推測は、何となく…ね」

 

 遡る事、数十年。

 エロエロンナに軍港が出来て、初めて娼妓士官制度が導入された頃、海軍ではこの制度に反発を持っている者が大多数だった。

 淫魔であり、魔族であるサッキュバスを果たして軍属として使えるのか。

 危険性は無いのか。風紀の面で乱れる事は無いのか、と当時は大変だったらしい。

 

「まぁ、あたしはそんな黎明期からは少し外れた世代だけどね。

 ここらは先輩達が頑張ってくれたのよ。サーシャ様とかナーダ様とかがね」

 

 エロエロンナ初期の淫魔達でも伝説級の人々の名を挙げる。サーシャは淫魔学校の第一期生。ナーダは第三期生で、今は司祭として名を馳せている。

 

「それでも偏見は大きかった。淫魔ってだけで魔物扱いをする者が後を絶たなくてね。まぁ、今もそう違わないかもだけど、あたしが任官した二十年前は、差別が今の比じゃ無かったのよ」

「そこらは授業で習ったけど」

「階級が下で有りながら、こっちの指示に従わない奴。あからさまに娼妓士官を見下す士官とかも結構居てね。まぁ、色々とあった訳よ」

 

 しかし、それでも下士官や兵とは打ち解けていたらしい。

 問題は士官階級だ。娼妓士官は海軍士官学校とは別のルートから任官される。いわば、現場から叩き上げが任官されるのに近いので、士官学校の軍閥から敵視される傾向にある。

 

「その最右翼が、パールだったのよ」

「え、ママが?」

 

 エンプーサは苦笑する。今の母とママの良好な関係から見ると、タンハーは信じられない。

 箱入りで、徹底した潔癖症。気位は高く、手に負えないお姫様だったらしい。

 

「パールの実家が貴族なのも関係してるわ」

「貴族?」

「聞いてないか。フェリサ家は子爵家よ」

 

 貴族。

 基本は公、侯、伯、子、男。この中に特殊な者、大公とか辺境伯とかもあるが、まぁ、今は関係ないので割愛する。いわゆる爵位持ちで継承権のある家柄だ。

 なお、一応は貴族階級ではあるが、士族は一代のみで継承権は無い。もし、本人が亡くなったらそれまでである。

 この内、公爵と侯爵は上位貴族。伯爵と子爵は中位貴族。男爵と士族は下位貴族に当たる。子爵は中位貴族だが、それなりに偉い。庶民や士族から見れば雲の上の人である。

 

「そんな事、全く聞いてなかったよ」

「まぁねぇ。今は子爵家と縁を切ってるから」

 

 既にそんなのは過去の出来事だ。今は単なる士族だと割り切ってるからだろうと母は述べる。

 ある出来事で母と和解し、そしてタンハーを身籠もった事で実家を捨てたらしい。

 

「あんたを堕ろせってのを、頑なに拒んだのよ」

「ママが…」

「あたしやタンハーの姓がフェリサでは無く、ラーパティなのはその為ね」

 

 実家との縁を切ったが、それでもエンプーサとの正式な結婚は許されず、産まれた子供も母方のラーパティ、つまりエンプーサの私生児とされたのもそのせいだ。

 子爵家の血を引く、サッキュバスを否定したいが為だろう。

 

「もし、キャロン少尉の件に関わる気だったら、娼妓士官になりなさい」

「え……」

「明日、貴女は本艦を離れるんでしょ。そんな短い時間じゃ、何も出来ないわ」

 

 この艦に来たのはあくまでも研修の下見に過ぎない。

 明日には淫魔学校へ戻る必要がある。

 しかし、娼妓士官になったとして、果たして同じ職場に配置されるのだろうか?

 

「配属に付いては、あたしとパールで何とか工作するわ。一緒の船に乗せてあげる」

 

 その程度の小細工は可能だと母は言い切った。

 ラーガやアラティーみたいな、外部の者が何処へ配属されるのかは手出し出来ないけど、既に乗り組んでいる『シャンブロウ』から、一少尉を他の艦へ転属させる事は可能だから、と。

 

 

〈続く〉




どうでも良い裏設定。

キャロンのモデルは重〇テト。
性格はまるで違うけどね。どちらかと言えば某エロ同人誌の『蝶になった達〇姫』シリーズのお姫様っぽいなぁ(笑)。
タンハーの方が性格がテトっぽい気がする。
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