エロエロナ物語 -エロエロンナ物語R18編- 作:ないしのかみ
今回もギルパ君相手のエッチです。男の娘の自慰が基本だから物足りないかも知れません(笑)。
サッキュバスの館5- その5
◆ ◆ ◆
「で、あたしが呼ばれたと」
トリンシスが嘆息しながら部屋を見回した。
アラティーの私室とされている部屋だが、きちんと整理・整頓されているので生活感が無く、貴族の部屋だけあってシンブルながら贅が尽くされているので、平民の彼女から見れば、ますます現実感に欠ける空間になっていた。
天蓋付きの寝台とかレースのカーテン。壁を飾るタペストリーにでっかい置き時計とか、何処のおとぎの世界なんだと呆れてしまう。
「済みませんわね。聖句を使える者の心当たりが無かったので」
主治医のヴァンドルディは魔力が空で爆睡中だ。
ゆっくり睡眠で回復させ、少なくとも明日にならないと使い物になるまい。
「こうして見ると、やっばり男爵令嬢よね」
「はい?」
きょきんとするアラティー。
貴族の目で見れば、この部屋は贅を凝らしたとは到底言えないからだ。
むしろ、いつも仕事場にしている公娼館の部屋に比較すると数ランク落ちそうで、どうにか貴族の体裁を整えた安普請にしか見えない。
「にしても、アラティーの部屋久しぶりね」
「ええ、貴女がここへ入ったのは、十年以上前の筈ですわよ」
下の役所へは、職務の関係で何度も出入りしているが、領主館の住居部分を訪れたのは子供の時以来だった。
「夜も更けてくるし、出来れば早く帰りたいんだけどね」
「魔法灯を入れましょう」
夕闇が迫って来ているのでアラティーがスイッチを入れると、途端に室内が青白い魔光で昼間の様に満たされた。
魔法灯(マジカルライト)は【幻光】の呪文を封じ込めた魔法の品(アーティファクト)で、もっとも市場に出回っている品の一つである。勿論、庶民がおいそれと手が出せない高価な品だが、公共機関や貴族の館などでは普及している。
もっとも、この部屋のそれは煌びやかなクリスタルのシャンデリアでは無く、四方の壁に取り付けられた壁灯だけで、実用的だけど華麗さには欠くし、器具自体が特注では無く廊下にあるのと同じ量産品だ。
「これ、懐かしいな」
明るくなった室内で、トリンは昔、一度目にした肖像画を発見した。
ふわふわのドレスを着て、銀の髪を縦ロールにした幼い頃のアラティーだ。
「昔のままですわ。今は絵師を呼ぶ時間が取れなくて取り替える事も出来ません」
「縦ロールかぁ。今はしないの?」
「あれ、お母様の趣味ですわ。面倒臭いから止めましたの」
縦ロールを作るのは手間が掛かり、淫魔学校時代は理容師も呼べないし、お付きのメイドも居なかったので、自然と手の掛からないストレートな髪型を変える事になった。
何本もの熱いコテを使って、髪をくるくるとカールさせるのは大変なのだ。
しかし、他者の手を借りずに自分で身を整えられる様になったのは、家を出て独身寮に入ったお陰で、その点は感謝はしている。
「縦ロールにも驚いたけど、頭に角と羽根が無かったのにもびっくりしたわよ」
縦ロールなんぞ庶民には無縁の髪型で、これが貴族様だと感心したのだが、それ以上に種族がサッキュバスと知って、物語に登場する典型的な姿との違いに驚いたと言うのが子供の頃の話だ。
「本当にサッキュバスだぁって、尻尾を引っ張られましたけどね」
王族種淫魔(ロイヤルサッキュバス)と違い、アラティーの属する臣民(コモン)種淫魔には立派な角も空を飛ぶ為の羽根は存在せず、種族の持つ能力も低いので口の悪い者達からは劣化版扱いされている。
唯一、人間との相違点は尻から生えた尻尾で、吸精器官でも有り、デリケートな部位なのでウィークポイントだが、トリンにそれを遊び半分で引っ張られ続けたのだ。
涙目で尻尾をさすっていたのが、昔の思い出だ。
昔話は思い出すと長くなりそうなので、男爵令嬢はシャルルの話題にシフトする。
まずは、ギルバ以外に奴が影響を与えている【淫夢】である。
少年限定でシャルルの毒牙に引っかかった者が、果たして何人居るのだろうか?
「少年の【淫夢】の話だけどね。学校に来ている者の半分程度かな」
「確か、今の出席者は……」
全学年で四十人前後である。その内、男子は三十人程だから、実際に【淫夢】を見た者は十五人程度と言う話になる
「あれから情報収集したらシャルルって奴のやり方が、大体、把握出来たわよ」
一言で言えば【魅了】であり、誘惑して相手の理性を飛ばして色香に惑わせる。
但し、聞き取り調査によると成功率は余り良くないらしい。
「男が男の相手をするんだから、そっちの気がないと難しいのよね」
要は拒絶反応が高いって話である。【淫夢】を見た者も誘惑させられ掛けたケースは多いが、毒牙に堕ちる所まで行ってしまった者は、幸いな事にギルバ以外にはまだいない。
「それは重畳ですわ。これがガルスのまとめた情報になりますわね」
「ふうん……」
机に置かれた茶色い報告書を手に取り、トリンは粗悪な藁紙をぱらぱらとめくる。
シャルル・ゲハ、31歳、士族(ユンカー)。甘い声で【呪歌】を操る元吟遊詩人。
「紫色の髪と青い瞳を持った長身の男で、顔立ちが優れた優男ってのは、生徒の証言にあったシャルルと一致するわね。ん、この……×ばっかりな箇所は?」
「墨で塗りつぶされた箇所ですわ。『闇』の命令で検閲された」
トリンの質問に暗い顔で答えるお嬢様。
男爵領の所属国家、グラン王国の『闇』は秘密諜報部隊で国内外で色々と暗躍されているとの噂が高い、最近、流行りの軽小説なんかで主役を務めるが、一般的にはその活動は秘密のヴェールに隠されている。
「国家を揺るがす、機密情報って事?」
「お母様やカニンガムとか、多分、真実は知っているのでしょうけど、守秘義務から口を割らないと思いますわ」
実際、この報告書だって作成するのに大騒ぎだった。
機密文書扱いで、書庫にある記録閲覧をガルスが阻止されたからだ。
「何とか、わたくしの口利きでカニンガムがようやく閲覧許可をくれましたけど」
「下手に漏らして、もし『闇』に目を付けられたら困るからか」
見習い扱いであるとしても、男爵領に所属する正規の役人が触れられないレベルの情報であると言うのが、物凄くきな臭い代物である。
「これ、あたしに見せちゃっても良いの?」
「本当はいけないのでしょうけど、まぁ、領主代理権限で……。それとトリンなら下手に口外はしないと信じているからですわ」
巫女は「うぇぇぇ」と舌を出して苦い顔をする。〝下手な動きをしたら、その身に危険が及びますよ。懸命な貴方ならお判りですね〟と宣言されたも同じであるからだ。
毒を喰らえば、皿まで。覚悟を決めて読みふけって行く。
「男色家、ううん。両刀遣いだったのね」
「実際、その手の毒牙に掛かった人間は多かった様ですわ」
「被害者は……。ああっ、これは発表出来ないわね」
リストの中には領民の有力者の名が並んでおり、有力氏族の名もちらほら散見出来る。
これが表に出たら、とんでもないスキャンダルだ。
「その影響力を利用して継承騒動で、わたくしの追い落としを謀ったみたいですわ」
「サッキュバスを廃嫡して、男爵に政治的婚姻を進める工作ね」
基本的にエルダの政治は封建制である。
数から十数戸の平民を統治する名主的な士族の上に領主がおり、更にそれらを束ねる上位の貴族。その上に国持ちの国王が君臨する入れ子構造になっている。
士族は上位の領主に忠誠を示し、その配下として戦う義務がある代わり、領主から知行を与えられたり、権利を保護されるのであり、これが一種の契約と言える。
契約だから、自分の権利に反した領主に対して離反や要求も許されるのが、後の絶対王制との違いである。
次期領主に対して気に入らなければ、配下の士族が反対要求を突き付けるのも可能なのだ。
「これを見るとシャルルのゲハ家を筆頭に、幾つもの士族が反対票に回っているわね」
「最初は二割程度でしたけど、あれよ、あれよと言う内に五割近くがゲハ家に賛成して、更にお母様と婚姻して後釜に座る野心を出してきたのですわ」
「で、それを推進した武器が男色か……。色仕掛けで貴族の領地を手に入れるのは、大胆不敵と言うか、呆れるわね」
でも、少なくともこっちの方のシャルル・ゲハは、今【淫夢】を見せている何者かよりは、【魅了】のレベルが高そうだった。
実際に堕ちてしまった者が多数出ているからだ。
これに対して、アラティー擁護派の旗色は悪かった。
例え本当であっても相手は士族。正面切って〝お前は男の色香に騙されている〟と指摘するのは侮蔑であり、相手に喧嘩を売る行為になってしまうだろう。
実際、淫魔を匿った事が不利に働き、シャルルと政略結婚寸前まで行ったのだ。
だが、ここで事態は急展開を迎える。
従属領主である男爵領のお家騒動に、上位貴族であるエロエロンナ家が介入して来たのだ。
エロエロンナ伯爵家はグラン王国海軍の半分以上を担っている。
爵位こそ伯爵家に抑えられているが、実際の実力は辺境伯に匹敵するとも言われる大貴族であり、王国との繋がりや影響力も大きかった。
伯爵家の要請で、密かに『闇』が投入され、シャルルの企みは撃ち砕かれた。
「シャルルが邪教の信者で、邪悪な魔導士で退治されたと発表されたけど」
「表向きは。裏の正体はそこに書かれた通り、何処かの国の工作員ですわ」
トリンが「〝何処かの国〟ねぇ」と口元を歪める。
言葉を濁して表記はされているが、仮想敵国として三次にわたる大戦で我が国の敵となった、隣国マーダー帝国の事であろうと容易に想像が付いたからである。
墨で消された箇所にはシャルルの正体とか、その背後にあった組織や人物の名とかが記されてあったのだが、表記が抹消されている
「記録に残ると、外交的に不味いのでしょう」
「弱腰だね。我が国の外交畑は」
どうせ、何年か何十年か知らないが、いずれ戦うんだから明記したって構わないじゃないかと王国民として思うが、まぁ、それは王国の首脳部としての意向なのだろう。
王国の介入でシャルルは死亡。ゲハ家は改易されてお取り潰しとなり、シャルルに味方した者達も改易こそ無かったが、知行削減とかの色々な不利益を被ったらしい。
知行はすぐに男爵が〝邪悪な魔法によって、操られただけで罪を問わず〟としして返還され、代わりにさらなる忠誠とアラティーの後継者問題に関する賛成を得んが為の取引材料となった訳だが、それから十年経った今、今時、シャルルの亡霊が出て来るのか。
「生徒達の見た【淫夢】も概ね、シャルルと言う男に迫られた物らしいよ」
「レイス(死霊)系の亡霊でしょうか。シャルルは死んだ筈ですわ」
アラティーの言に聖教会の巫女は首を振る。曰く「普通、死霊って奴は死んで時間が経ってから、こんな風に活動する事は無いよ」だそうだ。
せいぜい、死んでから一年後とかに現れて人に害をなすそうで、こんなに期間が空いている事例というのは聞いた事が無いそうだ。
「まさか、高位なアンデットと化しているとか」
「ヴァンパイアだの、アンデットロイヤルみたいな?
ないない。シャルルをやっつけたのが『闇』であるなら、尚更ね」
記録によるとシャルルは、自宅である郊外の屋敷に追い詰められて抵抗の上、最後のあがきで召喚した魔物と共に壮絶な最期を迎えたらしい。
今でも貯水池の辺りにあった屋敷の残骸が残っているが、シャルルの屋敷は基礎の土台部分を残して完璧に吹き飛んでいる。
「『闇』が死体を取りこぼすとか、有り得ませんわね」
「そーゆー事。まぁ、原因は後回しにするとして、今はギルバに対する対処療法だ」
こんこんとドアをノックする音が響き、外から「お嬢様、準備が整いました」とのカニンガムの声が響いた。
アラティーは「では運び込んで」と命令し、室内にぼうっと半覚醒状態になった少年を迎える。
「さて、第二ラウンドですわ」
「素人の生兵法みたいなんだけど、大丈夫なのか」
この男爵令嬢は、医師でも無ければ聖職者でも無い。
トリンが心配するのは当然であったが、彼女は「ええ」と力強く頷いた。
代わりのアドバンテージ。淫魔であるサッキュバスであり、淫魔学校の教育から他者に対する交渉術、今で言う心理学を修めていたからである。
アラティーの説明によると、シャルルを名乗る相手(シャルルは死んだ筈だから、これはその名を名乗る別の誰かと想定している)の魔法は、まだ完全に影響力を絶った訳では無いらしい。
敵の魔法に干渉して、何とかそれを中和してはいるのだが、ギルバ本人が強い意志を持ってそれを拒絶しない限り、再び。シャルルの支配下に堕ちてしまうのだ。
「シャルルの甘言に堕ちたのは、本人自身の弱い所を突かれたせい。そう分析しましたの」
「ああ、女の子になりたいって話?」
それに対してサッキュバスは首を振る。
天蓋付きのベッドに横たわる女装少年の元に駆け付け、衣類を脱がせながら「彼は決して女性になりたいと願った訳ではありませんわ」と答える。
妹の衣服を無理矢理着用したのだろうか、そのコーディネイトはちぐはぐな感じでギルバには似合ってはおらず、『勿体ないな』とアラティーは思った。
「美しい物。可愛い姿になりたいと願っただけですの」
「良く、判らん」
「女騎士がボーイッシュな格好をしたいと願う、あれの逆バージョンですわ」
今は海軍の娼妓士官となった淫魔学校の親友が、好んで男っぼい、動き易そうな格好を好んでいたのを例に挙げて説明する。
ドレスは無論、女の色香を強調しすぎるからとサッキュバスルックも好まなかった淫魔だったが、これの逆バージョンの男性だって存在するのだ。
娼館の客には、時々、そんな嗜好を持った男が来訪するのを告げ、そう言う客の中には決して女性になりたいとは限らないのを主張する。
「じゃあ、公娼館ってそんな奴らの相手もするんだ」
「伊達に高級娼館ではありませんのよ。その内容を秘して、あらゆる性癖の者がサッキュバスに、あらゆるプレイ形態を要求するのです」
娼館へやって来る者はノーマルなセックスが大半であるが、股間に男根を生えた淫魔に犯され、メスイキされたい男性客。
同様に膣出しを要求し、ボテ腹になるまで射精を受け止めたい女性客。更に妊娠まで望む者もいて、客の要望は多岐に渡る。
スカトロ、SMの様なアブノーマルなプレイだって時にはある。だが、娼館側は高額な料金と引き替えに、表向きにはこれらの情報を外に漏らさない。
「スカトロぉ……」
「それSMも含めて専門の娼婦もいますわ。イメージの問題で全員が、全員それに従事する事はありません」
嫌悪のジト目でアラティーを見る眼差しに、自分はそれを体験していないと否定する。
しかし、要求されて普段の何倍もの天文学的は金貨が動いたら、多分、好むと好まざるに関わらず、娼館長から指名される可能性も否定出来ない。
公娼なので、上からの命令は拒絶出来ないからだ。
宮仕えの悲しさである。
「まぁ、それはそうとして何故。脱がす?」
「可愛くする為ですわ。この部屋へ連れて来たのその為ですの」
◆ ◆ ◆
お嬢様の私室はトリィを去った時から、基本的にそのままだった。
帰省の度に使われるが、荷物置き場として私財が置かれるだけで、生活の場は専ら執務室や食堂であり、後は豪華な寝台が就寝時に用いられるだけだ。
アラティーはクローゼットを開くと、幾つかの衣装を取り出していた。
「あんたの昔の服じゃん」
「ええ、物持ちが良いのでまだ使えますわ」
その中でも装飾が多量に付いた、如何にもゴージャスな服を選ぶ。
胸元にキラキラ輝く宝玉やらが幾つも縫い付けられ、如何にも貴族のドレスと言った風情の衣装で、アラティーが着ている所をトリンですら見た事の無い肩出しのドレスである。
「初めて見る」
「そうでしょうね。試着した事しかありませんわ」
チュール地のふわふわなロングスカートを撫でながら、本来は社交界デビュー用に仕立てたドレスであると語る。
未登録淫魔だから正式な社交界デビューなんて夢なのに、アラティーの母はそれでも娘のドレスを仕立て上げたのだ。いつか、アラティーが正式な貴族令嬢として認められたいと願って。
「お母様の夢だったのでしょうね」
既に身体が大きくなってしまったアラティーには、着る事は当然不可能な子供服。
その幼い時の夢の結晶を、彼女は手早く少年へ着せて行く。
そればかりか自分の鞄から、商売道具の化粧品まで取り出してメイクまで施すと、見目も美しい女装少年が誕生する。
「へぇ……」
メイクを施し、見違えた姿にトリンが感心する。
「髪型は流石にどうにも出来ませんわ」
一応、前髪を整えて少女風にしてはいるが、髪の長さが圧倒的に短いのはどうしようもない。ウィッグなんかは持ち合わせていないから、これで我慢するしかなかった。
「う……ううん」
少年の短い呻き声がした。着替えさせている最中に気を取り戻したのだろうけど、自分の装いに気が付くと、気が動転したのか、その手があちこちを触って確認する。
「おはようですわ」
「あ……ひ、姫様っ」
「さ、これも穿いて。可愛いですわよ」
アラティーは手に持った下着を掲げて見せる。
農民の穿く厚ぼったくごわごわのと生地違い、すべすべの薄手で、ウエスト周りも紐では無くゴムが使われていて、一々結ばなくても済む仕様だった。
レースやリボンの装飾が施されたデザイン的にも高級そうな品で、目にも眩しい位に真っ白で染みとか一つも見付からない。
「これを……ぼくが」
「ほーら、完成ですわ」
顔を真っ赤にして戸惑っている間、お嬢様は素早く足を通して、その下着を引き上げてしまった。
股間をぴっちりと包み込む布地に『ああ、気持ちいい』と、ギルバはうっとりとしてしまう。特に触り心地の良いヤシクネ魔糸の薄くすべすべの感触が、たまらない快感を彼に与えてくる。
「さ、思いっきり自慰しなさい。何もかも忘れて没頭するのですわ」
「あ、ぼく……ぼく」
普段は無縁の、しかも、そんじゅそこらの庶民では、絶対に身に付ける事が不可能なお姫様の格好をしているのだと意識すると、綺麗で可愛い格好をしたい本能が幸福感に満たされる。
手が自然にドレスへ伸び、薄い布地に幾重にも重ねたロマンチック・チュチュにも似たスカートの中に進入すると、股間を猛烈にしごき上げ始めた。
「あっ、んっ、あんっ、あっ、ああーっ」
喘ぎ声を上げ、一心不乱に自慰を続ける少年を、淫魔の次期領主は冷静な目で見守り続ける。
未だシャルルの【魅了】の影響が残っているのなら、それが表に出て来ると思われるからである。
「あっ、あっ、シャルル様っ」
「出ましたわね」
少年の口調に変化が現れた時、アラティーは自分の尻尾をするすると伸ばした。
トリンが「何の話よ」と問いかけると、アラティーは「シャルルの影響が出始めましたのよ。多分、ギルバには今、奴の幻影が見えている筈」と言って、尻尾の先端を変化させた。
縦に筋が入り、スペード型の先端がぱかっと口を開く。
「見なさい。彼は今、シャルルの幻影、いえ思念体かも知れませんけどに犯されていますわ」
「うわっ、そんなんあり?」
激しい自慰の結果、寝台に寝転んだスカートの中が丸見えだったが、そのオス孔がまるで突き入りられている様に丸く広がって、内側の肉壁が丸見えになっていた。
まるで、目に見えない透明な肉棒で抽送されているかの様だ。
「シャルルの魔法の影響ですわ」
言いつつも、アラティーは自分の尻尾をギルバのペニスに絡み付かせる。「本当はシャルルを妨害する為に、アナルへ突っ込んだ方が効果的なのですが……」と呟きながら、接触によってギルバからの情報が流れ込んで来たのを解読する。
魔力の流れは、ややシャルル側に勢力を取り戻しつつあった。
「ギルバ。貴方は女の子ですの?」
その途端、びくん、と自慰の動きに変化が現れた。
お嬢様は手の動きが止まったのを確認すると、「違うでしょう。貴方は女の子に、シャルルの情婦として犯されるだけの存在なんですの?」と声を張り上げる。
「あ……ああ、ほくは可愛く、綺麗になりたい」
「そう、貴方は本質的に男の娘。女性として男性に愛される存在では無い!」
女装男子の全てが、男性を恋愛対象にする訳ではないのだ。
擬似レズとでも言うべき考えだろうか、ただ単に可愛い格好をして、女性の姿で女性を愛したい者の割合の方が多いのである。
シャルルはそれを同性恋愛寄りに持っていったが、アラティーはそれを否定してギルバ本来の性癖を指摘して、シャルルの影響を打ち破れる事に賭けた。
「うわぁぁぁ」
再び自慰が開始されたが、竿を握るのでは無く、性器を下着に収めたまま、上からより激しく擦り上げている。
直接、肉棒を刺激するのではなく、柔らかな下着に包まれた布地の締め付ける感触にウエイトを置いたのである。
「ああ、気持ちいい。気持ちいい♪」
「ほら、射精しなさい」
普段は絶対に感じ取る事が出来ない、心地よく締め付ける女装の包まれて、たちまち昇ってくる気持ち良さに少年は鈴口から、精を爆発させた。
「あああーっ、射精(で)るぅぅぅぅ!」
着衣のまま、ドレス姿の少年がその中にたっぷりと白濁を放出する。
一回、二回、三回と連続して吐き出されたザーメンがショーツをドロドロに汚し、染み込んだ大量の液体が外へと溢れだし出した。
「んっ、気持ち良かったですわね。さぁ、吸って差し上げますわ」
変形した淫魔の尻尾が、まずは外に出された大量のスペルマを掃除機の様に啜り取ると、今度はペニスに吸い付き、カヴァーする形で飲み込むと刺激を開始する。
内部に分泌する、サッキュバスの媚薬効果のある体液が男根をねっとりと包み込む。
「もう大丈夫ですわ。彼はシャルルの【魅了】を退けましたわ」
「え、そうなの」
「はい。さっき射精したスペルマには魔素が戻っています。
シャルルに魔素を根こそぎ奪われた状態から、元に戻せたと言う事は【魅了】に打ち勝った祥子ですわ」
彼女はギルバに強制抽送していた影響が消え、アナルが元に戻っている事や、アラティーとのセックスに励むまで。男としての本能が戻ったのを指摘した。
「彼の体力が減っています。【リバース】で補いますけど、聖句での補助をお願いしますわ」
「今、搾精してるのが原因じゃん」
トリンシスは尻尾の中を幾つもの精液玉が形成されて、淫魔の胎内へ飲み込まれて行くのを見て呆れて言った。
「んっ、男子として女性を抱く快感をしっかり認識して貰う為ですわ。シャルルに再び、ホモにさせられてしまったら、元の木阿弥ですの。あはぁ」
「ふーん。一応納得してあげる。で、これで解決?」
それに対し、セックス中のサッキュバスは悲しげに首を振る。
この【淫夢】の影響は確かに退けた。しかし、再度同じ様な攻撃があった場合、こちらの影響を脱してしまう可能性があったからである。
「ああんっ、とにかくシャルル、だと自称している奴の本拠地を突き止めて、元から絶たないと駄目っぽいですわね」
「あんたの施術は、どの程度も持ちそう」
「確実に一週間は保証しますけど、わたくしは明後日、領都に帰還しないとなりませんし……んっ、んっ」
次に来るのは半年後であり、それまで再攻撃があったとしたら防ぎ切れない。
大体、本来なら、明日帰らねばならない所、領都に近い特例で「朝帰りして構わないよ」と一日余計に休暇を貰っているのだ。
昼までに娼館入りして、夜に営業に出る強行スケジュールである。
「あっ、あん。一杯射精して、気持ち良くお眠りなさい」
「あーっ!」
少年の最大の射精が巻き起こり、精を出し切ったギルバが昏倒する。
アラティーは彼を抱き抱える様に上半身を支えると、手早くドレスを脱がして、尻尾が抜けた粘液に塗れた局部を口に含むと綺麗に舐め上げる。
「聖なる力を御身に授からん。【活力】」
巫女が聖句を唱える隣では、新しい衣装を手早く着替えさせる。
「それって」
「キュースクですわ。懐かしいですわね」
レオタードタイプの一体型の水着だ。古代王国期の古くから伝わる女子用水着の定番で、昔のアラティーが着ていた物だが、何で〝キュースク〟と言うのかは知らない。
今のエルダ世界に多大な影響を及ぼしたとされる、古代英雄テラ・アキツシマが伝えたとされる文物の一つであり、他にファッションならセーラー服やら、ビキニ、キモノなんてのもあるが、それはテラが住んでいた世界からの語源であって、何でそう言うのかは意味があるのか、無いのか、言語学者の長年の論争にもなっている。
例えば、「キュースクのキューとは〝旧い〟の意味で、実は〝新しい〟シンスクと言う水着もあったに違いない」とか、「じゃあ、絶滅したとされるキョースクって何だ」等である。
「ギルバに着せるの」
「ええ、やっぱり男の娘だから、こう言う格好の方が喜ぶでしょうし。お母様のバニースーツでも良かったけど……」
ぼやき気味に「あのスーツ。うちの家宝だから駄目なんですのよね」と言いつつ、二重構造を持った股間部の少しもっこりした勃起をさすりながら、クスクス笑うお嬢様。
「防具でしょ。アーティファクトだっけ」
「そう。防御力も高い上に、着用者にサイズを勝手に合わせてくれる優れもの。だから家宝」
古代王国期の錬金術は現在とは桁違いで、どんな体形の者でも着用出来る衣装はほつれや破けなどの経年結果すら自動修復する魔法的な品(マジックアイテム)は比較的多いが、汚れに匂いと言った物のクリーニングする代物は希少で、母である女男爵は勝ち誇った顔で「伯爵さえ持っていないのですよ」と高言するなど、このバニースーツは自慢の品だった。
「そんな機能が付いてるから、幾ら自慰して汚しても大丈夫だと踏んだのですが、カニンガムが血相変えて、なりませんぞと……ケチですわ」
「そりゃ反対するわよ。あんたの家令」
巫女装束をばさりと翻して、トリンは寝台から離れてサイドテーブルに着席する。
同様にアラティーも向かい合わせになる形で席に座り、今後の予定を聞く。
「食事は食べて行く?」
「むしろ、食事無しで叩き出すのは外道よ」
「夜も遅いから、泊まって行きなさいな」
それを確認すると、サッキュバスの領主代行は卓上のハンドベルを手にとって澄んだ音をかき鳴らした。間髪を置かず、外で待機していたであろう侍女が現れて用件を主に尋ねる。
「わたくし達は私室から出ますから、一人を呼んでギルバの様子をうかがう様に。あとドレスの洗濯もお願いしますわ」
そしてトリンの分の晩餐と寝室の用意を指示すると、「お嬢様はお飲み物だけで」と問うて来たので、「葡萄酒の新酒が残っていましたわね。あれでいいですわ」の答えを聞いて退出する。
「メイドさんかぁ」
「全部で四人ですのよ」
男爵家としては少ない方だ。
別に居なくたって構わないけど、領民に職を与える名目(高貴なる者の責務でもある)と、貴族としての見栄の為に最低限雇っているのだ。
しかし、ランドリーメイドとかレディースメイドみたいに専門化してない汎用侍女なので、何でも押しつけられて仕事は大変そうである。
負担を減らす為にアラティーが領主になったら、もう少し雇おうかと画策している。
「ここだけ見ると、アラティーって貴族様なのね」
「何だと思ってましたの」
「どろんこ遊びした友達」
呆れた顔を作りながら、アラティーは席を立つ。
「さて、食堂に参りましょうか」
「貴族様の食事。どんな物なのかな」
「お肉は出ると思いますわよ。お魚かも知れませんけど」
二人は連れだって廊下へと出たのであった。
〈続く〉
しかし、この話『サッキュバスの館』シリーズで最長ですね。タンハー編の4も長かったけど、アラティー編がこんなに掛かるとは予想外だった。次回で終わるかなぁ(笑)。
【裏設定】
女傑テラ・アキツシマ。数千年前に墜ちて来た女勇者、つまり現代日本からの転移者です。なんでエルダ世界の単位が地球と同じメルダ(メートル)法だったり、一分が六十秒で一日が二十四時間なのは、この人の影響だったりします。
スク水とか持ち込んだり、再現して広めたのもテラのせいだけど、本当に世界を魔界から救った英雄なので、今の世で、讃えはすれども文句を言う奴は長命なハイ・エルフ以外、皆無(ハイ・エルフは生前のテラを直接知ってる奴が居たりする)。