※この作品はR-18です。

エロエロナ物語 -エロエロンナ物語R18編-   作:ないしのかみ

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久々の投稿になってしまった上、何とこの回でも完結しません。
書いてる内に伸びたんだよね。だから、二回に分割しますって、何回目だ。
分割した方も書き直しが入ってるし、もしかすると年越えになっちゃうかも。


帰郷 -サッキュバスの館5- その10

-サッキュバスの館5- その10

 

              ◆       ◆       ◆

 

 トリンは金縛りと言うか、パラライズに陥った時はもう駄目かと覚悟した。

 が、突然、騎士の一団がこの地下へと突入してくるのを見て、始めは幻覚かと己の目を疑ったものだ。

 都合良く、騎兵隊みたいに味方が現れるなんて嘘だろうと思ったからだ。

 

「生きていますね」

 

 耳朶を打つその声を耳にして、いよいよ自分は自分勝手な妄想を抱き、もう駄目になったのかと覚悟してしまう。

 それは自分の上司、聖教会の司祭ナロニエ・ファフナーの声であったからだ。

 呪文が唱えられ、麻痺した体が元に戻った時、トリンシスは呆然としながら司祭の方を向いた。

 

「アラティー様は何処ですか?」

 

 その質問が数回響いた様な気がする。

 ばぁんと頬に平手が飛んで、彼女はようやく我に返る。ひりひりした痛みが『これは本物だ』と伝えて来たからだ。

 

「ナ、ナロニエ様?」

「正気に戻りましたか」

 

 半妖精族の司祭はトリンを厳しい顔で睨んでいた。

 慌てて説明するトリンシスだが、司祭の表情は次第に強ばって行く。

 

「連れ去られた先が、あの遺跡ですか……」

「は、はい」

 

 周囲には剣戟の音が響いてはいるが、幸いにして味方は優勢らしく、現れた竜牙兵は殆ど駆逐されている。

 特に傭兵風のヤシクネーが強かった。トリンは『あんな傭兵、雇っていたっけ』との疑問も生まれたが、それ以前に物凄く強いのが彼女を魅了する。

 ヤシクネーは女系魔族の中でも珍しくない種族だ。男爵領では定住している者は居ないものの、街道が通ってる関係で旅人として見掛ける事は比較的多い。

 

 一見すると鎧とかはそんなに高価な物では無く、軽装で値段も安そうな良くある普及品だ。

 武器はヤシクネーらしい長柄武器で、持ち物の中でも一番金が掛かっている様な十文字槍である。

 

「邪魔だぁ!」

 

 ヤシクネーの叫びと共に、竜牙兵が叩き潰される。

 両方の巨大な鋏に装着されているのはスコップである。間違いではない。ヤシクネーの土方が土木作業用に鋏に填めて、土砂をすくって背中の荷台に搭載するあれだ。

 厚い鉄板を使って面積も広いので、楯の代わりとして敵の攻撃を躱す使い方をしている者も居るが、良く見ると左の鋏が右に比較して異様に大きく、その巨大質量を利用して文字通り、敵を叩き潰しているのである。

 

「ご苦労様。オリオン」

 

 一段落した時に、ヤシクネーに名前らしき単語を語りかける司祭。

 振り向く彼女は息を切らしていたが、まだまだスタミナは残していそうで「ご無事でしたか、ナロニエ様」と返事を返してくる。

 

「何とか。とにかく敵の数が少なくて助かりました」

「司祭様」

 

 騎士隊長の方も駆け寄ってくる。

 聞いてみると苦戦はしたものの、強敵が全てオリオンが引き受けていたせいで部隊としての錬成訓練的には良かったとの事。

 殆どが農民に毛が生えた従士なので危なかったのだが、竜牙兵に対して三対一以上で当たれたので何とかなったとの話で、数で押し切った形であるらしい。

 

「ご苦労様。リンガム殿、次の目標はあそこです」

「え?」

 

 司祭が指さした先は、勿論、さっきトリンシスが説明した白いぶよぶよだ。

 それを見た皆は、一様に顔をしかめている。

 

「あそこにアラティー様が連れ込まれました」

「アラティー様が……行くぞ」

 

 若い騎士隊長のリンガムは自分を鼓舞するかの様に頬をパンと叩き、剣を再び構えた。

 明らかに気が進まないのがはっきりと判るが、それでも領主代理を救う為だろう。従士達も騎士隊長(と言っても、騎士は彼一人だ)に応えて、「おおーっ」と気合いを入れている。

 この反応、アラティーが『領民に愛されているなぁ』と思ったのが、トリンはひしひし感じてしまう。勿論、彼女も救出する気が満々である。

 

「司祭様はどうしてここへ?」

 

 遺跡へ向かう途中、前々からの疑問を尋ねるトリン。

 

「途中でアリンにも遭遇しましたしね」

 

 司祭が指さす先に、あのセイレーンの姿を認めた。

 

「にしては、早すぎます!」

 

 ナロニエは微笑むと「式神に気が付きましたか」と質問され、反射的に「あれはナロニエ様が……」と返すと頷いて、「あれを放ったのは私です」と告げる。

 ナロニエはアラティーを常々、監視していたのは司祭であったのを明かす。

 

「では、アラティーに護衛の兵士が付かなかったのは」

「領主代行がそれを嫌っていたのが理由ですが、式神が隠密行動に優れていたのが理由です」

 

 と言う事は、司祭は男爵家に雇われていたのかと驚く彼女に、ナロニエが「いいえ」と否定した上で、「私が男爵家へ言い出した話です」と付け加える。

 

 後に聞き出した事情によると司祭は過去に男爵家に恩義が有り、この土地に腰を据えているのもそれが原因であったらしいのだが、その内容を詳細に語る事はなかった。

 

 まぁ、聞き出す前に遺跡の前に到着してしまったのであるが、当然の事ながら入口と言うか、門と言うかは固く閉じられ、自分を害そうとする不埒な侵入者を拒絶している。

 あれほど入手したかった水が満々とたたえられた池の上に立つ、陸地と遺跡を繋ぐ橋は今は無く、幅五メートル近い水堀が行く手を阻む。

 

 しかも、掛けられていたのは跳ね橋や旋回橋と言う訳でもない。

 あった筈の橋は、まるでカーペットの様にぐるぐると遺跡の方に巻き取られていたのだ。これは何等かの魔法による構築物に違いなかった。

 

「深いな……」

 

 若い騎士隊長はやや曇った灰色の軽鎧をがちゃがちゃ鳴らしながら、片膝を着いて水面までの距離を目測してため息を付いた。

 

 水面までたっぷり五メートルはあり、【浮揚】の呪文でも用いないと垂直に切り立った崖が邪魔をして、岸に上がる事は出来なさそうである。

 水路を仮に突破したとして、水晶質の何やら材質不明の塀と門が向こう岸でがっちりと閉じている。攻城戦の常として攻略は一筋縄では行かなそうだ。

 

「援軍が必要かも知れませんね」

「果たして我が領内に、それが居るでしょうか?」

 

 騎士隊長の言葉に疑問を投げかけるナロニエ。

 アリンが近付いてくる。

 

「伯爵家に応援を頼んだら?」

 

 アリンの言葉に一同は悩んだ。

 確かに人材は居るだろう。

 伊達に王国海軍の主要な根拠地ではないから、工兵隊だって整っていそうだし、軍でなくとも領都には人材が豊富だから、有能なクエスターも幾らだって派遣可能だろう。

 戦士だろうが、魔術師だろうが何でもござれだ。

 

「余り、お勧め出来ないね」

「何でっ、お金の問題かい!」

 

 オリオンの言葉に噛み付くアリン。

 そのセイレーンに「主君と従属領主。安易に主君筋に頼りたくはないのは何処も同じさ。貸し一つの代価として、後で何を請求されるのか判らないしね、」と説明するオリオン。

 もし、主君筋が強欲なら、これを理由に利権を奪われたり、軍関係の指揮系統に口出して来りする。

 主権を侵すべく「おや、手に余る様でしたら、我々が代わってあげましょう」と、問題が解決後も主君の軍が居座るとか、逆に「もっと現地軍を増強すべきですね」と軍拡を迫り、軍事費の増大で、結果として臣下の経済を疲弊させたりとか、色々ある。

 幸い、エロエロンナ伯爵はそこまで悪辣な主ではないが、この主従関係からの利害の他に、男爵側も貴族としてのプライドの問題もある。

 

「プライド?」

 

 アリンは良く理解が出来ないらしい。

 

「貴族ってのは見栄なのさ。しがない士族だって社交界での評判は気にするって、友達の士族様も嘆いていたからね」

 

 と、ここまで述べていたが、少し喋りすぎたとの反省だろう。オリオンは「おっと、あたしはここの領民じゃないから、あんまりこの問題には首を突っ込めないな」と、傭兵らしく最後に付け加えるのは忘れない。

 

「とにかく、アラティーを助けるのが先決です!」

 

 トリンシスが我慢で出来ないと言う風情で声を上げる。そこへ「まずは材木を調達しましょう」と沈黙していたナロニエが声を上げる。

 橋が無いのなら、対岸へ渡る手段がとにかく必要であるからだ。

 セイレーンなら不要だろうが、非戦闘員のアリン単独で突っ込ませる訳にも行かない。

 

「アリンは済まないけど、トリィの街までひとっ飛びしてくれませんか?」

「了解、資材なら親方に相談すれば何とかなるよ」

 

 セイレーンは胸を叩いた。

 土建屋だけあって、ここらの対応に関しては適切である様だった。

 そこへ、ナロニエが「領主館にも報告を忘れずに!」と念を押した時、不意にそれは起こった。

 

〔無事に帰す訳がなかろう〕

 

 その場に居た全員へ、その思考波がぶつけられる。

 

「シャルルだわ!」

 

 唯一、それと直接に対峙したトリンが叫んだ。

 同時に周囲の地面から、ぼこっ、ぼこっと土が盛り上がり、巨躯の泥人形が形成される。

 

「マッド・ゴーレムかっ!」

 

 大声を叫び、周りの者達へ警戒を促すのはオリオン。

 呆けていた者達が、はっとして武器を身構える。従士や農兵の大半はマッド・ゴーレムなるモンスターを見た事は無く、現れた怪物の正体も分からずに思考を停止してしまっていたが、ヤシクネーの言葉に相手が何かを認識する。

 直接見た事は無いが、お伽話的にその存在は伝わっているのだ。

 

「あれが昔の戦争で使われた奴か」

「俺は子供の頃、見た事があるぞ」

 

 中にはシャルルの起こした昔の事件を、覚えていた者が混じっていた様だ。

 騎士隊長は「総員、構え」を命令したが、新たに出現した相手に対して、こちらの主要武器が槍主体であるのに不利を悟っていた。

 騎士学校で一応、ゴーレム系の敵に対する対処は教わっていたが、槍だと土塊のゴーレムをぶすぶす貫くだけで、余り有効打を与えられないからである。

 

『拙いな。恐らく相手は【メイク・ゴーレム】系の即席タイプだ』

 

 リンガムが焦る理由はそこだ。

 マジックアイテムとして作られる永久タイプには〝核〟となる魔石があって、そいつを破壊すれば活動を停止するのだが、魔法で即席に作られる簡易タイプは元からそんな物は無い。

 つまり、敵の魔力が尽きない限り、一撃で吹き飛ばさないと地面の土を集めて再生してしまう厄介な相手なのである。

 救いは維持に膨大な魔力が必要で、そうそう長時間は使役出来ない筈なので、騎士隊長は「防御しながら時間を稼げ」と命令する。

 

〔くっくっくっ、アラティーの膨大な魔力を得た私に、その戦法は通用せん!〕

 

 それを見抜いたのだろう。

 シャルルは再び幽体を出現させて高々と宣言したが、突如、ゴーレムがグズグズと崩れ出す。

 

〔ぬおっ、なっ、何が……〕

 

 現れたばかりのシャルルの映像が、細かく揺れて点滅する。

 

「見て!」

 

 トリンの指さす先に視線を移すと、遺跡に異変が発生していた。

 煙突の様に立ち並ぶ、白地に黒い斑点の貝から伸びる水管状の構造体が大きく変形していた。

 基部は丁度、地面から突き出たマテ貝の様に細長い殻に包まれた形なのだが、水管状のぶよぶよがばんぱんに膨張しており、包んでいる外殻を割らんが勢いで、いや、パキーンと金属質の音と共に割れた。

 

〔おおおおっ!〕

 

 絶叫を残してシャルルがかき消えた。

 同時にぐるぐると巻き取られていたカーペットの様な橋が、べろーんとこちらへ伸びる。

 

「行きますっ!」

 

 最初に反応したのはトリン。

 言い捨てると、まだ不安定だろう橋の上を躊躇無く駆け出した。

 橋自体も生き物の様にグニャグニャと隆起したり陥没したり、それ所か左右に揺れているのだが、上司のナロニエが「危ない!」と言う声を無視して、何とか向こう岸へと渡り切る。

 

「アラティーっ!」

 

 声の限り叫びつつ、遺跡の中へと突入する。

 初めての建造物であったが構造は意外とシンプルで、奥までずっと一本道で続くだけであった。

 左右の壁に真鍮色に輝く、複雑な錬金装置が並んでいるが、そんな物はトリンの目には入っていない。何故なら、その視点は前方で壁に埋め込まれた形でぐったりしているアラティーに向けられていたからである。

 

 突然、壁から盛大に液体が飛び出した。

 

「うぷっ」

 

 軟質の壁が内部からの圧力に負けて膨らんだ感じで有ったが、それを浴びたトリンシスは余りの量に思わず足を止めてしまう。

 

「こ、これは……まさか」

 

 頭からバケツ一杯分掛かってしまったそれは、アラティーの味だった。

 正確には以前、味わった事のあるアラティーがトリンの腹に大量に注いだ精液の味だった。

 

「でも、変ね」

 

 しかし、彼女は呟く。

 アラティーのザーメンは物凄い濃厚で、それは蜂蜜か水飴を通り越してゼリー状の粘度であった。それを問答無用に大量に吐き出せる力は、サッキュバスの間でも希少な存在であると言えるだろう。 このタイプのサッキュバスは珍しくは無いが、アラティー程に射精出来る個体は極めて少ないのである。

 

「物凄く薄いけど……」

 

 そうなのだ。これは全体的に薄められた感じなのである。

 生暖かい温度はいつもとは変わらないが、あの圧倒的とも言える粘度が無かった。いつもの精液と比べると、百倍も薄められた感じで、ぬるま湯の様なさらさらな感じなのである。

 

『これはアラティーの味だわ。間違いない』

 

 ただ、その味は薄まっているとは言え、しっかりとアラティーの味だとトリンは判断出来た。

 

「トリンシス助祭!」

 

 突然、後から声が掛けられた。

 振り向くと騎士隊長のリンガムであった。トリンの後からここへ到達したのであろうか。

 

「とにかく、アラティー様を助け出さないと」

 

 言われて前方を見る。

 そうだ。考察は後回しで構わない。まずは囚われの次期領主を助けなければ。

 壁という壁から、機械の間から、やはり例の液体が噴き出している中、びしょ濡れになるのも構わずに、二人はアラティーの下に辿り着いた。

 

「壁に埋め込まれているのか」

「でも、垂れ下がってきているわ。拘束が解け掛けているのよ」

 

 最初は埋め込まれる形で、壁の穴にアラティーは安置されていた。

 が、その身体はずるりと壁から抜けて、腕や脚、それに身体を触手状の何かで固定されていた状態から、垂れ下がる様に最初の位置から下がってきている。

 接近している間にも、どんどん身体は床に近づいて来ていて、二人が到着した時には床の届く範囲まで下がっていた。

 

「助かる」

「穴に埋められたままだと、何処に居るか分かりませんからね」

 

 トリンが言う通り、元の位置だったら手も足も出ない筈だった。

 外から見る限り、アラティーの身体全体は透明な胞衣(えな)の様な膜に包まれているらしく、外界に直接、姿を晒している訳ではないらしい。

 異様なのは股間部にカップ状の物が装着され、アラティーの性器からその精液を絞り出し、管によって何処かへ送り出している様になっていた事だ。

 

「これは呼吸を維持する為の物か?」

 

 リンガムが言う通り、胞衣によって生命を維持する為のものだろう。

 もし何もせずに壁に取り込んだとしたら、生身のままでは息が出来ずに窒息してしまうからだ。

 

「取り出せますか?」

「軟質の何かだが、刃物で切り裂けるだろう」

 

 どくん、どくんと生き物の様に建物自体が痙攣する中、騎士隊長は懐から直線な頭身を持った無骨な短剣を取り出す。多分、予備の武器だろう。

 

「……やらせぬ」

 

 上から怨嗟の声が響いた。

 慌てて上を見ると、高所に繭に包まれたシャルルの幼生体が彼らを見下ろしていた。

 

「そいつを助ける事は許さぬ」

 

 無表情で述べると、トリン達の周囲に土の塊が現れる。

 前の時よりも数は少ないが、明らかにシャルルのマッド・ゴーレムだった。

 

「リンガム様、マッド・ゴーレムが」

 

 顔に当たる場所の胞衣を斬り裂いていた騎士隊長が、短剣を投げ捨てて腰の長剣をすらりと抜くと敵に立ち向かう。

 

「助祭殿。貴女はアラティー様の救出を」

「はいっ」

 

 替わってアラティーの救出を試みようとするトリンだが、顔が外気に触れた為なのか、今まで眠っている様に目を閉じていた淫魔の瞳がゆっくりと変化する。

 最初は目覚め直後の夢見心地風に呆けていたのだが、剣戟の音に気が付いて視線をそちらに向けた際、はっきりと覚醒した様子だ。

 

「トリン。管の先にバルブが見えるわね」

 

淫魔の口が言葉を継ぐ。

 

「え、バルブってあれ?」

 

 指摘された方を見ると、成る程、彼女の股間部に接続されたパイプの先に壁に埋もれたコネクタがあって、手で回せる回転型の小さなバルブが付いている。

 

「そう、それ。今、閉鎖されているから、そいつを全開にして!」

「えぇっ」

「早く、説明する暇は無いわ」

 

 助祭は急かされてバルブを手に取ると、閉じられていた反対方向に一期にそいつを捻る。

 すると[搾精を再開します]と言う不思議な機械的アナウンスと共に、アラティーの股間部に装着されていたパイプが脈動を開始する。

 

「これでいいの?」

「バルブが戻ろうとするから、戻らない様に押さえ付けて!」

 

 叫びつつ、アラティーは歯を食いしばると一発目の射精を放った。

 精巣になっているアラティーの巨乳が一瞬、巨大化すると一気に萎む。

 

「んっ、んんーっ!」

 

 接続されてるパイプが一気に膨張し、管の中に巨大な精液玉が出現する。

 思わず、どくんっと言う音が聞こえそうな凄まじい量だ。そいつが壁の中に吸い込まれると同時に、建物自体が揺れる。

 

[魔素過大。イレギュラーです。搾精中止。搾精中止]

 

 アナウンスが響き渡ると共に「ぐわぁ」と、シャルルの悲鳴が上がった。

 見るとゴーレムが、先程の様に形を維持が出来なくなって土塊へと戻って行く。

 

「や、止めろうっ」

「わたくしを利用しようとした罰ですわっ。あっ、ああん」

 

 淫魔の巨乳が膨らむと同時に二発目が放出される。

 

[回路閉鎖します]

 

 無機質な声が異常を検知したらしく、バルブを閉鎖へと戻そうとする。

 トリンは手が痛くなりつつも、それを阻止するが、再び形成された精液玉が吸い込まれる前に急激に閉鎖しようとするバルブの回転に逆らえなくなる。

 

「助祭、これを」

 

 駆け付けたリンガムが、バルブのハンドルに自分の短剣を差し込んだ。

 金属質の硬質な音がして、つっかい棒となった短剣が異音を立てながら回転を阻止する。

 やがて、二発目のそれが壁に吸い込まれた時、建物のあらゆる場所から爆発的に水が噴き出した。

 

[イレギュラーです。魔素過大。装置に過負荷が生じています]

「おおおおっ、おのれーっ」

 

 警告音らしき耳障りなサイレンが鳴る中、爆発が各所に巻き起こり、繭に包まれたシャルルの身体が頭上から降って来た。

 グロテスクな再生体は床を転がり、半ば潰されてひくひくと痙攣していた。

 

「トドメを」

「え、これを」

 

 領主代行の言葉に動いたのは、助祭では無く騎士隊長だった。

 振り下ろされる剣と、肉を断ち切る鈍い音。シャルル・ゲハは抵抗も出来ず、剣の無慈悲な一撃でその命を絶たれた。

 

「こちらもトドメですわっ」

 

 乳の中で魔素が精液に還元され、その三発目を放つと、アラティーはそのまま失神してしまう。

 トリンシスは領主代行を拘束していた触手を断ち切り、胞衣を脱がせる暇が無いとの判断で胞衣のまま彼女を担ぐ。

 当然、股間の管も断ち切っていたのだが、遺されたパイプの中に残る精液玉はずるずると壁に向かって前進しており、これが吸い込まれた時がこの遺跡の最後であろうと予測出来たからだ。

 

「アラティー様は私に」

「頼みます」

 

 難儀している助祭に代わり、淫魔を担ぐ騎士隊長。

 既に遺跡内部は酷い有様だった。

 貝を彷彿とさせる壁面は破れ、時折、爆発を繰り返しているし、天井は重みで落下寸前だった。無論、あらゆる所からアラティー味の水が噴き出し、酷い所では踝まで水が溜まっている。

 

「うわっ」

「三発目が到達したのね」

 

 駆け出して、出口まであと少しと言った位置で遺跡全体が振動した。

 既にあのアナウンスは響いてない。いや、正確にはあるのだが、それは言葉とも雑音とも言えぬ、単なる音の羅列に成り下がっている。

 

 這々の体で建物を抜けると、遺跡自体が音を立てて崩壊して行く所であった。

 マテ貝を彷彿させる塔状の建物が水を噴き出しつつ割れ、白いぶよぶよは内部から破裂しながら色が変わって行く。

 何時しか、耳障りな警報も止んでいた。

 

「橋が……」

 

 あった筈の針路の先は存在しなかった。

 あのカーペット状の橋は、とっくのとうに落橋していたのである。

 

「今は出来る事をしましょう」

 

 リンガムは担いでいたアラティーを降ろし、その胞衣を除去する作業へと入る。

 幸い、作業は困難では無く、やがてアラテイーは胞衣から救出される。

 

「これが曲者だわ」

 

 股間部にぴったりと張り付いていた部位も、本体が壊滅したせいなのか呆気なく外れ、トリンは久々に恋人のペニスを目にしたが、他人の目もある為にそそくさと黒いレオタードの中へ格納する。しかし、久々に手にした逸物の感触は昔と変わらず、嬉しかった。

 

「さて、これからどうしますか」

 

 リンガム隊長は間断なく警戒しながら思案する。

 しかし、トリンシスは顔を上げ、「救援隊が来たみたいですよ」を伝える。

 

「おおーい、大丈夫かーい!」

 

 すると向こうの崖から、セイレーンのアリンが手を振ってこちらへと飛んで来るのが見えた。

 

 

〈続く〉




この期に及んで新キャラ登場。
オリオンは別の話の人ですが、チラ見せ。
実はエクシーの……おっと、だから名前はオリオン・ドラフト(笑)。
ギネス・ドラフトって姉妹も居たりして。

【追伸】
多少、ラストの方に加筆しました。
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