えっちなミリマス小話「可憐が桃子のお尻をいじる話」 作:Papporopueeee
背中に感じる豊かな膨らみ。全身に伝わる人の温もり。漂うフェロモンのような淫靡な香り。現在周防桃子は篠宮可憐に抱き抱えられながら座っている。耳元に感じる可憐の呼吸は荒い。緊張か、興奮か、はたまたその両方か。横顔を覗くとその肌は真っ赤に染まっていて、多分桃子も似たような顔色をしているのだろう。
「……」
「……」
お互いに口を開かない。口を開くと気恥ずかしさから下手なことを言ってしまいそうで。この雰囲気を壊したくなくて。ふたりで荒い呼吸をしながら互いを温めあっている。
5分。もっと長いか、実は数秒くらいの短さだったのか。ついに添えられていただけの可憐の手が桃子の身体を這い始めた。
一般的なカップルがこのような行為に及ぶ時、男性はまずどこを触るのだろうか。やはり胸だろうか。それともいきなり性器に向かうのだろうか。いくら考えようと桃子にはわからない。しかし今、可憐が触れようとしている場所はわかる。
腹部を浅く撫でた手はそのまま下に向かい、ぎこちない動きでデニムの中に滑り込んでくる。緊張しているのかその動きは緩慢で、逆に背中で鳴る可憐の鼓動は早い。指先が軽く秘裂に触れても前進は止まらず、ぐいぐいと狭い空間にその手を押し込んでくる。圧迫感が少し気持ちよく、自身の急所を弄られているというのに妙に安心してしまう。
ゆっくりとした移動はやがて終わり、桃子の割れ目は可憐の手のひらによってすっぽりと覆われた。そしてその指先は、桃子の2つの臀部の間に潜り込んでいる。女性器には目もくれず、可憐は桃子の穴に向かってひたすらその指を進めていた。
驚きはない。これはふたりで決めていたことだから。篠宮可憐はこれから、周防桃子のお尻をいじるのだと。
「んっ」
指がショーツの上からシワを伸ばすように動かされる。およそ他人が弄ることを想定されていない部位への刺激は気持ち悪く、違和感があり、妙な中毒性があった。嫌な感覚のはずなのに、このまま続けて欲しくもある。
そんな桃子の心情を知ってか知らずか、可憐は指を動かし穴をほぐしていく。出口を入り口として用いるために。あくまでも優しく。けれど決して手は緩めずに。これから激しくなっていく刺激で怪我をしないように、ショーツとデニムの間の狭い空間で指を蠢かせる。
「んぅ」
誰かにお尻を弄ってもらったことなどない。もちろん自分でだってない。だというのに、桃子の穴は瞬く間に柔軟性を増していき、不快感もだんだんと消えていっている。残された甘い感覚が際立ち始め、漏れる吐息を止める力も入らない。後ろを弄られる感覚の虜になっていく自分を自覚し、その移り変わりの早さに桃子は違和感を覚えた。
「……ねえ」
「ど、どうしたの? も、もしかして、痛い?」
「可憐さん、慣れてない?」
「へ?」
「可憐さん、いつも自分のお尻触ってるの?」
それは至極普通の推測だ。弄られる側が初めてなのは動かしようのない事実なのだから、弄る側が初めてではないという考えに誰だって至る。
しかし可憐のリアクションは図星を突かれたという風ではなかった。どちらかというと、どうにか濡れ衣を晴らさなければという必死さがにじみ出ている。
「ち、ちち違うの! 桃子ちゃんが辛いと嫌だったから、その、今日のためにいろいろ調べたから!」
「ふーん……」
「ほ、ほほ本当だよ」
「……」
「桃子ちゃん?」
「……つまり、えっちなサイトをたくさん見たの?」
「……え、えーっと」
それは自分でもどうかと思うほどの幼い嫉妬。可憐は桃子の身を案じて行動しただけであり、ましてやネットのえっちなサイトに本気で入れ込むはずなんてないとわかっている。
それでも、「篠宮可憐が周防桃子以外の人間に対して性的興奮を覚えたかもしれない」ということが頭から離れない。いや、「かもしれない」ではないのだろう。篠宮可憐であれば、このむっつりならば100パーセント興奮したはずだ。むしろきっかけは桃子への思いやりだったとしても、途中からは自らの性欲でスマホを操作していたに違いない。現に可憐は明らかに狼狽している。
「そ、そんなにたくさんてほどじゃないよ?」
「ふーん」
「ひ、ひと……みっつだけだよ?」
思わず笑ってしまいそうになり、必死に唇を引き絞る。
「……」
「ほ、ほんと! 本当に、その、みっつだけなの……」
笑いを我慢している桃子を怒っていると勘違いしたのか、可憐は必死に3つという数を強調している。その慌てようが面白くて、可愛くて、イジめたくなってきた。
「たったの3つなの?」
「え?」
「桃子のために事前に勉強してくれたんだよね? なのに、たった3つしか見てないの?」
「えぇ!?」
「ねえ、本当に桃子のために勉強したの? 可憐さんがただ見たかっただけなんじゃないの?」
「そ、そんなことないよ?」
「じゃあどうしてたった3つなの?」
「そ、それは……」
口をつぐんでしまう可憐。少しやりすぎただろうか。本当のところ数なんてどうでもよく、ただ困らせたかっただけで口にしただけなのだけれども。
「よ、よっつ……」
「え?」
「ほ、本当は、その、よっつ見たの……」
思わず振り返ると、可憐の顔は真っ赤だった。桃子と目を合わせようとはせず、顔を両手で覆い隠しぷるぷると震えている。
本当に可愛い人。そう思ったときには、顔を覆っている両手を掴み、その頬にキスをしていた。
「……」
可憐の呆然とした視線が突き刺さる。やがて自分がしてしまった行為を明確に理解し始め、恥ずかしさがこみ上げてきた。
「も、桃子にだけき、キスさせて、可憐さんは何もしないの?」
それは気恥ずかしさから口走った考えなしの発言だった。特に何かをしてほしかったわけでもなく、ただ話題が変わればそれでよかった。しかし可憐はこれを催促、つまり誘いだと受け取ったようで、その目はエサを前にした小動物のように変わっていた。
「あ、じゃ、じゃあ――」
言い終わらないうちに、可憐の唇が桃子の唇をふさぐ。普段は臆病なくせに、こういうことに関しては行動が早い。
桃子の小さな舌が可憐の舌と絡み、舐られ、啜られる。桃子には強すぎる刺激が、口腔を通して脳へ運ばれる。これはまさに侵食だ。幸せの定義が篠宮可憐に置き換えられ、思考のすべてを彼女に費やすような人間に改造されていく。今まで積み上げてきた周防桃子を形成するための要素が、篠宮可憐に犯されていく。まるで甘い毒を染み込ませるような優しい陵辱が始まった。
「んん、ふ、く」
気持ちいい。普段は栄養の入り口に過ぎない口が、性感帯にでも変えられたかのように次々と快感を脳へと運んでくる。心地よい安心感が体中に広がっていくような感覚。
しかし、このまま溺れるだけだなんて桃子のプライドが許さない。桃子だけが可憐に依存するなんてことは許されない。彼女も桃子に堕ちてもらわないとだめなのだ。そうでないと対等ではない。例え対等にはなれないとしても、ただ甘やかされるだけという立場に甘んじてはならない。
可憐の頭を抱きかかえ、自らの舌の短さを補うためにぐっと顔を近づける。我ながら大胆だと思う。しかしそれが功を奏したのか、可憐が驚きで動きを止めた。
「ふぇ?」
可憐の舌を突き返すのではなく、掻い潜るようにして舌先を可憐の口内へと伸ばす。そして悠々と桃子を弄んでいたその舌の付け根をなぞり、侵した。
「ん」
小さい。触れ合っている桃子にしか聞こえないような可憐の喘ぎ声。確かに桃子は可憐に一矢報いた。しかしそれだけだった。攻め入った舌は絡めとられ、押し戻され、こねくり回され、桃子はあえなく快楽に落とされた。そこから始まったのは、まるで格付けとでも言うかのような深い口内愛撫。可憐は先ほどの奇襲を催促だと受け取ったのかもしれない。そう思えるほどに可憐のキスは以前より激しく、深かった。
「あ、ふぁ、んむぅ」
脳が一方的な快感から逃れようとしても身体は逆に求めるばかり。興奮で不足する酸素を取り入れたくても、口はもう可憐の虜。キスをせがみ、唾液を献上する奴隷に成り下がっている。
「ん、んぅ、はぁ、ん!」
酸素が欠乏し思考の大半が奪われ、残りも快感を受け止めきれずに機能していない。脳から溢れた快感が分泌液となって性器を濡らしていく。
できることは快感で顔を蕩けさせ、悦びに身体を震わせる姿を晒すことだけ。自らの淫らな姿で可憐の機嫌をとることだけが唯一桃子に許されたことであった。
「んっ」
終わりを示すように唇を軽く舐められる。ようやく取り戻せた鮮明な視界に写る可憐は、満足げな照れ笑いを浮かべていた。
「え、えへへ」
桃子を満足させられたことに対する安堵、もしくは自尊心から可憐は微笑んでいるのだろう。だらしなく崩れているであろう桃子の顔を見て、可憐もまた満足感に浸っているのだろう。
悔しい。しかし今の桃子は反撃どころではない。口の中に残る可憐の味、記憶にこびりついた可憐の匂い、そして快楽の証として湿った自らの性器。もう一度キスをしてほしいと口に出したくなるほどに、篠宮可憐に夢中にさせられてしまった。普段は桃子が主導権を握っているというのに、こういうことだけは敵わない。
「ど、どうだった?」
「……えっち」
「えぇっ?」
それは思考からはみ出た、返答とも言えないような呟きだった。それでも思いのほか可憐には効いたようで、にやけた笑みはいつものおどおどとした表情に戻った。
「も、桃子ちゃん?」
不安がこみ上げてきたのか、可憐はすがるような声で桃子の機嫌を窺い始めた。先ほどまでの積極的な可憐はどこへ行ったのか。たったの一言で形勢逆転してしまった。
「ふふっ」
「ど、どうしたの?」
「別に、なんでもないよ。それより続き、しないの?」
ごくりとつばを飲み込む音が聞こえた。怯えていた可憐の目が、欲望に染まっていく。忘れてはいけない今日の目的。
篠宮可憐はこれから、周防桃子のお尻をいじる。
続く