※この作品はR-18です。

Kaleid/Burn Out   作:てんぞー

15 / 35
倫敦四丁目

―――嫌悪感に吐瀉物を撒き散らしながら喉を抑えた。

 

「ぅぉぇ―――」

 

 喉を抑え、胸を押さえながら再び吐いた。吐き出したものは悪臭の漂う下水道に紛れて流れて行く。息を荒げ、胃の中にあるものを全部吐き出しながら、そこで魔術を使う事を思い出す。暗示を利用した鎮痛の魔術。自分に対して痛くはない、と思わせる事で一時的に痛みに対して鈍感になり、無理やり体を動かさせる為の魔術。

 

 聖杯戦争の為に用意した魔術だった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……クソ……本命はアーチャーの狙撃か……はぁ、はぁ……」

 

 息を荒げながらロンドン地下、下水道の中を歩いて進んで行く。魔術を使って痛覚が薄くなったため、普通に動く事が出来るようになった―――だがそれで決して、苦しみが消える訳ではない。不快感や苦しみは痛覚を消したところで残り、頭を苛む。それを何とか堪えつつ、左手で炎の杖を握っているのを見た。良し、まだ手放していない。残っている。生きている。これなら戦える。

 

「これでアーチャーと……アーチャー……と……? あ゛……?」

 

 歩いていた足を止め、声を漏らす。アーチャーの狙撃によって体を強打した。貫通せずに衝撃となって吹き飛ばされたのはルヴィアからもらった装備のおかげだ。ヒュドラの皮で作られた装備は現代で探せる礼装の中でも最高クラスの防御力を兼ね備えている。これ自体が軽度の対魔力を保有していると言っても良いぐらいだ。だから死ななかった。だけど、ただ狙撃されたのではない。

 

 なんやかんやされて、その結果なんやかんやで、それでアーチャーの狙撃を食らったのだ。アーチャーの狙撃が本命だというのが解る。

 

 だけど冗談でも何でもなく、なんやかんやで、という感じにしか覚えていない。そのでたらめさ加減に、漸く笑い声を零す。

 

「は、ははは……化け物かよ……」

 

 相手にアーチャーがいる事だけは理解できた。だけどそのアーチャーと組んでいるサーヴァントが何であるのか、アサシンだとは予測しているが本当にそうなのか、何をされたのか、何を見たのか、その全てが思い出せない。まるで思考がロックされたかのように頭の中から抜け落ちている。必死に思い出そうとするが、その記憶だけが完全に消え去ったかのように思い出せない。

 

 情報が完全に抹消されていた。

 

「落ち着け……落ち着けよ俺……そう、精神力だけならだれにも負けない自信があるだろ」

 

 自分に無理やり言い聞かせるようにしながら下水道を歩く。向かう先はあまり良く考えていないが立ち止まるという事だけは出来なかった。体が痛い。吐き気がする。頭がくらくらとしている。喉の奥が不快感でちりちりし続けている。目の奥が焼けるように痛い。内蔵が今もずっと、焼けたような痛みを続け、腕からは血が流れている。

 

 だけど生きている。そして逃げている。つまりは逃げ切れた、逃げ切れる状況だったという事であり、逃げられる相手だったという事の証明でもあった。

 

「考えろ。生きる為に考えるんだ……あぁ、クソ、内臓がいてぇ……」

 

 この感触、内臓を焼いたな? と考えた直後、理解する。

 

「……思い出せないけど内臓を自分で焼いた? 痕跡は残るって事かこれ?」

 

 間違いなくこんな痛み、あの路地裏に入る前にはなかった。そこから記憶が消えて、アーチャーに狙撃された事実だけを覚えて、今、下水道を必死に歩いて逃げている。だけどそこにはダメージが残っている。()()()()()()()()()()だ、これは。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……死にたくねぇ」

 

 死にたくない。なんとなくだが、レティが死ねば俺も死ぬような気がする。レティが俺のライフライン。そんな気がする。だからレティを殺して終わり、は出来ない。第一レティを殺して終わりにするには情を入れ過ぎた。見捨てる事はもうできない。だから考えなくてはならない。どうやって生き残るのかを。どうしてこうなったのかを。相手がなんであるのかを。

 

 相手をどうやって殺すかを。

 

「あばらの骨折はこれ、アーチャーの矢によるもんだな。内蔵の痛みはおそらく自分で焼いた。という事は体内に対する直接攻撃があったって事か? となると武器を使わない魔術による物理的攻撃を持ったタイプ……だけどなんで燃やした? いや、燃やすという行為が大事だった? 燃やす事によって祓うことが出来る……炎という属性が優位性を持つ? という事は瞬間的に発生するのではなく浸食型か? 神秘性で起源が上回るから消せたのか?」

 

 思考しろ。情報を纏めろ。推理しろ―――今の俺はホームズ。シャーロック・ホームズだ。答えがないのなら導き出せば良い。ヒントが足りないのなら足りるところから引っ張り出せ良い。

 

「はぁ、はぁ……場所は路地裏。大通りからそう離れてはいないけどそれなりの広さがあった。内臓と胸が……後は心臓が痛みを残している。インナーには矢を射られた痕しかないから内臓への攻撃は透過? いや、遠距離攻撃か。ミラーリングが何時の間にか《外科手術》と《気配遮断》を映している……という事はやっぱりアサシンが相手か。だけど外科? 外科……? 余計に解らねぇ。解らないなら投げ捨てるか。痛ぇ」

 

 意識を保つ為にも言葉を常に走らせ続ける。そうやって自分の意識を常に保ち続ける。

 

「開けた場所では狙撃が来るから勝てない。炎で燃やせるものが相手の必殺手段……? 狙撃されて負けたって事はそれまでは上手くやれてたって事か。という事は必要なのは奇襲、暗殺への対策と意識、そして閉鎖空間で確実に殺す事―――」

 

 腕から走る痛みに顔をしかめ、視線を腕へと向けた。ジャケットのスリーブをまくりながら確かめる腕は焼け焦げていた。そしてその焦げ跡は形を作っていた。

 

MIST 呪 子

 

 急いで焼いた様な痕跡は汚く、ほとんど文字とは呼べないレベルまで崩れているが、ぎりぎり形として認識することが出来た―――そんなもの、自分で刻んだ覚えはない。だが炎で刻んである焦げ目だという事は、自分がそう刻んだのだろう、記憶が消える前に。

 

「霧と、呪いと、子供か……はぁ、はぁ……これだけありゃあ、なんとか、なる……な」

 

 息を切らしながらも足は既に走らせていた。足音が反響するこの下水道の中で、今、この瞬間、()()()が侵入したような気配を感じた。怖気を感じる様な、背筋を死の感触がにじり寄る様な、そんな感触を得た。レ・ロイ以来冴える直感が今すぐ、ここから出ろ、と警告していた。

 

「ファック」

 

 悪態をつきながら上へと出るマンホールを見つけた。痛みを堪えて跳躍しながら壁を蹴り、そのままマンホールを吹っ飛ばすように炎の衝撃を放った。マンホールどころかその周辺が吹っ飛びつつ、一気に夜のロンドンへと出てくる。夜の闇に包まれながら荒れる息を整えつつ素早く周りへと視線を向け、テムズ川の近くに出てきたのを知覚する。場所が悪い。ここは()()()()()

 

 そう思考した直後、夜の闇を飛来する者が見えた。

 

「ファ、ック……!」

 

 炎の盾を生み出し、それを防壁代わりにして矢を受けるが、その衝撃を殺しきれずに一気に吹き飛ばされる。だがその攻撃を知覚出来たのが理由か、ミラーリングが《千里眼》を写し取った。或いは見られている事で学習したのかもしれない。どちらにしろ、ここは相手の射程圏内だ。

 

 矢の衝撃に吹き飛ばされつつも、魔術と《英雄作成》で体を強化し、地面から足を離さない様に綺麗に吹き飛び、背中から壁に衝突し―――炎で破壊しながら中に突撃する。後ろから転がるように飛び込みながら姿勢を低くし、レティをバゼラードに姿を変える。壁の穴から飛翔してくる矢をそれで切り払いつつ後ろへ、室内に後退する。矢の届かない距離に入り込みながら窓から離れ、息を切らす。まだ生きている。なんとか、生きている。

 

「はぁ、はぁ、はぁ―――ファック。ダメだ、逃げられた気がしねぇ。今も見られてるな、これ」

 

 《千里眼》だろう。即興で習得したそれを反映してみるが、距離が足らず、まったく相手の姿が見えない。という事は少なくとも1キロ以上の距離から狙撃されている事になる。まったく嫌になる。そう思っていると足音が聞こえた。

 

「な、ななな、なんだこれ!?」

 

「おやすみ」

 

 急いで階段を降りてきた家の主らしき人物を問答無用で眠りに落としながら、周囲へと視線を向け、そして窓の外を見た。隣の家まではそれなりに開けている。飛び出して場所を確保するとなると、アーチャーに狙撃する時間を与える事になる。

 

 ……となると、この家の中でアサシンを迎撃する必要がある。

 

「……広間は窓が見えるからダメだ。窓がなく、侵入方向を限定できる狭い空間は―――」

 

 階段だ。この人物が上から降りてきたのが見えた。路地裏のあの広さではダメなのなら、もっと狭い場所で戦闘をする。外からは見えず、攻撃も制限出来、そして絶対に1:1に制限できる状況に。おそらくそこが一番、体を動かしやすい場所だろう。迎撃する場所として。

 

 階段へと移動しようとしたところで―――煙草のパッケージを見つける。

 

 普段はあんまり好まない煙草だが、何故だか無性に火が欲しかった。パッケージから一本だけを掴んで口に咥え、軽くバゼラードに先を触れさせれば、それだけで火が付く。特に煙を吸い込むわけでもなく、煙草の先に灯った火を見ているとどこか、落ち着く。吸い込まずに煙を吐き出しつつ、催眠術で眠らせた姿を蹴り転がして階段へと飛び込んだ。

 

 その中頃で足を止め、階段の上と下を残す。

 

 場所は狭い。人が一人ぎりぎりで通れる程度の狭さだ。

 

 そこに煙草を口に咥え、煙を昇らせながら武器を片手に立っている。緊張感に包まれつつも、迎撃する姿勢で、この狭い壁に挟まれた空間で待ち受ける。アーチャーの《千里眼》では捉えられず、そして場所を限定させ初撃を絶対にぶつけられる場所といえばこれぐらいしか思いつかない。後は倉庫の中にでも逃げ込むかだが―――ここがテムズ川近辺である事を考えると、難しい。

 

 この周辺はそれなりに開けているのだから。

 

 故にここしかない―――そんな思考をどこかでした気がする―――警戒し、迎撃態勢を整え、魔術を開始する。武器を握っていない左手を軽く横へとスライドさせるように中空で振れば、その動きに合わせて指元にカードが出現し、それが燃えながら消えて行く。消費されるのは宣言される役を完成させる為の組み合わせがランダムで。

 

「Flush」

 

 魔術が発動する。

 

 一工程魔術に対してモーションとキーワードを魔術キー以外に混ぜる事によって、複数の意味を圧縮し、一工程に複数の工程の意味を持たせることが出来る。これがいわゆる圧縮詠唱とも呼べる技術、スキルになる。これを行うだけでだいぶ魔術の通りが変わり、効率が変動する―――つまり効果が飛躍的に上昇するのだ。実戦タイプの魔術師なら覚えている基本的な技術でもある。が、本当に困っている時は一々行動を挟まずキーワードだけで設定して発動させる時の方が多い。

 

 とはいえ、こうやって迎撃に回る前提で時間があるのであれば気合を入れて詠唱を挟んだり、アクションを挟んだりする事も出来る。今使ったのは混沌魔術を利用したレジストを強化する魔術。魔術的干渉に対する防御力を向上させるもの。

 

 ヒントは霧、呪、子。思いつくのは霧で呪殺などの魔術的な殺害手段だ。となるとレジスト力を上げておくのはまず間違いじゃない。残されたヒントから相手の切り札に対して対抗する為の手段を用意し、待つ。

 

 相手から攻撃し、《気配遮断》が剥がれる瞬間を。

 

 推理出来る範囲であればおそらくは霧が手段になるのだろう。そして種別が呪―――つまりは呪殺。直接体内へと浸透して必殺するタイプ。真名は読めないが、それでも手段が解れば対処できる。その為の下準備は終えたのだ。後は相手を迎撃するのみ。

 

 そう思考した瞬間、

 

―――首に冷たい金属の感触を覚えた。

 

 心臓が停止―――いや、時間が停止したような思いだった。一切の予兆も予感もなく、それは首筋に添えられていた。首に、小柄な子供の手が握るリッパーナイフが添えられており、首に徐々に、徐々に食い込んで行く。ゆっくりと、それが加速された知覚の中で首の中へと沈んで行く。致命となる一撃が此方の命を奪う為に、見た目が完全な子供によって与えられそうになっていた。

 

 冷たい刃が首筋に沈んで行く。それがぷつり、と肌を割き、血管に伸びる。鋼鉄が血管を侵食し、綺麗に切断された切り筋、血管の切れ込みから血液が漏れ出る事で漸く内側から傷口が開いた。ゆっくり、ゆっくりと傷口が開き、血が流れ出す。それを片目で追っていた。

 

 あぁ、なんて簡単な事だ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

 おそらくアサシンにそこまでの知能はない。おそらくはその背後にいる司令塔……アーチャーあたりの入れ知恵なのかもしれない。攻撃手段が見切られた場合を想定して攻撃手段を切り替える事を。当然の備えで、当然の行動だった。

 

 そして反応速度、敏捷力、耐久的にそれには反応できない。ナイフが首筋に沈んで行くのを知覚しながら一瞬で思考した。

 

 死―――。

 

 

Refrain

 

 

 ()()()()()()

 

 果たしてそれを自覚したのは何時だったのか。

 

 ……When I noticed, I was looking into the mirror. And now also, I’m looking at the mirror. What I see, on the other side of the mirror……is, not myself, but myself. Looking into the mirror, what you see is not always the truth, but is what you can see. Don’t close your eyes. Open it, and see into the depth. Can you see? Can you understand? The mirror is just a mirror, itself has nothing to do with anything. As so, the importance is always how you see into it.

 

 It is, purely the way you look into it. I saw what was inside the mirror. It was me. But, that was not all. I was lost. I was lost inside the mirror. But the man in the mirror was not lost. Why? Why is this? I could not understand the reason why. Although, I understood that the man in the mirror was my only hope.

 

 At that moment, I was just a baby. Not even a child. I was as though it was, at the moment of birth. It was too late. All was late. I was as though I am now, at the moment of birth. No understanding was there. But then, only one word was there already when I noticed I was gone.

 

 消えたくない。自分という存在が消えたくない。助けて。誰か、どうかわたしを助けてください。消えたくないんです。私は私のままでいたいんです。ですからどうか、助けてください。お願いします。苦しいのも怖いのも嫌なんです。なんで、なんで私がこんなに怖い目に合わなきゃいけないんだ助けて助けて―――。

 

 So, I looked into the mirror. But the mirror never showed how I looked like. Of course, that is the truth as the mirror was just a passage, a gate to wonderland. I did not understand that, and yet, I still do not understand the whole of truth. But then, the point is that I know how to save myself, without the whole understanding.

 

 だから鏡を見ている。常に見ている。ずっと覗き込んでいる。自覚せずにそれを常に見続けていた。鏡を眺めていた―――ずっと、ずっと常にあるのを忘れて。現実は常にそこに合って、眺め続けているのに気付かないだけ。私はずっとそれから目を反らしていつの間にか忘れていた。それは或いは仕方のない事なのかもしれない。だってその時の私はまだ、子供ですらなかったから。だけど私は常にそれを覗き込んでいる。そしていま、私は―――。

 

▽覚醒判定 Roll of Fate

 

▽Dice Bot 2d6 [6,6]

 

▽Critical

 

 私は―――炎を見ていた。

 

 鏡の中は燃えていた。鏡の向こう側には炎があった。それをしばらく眺めていてそれが私である事に気が付いた。私は炎だった。或いは炎が私だった。いや、私が炎を秘めていたのだ。その時此処へと至る事によって私がただ、自分自身を眺め続けているのではない、という事を漸く理解した。

 

 覗き込んでいるそれは―――可能性/末路だ。自分がこうであるという形の一つだ。それを鏡を通して覗き込んでいる。そう、鏡が映すのは一つではない。その背後、周辺、その全てを映す。鏡の中にはもう一つ、鏡の世界が存在しているのだ。故にその中には新たな鏡による反射があって、また無限に鏡の世界が広がって行く。そう、無限に世界は広がり、繋がり、そして関連している。鏡に映っているのはその一つの可能性。

 

 炎を見た。

 

 ゆらゆらと揺らめく炎を見た。

 

 そこに■■の姿はなく、瞳の色は蒼穹に染まり、毛先は炎の色に染まっていた。その体は燃えていた。何時からか、何時まで、という言葉はない。それはそういう結末を迎え、そういう存在であると認識した―――それは可能性の一つ。行きつく形の一つに過ぎない。或いはそうなる可能性が濃厚なのか。だけど私は見ている、万華鏡のように描かれる数々の可能性を。

 

 一つ一つがモザイクの欠片の様であった。

 

 バラバラのピース、バラバラの情報、バラバラの色彩。一つ一つは独立している物であり、統一感はない。当然ながらそれはバラバラだからだ。そう、形はあるが統一感はない。つまりは未完成の一言に尽きる。持ってきたモザイクはそれを集めるだけでは意味はないのだ。

 

 万華鏡はそこに飾る絵がなければ完成しない。

 

 故に見た。自覚した。()()()()()()()()()()という事実に。その行きつく果てという事に。私は既に覚醒していた。起源の類する魔術を使って発情するのは当然だ。既に染まっているのだから。好きな事、存在意義を、生理的な反応に直結するのは当然のことだった。既に起源の覚醒は終わっていたのだ。

 

 ()()()()()

 

 

Access

 

 

「―――あれ?」

 

 血液が舞う。ナイフが振り抜かれる。だが首は飛ばない。体の動きが首の肉をある程度断たれながらも、抜けて、骨や気道に到達する前に体が離れた。階段の上階から落ちてくるように素早く放たれた暗殺者の一撃は必殺にならず、致命傷を与えられずに空振る。呆ける様な声をくすんだ銀髪の少女が―――アサシンが呟き、《気配遮断》が解かれてその姿が露出する。完全に必殺するタイミング、そして攻撃だった。それが失敗した為に完全にアサシンの姿が晒され、動きが停止している。

 

 それに合わせ、空いている左拳を顔面に叩き込んだ。

 

 魔術ではなく専用の秘儀、奥義、まだ名がないために分類されていない()()を込めて殴り飛ばした。衝突と共に空気が震動し、爆炎が階段の狭い空間を軽く満たしながら殴り飛ばされた姿は階段にめり込み、そのまま貫通してその背後の空間へと抜けた。或いはその下へと落ちた。その姿を追いかけるようにアサシンが抜けた穴を壊す様に通り抜けて落ちる。

 

 そこに飛び込む。煙草を咥えたまま、呟く。

 

「―――お前が」

 

 着地する。完全な暗闇が支配する地下室へと続く穴だったらしく、靴が床の感触に音を鳴らし、狭い空間に足音を響かせた。

 

Skill Fusion

《夢幻召喚》+《英雄作成》+《自己改造》+《魔力放出》+《起源覚醒》

 

「お前が……お前が灯した

 

 煙草の灰がこぼれて落ちて―――それが焔となって空間に広がった。完全な暗闇だったはずの空間に炎による光が満ちて、狭い地下室内が照らされる。ごちゃごちゃと物が置かれている地下室はその炎によって燃やされ、一瞬で灰となって朽ちて行く。自覚した起源の衝動のまま、汚染された起源のまま、()()()()()()()()()()()()の赴くままに、それを見た。

 

 闇の中に照らされる少女のシルエットを。

 

お前が俺に火を灯した

 

 ゆらゆらと燃える炎の中、少女を見た。ナイフを二本逆手で握り、姿勢を低くして構える少女の姿を。それに対応する為にレティを両手剣の姿へと変形させて、腕の中で一回転させてから後ろへと振りぬいた。起源を自覚し、覚醒し、夢幻召喚し、可能性を手繰り寄せて、■■魔法の切れ端を手繰り寄せ、■■の可能性を自分に対して作成し、変生しながらそれを埋め込み、固定する。起源によって魔力を燃え上がらせ、それで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。可能性の改竄。情報の一時的な燃焼改竄。

 

Skill Get:《Detonate》

 

ありがとう、お前が俺に火をつけた

 

 力を込めながら宣言する。絶対に殺すという意思で脳内を統率し、それをレティと同期させつつ、吐き出す。

 

―――そして火をつけた事を後悔しながら死ね

 




 本来ならここ、ライダーと協力して逃げ回って対策しつつ倒すってところだったんだ。だけどライダーそのものが消えたのでピンチに覚醒判定入れてみたら見事クリティカルしたという訳でして。

 習得したスキルを消費、統合・格納する事で新しい専用スキルの開発に成功しました。と言うか最終スキル。ランクで言えば作り立てだからまだE相当だけど。

 燃え上がらせたんだからしょうがないよね。データの方はおそらく次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。