―――真面目に考えて相手はライダー、
ライダーのクラスは騎乗の英霊。つまりは生物や無機物等の乗り物を乗りこなすクラスであり、神代へと遡ればそういうものに乗る存在は高位の武人や神性を継ぐ者に限定されてくる。少なくとも英雄などと呼べるようなスペックの存在はそうだ。このライダーの能力は全体的に低く感じるが、内包された神秘は神代級のそれを感じる。つまりは神代ライダーと表現できる。
そして神代の乗り物つったら戦車か、もしくは幻想種になる。大体この二択だ。そしてそれを乗りこなしてくるライダーの能力は―――まぁ、流石にここからは読めない。ただあの女ライダーのステータスから判断するとすれば、【敏捷】に任せた高速戦闘を中距離をキープしつつ……という感じなのだろう。
おそらくは常にマスター? である桜の事を気にしている。その為、常に庇える位置を取ろうとして来るだろう。なぜならサーヴァントにとってマスターと言う存在は弱点でしかないのだから。マスターが滅べばサーヴァントも自動的に滅ぶ運命にある。だからサクっとマスターを暗殺してしまうのが対サーヴァント戦におけるもっとも優秀な手段だと言われている。ちなみにこれがマリスビリーの取った戦術でもあったらしい。
ここで自分には選択肢が二つある。
桜を殺す事を優先するか、ライダーを殺す事を優先するか。
前者はマスターである桜を女帝ギルガメッシュの条件を満たす為、今すぐここで暗殺するやり方だ。戦い方としてはライダーを桜から引き剥がし、油断したところで遍在を出して桜を暗殺する。おそらくこれは初見では絶対に対応できないだろう。これが成功すればギルガメッシュとの約束が果たされるだろうし、ライダーも自然消滅する。ただしライダーと戦いながら桜から引き剥がし、意識を彼女へと向けさせないという事を行う必要がある為、難易度が高い。
逆にライダーを殺す事を優先するのは桜の殺害難易度が高くなり、ライダーの討伐難易度を下げる方法だ。ライダーと言うクラスから考えれば、彼女の宝具が
だけどライダーを殺す事に集中する、とはつまり時間を使うという事でもある。一般人は完全に眠らせてはいるが、桜の様なマスターであればレジスト出来るという事実を忘れてはならない。そしてそれとはまた別に、他のマスターが様子見に来る可能性も存在するのだ。それを考えたら桜の殺害難易度が上がる―――ここで一回逃がして、戻った家か拠点で殺す事になる。
その場合の障害が読めなくなる。
……《千里眼(魔法)》で読める状況、傾向はこれぐらいだろう。
俺の千里眼は援軍の気配を感知している。今もこの時間軸、此方へと向かって来ようとする人の姿をおぼろげにだがこの学園内のどこかで感じている。時間を掛ければまず間違いなくここへと突入してくるだろう。故に素早く桜を始末するギャンブルか、確実にライダーを始末してから桜を殺す堅実な案か、どちらを選ぶか、という話になる。
さて、どちらを殺すかを選ぼう。それ出来る札も変わってくる。
……先に桜を殺そう、と決める。ここは初志貫徹だ。元々桜を殺しに来ているのだから、先に桜を殺してとっととこの物騒な街からはバイバイしたい。何せ、12回蘇る大英雄が森にいる街なのだ、自分は極力ここに長居したくはない。それはそれとして、女帝様は拝んで土下座したら胸を揉ませてくれないだろうか、あの形、かなり良い形をしているのだが。
「……さて」
「……」
呟く様に言葉を吐けば、桜の前に陣取るライダーが威嚇する様に無言のまま、杭に繋がった鎖を鳴らした。此方との距離を測っているのだろう―――後はタイミングを計ってもいるのだろう。此方の出先を潰す為の気配の置き方だ。レ・ロイと謎のアーチャーとの戦いでそこら辺の技術は学習した。後はどれだけ自分がライダーを引き剥がしつつ戦えるか、という部分だ。
場所は変わらず炎に囲まれた教室の中、思考する時間に一秒もいらない。考え付いたのはとてもシンプルな戦い方。
前に出なきゃいけない状況にすりゃあいい。
「レティ、忘れてないよな? 地下鉄でやった事を―――!」
後ろへと飛び去るのと同時にライダーの杭が投擲される。それを迎撃せずに後ろへと飛びのく動きで回避しつつ、両手剣を変形させる―――もっと攻撃的で、素早く、概念的には弱くても打ち出すものが極悪な武装を。秒毎に数百を超える攻撃を叩き込むことが出来る大型の武装を。
「なっ―――」
「パーティータイムだぜ」
ガトリングガンへと変形したレティの砲身が回転を始め、炎の弾丸がまるで雨の様に一瞬でライダーと、射線の合わさっている桜へと向かって吐き出された。暴風雨を思わせる様な激しい弾丸の掃射は壁に衝突しても破壊する事はなく、教室の炎に同化するだけだ。まぁ、その時学生に当たって燃え尽きさせてしまうかもしれないが、それは仕方がない。
誰だって自分が可愛いのだ。
一瞬で桜を抱えて逃げるライダーに合わせて射線を横へと引っ張ってズラして行く。横へと向かって疾走するライダーが此方へと向かって机や椅子を投げて射線を遮ろうとするが、それがガトリング弾に飲み込まれて一瞬で蒸発する。だがその瞬間にライダーが教室の天井を蹴り抜いた。その際、炎がライダーの足を焼くが、致命傷には程遠いダメージであり、そのまま天井を抜けて上の教室へと出た。
それに合わせ、即座に1階分だけ転移し、穴を抜けて飛び出したライダーの前へと出る。穴を抜けずに即座に目の前に出現した此方の姿にライダーが口を開く。
「転移魔術―――」
「転移魔法って呼んで欲しいな」
双剣を交差させるようにライダーへと切り込んだ。杭を短く、逆手に握ってそれをライダーが迎撃し、桜を落とした。そのまま桜が奥の方へと逃げようとするので、笑みを浮かべながらライダーに対して更に剣を振るう。ライダーを絶対に動かさない様に小回りと速度のきく双剣を素早く連続で振るい、此方のスタミナを消耗させながらライダーを動かさないように連続で攻撃を続ける。
それに対応する様にライダーも速度を活かし、まるで蛇の様な低い動きで至近距離から杭を振るう。その動きに追従する鎖は動作の一つ一つに合わせて踊り、杭を振るいながらもまるで別の生き物の様についてくる。杭の迎撃だけではなく鎖の方も警戒しなければ何時の間にか首に巻きついている、何て事にもならない。
「ヒュゥ、やるねぇー。でもなんというか、根本的に
「……」
どちらかと言うとジャックみたいな戦う事ではなく殺す事に長けた存在の様に感じる。まぁ、英霊じゃなくても英霊という名目で召喚しちゃうがばがば基準な聖杯なんだから、是非もないよね! と心の中で叫びつつ、腕を動かす。
何度も何度も腕を振るうたびに自分の中で技術が最適化されて行くのを感じる。
「ふぅ―――」
相手がステータス的には自分とほぼ同等というのも悪くはない。おかげで身体能力の実践的テストも行える。そも、戦わなければ確かめられない事もある。
剣の握り方をそのままトレースするのではない。それは技術の塊ではあるが、最適化された握りだ。だからそこから自分が握りやすいようにしつつ、そこから自分にとって動かしやすい、戦いやすいやり方へと変えて行く。腕の振り方、筋肉の動かし方、人を超えた存在の運動の仕方、それを戦いを通して馴染ませながらも、桜を殺すための手を打って行く。
やるなら素早く、一瞬で。
手札を切るタイミングが重要になる。
故に後ろへと一歩下がる。それに合わせてライダーが踏み込んできた。僅か一歩だけではあるが、それでライダーの速度が乗った。攻撃の速度が上がり、圧力が上がってくる。加速する攻撃をさばき切る為に次の行動を予測し、それに対応する為に【魔力】で【敏捷】を代用する。《Detonate》でステータスを代用させながら魔法を使った過程消去で即座に迎撃のアクションを起動させ、杭と鎖を広げるように叩き切った。
そしてその瞬間、ライダーと桜の間に距離が開いているのを確認する。
―――ここだ。
理解した瞬間、桜の背後に遍在を生み出した。その存在に桜は気づかないが、ライダーが一瞬で増えた気配を知覚し、横へと飛びのきながら片手を眼帯へと伸ばした。その視界の範囲は教室全体を捉えるようで、桜の背後に出現させた遍在が片腕を振るう。
「止まれ―――!」
ライダーが言葉を発しながら眼帯をズラした。その瞬間、その下に隠された魔眼が解放される。果たしてその効力が一体なんであったのかは自分には解らない。だが、それが宝具ではなくスキルの由来であるというのなら、とても簡単な事だ。
「通じない―――!?」
「相性が悪かったな」
クラスカードを手元に出してそれを燃やして潰す。握りつぶすクラスカードはライダーのカード。それで儀式は完了し、魔法が成し遂げられる。ライダーの保有していたスキルが―――魔眼のスキルが否定され、焼却される。その発動そのものがスキルの喪失と共になかった事にされ、眼帯を外した行動がただのポーズとして終わる。それと同時に遍在がその仕事を成し遂げる。
背後から一撃―――心臓を後ろから貫く様に腕を貫通させた。
「あっ―――」
「サクラっ!?」
ライダーの意識がサクラへと向けられた瞬間、炎によって生み出された骸骨の腕が床、そして壁から伸ばされ、ライダーの体を掴んだ。起源の炎で編まれた骸骨がライダーの体を握った瞬間、熔かす様に炎が体に食い込み、穴を開けながら引き裂いた。口から悲鳴が漏れる前に、桜の名前を呼んで首、手足、そして胴体が焼かれながら貫通してバラバラになる。
……よほど桜の事が大事だったのか、気を許していたのだろう。桜の心臓が貫かれた時点で動揺し過ぎて戦闘中である事さえも忘れていたようだった。とはいえ、
「これでお仕事完了、っと」
心臓を貫かれた桜がびく、びく、と痙攣する様に体を跳ねてから動かなくなった。流石に心臓をぶち抜かれたら気絶もするか、と思いながら遍在を消して、炎も消し去る。その姿が床へと向かって倒れて行く中、
「桜っ―――!」
青年の声が響き、教室の扉が勢いよく開かれた。
「おや、やっぱり他にも魔術師がいたのか」
荒れ果てた教室の中に飛び込んできたのは橙色の髪の青年で、此方の事を無視して一気に桜の下まで飛び込んだ。そしてそれと入れ替わるように教室の壁を粉砕しながら何かが飛翔してきた。それを素早く両手剣の状態で切り流せば、壁の方へと飛んでゆき、叩きつけられ―――それが矢の形に変質した剣であるのが見えた。籠められた神秘からしてこれ、英霊級の技術だなぁ、と思いながら勢いよくバックステップを取る。
先ほどまで立っていた場所にまた剣弾が、そして魔術が叩き込まれた。
「危ない危ない」
続けて連続で放たれる矢と魔術―――おそらくはガンドを切り払いながら後ろへとまた二歩下がれば、粉砕された壁の向こう側から男と女の姿が見えた。黒髪に制服の女、そして赤い外套の男だった。男の方がサーヴァントだな、と認識しつつ、
「やってくれたわね……こんなことをしてタダで帰れるとは思わないでよね。アーチャー」
「了解した。とはいえ、ライダーを始末した相手だ、油断は出来ないぞ」
「あー、タイムタイム。俺、そこの子を殺す事を頼まれているだけだから。もう用事は終わったし帰る所なんだ。帰っていい?」
「ふざけるなっ!」
「だよなー」
桜を抱える青年が叫び返してきた。まぁ、いきなりテロって殺人して、それでハイ、さよなら、とはいかないだろう。困ったぜ、と呟きながら片手で頭を掻く。戦ってもいいのだが、ぶっちゃけ連戦は疲れるし手札を見られている可能性を考えたら死ぬかもしれないし、旨みはあっても嫌なんだよなぁ、と考え、
じゃあ逃げるか、と決める。
背筋を伸ばし、びしっと敬礼を取る。
「じゃあな! 本当に大事な者は絶対に離すなよ、じゃなきゃ死んじまうかもな」
「ふっ―――」
矢が放たれるのが見えた瞬間、転移魔法で座標を一気に変動させた。次の瞬間には崩壊した学園から、その屋上へと移動し、再び転移する。新都の最初に使ったビルの屋上へと移動し、また転移する。
そこから何度か転移を繰り返し、移動する―――相手が一応座標を追跡できるかもしれない可能性を考えて。めんどくさかったが、これで問題解決―――女帝の交換条件をクリアである。
桜殺害&ライダー
・ライダー撃破により経験点4点獲得
・ライダーから《魔眼》《怪力》を習得、統合されます
・《怪力》の影響で【筋力】が永久的に1ランク上がりました
・今回の件で属性が善から中立へ ※自分本位ではあるが他人を気遣える
・ミッション達成で経験点2点獲得
成長
【筋力】D(2)→C(3)
【魔力】A++(7)→EX(8)4点消費
残り:2点
【重要】魔力EXになったのでレティの最後の宝具が発動可能になりました。またレティ消滅フラグが進行しました。
漸くメインウェポン揃ったなぁ、って感じ。とりあえず次回は女帝ギル様との会話。おかしい……エログロしつつFateな感じの筈なのに、まったくエロがないぞ……。
それはそれとして、ついに俺も下乳上をゲットする時が来た……奉納SSを書いてすら来なかったのに! 今すぐにでも押し倒したい衝動に駆られている。早く、早く1000万キャンペをここに……!