フィナーレを飾ろう
カーテンの合間から明かりが差し込んでくる。
その光に徐々に意識が覚醒して行くのを感じる。気持ちの良い柔らかなベッドの感触に包まれながら、体に走る甘い感覚を微睡の中で味わっていた。体全体が暖かく、そして痺れる様な甘さを背筋に感じる。抜けて行くような脱力感に違和感を覚えつつ、下半身から広がる甘い快楽の波に目を開いた。
「あら……んっれろっ……起きたのね」
体を走る痺れの様な絶頂の快感に僅かに体を震わせつつ、視線をベッドの端へと向ければ、太腿の間に頭を挟み込み、顔を寄せる少女の姿が見えた。その舌先は股間に向かって伸びており、剥き出しになった淫芽に伸ばされている。ぴちゃり、ぴちゃりと音を立てながら舌が触れる度、背筋にぞくぞくとした快楽の刺激が走り、足の指を突っ張るように伸ばしてしまう。どれぐらいから続けているのかはわからないが、体の方は完全に親しむ様に快楽を受け止めており、体からまったく甘い痺れが抜ける気配がなかった。
「はぁ、はぁ、何やってんだお前」
「何、って朝クンニ。ほら、男の人って朝フェラは浪漫って言うじゃない? だからちょっと参考にして同性という事で朝クンニにしてみたのだけれど……」
「お前ちょっと頭―――んっ、くっ」
言葉を口にしようとしたら淫芽を軽く噛みつかれ、強い刺激が体に走った。男よりもはるかに強い性的な刺激に一瞬言葉を失う、そうしている間に這い寄る様に下半身から上半身まで体を引きずって少女―――愛歌が顔を寄せて来た。そしてそのまま、唇を奪い、
「おはよう、良い朝ね」
「おはよう……ってそういうことじゃっ、んひっ」
「ふふふ、可愛い声が出るじゃない。普段は勇ましいのにこういう時は姿相応に可愛いわね……」
そう言うと裸の秘部を秘部に擦り付けてくる。既に濡れている秘部からはぬちゃり、とすり合う度に音が出て、女の匂いと音を部屋に響かせる。だけど問題はそういう事ではなく、
「俺、今日はローマへキャスター殺しに行く予定なんだけど!! なんで朝起きたらレズセしてるんだっ!」
「うーん、私がしたいから? 真っ当ではないかもしれないけど、合意の上での恋人関係って私、実はどこを見ても初めてなのよね、やっぱりどこか気が昂っているのかもしれないわ……!」
腰に腰を擦り付け、体をくねらせながら乳首に乳首を擦り付けてくる。快楽を受け入れる準備を整えた体は既に乳首を立たせており、ここから我慢する方が逆に体に悪い。これは一回達したほうが早い、と愛歌の尻を両手で掴むと、此方からも腰を動かし、秘部と秘部をキスさせるように寄せ合って行く。勃起して淫芽が乳首の様に腰を動かす度にぶつかり、擦れ合い、そして腰を跳ねさせそうな快感が広がって行く。既に火照り、一度は達している状態、次のが来るまで来るのはそこまで難しくはない。
「ん―――っ! はぁ、あっ、ふぅっ……」
「はぁ、はぁ、ん、ちゅっ、れろっ……ふぅ、俺の方がまだ正気とかどういう事だ」
軽く愛歌に口づけを交わすと向こうから積極的に抱き着き、そして胸に顔を寄せて口づけしてくる―――え、止まらないの? まだやるの? そう思いながらも既に愛歌は口づけを交わしながら片手を此方の秘部へと伸ばし、閉じた秘部に指を膣の中へと滑り込ませて来る。貝合わせとは違う類の内側から責められる感触に体に火が付いたかのようにおさまりが効かなくなってくる。
流石別名マザーハーロット。そう思いながらもこの少女、少し大人に成ったからって盛り過ぎじゃないか? と思ったが―――だいたい中学時代ってこんなもんだよな、と思い出す。
仕方がない。これは間違いなくアレだ。
―――腰砕けになって動けなくなるまでヤるしかない……!
「あのさぁ……俺、今日はローマに行く予定なの。あそこで神殿構築してるキャスターをぶち殺しに行く予定なのよ。なのになんで朝からワンラウンド繰り広げなきゃいけないのよ」
「あら、減るもんでもないし別にいいじゃない」
「そういう問題じゃねーよお前」
朝起きて、汗やあれこれをシャワーで流して朝食を取り、食後のコーヒーを片手にしつつ優雅な朝の動画鑑賞タイムになっている。最近は普通にテレビを見るよりもネットで面白い動画を流してる方が面白いから、テレビにパソコンを繋げて適当に内容を流している。風情がない? 元々ソシャゲ廃人に片足突っ込んでいるゲーマーに一体何を期待しているんだ、という話だ。まぁ、それはともかく、
「お前、ちょっとはしゃぎ過ぎじゃね」
「仕方がないじゃない……前も言ったけど
「だったら寝起きを襲うのを止めろ。なんで俺がツッコミに回ってんだこれ」
それでいて愛歌はきっちり家の家事をやってるから文句が言えない。朝食やコーヒーも彼女が淹れたものだし。しかも俺よりも上手だってのがちょっと悔しい。こう見えて何年も一人暮らしをやっているからそこら辺のスキルには自信があったのに。まぁ、偶に今朝の様な奇行が出てくるが、それらは全部自分の仕事を終わらせた上で出てくる事だ。
しかも最近は実況主を始めてお金まで稼ぎ始めた。見た目幼女で可愛く、なんでもそつなくこなし、トークも上手で退屈を感じさせない。そりゃあ動画の再生数も伸びるわな、とは思う。
それはそれとして、平行世界の俺よ。絶対に魔法使いを目指すなよ、絶対にだ。その先は地獄だぞ、とどこかの出張派遣守護者も言っていた。まぁ、それはともあれ、この見た目だけはロリっ子もだいぶここに馴染んだな、とは思わなくもない。
約束通り、根源に由来する能力を全て愛歌は封じている。残されたのはその体と、量は少ない魔術回路によって行使できる普通の魔術の類だけだ。だけどそれでも日々を幸せそうに生きている。
「貴女が死んだら私本気出すけどね」
「自力蘇生できる分は忘れないでね」
「覚えてたらね」
死ねないなぁ、これ……。おかしい、これは俺がロリコン野郎扱いされてバッシングされるべきところの筈なので、攻守関係が完全に入れ替わっている様な気もする。やっぱり純正女子は一味違うという奴なのだろうか。まぁ、クッソくだらない考えなのでいったん、このバカな考えは脳味噌から追い出しておく。コーヒーを飲み終わった所で、そろそろ最後の仕事を終わらせに行かなきゃならないのだから。
まぁ、全裸で寝ている俺も悪いのかもしれないが、全裸で寝るのが基本、気持ちよく楽なのだからしょうがない。
何時までもぐだぐだしていてもしょうがない。
コーヒーを飲んでいたカップを流しにいる愛歌に渡し、カウチに無造作に放っておいて髪紐を取る。それで髪を二房に分けるように根元で縛り、軽く髪を揺らす。髪が長いと戦闘が不利に―――とか言っちゃうのは雑魚の理論だ。俺の様な強者にそんな雑魚の理論は通じないので、髪は趣味で伸びたままだ。前髪が長くなって目を隠しても、千里眼を保有する以上それが邪魔になる様な事はない。
だから靴下を履いて、ベルトに礼装をセットし、ブーツに足を通し、ストラップをしっかりと結ぶ。
最後にコートラックに引っかかっている一張羅に両腕を通し、外へと出る恰好が完了する。ジャケットのポケットから煙草のパックを取り出し、軽く叩いてから口に咥え、先端に火を付ける。煙草の先端に灯った焔を見て息を吐き出しつつ、煙を吸い込んだ。それで準備の全てが完了する。
「そんじゃハニー良い子にして待っているんだよ。運が良ければローマのお土産を用意できるからね」
「あら、でも無理にお土産を用意する必要はないわ、ダーリン。貴女が無事でさえいればそれで十分だもの」
でも、まぁ、と流し台で洗い物をしつつ愛歌が手を止めずに言葉を続ける。
「相手の首は欲しいかなぁ、て」
「やはり
「えー」
その欲望に素直すぎる辺り、実に片鱗が見て取れると思う―――いや、まぁ、自分がいる間は絶対にそんな事はさせないが。なんかなぁ、気が抜けると思いつつ行ってきます、と言葉を置いて扉を開けて抜けた。
扉を抜けて出るのは新たな部屋で、此方はゼルレッチの執務室になる。
見ればテーブルの上にカップ麺を置いて、それを眺めてるゼルレッチの姿が見えた。その姿を無言で見て、ゼルレッチへと視線を向け、
「爺のこんな姿見たくはなかった……」
「いや、ワシもちょっとこういうのに興味があってだな……美味いらしいし」
「いや、まぁ、開発にバカみたいな金額かけてるからそらそうだけどさぁ……」
魔法使いゼルレッチ、といえば魔術世界でもトップの有名人であり、また同時に多くの魔術師にとっての憧れでもある。個人的にそういう部分は全く皆無ではあるが、それでも姿は完全にかっこいい魔法使いの爺さんなのだ。それがカップ麺を用意している姿とか流石にない。
ショウジキナイワ―。
まぁ、それはどうでもいい。
一応、この残念元帥もこの計画に噛んでいる人物の一人だ―――たとえその裏側がマッチポンプだったのだとしても、元の師として一言出る前に告げておく必要はあるだろう、と向かう前に足を止めていた。だからとりあえず、
「んじゃ、爺。世話になった。今日中に聖杯取ってくるわ」
「そうか……ならとっとと終わらせろ、元弟子」
「あいよ」
じゃあな、と告げながら振り返って再び扉を出て、一気に転移魔法を使う。
―――さて、このシナリオの話をしよう。
これらの騒動は全て
だから実のところ
だが問題が発生した。
見通すはずの千里眼が見えない何かを見た。
つまりは人理焼却に異分子が混ざった。千里眼によって見通せないという事は根源に連なる存在か、或いは外宇宙の記されざる存在などの外側に位置する者たちによる手になる。
だがその犯人自体はどうでもいい。問題はどうにかなりそうだった人理焼却が異分子によってイレギュラー化し、それで確実な未来が見えなくなってきた事になる。確定された事象が不確定な未来になる事は喜べる事だ―――とくに予見による未来確定を行えてしまう千里眼持ちにとっては。だがこの状況でそれがプラス方面に進むとは限らない。
常にマイナスになる可能性も存在するのだ。
それを考えると相手に備えて此方も一人、戦力を補充する必要がある。
どんな環境でも独自の理論を展開し、ほぼ無敵ともいえる戦力を発揮する事ができる魔法使いは冠位指定魔術師にすら匹敵する万能性を保有している。それを一人生み出し、そしてカルデアの物語に配置すればそれだけで大きな予防線を、保険を利かせる事が出来る。その為にはまず選定しなくてはならない。才能があり、素質がある人間を。
意思がなければ意思が出来るようにすればいい。試練を、苦境を、成長を強制的に与える事で覚醒を促す。性根が腐っていなければ後は魔法使いに無理やりにでも押し上げてしまえば良い。千里眼を保有し、そして悪性でなければ未来を視ればわかる。
望まなくても動かざるを得ない事実に。
それがゼルレッチ、そしてランサーの計画だった。キャスターはランサーによって召喚されたサーヴァントであり、知略を手伝いつつ偽装と時間稼ぎ、準備と前夜祭の下地を万能の魔術によって作り上げた、このシナリオにおける功労者であった。
本当であればもっと色々と出会いやイベントがあった。
例えば空港に突入してきた兵士が実は擬装用のホムンクルスであり、その素材を調べる事でローマへと行きつくとか、少しずつ時計の針を前に進めながら覚醒を促す予定だったのだ。だがライダーが事故死して出現しなかった事、そして花の屑マーリンが《英雄作成》を教えた事でこのスケジュールが歪み、
千里眼を取得し、シナリオを確認できるようになった事でプロットが完全に崩壊した。とはいえ、それは涙を流すような事ではなく、喜んでもいい事だった。スケジュールが早く切り上げられただけの事なのだから。故に事実、ランサーとキャスターは盛大な歓迎を用意しながら、黒幕らしくローマの街を丸ごと一つ支配して待ち構えている。
アクシデントとトラブルと、そしてイベントの重なる聖杯戦争。
だがそれもいよいよ終わりが見えた。
キャスター、そしてランサーが消滅すれば聖杯は満たされ、戦いが終わる。それは同時にカルデアにて紡がれる愛と勇気の前日譚が終わるという事であり、また少年と少女の運命が鼓動を響かせながら胎動を告げるという事でもある。
始まりがあれば、また終わりもある。
生まれる命があれば終わる命もある。
故にこの聖杯戦争も、始めたのだから終わらせなければならないのだ。何時までも続く夢はない。それは何時か、どこかで絶対に終わらせなきゃならない。それは誰よりも、否定という概念を通して終焉を知る人間だからこそ熟知している。そこに滅びの美学がある、なんという飾った言葉は使わない。
ただ、
終わらせない限り、次は来ないのだ、という事実が存在する。
故にローマへ―――原初の魔術と魔法を操るキャスター、そして偉大なる皇帝が祭りの最後をせめて相応しく派手に飾る為に彩る決戦の地へと、
血液を沸騰させるような熱を体内に巡らせながら今、行く。
・ローマ消滅が確定しました
という訳で次回、vsキャスター前哨戦。魔術EXで魔法使いなキャスターが相手じゃぞ。しかしシナリオを千里眼で確認できるから物凄いプロットブレイカー。巻き込みやがって、とは思うものの、その背後の状況や理由を考えるとあぁ、うん、まぁ……って感じにもなるので、ニキネキの心境は複雑。
それはそれとして、幼女に朝クンニされて起きる人生とは。