「こりゃあひでぇな。最近の映画の方がまだましなスプラッタシーンを見せてくれるぜ」
空港の入り口からそのまま堂々と入る。足元には大量の血液が散乱している他、内臓をぶちまけた結果膀胱や腸の中身が完全にぶちまけられ、消化途中の食べ物や糞の類が空港のフロアに広がり、悪臭で満たされ始めていた。悪臭に片手で鼻元を抑えながら空港のロビーの先へと視線を向けた。そこには奥へ、奥へと向かって進んで行く破壊と死の痕跡が見えた。輪切りにされた警備兵や軍人の死体が転がっており、まだまだ奥から射撃音が聞こえてくる。その音にうわぁ、と声を漏らす。
「マジでこの中を進まなきゃならないのかよ……」
ポケットの中から一枚のトランプを引き抜き、それを片手で持ちながら血と臓物で輝く空港のロビーに入る。本来であればパスポートとチケットがなければ入れない場所ではあるのだが、それを注意する連中がここにはいなかった。本当に皆殺しにしながら進んでいるようだった。こりゃあ終わったら魔術協会がブチギレする案件確定だった―――その中心地で巻き込まれた自分としても、非常に憂鬱になる。
これが終わった事情聴取があるんだろうなぁ……。
「畜生、クソが、ファック、ファック、Fuck!」
自分の倫理観は魔術師に近い。必要とあれば切り捨てるぐらいの感性だ。だからと言って、こんな虐殺が許容できる程冷血漢でもない。クソな連中しかいない魔術師の中でも社会や法が存在しているのだ―――自分が特別だから、何をやってもいいという訳ではない。そういう連中は総じてマザーファッカーどもだ。便器に頭を突っ込ませて窒息しているのがお似合いのクソ野郎どもだ。
つまり、あの集団はそういう連中だ。
「えーと、最短ルートはスタッフ用通路を抜けたほうが早いか?」
アリの巣の様に広がる空港内部を正直に正面突破する必要はない―――寧ろ、そうしたら背後からあの殺戮集団とエンカウントしてしまう。そんなの冗談じゃない。生きて魔術の世界から足を洗いたいのだから、こんなところではまだ死ねない。ゼルレッチの顔面も殴れていないし。そんな事で空港に入ったら近くにあった案内図を確認する。それで飛行機のダイヤとどこに着陸するかを確認し、スタッフ用の迂回路を見つける。少し避けるように進むことになるが、こうすれば鉢合わせせずには済む。走って近づき、扉のノブを握り、ガチャガチャと回すが、当然鍵がかかっている。
「
魔術回路を起動させる。山札から抜いた一枚のトランプをドアの下の隙間から通す様に滑らせ、向こう側に通したところでシンプルな魔術を使う。
本来であれば劣化交換させる程度の魔術らしいが、そこらへんはかつて神童とも呼ばれた自分だ、この程度の事は問題なく出来る。というかそれほど難しくはない。これが触媒・媒体なしの空間移動となってくると転移級になって途端に無理ゲーになるのだが、置換魔術を応用した移動術であればそこまで難しくはないと思っている。
……これ、ルヴィア辺りに売ったら金になるだろうか? そんな事を考えながらドアの向こう側へと移動するのに成功した為、そのまま走って正面を迂回するように移動する。未だに奥の方からは銃撃の音がし、人が虐殺されているのだというのが解る。正直な話、この結果どうなるか、と言うのを知るのが非常に恐ろしい話だが、イギリスには聖堂教会も魔術協会も存在している。普段はいがみ合っている二つの組織だが、これだけの事態になればいがみ合わずに協調して事実の抹消に走ってくれるだろう。
ともあれ、自分がやる事はシンプルだ。
連中が目的地へと到達する前にさっさと聖遺物を回収して逃げ出す事だ。市内へと飛び込めば此方の物だ。ロンドン市内であれば数年のアドバンテージがあるし、バイクも置いてある。その上にあちらは町中に魔術師や聖堂教会の人間もいる。何よりも、大英博物館が一番古い連中の巣にもなっているのだ、あそこを攻め落とせる戦力なんて地上には存在しないだろうと思っている。
だから早く脱出しよう。こんな時こそゼルレッチの転移魔術が欲しくなってくるもんだ。愚痴りながらスタッフ用通路を抜けていると、縮こまりながら隠れている人たちの姿が見える。
どうやら進路上の人間を虐殺しているだけであって、殲滅している訳ではなかったらしい。飛び込んできた此方の事を見ると、こっちだ、と手を振ってくる。
「ヘイ! そっちは危ないからこっちに来い! その先は滑走路だぞ!」
「それが解ってるから向かってるんだよミスター」
正気じゃない、という視線を向けられるが、それ以上止められることはなかった。当然ながら誰だって自分の命が一番可愛い。それは悪くない事だ。自分の命を大事に出来ない奴の方が遥かに馬鹿なのだから―――そう、今の自分の様に。
強化魔術を使って肉体を強化し、扉などが邪魔する場合は、置換魔術で位置交換を行ってさっさと前に進む。慣れない体で走っているせいか違和感が付きまとい、速度がいまいちでない。とはいえ、素直に女ものの服や下着をつけておいて良かったと思えた。男物のままだったらたぶん普通に転んで前に進んでいるどころではなかった。天下のロンドンの郊外でこんなことをするハメになるとはなぁ、と未だに毒づくのを一切停止させる事無く、ヒースロー空港内を走って進む。
「はぁ、はぁ、無駄に広い!!」
世界最大規模の空港の一つであるから仕方がないと言えば仕方がないのだが、かなり広く、走る距離が多い。なんでもっと楽をさせてくれないのだろうか、と再び息の下でファック、と叫びながらスタッフ用通路を抜け、今度はマイグレーションターミナルへと出る。此方は飛行機が到着し、乗客を降ろす側のターミナルだ。
大きい空港ともなってくると空港内で電車が走っており、それでターミナルからターミナルへと移動することが出来る。幸い、荷物を運ぶ手間を考えるとシャトルに乗る必要はないから走る距離が増える訳ではないが、それでも距離はある、
そして、
―――銃声が聞こえる。
「成仏してくれよ……」
怨霊とかがリアルに存在するこの魔術の世界。強い恨みを抱けばリアルにそこに地縛霊となって人を呪ったりするので、終わった後の除霊措置も大変そうだと思いつつ、銃声が聞こえる方角と並行するように奥へと向かって進む。
シャトルの線路の上へと飛び乗り、そこからモノレール状の線路を走って移動する。しばらく走ればターミナルのトンネルを抜けて、空港の敷地内へと出る。いよいよ大きく開けた滑走路内へと到着する。トランプを地面へと向かって手放しながらスマートフォンを抜き、
「お前! どこに! いるんだ! よ!」
SMSで素早くメッセージを運び人の方へと叩き込めば、素早く返ってくる。距離的にはここからはそこまで離れてはいない。とはいえ、一度は自分の姿を広い空間に晒さなくてはならない。ファック、と盛大に愚痴りながら地面に落としたトランプと居場所を置換させ、一瞬で高所から大地へと移動を完了させる。強化魔術があってもこんな高所から飛び降りれば、普通に骨折するどころか死ぬから当然なのだが。
ここで職員用の移動カートをパクれれば楽なのだが―――そう思い、周辺を見る。こんな状況だ、錯乱して走り出したとかでカートが放置されていれば移動が楽になる。あまり期待せずに周囲へと視線を向ければ、放置されているカートを見つける事に成功した。急いで飛び乗ってキーを確認すれば、刺さりっぱなしの状態で放置されていた。
「これがアメリカだったらパクられてるぜお前、へへへ、有効活用してやるからな……!」
馬鹿なことを言って自分を盛り上げつつ―――というかそうしてないと鬱になりそうなので無理やりテンションを上げ、キーの刺さったままだったカートを一気に走らせ始めた。アクセル全開、法速度なんて知ったもんか! という勢いで全力でアクセルをぶち込みながら走らせる。女の体では絶対に出ないであろう速度に爽快感を感じる。煙草の一つでも持ってくりゃあ良かったぜ。そう思いながら一気にSMSで送られてきた地点へと向かってカートを走らせる。
ここからはもはや一本道。迷う事はない。
十数秒カートを走らせていれば、やがて壁を背後に、バリケードが積み上げられているのが見える。そこに感じる強い神秘の気配に、そこが目的地であると感じ取った。その前で軽くドリフトするようにカートを停止させ、片手を伸ばした。
「カレイド運送でーす!! クソナチがこっちへと向かって来てるんだからはよ物を渡せ!! 連中真珠と神秘で武装されてるぞ!」
「お前がゼルレッチの代理人か、これだ! 持っていけ!」
此方へと向かってバリケードの向こう側から何かが投げ込まれた。それを伸ばした手でキャッチすれば、それがアタッシュケースの類であるのだと理解された。その中に感じる凄まじいまでの神秘の濃さは、アタッシュケース内部に保管されたものが聖遺物であり、それも凄まじい神性を内包した神代の物であるのが自分の様なド四流魔術師にでさえ伝わってきた。うわぁ、と声を零す。
「神秘の波動遮断できないの!?」
「出来たらもうやっている! 早く逃げろ! それに群がってくるぞ!」
「だよな……!」
投げ渡してきた黒服の運び屋に軽く敬礼を返しながらカートを走らせようとした瞬間、視界の端に映るものが見えた。
―――ナチスの軍服姿だった。
「あっ、やべっ」
その片手には杖が握られている。振るわれるのと同時に放たれるのは光の斬撃―――つまりは光速の斬撃。人類にはその速度の攻撃を回避する手段が存在しない。その為、迷う事無く空いている片手でなるべく遠くへと向かってトランプを投擲し、置換魔術を発動させた。一瞬だけ景色が消え去るのと同時に、爆発と絶叫が聞こえ、視界が一瞬で炎によって防がれた。
「危なっ―――」
目の前にはカートが切断され、その影響で爆発して出来た炎の壁があった。その向こう側ではナチス兵士が五人ほど、魔術武装を手に此方へと向かってくるのが見える。渡せ、或いは寄越せなんて言葉を吐くつもりがないのは見えている。連中、勧告する前に殺して奪うつもりだ。
先ほどまで生きていた運び屋の惨殺死体へと視線を向けたから、迷う事無く走り出した。置換魔術に使ってしまったトランプは使った直後に燃え尽きてしまう為、二度は使えない。有効距離だって普通に存在する為、入り口に設置して終わったら置換魔術で戻ってくる、なんて便利な事はできない。
ここからは空港の入り口まで命がけのデッドチェイスだ。
「やべぇ、生き残れるビジョンが見えねぇ―――」
ポケットから宝石を取り出し、壁へとめがけて投げつける―――それを媒介に錬金術が発動し、ガラスを構成する物質を逆行させて解体する。ガラスがそれを構成する元であった砂へと戻り、さらさら、と崩れ落ちながら道を作る為、それを通り抜けて空港の中へと戻って行く。
「ファック、別に地図を頭に叩きこんでる訳じゃねぇんだぞ。ほんと割に合わねぇ。終わったら数百万£クソ爺からふんだくってやるからな!」
そうでもしなきゃ割に合わない。罵倒と愚痴を止める事無く吐き捨て続けながら。空港内部へと突入して走り出す。もはや強化の魔術を解除すればそれだけであっさりと追いつかれてしまう。だから前へ、ひたすら前へと全力で走り続けた所、
急に悪寒を感じた。
ほぼ本能的に横へと体を飛ばした瞬間、正面から斬撃と炎が先ほどまで自分がいた場所を走るのが見えた。カードを投擲しながら横に転がり、荒く息を吐き出しながら素早く確認しつつ遮蔽物に隠れれば、進路を塞ぐ様に立つナチス兵士が10人ほど見えた。その姿は此方へと迷う事のない追撃を下そうとしていた。言葉よりも早く暴力で解決しようとしている為、叫ぶ。
「攻撃を続けるならここで聖遺物を破壊する!」
瞬間、足音と攻撃が一瞬だけ停止した。
だがこのド三流魔術師にとって、その瞬間があれば魔術を用意するだけの時間になる。怒りを感じながら歯を強く食いしばり、トランプのカードを数枚、ばらばらばら、と手元から零しながらコストとしてそれを焼却させた。アタッシュケースを片手に、逃げるように飛び出す。それを狙い穿つように迷いのない魔術が放たれる瞬間、
「
使いたくなかった、鏡の魔術の一つを使った。命中する筈であった魔術は虚空で
―――体を走る快楽だった。
だがそこに痛みはあるのか? 苦しいのか?
否―――違う。
それこそ全力で使えば絶頂している様な、そんな気持ちになれる。当然だ。性欲、食欲、睡眠は人間の持つ三大欲求であり、起源とはつまりそれに直結するもう一つの欲求なのだから。それも人間の本能よりもはるかに強い、原初の欲求、それに従う事は常にセックスをしているものか、或いは麻薬をエンドレスに投与している様なものだ。心が弱ければ自分を律せず、一瞬で呑まれる。
「はぁ、はあ、ファック! 俺に魔術を使わせやがったな……!」
使った魔術は一瞬、消費魔力も少ない。これなら長続きはしない。今の一瞬でこれだから、全力で魔術を使ったらそれこそ正気に戻ってこれないだろう。その事を自覚するように唇を軽く噛んで気付けをし、死体となって動かなくなったナチスを置いて、空港の出口へと向かって走り出す。また一歩、起源へと近づいてしまった、と言う事にいら立ちを隠せず。
故に次の瞬間、体が殴り飛ばされている事に気づけなかったのだろう。
「がっ―――」
凄まじい衝撃に骨が砕ける様な音を聞き、体が一気に投げ飛ばされる。凄まじい勢いで吹き飛びながら床に倒れていた死体や内臓を引きずるように体が転がり、やがて停止する。その時、アタッシュケースを手放さなかったのは褒められる事だと思ったが、そんな事に思考を割くだけの余裕はなかった。
「ファック、はぁ……はぁ……痛ぇ……」
肉体を強化していなかったら死んでいたかもしれない。そんな事を考えながら目を開き、自分がいた場所へと視線を向けた。
―――そこに立っていたのは一人の青年の姿だった。
肌は浅黒く、アジア系の黒髪の青年であり、その服装は現代では中々見れない古めかしさを持っていた。その片手にはまるで霧で包まれた長いナニカを握っているようで、しかし、その存在そのものから感じるのは圧倒的な気配だった。生物として、圧倒的上位の神秘を纏っている。人間の形をしているが、人間が個人でこれだけの神秘を纏える筈がない。明らかに一人の人間が内包できる神秘の量を超えている―――まるで、この時代の人間ではないようだった。
「っ」
体、そして手の甲に痛みが走る。先ほどの衝撃のせいか、手の甲には妙な紋様が刻まれていた。それを見て、最初は怪我をしたのかと思ったが、それを見ていればそれが
「耐えて、しまったか……」
どこか、申し訳なさそうに青年が呟き、霧に包まれた武装を構えた。握り方からして剣か斧だろうか? どちらにしろ、反射的にやばい、と思った。幸い、先ほどの衝撃でカードがいい感じに適当にばら撒かれていた。即座に意識をかき集めながら置換魔術でトランプの一つと自分の位置を入れ替えた。
直後、水の爆裂が
わずかにその射線から逃れた体で、壁に背中を預けるように立ちながら見た。先ほどまでは壊れてはいても存在した空港のターミナルが、真っ二つに切断されている姿を。その姿を見て、ははは、と呟きが漏れた。
「なんだ、これ……」
明らかにジャンル違いの映画に飛び込んだような気持ちだった。先ほどまではB級映画を見ていたのに、今ではマーベルコミックを見ている気分だった。こんな簡単に、シングルアクションでこれだけの破壊を生み出すのは現代の魔術師には不可能だ。いや、魔法使いであるゼルレッチやミス・ブルーであれば問題はないだろう。だが魔術師には絶対に不可能な領域だ。それこそ凄まじい代償を必要とするだろう。
だがそれを放った本人はまるで消耗した様子を見せていない。そしてその視線は此方へと向けられた。直後、再び置換魔術で緊急離脱を行った。瞬時に一番離れているトランプと自分の位置を入れ替え、少しでもあの怪物から逃げられるように距離を開けた。痛む体を強化し、少しでも早く逃げ出そうと体を動かそうとするが、
「―――無駄だ」
どう足掻いても追いつくはずのない距離を、その青年は一瞬で詰めた。ありえない、と言葉を吐くよりも早く霧の塊が此方へと向かって叩き込まれるのが見えた。圧縮詠唱、高速詠唱、積層詠唱を同時に行ってシングルアクションで魔術を発動させる。忌み嫌う鏡の魔術を。今はそのコストの事を考えている場合ではなかった。自我が喪失する前に即死する。その予感と共に鏡の魔術による同質量発生の相殺を行おうとし、
一瞬で競り負けた。
速度と威力をそぎ落としながらも体が再び吹き飛ばされ、先ほどまでよりもはるかに遠く、そして強く体が跳ぶ。痛みで言葉を失いながらも何度か床にバウンドし、転がった。それでもアタッシュケースはそのまま、手で強く握って離さない。
アタッシュケースを強く握るその手の甲には見慣れない痣が刻まれていた。転がっている間にぶつけたのだろうか、と呑気な事を一瞬だけ考え、その痣から伸びる魔術的痕跡を見て、それが何らかの魔術的ギミックであり、その青年と出会った事により発生したものであるというのを見抜いた。それを完全起動させるのに必要なのは祭壇、呪文、魔法陣、そして触媒。それを見て、そして口にする。
「
準備が、前提が、用意が、そして術式が。やり方が
自分の体に刻まれたラインから術式を弄って改良する。祭壇の機能と儀式の必要性をオミットする。呪文は知らないので―――これもオミットする。そうすると必要なのは触媒だが、
渡すぐらいなら使ってやる。損失が何£になるのかを考えると憂鬱ではあるが、奪われるよりかははるかにマシで。これがなんの術式かは今だに理解してはいないが、嫌がらせがこの詰んでいる状況で出来るなら問題はない。
「
魔術回路を再起動させる。魔力を生み出す。それを改良した術式へと流し込み、そしてアタッシュケース内の聖遺物を触媒として勝手に使用させてもらう。ははは、ざまぁみろゼルレッチ、そしてファッキン褐色イケメンめ。お前らの信用! 信頼等ファックだ! 滅びろ! 俺がここで死ぬというのならなるべく嫌な目に味あわせてやる。俺と一緒に地獄に落ちろ。
時間が、ゆっくりと、流れている気がする。
視界が赤く染まる。
炎と破壊と血と贓物で世界が赤く染まっている。
或いは俺も血を流して赤くなっているのかもしれない。目立たない様にBusterのクソダサTシャツの方を着てくれば良かったのかもしれない。そんな事を考えながら赤く染まり、ゆっくりと流れるように感じる時間の中で、魔力を注いで魔術を一気に起動させた。アタッシュケース内に保存されていた聖遺物が何であるのかは解らないが、それが一瞬で消費された事だけは理解できた。
魔力が注ぎ込まれ、全ての反応が消えて、ゆっくりと近づいてくる足音だけが聞こえてきた。
―――あ、これ失敗した?
そんな事を考えた直後、
全てが終わりのない赤色に染まった。
Fateおなじみ、追いつめられてからの召喚シーン。主人公が弱い間はギャグを挟む余裕がないからそこまでネタが挟み込めない辛さはちょっとあるけど、まぁ、サーヴァント召喚されれば問題は解決だろう。
それはそれとして、神代の触媒って億クラスの値段になりそう。
次回、サーヴァントvsサーヴァントな感じで。しかし自分を自滅に誘うものを使うと逆に気持ちが良い、というのは実にR18感があって結構気に入っている。