突然で申し訳ありません。
「優夜が眠ってた時の話からいきなりすると誤解しそうだから、優夜と初めてホテルで会ったときから話すね」それだけ可愛い優夜に告げると僕は話を続ける。
「優夜が国久君と喧嘩して脱兎の如く逃げたのは覚えてる? 」ニッコリ微笑みながら優夜が嫌がると判っている事を
「うん」コクリと頷き話を聞く。
「こんな隣で変な事言ってる作者はほっといて、その時に国久君家の電話番号聞きだしたんだ」多少、
「その後で優夜を追いかけたんだけど電車に間に合わなくて、父さんに確認して何とか優夜の家まで辿り着いた。でも、玄関の鍵閉められちゃったみたいでね? 」わざと意地悪そうに目を細め、優夜を見ると優夜はごめんなさいとポツリ呟き俯いてしまう。その仕草が俺の自制心に
「その時に優夜のお母さんに連絡とって鍵を貰えるようにお願いしたんだけど、その後まだまだ時間があってね、優夜の事知りたかったから国久君に来てもらったんだ」完全に御幣ですぞ?それは。脅迫して呼び出したのは亮・・グハッ
「作者程度の書くだけの人間は黙ってて! 御幣でも何でも亮輔の口からしか僕は聞きたくないんだから! 」優夜の怒りが作者を直撃し、ノックダウン勝利を収める。
「それでね、色々聞いたんだけど、その聞いたのは内緒ね」少しだけ困ったように笑いながら亮輔は話を続けようとする。
しかし、優夜がこれを許すとは到底思えない。ってかありえないだろう?密会なんて…
「ちょっと待って、内緒ってもしかして僕に話せないようなことしてたんじゃないんだろうね?! 」ほら来たそら来たってあんまりにもでしゃばってたらその内優夜から出演拒否の手紙が届きそう。
「あ。作者さん。それは安心して。もう既に出してるから」
……そんなことするなら亮輔と他の誰かの小説に書き換えてやるぅ!
「駄目ー! そんなことしたら今度はテレビで済むと思うなよ! 」コワッ
「それよりも! どうなの? 亮輔! 」逃がさないよといわんが如く優夜の手は既に枕を上に振りかざし、今にも亮輔に鉄槌を落とすべく振り下ろされそうだった。
「わ、わかったよ。はぁー。全部言うからその手下ろして。えっとね、国久君とその時話した事は簡単だよ。優夜の性格。それだけ。」さすがにあのマシンガンを目前に何度も経験していた亮輔が優夜に勝てる事は無いのだろう。
尻に敷かれてるな。
「本当? 帰って確かめて嘘だったら判ってるんだろうね? 国久に口止めしたって無駄だよ? ぬいぐるみ沢山持っていって国久に詰め寄るんだから! 今のうちだったら許してやらないことも無いけど? 」
「確かめていいよ。嘘は言ってないから」ハァーと安堵のため息をつくとそのまま話を続ける。
「それで、話は飛ぶけど、優夜が家出したあの日の八時位だったかな突然国久君が血相変えて飛び込んできたんだ」さすがにここは身振り手振りで状況の大変さを優夜に訴える。
「え? 僕が家出した日って。もしかして……」
「もしかしてって何かあったの? 僕も言ったんだから優夜もちゃんと言ってくれるよね? 」さすがに気持ちを知られたくないが、相手の気持ちは凄く気になる。何をされた?アイツ優夜の事好きだからレイプでもしかねない。もしかしてそれで優夜は帰ってこなかったんだろうか?
「告白された。それだけ」シュンと何故か優夜が項垂れる。
「それで? 優夜はなんて答えたの? 」もしかしていいよなんて答えたんじゃないだろうな? そんな事言ってたら奴は絶対俺の手で潰す!俺の可愛い優夜を毒牙に掛けようとは許せん!
「別に。ごめんって言っただけ。それより! 話の続きはどうなるの?! 」これ以上聞き出されたくなくて優夜は話を戻す。
「それで国久君は急に殴りかかってきて、告白されたんだったら知ってるだろ? 国久君の気持ち。国久君は僕の事が許せなかったんだと思うな。優夜の一番近くに居たのに急にその大事な場所を掻っ攫っていって、その上ノホホンとそこに兄としてのさぼり続ける僕を」そこまで言うと優夜の瞳に炎がメラメラと燃え広がるのが見える。
(もしかしなくてもやっぱり友達だもんね。友達の悪口言われちゃ嫌だよね? やっぱり可愛いけど怒ると怖いな)なんてゆっくり考えてる暇無さそう。振り下ろされた枕は亮輔の脳天に直撃し、優夜の雄叫びが室内を揺らす。
「国久の奴めー! ってか亮輔兄ちゃん! 亮輔の口からでも亮輔の悪口言うのは許さない! 今度言ったら絶対ぬいぐるみ投げ続けるから覚悟しとけー!! 」全くもって優夜は少し的外れらしい。
「イテテ。判ったから話続けさせて」今度は亮輔が叩かれたくない(恐怖のどん底?に落ちる)番だった。
「判ったならいい。話し続けて! 」優夜は何でか亮輔の前だけでは怒るのも泣くのもお冠になるのも素直に出てしまう。
それが妙に嬉しくてついつい亮輔の顔が緩む。
「その後は家族皆で優夜を探しに出かけた。誰も傘を持つことも忘れてずぶ濡れでそれでも見つかるまで誰一人家には帰らなかったはずだ。家では国久君に待ってもらった。優夜から電話があったらいけないし、家族の誰かだったら他の人に連絡する前に飛び出しちゃうだろうって思ってね。俺はもしかしてって思ったからホテルに向かったんだ。何となくそこに優夜が居る気がして」そこまで言うと静かに項垂れ一番触れられたくない事を言うのかと目を瞑る。
「その後お前は三日間風邪を
暫くの沈黙の後、決意したように亮輔は顔を上げる。
「そして優夜は自分の腕を切って一ヶ月眠り続けた。その間何度と無く国久君に殴られたよ。当然だと思う。一番近くに居る僕が守んなきゃいけないのに一番傷付けたんだから……それだけだよ。僕は殴られて当たり前の事をしたんだから。その位の自覚はある」途中から優夜は顔を伏せていたが、再び亮輔目掛け枕が振り下ろされる。
「言わないって言った! 判ったって言った! さっき言った! 亮輔約束破った! 亮輔の悪口言わないって言った!!! 」ボロボロに泣きながら振り下ろされた枕の鉄槌は止められる事も防がれる事も無くただひたすらに亮輔を殴り続けた。
その後、優夜は俺と家に帰り着くまで口を開く事は無かった。