これから起こる事に想像を絶する痛みが待っている行為に対する不安、そして縮こまってしまいそうな恐怖が無いと言えば正直嘘だ。
でも、知識としては知ってる。
ナニをどうするのか。
何処に入れるのか。
本読んで勉強したから。
でも、きちんと知りたかった事を口にする。
「亮輔。こんな事するのって俺が初めて? 」
俺の体は割り開かれ両足は胸に当たって全ての恥部を亮輔に晒していた。
死ぬ程恥ずかしいのだが、亮輔がしたいなら何だってする。
例え誰かがこの世界から消え去ってしまっても俺は迷う事無くするだろう。
亮輔さえ俺の隣に居てくれれば。
それだけが俺の望みだから。
「優夜? 何でそんな事聞くの? 」少しだけ笑いながら俺の恥部を全て余す事無く見ている彼はわざとらしく聞き返す。
「そんなの知らねー。でも、どっちなの? 男の人としたことある? それとも女の人と? 」あえて初めて? と付け足さないのは余りに手際が良かった事と余裕があり過ぎると俺が独断で判断した為だ。
「そんな悪い事言う子には……」唾液で濡らされた亮輔の優しくて意地悪な指が俺の自分でも直接触れた事無い場所へと触れた。
生理的に体が跳ね、涙が溜まる。
「ちょ、真面目に聞いてるんだよ! ちゃんと答えろ! 」別に入れられる事も犯される事も覚悟はしてる。でも、その前にちゃんと知りたかったんだ。
大好きな人が俺だけのものかどうか。
ただ単に俺の我侭で、好きな人に対する独占欲。
そんな事判ってるけど知りたい。
俺だけで独り占めしたい。
他の誰にも譲りたくない。
過去も現在も未来も全部俺一人だけを見て欲しい。
他の人間なんて見て欲しくない。
昔とは違う。
昔はただ、自分を見て欲しかった。
今と変わりないように思うかもしれないけど、昔は自分さえ見ててくれれば他の人を見てても構わなかった。
今は自分だけ。他の人を見て欲しくない。
どんどん、欲張りになってる。
「まだ言う? これ以上聞かないで欲しいんだけどな」さすがに言いたくないのか、はたまた言えない事をしてたのか判らないが、どうしても言う気は無いらしい。
その間も俺の皺を数えてるようにゆっくり、そして執拗に円を描き触れる。
「頼むよ。教えて」必死に羞恥に堪えながら、それでも尚、知りたいと、亮輔だけの全てを知りたいと訴える。
「聞かないでって言ってるのに物分り悪い子だな。それに優夜、人にお願いする時はそうじゃないだろ? 」ゆっくりと確実に俺の穴を圧迫して少しずつ感触を味わうように指が侵食してくる。
多分指一本なのだろうが、アレを入れられたら多分俺は堪えられなくて泣き叫ぶだろう。
苦痛で亮輔を力任せに殴るだろう。
そして亮輔は優しいから途中で終わってくれるだろう。
でも、俺は亮輔から欲しい。
亮輔だけから欲しい。
苦痛を伴おうとどれだけ泣き叫ぼうと。
最後まで犯して欲しい。
怖い。今朝見た大きさからして確実に恐怖しか無い。
「ひぐっ…いたっ。お願いだから教えてよ。お願い」恥ずかしさと恐怖に顔が歪んだ拍子に溜まった涙がゆっくりと流れ落ちた。
痛みが俺の四肢を強張らせ、手元の近くにあった枕を握りつぶす。
侵食してきてた圧迫感が和らいで指が抜かれた事を知る。
そして俺を静かに抱きしめてくれる。
「優夜が初めてだよ。他の誰ともこんな事してない。初めて恋したのも優夜だし、こんなことするのも初めて」亮輔の言葉を肯定するように俺の頬から心臓の早鐘の音が伝わってくる。
「亮輔。する間ずっとこうやっててくれない? 」無理だとは判ってても、痛みに堪える顔とか、よがってる顔とか恥ずかしくて見られたくない。
そっと抱きしめてくれてた腕は外され上から覗き込まれるようにして言い切られる。
「それは泣いてお願いしても駄目。俺は出来れば優夜の可愛い顔全部見たいの。お前が思ってる程俺は優しくないんだよ」照れた様に笑いながら、俺の額にデコピンしてきた。
「うー。そしたら手縛ってよ。それだったらプレイみたいでいいでしょ? 」デコピンでしかめた顔を好きな人だけに向ける満面の笑みに変え、再度お願いしてみる。
いいかどうかを答える時間を与えず両手を揃えて亮輔の前に『はい』と差し出す。
本当は手なんて縛って欲しくない。
大好きな人に触れたいし、大好きな人を抱き締めたい。そして大好きな人にキスねだりたい。
でも、多分俺は痛みで我を忘れて亮輔の体を俺の大好きな体を爪で引っかいて傷付けたり殴ったりしそうだから。
傷付ける前にさっさと縛って、何処か括りつけて固定して亮輔を傷付けれないようにして欲しかった。
痛いのや傷つくのは俺一人でいい。
俺だったら痛いのは自分だけだし、唇を噛み締めてれば声位は抑えられるかもしれない。
でも、亮輔の顔が苦痛に歪むのは見たくない。
亮輔は俺の手首を掴み、頭の上へと持っていく。
よかった。これで亮輔を傷付ける事は無いと安堵する反面、やっている最中は亮輔に触れる事も抱きつく事もキスをねだる事も出来ないと実感し、少しだけ残念にも思う。
しばらく亮輔は俺の目を見つめ、キスを落としてきた。
「あのな、優夜。お前から傷付けられたとしても俺は本望。だってその傷は優夜が俺だけの者になった証、そして俺がお前だけの者になった証拠だろ。そして、傷の痛みは優夜が感じた痛み。俺にも同じ痛み少しでも分けてくれよ。それも駄目なのか? 優夜は優しい子だから俺を傷付けるのが嫌だったんだろう? 」諭すように優しく紡がれる言葉。亮輔の目は涙を流してないけど、崩れ去りそうな位弱くて悲しいと訴えかけてきてる。まるで捨てられた子犬の目。
(そんな目されて言われたら俺も嫌とは言えない事知ってて言ってそう)時にはいじわるで、時には優しくて、俺の全てを飲み込んで狂わせれる唯一の人。
俺は一生彼から逃れる事は出来ないと確信してしまう程、甘美で魅了させるのが上手い人なのだから。
「わかったよ。俺の降参。もうどうにでもして」ため息混じりに言いながら白旗をあげるように両手をヒラヒラと頭の上で振る。
「初めてした時の俺みたいだな」俺を愛しそうに見てくる。
「あの時、あの瞬間から亮輔の事大好きって自覚したんだよ? 一字一句だって覚えてる」エヘンとここぞとばかりに胸を張って凄いだろと自慢した。
「それよりも勉強を頭に叩き込め。そうしないとお前が居ない学校なんてつまんないの」優しく俺の頭を撫でながらそっと口付ける。
「わかった。頑張る。でも、今は勉強よりも亮輔のものだって証拠頂戴」勉強の事を出されたらしょげてしまうが、今は亮輔にとっても自分にとってもそれ所じゃない。
二人のアレは張り詰め限界ギリギリと主張していたのだから。