ホテルは高級ホテルと言われてるだけあって、大通りに面してる。
「ねー、僕。ちょっとお金貸してくれないかな? どうしてもお金要るんだよね」
制服に身を
一人は金髪に細身の体でもう一人は背が高くて長髪の黒髪をだらしなく手入れもしてなさそうに向きたい方向に勝手に向かせてる様な人で残りの一人は背が低くて太っちょで制服もギリギリ入ってますよ?みたいな体格をした三人組。
恥ずかしくないのかな? なんてことをシラッと思いながら返事する。
「すいません。お金持ってないので貸してと言われても困ります」
僕ってどれだけ口から
「そんな事ないよな? さっきレストランに一人で居ただろ! ちゃんと見てたんだからな! 」声を掛けて来た人とは別の人が僕の
(そんな所まで見てたなんてもしかしてストーカー? )
ストーカーみたいな事をされるとさすがに怖くなって、手足がガタガタ震えだす。
「優夜君どうかしたの? 」ノンビリした声が聞こえてきた。
この声は亮輔兄ちゃん?
何でここに居る訳?
頭はパニック状態で、手足はガタガタ震えて動かないし。
「あぁ? へー、コイツでもいいか。 ねーお金貸してくれない? 」僕の周りに居た奴等は亮輔兄ちゃんの方にターゲットを変えたらしく、僕を掴んでた手を離すとその場に座り込んでしまう。
「貸してもいいですが、学校名と学年とクラスと名前それを借用書に書いてくださるという事ですね? 」冷静に亮輔兄ちゃんは返してるけど大丈夫なのかな? 不安だよ。
「あー? そんなの書かなくったってちゃんと返すって」リーダー? 見たいな人が亮輔兄ちゃんの
「えっと、全員、金ヶ
「大丈夫? 優夜、怖かったろ」ニッコリ笑いながら僕の横に来て静かに膝をつき、僕を抱きしめてくれる。
亮輔兄ちゃんに何かあったらどうしようってばかり不安で怖くて心細かったんだ。
ぎゅーって抱きしめられてから一分位経った時涙が止め処なく溢れ出してきて、何十分かそのまま泣き続けた。
やっとで泣き止んだ頃亮輔兄ちゃんが聞いてくる。
「優夜君なんか急いでたみたいだったけど時間大丈夫? もし不安なら待ち合わせ場所まで一緒に行くよ。何処に行く所だったの?」
なんて聞いてくるから助けてもらったし正直に話す事にした。
「そこのファミレスに用事。でも、もう用事無くなっちゃった」涙を手の甲で拭いながら、照れ笑いと共に言う。
「そっか。用事無くなっちゃったんだ。そしたら、僕と用事作らない? 嫌じゃなければだけどさ」
「え? 用事作るっておじさんは? さっきの店に一人で居るんじゃないの? 」
「居るよ。だけど元々お父さんは仕事ばかりにかまけて僕なんて相手にしてなかったし、今更話すって言っても話題思いつかないし。それだったら年が近くて話題が一杯ありそうな優夜君と一緒に居た方が楽しいって思うんだけど、駄目かな? 」ただでさえかっこいい顔を間近で見せられた
そんなかっこいい人を目の前にして誰がお誘いを断れますか?
断れる人居たらつれて来い!
「うん。いいよ」素っ気無い返事になっちゃったけど仕方ないよね?
実際、見蕩れすぎてて夢の様な感覚で答えてちゃってるし。
でも、まだ手足がガタガタ震えてて力入らないんだ。
困惑してると不意に体が宙に浮く。
吃驚して辺りをキョロキョロ見回しちゃったよ。
よくあるんだけど、いきなり手を引かれて、変なホテル街とかに連れ込まれそうになったり、誘拐? されそうになったり。そんな事が多かったせいか、体が宙に浮くとかいきなり手を引かれるとか凄く敏感になってる。
少しずつ落ち着きを取り戻してきたときに
理解した途端恥ずかしさで僕の耳まで一瞬で
「あれ? 姫。こんな所で何やってんの? 」
え? 何で
国久は、幼稚園からの付き合いでいわゆる腐れ縁ってやつ。
国久は腐れ縁ってだけじゃなくてちょっと危ない系?の人気者。ワイルドでかっこよくて喧嘩も強くて。でも、優しい。女子からの人気は絶大でファンクラブも簡単に出来てしまうような人気ぶり。それでも不思議と彼女だけは影も形も無いのが不思議な位。
男なのに顔が可愛いからって友達やクラスの連中だけじゃなくて、目の前に居る国久からも姫! 姫! って皆して呼ぶから、いちいち怒鳴るのもめんどくさくなって今じゃ僕も許してる。
でも、さすがにお母さんの結婚の挨拶の時は姫とか呼ばれたくなかったからわざわざ新幹線で六駅も離れてる上に都心で人通りが多い場所じゃないと会わない! って宣言して無理やりお母さんを捻じ伏せたのにー! 何で会うんだよ。
もしも、お母さんが結婚したら兄になる人の前で言われたもんだから何でか判らないけど頭に血が上るのを自覚する。
「姫ってもしかして優夜君の事? 」と、亮輔兄ちゃんが国久に笑いを堪えながら聞いてるし。
何でわざわざ聞くんだよ!
絶対面白がってんだろ!
「そうですけど、もしかして優夜、彼氏か? ここ最近姫、付き合い悪いから、誰かと付き合ってるのか? って皆で話してたんだけど、まさか彼氏とはな」ここで誤解解こうとしても隠すなとか何とか言い始めて無駄なだけだから誤解を解く事自体めんどくさくなって来たし、さっき亮輔兄ちゃん思いっきり面白がってた仕返しもしたくなって悪乗りしてやろう。
「そうなの。今、デート中でこれからファミレスに行って食事でもしようかな? って話してたんだ。だから国久またね。亮輔行こう」デート中と言ってしまった手前、
その瞬間、僕の心臓がドクンと一際大きく脈打つ。
それに驚いて腕の中から飛び降りそのままファミリーレストランへと固まっちゃってる手を引き連行しようと
「マジかよ、優ちゃん。冗談きついよ」何でか知らないけど国久が泣きそうな顔してた。
それに、幼稚園の時に呼んでた呼び方に戻ってるし。本人気付いてなさそうだけど……
でも、今更誤解解こうとも思わなくて、誤解のまま適当に話す事にする。
「そんな訳ないでしょ? 亮輔は正真正銘僕の彼氏。でも、皆にはまだ秘密ね。恥ずかしいから」
何で誤解を解かないでこんなに
なんだか自分の気持ちが
国久に対する気持ちは変わらないけど、亮輔兄ちゃんに対しての気持ちが……
「本当に付き合ってるんだったらキスしてみろよ! 恋人なら出来るだろ」泣きそうな顔してると思ったら今度はガラリと変わっていきなり国久が怒り出す。
国久ってこんなに怒るやつじゃないんだけどな。
「え? キス? 何で? 」
適当に国久をあしらおうかと思ってたのに何でここで亮輔戻ってきちゃうかな。
その上国久に詰め寄っちゃってるし。
亮輔兄ちゃんって間が悪いって言うかどんくさいって言った方が正しいのか僕に任せてくれれば、簡単に終わるはずなのに……
例えそれが誤解されたままだったとしてもね。
でも、亮輔兄ちゃんの事また一つわかったから、良しとするか。頭の中のメモ用紙に亮輔兄ちゃんは間が悪くてどんくさいと書き込む。
「亮輔。そんなに国久に迫ったら国久びっくりするだろ? 国久もキスしろって言われても
亮輔だから頑張って支えたけどさ。
でも、亮輔の体が飛んできた原因は国久に違いない。
国久に目を向けると国久は一直線に亮輔を拳を握り締め睨み付けたままこっちに走ってくる。
亮輔の左頬が赤くなっちゃってるし。すぐに国久に殴られたんだと理解する。
(このままじゃ、亮輔蛸殴りにされちゃう! )と思い浮かんだ途端体が勝手に動いてた。
国久と亮輔の間に入り、国久に怒声を浴びせる。
「国久! テメー、亮輔に何してんだよ! これ以上亮輔に何かしたら絶対許さねーかんな! 」
僕って元々怒らないし自分で言うのも変かもしれないけど、姫って呼ばれて冗談半分で怒るときとは違って、完全に怒りのみ、みたいな怒り方は三年に一回怒ったらよく怒ったって言われるくらい怒らない。国久は
国久は殴り合いの喧嘩じゃ学校内で、負け知らずって位強い。
多分僕一人くらい一発で何メートルか吹っ飛ぶくらい尋常じゃない力持ってるんだ。
でも、ここを飛ばされたら亮輔が凧殴りにされる!
退くものか! 足を踏ん張り、国久の一撃に耐える準備をする。
負けるわけにはいかない!
国久だろうと例えプロのボクサー相手だろうと。
バキッ!
左頬に痛みが一瞬走るけど、痛みは怒りに変わり、お返しにとばかりに右手を握り締め国久の頬をぶん殴る。
僕が殴るなんて今まで生きてきた中で一回もなかった事だから国久からしたら踏ん張る前に力抜けちゃったって感じでこっち見てた。
たった一発だけじゃ気が済まなかったから国久の体の上に馬乗りになり服の襟首を掴んで右手を振り上げる。
亮輔を例え一発だけだったとしても殴った事が許せなくて、目に零れんばかりの涙が溜まり、拳を振り下ろした時に涙が頬を濡らした。
「優夜! やめろ! 」
振り下ろした拳は誰かの手に止められる。
「止めないでよ亮輔! 亮輔を殴った事絶対許さん! 」国久の襟首を掴んでいた手を離して再度拳に力を込め振り下ろす。
「これ以上国久君を殴ったら嫌いになるからな! 」
頭に上ってた血が一気に下がる。
国久はいくら殴っても、もうどうだっていいけど、亮輔から嫌われたくない。
人を殴る事自体無かったから拳は簡単に止まってくれた。国久の頬ギリギリだったけど。
亮輔兄ちゃんは僕の拳が止まったのを確認して国久の上から僕を
「国久君ごめんね。痛かったでしょ? 」優しい言葉言いながら国久の頬を
そんな事しなくていいのに! 国久なんて放っとけばいいんだ! こんな奴! こんな奴! こんなヤツー!
亮輔兄ちゃんの行動で再度頭に血が上った僕はこれも国久のせいと言わんばかりに睨み付けそのまま一人だけファミレスに足を向ける。
「優夜待ちなさい。国久君にちゃんと謝りなさい! 」
腕を掴まれてファミレスに行く事を
「何で僕が謝んなきゃいけない訳? 大体コイツが亮輔をいきなり殴るのがいけないんだろ! 」言い終わらない内に思いがけない方向から平手が僕の頬に飛んできた。
「国久君の事コイツなんて言っちゃ駄目だろ! 」
亮輔兄ちゃんってば国久の肩ばかり持って! 僕よりも国久の方が好きなの?
別に付き合ってる訳じゃないけど、僕が殴られたときは怒らないで、何で今なのさ!
「謝らないよ! 別に悪い事してないもん! 用事あるから先行くね! 」頭にきてるし胸に嫌なモヤモヤが出てきてそのまま泊りがけで顔合わせに行こうって気分でもなかったから亮輔兄ちゃんの手を振り払って自分の家に向かって走り出す。
うしろで国久が謝る叫び声が聞こえたけど僕にとってはもうどうだっていい。