※この作品はR-18です。

十二連合国   作:氷野心雫

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伝えたい気持ち

 ピスケス国城内

 

 

 

 

 誰かに頬を触れられ、目を覚ますシーファー。微睡む目に映る人物がガディアに見えた。

「……ガディア」

 その人物を抱き締めるシーファー。しかし、身体は拒絶反応を示し、悪寒がはしる。シーファーはすぐに意識を覚醒させた。ガディアと思っていた人物は、ジュギだった。気持ち悪くなる程の笑顔。それは、明らかにシーファーを犯そうという意思を表し、シーファーは飛び上がる様にジュギから離れようとする。シーファーの背後で誰かが立っていた。シーファーはそちらに振り返る。

「……あ…貴方…」

 そこにいたのは、シーファーがピスケス国に行く時について来ていた少年兵だった。青ざめるシーファー。少年兵がシーファーに近付く。

「シーファー様、どうして逃げるのですか?」

「………貴方、ピスケスのスパイだったのね」

 シーファーの言葉にニタリと笑う少年兵。

「そうですよ。僕はピスケスの兵です。」

「……私をどうするつもり」

 シーファーはゆっくりと二人から離れ、扉の前に立つ。ジュギの方はベッドの横に腰掛けたままシーファーを見つめていた。少年兵が口を開く。

「逃げられませんよ。部屋の外には兵士が見張っています。それに、地下牢には侍女がいますからね」

 言われて、シーファーはレンの事が気になった。それを察知する少年兵。

「心配はありませんよ。彼女には手出ししていません。……貴女がジュギ様に抱かれれば、ですが」

「貴方の目的は何?」

「僕の目的ですか?」

 少年兵の目の色が変わる。

「目的は、貴女にジュギ様の子供を妊娠させる事ですかね」

 そう言って、シーファーに素早く近付き、逃げようとしたシーファーの腕を、後ろ手で縛った。すぐさまベッドに押し倒されるシーファー。抵抗を試みるも、後ろ手で縛られて身動きが取れない。その間に、ジュギがシーファーのドレスを剥ぎ取り、袖の所をナイフで切り付け、破り取った。下着姿にされたシーファー。ジュギの息が荒くなり、シーファーの髪をいきおい良く嗅ぐ。それだけで、シーファーの不快感が増していく。

「ああ、シーファー。ようやく君を抱けるんだね。」

 シーファーの唇を指でなぞり、恍惚とした表情でジュギが語る。

「触らないで!」

 シーファーが声を上げても、ジュギはそれすら幸せに感じ、シーファーの胸を下着越しから揉みし抱く。悪寒がはしる。気分が悪くなりそうだった。身動ぎするシーファーを、ジュギはじっと見つめる。そして、唇にキスをしようと近付く。シーファーは必死に顔を反らした。少年兵がシーファーの顔の動きを止め、ジュギが唇を塞ぐ。

 

(いや!ガディア!)

 

 部屋を照らす炎が揺らめいた。ジュギの手がシーファーの下肢に向かう。足を閉じ、力の限り抵抗をするシーファー。

「侍女がどうなっても良いのかい?」

 ジュギがシーファーに言う。シーファーの脳裏に、レンの顔が浮かんだ。同時にガディアの顔も浮かび、シーファーの瞳に涙が溢れた。身体の力を抜いた隙に、ジュギの手が、シーファーのショーツを剥ぎ取り、秘所を撫でる。

「まだ濡れてないな。早く入れて中に出したいのに」

「ジュギ様。それならこれをお使い下さい」

 言って、少年兵は瓶を差し出す。

「これは?」

「これは、媚薬ですよ。これを彼女の秘所に垂らすと、すぐに濡れて、ジュギ様のここを欲しがりますよ。」

 指を指した先には、天を仰いだジュギの分身。ジュギは生唾を飲み込み、シーファーの秘所に媚薬を垂らす。急激に身体が火照り出して、シーファーは見悶えた。ジュギの目がギラギラと輝き、シーファーの秘所に指を這わせる。グチュリと濡れた秘所。

「凄い、もうこんなに濡れて」

「さあ、ジュギ様。ご存分に愛を注いで下さい。」

 ジュギの分身がシーファーの秘所に宛がわれ、シーファーの顔が青ざめる。

「いや!誰か、助けて!」

「無駄ですよ。誰も助けに来ません。ジュギ様の子供を妊娠するまで、朝も昼も夜も、ジュギ様に愛を注がれるんです。」

 シーファーが動けないように、少年兵はシーファーの足を掴み、持ち上げた。覆い被さるジュギ。

 

(ガディア……、私、貴方以外の人に抱かれて汚される。ご免なさい。……ちゃんと気持ち伝えれば良かった)

 

 目蓋を強く閉じ、奥歯を噛み。シーファーは絶望した。

『ダメだよ。貴女は主の女なんだから』

 どこからか、女性の声がした。ジュギと少年兵は部屋を見渡す。しかし、声の主はいない。

『その女性を返してもらうよ』

 同時に部屋を照らしていた炎が燃え広がり、人の形を形成する。紅蓮の髪を揺らめかせた姿は女性。顔は炎で燃えて見えない。その炎がシーファー達に近付く。少年兵が立ち塞がった。炎の手が少年兵に触れる。すると、一気に全身に燃え広がり、少年兵は断末魔の声を上げながら絶命。それを見て、ジュギが素早くシーファーから離れ、扉の前に逃げた。

『お迎えに上がりました。』

 シーファーの前で膝をつく炎の女性。シーファーはベッドからゆっくりと身体を起こし、その女性を見つめた。

『お初にお目にかかります。私は炎の精霊、イグニス。主であるガディア様より、貴女の護衛に来ました。』

 そう言いながら、ベッドのシーツを掴み、シーファーを包む。シーファーは驚いた。手を差し出すイグニス。

『私に触れても燃えませんよ』

 その一言にシーファーはイグニスの手を取る。

「ここから出る事は許さない!侍女が死んでも良いのかい?」

 不適な笑みでジュギが言う。しかし、イグニスには効かない。

『そんな事言って、引き下がると思う?人質になった侍女の所には、すでにアルバが行ってる。』

 シーファーの顔が明るくなった。反対にジュギは怒りで身体を震わせていた。そこに、一陣の風が吹く。風が強く一瞬目を閉じる。シーファーとジュギ。次に目を開けると、そこにはガディアとウェントゥス、そしてもう一人の精霊の姿があった。

「ガディア!」

 すぐさまガディアの側に駆け寄るシーファー。ガディアもシーファーの身体を抱き寄せ、力強く抱き締めた。お互いの鼓動を肌で感じ、二人は吸い寄せられるように唇を重ねる。その光景をジュギは苛立ちながら見つめ、精霊達は微笑む。唇を離したのはガディア。シーファーは名残惜しそうにガディアの唇を見つめる。ガディアがジュギを見据えた。

「…………」

 無言で睨み付けるジュギ。

「お前がピスケスの次期国王?」

「……そうだ。シーファーは俺の子供を産むんだ。彼女から離れろ!」

「お前の子ね……悪いがそれは無理だな」

「無理だと?お前こそ、彼女の事何も知らないだろ」

 ジュギの言葉に、吹き出すように笑うガディア。

「彼女のナニを知らないって?知らないのはお前だろ?」

「……何が言いたい」

「彼女の純潔は俺が貰ったんだよ。」

 ガディアの言葉で愕然の表情のジュギ。ヨタヨタと後ろに下がり、扉に背をぶつける。

「……そ…そんな…バカな、王族でもないヤツに純潔を捧げるなど」

「王族じゃないと、好きな女も抱けないのかよ」

 反応するシーファー。ガディアはシーファーを見つめ、その唇を再度重ねる。媚薬で身体が火照っているシーファーは、甘い声を溢した。ガディアの身体に、自ら身体を密着させ貪る様にキスをする。

「……殺す」

 ジュギの目付きが変わる。殺意が渦巻く視線。ガディアは唇を離し、イグニスにシーファーを預ける。ジュギが近くに置いてあった剣をガディアに突き付ける。

「……殺す、殺す、殺す!」

 言って、駆けながら、大きく振りかぶり、ガディアの脳天目掛けて、剣を振り下ろした。微動だにしないガディア。ジュギが振り下ろした剣は、ガディアの頭、数センチの所で止まっている。一度間合いを取って、何度も何度もジュギは剣を振ったが、ガディアに掠りもしない。息が上がるジュギ。元々、部屋に閉じ籠っていた為に、体力はないに等しい。すでに疲労困憊だ。ガディアはウェントゥスに目で合図する。ウェントゥスの周りに空を切る音がし、次の瞬間には、ジュギの全身に風の刃が身体を切り付けた。

「…………お前、精霊使いか」

「そうだ」

「……あの人の他に、精霊を使える人間が」

 一人言を言うジュギ。ガディアが怪訝な表情を見せる。口を開こうとした瞬間。

『ガディア、アイツは戦意喪失したんだ。帰ろうぜ』

 ウェントゥスが言う。ガディアはシーファーを見た。顔を上気させ、今にもガディアを押し倒しそうな、切羽詰まった状況だ。ガディアは無言で頷き、ピスケスの城を後にした。

 

 

 

 

 湖の畔

 

 

 

 

「ここまで来れば大丈夫だろう」

 空からゆっくりと降り立ち、ガディアは言った。シーファーを柔らかい草の上に降ろそうとする。しかし、シーファーはガディアの身体にしがみついたまま、ガディアを見つめる。

「……何だよ」

「…………ガディア」

 月明かりで潤んだ瞳がガディアを映す。シーファーはガディアの手を、自分の胸に押し当てた。驚くガディア。

「……ガディア、私ね。アイツに無理矢理されそうになって、怖かった」

「…………」

 ガディアの胸の鼓動が五月蝿いほど高鳴る。

「もう、ダメなんだって思ったら、死ぬほど後悔したの」

 小刻みに震えるシーファー。ガディアはシーファーを抱き締めたまま、草の上に座る。

「ガディア、私、貴方の事」

 ガディアの指がシーファーの唇を塞ぐ。

「その先は、言ったらダメだ」

「どうして?」

「……俺は、自分が何者か。親がどんな人で、どこで生まれたのか。分からないんだ。そんなヤツに、心を許したら、お前が傷付く」

 シーファーは微笑んだ。ガディアの胸が高鳴る。

「そんな事。私は気にしないわ。例え、国を裏切る事になったとしても、この気持ちに嘘は付きたくないの」

 ガディアの頬を優しく包み込む。唇を近付け。そして。

「ガディア、貴方が好きよ」

 唇を重ねた。




 次回は、またムフムフからです!
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