※この作品はR-18です。

十二連合国   作:氷野心雫

18 / 26
十二の国

 かつて、この惑星には十三の国があった。国々の間には、争いもなく、互いを尊重し、共存していた。足りない部分を補う国々。そんな平和な時代が永く続くと誰もが思っていた。あの日までは。

 

 

 

 

 

 深い森に囲まれた国、アフィユーカス国。森を隔てて、十二の国々が周りにあり、どの国とも交流があった。アフィユーカス国の民には、他の国々とは違う能力がある。それは、自然界に存在する精霊達が見える事。精霊達と共存し、自然の恩恵を受けていた。そんなアフィユーカスの民を、他の国々の民は、尊敬の意味を込めて、精霊使いと呼んだ。そして、アフィユーカスの王族は、さらに特別な力がある。それが、精霊の使役であった。この力は、ただ王族であれば目覚めると言うだけではない。精霊達が、王に相応しいと認めなければ、精霊達は動かない。つまり、精霊達を統べる力を持ち合わせた者が、アフィユーカス国の王となるのだ。

 しかし、王族の中には、その力を悪用しようとする者もいた。それが、ガディアの伯父、ダウである。ダウは、実の弟であるダリオが疎ましかった。何故なら、アフィユーカスの王に相応しいのは、自分だと思っていたからだ。そしてその時は来た。ガディアが産まれてから数ヶ月後、ダウは、雷の精霊グロムと闇の精霊ウィケッドを引き連れ、反逆を起こす。ダリオはシュリとガディアを逃がそうと試みた。しかし、時すでに遅く、ウィケッドとグロムによって命を落とす。シュリは不思議でならなかった。精霊達が、ダリオを助けなかった事に。

 

『何故精霊達は、ダリオを助けなかったのか?』

 

 その疑問は、グロムとウィケッドに命を狙われた時に気付く。シュリの腕の中ですやすや眠るガディア。グロムが雷を轟かせ、迫り来る。シュリは死を覚悟した。一瞬、グロムとウィケッドが怯んだ。シュリはガディアを見て、息を飲む。ガディアの目が光り輝いていた。次の瞬間。物凄い光が辺りを包み、目映い光りの中、シュリはガディアを護衛兵に託し、逃がしたのだった。

 

 

 

 

「それが、二十年前の真実だ」

 レオ城内の大会議室でフォル王が話す。目の前の大きな円卓には、十二連合国に名を連ねた十二の王達が静かに聞いている。フォル王の話に、様々な反応を見せる王達。唸る者、眉間にシワを寄せる者。ただ静かに聞き入る者。様々だ。十二連合国とは、その名の通り、十二の国々の総称である。フォル王が統治するレオ国。フォルから向かって右側に座っている王達は、アリエス国、タウルス国。ゲミン国、カンケル国、ウィルゴ国。左側には、リブラ国、スコルピオ国。サギッタリウス国、カプリコルス国、アクアリウス国だ。そして、ピスケス国の王はいなかった。

「では、二十年前のあの時には、すでにピスケスと組んでいたと言う事ですか?」

 ウィルゴ国の女王が言う。その問いには、リックが口を開いた。

「ええ、その様です。ダウとリースは元々悪友だったようで、幼少期の頃から、評判が悪く、民にも好かれていなかったそうです」

「なら、どうしてリース王は十二連合に?」

「恐らく、我々の内部情報を得る為だと思います。」

 タウルス国の王の問いを、リックは淡々と答える。十二国の王達が一斉に溜め息をつく。

「ピスケスには、十二連合を外れてもらうしかないようだな」

 リブラ国の王がそう言い放つ。他の王達も同意見の様だ。

「そこで、これからの事なのだが」

 そう言いながらフォルは立ち上がり、リックに視線を送る。リックは無言で頷いた。その場で踵を返し、部屋を出ていく。

「アフィユーカス国を奪還しようと思う」

 その言葉に、部屋がざわついた。

「奪還って、そんな事出来るのか?」

「ダウという男は、精霊を使役出来るんだろ?」

「仮に、奪還出来たとして、新たな王はどうするの?アフィユーカスの王は、精霊が認めなければ、王にすらなれないのよ?」

 口々に言い出す王達。そこに、リックが再び姿を現し、フォルは手を上げ、その場を静める。

「……アフィユーカス国の新たな王は、すでに誕生している。リック」

 再びざわめく。リックはある人物を招き入れる。入ってきたのは、ガディアだった。一同がガディアを見つめる。そして。

「……どことなくダリオに似ている。」

「……似ている筈だ。彼はダリオとシュリの子なのだから」

 フォルの言葉に静まり返る室内。

「例えダリオの子であっても、アフィユーカスの王にはなれないぞ。」

 スコルピオ国の女王が口を開く。

『我々精霊は認めています』

 言葉と共にウェントゥス達が一斉に現れた。

「……何故精霊がここに」

『我々は、ガディア様がお産まれになった時点で、アフィユーカスの王と認めていました。』

「…………何故?」

『ガディア様は、我らの母の恩恵を受けていたからです。』

 この言葉に怪訝な表情の王達。

『我らの母、ウー・ニウェルスム。全ての生みの親。ガディア様はその化身』

 しんと静まり返る室内。精霊達の言葉を、十二連合の王達はゆっくりと頭で理解する。ようやく、理解すると涙を浮かべる者、歓喜に湧く者と反応が分かれた。ガディアは意味が分からず、呆然と立ち尽くす。

「アフィユーカスの新たな王、ガディアと共に、ダウとピスケスの陰謀を阻止する。」

 フォルの言葉に、十二連合の王達が拍手し、互いの手を取り合う。ガディアの後ろに近付く人影。ガディアは視線を感じ、振り向く。シーファーがそこにいた。フォルはシーファーに気付き、ガディアの耳に口を近付ける。

「ガディアよ。ワシの勝手で悪いと思うが、シーファーはお前に託す。」

「……っはぁ?」

「そんなに驚くな。農夫だと色々問題あるが、王族であれば何も問題ない。」

「本当、勝手だな」

 呆れ顔のガディア。フォルは顔の前で手を合わせた。

「すまぬ、ワシも悩んだのだ。しかし、シーファーの幸せを考えると、お前に頼るしかない。アフィユーカスの事も含めてな」

 溜め息をつくガディア。シーファーの手を取り、扉に向かう。部屋から一歩足を踏み出し、フォルに振り向き。

「……邪魔、するなよ」

 含み笑いして出ていく。フォルはそんなガディアを見て、満足そうに頷いた。




 次回は、ちょっとムフムフ、ちょっとハラハラ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。