※この作品はR-18です。

十二連合国   作:氷野心雫

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 絵里達の話を書いてて、ガディア達を忘れる作者……

 あと、もう少しで完結です。


新たな旅立ち

 ダウとリースが消滅してから数日後。ガディアとシーファーは、アフィユーカス城内で今後の計画を作成していた。側には、精霊達が二人のサポートをしている。執務室の出入り口では、美姫がその様子を見守っていた。

「ふぅ、意外と大変なんだな」

「そうよ。国王になるという事は、その国と民の命を預かると言うこと。ガディア、分かった?」

 シーファーの言葉に、ガディアは頭を抱えた。二人のやり取りを、微笑ましく見守る精霊達。

 

『シーファー。貴女のお父様、フォル王と連合の王達と会って話がしたいんだけど。お願い出来る?』

 

 美姫がシーファーに近付きながら言う。シーファーは振り返り、美姫を見たが、すぐに視線を反らす。美姫の姿は、相変わらず一糸纏わぬ裸。ガディアも美姫を見ない様に、視線を反らす。

「それは構いませんけど、せめて服を着ていただけますか?」

 

『……この方が動き易いのに』

 

 その言葉に、一瞬動きが止まるシーファー。

 

(私の時も、レンはこんな気持ちになったのね)

 

 ガディアに出逢うまでのシーファーは、今の美姫と何ら変わらない。自分が周りからどう思われ、どんな目で見られていたか。それが今では良く分かる。不貞腐れながらも美姫は白いワンピースを纏った。指を鳴らせば、一瞬にして現れる衣服。それならそうしてくれれば良いのに。と言いたくなる気持ちを押さえ、シーファーはレオ国へ向けて、手紙を書いた。

 

 

 

 

 次の日

 

 

 

 

 アフィユーカス城内の大広間にて、レオ国をはじめ、連合国の王達が集結する。その周囲には、その国々の貴族達も集まっていた。ガディアとシーファーが、一番高い場所からその光景を見下ろす。勿論、作業服など身に纏ってはいない。王族が着る衣服に身を纏い、シーファーと共にガディアは立っている。その後ろから美姫が現れた。その場にいた皆が膝をつき、頭を下げる。

 

『私の可愛い子達。今日はよく集まってくれたわ。ありがとう。』

 

 静かな大広間に、美姫の声が響く。

 

『愚かな行為をし、この世界を怒りと悲しみに染めてしまったダウとリースは、私の手で消滅、浄化したわ』

 

 その言葉に、一瞬ざわつく。

 

『ピスケスの国は、貴方達に委ねます。そして、アフィユーカスの新たな王はここにいるガディアが継承します。』

 

「ウー・ニウェルスム、我らの母よ。これからも我らをお導きして頂けるのですか?」

 複数の国王が声を揃えて言う。美姫は首を横に振った。

 

『いいえ、もう私はこの世界に干渉しません。』

 

 美姫の発言に、その場に卒倒する者。悲鳴を上げる者。ただ呆然とする者。反応は様々だ。美姫は溜め息をつく。

 

『私はこの世界に戻ってくる前、多くの我が子達を見てきたわ。ほとんどの子達は、良くも悪くも自立し、自分達の世界を築いている。でも、この世界は何も変わらない。それではダメなのよ』

 

 目を伏せる美姫。ガディアが一歩前に出る。

「俺達は自立しなければいけない。この世界を、これから産まれてくる次世代の子供達の為に。俺達は立ち上がらなければいけないんだ。ウー・ニウェルスムの力を借りずに」

 ガディアの言葉に、しんと静まり返る大広間。小さく手を叩く音が響く。それはフォル王だった。立ち上がり、力強く叩く。周囲の王達は顔を見合わせる。

「ガディア、良く言った。そうだ!我々は、我々の力だけで立ち上がるべきだ。それがウー・ニウェルスムの意思でもあるのだ。」

 フォルの言葉はガディアの発言を後押しする事になった。次々と他の王達と貴族が立ち上がり、手を叩く。そして。

 

「争いのない世界をこの手に!ウー・ニウェルスム。万歳!」

 歓喜の声が場外に響き渡る。この世界が生まれ変わる瞬間だった。

 

 

 

 

 

「はぁ~、緊張した。」

 執務室に戻り、ガディアはソファーに倒れ込む。シーファーはそんなガディアを見て、苦笑していた。執務室の扉がノックと共に開く。入ってきたのはフォル王。

「これから一国を任される王となるのに、もうスタミナ切れか?ガディアよ」

 その言葉にガディアは横目で見る。

「今まで、普通の農夫として暮らしてきたんだ。いきなり、王族の仕事をしろと言われて、すぐに順応出来るか」

「何だ。もう弱音か?」

「そんな風に言ってないだろ。色々覚えるのに時間が掛かるって言いたいだけだ。」

「どうだかな」

 鼻で笑うフォル。ガディアの表情が不快に変わる。

「お父様、あまりガディアをいじめないで」

 シーファーがフォルの服を引っ張る。

「シーファー、今ならまだ間に合うぞ。ガディアより、良い男はいるはずだ。」

 フォルの言葉に、シーファーは無言で腹部を殴る。噎せるフォル。ガディアはそれを見て笑った。

「何の冗談?いくらお父様でも許さないわよ?」

「シーファー、そのくらいにしてやったら?親父さんは俺をからかっているだけだから」

「っえ?そうなの?」

 シーファーはフォルを見る。

「……我が娘ながら、立派なパンチだ。……ガディアの言う通りだ。ガディアとじゃれているだけだ。心配するな」

「そうだったの。ごめんなさい」

 そう言いながら、舌をチロリと出すシーファー。ガディアとフォルは顔を見合わせ、笑った。

 

 

 

 

 夜、寝室のベッドに腰を下ろす二人。側には、精霊達と美姫がいた。

「本当にもう行くのか?」

 

『ええ、子供達は沢山いるからね。親である私は見守る役目。本当は、もう少しここに残って、二人の子供が生まれるのを見ていたいけど』

 

 微笑む美姫。シーファーはその言葉に頬を染める。ガディアはシーファーの手を握った。

 

『大丈夫よ。今まで通り精霊達はいるのだから。ただ私が、干渉しなくなるだけ』

 

「それはそうなんだけど。俺ももう少し美姫と話してみたかった。色んな星の事とか。その世界の住人の生活とか」

 

『ふふ、興味があるのね。……そうね、もしかしたら、また貴方達に会いに来るかも。約束は出来ないけど』

 

 美姫の身体が光輝く。形作られていた身体が光の粒子になり、ゆっくりと消えていく。精霊達が膝をつく。

 

『私の可愛い子達。またいつか会いましょ……』

 

 美姫の言葉が途中で途切れる。残された面々。息をする事も忘れ、美姫がいた場所を黙って見つめる。

『さて、俺達もおいとましますか』

『だな。あとはお二人さんで』

 ウェントゥスとグロムが言って消える。アルバ、イグニス。ヴァッサーは無言で消えた。

『ガディア、シーファーにあまり無理させるなよ』

 一言釘を指し、カエルムも消え、残ったのはウィケッドとラディウスの二人。

『ガディア、色々すまなかった。』

 ウィケッドが言って、頭を下げる。ラディウスも同じ様に頭を下げた。

「……仕方ないさ。今更言って、親父達が戻る訳じゃないし」

 溜め息混じりにガディアが言う。シーファーも黙って見つめた。

「お前達を責める事はしない。だって、シーファーに出逢えたんだからな」

 シーファーの髪を撫でるガディア。シーファーは目を細め、うっとりしている。

『やはり、上に立つお方だ。我々は今後、何があっても貴方とシーファー様をお護りします。』

 再度頭を下げるウィケッド。そして、ゆっくりと消えていく。ラディウスはガディアを見る。

『兄の愚行を許してくれてありがとう。ガディア、シーファーを沢山愛してあげて』

 微笑むラディウス。美姫と同じ様に光になり、ゆっくりと消えていく。そして、ガディアとシーファーだけが部屋に残った。

「……ガディア」

「ごめん、手加減出来ない。シーファーを壊すかもしれないけど」

 ガディアはゆっくりとシーファーをベッドに押し倒す。

「ずっと、シーファーだけを愛すから」

「うん、私もガディアだけを愛します」

 そうして、二人は唇を重ねた。




 次回でラストになります。
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