ユフィとのお話になります。
今回は少しストーリー寄りなので、前回よりもエロ薄めになっております。
また話の都合上、若干の残酷描写が存在します。
苦手な方はご注意の上でご覧下さい。
(該当シーンは罫線で区切ってあります)
それではどうぞヾ(´ー`)ノ
『タイムカプセル』
─日曜日、クリスタルモール。
僕は学園のクラスメイトと共に、三人で買い物をしていた。
両腕にたくさんの袋をぶら下げ、大通りを歩く。
「マスター、わたしも少し持ちましょうか?」
右側を歩く小柄な少女が、こちらに視線を向けて言う。
「大丈夫だよセニア、こういうのは男の役目だし…!」
─コードΩ46セニア。白の世界『システム=ホワイト=エグマ』からやって来たアンドロイドであり、プログレスでもある。
「……と言いたい所だけど、ちょっと疲れてきたかも……お願いしても良い?」
「はい。それでは……」
右腕の袋を一つ渡すと、セニアは両腕で袋を抱えた。
「ふふ…ママは優しいんですね……」
左側で笑うのは、セニアと比べてやや体型の良い少女。
「じゃあ…私もお持ちします!」
「ゆ…ユフィまで、悪いよ……」
─コードΩ00ユーフィリア。同じく白の世界のアンドロイドで、愛称はユフィ。時空を越えるエクシードの持ち主であり、未来のセニアによって生み出され、この時代にやって来ている。
その為、セニアの事は『ママ』と呼んでいる。
「悪くなんてないです、私がやりたいだけですから♪」
「ちょっ、ユフィ……!?」
左腕の荷物に手を掛けるユフィ。
その豊満な胸が腕に軽く押し付けられ、つい反応してしまう。
「マスター……?」
赤面した僕の顔を、セニアが心配そうに覗き込んでくる。
「な、何でもない!大丈夫だから…!」
視線を避けるようにそっぽを向いて歩いて居ると、ユフィが急に立ち止まった。
「あれは……」
「うん…?」
その先にあったのは、大きな女性の顔写真が貼り付けられた、俗に言うプリクラの機械だった。
「知らなかった…こんな所にあるなんて」
「あの…もし良かったら、三人で撮りませんか?」
「良いですね…行きましょう、マスター」
促されるまま、僕は二人と共にプリクラへ向かう。
見たところ、中は外見よりも若干狭い。詰めて入れば三人入れなくはなさそうだが。
「では、先にわたしが……」
セニアが最初に入り、その後に僕、ユフィの順番に入っていく。
身体が密着するかと思ったが、なんとか機械の中に収まった。
「いろいろありますね♪」
「どれが良いでしょうか…?」
やたらと甲高い音声ガイダンスに沿って、二人が設定をしていく。
やがてカウントダウンが始まり、再び三人で横並びになる。
『5…4…3…』
とりあえず、笑っておけば良いのか。
そう思って、笑顔で待っていると─
『2…1…』
「今です!」
「はい!」
カウントが終わる寸前に、二人が両腕に強くしがみついてきた。
「うわっ!?」
両側から押し当てられる柔らかい感触に、作っていた顔が一瞬で崩れる。
そして、シャッター音が鳴った。
「あ、あぁ……」
「さて…上手く出来たでしょうか…?」
プリントアウトされた写真を取りに、一旦機械の外に出る。
「なかなか良いですね……♪」
写真に映るのは満面の笑みのセニアとユフィ、そして締まらない顔の自分だった。
「ははは…我ながら変な顔…」
「もっと撮りましょう、マスター!」
「うん!」
─その後も僕達は、写真を撮った。
ピースサインに、変顔に、いろいろな方法を試した。
数十分後に切り上げて、再び荷物を肩に担ぐ。
「よし…この辺にしようか」
「素敵な写真がいっぱい…♪」
「良かったですね、ユフィ」
たくさんの写真を持って、ユフィは隣で嬉しそうにしていた。
「いただきます」
一通り買い物を済ませたのち、噴水広場のベンチで休憩する事にした。
ワゴンで買ったアイスを頬張りつつ、僕は背もたれに寄りかかった。
隣でもユフィとセニアが同じようにアイスを食べている。
「今日は本当にありがとうございました。わざわざ買い物に付き合ってくれて…」
「ううん、久々に三人で出かけられて…僕も楽しかったよ!」
「お洋服もぬいぐるみも、たくさん買えました…♪」
袋の中を覗き込みながら、セニアが嬉しそうに呟く。
それを見たユフィも、静かに笑っていた。
「…………」
─ふと、空を見上げた。
広がる青色に、異界へと繋がる四つの光が浮かぶ。いつもと変わらない景色。
僕達にとっては見慣れたものだが、本来なら決して有り得ない存在。
考え方によっては、『世界の異変の象徴』と言っても過言では無い。
「どうか…したんですか?」
じっと動かなくなった僕を見て、ユフィが問いかける。
「こうしてると…忘れちゃいそうになるよね」
「えっ…?」
「この世界が、滅びようとしてるんだって」
「…………」
少しの間沈黙が流れたのち、ユフィが口を開いた。
「そう、ですね…本当ならきっと、こうして笑っていられるのも、奇跡なのかもしれません」
「ユフィも、そう思うよね…」
「この間のように、またいつウロボロスが攻めて来てもおかしくありません。仲間全員が、無事でいられる保証だって─」
そこまで言った所で、僕の足元でべちゃっと音がした。
「あっ…」
話に集中していたせいか、アイスを落としてしまったようだ。
「大丈夫ですか…?」
「う、うん…靴も汚れてないし」
「マスター、わたしの食べますか…?」
「いいよセニア…!僕が悪いんだし」
時計を見ると、もう座ってから30分が経っていた。
「さて…そろそろ行こうか。ごめんね、気まずくしちゃって…」
「いえ、大丈夫ですよ!」
「手伝います、マスター」
荷物を抱え、僕達はベンチを後にする。
「…………」
─後ろを振り返った。
落ちたアイスに、数匹の蟻が群がっているのが見える。
その様は何処か、学園に群がり蹂躙する、あの日のウロボロスの姿に似ていた。
「マスター?」
「どうしたんですか……?」
少し先に行っていた二人が、僕に声を掛けて来る。
「ああ、ごめん!すぐ行くよ……!」
僕は急ぎ足で、二人のもとへ向かった。
─その夜。
買った物の整理と明日の支度を済ませ、僕はベッドの上に居た。
なんとなく、落ち着かない。
「皆無事とは限らない、か……」
無意識に、ユフィの言葉を思い出していた。
縁起でも無いとは思う。でも、未来から来た存在であるユフィのその一言には、大きな説得力があるように感じた。
あの日、ウロボロスの侵攻によって学園は呆気なく陥落した。
だが、五つの世界全ての異変の元凶である事を考えれば、あれでもまだ序ノ口に過ぎない事は想像に難くない。
もしもウロボロスが全力で掛かって来たら、僕達は本当に生き残れるのか、時折不安に思う。
「ん……駄目だ駄目だ」
悪い予感を振り払い、布団を被る。
目を閉じて数十分程経ち、僕の意識は途切れた。
───────────────────────
─僕は走っていた。
炎に包まれた道を。ウロボロスに襲われ、既に跡形も無くなった学園の中を。
「はぁっ……はぁ……!」
両足が痛む。でも立ち止まる訳にはいかない。
隙を見せれば、次は僕が襲われる。
「誰か!返事をして…!!」
必死で呼び掛けても、声は返って来ない。
所々赤く染まった道の片隅には、無惨な姿で横たわる仲間達が見える。遠くでは大きな影が蠢き、誰かの叫び声が響いている。
「う……くっ……」
目に涙を浮かべながら、僕はひたすら走り続けた。
怖い。死にたくない。
臆病者と言われても構わない。ただ、ここから逃げ出してしまいたかった。
自分が死んでしまったら元も子も無い。
「はぁ……はぁ……」
やがて、広い場所に出た。
僅かな残骸から察するに、校門の辺りだろう。
ここを越えれば逃げられる。
周囲を見渡し、走り出そうとした時─
「……?」
すぐ近くに、二つの影が見えた。
一つは大柄な人の形をしたウロボロス。
「あれは…」
そしてもう一つは、小さな影。いつも側に居た、見慣れた姿だった。
「ユフィ…!」
ユフィは銃を片手に、一人でウロボロスと戦っていた。
「これ以上、奪わせません……みんなも……みんなの居場所も!!!」
大声で叫ぶ。
既に状況は絶望的。それでも諦めずに立ち向かっている。
その姿を見て、胸の奥がしめつけられる感覚がした。
「何やってるんだろう…僕……」
─まだ、諦めちゃダメだ。
意を決して陰から飛び出し、ユフィに駆け寄った。
「ユフィ!!」
「…………!」
声に気づいたユフィがこちらを向いた。
「来てはダメです!逃げて!!」
そう言った瞬間、ウロボロスが姿を変えた。
片腕を触手状に変形させたと思うと、その腕を僕に向けて大きく振るう。
「あ……」
─何かが破裂するような感覚と共に、身体が宙に浮いた。
そのまま吹き飛ばされ、壁に強く叩きつけられる。
「が、はっ…………」
思い切り血を吐いた。感じた事の無い痛みが全身を襲う。
意識がもうろうとし、視界が歪み、霞む。
「######さんっ!!」
ユフィが僕の名前を呼ぶが、ダメージのせいかはっきりと聞こえない。
「はぁ……ユ…フィ……」
「お願い…しっかり……!!」
僕を助けようと、ユフィが駆け寄って来る。
その背後でウロボロスが腕を振り上げるのが見えた。
「まずい…このままじゃ……!」
僅かな力を振り絞り、身体を起こす。
焦点の合わない目で、ユフィに向けて手をかざした。
「エクシード…リン──」
一瞬だった。
耳を塞ぎたくなるような、生々しい音がした。
リンクを繋ぎ、まさにαフィールドを展開し終える直前に。
「あ…あ"ぁ"……………………」
ユフィが、絞り出すような声を上げた。
胸と腹部をウロボロスの触手に貫かれ、足元を真っ赤に染めながら。
「ユフィ…………?」
触手を引き抜かれると同時に、ユフィは糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。
ウロボロスが僕の方に顔を向ける。
しかし、僕を脅威と認識しなかったのか、少しこちらを見ただけで、手を出す事も無くそのまま立ち去っていった。
僕とユフィだけが、その場に残された。
「う…くっ……ユフィ……!」
足を引きずりながら、僕はユフィのもとへ歩いて行く。
赤色の中心に横たわる身体を、震える腕でゆっくりと抱き上げた。
「うぅ……っ」
ユフィが微かに目を開け、こちらを見る。
「良かった…無事…だったんですね……」
「僕は大丈夫……もう喋っちゃダメだよ!!」
抱き抱えた腕を彼女の血が伝う。大きく孔を開けられたその身体から、瞬く間に熱が失われていく。
「お願い…死んじゃ駄目だ…すぐに…運ぶから……!!」
「良いんです…みんなと……あなたさえ…生きていてくれれば……私は、もう……」
「ユフィ!!!」
ユフィがゆっくりと手を伸ばしてくる。まだ微かに熱を持ったその手を、強く握った。
「お願い…します……ママと…この…世界を……どう…か………………」
─そこで、ユフィの声が途切れた。
瞳を閉じて頭をうなだれ、頭部のユニットから光が消えていく。
「…ユ…フィ……?」
握っていた手が力を失い、僕の手から静かに零れ落ちた。
「嘘…でしょ…?ねぇ……」
呼び掛けても、応えてはくれない。
僕の胸の中で、ユフィの身体はぴくりとも動かなくなった。
「なんで…どうして……ねぇ……起き…てよ…………」
頭の中では、もう理解が出来ている。
でも、身体と心がそれを受け入れようとしない。
信じられない。信じたくない。
「ユフィ……ユ…フィ……………………」
ユフィが。
一番の仲間が。
誰よりも大好きだった人が。
僕のせいで、死んでしまった──
「────ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
────────────────────────
「はぁっ………はぁっ………」
目が覚めた。
自分の部屋、いつもの光景の中で。
身体はひどく汗をかき、パジャマが肌に張り付いていた。
「ん…………」
携帯の画面を見る。アラームを設定した時間よりも、まだ一時間以上早い。
「夢…か…………」
両手を見ても、血痕は全く残っていない。
だが、身体にまだ感触が染み付いているように感じた。
「…………」
しばらく見つめた後、顔を洗おうと洗面台に向かった。
二度寝をしようとも思ったが、多分眠れないだろう。
早めに支度をして、時間を待つ事にした。
その日の授業は、全く頭に入らなかった。
どれだけ話を聞いても、ノートを取っても、頭にあるのは今朝の夢ばかり。
「ユフィ……」
夢だと分かっていても不安になる。
彼女に会いたい。何事もない、いつもの笑顔を見たい。そうしないと踏ん切りがつかない。
昼休みを知らせるチャイムが鳴ると同時に、僕はユフィの居る隣の教室に向かった。
「あれ……?」
─しかし、そこにユフィの姿は無い。
机にも特に動かされたような形跡は無かった。
「どうしたんだろう……」
その後も学園のあちこちを探して回ったが、ユフィは何処にも居なかった。
「何か…あったの……?」
夢の光景が、再び頭をよぎる。
ウロボロスが現れたという話は聞いていないが、もしかしたら、何かに巻き込まれているのかもしれない。
「…………」
「マスター?」
その場でうつむいていると、聞き覚えのある呼ぶ声がした。
「セニアか……」
「はい。ちょうど通りかかったので…」
視線を落とした僕の顔を、セニアが覗き込む。
「どうしたのですか?顔色が良くないです」
「ああ…ちょっといろいろね……」
話していて、思いついた。セニアに聞いてみれば何か知っているかもしれない。仮にも母親な訳だし。
「ねぇ、セニア…?ユフィの事、何処かで見なかった?」
「ユフィを探していたのですか…?」
「うん…」
「今日は確か、定期メンテナンスを受けているはずです。ラボに行ってみると良いですよ」
「ラボか……分かった、ありがとう!」
お礼を言ってから、僕は走り出した。階段、廊下と、他の生徒の間を縫って駆けて行く。
校舎を出て少し離れた所に、建物が見える。
Dr.ミハイル─セニアを造った、白の世界の科学者が居る研究所だ。
よく考えたら、初めからここに探しに来れば良かった。気が動転していてすっかり忘れていた。
重い扉を開けて、中に入る。
「よし……特に問題はなさそうだな」
「ありがとうございます、博士!」
そこにはDr.ミハイル、そしてメンテナンスを終えたと思われる、ユフィの姿があった。
「ユフィ!!!」
「!?」
気がつくと、僕はユフィのもとへ走っていた。
「誰かと思ったら…驚かせるな…!」
「どうしたんですか?そんなに慌てて…」
「はぁ……はぁ……」
ユフィの身体を見る。胸にも腹部にも、傷は何処にも無い。いつも通りの姿だ。
「大丈夫…なんだね……良かった…………」
大きく安堵した。緊張が解け、その場にへたり込む。
「お、おい!」
「あの、大丈夫ですか……?」
少しして顔を上げると、ユフィが目の前で腕を広げていた。
「ユフィ……?」
「……何があったのかは、分かりませんけど…」
「…………」
「私に会いたかったんですよね…良いですよ?ほら……」
「……っ」
僕は促されるまま、ユフィの胸に飛び込んだ。
「うぅっ……」
「お前…泣いているのか……?」
言われて、気が付いた。
頬を伝う熱い感触。無意識のうちに、僕は涙を流していた。
「安心して…もう…大丈夫ですから、ね?」
「ユフィ……ユ…フィ……………………」
─大声で、泣いた。
まるで赤ん坊に戻ったような気分だった。
Dr.ミハイルが困惑の声を上げているのが微かに聞こえた。
それでも構わなかった。
今はただ、あの悪夢を忘れてしまいたかった。
大粒の涙が、ユフィの胸元を濡らし続けた。
それでもユフィは嫌がる事なく、僕を抱き締めていた。
ただひたすら『大丈夫』と言い、慰めてくれた。
僕が泣き止むまで─
「マスターは、大丈夫ですか…?」
「はい。もう落ち着いたみたいです」
「みんなには、わたしから上手く言っておきます。マスターの事…頼みましたよ、ユフィ」
「ありがとうございます、ママ…」
あの後僕はセニア達の計らいで、家に戻って来ていた。
ユフィも僕を心配して、午後の予定を全てキャンセルしてついて来てくれた。
生まれて初めての、ズル休みだった。
「ごめんね、ユフィ…迷惑かけて」
「そんな事ありませんよ…!これくらいなんともないです」
ユフィが優しい表情で言った。
「むしろ、謝らなければいけないのは私の方です……私が余計な事を言ったばかりに、あなたを不安にさせてしまって……」
帰って来た後、僕はユフィに夢の事を話した。
そしてその中で、ユフィが死んだ事も。
「でも…それはただの夢でしょう?」
「うん、分かってる。だけど……」
不意に、ユフィから視線を逸らした。
「僕…時々思うんだ。もしウロボロスが、前以上の力で攻めて来たら、本当に僕達だけで…勝てるのかな、って……」
ウロボロスの力で封印された時の、あの感覚は今でも忘れない。
全身が包み込まれ、溶けて消えていくような感触。足掻こうとしても抜け出せない。
自分の無力さを痛感した。ただただ、怖くて堪らなかった。
「僕は…弱いんだ。これから先、僕なんかの力で…ちゃんとみんなを…ユフィを守れるのかな……」
そう言ってうつむいた僕の隣に、ユフィが静かに座った。
「あなたは…弱くなんてありません」
「え…?」
「あなたの気持ち、私もよく分かりますから。ママに造られて、初めて外の世界を見た時、正直…物凄く怖かった。本当に使命を果たせるのかと…不安でいっぱいでした」
─ユフィが生み出された未来は、世界崩壊が起こってしまった、つまり僕達がウロボロスに敗北した未来でもある。
彼女に課せられた使命は、その未来を変える事、そして未来のセニアを救う事だった。
「でも…私達は、一人で戦っている訳では無いんです。どんなに怖くても、必ず誰かが手を差し伸べてくれる。どんなに苦しくても、必ずそれを分かち合ってくれる人がいる」
ユフィが僕の手に、そっと自分の手を重ねた。
「怖いと感じるのは悪い事ではありません。むしろ怖いと思うのは、その事について真剣に考えている裏返しでもありますから」
「ユフィ……」
「でも…一人で抱え込むのはダメです。あなたは、私を守りたいと言った。だけど私も同じくらい、あなたを守りたいと思っているんですから」
「そう、だよね……」
まっすぐに見つめて来たと思うと、ユフィは再び僕を胸に抱き寄せる。
「んっ……」
「今日は、ずっと一緒に居ますから。何か望む事があったら、何でも言ってください…ね?」
頭を撫でてくるユフィ。端から見ると異様な光景だが、こうしていると、本当に落ち着く。
しかし、完全な二人きりという状況が、僕の中にもう一つの感情を生じさせ始める。
「ユフィ……」
片方の腕を、ユフィの後ろに回し─
そのまま、お尻の辺りを撫でた。
「ひゃっ…!?」
突然の事に、ユフィが小さく声を上げる。
「あ、あの…これはどういう……」
「ユフィ…お願いがあるんだ」
少し躊躇いながら、彼女に告げる。
「セックスが…したい」
「えっ……」
困惑したような反応をするユフィ。
「どういう意味かは…分かるよね?」
「ええ…知識としては知っています…でも……」
「でも?」
「それは、子供を作る為の行為ですよね?私は…アンドロイドなんですよ…?いくら生体パーツが使われているとはいえ、子供を作る事は…」
そう言ったユフィを、僕は強く抱き締め返した。
「そんな事関係ない…僕は、ユフィとシたいんだよ」
「んっ……」
「あの夢が…まだ頭から離れない……だからユフィと繋がって…全部忘れたいんだ。生きてるんだって…確かめたいんだよ……」
「…………」
顔を真っ赤にするユフィ。しばらくの間、部屋に沈黙が流れる。
「駄目なら…無理にとは言わないけど……」
「…………ですよ」
「えっ…?」
「良い…ですよ……あなたがそうしたいのなら……」
少し恥ずかしそうに、ユフィが言った。
「私、初めてですから…優しくして下さい…ね?」
「うん…!ありがとう、ユフィ……」
もう一度、ユフィを抱き締め返す。
「じゃあ…ベッド、行こう?」
「は、はい……」
ユフィの手を引いて、寝室へ向かう。
まだ少しだけ汗の匂いがする部屋。ユフィを含めて、女の子を入れるのは初めてだった。
ユフィをベッドに仰向けに寝かせ、その上に僕も覆い被さる。
「ユフィ……」
「ん……」
左胸を揉みながら、キスをした。
極力驚かせないように、少しずつ舌を絡ませていく。
「ん……ちゅ…ぷは…っ…」
「んぅっ……ちゅっ…………」
数十秒ほど続けた後、口を離した。
「ユフィ…どう、かな……?」
「なんだか、頭が…くらくらします……」
「嫌じゃないんだね…良かった」
もう片方の手を、ユフィの右胸に持っていく。
大きいながら形の整ったユフィの胸。程よい弾力の膨らみを、スーツの上から優しく揉んだ。
「んっ…あぁ……」
「凄く柔らかい…ユフィのおっぱい……」
「言わないで…恥ずかしい、です……」
ユフィが顔を逸らす。一方で僕はスーツの縁に指を掛ける。
「脱がせて…いい?」
「はい……」
小さく頷いたのを見てから、スーツの中に手を滑らせる。
とはいえ、特異な形状の為脱がせ方が分からない。せめて胸だけでも露出させようと、開かれた部分を左右に少しずつずらしていく。
そしてほんの少し乳首が露出した所で、胸の弾力で自然にスーツが押し退けられ、胸全体があらわになった。
「ふあんっ…!」
乳首が擦れたせいか、ユフィが甘い声を発した。
「綺麗だな……」
「ダメ…見ないで……」
素肌になった胸にもう一度指を食い込ませる。
さっきよりもテンポを速くして、片方は乳首を摘まみ、上下左右にこね倒す。
「はっ…やぁ……あんっ…………」
「気持ちいい?ユフィ…」
「分かり、ません…でも…身体が…凄く、熱い……」
「良かった…ちゃんと感じてくれてるんだ……」
右胸から手を離す。
そして代わりに顔を近づけ、愛撫でつんと立った乳首に吸い付いた。
「あぁぁぁっ!!?」
赤ん坊のように乳首を強く吸い、胸を絞るように揉んでいく。左側も休める事なく乳首を刺激し続ける。
「あ……ダメ…何か…来ちゃ……!」
絶頂寸前になったユフィが大きく身悶えする。
僕は最後に左側の乳首をつねり上げ、同時に吸っていた乳首を甘噛みした。
「やっ…あぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ベッドを軋ませつつ、ユフィが跳ねた。
初めての絶頂に涙目になり、身体は余韻で小さく痙攣している。
「はぁ…はぁ……」
「おっぱいだけでイっちゃったんだ…ユフィ」
「イ…く……?」
「うん、そういうふうに言うんだよ」
ユフィの下半身に手を伸ばす。
秘部はスーツの上からでも湿り気を感じる程に、愛液で濡れていた。
「ひぅっ……」
「凄い…ぐしょぐしょだよ」
胸と同じようにスーツを軽くずらし、濡れた割れ目に指を這わせる。
膣内に少し指を挿れ、動かす度にくちゅくちゅと水音が鳴り、ユフィが身体を震わせる。
「はぁっ……あんっ……」
「ユフィ…こんなに敏感だったんだ……」
膣内を優しくかき回し、膨らみ始めのクリトリスをぴんと弾く。
「やっ…また、くる……イっちゃい…ますっ……!!」
さっき程では無いが、ユフィが再び潮を吹いた。
手が愛液に塗れ、挿入した指が微かに締め付けられる。
「イった顔…凄くえっちだよ」
「はぁ……ん…………」
蕩けた顔のユフィが、ふと視線を僕の下半身に向けた。
「大きく、なってますね……」
「…っ!」
興奮で膨らんだズボンを興味深そうに見るユフィ。
「それを…挿れるんですよね……?」
「うん、そうだよ…」
ズボンと下着を脱ぎ、ユフィによく見えるように目の前に持っていく。
「あぁ…これが、男の人の……」
まじまじと見られ、ぱんぱんになったモノがぴくりと反応した。
「こんなに大きいの…入るんでしょうか……」
「もう、我慢できないよ…ユフィ……」
僕がモノを握り、ユフィの秘部に近づけると、ユフィが何かを思い出したような顔をした。
「そうだ…私も脱がないとですね…!」
「あ…ごめん、どうやって脱がすのか分からなくてさ」
ユフィがベッドから立ち上がり、手首の辺りで何かを操作すると、スーツ全体の緊張が解けた。
そのまま端に手を掛けてスーツを脱ぎ、ユフィは完全に裸となった。
「わあ……」
隠すものがなくなり、はっきりと見えるようになったその綺麗な身体に、つい声が漏れる。
ユフィは再びベッドに寝ると、秘部に手を添えてみせた。
「はい、良いですよ……」
「うん…じゃあ、挿れるね……?」
モノの先端を秘部にあてがい、割れ目を少しずつ押し広げていく。
途中で何かに引っ掛かるような感触がし、そこだけは強く突き上げた。
「うあぁぁ……っ!」
ユフィの表情が僅かに歪む。そして同時に、結合部から血が滴るのが見えた。
それは紛れも無く、僕が彼女の初めてを貰った証拠だった。
「大丈夫?ユフィ…」
「はい…ちょっと、びっくりしましたけど…平気ですよ」
「じゃ…動くからね」
ユフィの肩に手を掛けて、僕は腰を前後に動かし始める。
「あっ…ふぁぁぁ……!」
「凄い…!こんなに締まるんだ……」
ユフィの膣内はとても暖かく、心地が良い。アンドロイドだとは到底思えない感触だった。
「あぁぁっ…こんなの…初めてです……!」
「ユフィの膣内…気持ちいいよ……」
突き上げる度に身体が跳ね、それに合わせてユフィの大きな胸が揺れる。
それを見て僕の興奮もより高まり、自然と腰に力が入る。
「ごめん…優しくするつもりだったけど…押さえられない……!」
「ひゃっ…あぁぁぁ……良いですよ…激しくしても……!私ももっと…あなたと気持ちよくなりたい……!!」
「はぁっ…ユフィ…ユフィ……!!」
動きを更に早め、膣内を刺激する。
ユフィも僕の身体に手を回して抱き寄せ、一番奥に届きやすいようにしてくる。
「あっあぁぁん…もう、私…堪えられません…………っ!!」
「僕も…出そうだよ…!出したい…ユフィの膣内に……!」
「どうぞ……奥でいっぱい、射精して…ください……!!」
最後の仕上げとばかりに腰を激しく振り、ユフィを強く抱き締めて先端を密着させる。
そして─
「あっぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ユフィぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
僕とユフィは、同時に絶頂に達した。
離れて行きそうになるユフィを強く抱き締め、勢い良く膣内に射精する。
「あぁ……あなたの、熱いです……」
「んぅ…ユフィ……」
しばらくして射精が収まり、ユフィからモノを慎重に抜いた。
抜けた瞬間に秘部が小さく震え、収まり切らない精液が溢れだした。
「はぁっ…はぁ…………これが、セックス……」
「ユフィ……本当に、ありがとう…」
「いえ、良いんです…あなたと繋がれて、私も嬉しい…です……」
ユフィが優しい笑顔をみせる。
「これでもう…大丈夫ですか…?」
「うん…ユフィは、ここに居るんだ……もう…怖く無いよ」
「ふふっ…良かった」
そう言って、ユフィが頭を撫でてきた。
「私はいつまでも、あなたの側に居ます…だからこれからも、歩いて行きましょう……一緒に…未来へ……」
「うん……」
互いに抱き締め合い、もう一度だけキスをした。
「もう少し、このままで居てもいい…かな?」
「はい、もちろんですよ」
「うん…ありがとう、ユフィ……」
胸元に顔を埋めながら、僕はしばし眠りについた。
─数日後。
僕はセニアと一緒にラボに居た。
「マスター、これで良いでしょうか…?」
「凄い…たくさん持って来たね」
セニアの腕には、ジャンクパーツやストラップ、小さな宝石など、様々な物が抱えられていた。
「思い出の品…ですね」
「うん…じゃあ、ちょっと早いけど始めようかな」
その時、入り口のドアが開いた。
「すみません!遅くなりました……」
「ユフィ…!」
声の主は、ユフィだった。
そして彼女もまた、様々な物を抱えている。
「その…急にどうしたんですか?何でも良いから持って来て欲しいって……」
「ああ、実はね……」
そう言って、僕はユフィにあるものを見せた。
「これって…カプセルですか……?」
「うん。タイムカプセルっていうんだよ」
「タイム…カプセル?」
「青の世界の風習のようなものだそうです。小さな箱に自分や友達の思い出の品を詰め込んで、埋めておくんだとか…」
「それを年月が経ったら掘り返して、もう一度箱を開けるんだよ。それで昔を懐かしんで楽しむんだ」
「な、なるほどです……」
ユフィがやや不思議そうな顔をした。
まあ、知らないのも無理も無いと思う。ましてや時を越える力を持つユフィにとっては、この行為の意義自体も理解に苦しむ所があるのだろう。
「ユフィも一緒にやりましょう」
「はい、もちろん…!」
「ユフィは何を持って来たの?」
「こんな所でしょうか……」
ユフィもセニアと同じく、特訓や作戦で集めた各世界の品々を持って来ている。
─その中には、ついこの間撮った3人のプリクラ写真もあった。
「これだけあれば十分だね…!」
「では…入れましょうか」
「はい、ママ…♪」
僕達はカプセルの中に、順番に品を詰めていく。
セニアがDr.ミハイルに頼んで用意して貰ったというカプセルは見た目より余裕があり、全員の分が難なく収まった。
入れ終わったのを確認して、僕はカプセルの蓋を閉めた。
「これが、わたし達の思い出の結晶なんですね…」
「いつか皆揃って、このカプセルを開けられる日が来るように…」
「使命を果たしましょう…必ず…!」
ユフィとセニア、そして僕は、誓い合うようにカプセルに触れた。
「さて…何処に埋めるのですか?」
「行ってからのお楽しみです。先にペネルが穴を掘っておいてくれていますから」
「じゃあ、行こう!」
「「はい!!」」
前よりも力強い足取りで、僕は踏み出した。
(終)