※この作品はR-18です。

嗜虐のぽんこつ神   作:ぬるでば

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第14話 絞める

 その日の夜、悠生(ゆみ)は天女(あまね)を下北沢の居酒屋に案内した。

 

 天女は、悠生に髪を縛ってもらい、ゴスパンではないラフなパーカー姿で店に現れた。

 

「これが居酒屋というものなのですね」

 

 天女は、物珍しそうに店内を見回した。

 

 二人は、それほど広くない店内の壁際にある小さなテーブルに着いた。

 

「居酒屋だと『とりあえずビール』といって、最初の一杯をビールから始めることが多いんですけど、ビールは苦いから好き嫌いがあると思います。どうしますか?」

 

 悠生が一般的な飲み始めについて説明した。

 

「よく分かりませんので、ビールをいただいてみます」

 

 天女がにっこりと答えた。

 

「中生ふたつお願いします」

 

 悠生が店員にビールを注文した。

 

「ちゅうなまって何ですか?」

 

 天女が不思議そうな顔をした。

 

「ビールを入れる器で、こう持ち手の付いているものをジョッキといいます。その大きさがいくつかあって、中くらいのものが中ジョッキといいます。それに注ぐビールの種類を生ビールに指定したから『中生』というわけです」

 

「そうなのですね。勉強になりました」

 

 天女が、興味津々という顔で頷いた。

 

「お待たせしました」

 

 ほどなくして、店員がビールを運んできた。

 

「うわっ、冷たい! 悠生さん見てください。このジョッキというもの、凍っていますよ 」

 

 運ばれてきたジョッキは、キンキンに冷やされ、外側が真っ白な霜で覆われていた。

 

「ほんとですね。よく冷えてます」

 

 悠生は、天女の新鮮なリアクションに目を細めた。

 

「じゃあ、ジョッキのここのところを握って持ち上げてください」

 

 悠生がジョッキの持ち手を握って天女に見本を示した。

 

「こうですね」

 

 天女もジョッキを持ち上げた。

 

「そうです。次に、私が『乾杯』と言いますから、そうしたら天女さんと私のジョッキを軽くぶつけて『乾杯』と唱和してください。これが乾杯です」

 

「かしこまりました」

 

「では、かんぱーい!」

 

「か、かんぱい」

 

 二人がジョッキを合わせた。

 

 ガラスがぶつかる軽快な音が響いた。

 

 悠生がジョッキに口をつけてビールを煽った。

 

 悠生のやることを見ていた天女も悠生の真似をしてビールを一口飲んだ。

 

「苦い!」

 

 天女が舌を出して渋い顔をした。

 

「あはは、やっぱり苦かったですか。他にも甘いお酒とかがありますから、そちらにしますか?」

 

「いえ、飲めない苦さではありません。とりあえずいただいてみます」

 

 天女が遠慮した。

 

「分かりました。苦かったら無理しないでくださいね」

 

「はい」

 

 天女がもう一度ビールを口にした。

 

「なんか、さっきより飲みやすくなったような気がします」

 

 天女が笑顔になった。

 

 悠生が吹き出した。

 

「天女さん、ヒゲが……」

 

 天女の口の上にビールの泡が弧を描いていた。

 

「ヒゲですか?」

 

 天女は首をひねって不思議そうな顔をした。

 

「ほら、見てください」

 

 悠生がバッグから鏡を取り出して天女の顔を映した。

 

「なんですか、この白いものは!?」

 

 自分の顔を見た天女が驚いた。

 

「それ、ビールの泡です。ジョッキの中を見てください。白い泡が浮いていますよね。ビールを飲んだとき、この泡が着いたんですね」

 

 悠生は、まだ笑いが収まらない。

 

「びっくりしました。私の顔が変になったのかと思いました」

 

 天女は、まだ驚きが続いているようだった。

 

「大丈夫です。こうやって手で拭いちゃってください」

 

 悠生は、自分の手の甲で口を拭う動作をやってみせた。

 

「こうですか?」

 

 天女が悠生の真似をして口を拭った。

 

「そうです、そうです。きれいになくなりました」

 

「ありがとうございます」

 

 鏡を見た天女がほっとしたように礼をした。

 

 安心した天女がビールを一気に飲み干した。

 

「あ、天女さん……」

 

 悠生が止める間もないできごとだった。

 

とん

 

 天女が静かにジョッキをテーブルに下ろした。

 

「ぷはーっ!」

 

 初めてなのにビールの飲み方が様になっている。

 

「始めは苦くて飲めないと思いましたが、慣れるとおいしいものですね」

 

 天女が悠生の肩を叩いた。

 

「天女さんの性格変わった?」

 

 天女が悠生の肩を叩くなど、今までは考えられないことだった。

 

「ビールのおかわりいただいてよろしいですか」

 

「あ、どうぞ」

 

「お姉さーん、大生ちょーだい!」

 

 天女が元気に注文を出した。

 

「やっぱり変わってる」

 

 悠生は天女の変化が楽しみになった。

 

 今の感じなら危ない方向への変化はないだろうと思ったからだ。

 

 天女は、ぐいぐいビールを流し込んだ。

 

 体質なのか、いくら飲んでも顔が赤くなることはなかった。

 

 目付きも、よくある酔っ払い特有のとろんとした感じにはならない。

 

 あることを除いては、いつもどおりの天女のままだ。

 

「悠生っちー、悠生っちは処女なのお?」

 

「あたしねえ、悠生っちにらぶたんだよ」

 

「悠生っちの処女をあたしにちょーだーい」

 

 表情は、いつもの穏和な天女のまま、話し方とその内容がヤバくなった。

 

 ギャルか?

 

 ビッチか?

 

 ギャルビッチなのか?

 

「えっと、あの、天女さん……」

 

 悠生が苦笑しながら若干引いた。

 

「なんで引いてんのよー、さげぽよなんだけど」

 

「ねえねえ、あたしの乳首にアンピン刺してえ。おなしゃす」

 

 天女がパーカーを脱ごうとした。

 

「待って、待って! ここはお店だからダメですよ。それに、今、天女さんの乳首ないじゃないですか」

 

 悠生が必死に天女を制止した。

 

「あっ、そうだ。乳首千切っちゃったんだよねー!」

 

 天女が大声でしゃべりながらケラケラと笑った。

 

 天女の話し声は、周りのテーブルにも届いた。

 

 周りのテーブル客は一様に驚いて、異星人を見るような目で天女を見ている。

 

 悠生は、いたたまれなくなった。

 

「天女さん、もうちょっと小さな声でお願いします」

 

 悠生が両手で天女を制した。

 

「えー、これが地声なんだけどー。まだまだせり上がっちゃいますよお」

 

 天女は、一向に気にする様子がない。

 

「お、イケメンみっけ」

 

 天女が隣のテーブルで飲んでいるグループに目をつけた。

 

 立ち上がると隣のテーブルに歩み寄った。

 

「ねえ、お兄さん。あたしとしない? あたし処女だけど、なにしてもいいよー」

 

 天女がいつもの穏やかな笑顔で男性に迫った。

 

「天女さん!」

 

 悠生が天女を強引に引き戻した。

 

「すみません。悪酔いしたみたいで」

 

 隣のテーブルに平身低頭謝った。

 

「あ、いいですよ。気にしないでください。あわよくばしたかったんですけどね」

 

 隣のテーブルの男性が軽くジョークで受け流してくれた。

 

 悠生は、会計を済ますと天女を店の外に連れ出した。

 

「天女さんが酔うとビッチになるとは思わなかった」

 

 見た目にまったく変化がないのに、言動だけがとんでもないビッチになってしまった。

 

「悠生っちー、ちゅーしよー、ちゅー」

 

 天女が悠生にキスをねだった。

 

「え、こんなところでですか? しょうがないですね」

 

 悠生が天女のキスを受け入れた。

 

 天女にキスを奪われながら、悠生は、あることを思い出した。

 

「ねえ天女さん」

 

「いえあ!」

 

「天女さん、死んで再生したら処女膜も再生されるんですか?」

 

「まだしたことないから分かんないなー」

 

 天女があっけらかんと答えた。

 

「試していいですか」

 

「いいよー」

 

 そう言いながら天女が服を脱ぎ始めた。

 

「いや、ここでじゃなくて。家でね」

 

「なーんだ、ここじゃないのか」

 

 天女ががっかりした。

 

「うちに着くまで待っててください」

 

「おっけー」

 

 下北沢から代沢のマンションまで歩いた。

 

 その間も野生化した神はうるさかった。

 

「はい、処女膜破ってー」

 

 天女は、部屋に入るなり全裸になって仰向けに横たわり、悠生に向けて股を開いた。

 

 天女の性器は、粘液が糸を引くくらい濡れそぼり、赤く充血していた。

 

「準備万端なんですね。じゃあ破りますよ」

 

「きてきて」

 

 天女が両手で大陰唇を左右に拡げて見せた。

 

 悠生は、拳を握りしめた。

 

 その拳を天女の膣口にあてがった。

 

 腕に力を込めて拳を膣に押し込む。

 

 天女の膣は、思ったより狭かった。

 

 簡単には拳を受け入れてくれない。

 

 悠生は、さらに力を入れて拳を進めた。

 

 一番狭い膣口を通過した拳が、ずるっと手首まで膣に収まった。

 

「ひゅう」

 

 天女が変な声をあげた。

 

 膣の中は身体の正面側がザラザラした感触で、その他はつるんと滑らかだった。

 

 人指し指にコリコリとした子宮口の突起が当たる。

 

 悠生は、膣の中で手を開いて、中の形や感触を楽しんだ。

 

 悠生が手を回転させるたびに天女が吐息を漏らす。

 

 膣口から血が溢れ出してきた。

 

 ちゃんと処女膜を損傷できたようだ。

 

 膣の中を堪能した悠生は、ゆっくりと手を抜き去った。

 

「ふんんん」

 

 天女が腰を浮かした。

 

 抜いた手には、乳白色の粘液と鮮血が混じりあったものが大量に着いてきた。

 

「それでね、天女さん」

 

「な、なーに?」

 

 天女は、息が荒くなっている。

 

「処女膜が再生するかどうかを確めるには、どうすればいいのかな?」

 

「殺してー」

 

 天女が明るく言い放った。

 

「やっぱり殺すんですね」

 

「はい」

 

 天女の酔いが覚めてきたようだ。

 

「じゃあ殺しますよ」

 

「お願いします」

 

 悠生は、仰向けの天女に跨がり胸の上に腰を下ろした。

 

 両手を天女の咽に回す。

 

「ふん!」

 

 渾身の力で首を絞める。

 

 腰をあげて手に体重をかける。

 

 天女の顔が赤黒く鬱血し始めた。

 

 ひゅうひゅうと音をたてて呼気が漏れる。

 

 しかし、吸気は入らない。

 

ごぎっ

 

 天女の咽頭骨が折れた。

 

 天女の呼吸は完全に遮断された。

 

 天女の両目にところどころ出血の斑点溢血点が現れた。

 

 溢血点は、きれいに首を吊ったときは現れない。

 

 手や紐などで首を絞めたときに現れるものだ。

 

 天女は、口をぱくぱくさせて酸素を求めている。

 

 意識ではなく身体が生理的に生命を維持しようとしていた。

 

 だんだん顔が黒く変わっていく。

 

 痙攣していた天女の両手両足が動かなくなった。

 

 しかし、ここで手を緩めてはいけない。

 

 まだ蘇生する可能性があるからだ。

 

 不可逆的に生命活動が停止するまで絞めないと、殺人が失敗する。

 

 天女の動きがなくなってしばらく絞め続けた。

 

 悠生は、そっと首から両手を離した。

 

 天女の首には、くっきりと悠生の手の跡がついていた。

 

「また殺しちゃった」

 

 殺すことにはまだ罪悪感がある。

 

「あ、しまった!」

 

 またリビングで殺してしまった。

 

 死体をひとりでバスルームまで移動させるのは無理だ。

 

 あらかじめバスルームで殺せばよかったのに、またやってしまった。

 

「また解体ショーやるのー」

 

 解体は楽しいのだが、体力を使う。

 

 翌日の筋肉痛が怖い。

 

 だが、解体しないわけにもいかない。

 

 悠生は、レジャーシートを敷いて天女を解体した。

 

 四肢と胴体に分解した天女をバスタブに放り込み、生理食塩水で満たす。

 

「塩分が濃いとまた怒られるから気をつけないと」

 

 悠生は、塩分濃度に気をつけながら生理食塩水を作った。

 

「カイソ(恢蘇)」

 

 呪詛を唱えて拍を打った。

 

「これでよし、と」

 

 悠生は、解体の後片付けをして眠った。

 

 翌日は、会社に出勤する日だった。

 

 朝、バスタブのヒルコに声をかけてマンションを出た。

 

 仕事を終えてマンションに戻り玄関を開けた。

 

「お帰りなさいませ」

 

 いつもと同じ天女のきれいな声とだらしなく横たわる姿が迎えてくれた。

 

「天女さん、お還りなさい」

 

 悠生が天女に抱きついた。

 

「ただいま黄泉還りました」

 

 悠生の足下に平伏ひれふした天女が再生の挨拶をした。

 

「処女膜、再生しましたか?」

 

 悠生が天女の後頭部を踏みつけながら訊いた。

 

「確かめてよろしいですか」

 

 天女は、頭を踏まれたまま伺いをたてた。

 

「確かめてください」

 

 悠生は、天女の頭から足を下ろした。

 

「ありがとうございます」

 

 頭をあげた天女が右手の中指を膣に挿入した。

 

 そして、膣の中をなにやら探っていた。

 

 天女が膣から指を抜いた。

 

「処女膜ありました」

 

 天女が楽しそうに報告した。

 

「再生するんですね」

 

 悠生も安心した。

 

 自分が天女の処女膜を破ってしまった。

 

 そのまま再生しなかったら天女に申し訳ないと思ったからだ。

 

「また破る楽しみができた」

 

 矛盾する考えが頭をよぎった。

 

 

 

 その日の夜、テーブルの上の取扱説令書が淡く光を纏った。

 

 説令書に項目が増えた。

 

3 普段のお手入れ

 

◯できるだけ過酷な暴力を与えてください。

 

◯標準的な辞書程度の語彙力を持っています。

 

◯ほめられることが罵倒に、罵倒されることがほめられることになります。

 

◯普通の人にとって痛いことが癒やしや愛情になります。

 

◯ときに痛みが性的快感に代入されますが、ランダムな確率です。

 

◯痛みは感じません。

 

◯怪我をさせても大丈夫。死なない限り自分で勝手に再生します。

 

◯痛みを求めたときは、できるだけ与えてあげましょう。

 

◯相手に災いをもたらす呪詛を使いますが、レベル感が分かっていません。

 

◯身を隠す呪詛を使います。

 

◯高御産巣日神の名をもって神命を下すことができます。

 

◯ファッションは、ゴスパンを好み、巫女さんの衣装を嫌います。

 

◯下着が汚れません。

 

◯自分でピアスを開けることができます。

 

◯高天原に対する反抗心を抱いています。

 

◯血を吐くまで殴れます。

 

◯吐いた血は自分で掃除させてください。

 

◯自力歩行不能又は死んだときは恢蘇の呪詛で再生します。

 

◯相談は有料です。(タダにしてあげるから天女には内緒にしてよね)

 

◯天女は食べられます。

 

◯おいしい部位はハムストリングで、お勧め調理法は、骨付き肉のオーブン焼きです。

 

◯高木神は、下界でドMの食用家畜でした。(だからそれはやめて!)

 

◯AC100ボルトを直に流すと死にます。

 

◯死体の移動は分解しないと大変重いです。

 

◯再生中、ヒルコの状態を経由します。

 

◯天女は、ヒルコの血統を受け継いでいます。

 

◯再生するとカラーリングした髪は元に戻ります。

 

◯天女のプログラムと言語テーブルは、オンメモリーなのでライブで修正したら再起動で反映されます

 

◯ぽんこつだった天女の言語テーブルだけは修正されました。

 

◯悠生さんの神性が上がりました。

 

◯再生後、安静は不要です

 

◯性器に包丁を突き刺しても大丈夫です。

 

◯子宮口に包丁を刺すとコリコリした軟骨のような感触があります。

 

◯片足のモモ肉を削ぎ落としても自立歩行可能です。

 

◯モモ肉は、唐揚げにするとおいしいです。

 

○天女の寝姿を見ることはできません。

 

○舌も食べられます。

 

○桜の花を咲かせる力があります。

 

○神を人間支配の道具に使われることを極度に嫌い怒ります

 

○高木神がメイド服でコスプレをするために高木さんとして下界に降臨しました。(言うんじゃないわよ)

 

○「アレ(現)」の呪詛で混在する肉片の中から天女の肉片を見つけることができます。

 

○海水を満たしたペットボトルに肉片を保存すると再生したとき「しょっぱ」と文句を言われます。

 

○お腹から飛び出した小腸は、元に戻しにくいです。

 

○目の前でオナニーをしても気にしないでください。

 

○暴力は、見た目の残酷さを重視します。

 

○千切れた乳房は、ゴミとして捨ててください。

 

○酒に酔うとビッチになります。(知らなかったわよ)

 

○処女です。

 

○フィストファックができます。

 

○損傷した処女膜は、一度殺して再生させると復活します。

 

○首を絞めると死にます。

 

◯天女を殺した回数: 3

 

 

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