普通の家庭用包丁では解体に向かない。
業務用包丁を扱っている専門店まで二人で足を運んだ。
「一口に包丁といってもたくさんの種類があるのですね」
天女が陳列されている包丁を楽しそうに眺めている。
自分が殺され、解体される道具になると知りながら。
「あ、この包丁でここを切っていただいたら、血がたくさん出て意識が飛びそうですね」
天女は、刃渡り30センチくらいある大ぶりな牛刀を見ながら自分の首を切る仕草をした。
「そうですね。あっという間に死んじゃいそうです」
悠生が天女の首に人差し指を当てて横一文字に動かした。
「悠生さん、ご提案があります」
「なんですか?」
「いつもは、私を殺してから解体なさっていると思います」
「はい、そうです。重くて大変なんですよ」
「大きくてすみません」
「いえいえ、気にしないでください。大きいのは仕方ないことですから」
「ありがとうございます。そのですね、私を殺してから解体するのが大変なのであれば、生きているうちに解体してみてはいかがでしょうか」
「それは考えませんでした」
「そうすれば私も運ぶのをお手伝いできますし」
「いや、解体されちゃうからそれは無理でしょう」
「あっ、そうですね!」
天女が苦笑した。
「手足から解体していただいて、私が身動き取れなくなったところで、最後に首を掻き切って殺してください。身体を壊された自分が見たいのです」
「それじゃあ、身体のあらゆる出っ張りを切り落としてから殺すっていうのはどうですか」
悠生も提案をした。
「あらゆる出っ張りですか?」
天女が首をひねった。
「そうです。おっぱいとか耳をそぎ落としたり、片目だけ抉ってみるとか」
陵虐好きな悠生の本領発揮だ。
「素敵なご提案です!」
天女が両手を組んで喜んだ。
「天女さんがいいご提案をしてくれたからご褒美を差し上げますね」
悠生がカバンに手を入れた。
天女が目を輝かせている。
悠生がカバンの中から目打ちを取り出した。
「どこがいいですか?」
「腿の内側にお願いします」
「はい、分かりました」
そう言うと悠生は、プリーツのミニスカートを履いている天女の腿の付け根に目打ちを突き刺した。
「んふっ」
天女が声を漏らした。
目打ちは金の部分が全部天女に刺さっている。
悠生には、目打ちの先が大腿骨に当たった感触が伝わった。
「これだと持ち運びができて簡単に刺せるから便利ですね」
悠生が目打ちを引き抜きながら笑顔で言った。
「はい、ありがとうございます」
天女が拝礼した。
目打ちを抜いた跡は、小さな穴が残ったが血は出ていない。
人前で刺されるとき、天女は出血を抑えるように身体をコントロールしている。
「あ、包丁を探さないと」
悠生が本来の目的を思い出した。
二人で様々な種類の包丁を見て、これだったらどんな殺し方ができるとか、この包丁ならどこの肉が切り取りやすいかなどを話した。
結局、その日買った包丁は3種類になった。
骨スキ
骨から肉を切り離すための小ぶりの包丁。
皮ハギ
主に猪、豚、ときに牛の皮をはぐのに使う包丁。
ガラスキ
鳥を捌いたり、牛、豚の解体作業時に使用する専門的な包丁。小さい骨を切ったり、肉を切り離したりするため刃が厚め。
「お嬢さん方、屠殺とか肉屋さん関係なのかい?」
専門的な包丁を3丁も買ったのが若い女性二人だったので、会計をした店主が不思議そうに訊いてきた。
「いえ、私は普通のシステムエンジニアです」
悠生が平然と答えた。
「この包丁は、私を解体するために使います」
天女が笑顔で恐ろしいことを言った。
「え? え? 解体? お嬢さんを? それはまずいですよ。死にますよ」
店主の顔から血の気が失せた。
「ええ、死にます。私は死んでもいいんです」
天女がさらににっこりと店主を見つめた。
天女の言葉だけ聞くと、自殺願望が強いサイコパスのようだ。
店主は、見てはいけないものを見てしまったかのような恐怖に引きつった顔をしている。
「その皮ハギという包丁を出していただいてよろしいですか」
天女が店主に告げた。
「は、はい」
店主は、自分の意思ではなく、身体が勝手に動くような動作で皮ハギを箱から取り出した。
「ご覧ください」
皮ハギを受け取った天女は、右手に皮ハギを持ち、自分の左腿に当てた。
右手にぐっと力が入り、皮ハギを左右に引く。
皮ハギの刃が天女の腿を切り裂く。
腿から切り離された皮を左手でつまんで引っ張り上げ、さらに皮ハギで腿の皮を削そいだ。
表皮の下の白い脂肪の層にところどころ筋肉の赤い色が透けて見える。
「うっぷ」
店主が手で口を押さえた。
天女は、腿の皮を切り取って左手で目の前に持ち上げた。
「このように使う予定です」
切り取った皮を顔の前でぶらぶらさせながら天女が笑みを浮かべた。
「あ、はい、いや、あの、使い方は合っているんですけど、使う対象を間違えているというか、その、大丈夫なんですか?」
店主は顔面蒼白だ。
「ええ、私は痛みも感じませんし、死んでも平気です。ご主人も切ってみますか?」
天女がにっこりと微笑んで店主に皮ハギを差し出した。
「いやいやいやいや、とんでもない!!」
店主がレジから店の奥に逃げていった。
「逃げられてしまいました」
天女が意外だという顔で悠生を見つめた。
「うん、逃げるでしょうね、普通」
悠生は、逃げ出した店主の気持ちがよく分かった。
天女と生活し始めた頃の自分のことを思い出せばいい。
「天女さんも、あまり普通の人をからかったらダメですよ」
悠生が天女に釘を刺した。
物理的にではなく慣用句として。
「さっそく帰ったら解体しましょうか」
「はい、お願いします」
天女が頭を下げた。
「天女さん、生理食塩水を作ってください」
悠生が包丁を用意しながら天女に指示をした。
「かしこまりました」
天女が食塩を持ってバスルームに入った。
バスルームから天女の鼻歌が聞こえる。
これから解体されるのが楽しみで仕方ないのだ。
「生理食塩水ができました」
天女がバスルームから顔を出した。
「ありがとうございます。それじゃあ裸になってください」
返り血を浴びることになる悠生も全裸になり、包丁を持ってバスルームに来た。
「よろしくお願いいたします」
全裸の天女がバスルームに正座をして額を床に着けた。
「私の方こそよろしくお願いします」
悠生は、天女の頭を踏みつけながら返した。
「じゃあ、仰向けに寝てください。腕からいきますね」
「はい、かしこまりました」
天女が仰向けに寝そべり、腕を広げた。
悠生は、始めに左肩に包丁を入れた。
ざくざくと往復させながら、ぐるっと一周させて関節を露出させる。
切り口から血が流れ出て床を赤黒く染めた。
「あ、天女さん、出血を抑えてください。このままだと解体する前に天女さん失血死してしまいます」
天女の出血を見た悠生が指示を飛ばした。
「はい、承知しました」
肩からの出血が少なくなった。
肉を切り開いて露出させた肩の関節に包丁をがりがりと差し込んで切り離す。
最後は、腕を抱えるようにして関節をねじ切った。
「左腕が取れました」
悠生がにっこりと笑顔で天女に見せた。
「持たせてください」
天女が残っている右手を差し出した。
「はい、どうぞ」
悠生は、天女が抱きやすいように左腕を天女の右胸の上に置いた。
「ありがとうございます」
天女は、楽しそうに切り離された左腕を右腕に抱いた。
「次は左脚にします」
「はい」
悠生は、腿の皮がなくなっている左脚の付け根に包丁を入れる。
こちらは肩より肉が多いので、なかなか股関節まで刃が届かない。
何度も刃を往復させて、なんとか股関節を露出させることができた。
天女は、左腕を抱えながら、ときどき頭を上げて切られている部分を確かめるように見た。
「よいしょっと」
ごりっ
悠生が股関節をねじ切った。
「脚は重いんですよ。これで私も体力がつきました」
悠生が切り離した左脚を両手で抱えて切り口が天女から見えるように床に置いた。
「私の脚、太くないですか?」
天女が恥ずかしそうな顔をした。
「全然太くないですよ。きれいな脚です」
「そうですか。ありがとうございます」
「天女さん、起き上がって座れますか」
「はい、できます」
天女は、抱えていた左腕を床におろして、残った右手を使って起き上がった。
右手で身体を支えながらバスタブに寄りかかるようにして座った。
「誰が寄りかかっていいって言いましたか? 天女さんの座り方は正座しかないんですよ」
悠生がにこやかに指示した。
「え、左脚がないのに正座ですか? そんなあ……」
天女が困った。
「できないですか?」
「いえ、やります」
やりますと言ったものの、片足が付け根からない状態でどうやって正座したらいいのか分からなかった。
「あの、悠生さん……」
天女がすがるような目で悠生に呼びかけた。
「なんですか」
悠生が優しく答えた。
「どう考えても片足がないと正座は無理だと思います」
「私の指示がきけないんですね」
「はい、ご指示どおり動きたいのですが、正座はできません」
天女が涙目になった。
「そうですか。それじゃあ罰ですね」
「え、本当ですか!」
一転して天女の顔が明るくなった。
「そうですよ。私の指示を聞かない耳は不要ですよね」
「はい、必要ありません」
「どうなるか分かりますね」
「はい、切り落としてください」
天女が嬉々として耳を見せた。
悠生は、包丁をガラスキに持ち替えて、天女の右耳をつまんだ。
ごりっ
耳の上から包丁を入れ、軟骨に刃を食い込ませた。
つまんだ耳を引っ張りながら、包丁を往復させて頭から切り離す。
ぶちっ
最後は耳たぶを引きちぎった。
「右耳、とれましたよ」
悠生が切り離した耳を天女に見せた。
「ありがとうございます」
天女は幸せそうな顔をした。
「はい、あーん」
悠生が言った。
「あーん」
天女が釣られて口を開けた。
「んご」
天女の口に耳が押し込まれた。
「左耳を切り取るので、ちょっと咥えててください」
「あい」
天女がこくこくと頷いた。
悠生は、左耳も同じようにそぎ落とした。
「はい、右耳ありがとうございました」
悠生が天女の口の前に手を出した。
「んあい」
天女が悠生の手の上に右耳を吐き出した。
「じゃあ、これはお風呂に入ってもらいましょうね」
そう言ってそぎ落とした耳をバスタブに放り込んだ。
「ひっ」
天女が恐怖の声を上げた。
悠生が眼孔に指を突っ込んだのだ。
天女が恐怖の声を上げたのは、これが初めてだった。
痛いからではない。
突然、目の中に指が入ってきて驚いたのだ。
悠生は、眼孔の奥までぐりぐりと指を突っ込み、眼球の裏側に回すと、二本の指で眼球をすくうように引っ張り出した。
ぶつっ
眼球の奥でつながっていた視神経が切れた。
「天女さんの目玉ですよ」
悠生がくり抜いた眼球を天女の残った目の前に差し出した。
「目の中に指が入ってきてびっくりしました」
天女が笑った。
「じゃあこれもお風呂に入りましょう」
悠生が眼球にキスをしてバスタブに投げ入れた。
「ああ、畏れ多いことです」
天女が感激して片目を潤ませている。
「かなり解体できましたね」
「そうですね。ありがとうございます」
「そろそろ逝きますか?」
「いよいよ殺されるのですね」
「はい」
「わくわくします」
悠生は、バスタブに寄りかかっている天女を回転させて、バスタブに向かい合わせにさせた。
「右腕をバスタブの縁にかけて、上半身を乗り出すようにしてください」
悠生が指示をした。
天女は、右腕だけを使って言われたとおりの姿勢をとった。
「じゃあ、逝ってらっしゃい」
悠生が楽しそうに死を宣告した。
「はい、逝って参ります」
天女が死の挨拶をした。
悠生は、天女の後ろに立ち、左手で天女の頭を抱え込んで顎を上げさせた。
そして、右手に持っている包丁を天女の喉に当て、動きを止めた。
天女にこれから頸動脈を切ることを教えるためだ。
包丁を左から右に滑らすように動かす。
天女の首が切れて血が流れ落ちる。
まだ頸動脈には達していない。
悠生は、もう一度、天女の首を切った。
勢いよく血がバスタブに流れ込んだ。
頸動脈を切ったのだ。
「ああ、私の血がなくなっていきます」
天女がうっとりとした声を出した。
「目の前が暗くなってきました」
「死にます」
それが最期の言葉だった。
天女は、軽く痙攣しながら死んだ。
天女が死んでいく様子を見ていた悠生は、なぜかとても興奮した。
まだ温かく痙攣している天女の死体を抱きしめた。
悠生は、天女の血にまみれながらクリトリスを刺激した。
あっという間に絶頂に達してしまった。
一度絶頂に達しただけでは全然物足りなかった。
悠生は、天女の死体を抱いたまま何度も何度も絶頂し、オナニーに耽ふけった。
天女を殺すことが何物にも代えがたい性的な興奮を招くことに気づいた。
「腐る前に呪詛を唱えなきゃ」
悠生は、まだ物足りなかったが、天女の死体を全部バスタブに投げ入れ、カイソの呪詛を唱えた。
シャワーで血を洗い流してバスルームを出た。
いつも天女がだらしなく横たわっている人をダメにするクッションに横になった。
天女が死んだときの痙攣する死体を抱いた感触が蘇ってきた。
悠生は、我慢できなくなりまたオナニーを始めた。
結局、その晩は何回オナニーで絶頂に達したか分からない。
「天女さん!」
最後は天女の名を呼んで気を失った。
目が覚めると、テーブルの上の取扱説令書に項目が増えていた。
3 普段のお手入れ
◯できるだけ過酷な暴力を与えてください。
◯標準的な辞書程度の語彙力を持っています。
◯ほめられることが罵倒に、罵倒されることがほめられることになります。
◯普通の人にとって痛いことが癒やしや愛情になります。
◯ときに痛みが性的快感に代入されますが、ランダムな確率です。
◯痛みは感じません。
◯怪我をさせても大丈夫。死なない限り自分で勝手に再生します。
◯痛みを求めたときは、できるだけ与えてあげましょう。
◯相手に災いをもたらす呪詛を使いますが、レベル感が分かっていません。
◯身を隠す呪詛を使います。
◯高御産巣日神の名をもって神命を下すことができます。
◯ファッションは、ゴスパンを好み、巫女さんの衣装を嫌います。
◯下着が汚れません。
◯自分でピアスを開けることができます。
◯高天原に対する反抗心を抱いています。
◯血を吐くまで殴れます。
◯吐いた血は自分で掃除させてください。
◯自力歩行不能又は死んだときは恢蘇の呪詛で再生します。
◯相談は有料です。(タダにしてあげるから天女には内緒にしてよね)
◯天女は食べられます。
◯おいしい部位はハムストリングで、お勧め調理法は、骨付き肉のオーブン焼きです。
◯高木神は、下界でドMの食用家畜でした。(だからそれはやめて!)
◯AC100ボルトを直に流すと死にます。
◯死体の移動は分解しないと大変重いです。
◯再生中、ヒルコの状態を経由します。
◯天女は、ヒルコの血統を受け継いでいます。
◯再生するとカラーリングした髪は元に戻ります。
◯天女のプログラムと言語テーブルは、オンメモリーなのでライブで修正したら再起動で反映されます
◯ぽんこつだった天女の言語テーブルだけは修正されました。
◯悠生さんの神性が上がりました。
◯再生後、安静は不要です
◯性器に包丁を突き刺しても大丈夫です。
◯子宮口に包丁を刺すとコリコリした軟骨のような感触があります。
◯片足のモモ肉を削ぎ落としても自立歩行可能です。
◯モモ肉は、唐揚げにするとおいしいです。
○天女の寝姿を見ることはできません。
○舌も食べられます。
○桜の花を咲かせる力があります。
○神を人間支配の道具に使われることを極度に嫌い怒ります
○高木神がメイド服でコスプレをするために高木さんとして下界に降臨しました。(言うんじゃないわよ)
○「アレ」の呪詛で混在する肉片の中から天女の肉片を見つけることができます。
○海水を満たしたペットボトルに肉片を保存すると再生したとき「しょっぱ」と文句を言われます。
○お腹から飛び出した小腸は、元に戻しにくいです。
○目の前でオナニーをしても気にしないでください。
○暴力は、見た目の残酷さを重視します。
○千切れた乳房は、ゴミとして捨ててください。
○酒に酔うとビッチになります。(知らなかったわよ)
○処女です。
○フィストファックができます。
○損傷した処女膜は、一度殺して再生させると復活します。
○首を絞めると死にます。
○天女は人前でも平気で皮をはぐなどの身体破壊をします。
○主の指示に従えないことをひどく悲しみます。
○指示に従えないことに罰を与えると、いつも以上に喜びます。
○痛みは感じませんが、いきなり目に指を突っ込むと驚きの声を上げます。
○失血死させると「逝って参ります」と挨拶をして死にます。
◯天女を殺した回数: 4(感電死、爆死、扼殺、失血死)