再生した
「せっかくさんに金髪にしていただいたのに残念です」
天女がしょんぼりした。
「いいじゃないですか。また染めましょう。今度は赤とかどうですか?」
悠生が違う色を提案した。
「赤ですか! 縁起が良さそうで素敵です」
「紅白幕じゃないんですよ」
悠生が失笑した。
「天女さんは、再生したらしばらく安静の期間とかがあるんですか?」
「いいえ、再生したらまったく普通の完全体です」
「すぐに天女さんを壊しても、また普通に再生できるんですか?」
「もちろんできます。殺していただいても再生できます」
「そうなんですね。じゃあ、早速で悪いんですけど、お肉を提供してもらっていいですか? 天女さんの再生が気になって買い物にも行けてなくて、お肉を切らしちゃってるんです」
「ぜひお使いください! お肉を切らしたから私を切らせろということですね」
「誰がうまいことを言えと……」
悠生が吹き出した。
「それじゃあ、シチューを作りたいので、モモ肉を切り取らせてください」
「はい、お願いします」
天女が全裸になってハムストリングを差し出した。
「ここで切るとキッチンが血だらけの殺人現場みたいになっちゃいます。バスルームでやりましょう」
「はーい」
天女は鼻歌交じりに足取りも軽くバスルームに入っていった。
悠生は、包丁と大きめのボウルを用意して天女の後を追った。
包丁を持って神の後を追うサイコパスのようだ。
「じゃあ、うつ伏せになってください」
「かしこまりました」
天女が床に伏せ、肉を切り出しやすいように両足を広げた。
悠生の場所から天女の肛門と性器が丸見えになった。
他人の性器や肛門をしげしげと見るのは初めてだった。
一瞬、天女の性器に包丁を突き立てたい衝動に駆られた。
しかし、それは肉を提供してもらうことと関係ないと自分を納得させ、深呼吸で自制した。
「刺していいのですよ」
悠生の衝動を察したのか、天女が顔を悠生に向け、右手を身体の前から股間に回して、人差し指で性器を指して言った。
悠生は、自分の考えていたことをずばっと指摘されうろたえた。
「いえ、ダメです。そ、そんなことできません」
「遠慮することありませんのに……」
天女の顔は期待に満ちている。
「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
悠生の声が少し震えていた。
「ええ、大丈夫です。私は刺していただきたいのです」
天女が目で訴えた。
「刺して……いいですか?」
「はい。お好きなだけ」
ぶちゃ ごりっ
悠生が天女の性器に包丁を差し込んだ。
手前の方で肉が切れ、奥の方では何か硬い軟骨のようなものに突き刺さった感触があった。
「んあ!」
天女が声を上げた。
「痛かったですか?」
悠生が心配して声をかけた。
「いえ、気持ちよくて。すみません、余計なご心配をおかけしてしまい」
天女が謝った。
「天女さん、いま奥の方でごりっという手応えがあったんですけど、どこに刺さったんですか?」
「それは子宮口です。子宮口は、こりこり硬いのです」
「そうなんですね、知りませんでした」
天女の性器から鮮血が流れ出している。
みるみるうちに風呂場の床が血で染まった。
「もう一回だけ刺していいですか?」
悠生は、一回目に刺したときの感触をもう一度味わいたくなった。
「はい、ざくざくとどうぞ」
天女はニコニコと嬉しそうに答えた。
「ありがとうございます」
悠生は、礼を言うと包丁を股間から引き抜いた。
包丁とともに鮮血があふれ出た。
じゅぶっ
さっきより力を込めて性器に包丁を突き立てた。
一回目より深く刺さった。
「天女さん、楽しいですね」
「はい、楽しいです」
「あ、お肉をもらうのを忘れるところでした」
悠生が苦笑した。
「切りますよ。痛かったら教えてください」
「痛いという感覚を知ってみたいです」
天女が笑った。
悠生は、性器から包丁を抜いて、天女の右内腿に包丁を当てた。
包丁の先が皮膚に食い込む。
包丁を握る手にぐっと力を入れて内側から外側に向けてぐるっと円を描くように刃を進めた。
お尻の下あたりが横一直線にぱっくりと口を開けた。
皮膚の下に白っぽい脂肪の層が見えた。
まだ肉までは達していなかったようだ。
切り口から血がにじみ出た。
悠生は、開いた切り口に包丁を当てて、勢いよく横に引いた。
さっきより深く切り込むことができ、肉を見ることができた。
何度か横に切り込み大腿骨に当たるくらいまで切り開いた。
次に腿の両側を縦に切る。
こちらも大腿骨に当たるくらいまで切った。
天女は涼しい顔をして作業の進み具合を見守っている。
風呂場は血だらけになった。
悠生は、左手で天女の腿の肉をつかむと大腿骨が見やすいように引っ張った。
「ふん」
天女が甘ったるい声を出した。
右手に持った包丁を深く差し込んで大腿骨から肉を剥がすように何度も往復させた。
天女が軽く震えている。
「痛いですか?」
悠生が天女の具合を気遣った。
「いいえ、気持ちよくて身体が動いてしまいます。作業のお邪魔になってしまいすみません」
天女が吐息混じりに謝った。
「全然邪魔じゃないですよ」
悠生が最後に残った皮を切って肉の塊を切り出した。
「切れましたよ。肉を切り出すのって大変なんですね」
切り出した肉を天女に見せた。
「たくさん取れましたね」
天女が喜んだ。
肉を切り出し終わると、それまであふれるように流れ出していた血がぴたりと止まった。
もう再生が始まっているようだ。
「天女さん、立てますか? 立てないなら呪詛を唱えますけど」
「大丈夫です。立てます」
天女は、バスタブにつかまって、左足だけで立ち上がった。
「じゃあ私はごはんを作りますね」
悠生がボウルに肉を入れ、バスルームを出てキッチンに向かった。
天女は、シャワーで自分の身体に着いた血を洗い流して、バスルームの床もきれいに磨いた。
バスルームから全裸で出てきた天女は、右足に力が入らないようで、ずるずる引きずっている。
家具につかまりながら、左足だけでぴょんぴょん跳ねて移動する。
とても不便そうだが天女はその不便さを楽しんでいるようだった。
悠生は、キッチンでまな板の上に天女の肉を皮を上にして載せた。
調理をする上で皮と脂肪は捨ててしまってもよかった。
でも、天女の身体を切り取らせてもらったものだ。
捨てるところなどない。
皮側から包丁を入れ、一口大に切り分けた。
思ったよりたくさんの肉ができた。
予定していたシチューに使ってもまだ余る。
悠生は、シチューに使わなかった肉を醤油と生姜で漬け込んだ。
味がしみたところで唐揚げにする。
その晩、大和方の食卓には、天女の肉で作ったホワイトシチューと唐揚げが並んだ。
悠生と天女が向かい合わせにテーブルについた。
天女は、まだ右足が動かないのでショーツを履くことができないため、薄手のシャツを羽織っただけの状態で椅子に座った。
右太ももの肉がない天女は、少し右に傾いている。
「いただきます!」
二人揃って手を合わせた。
悠生は、心から感謝をしながら手を合わせていた。
天女は、悠生が先に箸をつけるまで絶対に食べない。
悠生が食べてもいいと勧めてもニコニコしながら待っている。
まず悠生が唐揚げを口に運んだ。
一口サイズの唐揚げを頬張った悠生が目を丸くした。
「天女さん、おいしいです!」
悠生が箸を置いて右手の親指を立てた。
「悠生さん、それは、私をお呼び立てなのですか、それとも私の肉がおいしいとおっしゃっているのですか?」
天女が苦笑した。
「あ、どっちもです。どっちも」
悠生が、手で口を押さえて質問に答えた。
「それはよかったです」
天女が手を頬に当てて笑顔をほころばせた。
「人間の肉がこんなにおいしいなんて知らなかった」
スプーンでシチューをすくい、口に運んだ悠生が満足げにつぶやいた。
「世界中のほとんどの方がご存知ないと思います」
天女が失笑した。
「あ、そうですよね!」
自分の発言がとんでもないことを言っていると気づいた悠生は、赤面した。
「はい、天女さんもどうぞ」
悠生が箸で唐揚げをつまみ上げて天女の口許に運んだ。
「ありがとうございます」
天女は、嬉しそうに口を開いた。
「どうですか、ご自分の肉の味は」
悠生が小首をかしげた。
「おいしいです!」
天女が手を合わせて喜んだ。
「天女さん、今度はお刺身にしましょうよ」
悠生が唐揚げを頬張りながら提案した。
「素敵です。ここで切って召し上がってください」
テーブルで肉を切り出して生食にしようというのだ。
「やりましょう、やりましょう」
悠生も乗り気になった。
悠生と天女は、二人でシチューと唐揚げを堪能した。
「ごちそうさまでした」
悠生は、肉を提供した天女に感謝した。
天女は、調理した悠生に感謝した。
二人で後片付けをしたあとは、いつものようにリビングでくつろいだ。
天女は、人をダメにするクッションにだらしなくもたれかかって薄い本を読んでいる。
「悠生さん、この本は、とてもかわいらしい絵柄なのに、女の子が次から次へと惨殺されていきます。美少女が殺されていくマンガは、ゾクゾクします」
天女が悠生に読んでいる本を見せた。
「あ、これは戦車道という架空の武芸を題材にした学園ものの二次創作ですね、私は、これの元ネタになっている作品が好きなんです」
悠生がにこやかに答えた。
「元ネタは、どんなお話なのですか?」
天女が原作に興味を示した。
「大洗という所を舞台にした学園ものです。映画化もされていて、舞台になっている地元といい関係を築いているのが特徴です」
かなりざっくりした説明ではあったが、間違ってもいない。
「こんなにたくさん死人が出るのですか?」
「原作では死にませんよ」
悠生が苦笑しながら説明した。
「大洗というところに行ってみたいです。磯前神社の大国主様にもお会いしたいです」
さすが高天原から遣いに出された神だ。
神社のことには詳しい。
「そうですね。ちょうど週末にこの作品をテーマにしたイベントがあるみたいですから、行ってみましょうか」
「本当ですか? ありがとうございます」
天女が悠生の手を取って喜んだ。
テーブルの上の取扱説令書に項目が増えた。
3 普段のお手入れ
◯できるだけ過酷な暴力を与えてください。
◯標準的な辞書程度の語彙力を持っています。
◯ほめられることが罵倒に、罵倒されることがほめられることになります。
◯普通の人にとって痛いことが癒やしや愛情になります。
◯ときに痛みが性的快感に代入されますが、ランダムな確率です。
◯痛みは感じません。
◯怪我をさせても大丈夫。死なない限り自分で勝手に再生します。
◯痛みを求めたときは、できるだけ与えてあげましょう。
◯相手に災いをもたらす呪詛を使いますが、レベル感が分かっていません。
◯身を隠す呪詛を使います。
◯高御産巣日神の名をもって神命を下すことができます。
◯ファッションは、ゴスパンを好み、巫女さんの衣装を嫌います。
◯下着が汚れません。
◯自分でピアスを開けることができます。
◯高天原に対する反抗心を抱いています。
◯血を吐くまで殴れます。
◯吐いた血は自分で掃除させてください。
◯自力歩行不能又は死んだときは恢蘇の呪詛で再生します。
◯相談は有料です。(タダにしてあげるから天女には内緒にしてよね)
◯天女は食べられます。
◯おいしい部位はハムストリングで、お勧め調理法は、骨付き肉のオーブン焼きです。
◯高木神は、下界でドMの食用家畜でした。(だからそれはやめて!)
◯AC100ボルトを直に流すと死にます。
◯死体の移動は分解しないと大変重いです。
◯再生中、ヒルコの状態を経由します。
◯天女は、ヒルコの血統を受け継いでいます。
◯再生するとカラーリングした髪は元に戻ります。
◯天女のプログラムと言語テーブルは、オンメモリーなのでライブで修正したら再起動で反映されます
◯ぽんこつだった天女の言語テーブルだけは修正されました。
◯悠生さんの神性が上がりました。
◯再生後、安静は不要です
◯性器に包丁を突き刺しても大丈夫です。
◯子宮口に包丁を刺すとコリコリした軟骨のような感触があります。
◯片足のモモ肉を削ぎ落としても自立歩行可能です。
◯モモ肉は、唐揚げにするとおいしいです。
◯天女を殺した回数: 1