女子高生准査ヌルデバと萌える寄生虫の共生捜査本部 作:ぬるでば
「あー、今日は面接の日か。かったりーなー」
お盆を過ぎ、そろそろ夏休みの宿題の進捗が気になり始めるころ。
茶々は、自分の部屋でくわえ煙草のまま机の上に足を投げ出し、ボサボサの頭を掻いた。
机の上の灰皿には、吸い殻が山のように積まれている。
机の前の壁には液晶モニターが4枚、アームに支えられて据え付けられ、それぞれに怪しげな情報が映し出されている。
昼間でも部屋のカーテンは閉め切っている。
牛乳瓶の底のようなメガネをかけ、ノーブラで襟が伸び切ったヨレヨレのロングTシャツを着た茶々からは、とても普段の姿を想像することはできない。
ただの薄汚い女だ。
警察手帳は床に放り投げられ、県警から貸与されたワルサーPPKを収めたレッグホルスターもベッドの上に転がっている。
県警の監察が見たら卒倒するに違いない。
「ん?」
1枚のモニターに新規メッセージが届いていることを知らせるダイアログが出た。
茶々は、メッセージ画面を開いた。
POLICE: ヌルデバ、起きてるか?
メッセージの相手は、県警のエージェントだった。
このエージェントは、1年前、茶々を逮捕にまで追い込んだ凄腕のサイバー犯罪捜査官で、そのとき以来の付き合いとなっている。
しかし、茶々はまだ一度もエージェントと会ったことがない。
エージェントの性別も年齢も分からない。
エージェントとは、このメッセージでのやりとりだけで通じている。
茶々は、エージェントに対して、自分を逮捕にまで追い込んだ憎むべき相手であると同時に、自分より高度なスキルを持ったHackerとして尊敬の念を抱いている。
「バカじゃねーの。起きてなきゃこれ見れないじゃん」
茶々は言葉とは裏腹にウキウキしながらチャットに参加した。
/dev/null: 起きてるよ
「/dev/null」というのは、茶々のUG界でのハンドルネームだ。
パソコンの出力は、一般的に標準出力といわれるコンソール画面に表示される。
しかし、この出力先を/dev/null、つまりヌルデバイスに指定すると、画面をはじめとする一切の出力がなくなる。
そこにいるのに姿を見ることができない存在という意味でハンドルネームとして使っていた。
使って「いた」という過去形なのは、逮捕をきっかけに茶々はアンダーグラウンドの世界から姿を消し、このエージェントとのやりとりにだけ使うようになっていたからだった。
県警のエージェントが呼んだ「ヌルデバ」は、ヌルデバイスを略したものだ。
茨城県警に逮捕されるまで、茶々は、セキュリティ界では名の知れた大物Crackerだった。
普通のクラッカーは、システムを破壊したり、個人情報を抜き取ったりする。
要は迷惑行為をする。
ところが、ヌルデバは逆だった。
システム設計上の穴やプログラムの欠陥をついてシステムに侵入するところまでは普通のクラッカーと同じだが、そこからが違った。
ヌルデバは、システムやプログラムの欠陥を指摘するメッセージと署名を残して去っていった。
ときには欠陥を修正することもあった。
とはいえ、たとえ義賊のようなことをしていても、クラッカーはクラッカーだ。
権限のないシステムにネットワーク経由で侵入すれば不正アクセスになる。
全国の警察がヌルデバ検挙のためにしのぎを削っていた。
どこが先にヌルデバを捕まえるか。
警察庁も関心を持って全国警察の捜査を見守っていた。
しかし、茶々は慎重に不正アクセスを重ねていたため、警察はなかなかヌルデバの発信元を特定することができなかった。
茶々は、海外にいくつも踏み台を持ち、無数のbotとそのbotをコントロールするためのbotを数多く抱えていた。
これらを縦横無尽に経由して不正アクセスしていたからだ。
茨城県警も例外ではなく、ヌルデバ検挙に力を注いでいた。
茨城県警には、凄腕のサイバー犯罪捜査官がいた。
「ヌルデバは、必ず警察のシステムを狙う」
この警察官は、そう予測を立て、ヌルデバを捕捉するためのハニーポットを構築してヌルデバを待ち受けた。
「警察のシステムって入っても面白くないのよね。外側のネットワークと業務用のネットワークが物理的に切り離されてるから、たいした情報も見れないし」
当時16歳の茶々は、全国の警察システムに攻撃を仕掛けて侵入を試みていた。
侵入自体はそれほど難しくなかった。
しかし、ヌルデバとして触りたいと思わせるほどの穴や不具合をみつけることができなかった。
「あれっ、ネットワーク構成が変わった?」
ある日、茶々は地元茨城県警のシステムに侵入しようとして弾かれた。
それまで容易に侵入できていたシステムだったのに、突然、侵入することができなくなっていた。
侵入できないシステムを見つけるとクラッカー魂に火がつく。
「やってくれるじゃない、茨城県警。よーし、絶対入ってやるんだから」
茶々は、懸命に茨城県警のシステムに侵入しようと様々な手法を試みた。
開いているポート番号からそのシステムで動いているサービスを特定する。
サーバを動かしているOSの種類とバージョンを特定して、既知の脆弱性にパッチが当てられているかを調べる。
SQLインジェクションやディレクトリトラバーサルといった古典的な手法も試す。
あまりにも古典的な攻撃に対しては、管理者が油断して対策を取っていない場合があるからだ。
茶々が攻め落とそうと夢中になっていたサーバーは、エージェントが仕掛けたハニーポットだった。
茶々は、できの悪いハニーポットであれば簡単に見破ることができたが、そのサーバーは茶々にも見破ることができないほど精巧に作り込まれた逸品だった。
茶々がサーバーを攻撃している間、彼女の挙動はすべてエージェントがリアルタイムに監視していた。
そして、ついにエージェントは茶々の通信からフィンガープリント、つまり通信に含まれる特徴的な痕跡を特定することに成功した。
すぐにエージェントは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに(ネットワーク経由で)飛んだ。
そこで国内インターネット網の根っこに当たる海底ケーブルのひとつが引き込まれている施設を(ネットワーク経由で)訪れ、(無断で)スニッファーを仕掛けた。
もちろんこれは不正アクセスと裁判所から令状の発付を受けていない無令状による違法な通信傍受だ。
スニッファーを仕掛けたことで、国内で行われるインターネット通信のほとんどすべてを傍受することができるようになった。
しかし、国内での総通信量から考えて、すべての通信を傍受して解析することは不可能だし非効率的だ。
エージェントは、ハニーポットで特定したヌルデバのフィンガープリントをトリガーに設定して、ヌルデバの通信だけを捕捉する態勢を取った。
ヌルデバのフィンガープリントは、TCP/IP通信のパケットをビット単位まで分解してはじめて分かる低次の部分にあった。
TCPパケットには、TCPヘッダといわれる部分がある。
ここがTCP通信を行うために必要な情報のやりとりに使われている。
TCPヘッダは20バイトのデータ量を有する。
1バイトが8ビットだから、20バイトは160ビットになる。
つまり、1と0が160個並んでいるデータが20バイトだ。
茶々は、TCPヘッダの110番目のビットに目をつけた。
それはSYNフラグを立てるために使われる。
TCP/IP通信は、コネクションを確立するため「3ウェイハンドシェイク」という手続きを要する。
まず初めに接続を要求する側がビット110に1を立ててSYNを送信する。
SYNの立っているパケットを受け取った受信側は、返答としてSYN/ACKのフラグが立ったパケットを返す。
SYN/ACKを受け取った接続要求側は、ACKを返す。
この三つのやりとりが成功して初めてコネクションが張られることになる。
そして、TCP/IP通信において3ウェイハンドシェイク以外の場面でSYNフラグを使用することは許されていない。
ところが、現在幅広く普及しているUNIX系OSに、3ウェイハンドシェイク以外の場面でSYNフラグが立ったパケットを受け取った場合、接続元に管理者権限を与えてしまうというバグがあることを茶々がみつけたのだ。
これは、未知の攻撃手法で茶々にしか使えない。
完全にユニークな攻撃手法だったことから、ヌルデバのフィンガープリントとして同定された。
エージェントは、通信が海外に出る前、国内でヌルデバのフィンガープリントを捕捉して、発信元の特定を行おうとしたのだ。
茶々は、念のため国内でもログを残さない踏み台を経由させていた。
しかし、国内で踏み台を経由していようが、フィンガープリントを同定してしまえば、発信元を特定するのは簡単だ。
エージェントは、あっという間にヌルデバの正体を掴み、茶々の自宅に対する捜索差押許可状を取ってしまった。
茨城県警のガサを受けた茶々は、自分がみつけた未知の攻撃手法を見破った県警に敬服してすべてを自供し、のちに逮捕された。
茶々は、警察が違法な捜査をしないかぎり自分にたどり着けるはずがないことを分かっていた。
それを盾に争えば、警察の捜査で集められた証拠が違法収集証拠となって、家庭裁判所で非行なしの審判を勝ち取ることもできたに違いない。
だが茶々はそれを良しとしなかった。
違法であろうが何であろうが警察が自分より知識とスキルで勝っていたという事実を受け入れ、負けを認めた。
県警は、茶々の手法を「110Exploit」と命名し、JPCERT経由でセキュリティ情報として発表した。
そして、すぐにこのバグを修正するパッチが配布されることとなった。
実は、この逮捕には裏があった。
数年前、刑事訴訟法などの大きな改正があり、それまでできなかった司法取引がサイバー犯罪に限って可能となっていた。
逮捕後、司法取引によりヌルデバをホワイトハッカーとして警察側に取り込むことが県警の真の目的だったのだ。
茶々には、次のような条件が提示された。
今回の事件に関しては、検察官に送致もしないし、少年審判も開かない。
それだけではなく、逮捕の事実すら記録に残さない。
つまり、事件そのものをなかったことにする。
その代わり、茨城県警警察官となり、今後の捜査に協力する。
警察官の身分は持つが、県警側から指令があったときだけ協力すればよく、それ以外は今までと同じ生活を送ることができる。
ただし、定期的に県警の面接を受け、活動の報告と指示を受けること。
任期は3年間、茶々が希望すれば1年ごとに延長することができる。
そして、何よりも茶々の心を動かしたのは、逮捕事実のもみ消しよりも次の条件だった。
「お小遣いをあげるよ」
これが決定打だった。
県警が提示した条件を総括すると「県警に金で飼われた犬になれ」ということだった。
ドMの茶々は、喜んで尻尾を振り服従を誓った。
「飼われるのはいいけど、首輪されんのけ?」
茶々が期待に胸を高鳴らしながら担当警察官に訊いた。
普段、つとめて茨城弁を使わないようにしている茶々だったが、性的に高まると茨城弁が出てしまうことがある。
「首輪はしません。ですが、ヌルデバさんが承諾してくれるのであれば、ICチップを身体に埋め込ませてもらいます。このICチップでヌルデバさんの居場所を県警が常時監視します。勘違いされると困るのであらかじめ説明しますが、この監視はヌルデバさんの安全を確保するためです。たぶん他の目的や意図はありません。また、任期満了時には、県警が責任を持って摘出します」
警察官が説明した。
「あっそ。わかった。いいよ」
元々身体改造が好きでピアスも友達よりたくさん開けている。
自分の身体にICチップという異物を埋め込まれると言われたときは、ぞくぞくして鳥肌が立つほど興奮した。
素っ気なく答えていたものの、茶々はショーツのクロッチが生温かくぬめるのを感じた。
こうして司法取引は成立した。
茶々は、逮捕の翌日に釈放され、県警が指定する病院でICチップの埋め込み手術を受けることになった。
明るい手術室の中央に据えられた手術台にうつ伏せで横たわる茶々の姿があった。
「うう……おっぱい潰れる」
茶々は自分の巨乳が押しつぶされそうな感じがして苦しかった。
首の局部麻酔が施され、周囲の消毒が行われた。
電気メスを使うため、身につけている金属製品はすべて取り外さなければならなかった。
ピアスを取り外した茶々の耳には、大きな穴がいくつも開いている。
その穴を指でなぞるのも快感だった。
ジジ……
チリチリ……
局部麻酔のため、電気メスで首が切開されている音を間近に聞くことができる。
いま、まさに自分の首が切り開かれていると思うと、茶々は興奮して息が荒くなった。
「大丈夫ですか?」
看護師が心配そうに茶々の顔を覗き込んだ。
極度の緊張で呼吸が速くなったのではないかと思ったらしい。
「あ、大丈夫。切られてるのが楽しくて興奮しただけ」
茶々は、明け透けに被虐嗜好を披露した。
相手が守秘義務のある医療関係者だと思うと、遠慮なくカミングアウトできた。
麻酔が効いているのではっきりした感覚はないが、首の骨をごりごりといじられているような気がした。
「ICチップって骨に埋めるの?」
茶々は少し不安になった。
「あとは縫合して終わりです」
執刀医が茶々に声をかけた。
痛くはないが、首を縫われている感覚はある。
「わーい、あたし縫われてる」
また茶々が息を荒くした。
手術は成功した。
簡単な手術ではあったが、骨に加工を加えたのでその日は入院して様子をみることになった。
「なんで骨?」
茶々が執刀医に質問した。
「頚椎にごく細い電極を差し込みました」
医師は、さらりと説明した。
「ふーん、電極をね。そうなんだ」
茶々は深く考えずに納得した。
ICチップ埋め込み手術の後は、県警本部で警察手帳を作り、拳銃が貸与された。
拳銃は、小型でありながら故障が少なく信頼性が高いワルサーPPKが選ばれた。
警察学校の射撃場で拳銃操法を習ったが、拳銃に興味がない茶々は上の空でまったく身につかなかった。
「とりあえず貸与はしましたけど、絶対に撃たないでください」
拳銃教官が茶々に懇願した。
県警での手続きがすべて終わり、普段の生活に戻った茶々は、事の顛末を龍生に隠さず話した。
なにかにつけて一緒にいることが多い龍生には、内緒にしていてもいずれ自分の変化がばれてしまうと思ったからだ。
龍生に隠し事をしたくないという気持ちもあった。
「そうなんだ。それでヌルデブ准査になったんだね」
茶々の話を聞いた龍生は、驚きもせず納得したような顔をした。
「デブって言うなし!」
茶々が笑いながら口を尖らせた。
龍生にからかわれるのは嫌いではなかった。
むしろ好きだった。
「なあ龍生」
「なに?」
「この警察手帳に書いてある階級だけど『准査』って誤字じゃね?」
茶々が階級に疑問をもった。
「そんなこと書いてあった?」
「うん。ほら、ここ」
茶々が手帳の階級表示を見せた。
「ほんとだね。間違えたのかな?」
龍生が笑った。
/dev/null: おっさん、質問いい?
POLICE: どうぞ
/dev/null: あたしの階級、准査って誤字だろ?
定期面接の日、茶々はエージェントとのチャットで准査について質問してみた。
POLICE: いや、それでいい
/dev/null: 嘘だー、wikiで調べてもそんな階級ねえぞ
POLICE: ホワイトハッカー、つまり非公然警察官用の階級だから公表されていない。普通は巡査だが、お前らホワイトハッカーは正規の巡査じゃない。だから巡査に准ずるっていう意味で准査だ
/dev/null: ふーん、これでいいんだ。難しい漢字使うなよ。わかんねーよ
POLICE: リファレンスばかり引いてないで、たまには辞書も引け
/dev/null: うっせー、バーカ!
POLICE: バカって言ったら自分がバカなんだぞ
/dev/null: 超むかつく!
/dev/null: 今日の面接だけど、かったるいからパスな
POLICE: ダメだ。定期面接が司法取引の条件だ。勝手にキャンセルすることは許されない
/dev/null: ずっと真面目に行ってたじゃん。一回くらいぶっちさせろよ。おやすみ~
「ったく、毎月面接なんて行ってられっかよ」
茶々は、牛乳瓶の底のようなメガネを外して煙草に火を着けた。
「痛っ!」
突然、頭が締め付けられるように痛みだした。
普段あまり頭痛になることはない。
「珍しく頭痛かよ。ほっときゃ治るだろ」
そう思って痛みを我慢しながら煙草をふかしていたが、痛みは一向に治まる気配を見せない。
POLICE: 頭が痛いか
エージェントがチャットで話しかけてきた。
茶々は、なぜエージェントが自分の状態を把握しているのか不思議に感じた。
「まてよ。ICチップは、あたしの居場所をいつも見張ってるんだよな。もしかしたらバイタルセンサーでも付いてるんじゃねえの?」
/dev/null: おい、おっさん。お前が埋め込んだICチップだけどよ。余計な機能付いてねえか?
茶々は、痛みに顔を歪めた。
POLICE: ヌルデバは、西遊記を知ってるか
/dev/null: 知ってるよ
POLICE: それに出てくる孫悟空の頭にはめられている輪があるだろう
/dev/null: ああ、あれな。お釈迦様のいうことをきかないと輪っかが締まって痛くなるっていう……
「あーっ!!」
茶々は声を上げた。
/dev/null: てめー、ICチップにあれを仕込んだのかよ!?
POLICE: 大正解。ヌルデバが県警の指示に従わないだろうと予想した我々は、指示に従わない場合、制裁が課せられるようにした
/dev/null: なんて奴だ。わかった。悪かった。面接に行くから痛いのを止めてくれ
POLICE: いいだろう
茶々の頭痛が嘘のように消えてなくなった。
POLICE: そのICチップから頚椎に電極が入っているのは知ってるな
/dev/null: ああ
POLICE: その電極からの微弱電流で、ヌルデバの身体の部位を指定して、あらゆる感覚を作り出すことができる。もちろん全身同時ということも可能だ。
/dev/null: 身体の部位を指定して、あらゆる感覚を?
エージェントの言葉を復唱した茶々は、その状態を想像してぶるっと身震いした。
茶々が発した「あらゆる感覚を?」という言葉には、ある種の期待が込められていた。
POLICE: 何か期待してるようだな。そう、こういうこともできる
「やん!!」
茶々は、普段発しないような甲高い声を上げ、椅子から飛び跳ねたかと思うと、そのまま両手で胸を押さえて床にうずくまった。
胸を押さえた両手には、これでもかというくらいに固く尖った乳首がTシャツ越しに当たっている。
乳首に着けた18Gのサーキュラーバーベルがひきつれて痛い。
「ねえ、ダメ……これ、気持ちよすぎ……痛い……でもやばい……やめて」
茶々は、乳首にピンポイントで襲いかかる快感と痛みに身体を痙攣させて悶た。
「あ、ここで言っても伝わらないんだった」
腰が抜けたようになった茶々は、なんとか机の上に手を伸ばしてキーボードを引きずり下ろした。
/dev/null: これわはんそくよおねがいとめて
キーボードを打つ指が震える。
変換するのももどかしく、無変換のままエンターキーを押し下げるのがやっとだった。
乳首に感じる快感が徐々に弱くなっていった。
POLICE: どうだったかな、気に入ってもらえただろうか
/dev/null: どうもこうもねえよ。警察がこんなことしていいのかよ!
茶々は、怒りをぶつけた。
本当は怒っていなかったが。
POLICE: ICチップの仕様書には、痛みを与える機能しか書かれていない
/dev/null: じゃあ、なんでこんな嬉しい、じゃなかった余計な機能が付いてんだよ
POLICE: 私の趣味で付けた裏コマンドだ
/dev/null: なんてことしてんだよ。リモコンのローターなんかより凶悪じゃねえか。このド変態が!
POLICE: なんとでも言え。いずれにしてもヌルデバの身体はこちらの管理下にあることを忘れるな
凄腕のサイバー犯罪捜査官は、とんでもないドSのド変態だった。