ちなみにこれを含めて2,3話続く予定です。
そして確認せずにアップしているので誤字脱字が目立つかもしれませんがご了承下さい。
あぁ〜寒い。超寒い。用事がなければ家に帰るまであるね。
まぁ用があるからわざわざ寒い中出てる。
既に10月にも食い込み千葉にも寒波が続々と進行して来ている。それなのに昼間は9月中盤同様温かいのだから何がなんだか分からない。
どの道もうすぐ陽が傾きそうな時間だから寒いのは変わりがない。
そんな中で何時もの猫背を余計に丸めてせかせかと図書館に向かう。
これがわざわざ寒いのに外へ出た理由。ラノベの新刊読み尽くしたからね、仕方ないね。
そうこう言っている間に図書館に到着。勿論中は暖かくてぬくぬくだにゃ〜。
「あぁ〜あったけぇ〜」思わず風呂に入った時のおじいちゃんみたいな声が出てしまった。まぁそれだけ外が寒かったって事で許してヒヤシンス。
誰にも聞かれてないみたいだし平気平気。
とりあえず今日借りていく本を探すべく彷徨う。残念ながらと言うべきか当たり前と言うべきか、ここの図書館にはラノベは無いので久しぶりに純文学とかの書架へと向かう。
森鴎外、夏目漱石、島崎藤村、芥川龍之介、葛西善蔵、川端康成、太宰治、三島由紀夫、野間宏、等々近現代文学の偉人達やさほど知名度の高くない人たちまで揃っている。流石は図書館である。
そんな中から読書のお供に選んだのは幾つかの作品。
本の確かな重みを感じながら意気揚々と帰りの準備をすべくカウンターへと向かう。
通路を通った瞬間に横からの西日に目を細め、何気無しにそちらを向く。
窓からの斜陽の中、長く艶やかな濡れ羽色の髪を背もたれに撓垂れかけ、本を俯き気に読む美少女が目に飛び込んでくる。
相も変わらず絵になる奴だ。如何にも水墨画とかに出て来そうなレベル。
人知れず眺めているとふとその張本人が顔を上げてこちらと視線が交わる。
「あら。こんな所に来る何て珍しいわね。徘徊でもしてたのかしら?」
会って早々これである。もう少し罵倒の加減をしてもらえませんかね。
「俺はゾンビか何かか。ここに来てんだから本借りに来たんだっての」
「てっきりお仲間を増やしに来たのかと思ったわ」
そう言ってクスクスと笑う雪ノ下。そんな如何にも女の子女の子した仕草で不覚にもドキッとする。
「……そう言えば何読んでるんだ」
何とか軌道修正を謀るべく質問を投げかける。
「今読んでるのはこころよ。それからこっちは雪国。流石に知っているでしょう?」
それはそれは超有名な小説。夏目漱石作のこころと川端康成の雪国。
「そりゃあな。これでも国語三位なんでね。私はその人を常に先制と呼んでいた。ってのと、トンネルを抜けるとそこは雪国だったってやつだろ」
俺も読んだ事があるし、教科書にも出ている程有名な文学作家の作品だ。
他にも坊ちゃんや伊豆の踊り子なども有名だろう。
「それで、貴方は?結構な量を持っているようだけれど……」
しおり紐を挟み込み本を置く。随分と綺麗な所作に流石は本物のお嬢様だなと変な所で感心する。
「氷壁、老人と海、坂の上の雲、それから剱岳に海底二万哩だ。もうちょっと借りようとは思ったんだが流石に重くなりそうだったんで辞めた」
そう言って向かい側の椅子を引いて雪ノ下と同じ机に本を置く。外が寒いからさっさと出るのを辞めた以外の理由は無い。無いものは無い。
「井上靖、司馬遼太郎、新田次郎、ヘミングウェイ、ヴェルヌ……と言った所かしら。随分とまとまりが無いわね」
「ご明察の通りだよ。流石は学年主席だな。後、纏まりが無いじゃなくて幅広いと言ってくれ」
「有名な小説だもの、流石に分かるわよ。貴方の場合は乱読家の方が近いのだから不均一、雑多と言った意味では正しいでしょう?」
相変わらず辛口なのはもはやご愛嬌だろう。強ち間違ってないのだから訂正するのは面倒だし良いだろう。
「まぁ強ち間違いじゃねぇから良いんだけどよ……」
「あら?意外に素直なのね」
「意外って何だよ。俺は己の赴くままに生きてるから超素直な奴になれるまである」
「はぁ……そう言う所が素直じゃないと言うのよ……」
もはやおなじみになりつつある、頭いたぁのポーズ
こんな風に二人で過ごしているのが少し懐かしい。
「こうして二人でいると最初の頃を思い出すわね……」
「そう言われると紅茶が欲しくなるな。買ってくるか」
「……いえ。それほど長居する訳では無いのだからいいでしょう」
「それもそうか……」
チロリン、ポケットの中の携帯からくぐもった着信音が鳴る。
一旦本を置いて確認してみれば我らが愛しの妹、小町からのメール。
『ご飯の材料買いに来たんだけど今日の晩ご飯何が良い?』
だってさ。小町超良い子。流石は大天使小町エルなだけある。
「あら?携帯を開いたかと思えば急ににやつき始めて……何処からどう見ても完全に危ない人ね」
「随分ひでぇ言われ様だな、おい。小町からご飯何が良いとか聞かれちゃったんだから当たり前だろ。」
「そ、そう……当たり前なのね……」
「そりゃ千葉の兄妹だからな。これで何の反応もない兄とかあり得ん」
ちょっとドヤ顔をしていると雪ノ下に呆れられてしまった。それに何か引かれている。そんなあからさまにされるとちょっと傷つく。
そんなやり取りをしながら受付まで行く。
本を借りて鞄に仕舞い込む。
「そういや、もう飯の時間だったんだな。早いな……」
「そうね……私も買い物して帰ろうかしら」
「独り立ちってそこが大変なんだよなぁ〜。社会に出たくねえなぁー」
「どういう思考をしたらそうなるのか分からないのだけれど……」
その呆れながら、言うのも疲れたみたいな表情されるほど頻繁に言ってない筈……多分……。
「専業主夫なら買い物位は毎日でしょうに……そもそも少しでも家事ができるようになったのかしら?」
痛い所突いてきやがった。と言うか俺の家事レベルが小6で止まっているのを知ってる筈なのに、そこ言ってくるのか……
「まぁ……それは追々ってやつだ……」
「それはギリギリまでやらない人の口癖では無くて?」
実際家事なんて小町任せで家でゴロゴロしてるからちっとも言い返せない。
「うぐっ……て、てかお前は夕飯どうすんだよ。やっぱ何か買って帰んの?」
「そうね……そ、その……」
何故か急に口籠る雪ノ下。
俯いて何とも歯切れ悪く小さな声。雪ノ下が言葉に詰まるのは余り無いので少し新鮮な気がする。
「その……貴方のお家にお邪魔させて貰っても良いかしら……」
「は?」
今こいつなんて言った?もしかして俺の家に来るって言った?
「い、いえ。私一人で作るのも多少手間だし小町さんにも久しぶりに会いたいし何よりカマクラさんのお相手もしたいし、断じて貴方にご飯を振る舞いたいとか寂しいだろうからとかそんな理由はこれっぽっちも、それこそ万に一つも無いのよ。えぇ、無いと言えば無いのよ。分かったかしら」
「お、おう。と、取り敢えず小町に聞いてみるわ。俺が飯作るわけじゃねぇしな えぇ。是非ともお願いするわ」
何時もより目つきが幾分鋭くなって氷の女王様の貫禄が上がった気がする。
それに無言のまま早く電話かけろって圧力かけて来てる辺りが更に女王様っぽい。
『はいは〜い。どしたのお兄ちゃん。食べたいのでも出てきた?』
「おう。小町か。今ちょっと雪ノ下と一緒でな。それでだな、雪ノ下が家に来たいって言ってるんだが……」
『ほ〜ん、ほ〜ん!雪乃さんとねぇ……逢引とはお兄ちゃんも隅に置けないですなぁ〜』そもそも逢引ってうちの小町ちゃんってば何て事を言ってるのかしら。と言うかそんな言葉を何処で覚えたのかお兄ちゃん気になります!
「うっせ……それよか飯の方をだな……」
『あぁ〜、雪乃さんに代わってくれる?ちょっと話したいから』
「俺の話はスルーかよ……お兄ちゃんは寂しいよ」
『そう言うの良いから早く代わって』
バッサリと小町かお兄ちゃんの事切り捨てて来てお兄ちゃん益々悲しい…… 小町に嫌われたらあまりのショックで死にかけちゃうから早目に替わる。
ほれ、小町がお前と話がしたいんだとよ。とか何とか言いながら雪ノ下に携帯を渡す。
携帯を片手に、早速話を始める雪ノ下。
「えぇ。こんばんは、小町さん 」相変わらず律儀と言うか丁寧な雪ノ下。
「そ、そう……そう言ってもらえて私も嬉しいわ」
「それなのだけれどね……私も手伝わせて貰っても良いかしら……」
「それならば私が決めても良いかしら……その、たまたま作ろうと考えたのがあるから……」チラリとこちらを流し見てくる。
一体全体何が何やらさっぱり分からない。
「そ、そんな……こと……は…… ほ、ほんの数%位なら……無くも無いかもしれないわ……」顔を赤くしてこちらをチラチラと肩越しに覗き見ながらそう話している。
さっぱり何を話してるのか分からない。
「ん、んん。そうね。では、今から上げていくから買ってもらえるかしら」
よくレシピなんて覚えてられるものだと変な所に感心する。まぁ雪ノ下のことだからそれくらいは雑作も無いのだろう。
「まずは野菜からね。ナスとパプリカと……」
そう言って料理の算段を始めた雪ノ下と駅へ歩いて行く。
雪ノ下と二人で。
駅に着くと丁度話が終わったらしく携帯を返してもらい、電車に乗り込む。
土日の夕方というのもあってか、少し混んでいる車内に横並びで吊革に掴まる。
「小町さんは喜んでいたけど、正直なところ少し気が引けるわ……」
長めの沈黙を破りボソリと小さくそう呟いた。
「小町が喜んでたんなら特に気にする事は無いんじゃねぇの」
「それはそうなのだけれど……そ、その……あなたは、良かったの……」
は?俺?ここで急に意見求められても中々答えに窮する。そもそも良かったも何も俺には決定権無いんだけど。
それでも夕日の指している赤よりも更に耳まで朱く染めた俯き気味の顔で視線を送られてしまっては動揺を誘われ、何かがグワングワンと揺れているような感覚に襲われる。
「……俺は、その、何?むしろまたお前の旨い飯が食えて嬉しいっつうか、何つうか……」しどろもどろになりつつ何とか答えを返す。そしてその影響で更に赤みが増していく。自分でも何を言っているのか把握しきれていない。そのくらい頭が真っ白になっていた。
「…………そ、そう……ありがとう」
「……お、おう。えと……どういたしまして」
あまりの恥ずかしさで家に着くまで終始無言だった。
恥ずかし過ぎて挙動不審になってるのが自分でも分かるくらいには動揺してた。
そんな俺と雪ノ下の周りに西日でできた茜色の道ができる。その夕日に真っ白に透き通り綺麗に整った横顔を照らされている雪ノ下が横に居る。いつもは凛と澄ました雪ノ下も夕日のせいか、はたまた別の要因か。肌の白さで余計に赤みが増して見える。そんな状況が余計に羞恥を加速していた。
「たでーまー」
あれからほぼ無言のまま帰宅。 すると解錠音を聞きつけたのか奥から小町がパタパタと足音響かせながら出て来る。
「おかえりお兄ちゃん。それから雪乃さんもいらっしゃいです」
「えぇ。お邪魔します」
薄ベージュのアウターを畳み、ワインレッドのロングスカートを足へと丁寧に這わせながらしゃがんで靴を揃える。
そんな一見何でもない動作に不覚にもドキッとする。
「……じゃ、じゃあ俺は本読んで待ってるから。できたら読んでくれ」
それだけ言い残して部屋へと足早に戻る。もう限界だったから。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
何で出れない部屋の続きじゃないんだよ!と言うツッコミは勘弁して下さいw
R-18はまだもう少し荷が重かったみたいでゆっくりとしか進んでません(ショボーン)
そちらも完結させます。ちゃんと書いてますから。
勿論こちらにも続きがあるので暫くお待ちいただければと思います。