※この作品はR-18です。

徒然な八雪   作:柚野鈴

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一か月ぶりです。お久しぶりです。
今回はコミ1に参加した時にゲットした同人誌を元に3次創作をしてみました。
まぁ、ほとんど変えてないんですけどね…

許可をくださった、タダノタケムラさんに最大級の感謝を。

それではこの辺で、後書きでお会いしましょう!


雪ノ下雪乃と「約束」を遂げる

「先輩たちちゃんとプレゼント持ってきました?」

「持ってきたけどよ、なんでいきなりプレゼント交換会やるんだよ……」

「え~いいじゃん。なんかおもしろそうだし!」

「私は別に構わないのだけれど……」

 

「誰のかわからないよう同じ箱入れて……」

「「シャッフル!!」」

 

 誰の誕生日でも、なんの記念日でも無いのに我らが奉仕部と何故か入り浸ってる一色が揃いも揃ってこんな良く分からんことをしているのには先週まで遡らなければいけない。

 

 

 

「先輩方ってそう言えばそろそろ受験に向き合わないといけない時期なんですよね……」

「うっ!それこの前言われたばっかだ……」

「由比ヶ浜さんは今からやらないと大変なことになりそうだものね」

「うぅ~……分かってはいるんだけどさ、ほら……やる気が出ないって言うか……」

「それだからあんな成績になるのでしょう……全くもう……」

「う~ん。けどうちの学校って後半の問題が難しいだけじゃないですか?授業だけで半分ちょっと解けなくはないですよね……」

「あたしだってノートくらいはちゃんととってるよ!ほら!」

そう言って黒板を丸のまま移したであろうノートを堂々と見せる由比ヶ浜。いや、授業中にノートとらない奴とか俺以外に居るのか?なんなら去年までの俺が一番ノートとってないまである。そもそもあれは理系科目だからであって文系科目ならちゃんと起きてるから。何なら現国で寝たら拳骨がおちてきたし。

 

「いや、由比ヶ浜先輩。それで誇られても……」

ほらみろ由比ヶ浜。流石の一色も若干苦笑いしてるぞ。いや、逆に生徒会長が授業中に居眠りとかしてたらどうなんだって話だが。そもそもビックリするほど身持ちが固いこいつが居眠りとか想像つかないしな。

 

「えっ?だってヒッキーは授業中しょっちゅう寝てるけど?」

「いやいやいや。え?せんぱいマジなんですか?ないです!それはないです!」

「待て待て。俺が寝てるのなんて復習してるときくらいだぞ」

「あなた文理選択で理系科目が無いのに寝ているのはどうなのかしら…」

「分かり切った所を何度もやらせる教師が悪い。つまり俺は悪くない。何ならちょうどいい気温と眠気を助長させる授業を昼の後にやる学校社会が悪い」

 

「あははは……」

「せんぱい、流石にそれはヤバいです」

「はぁ……」

 案の定と言うべきか、由比ヶ浜は超微妙な顔して半笑いだし、一色は一色で半眼でこちらをジトっとした横目で見てくるし、雪ノ下はいつも通りのこめかみに手を当てて頭いたーのポーズ。流石に分かってはいたけどその反応はひどくないですかねぇ。

 

「ま、そんな事よりですね。皆さんと一緒にちゃんと過ごせる時間もそんなにないわけですよ」

「そっか~。それもそうだよね~」

「なのでですね、皆でプレゼント交換会をしたいと思います!」

「おぉ~!やろうやろう!」

とかなんとか言いだしたせいで、何故か謎のプレゼント交換会がセッティングされてしまった。当然のことながら俺と雪ノ下が反対した。

がしかし、

 

「ねぇ、ゆきのん。プレゼント交換したくないの?……ほんとにダメ?」

「雪乃せんぱい。私は雪乃せんぱいのプレゼント、欲しいんですけど……ダメですか?」

 由比ヶ浜と一色による両方からのボディータッチと子犬みたいなダメ押しにより、あえなく撃沈。俺まで巻き込まれることになってしまった。いや、まぁ個人的には色雪結衣、ありだと思いました。

 

 

 

 とまぁ、一色によって振り回された結果この状況に至ってしまった訳で。この民主主義国家の体裁をとっている奉仕部内では多数決による意思決定が大勢を占めるのだ。

 

「まずは私から開けますね!」

「パンさんのキーホルダー?」

「ということは……」

「私のね。そのパンさんは帽子をかぶっているでしょう?緑色の帽子は一般販売されていなくて…………」

 やっぱりと言うか当然というか、趣味百パーセントの雪ノ下が選んだのはパンさんでした。まぁ、らしいと言えばらしいチョイスでちょっと微笑ましい。

「わー、うれしいですぅー……」

「お前もっとうれしそうにしろよ……」

そして哀しいかな超棒読みで喜んでるのか全然わからないし、何なら超ダラダラな語尾伸ばしのせいで俺には煽ってるように聞こえる。まぁ、そんなプレゼントをした張本人はパンさんのことを熱く語っているせいで気づいてない模様。いや、気づいてたら気づいてたでこの一帯が冷気に包まれて皆凍りついちゃうんだけどね。

 

 

「次は私だね。これは……アロマ?」

「あ!私のです!アロマディフューザーですよ~」

「おぉ~流石いろはちゃん。女子力たか~い!」

「ヒーリング効果のある香りなんでお部屋で使ってくださいね~」

 何か薄緑色っぽい感じの液体が入った瓶と竹串みたいなやつが数本、小町が買ってくるような、めっちゃきゃぴきゃぴした感じの袋に入っている。個人的には色がバケツスライムみたいで微妙に好みではある。何ならひっくり返してネチネチしてみたい。ねちねち。

 

「てかこれあれじゃん、小町がこの前使ってた揚げパスタじゃん」

「揚げパスタって……リードディフューザーってちゃんとした名前がありますからね……」

カタカナだらけでとってもきゃぴるんしてそうな女子が好きそうな名前ですね。それこそお隣の某知事並にカタカナ好きそうだよね、あの辺りの女子諸君。

 

 

「じゃあ俺も開けるか……って、ハートのイヤリング……」

「あ、私の!みんなにかわいいの付けてほしいと思ったんだけど……」

「比企谷君がいるのを忘れていたわね」

「あーん、男子には付けられないよね。どうしよー!!」

「大丈夫ですよ結衣先輩!こうしてこうすればっと……」

 するりと後ろに回り込まれて耳元でゴソゴソと何やらいじられれば、まさかの俺にイヤリングが……後凄いくすぐったいからやめてね。

 どうやら挟むだけの簡単しようなやつだったらしい。こんなのもあるのね。いやまぁ、耳に穴開けるなんて戸部みたいにウェイウェイしてるみたいに見られそうだから丁重にお断りしたい。

 

「ほら!こんなに可愛いです!!」

「お前馬鹿にしてんだろ……」

それからそこの二人はなんで俺を見て微妙に満足げな表情なの……

 

「残りはヒッキーのだね」

「これは……」

「紅茶、ですか?」

「プレゼントとかよく分からないからな。部活で使えそうなの買ってきた」

 正直言って誰かひとりに渡すようなものでも悩むのに、三人の誰に回っても良いようなものを考えるとかボッチオブボッチの俺にはきつすぎる。もとより、小町くらいにしかプレゼントなんてやらんのにこいつらの好きなもんとか分かるわけない。まぁ、この紅茶もグラム単価二千円位したからそれなりに良いものではあるはずだ。流石に何万もするのは学生には少し手が届かない。

 

「せんぱいつまんないですー」

「うるせっ」

「…………」

ただただじっと箱の中に入った紅茶を見つめる雪ノ下。特に変わった銘柄を買った覚えはないので、何が気になっているのか分からない。そんなのはお構いなしに一色と由比ヶ浜は二人してはしゃいで今度の休みに出かけるのを決めている。

 

 

 

「出かけるって言った割には随分近場だなおい」

「いや~。ぶっちゃけお金あんまりないですし、ここでも十分楽しめますよ」

 そう言って四人で来たのは近場のアウトレットと言うかモール。いつも通りグイグイ引っ張て行く由比ヶ浜に若干振り回されつつ、チェーン店舗の洋服屋とか適当な食べ物屋を巡ったり本屋にも立ち寄った。それからディスティニーストアを見つけた雪ノ下がこの前と同様パンさんについて超熱く語ってた。うざさを無くした材木座みたいだった。いや、やっぱこの例えは雪ノ下に失礼だな。

 

 そしてそんな中、突如として一色が駆け足になったと思ったら微妙に厄介な店を見つけてくれやがった。

 

「おっ!ほら先輩下着ですよ~」

「んぐっ!」

「ちょっ、ちょっと、いろはちゃん!」

「せんぱいはどんなのが好みですか~?」

「どんなのって、そりゃぁ……」

 一色はいつもあざといからレースだらけのふりふりなバックレースのとか、ハーフカップとか着けてそうだけど、あぁ見えてまともなところがあるから普通にピンクのローライズタイプとかもありかもしれん。由比ヶ浜は素晴らしく大きなメロンを持ってるからフルカップな単色系が多そうだよな。いやまぁバラ柄とかの派手目なのとかも好きそうだからそれもあるのか。腰から下もふっくらした安産型だからハイレグとかGストとか似合いそうではある。雪ノ下は肌白いしスレンダーだからブラスリップのキャミとかかもしれん。シースルーのネグリジェにガーターとソングタイプのとか超似合いそう。何なら黒とか赤とかだと女王様感もでそう。でもなんだかんだ言って白とか薄ピンクとか似合いそうではある。そもそも縞々のやつとか単色でただの麻生地とかは小町が着けてるから若干見飽きてる感あるしな。少しくらいは大人っぽいのが見てみたいんですよ。

 

「……なにを想像しているのかしら」

「せんぱい、やらし~……」

「あはは……」

めっちゃ揶揄われたような声とドン引きしたような声とで我に返って辛かった。何故だ、俺は悪くないだろ。ここに連れてきた一色に揶揄われたのが余計に辛い。

 

 

 

「ふぅっ…」

「大丈夫か?」

「やはり人の多い所は苦手ね……」

「同意だな、ちょっと待ってろ……」

 ただでさえ体力が無いのに、休日の人の多さにあてられたのか雪ノ下がダウン。まだまだ周り足りない二人は店舗巡りをするらしく、俺が付き添いとなった。俺はそもそも休日に出かけたく無かったが、小町と手を組まれては仕方ない。外に出る他なかった。

 

 

「ほれ」

「ありがとう……」

「この紅茶……」

「いや、雪ノ下それよく飲んでるだろ?」

「そうね……」

 コンビニで適当な飲み物をチョイスしてベンチへと戻る。俺は勿論マックスコーヒー。疲れた体に甘さが染み渡るの最高。

 

「それにしても…」

「ん?」

「あなたはいつもその体に悪そうな物を飲んでるわよね」

「まぁな、一日一本飲まないと落ち着かないまである」

「もはや中毒ね…糖分のとりすぎは良くないのだから程々にしなさいね……」

「へぇへぇ。分かりましたよ……」

 その後は殆ど口を開くことなく過ごしていた。暫くして戻ってきた二人と合流。まさかの夕飯まで食べて帰った。そして残念ながらサイゼは却下され、小洒落たイタリアンになった。同じイタリアンなんだからサイゼでも良いだろうにダメだったらしい。女心は本当によくわからない。

 

 

 

 放課後一人、人気の殆どない特別棟のリノリウムの廊下を歩く。寂しげに響く自分の足音がやけに耳につく。そう感じるようになったのはいつからだろうか。

 最近、塾や勉強会、遊びに出る事が重なって今日のように部活自体が休みがちになってるなとか考えながら少しづづ部室に近づいて行く。

 

「あら?……今日はお休みだけれど?」

「本を忘れてな。部室が開いてて良かった」

 少しばかり軋んでいるのか、ガラガラと音を立てる扉を閉める。

 

「雪ノ下はどうした?」

「……紅茶、飲む?」

 そう一言だけ尋ねる彼女の顔は寂しげで、辛そうで、難しそうで、困り顔だった。

 

 

「この紅茶、もしかして私の好みで選んだのかしら?」

「あ、あぁまぁ……当てずっぽうなんだけどな……」

 

「……いつもそう、あなたは他人に興味ないふりをして……

とてもよく見てる。

私は頼りにしっぱなし」

 

夕陽が綺麗で艶やかな黒髪を撫でる。

 

「私は分からなくなった。

自分が、どうしたいとか、あなたとの勝負とか

あなたへの感情とか…」

 

 

「どうして?」

 

 体が勝手に動く。

勝手に椅子を立って歩いている。

自分でも何をやっているのかイマイチ分かってない。

自分の行動が自分じゃないみたいに第三者を見ているように感じる。

 

でも、

やらなきゃいけないと思った。

 

「俺も分かんねぇんだ……

いろんなことが、

これの感情がどうとか、

これからどうしたいかとかよ。

 

それでも、

この気持ちが、

偽物だとしてもだ……

 

いつか、本物にしたいから……」

 

 目の前にあった小さな、でも確かなぬくもりが消える。

それに喪失感と寂寥感を覚えて手が空を切る。

 

それでも、今なら大丈夫だ。

だって、

 

「なら、私もやらなければ……

あなたの言う本物を見つけるため……

 

進むわ」

 

彼女ならきっと同じだと、そう感じられたから。

 

「……あぁ、俺もだな」

「そして、いつかふたりで答えをみつけましょう」

「それがどんな結末だとしても、か……?」

 

きっとまた大変なことがあっても、

きっとまたキツイことがあっても、

きっとなんとかなるんだと信じて。

 

「えぇ!」

 

 

 

俺たちは前に進みだす。

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました。
元々は漫画だったのでやはり媒体の差を嫌と言うほど感じました。
何なら元が凄すぎた…興味のある方は是非ともタダノタケムラさんの「約束」の購入を検討してみては?(ダイマ)
読了してくださった皆様と、許可を頂いたタダノタケムラさんに感謝申し上げます。
重ね重ね、ありがとうございました。

それではまた次回お会いしましょう!
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