第三話投稿です。
ところで、決戦アリーナ、今回のイベの特攻UR不知火ママなんですよね。欲しくて課金しまくったんですが全くダメダメ。
UR3%20回もUR確定も仕事しても常設URオンリーとか、ワロえない。
今回のイベで集まるだろうチケットを全部使用するつもりで狙ってみる所存。
この作品が皆様の楽しい決戦アリーナプレイの息抜きになれば、幸いです。
気が付けば、自分の周りを知人と思われる人々が取り囲んでいた。
顔に濃い影がかかっていて顔を判別できないが、服装から
「任務ご苦労様でした。高坂静流」
後ろからかけられた声に振り向いた静流の視界に映ったのは井河アサギその人で、体の前で右手の甲に左掌をかぶせる何時もの姿。しかし、穏やかに微笑んでいるであろう顔の鼻から上はやはり濃い影に隠れている。
「あなたの持ち帰った情報のおかげで迅速に事は運びました」
(持ち帰った? だったら、あれは──夢?)
呆けた様にアサギの話を聞く静流に紫(と思われる人物)が咳払いで注意を促す。慌てて姿勢を正す静流だがさっぱり状況が判らず、微かに眉を寄せる。
「ですので、これからはゆっくり養生してください」
「は?」
怪訝そうに声をあげる静流に答えたのは、一歩前に出た紫。
「
「え? あの、まっ──」
紫の影に隠れていない唇が強く噛み締められる様を見ながら、静流は慌てて声をあげようとして、その場に尻餅をついてしまう。
「えっ────?」
怪訝に思いながら足に目を向ければ、さっきまで確かに正常だった筈の折れ曲がり焼け焦げた足。慌てて腕に目を向ければ腕も同様に酷い有り様だった。
「──────ッ!」
「今まで本当にご苦労様でした──体を労って無理をしないように……」
息を飲む静流を他所に、慈しみの中に悔恨が混じる声色で静流に声をかけたアサギの顔がさくらや紫等に向くと、彼女等は一斉に頷く。
「嘘──待ってください、これは何かの間違えで──」
踵を返し自分から離れていくアサギ達に追いすがろうとするも、手も足も動かない静流はそのまま前のめりに倒れてしまう。
「ちが、これ、違います。私、私は──ッ!」
それでも、首や顎、腹筋などを駆使して虫が這うように必死に追いすがる。しかし、アサギ達は振り返ることなく進んでいきやがたその姿も見えなくなる。アサギ達の姿が見えなくなっても遅々として進まないものの這いずって追いすがっていた静流は唐突に這いずるのをやめると、苦労して如何にかあお向けに寝転がる。
「──ははっ」
乾いた笑いが自然と零れる。
無様だった。簡単な任務と無意識に油断して罠に嵌められ、そこから
「はははははははっ」
空しく笑い声が響く。
普段から内心愚痴を言っていたアサギにあんな態度を取らせた上に気を遣われ、自身は芋虫の様に這いずって追いすがるが、結局誰一人として足を止める事はなかった。
「はははは…………ああっ──」
惨めだった。花の対魔忍と呼ばれ有能な若手として後輩からは憧憬を、先輩からは信頼を寄せられ、肩で風を切って歩いて居たのに、、今は用事が済めば見向きもされず、地べたを這いずる有り様だ。
「うあっ」
そして、何より
しかし、あの男は違う。正面から対峙して罠もなく、策略もない。純粋に実力の差で余裕を持ってあしらわれたうえで、自身が格下でありあの男と戦っても勝てないのだと身をもって理解させられた。四肢を完全に破壊されるという形で。
「ううううっ、あああああ──」
涙が溢れるのが止められない。何があったかわからないが救出された筈なのに、まだあの男に怯えている自分がいる。今でも何処からとも無く現れて自分を陵辱するのではないかと、そんな事を考えている自分がいる。
「う゛あ゛ぁぁぁぁぁっ」
一人になっている今が堪らなく恐ろしい。真面に移動もできない、抵抗もできない体だけで一人ぼっち。こんな状態で体を労われと言われても無理だ。
ふと、そんな静流の涙で歪んだ視界に、地面に突き刺さった切り立った石が目に入る。どういう訳かナイフの様な鋭さを持っている。
「これで──」
鼻をすすり、泣き濡れた瞳のまま静流は苦労して体を起こして、移動を始める。
そうして数分あるいは十数分かけて移動した視線の先には切り立った石。
「これで──楽になれます」
静かに瞳を閉じ、先程まで泣きじゃくっていた顔からは想像もできない穏やかな顔で、あるいはなにもかも諦めきった顔でその体を倒す。
その喉の先には切り立った石のナイフの様に鋭利な先端。
静流はプライドが高い女性である。それに見あった能力と容姿の持ち主だったが、双方を鴉にズタズタにされ、もう、限界だったのだ。
そんな静流が選んだ方法が自らその命を断つ事。即ち、自殺である。
静流のほっそりとした喉が石の先端に届くかどうか、そんな刹那──
「──死ねば逃げられると思ったか?」
耳元にその声が聞こえた。咄嗟に横目で見れば口元をマスクで隠していても解ってしまうほどの満面の笑みを浮かべたあの男の顔。
驚愕に目を見開くと同時に、喉を石の先端が突き破り動脈と気菅を致命的に損傷させる。
空気が漏れる音に、止めどなく流れる血潮。
激痛と驚愕で混乱する頭。暗くなっていく視界。
そして満面の笑みを浮かべたあの男がこちらにてを伸ばした所で静流の意識は途絶えた。
「────ッ!!」
ベッドから跳ね起きた静流は早鐘を打つ胸に
深呼吸を繰り返せば心臓も気持ちも落ち行き、周囲を見渡せば自信が囚われたあの部屋だった。
(夢──だったんですね)
自身が四肢を無惨にも破壊され、救出されるも復帰が不可能で、失意の中自殺してなお、鴉から逃げられないという悪夢以外のなにものでもない。
胸を撫で下ろす静流は、はたと気が付く。
大きく脈動する心臓。
自身の四肢は確かに破壊された筈だ。あの痛みも、恐怖も、絶望も夢である筈がない。
それなのに自身の胸に手を当てている事実。
この矛盾した事実の真相を確かめるには、実際に目で見て確かめるより術はない。
大きく脈動を繰り返す心臓を煩わしく思いながらも視線を落とせば──
「──────えっ?」
そこにはまともに機能する腕あった。
ただし、二の腕の上部から自身の髪と同じ色の獣毛に覆われた、見覚えの無い獣の如き腕が二つあった。
獣毛は二の腕上部から指先まで、掌と爪を除く全てにびっしりと生えている。毛の質は程よい硬さで手触りもよい。腕の形自体は人のそれだが獣毛に覆われている為、人の腕というよりはイメージ的には猿の腕が近い。
唖然としながらもそこまで観察していた静流は、何かに気付いて自分にかかっていた毛布を剥ぎ取る。
そこにはやはりまっとうに機能する足があった。ただし、膝下辺りから獣毛に覆われていたが。こちらも腕同様に形は人のそれだ。
「どう──して、こんな……」
鴉に壊された両手足を見た時もショックだったが、この獣のような両手足を見るのもショックだった。まるで、お前は獣なのだと、あの男の
自分に付いているはずの両手足がまるで自分の物じゃないように感じる。素直に手を開閉できたり足首が動くことから間違えなく自身の腕であり足であるはずなのだが、今日この日まで当たり前のように存在したモノが、前日に徹底的に破壊され翌日には人のそれからかけ離れた形になれば無理もない事である。
呆然と開閉する手を眺めていると、ノックの音が室内に響く。
勢いよく顔を上げた静流の耳朶に「失礼します」という侍女の魔族の声が響き扉が開く。
静流の知る限り基本表情が動かない侍女であったが、ベッドで上体を起こしている静流の姿に僅かに目が見開かれる。
「おはようございます。三日ぶりではございますが、ご気分はいかがでしょうか?」
人間であり、対魔忍であり、自身の主人に牙をむいたものであっても侍女としての姿勢を崩さない魔族の姿に思うところが無い訳ではないが、それより別の言葉に静流の意識は着目する。
「三日?」
「はい。あの日から本日で三日目でございます。命に別状はなかったようですので必要以上の介護はしておりませんが何か体に異常はございませんか?」
「この手足はあなた方が?」
「はい。旦那様のご指示でどうせ治療するならと。本来あった腕を治療後切断、別に保管して遺伝子に細工を施したのちに再生治療で再生された腕がそちらになります」
侍女の言葉に静流は唖然とする。魔界医療が人間社会の一般的な医療と比べ非常識であることは知っていたが、いくらなんでも出鱈目が過ぎる。
暫く、唖然としていた静流ではあったが、重要な言葉があったことに気づいた。
「別に、保管?」
「はい。以前と変わりなく再生した腕は別途保管しております」
「か、返してくださいッ!」
思わず叫んだ静流に表情を変えずに侍女は淡々と答える。
「私にその権限はございません。それ以前に取り戻してどうなさるおつもりで?」
侍女の言葉に静流は沈黙をもって答える。思わず返せと叫んだが、返されたとしてどうしようもできないという現実に気が付いたからだ。
少なくとも脱出の目処がつかなければ意味がない。それに──
「それに他の問題があります。姿見は御覧になられましたか?」
「姿見?」
静流の視線が姿見へと動く。鏡に写るのは変わらぬ己であった筈だった。しかし、現実は何処までも静流に厳しかった。
以前と変わらぬ整った顔立ちと視力矯正用の眼鏡。そして、本来真っ当な人間の耳が生えていた場所。其処には人間のそれではなく、獣毛に覆われた獣の耳が生えていた。
「──は?」
更に視線を下げれば腰と尻の中間辺りから延びてゆらゆらと揺れる長い獣毛に覆われた尻尾。さらに、今更ながらに全裸だった故に気付いたことだが丁寧に処理していたはずの陰毛が豪く広範囲に広がって生えている。
「なん、ですか────これ?」
客観的に見て鏡に映る静流の姿は獣人と呼ばれる魔族のそれに酷似していた。
愈々もって現実味がなくなってきた自身の姿に呆然とする静流。
そっと触れれば耳からも尻尾からも感触が返ってくる。間違えなく己の一部となっている。その事が吐き気がするほど悍ましく感じる。
当然だろう。人として、対魔忍として生きてきた静流は人非ざる獣人に作り替えられたのだから。首に付けられたチョーカーも相まって本当にペットのようだ。
「こんな──ふざけないでッ! こんな、こんなッ!!」
言葉にならない罵声を上げる静流を静かに眺める侍女。
「問題がないようでしたら申し訳ありませんがこちらに着替えてください。旦那様がお待ちです」
「問題しかありませんッ!!」
思わず言い返して一切表情の変わらない侍女を見て、静流はこの女魔族に何を言っても無駄なのだと悟って兎に角鴉の元に向かおうと差し出された着替えを手に取る。
相変わらず自身のスーツに合わせたマゼンタの配色だが、今回は今までとは毛色が違う。
上はブラジャーの代わりにマイクロビキニで乳首は何とか隠せているが、静流の豊満な乳房は殆ど晒している状態で上に着られるのはそれのみ。
下は尻尾の邪魔にならないような配慮なのか、ローライズのショーツとデニム生地のホットパンツ。しかも、ショーツはともかくホットパンツは明らかに静流の肉付きの良い尻にサイズがあっていない。
今までの淫らであってもどこか上品さがあった服装とは違い、淫らで下品な服装であった。
手に取った服に頬を引き攣らせた静流は、怒りに任せて投げつけてやろうと考えて、どうせ無駄だとどうにか割り切って手早く身に着けると侍女を促す。
そんな静流を嘲るでもなく、憐れむでもなく、只々淡々と案内を開始する侍女。
何処か人形の様に侍女の役割を果たす女魔族の態度に、逆に馬鹿にされているように感じた静流は憮然とした表情でその後に続いた。
鴉の人間界での拠点は、この東京キングダムの繁華街中央部にある有力な組織の幹部や金のある人間などが居を構える高層マンションの高層階にあり、上下二フロアを丸々買い取って改造したものを使っている。
上のフロアに繋がるエレベーターから降りた侍女と静流は、通路を真っ直ぐに進み一番奥にある部屋に辿り着く。その部屋はこのフロアの大半を占めている部屋であり、上下二つのフロアの中で最も大きな部屋となる。
侍女がノックをすると室内から「入れ」と鴉の声が響く。
声をかけて静かに扉を開けた侍女に続いて室内に入った静流は、その内装を見て思わず動きを止める。
「なっ、これは……」
室内は全体に暗く窓も見当たらない。あるいは暗幕の様な光を通さないカーテンの類を閉め切っているのかもしれない。そして、所狭しとショーケースの様なものが置かれライトアップされているが、問題はライトアップされているモノの内容だった。
一番最初に目についたのは、美しい女とも男ともとれるエルフと思われる魔族の頭部。保存液と思われる液体が満載された円筒状の透明な容器に収められたそれは、瞳を閉じた状態で保存されていて生きていると言われても納得してしまうほど生々しい。
その次に見えたのは四肢と首を落とされた女性と思われる体。先程のエルフの頭部同様円筒状の透明な容器に収められて、鎖骨の下辺りから恥丘、そして、背中一面に複雑で美しい刺青が施されている。その体は容器の土台部分にターンテーブルが仕込んであるのかゆっくりと回転している。
その次は瞳だ。縦に瞳孔が裂けた爬虫類の様な瞳が容器に収められている。見る角度によって瞳孔の色が変わって見えるようでまるで宝石の様な美しさがあるが、あくまで瞳である為に美しさに生理的な嫌悪感が混ざり何とも言えない気分にさせられる。
その次は髪、次は腕、次は掌──様々な部位がまるで美術品のように飾られている室内を見て絶句している静流に侍女は淡々と説明した。
「ここは旦那様のコレクションルームになります。旦那様が気に入った敵の部位を保存、観賞する為の部屋になります」
「部位を保存、観賞って……まさかッ!!!!」
慌てて駆けだした静流を侍女は黙って見送り、その後を静かに追っていく。
「随分慌ただしいな」
フロアの大半を占める部屋とはいえ、対魔忍である静流の健脚はすぐさま鴉の元まで彼女を運んだ。
部屋の奥。下からコレクションをライトアップする為か、シンプルなガラステーブルの前に漏れたライトの光に照らされた鴉は居た。
造り自体はシンプルだが一目で高級と分かるソファーに身を沈め、丸く削られた大きな氷の入ったクリスタルグラスに満ちた琥珀色の液体、おそらくウイスキーの類を静かに楽しむ鴉。
その眼前のガラステーブルにそれは乗せられていた。
円筒状の比較的大きな容器。
液体に満たされたそれに入れられたもの。
静流が人生で最も見慣れたものの一つ。
切断された静流のオリジナルの腕と足である。
切断されているとは思えない、今、静流が動かそうと思えば普通に動いてしまうと錯覚してしまう程に生気に満ちたそれを眺めながらマスクを外している鴉は微笑んでいた。
何がそんなに楽しいのかが理解できない。
人の腕や足を切り取っておいてふざけている。
激情のままに静流は容器に手を伸ばそうとして鴉の傍に控えていた執事と、静流を追ってきた侍女にその手を止められた。
「そちらは旦那様のコレクションです。素手で触るのはご遠慮願います」
「先程も申しましたが、取り戻してどうなさるおつもりで?」
「ふざけないでくださいッ! それは私の腕と足ですッ!! 私のッ! 腕と足ですッ!!!」
激情に駆られる静流を抑え込む執事と侍女。直接的な戦闘能力に劣る淫魔族とはいえ高位淫魔族。高位の魔族の面目躍如である。
そんな風に騒がしくなった室内で気にした様子もなく笑みを浮かべながら鴉は手に持ったグラスを回す。中の氷がグラスに当たり澄んだ音を奏でるのを耳で楽しみ、琥珀色の液体を一口飲んで舌と鼻、そして、喉を楽しませた後、何とか拘束を解こうとする静流を流し見る。
「持ち物を持ち主に返す。まぁ、通りだな」
「ならッ!」
「しかし、それでいいのか対魔忍?」
喉を鳴らして嗤う鴉に暴れていた静流が鼻白む。そんな静流から視線を外し再び自身のコレクションの一つに加わった腕と足に視線を戻す。
「なにを──」
「魔族に強請るなよ、対魔忍」
「──ッ!!」
鴉の言葉に静流が息を飲む。確かに、持ち主が自分の持ち物の所有権を訴えるのは当然の権利である。しかし、対魔忍と魔族の間にそんな真っ当な関係がある訳もない。
殺すか殺されるか、奪うか奪われるか。当たり前にそんな関係の筈なのだ。
それなのに激情に駆れるまま、
「必ず──必ず、取り戻してみせます」
「ふっ、ならばお手並み拝見といこう」
恐怖はある。一方的に蹂躙された記憶はまだ新しい。敵の底も見えない。それでもなお、高坂静流が高坂静流である為に踏み込む。それを勇気と呼ぶのか、あるいは蛮勇と呼ぶのか静流には分らなかった。
ただ一つ分かっていることは──おそらく、自分は今、目の前の男の掌の上だという事。
両手足を奪われ、獣の如く改造されるという屈辱に、恐怖と苦痛で折れかけていた自身の心が持ち直すのを感じる。これも恐らく計算のうちだったのだろう。この嗜虐趣味の魔族はまだまだ自分で楽しむつもりらしい。
ならばいい。好きにしろ。そうやって釈迦を気取るなら、その掌を食い破って目にもの見せてやる。
執事と侍女の拘束を振りほどき、静流は自身に宛がわれた部屋に戻る為に歩き出した。今は冷静になる為にも一人になりたかったからだ。
そんな静流の後姿を流し見る鴉。
揺れる尻尾とサイズが小さい故にホットパンツからはみ出る尻を眺めながら、まだまだ楽しめそうだと喉を鳴らして嗤って手に持った酒をあおった。
如何でしたでしょうか?
結局、治療でもなく欠損でもなく、改造+コレクション行となりました。
このコレクションネタは鴉を出す以上はやらねばと思っていたネタですので、自分的には一つ目標達成です。
今回は繋ぎの回で次回はエロではなく、マニアックなプレイ(本番なし)となる予定。
不知火ママの為にもチケット集めに奔走しなくてはいけないので次回はちょっと遅くなるかと思いますが、よろしければお待ちください。